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第2世代Ryzen CPUにネイティブ対応となるX470チップセット搭載Mini-ITXサイズAM4マザーボードとしてASRockからリリースされた「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」をレビューしていきます。前世代モデル同様に低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel製コントローラーを採用する有線LANと最高867Mbpsに達する802.11acに対応したIntel製無線LAN&Bluetoothモジュールを標準搭載し、さらにHDMI2.0とDisplayPortの2系統で4K・60FPSのビデオ出力にも対応した、Mini-ITXサイズAM4マザーボードの決定版と言っても過言ではない製品です。
製品公式ページ:https://www.asrock.com/mb/AMD/Fatal1ty X470 Gaming-ITXac/index.jp.asp
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/Fatal1ty X470 Gaming-ITXac_jp.pdf
【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、第2世代Ryzen CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザボBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は18年5月中旬に行っておりASRock X470 Gaming-ITX/acのBIOSはver1.11を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asrock.com/mb/AMD/Fatal1ty X470 Gaming-ITXac/index.jp.asp#BIOS
【18年6月1日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:1.11で検証
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac レビュー目次
1.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの外観・付属品
2.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの基板上コンポーネント詳細
3.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acへのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの検証機材セットアップ
5.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのBIOSについて
6.ASRock Polychlome RGB Syncについて
7.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのOC設定について
8.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの動作検証・OC耐性
9.ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのレビューまとめ
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの外観・付属品
まず最初にASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの外観と付属品をチェックしていきます。パッケージを開くと上段にはマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で収められていました。マザーボードを取り出すと2重底になっており下段には各種付属品が入っています。
マニュアル類は、多言語の簡易マニュアル、ドライバCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
多言語マニュアルには日本語のページもありますが、オンラインで公開されている日本語マニュアルのほうがページ数も多く詳細に説明されているのでオンラインマニュアルの参照を推奨します。
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/Fatal1ty X470 Gaming-ITXac_jp.pdf
組み立て関連の付属品はSATAケーブル2本、リアI/Oパネル、スクエア型WiFi&Bluetoothアンテナ、M.2 SSD固定ネジです。
リアI/Oシールドは表面はブラックと少しピンクっぽい色のカラーリングになっています。また裏面のマザーボードと接する部分にはスポンジなど緩衝材はありませんでした。
マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acはMini-ITXフォームファクタのマザーボードです。ブラックのPCB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。
X470マザーボードとしては一般的なATXサイズのマザーボードと比較すると、Mini-ITXサイズの「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」の小ささがわかります。
ASRock Fatal1tyブランドではオレンジ掛かった独特な色味の赤色がアクセントカラーでしたが、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」のマザーボード中央下のチップセット用ヒートシンクはグレーカラーで、ヒートシンク中央には「ASRock Fatal1ty」のブランドネームが刻印されています。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのVRM電源フェーズ数はMini-ITXサイズとしては頑張って8フェーズが実装されています。第2世代Ryzen最上位となる8コア16スレッドのRyzen 7 2700Xを少なくとも定格運用可能なポテンシャルは備えていそうです。従来比で飽和電流を最大3倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「新世代プレミアムパワーチョークコイル」や低オン抵抗でCPU Vcore向けの電源をより効率的に供給できる「デュアルスタック MOSFET (DSM)」などでタフなOC耐性を実現します。
リアI/O寄りにあるVRM電源部分にもチップセットと同色でグレーのヒートシンクが設置されています。前世代「ASRock Fatal1ty X370 Gaming-ITX/ac」と比較すると、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」ではリアI/Oに覆い被さる形でヒートシンクは大型化しています。
