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 海外レビューと比較してみるに4gamerのおま環もしくは測定に問題がある気がする。
→MSIのサンプルチートが原因かも



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5月27日発売のGTX1080と6月10日に発売したばかりのGTX1070について、いまのところ市場に出回っているのはほぼリファレンス基板採用のFounders Editionのみでありますが、先行して公開中のオリジナル基板を採用したAIBモデルのレビュー内でFEに比べて大幅に消費電力が増大するという報告があるようです。
(6月16日更新)

GTX1080のオリジナル基板は消費電力が大幅増?

消費電力の大幅増について具体的に言うと、4Gamerによる「MSI GamingX GTX1080(以下、GXと省略)」の先行レビューでGTCX1080FEと比較を行った際に最大80Wという大幅な消費電力の増えが報告されており、一方でデフォルトでOCされているにもかかわらずパフォーマンス向上が微妙であることが問題視されているようです。
「パフォーマンス向上」については後ほど取り上げるので、ひとまず「消費電力の大幅増」について確認していきます。

まず件の4gamerによる消費電力(ベンチマーク実行中の瞬間最大値)の比較グラフが次になっています。
ソース:http://www.4gamer.net/games/251/G025177/20160610125/
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このグラフを見る時に次の点に注目しました。(簡単のため特に記載のない場合はFEとMSIのゲーミングモードにのみ着目します。)
  1. この比較では”システム全体の消費電力”を見ており、CPU等による消費電力も含まれる
  2. 最小の消費電力差であるベンチはARKであり、その差は36W
  3. 最大の消費電力差のあるベンチはFF14であり、その差は81W
  4. FEとGXで消費電力の大きい、もしくは消費電力の小さいベンチが異なる
  5. 3DMarkやDivisionよりもFF14ベンチのほうが消費電力が大きい
3DMarkやDivisionよりもFF14ベンチやProjectCarsの消費電力が大きいあたり、CPU等による消費電力の影響を色濃く感じます。
(あとFF14ベンチはグラボの性能を測るというより、そのグラボでFF14が快適にプレイできるか測るベンチなのでスコアが10000超えたあたりからあまり意味がないし、CPUのコア数やコアクロックでスコアも激変するので国内受けを考えるとレビューに入れたくなる気持ちもわかるのですが、個人的には厳密に何かを比較するときは参考にしたくないです。)


次に「MSI GamingX GTX1080」のレビューから消費電力比較を行っているものをいくつか見つけてきました。

Guru3DによるGamingXとFEとの消費電力比較において、その差は30W程度に収まっています。
index
 ソース:
  https://www.guru3d.com/articles_pages/msi_geforce_gtx_1070_gaming_x_review,8.html
  https://www.guru3d.com/articles-pages/msi-geforce-gtx-1080-gaming-x-8g-review,1.html


OC3D.netによるGamingXとFEとの消費電力比較において、その差は3W程度に収まっています。
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 ソース:http://www.overclock3d.net/reviews/gpu_displays/msi_gtx1080_gaming_x_review/19

benchmark.plによると通常時で24W差、OCモードでも43W差です。
1465728536
 ソース:http://www.benchmark.pl/testy_i_recenzje/msi-gtx1080-gaming-x-8g-test/strona/26161.html

Teaktownのレビューでも20W程度の消費電力増となっています。
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ソース:http://www.tweaktown.com/reviews/7740/msi-geforce-gtx-1080-gaming-8g-totally-silent/index10.html

overclockersclubのレビューでは20W程度となっています。
1465812902
 ソース:http://www.overclockersclub.com/reviews/msi_gtx1080_gtx1070_gaming_x_8g/10.htm

kitguruでは40W程度になっています。
power-consumption
 ソース:https://www.kitguru.net/components/graphic-cards/zardon/msi-gtx-1080-gaming-x-8g-rgb-review/29/

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 ソース:http://hexus.net/tech/reviews/graphics/93686-msi-geforce-gtx-1080-gaming-x/?page=11

techpowerupの検証ではゲーム時の平均、ピーク時の消費電力ともに30W程度の差です。
power_averagepower_peak
 ソース:https://www.techpowerup.com/reviews/MSI/GTX_1080_Gaming_X/22.html

またtechpowerupによるレビューで非常に興味深い比較グラフがありました。次のグラフではFurmarkというGPUに通常利用では発生しないようなレベルの負荷をかけるストレステストを行った場合の消費電力を比較しています。この時のGXとFEの消費電力の差は68Wとなりました。
power_maximum
この結果からFEはハード的もしくはBIOSで200W程度の消費電力が上限として設定されており、MSI GamingXはオリジナル基板による電源フェーズと補助電源6PINの増量により、実際に”消費可能な最大電力の容量は250Wに増えている”ようです

