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国内でも「MSI GTX 1080 SEA HAWK EK X」や「ZOTAC GTX 1080 ArcticStorm」などがリリースされ、マイナーながらも最近若干流行の兆しをみせています。今回はそんな水冷グラボをEKWB製の本格水冷パーツを利用した簡易水冷クーラー「EK-XLC Predator 240」とKoolance製のQD(クイックディスコネクト)フィッティングを使って簡単に使える方法をご紹介します。
冒頭からいきなりですが本格水冷グラボがどんくらい冷えるのかはこちらのグラフの通りです。
本格水冷グラボは正しく使えば空冷や簡易水冷よりも冷えて静かに運用可能になっています。
できる!水冷グラボ-準備編
さて今回は冒頭でも書いたように、EKWB製の本格水冷パーツを利用した簡易水冷クーラー「EK-XLC Predator 240」とKoolance製のQD(クイックディスコネクト)フィッティングを使って水冷グラボを比較的簡単に導入できる方法を紹介していきます。(一部で以前別の水冷グラボを使って撮影した写真を使っています)まずは水冷グラボの導入に必要なもの(グラボ除く)を紹介します。
なにはともあれ絶対に必要なものは「EK-XLC Predator 240」とKoolance製のQD(クイックディスコネクト)フィッティング4種になります。(通販の発送ミスでEK-XLC Predator 240がQDCタイプになっていますが非GDCタイプを購入推奨です。)
先に最終的な完成図を見せておきますとこんな感じに仕上がる予定です。上の部品イメージ画像と見比べれば大体構造はわかりますね。「EK-XLC Predator 240」のCPU水冷ブロックを外してその先にKoolance製のQDフィッティングを使い、最後に水冷グラボを接続するだけです。
水冷パーツについてもう少し詳しく説明していきます。
主要パーツのうちKoolanceのQD3シリーズで今回使う内径3/8、外径5/8のタイプが国内では売っていないのでPPCSという海外通販を利用します。海外通販のほうが「EK-XLC Predator」シリーズも安いのでPPCSでまとめて購入するといいと思います。PPCSの使い方についてはこちらの記事を参考にしてください。
<できる!個人輸入 ⑤本格水冷パーツの個人輸入 performance-pcs (PPCS) の使い方>
「EK-XLC Predator」シリーズはラジエーターのサイズ別に240(120mmファン*2)、360(120mmファン*3)、140(140mmファン*1)、280(140mmファン*2)の4種類があります。GTX 1080は消費電力の小さいGPUなので上の4種どれでも十分に冷やすことが可能です。ラジエーターが大きければその分ファンの回転数を弱くしても放熱性能が得られますが、その分だけ場所をとりますし設置も面倒になるので、当記事のように240サイズのものをとりあえず選ぶのがおすすめです。
本格水冷パーツを利用した簡易水冷クーラーは他にも国内ではオリオスペックで取り扱いのある「Swiftech H220 X2 Prestige」などもあり、こちらでも問題はありませんが、EK-XLC PredatorはDDCポンプという本格水冷で定評のある水冷ポンプを使っているので個人的にはEK-XLC Predatorの利用をおすすめします。
KoolanceのQD3シリーズについても以前執筆した紹介記事があるのでこちらを参考にしてください。
・Koolance製クイックディスコネクト QD3シリーズ の紹介を兼ねてレビュー
(QD3シリーズはシルバーとブラックの2種類がありますが、ブラックはQDメスが壊れやすいかもしれません。管理人も4,5個壊れた経験があるのでシルバー推奨です。)
KoolanceのQD3シリーズの種類と各ショップの販売ページ一覧をまとめました。
PPCSから太字リンクの4種類を最低1つずつ購入してください。チューブタイプはオスメス2個ずつ購入しておくと後ほど水抜きなどに便利です。
種類 | PPCS | PCショップアーク | オリオスペック | |
チューブ-QDオス |
ID3/8、OD1/2 | 販売ページリンク | 販売ページリンク | 販売ページリンク |
ID3/8、OD5/8 | 販売ページリンク | - | - | |
チューブ-QDメス |
ID3/8、OD1/2 | 販売ページリンク | 販売ページリンク | 販売ページリンク |
ID3/8、OD5/8 | 販売ページリンク | - |
- | |
G1/4オス-QDオス |
販売ページリンク | 販売ページリンク | 販売ページリンク | |
G1/4オス-QDメス |
販売ページリンク | 販売ページリンク | 販売ページリンク |
その他必要(orあると便利なもの)なものを列挙すると、「漏斗(細い部分の径が9~10mm)」、「六角レンチセット」、「モンキーレンチ」、「ラバーレンチ」、「SATAor4PINペリフェラル-ACアダプタ」となっており、これらは国内Amazonで購入可能です。
加えて注水用に「内径3/8インチ外径5/8インチのチューブ(1mあれば十分、透明推奨)」も水冷パーツショップで購入しておくのがおすすめです。あとクーラント(冷媒液)も必須です。
クーラント(冷媒液)、注水用のチューブは何でもいいので国内で購入しても大丈夫です。クーラントにはプリミックス(混合済み)と希釈タイプがあり、希釈タイプの場合は薬局などで精製水を別途購入する必要があります。水道水はNG。