第1世代Ryzenの最上位モデルRyzen 7 1800Xを超えるTDP105WのRyzen 7 2700Xにも対応すべく、第2世代Ryzenネイティブ対応となるX470チップセット搭載の上位マザーボードではCPU電源としてEPS 8PIN+4PINや8PIN*2を要求するものも少なくありませんが、ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acはMini-ITXフォームファクタということもあり要求されるのはEPSコネクタは8PINが1つです。
リアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB2.0端子と2基のUSB3.0端子2基が搭載されています。マウス・キーボードなど各種周辺機器でも使用することを考えるとHTC Viveは問題なさそうですが、USB3.0端子を多く要求するOculus Riftの利用にはUSBハブを利用するなど工夫が必要になりそうです。USB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので少し離れた場所にUSB2.0が設置されている配慮が嬉しいです。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
RX Vega内蔵グラフィックス搭載Ryzen APU向けにHDMI2.0とDisplayPort1.2の2つのビデオ出力端子が搭載されています。DisplayPortはもちろんのこと、HDMIのバージョンも2.0なので、2つのビデオ出力端子はいずれも4K解像度60FPSの出力に対応しているところが注目ポイントです。
ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が設置されています。さらにASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acは小型PC向けMini-ITXマザーボードなので無線LAN&Bluetooth対応のモジュールがあるのも魅力的です。Wi-FiはIEEE802.11ac/n/a/g/b、Bluetoothはver5.0に対応しています。付属のスクエア型アンテナと組み合わせることでコンパクトながら検出力の強い無線環境を簡単に構築できます。Windows10 OSであればOSに標準で収録されているドライバで動くので導入の手間もありません。
重量計を使用して重さを測定してみたところ、ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acは416gなので、ATXマザーボードのASRock Fatal1ty X470 Professional Gamingが958gと比較すると重量も半分程度と非常に軽量です。同じくMini-ITXサイズで前世代のASRock Fatal1ty X370 Gaming-ITX/acは411gとなっており、ほぼ同じでした。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの基板上コンポーネント詳細
続いて「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。まずはシステムメモリ用のDDR4メモリスロットですが、CPUソケット右側に2基のスロットが設置されています。
固定時のツメはマザーボード上側(上写真の右側)の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットはx16スロットが1基のみ実装されています。最近のトレンドとしてはグラフィックボード用のx16スロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるよう補強用メタルアーマーも採用されています。
ASRockの「STEEL SLOT」はPCI-Eスロットの全体に金属アーマーを装着して、アーマー自体は四隅を半田付けで固定する構造になっています。
SATAストレージ用の端子は4基(SATA_0~3)搭載されています。SATAストレージはいずれもAMD X470チップセットコントローラーによる接続です。RAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
NVMe(PCI-E3.0x4)とSATA接続の両方のM.2 SSDに対応したM.2スロットがマザーボード裏面に1基搭載されています。
ATX 24PIN端子とSATA端子の間には内部USB2.0ヘッダーと内部USB3.0ヘッダーが配置されています。最近ではCorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えているので、内部USB2.0が1基で不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
Mini-ITXマザーボードの多くに言える見落としの多いポイントですが、下の写真のようにCryorig C1などの大型トップフロークーラーと組み合わせる場合はメモリだけでなくUSB3.0ケーブルが干渉する場合もあるので注意が必要です。内部USB3.0ケーブルとCPUクーラーの干渉を避ける上で内部USB3.0ヘッダーはグラフィックボードと干渉しない範囲内で可能な限りPCIEスロット側に寄せて欲しいところ。
大型トップフロー空冷CPUクーラーでUSB3.0内部ケーブルが干渉してしまう場合はAINEXから発売されているUSB3.0内部ヘッダー用L字型アダプタがおすすめです。
AINEX USB3.0内部ヘッダー用 L字型アダプタ USB-018
AINEX
「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」はMini-ITXマザボながらオンボードサウンドに「Creative Sound Blaster Cinema 5」という高音質ソリューションが採用されオーディオ面でも充実しています。アナログ出力にはニチコン製オーディオ向けキャパシタやSN比120dBのDACなど高品質素子を採用、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプなどとの接続にも最適な光デジタル端子が設置されています。
CPUソケット右上にはRyzen CPUの一部モデルに付属するLEDイルミネーション対応Wraithクーラーを接続するための汎用4PIN LEDヘッダー(白色)が実装されています。またその隣にあるUSB_5ヘッダー(黒色)は本来、Wraith MaxやWraith Prismとの接続に使用するための端子ですが、ハード自体は普通の内部USBヘッダーなのでNZXT Kraken X2シリーズやCorsair H115i RGBなどとの接続にも使用できます。またVD-G型3PINヘッダー(グレー)にはアドレッサブルLEDテープを接続できます。
冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上メモリスロット周辺に3基設置されています。Mini-ITXマザーボードはファン端子が2基しかないものも多いので冷却を重視するユーザーには嬉しい数です。加えて3つのうち1つは最大出力18W(1.5A)の水冷ポンプにも対応した端子になっています。