しかしながら1200W容量の電源ユニットが常に1200Wの電力を消費しているか?というとそんなことはないのと同じで、MSI GaimngXもまた一般的なゲーム利用においてはFEからせいぜい30W程度の消費電力増で動作していると海外レビュー6件では報告されています。そしてそれを加味してもMSI GamingXはGTX980tiのリファやOCよりも低い消費電力であるとの結果が出ています。

4Gamerによる消費電力の検証は何らかの理由でグラボが無駄に(電源容量の限界近くまで)電力を消費しているか、CPU等による消費電力がMSI GamingXに対して不利な方に乗っている可能性が高いと思います。正直に言えば、MSI GamingXで消費電力が大幅増となっているのは4Gamaerのおま環じゃね、というのが管理人の考えです。


【追記2】
techpowerupでASUS StrixとGigabyte G1の消費電力の測定結果が公開されました。どちらも通常ゲーム時の消費電力はMSI Gaming X同様にGTX1080FEからせいぜい30W程度の消費電力増となっていますが、Furmarkストレステスト時の消費電力をみると250WのMSI Gaming Xに対して、ASUS StrixとGigabyte G1は200W、214W程度となっています。
as_power_maximumgg_power_maximum
ソース:
https://www.techpowerup.com/reviews/ASUS/GTX_1080_STRIX/22.html
https://www.techpowerup.com/reviews/Gigabyte/GTX_1080_G1_Gaming/22.html

8PIN*1のGigabyte G1はともかく、MSI Gaming Xと同じ8PIN+6PINのASUS Strixがゲーム時とストレステスト時で似たような消費電力であることを考えるに、Gigabyte G1とASUS StrixではBIOS上のパワーリミットがGTX1080の定格に対して+10~20%程度(200~215W)に設定されていると考えられます。一方でMSI Gaming XについてはBIOS上のパワーリミットが最大250W程度となっているため一部の環境におけるベンチや極端なストレステストにおいてGTX1080FEよりもかなり大きい消費電力となるようです。MSI Gaming Xの消費電力はハード上の問題というよりもBIOSの設定値の問題であると考えます。

ちなみに管理人の検証では、GTX1080FEで120%(おそらく210W程度)のパワーリミットとした場合、2.1GHzを超える辺りからパワーリミットがかかって動作クロックが安定しなくなりました。今のところコア電圧が1.1Vを超えないよう制限がかかっている(だいたい1.05V付近で動作する)ので、普通のコアで2.0GHz台、やや当たりコアで2.1GHz台、当たりコアで2.2GHz台で回る状況を考えるに、2.1GHz台で回るコアかつ水冷化でもない限り、MSI Gaming Xの消費電力に関するBIOS上の設定値は現状では無用の長物となる可能性が高いと思います。

あと980tiでは不評だったASUS STRIXですが、GTX1080では消費電力とコアクロックのチューニングの冴えが際立ってますね。


【追記3】

レビュアー向けサンプルでASUSとMSIが高クロックのBIOS設定がなされたものを提供していると本件とは別に先日記事にしていました。
ASUSとMSIがグラボのレビュー用サンプルにチートを行っていた模様

管理人も予想外なことにそれを受けて思わぬ方向に飛び火しました。
pcgameshardware.deさんによるとMSIはコアクロックだけでなくPowerLimitにも手を加えていたようです。
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ソース:http://www.pcgameshardware.de/Nvidia-Pascal-Hardware-261713/News/Asus-MSI-Geforce-GTX-1080-GTX-1070-Presse-1198869/


レビュー用サンプルに手を加えても性能的に大差ないので意味がないという主張もあるようですが、”製品版と違うものが配布されている”という可能性が出てくると先行レビューの検証がわけわからんことになるんですよね。メーカーの言い訳を見る限り、そういう不信感を覚えさせてしまった点がサンプルチートの最大の失敗だとMSIもASUSもわかっていないようです。

最初は管理人も4gamerのおま環か測定ミスと思っていましたが、各レビュアーのBIOS上のPowerlimitもチェックしないと断定できないかもしれないという面倒な事態に……。

【追記4】
話題のものとは別のグラボですがGTX 1080 AMP Extremeのレビュー用サンプルを借りられたのでいろいろ検証しているのですが、とりあえず一例としてFireStrike時の消費電力とFF14ベンチ時の消費電力のログをRM650iのCorsairLinkを使って測定してみました。それぞれ3回測定をおこなっています。
まずはFireStrike。
fse

続いてFF14ベンチ。
ff14

このグラフを見たら消費電力比較で安易にベンチ中の最大値を使ったらダメと普通の感覚なら思うはず。


GTX1080をOCした時の性能の伸びしろについて

現時点で発表されているGTX1080のOC版はせいぜいコアクロックが+100~150MHz程度となっており、定格における実動コアクロックが1700~1800であることを考えた場合、GTX1080のOC版におけるFEからの性能の伸びは1割に満たない可能性が高いです。(先行レビューなどのOCではコアクロックだけでなくメモリクロックも結構盛っているため2割近い性能向上になっていましたが、基本的にAIBのOCではメモリについては手を加えないものがほとんどです。)