もう一度整理すると、
PPCSから個人輸入するもの
国内Amazonなどで購入するもの
国内か個人輸入で用意するもの
以上が今回の水冷グラボ導入で必要な水冷パーツや工具になります。
できる!水冷グラボ【出張編】-組み立て編
前章で必要な水冷パーツや工具は揃ったので、続いて組み立て編となります。まずはEK-XLC Predatorに手を加えていきます。
EK-XLC Predatorは本格水冷パーツを利用した簡易水冷クーラーとなっており、デフォルトでは同社製のCPU水冷ブロックを搭載しているので、最初にこいつを外します。
CPU水冷ブロックのフィッティングはコンプレッション型になっており、結構固く締められているのでラバーレンチを使って緩めると簡単に外せると思います。フィッティングについてはEKWBが公式に紹介しており、コンプレッション型は次の画像のような構造になっています。
チューブの固定リングよりも先にフィッティングが水冷ブロックが外れるかもしれませんが問題ありません。六角レンチなども併用してチューブからフィッティングも外してください。フィッティングが外れたらEK-XLC Predatorの中に充填されているクーラントは全て抜いてしまいます。(再利用できなくはありませんが新しいクーラントと混ぜるのも微妙なので抜いてしまいます。)
クーラントを抜いたらチューブ-QD型のKoolance製のQDフィッティングをEK-XLC Predatorのチューブ先端に接続します。この時前後でオス・メスが逆になるようにしておくとEK-XLC Predatorだけでループができるので後々便利なこともありおすすめです。
グラフィックボードのターミナルにもG1/4-QD型のKoolance製のQDフィッティングを装着します。
説明が若干前後しますが、この時点で一度PC本体への仮組を行います。EK-XLC Predatorのチューブはゴム製かつ壁厚が6.5mm程と厚いのでチューブは折れし難いため結構曲げることができます。下画像のように仮組みしてチューブの長さを適切に調整してください。この外径だと普通のハサミではカットは難しいのでチューブカッターの購入がおすすめです。
チューブのカットはミスってもPPCSや国内のオリオスペックで互換チューブの販売があるので大丈夫です。
上画像のようにラジエーターをPCケースのトップに配置する場合など、ZOTAC GTX 1080 Arctic Stormのフィッティングポートの向きでは無理があるので、90度のロータリーアングルのフィッティングなどを利用してQDフィッテイングの向きを調整してやります。
90度のロータリーアングルのフィッティングもPPCSでいろいろと販売されていますが、初めてで何を買えばいいかよくわからない人は品質的に問題ないのでEKWB製のものをとりあえず買っておけばOKです。
仮組してチューブの長さに問題ないと確認できたらまたパーツを取り出します。パーツを取り出したらグラボとEK-XLC PredatorのQDを接続してください。
これからクーラントを充填していきますが注意点として、万一クーラントが漏れても大丈夫なようにグラボの基板はフィッティング部分よりも上になるようにし、フィッティング部分の下には漏れた時にすぐわかるようにティッシュを敷いてください。こうしておけば漏れても基板にクーラントが付く自体は避けられます。
接続したらEK-XLC Predatorをてきとうな箱の上など少し高い位置に置いて、クーラントを注入します。この時に別途購入していた透明のチューブと、CPU水冷ブロックに付いていたコンプレッションフィッティングが余っているのでこれを使って漏斗からクーラントを入れます。
EK-XLC Predatorではポンプの電源はSATA端子からとっているので、SATA-ACアダプタを使ってポンプを動作させながら上のようにクーラントを注入していきます。
あとはたまにラジエーターを振ってチューブから気泡を抜きつつ、水路内からエアが十分に抜けるまで放置します。1~2時間もエア抜きすれば十分です。
エアが抜けたら注入口のプラグを閉めて水冷グラボの準備完了です。
QDフィッティングを繋いだままでもPCへ組み込むこともできますが、一度QDを外してしまってPCに組み込んでから再度QDを接続すると楽だと思います。
本格水冷の冷却ファンは基本的に水温ソースでファン速度制御を行います。30~80度で動作するCPU、GPUではなく、水冷では20~50度の水温を冷却ファンで調整する必要があるからです。水温ソースのファン速度制御はASUS製のマザーボードがデフォルトで対応しているものが多くおすすめです。方法はこちらの記事で簡単に説明しているので参考にしてください。
・ASUS製のマザーボード搭載のQ-Fan control は水冷のラジエーターファン管理に最適な件
水路に水温センサー(PPCS)を付けるときはBitspowerの「TII-Rotary」フィッティング(PPCS)(オリオスペック)がおすすめです。EK-XLC Predatorに水温センサーを付ける場合はポンプの出口かリザーバーの入り口のチューブとの間に挿入するといいと思います。
以上、「できる!水冷グラボ」でした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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質問なんですが、パーツを買い足せばこの方法でSLI水冷は可能なんでしょうか?