Ryzen CPUのパフォーマンスにおいてはメモリの動作クロックも重要になりますが、メモリOCの設定段階ではPOSTにすらたどり着けずCMOSクリア(BIOS設定の初期化)が必要になる場合があります。ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acにはCMOSクリアのためのオンボードボタンは実装されておらず、マザーボード下部中央のジャンパーピンを使用してCMOSクリアを行います。ただし位置的にはグラフィックボードの下になるのでシステム組み込み後にCMOSクリアを行うのは難しい配置です。同社の他製品のようにリアI/OにCMOSクリア用スイッチを設置して欲しかったです。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acへのパーツ組み込み
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。DDR4メモリには「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」(レビュー)、CPUクーラーには「Cryorig C7 Cu」(レビュー)を使用しています。
Mini-ITXサイズマザーボードはCPUソケット周囲との干渉が原因で空冷CPUクーラーとの互換性問題が発生するケースがありますが、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」では「Cryorig C7 Cu」以外にも、Ryzen純正CPUクーラーの「Wraith Max」「Wraith Prism」「Wraith Spire」、およびAM4マウント対応の高性能なロープロファイルCPUクーラー「Noctua NH-L9x65」など主要な各製品でメモリやVRM電源ヒートシンクなどと干渉することなく設置できました。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの検証機材
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen 7 2700X (レビュー) |
CPUクーラー | Cryorig A40 V2 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリにはRyzen環境におけるハイパフォーマンスなOCメモリとして昨年より定評のある「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を使用しています。メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1の高速・低遅延な動作がOCプロファイルを使用したオーバークロックで簡単に実現でき、第2世代Ryzen環境ならさらに伸びしろもあるので、第2世代Ryzen環境向けにおすすめのDDR4メモリです。
・3200MHzのRyzen用OCメモリ「G.Skill F4-3200C14D-16GFX」をレビュー
レビュー後半の動作検証ではRyzen 7 2700Xを使用したOC検証も行いますが、CPUクーラーには水冷トップにエアフローファンを標準装備する「CRYORIG A40 V2」を使用しています。「CRYORIG A40 V2」のエアフローファンで直接風を当てることができるので、実装面積の限られたMini-ITXマザーボードでもVRM電源の発熱を気にせずに高TDPなCPUを運用できるため、おすすめのCPUクーラーです。
・スポットクーラー搭載簡易水冷「CRYORIG A40 V2」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのBIOSについて
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのBIOSに最初にアクセスすると従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。画面上に表示されている「Main」「OC Tweaker」「Advanced」などメニュータブから左右カーソルキーで各設定ページが表示できます。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのBIOSについては多言語に対応しており、「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分はあるものの日本語にも対応しているので初心者ユーザーにも優しいBIOSだと思います。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能もあります。
「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」の公式サポートページでは5月24日現在、製品版用の最新BIOS「L1.11」(ベータ版)が配布されているのでアップデートを行いました。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asrock.com/mb/AMD/Fatal1ty X470 Gaming-ITXac/index.jp.asp#BIOS
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。自動探索は便利なのうですが、反面、探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。
USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。出口(Exit)のメニューから「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定して起動しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
ファンコントロール機能について紹介します。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのファンコン機能は設置されている5つのファン端子を個別に設定可能です。
「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。
「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、CPU_OPTとケースファン3基はソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。
各種モニターとファン端子コントロールの間に「Fan Tuning」と「Fan-Tasticチューニング」という項目があります。「Fan Tuning」はワンクリックで自動で接続された冷却ファンの動作を最適化してくれる機能です。「Fan-Tasticチューニング」はグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能になっています。
