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DX12性能は悪くなさそうだが……、ワッパの向上は微妙、定格でGTX970OC程度、OCでR9 NANOのやや下、CFXのGTX1080越えは難しそうだがGTX1070は超えてくる。



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29日22時の販売解禁と同時にAMDの次世代GPU Polaris第一弾RADEON RX 480の各種メディアによるレビューが公式に解禁されました。

個別ゲームのベンチマーク比較については各自でググってもらうとして(基本的に定格ではDX11ゲームはGTX970OC程度の性能みたいですね)、リーク情報やフライング情報ではわからなかったDirectX12性能、ワッパの向上、OC耐性とその性能、そしてCrossFireX時の実ゲーム性能を見ていこうと思います。

一応、性能とコスパの早見グラフは次のようになっています。
rx480uspr

国内レビュー
http://www.4gamer.net/games/329/G032949/20160629103/
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1007668.html
http://news.mynavi.jp/articles/2016/06/29/rx480/
http://ascii.jp/elem/000/001/185/1185460/


RX 480のDirectX12性能

DirectX12ネイティブ対応ゲームにおけるRX 480のベンチマーク比較が公開されています。
(なおベンチスコアの安定しないAshesやDX11よりも安定性・性能に劣るHitmanとRotTBはDX12性能の比較の参考にしないのは当ブログではデフォなのであしからず)

DX12性能についてはNVIDIAの前世代Maxwellよりは高いようです。
ソース:http://pclab.pl/art70318-22.html
qb_1920

qb_2560

GTX1070とGTX1080の性能について次を参考にしました。
ソース:http://pclab.pl/art70341-16.html
qb_2560

上のソースからWQHD解像度における各種ベンチマークの結果を抜粋して表にまとめました。またGTX1080とGTX1070のスコアをRX 480のスコアで割って100掛けたものを性能比としました。性能比は小さいほうがRX480の性能が高いことを示しています。
RX 480 GTX1070 GTX1080 GTX1070に対する性能比 GTX1080に対する性能比
FireStrike 5300 8342 10337 157 195
division 37 52 63 141 170
GTA5 37.4 56.6 65 151 174
Fallout4 30.5 58 68.4 190 224
Rot Tomb Raider 33.1 51.7 65.3 156 197
Witcher3 24.2 41.1 54.2 170 224
DOOM 55 85.5 108.3 155 197
Quantum Break 37 45 55 122 149

上の表の性能比をグラフ化しました。DX11ゲームやFireStrikeに比べてDX12ネイティブ対応のQuantumBreakの性能比のほうが小さいため、DX12に関してAMD PolarisアーキのほうがNVIDIA Pascalアーキよりも優勢であるっぽいことが確認できますね。
RX480DX12
(DX12性能比についてはQBについて調べただけなのでForzaやGoW:UEなどでの比較も見ないことにはDX12性能一般に関する比較としては不完全であることには注意が必要)


RX 480の消費電力とワットパフォーマンスについて

消費電力についてワッパは前世代の2.8倍という売り込みでしたが実際は1.7倍程度に留まるようです。GTX1070、GTX1080のワッパが圧倒的でPolarisもワッパは同程度と期待されていたものの実際はGTX9XXシリーズ程度のワッパに留まっています。
ソース:https://www.techpowerup.com/reviews/AMD/RX_480/
power_averageperfwatt_2560_1440
 (ソースから一部抜粋)

上記ソース以外の国内外のレビューも確認しましたがRX 480の性能と消費電力は概ねGTX970~GTX980程度となっておりAMDの前世代よりは大きくワッパの向上が見られますが、NVIDIA Pascalとの次世代GPU同士の比較となるとちょっと寂しい結果になりますね。

またPCIの75Wと補助電源6PINの75Wで計150Wの給電設計となっていますが、実際に負荷をかけてみると150Wを超えて160W程度の消費電力になると海外レビューでもいくつか報告されており、RX 480のリファレンス基板ではOCするとシステム(マザボ等)がぶっ壊れるのでは?と危惧する声もあります。この辺りは後述のマニュアルOCの伸びしろにも影響してくるようです。

【追記1】
消費電力の問題についてAMDがredditで回答したようです。いろいろ突っ込みどころはあるもののドライバで対策して終わりだと思うので詳細は割愛します。
http://videocardz.com/61667/what-reviewers-say-about-radeon-rx-480-exceeding-pci-express-power-specifications

【追記2】
AMDがドライバでPCI-E(マザボ)からの給電に関する問題に対応すると表明したようです。
ソース:https://www.guru3d.com/news-story/amd-gives-statement-on-the-pci-express-overcurrent-problems.html



RX 480のOC耐性やその性能


OC耐性やOC時の性能についてはGuru3Dがいつも通りレポートしてくれています。
ソース:https://www.guru3d.com/articles_pages/amd_radeon_r9_rx_480_8gb_review,35.html

コアクロックは1370MHz、メモリクロックを+250MHzまでマニュアルでオーバークロックできてその時の3DMarkのスコアはGTX980リファを超えてR9 NANOに迫る性能まで伸びるようです。
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 (ソースから一部抜粋)

ただこの時のコア電圧が1.15V程度となっておりコアクロックも1400MHz程度なので先の消費電力についてのレポと合わせて考えても、正直な感想を言うと14nmプロセスなのに28nmのNVIDIA Maxwell世代とほぼほぼ同等というのはどういうことなのかと……。


RX 480 CrossFireXの性能

FireStrikeのスコアではGTX1080越えと非常に健闘していたRX 480のCrossFireXですが残念ながら、実ゲームにおけるベンチマークでは上手くいかないようです。一部ゲームにおいてはGTX1070にも勝てないという残念な結果に……。