一方でGTX980tiはリファレンスの定格1200MHz程度からOCで1400~1500MHzにOCされており、コアクロックから推定しても2割近い性能向上が期待できます。

実際の性能向上についてはググればレビューが腐るほどあるので割愛します。

OCによる消費電力の増大がGTX1080、GTX980tiともに30W程度と考えた場合、定格150WのGTX1080は20%の消費電力増に対して10%未満の性能向上しか期待できません。一方、GTX980tiでは10%程度の消費電力増で20%近い性能向上が見込めます。とするとOCによる伸びしろ部分のワットパフォーマンスではGTX980tiはGTX1080の3~4倍になる計算です。
それでもGTX1080のOC版(MSI GamingX)とGTX980tiのリファレンスによる消費電力比較ですら、多くの海外レビューではGTX1080のOC版(MSI GamingX)のほうが980tiよりもワットパフォーマンスに優れているという事実は揺るぎません。

GTX1080をOCした時の性能の伸びしろについて結論を述べると、現在発表されているような100MHz程度のOC AIBモデルはワットパフォーマンスという観点からすると割に合わない可能性が高いです。


GTX1080 FEをOCした時の消費電力の増大は?

消費電力の増大にも原因となりうるものはいくつかあるので、ひとまず単純にコアクロックが上がるとGPUがより多くの消費電力を要求する可能性を検証するため、メイン機にGTX1080をSLIで使っているので実際に定格の 状態とOCした状態で消費電力を比較してみました。
OC設定は簡単にコアクロック+150、PowerLimit120%です。最大コアクロックは2.0GHz付近になっているのでデフォルトでOCされているAIBモデルと遜色ない数字になっていると思います。
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消費電力の計測結果ですが、定格では540~560W、OC時には580~600W程度の消費電力となり、OCした場合とOCしていない場合ではGTX1080グラボ1枚あたり20~30W程度の消費電力増となりました。
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先のMSI GamingXの海外レビューによる30W程度の消費電力増と今回のFEをOCした場合の結果はほぼ一致しています。

あと追加でPowerlimitを盛らずに+100MHzで試してみましたが実働1988MHzに張り付いてせいぜい560W程度でした。リファ基盤のPowerlimit100%でも2.0GHzに張り付いて安定するので100MHz程度にOCされたモデルではオリジナル基板の恩恵は全くないようです。
ただし2.1GHzを超えてくるとリファ基盤ではパワーリミット制限げコアクロックが安定しなくなるのでオリジナル基板の特盛電源が生きてくると思います。ただし、コア電圧が1.1V以下というBIOSorハードの制限がかかっておりこれを解除できないと2.2GHz以上を狙うのが困難なのでこちらも解除されて初めて本当の意味でオリジナル基板の恩恵にあずかれると思います。



まとめ

コアクロックをOCすると当然ながら消費電力は上がります。
今回問題になっているのはその増加の幅が大きすぎるのではないか?という話なのですが、海外レビューなども参考に比較を進めた結果から言えば、”MSI GamingXでFEに比べて異常に消費電力が増大する”件については4gamerのレビューのおま環である可能性が濃厚です。
実際にMSI GTX1080 GamingXを利用したときの消費電力の増加はFE比でせいぜい30W程度であると考えるのが妥当だと思います。そしてこの程度の消費電力の増加はGTX980tiなどのオリジナル基板においても確認されており、GTX1080はFEであれOCであれ総合的にGTX980tiよりワッパに優れるという事実は揺るぎません。


またGTX1080はもともとのコアクロックが高く、コア数はGTX980tiよりも少ないのでGTX1080とGTX1070については定格から2.0GHz程度へOC時の性能の伸びしろがGTX980tiを定格から1400MHz程度にOCした時の伸びしろに比べて小さいことが確認されており、そういう意味ではワッパの向上が微妙と言えます
(先行レビューとかでもわかっていたことなので何をいまさら?という気持ちもある)

多少でも絶対性能を伸ばしつつ高い冷却性を望むならオリファン&オリ基板のAIBモデルを購入すればいいし、どうしても消費電力を抑えたいならリファ基盤を採用したオリファンモデル(例えばEVGA ACX3.0あたり)を個人輸入すればいいんじゃないかなあというのが管理人の結論です。

いちおうMSI GaminXは17日発売なのでFEと両方持っている人がいれば測定方法などと合わせて消費電力の差について報告いただければありがたいです。







<できる!個人輸入 ② アメリカ Amazon(通称:米尼)の使い方>





(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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