機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じで、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。マウス操作重視のUIですがキーボードからもカーソルキーでフルコントロール可能です。
ASRock Polychlome RGB Syncについて
ASRockからはマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB LEDテープやアドレッサブルLEDテープに対応したライティング操作機能「ASRock Polychlome RGB Sync」が用意されています。ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acではマザーボード備え付けのLEDイルミネーションは実装されていませんが、マザーボード上に4PIN RGB LEDテープに対応した4PIN LEDヘッダー(ホワイト)が設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」などが接続可能です。出力が何Wまでかについては記載がないので不明です。
また「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」にはアドレッサブルLEDテープに対応した3PINヘッダー(グレー)も実装されています。使用可能なアドレッサブルLEDテープについては国内で発売済みの「BitFenix Alchemy 3.0 Addressable RGB LED Strip」や「ASUS ROG ADDRESSABLE LED STRIP-60CM」が動作することが確認できています。アドレッサブルLEDテープを接続した場合、個別発光パターン設定から「Spring」「Meteor」「Stack」「Cram」「Scan」「Neon」「Water」「Rainbow」などのアドレッサブルな発光パターンが選択できます。
「ASRock Polychlome RGB Sync」は製品サポートページで配布されている専用アプリを使用することで他社のLEDイルミネーション操作同様に発光カラーや発光パターンを設定できます。
発光パターンには「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」を選択できます。「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットを使用して発光カラーを自由に設定できます。
ASRockマザーボードにはBIOS上のグラフィカルUIでLEDイルミネーションの調整をデスクトップアプリ同様に行えるという特徴があったのですが、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」についてはテキストベースUIでした。LEDイルミネーション関連は流石にグラフィカルUIにして欲しいので今後の更新を待ちたいです。
下はASRock Z270 SuperCarrierのものですが、BIOSの詳細モードでツールのRGB LEDからLEDイルミネーションの設定画面にアクセスすると、使用しているマザーボードに合わせて写真も表示され、専用アプリ同様にLEDイルミネーションの操作が可能です。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのOC設定について
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
第2世代Ryzen CPUについてはX470チップセット搭載マザーボードと組み合わせた場合に使用できる純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
・AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのオーバークロック設定はOCツールというトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。OCツールのページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧の順番で設定項目が表示されます。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
AMD Ryzen CPUについても定格では同様に、例えばRyzen 7 2700Xでは冷却性能依存の自動OC機能「XFR」や「Precision Boost Overdrive」の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は4.3GHz、動画のエンコードなど全コア負荷の重いワークロードでは3.9GHz程度で動作します。
RyzenのCPUコアクロックに関して、BIOSから行う基本的なOC設定と専用ユーティリティー「Ryzen Master」によるOC設定は、単一の「P-State」で固定コアクロックかつ固定電圧を指定するOC設定になっていますが、Ryzen CPUでは本来、複数の「P-State」が設定可能です。
アイドル時のP-State0、低負荷時のP-State1、高負荷時のP-State2のように負荷に応じてP-State(コアクロックと電圧の組み合わせ)という状態を遷移できます。例えばRyzenの定格動作ではCPUごとにデフォルトで設定されたP-Stateに従って動作しているので可変コアクロックかつ可変電圧になっています。
固定最大コアクロック&固定電圧によるOCに比べて、複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高いですが、一部のコアのみより高いクロックで動作させるなど細かい設定が可能になります。とはいえやはりマニュアルで複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高い設定になるので、簡単な単一P-Stateで固定最大倍率&固定電圧のOCがおすすめです。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのコアクロックのOC設定方法はコアクロック(MHz)の指定値を直に打ち込む形になっていました。「CPU Frequency and Voltage Change」の項目を「手動」に変更すると「CPU Frequency」の項目が表示されます。例えば「4025」のように「CPU Frequency」を設定すると4025MHzで動作するように設定されます。コアクロックは25MHz間隔で指定可能です。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acは外部ベースクロックジェネレータ「Hyper BCLK Engine II」が搭載されておりはベースクロック(BCLK)を100MHz~200MHzの範囲内で1MHz刻みで変更可能です。「Overclock Mode」を手動に変更するとBCLK設定項目が表示されます。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acではAMD CPUのマルチスレッディング機能である「SMT: サイマルテイニアス マルチスレッディング(Simultaneous multithreading)」の有効・無効をBIOS上から設定可能です。