ソース:https://www.techpowerup.com/reviews/AMD/RX_480_CrossFire/1.html
 (以下、ソースから一部抜粋)

BattleField4
bf4_2560_1440

Call of Duty : Black Ops 3
codbo3_2560_1440

The Witcher3
witcher3_2560_1440

また次のような動画レビューも公開されています。

ソース:http://www.hardwareunboxed.com/rx-480-crossfire-performance-gtx-1070-killer/

RX 480 CFXとGTX1070の性能差比較。GTX1070よりは概ね高い性能になるようです。
1467221546

RX 480 CFXとGTX1080の性能差比較。GTX1080越えについてはほぼ無理っぽいですね。
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RX 480 CFXのマルチGPU効率は次のようになっており、7割以上を超えているので効率は高いようです。
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ワッパに関してはやっぱりだめですね……。
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おまけ RX 480の国内価格に関するAMDの見解

「AMD Ask Me Anything」で代理店税にかんするAMDの公式回答が公開されています。
ソース:https://www.facebook.com/AMDJapan/

予想価格について
インターネット上で見られる日本の予想価格に関してですが、どれも正式に発表されている価格ではございませんので、憶測に対してコメントをすることができません。実際の販売価格に関しましては、今夜10時の発売開始を楽しみにお待ちください!

アメリカの価格について
アメリカで発表されていSEPという価格についてですが、これは「Suggested Etail Price」の略となりまして、インターネット小売店向けの希望小売価格となります。実際に平均的にアメリカ国内で販売される価格より低くなっておりますことをご理解いただけますと幸いです。

代理店について
弊社の販売代理店に関する皆様のコメントについてですが、日本での販売価格が決定される上で、弊社製品は全て海外で生産されている輸入製品となります。日本まで運ばれてくる物流コストや関税、昨今の激しい国際情勢の影響による為替リスクも考慮した上で、代理店が価格の決定をしていることをご理解いただけますと幸いです。

日本市場について
AMDにとって、日本は重要な市場として位置付けています。パソコンにリテラシーの高い日本のお客様や、技術力の高いパートナー様によって、AMD製品は支えられていると認識しております。今後とも、より多くの皆様に弊社の製品にご満足いただけるよう、製品開発やサービスの改善に取り組んでいく所存でございます。

・直販について
日本AMDが弊社製品を直接販売するという予定は現在のところございません。


管理人の所感: RX 480は買いなのか?

解禁から一夜明けてちょっと冷静にRX 480は買いなのか?を考えてみました。

・コスパについては依然高い?

デビューから発売前リーク情報が鮮烈過ぎたため肩透かし感があるのと、14nmプロセスなのにNVIDIAの前世代Maxwellと大差ない特徴になってしまったのは残念ですが、230ドルのリファレンス定格でGTX970OC程度の性能となっているのでコスパに関しては当記事の冒頭に載せたまとめグラフの通り良好な結果になっています。しかし国内価格のコスパは微妙になってしまうのが悲しい。
RX480jppr


・VRAM容量8GBは無駄なのか?

RX 480のVRAM容量は8GBとGTX1070やGTX1080と同じサイズになっていることもシングル性能への期待を増す一因だった気がします。しかしAMDとしてはあくまでCFXによる性能の底上げを行った場合にVRAM容量が不足するのを避けるために8GBで設定しただけと考えるのが妥当だったようですね。RX 480シングルのGPUコア性能であれば4GBもあれば十分ですし。しかし、いざCFXしてGTX1070越えのパフォーマンスになった時に4GBでは明らかにVRAM容量が足を引くので8GBという設定はそれを念頭に置いたものと考えると違和感はなくなります。VRAM容量8GBという設定はあくまでCFXを視野に入れたものだということをもう少しAMDも周知すべきだったかなと思いました。

・結局、RX 480は買いなの?

RX 480は単純なグラフィック性能的には定格でGTX970OC程度となっています。現在GTX970は型落ちでセールであれば3万円台前半、普段でも3.5万円以下で購入できるので国内価格で見ると3.2~3.5万のRX 480のコスパは微妙な線になってきます。
R9 380以下のAMDグラボからの買い替えであればコスパ・ワッパ共に問題ありませんが、RX 480のワッパはGTX9XXシリーズ相当なので他社競合製品のGTX970やGTX980から買い替える意味はないでしょうね。

VRAM容量については8GBはCFXを視野に入れないなら無駄と断言したいところなのですが、AMDは何を考えたのか4GB版は容量が小さいだけでなくメモリ帯域まで小さくなっており性能が下がるという無駄仕様になっています。4GB版は若干廉価でありシングル使用ならおすすめできると言いたかった管理人の出鼻を折られました。

付加価値としては動画の倍速補完が可能なFluidMotionやDirectX12への高い親和性などもあるのでこれに価値を見出すなら買って損はないと思います。

また現在出回っているリファレンス版はクーラーの冷却性能があまりよろしくないようです。OCの伸びしろについてもリファレンスでは消費電力の問題も報告があります。SAPPHIRE NITROやMSI GamingXやASUS Strixのティザーイラストも公開されているので急いで飛びつくよりはRX 480のオリファンモデルの登場を様子見するのが安全です。とりあえず管理人の結論としてはRX 480の在庫は潤沢なので焦って買う必要はなくオリファンモデルの様子見が吉ではないかと思います。


去年の今頃出せてれば各種最新ゲームの推奨動作環境でGTX970とシェア競いできて、ひょっとしたらAMDが圧倒できたかもしれないと考えると出るのが1年遅かったなあという気がします。冷静に見て需要のある性能&価格帯であることは間違いないのですが、ここ1年でGTX970が席捲しきった後なのが惜しい。





(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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