動作させるコア数をプルダウンメニューから指定することが可能な「Down Core Control」の項目は、トップメニュータブの「アドバンスド」から「AMD CBS」、「Zen Common Options」、「Core/Thread Enablement」を選択していくと表示されます。8コアCPUのRyzen 7を使用している場合は2コア([1+1]or[2+0])、3コア([3+0])、4コア([2+2]or[4+0])、6コア([3+3])が選択可能です。
第2世代RyzenをX470チップセット搭載AM4マザーボードと組み合わせることで利用可能な新機能「Precision Boost Overdrive」については標準設定では無効化されていますが、「AMD CBS」、「Zen Common Options」、「NBIO Common Options」を選択していくと設定項目が表示され、「Precision Boost Overdrive」の機能の有効化や手動設定が行えます。
続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen CPUのオーバークロックで変更する電圧設定については、CPUコアクロックに影響する「CPUコア電圧」と、メモリクロックやRyzen APUに搭載される統合GPUの動作周波数に影響すると「SOC電圧」の2種類のみと非常に簡単化されています。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acではOCツールの項目で下にスクロールしていくと、各種電圧設定項目が表示されますが、AMD Ryzen CPUの手動OCに関連する電圧設定については基本的に「CPU Core電圧」「CPU SOC電圧」、そして「DRAM電圧」の3項目のみに注目すればOKです。
CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acでは「CPU Frequency」のすぐ下にある「CPU Voltage」の項目を変更します。(電圧設定の箇所にもコア電圧の項目がありますが、そちらは自動のまま放置でOKです。)
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acではマニュアルの設定値を指定して入力する固定モードのみが使用できます。AMD Ryzen CPUのコア電圧は0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
あとASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acでは複数のP-State(Custom P-State)の個別設定も可能です。設定項目は若干わかりにくい場所にに配置されており、トップメニュータブのOCツールの「CPU Frequency and Voltage Change」の項目を「手動」にした状態で、トップメニュータブのアドバンスドから「AMD CBS」、「Zen Common Options」「Custom Pstates / Throttling」と順番に下っていくことでアクセスできます。
Custom P-Stateでは「P-State X FID」「P-State X DID」「P-State X VID」の3種の設定値を各P-State Xに対して設定します。いずれの設定値も16進数(0~9、A~F)による設定で例えば、3a(16進数)=3*16+10=58(10進数)となります。
各P-State Xに対するコアクロックの設定は次のようになります。
コアクロック = BCLK(ベースクロック)*FID / DID * 2
つまり「FID / DID * 2」がコアクロックOC一般に言うコア倍率になります。例えば上のスクリーンショットでは「FID:88」「DID:8」なので10進数に戻してコア倍率を計算すると、34.00となりBCLK:100MHzに乗じて3400MHz動作となります。「Custom P-States X」の下にある「Frequency(MHz)」の横のテキストボックスにも3400と表示されています。似たようなコア倍率に対して「Core FID」と「Core DID」の組み合わせが複数存在する可能性がありますが、この組み合わせによるOC安定性に関する違いまではわからないので、そのあたりは各自で詰めてみてください。
各P-State Xに対するコア電圧は「P-State X VID」によって決まっており、同様に16進数による設定値入力で、0~FFの範囲内で設定可能です。「P-State X VID」の設定値に対してコア電圧は次のようになります。
コア電圧 = 1.55000V - 0.00625 * VID
例えばVID:3a(16進数)=58(10進数)の場合はコア電圧は1.18750Vとなります。
以上のような流れで最大コアクロックをP-State 0として順番に下がるように設定していきます。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acでは正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzや2400MHzなど定格となるSPDプロファイルの緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では厳密にいうと非対応ですが、ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acではXMPプロファイルの項目が表示されており、XMPプロファイルからRyzen環境で動作しそうな適当なOCプロファイルを自動生成して適用してくれます。
ASRockのAM4マザーボードについてはメモリ周波数・タイミングのオーバークロック方法、というか設定場所が2か所に分かれており「設定方法1」と「設定方法2」として紹介していますが、どちらが上手くいくかマザーボードや使用するメモリで違うようなので各自の環境に合わせて色々と試してみてください。
【メモリ周波数&タイミング設定方法 その1】
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acでは上で紹介して「XMP設定の読込」からXMPプロファイルを選択するとOCツール上にメモリ周波数やメモリタイミング(10進数で設定可能)の設定に関する項目が表示されます。この設定方法1でも設定内容自体は次に紹介する設定方法2と同じなので、続いて紹介する設定方法2を参考にして各種設定を行ってください。
【メモリ周波数&タイミング設定方法 その2】
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acにはもう1か所、メモリ周波数・タイミングの手動オーバークロックを行う設定項目が少々わかりにくい場所に配置されています。なお手動でメモリ設定を行う場合は上記のXMPに関する設定は自動を選択しておいてください。
メモリ設定項目へはトップメニュータブ「アドバンスド」から「AMD CBS」、「UMC Common Options」、「DDR4 Common Options」、「DRAM Timing Configuration」の順番に下っていくとアクセスできます。ここで「Overclock」の項目を「Enabled」に設定すると各種メモリOC設定項目が表示されます。
メモリ周波数は「Memory Clock Speed」の項目から選択します。一般的な表記の半分の数値がプルダウンメニューから表示されるので、例えば3200MHzに設定したい場合は1600MHzを選択してください。メモリ周波数もBCLKに対する倍率で決まりますが、BCLK100MHzに対して最大40倍(4000MHz)まで設定可能です。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acではメモリタイミングの個別手動設定も可能です。
メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」のの5つについてはメモリ周波数の設定項目の下に配置された項目から設定可能です。
タイミングの設定値はいずれも16進数(0~9、A~F)による設定になっています。
例えば、2a(16進数) = 2*16+10 = 42(10進数) となります。
「Command Rate:1 or 2」の設定場所はメモリ周波数や主要タイミングとは少し違うところにあって、トップメニュータブ「アドバンスド」から「AMD CBS」、「UMC Common Options」、「DDR4 Common Options」、「DRAM Controller Configuration」の順番に下っていくとアクセスできます。
また「Cmd2T」の下にある「GearDownMode」をEnabledに設定すると、メモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は動作が安定するかもしれないので、Autoで上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
メモリタイミングの下の方にある「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできない場合があります。AutoでPOSTをクリアできない、もしくは起動後に安定しない場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください
DDR4メモリについてはメモリ周波数を3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧を1.300~1.350Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350VにDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの場合は0.5V刻みでプルダウンメニューから設定が可能です。
AMD Ryzen CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧(VDDR_SOC Voltage)」も1.100V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acでは35mV刻みのオフセットモードでSOC電圧を設定できます。既定値に対するオフセットによる設定なので予めHWinfoなどモニタリングソフトからSOC電圧を確認してください。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところやOC設定の基本についての紹介はこのあたりにしてASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはBIOS上の起動設定をフルスクリーンロゴとファストブートを無効(BIOS設定)にしてOSの起動時間を測定しました。ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acの起動時間は35秒ほどとなりました。POSTにかなり時間がかかっているようなので、今後のBIOSアップデートで短縮に期待したいところ。
続いてASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acを使用した場合のCPUのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Ryzen 7 2700XのOC設定は「Precision Boost Overdrive:有効」「XMPプロファイル(メモリ周波数3466MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1):有効」「メモリ電圧:1.350V」としています。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」の環境では、検証機材メモリに「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」のOCプロファイルによるオーバークロックでメモリ周波数3200MHzにOCし、なおかつメモリタイミングを14-14-14-34-CR1に詰めることができました。
Ryzen 7 2700XのPrecision Boost Overdrive有効、メモリ3200MHzでCinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 2700Xの場合15分ほどなので同じ動画で4周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acを使用することでRyzen 7 2700XのPrecision Boost Overdrive有効で全コア同時4.0GHz、メモリ周波数3200MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1200RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのVRM電源温度をチェックしてみました。
Ryzen 7 2700Xやメモリを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中のVRM電源温度をチェックしていきます。ちなみにASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac環境でRyzen 7 2700XをPrecision Boost Overdrive有効によって全コア4.0GHzにOC、かつメモリもメモリ周波数3200MHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力が200Wに達します。
なお検証機材に使用しているCPUクーラーの「CRYORIG A40 V2」は、通常はCPUソケット周辺に風を当てることができない簡易水冷CPUクーラーと違って、水冷トップにエアフローファンが搭載されているので「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」のCPUソケット左側に実装されたメインとなる6フェーズのVRM電源を直接冷やすことができます。
Ryzen 7 2700XをPrecision Boost Overdrive有効によって全コア4.0GHzにOCして負荷をかけていますが、「CRYORIG A40 V2」に搭載されているエアフローファンを2000RPMに固定して風を当て続けているものの、VRM電源周りの温度は100度に達しました。100度を超えたからといってすなわち破損の恐れがあるというわけではないもののやはり高温なので心配な温度ではあると思います。エアフローファンの風はVRM電源ヒートシンクに当たっているのはサーモグラフィーからも確認できるのですが、水冷トップの影になっている部分がかなり高温になっているので、簡易水冷CPUクーラーを使用する場合はこの部分に風が当たるようスポットクーラーを設置する必要がありそうです。
ちなみにPrecision Boost Overdriveを無効にしてPB2とXFR2のみが有効な定格動作において、エアフローファンを1600RPMに固定して負荷をかけ続けた場合は、VRM電源周りの温度は80~90度になりました。やはり水冷トップの影になる部分は高温ですが、比較的に許容範囲内の温度に収まっていると思います。
一部の最上位マザーボードを除けばATXサイズマザーボードでもそうなので仕方ない部分ではあるのですが、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」もMini-ITXサイズでVRM電源の実装スペースに限界があるため、Ryzen 7 2700Xを運用しようと思うとVRM電源の発熱の処理が難しくなってきます。
Ryzen 7 2700XはCPUクーラーの冷却性能に応じて動作クロックが変動するため、定格の最大動作クロックとなる3.9GHz前後を安定して狙おうと思うと、「CRYORIG C1 V2」のようなトップフロー型ハイエンド空冷CPUクーラーか今回検証機材として使用したエアフローファン標準搭載の簡易水冷CPUクーラー「CRYORIG A40 V2」のようなCPUクーラーが必要になると思います。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのレビューまとめ
最後に「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 第2世代Ryzenネイティブ対応のX470チップセット搭載Mini-ITXマザーボード
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット
- 8(6+2)フェーズのVRM電源回路を搭載
- 検証機ではRyzen 7 2700Xの全コア同時4.0GHz、メモリ3200MHz OCで安定動作
- 高速NVMe接続のM.2スロットを1基搭載
- Wi-FiはIEEE802.11ac/n/a/g/b、Bluetoothはver5.0に対応した無線LAN搭載
- 4K・60FPSに対応したDisplayPort&HDMI2.0のビデオ出力をリアI/Oに搭載
- Ryzen 7 2700Xと組み合わせる場合はVRM電源を冷やすスポットクーラーの併用を推奨
- CMOSクリアのリアI/Oスイッチは非搭載
第2世代Ryzen CPUにネイティブ対応となるX470チップセット搭載AM4マザーボードとしてASRockからリリースされた、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」は、AM4マザーボードとしてはATXサイズに目を向けても採用の少ない無線LAN&BluetoothモジュールがX370版の前モデル同様に標準で搭載されており、加えて18年に発売されたRyzen APU向けに4K・60FPSに対応したHDMI2.0とDisplayPort1.4の2系統のビデオ出力が実装されて、第2世代Ryzenに対応したMini-ITXサイズAM4マザーボードとしては決定版と言っても過言ではない、一押しのマザーボードです。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acのBIOSではクラシカルなUIが採用されており、日本語ローカライズが一部変になっていますが、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。
ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/acを使用した検証機では第2世代Ryzen最上位のRyzen 7 2700XのPrecision Boost Overdrive有効で全コア同時4.0GHz、メモリ周波数3200MHzにオーバークロックすることができました。メモリについてはRyzen環境に最適化されたOCメモリの「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を今回使用していますが、X470マザーボードはメモリ互換性は優秀になっているので、少なくとも下調べをして適切なメモリを購入すれば3200MHz動作を狙うのも難しくないと思います。
ただしMini-ITXサイズの物理的な問題としてVRM電源の実装スペースに限界があるため、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」でRyzen 7 2700Xを運用しようと思うとVRM電源の発熱の処理が難しくなってきます。Precision Boost Overdriveを有効にすると検証機材CPUクーラーのCRYORIG A40 V2に搭載されたエアフローファンでVRM電源ヒートシンクに風を当てていてもVRM電源周辺は最大で100度を超えるので、CRYORIG A40 V2もしくはトップフロー型空冷CPUクーラーでRyzen 7 2700Xの定格運用が最適解ではないかと思います。
以上、「ASRock Fatal1ty X470 Gaming-ITX/ac」のレビューでした。
・X470チップセット搭載AM4マザーボード:
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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。G.Skill F4-3200C14D-16GFX DDR4-3200 CL14 8GB×2 AMD Ryzen用メモリ
G.Skill
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CRYORIG A40 V2 240サイズ 日本正規代理店品
CRYORIG A40 Ultimate V2 240サイズ 日本正規代理店品
CRYORIG A80 V2 280サイズ 日本正規代理店品
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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