Samsung 983 ZET 480GB


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一般的なNAND型SSDよりもレイテンシ(遅延)が3分の1以下と高速な”Z-NAND”を採用し、NAND型SSD史上究極のSSDを謳う「Samsung 983 ZET」シリーズから、超高速かつ高耐久なシステムストレージとして最適な容量480GBモデル「Samsung 983 ZET 480GB(型番:MZ-PZA480BW)」をレビューしていきます。
Samsung 983 ZET 480GB review_07162_DxO


製品公式ページ:https://www.samsung.com/~/~/ssd/product/data-center/983zet/
データシート:
https://www.samsung.com/semiconductor/global.semi.static/Data_Center_SSD_983_ZET.Product_Brief.pdf
Samsung 983 ZET_top




Samsung 983 ZET 480GB レビュー目次


1.Samsung 983 ZETについて
2.Samsung 983 ZET 480GBの外観
3.Samsung 983 ZET 480GBの検証機材と基本仕様
4.Samsung 983 ZET 480GBのベンチマーク比較
5.Samsung 983 ZET 480GBの連続書き込みについて
6.Samsung 983 ZET 480GBのデータコピー・ゲームロード比較
7.Samsung 983 ZET 480GBのレビューまとめ



Samsung 983 ZETについて

「Samsung 983 ZET」シリーズはメモリチップにSamsung Low Latency V-NAND(Samsung 64Gb 48Layer SLC Z-NAND)が採用された、HHHLサイズのPCIE拡張ボード型のNVMe(PCIE3.0x4)接続SSDです。容量は480GBと960GBの2モデルがラインナップされています。
Samsung 983 ZET 480GB (1)Samsung 983 ZET 960GB (1)

「Samsung 983 ZET」シリーズは、一般的なNAND型SSDよりもレイテンシ(遅延)が3分の1以下と高速なSamsung Low Latency V-NAND(Samsung 64Gb 48Layer SLC Z-NAND)、簡単に言うと低遅延なSLC型48層3D NANDを採用し、SamsungがNAND型SSD史上究極のSSDと謳う製品で、『Quality of Service (QoS) reads and writes』という指標によって、4KB/QD1のデータアクセスが20~30µsという優れたランダム性能が示されています。


「Samsung 983 ZET」シリーズはアクセススピードは容量によって若干異なりますが、シーケンシャル読出3400MB/s、シーケンシャル書込3000MB/s、ランダム(4KB/QD32)読出75,000 IOPS、ランダム(4KB/QD32)書込750,000 IOPSの高速アクセススピードと、読み出しと書き込み(4KB/QD1)におけるレイテンシが20~30µsという低遅延な動作を実現しています。

「Samsung 983 ZET」シリーズのMTBF(平均故障時間)は200万時間、480GBと960GBの書き込み耐性は業界最高水準の8.5DWPDと10DWPDとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。書き込み耐性をPBW(PB Written)換算にすると7.4 PBWと17.5 PBWです。

なお「Samsung 983 ZET」はデーターセンター向け製品とのことなので、もう少し安くなって一般向け製品としてSZ985(200GBと800GB?)が発売される気がします。

Samsung 983 ZETのスペック一覧
型番 MZ-PZA480BW MZ-PZA960BW
容量 480GB 960GB
フォームファクタ PCI-E3.0 x4
(HHHL AIC)
インターフェース PCIe 3.0x4 NVMe
コントローラー Samsung Phoenix
メモリー Samsung Low Latency V-NAND
(Samsung 64Gb 48Layer SLC Z-NAND)
連続読込み 3400MB/s
連続書込み 3000MB/s
ランダム読込み
(4KB, QD32)
750,000 IOPS
ランダム書込み
(4KB, QD32)
60,000 IOPS 75,000 IOPS
遅延:リード/ライト
(99.99%, 4KB, QD1)
30 µs / 30 µs
消費電力
(アイドル/アクティブ)
5.5W / 8.5W(リード)、9.0W(ライト)
耐衝撃性
(動作時/非動作時)
1500G, duration 0.5 ms, Half Sine Wave
動作温度範囲 0°C~55°C
MTBF 200万時間
耐久性評価 7.4 PBW (8.5 DWPD) 17.5 PBW (10 DWPD)
保証期間 メーカー5年



Samsung 983 ZET 480GBの外観

まず最初にSamsung 983 ZET 480GBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
化粧箱の蓋を開くとSSD本体はスポンジ製スペーサーに収められていました。標準で装着されているフルハイトのPCIブラケット以外にもロープロファイルのPCIブラケットも付属します。
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「Samsung 983 ZET」のSSD本体デザインについて、製品サンプルイメージではくすんだ感じの紺色に見えますが、実機はメタリックで鮮やかな発色でした。
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「Samsung 983 ZET」はデータセンター向け製品ということもあって、Intel Optane SSD 905Pと外観を比較すると無骨なデザインです。
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「Samsung 983 ZET」のボード長は170mmほどです。
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「Samsung 983 ZET」では放熱性能を上げるためロゴプレートの上下はスリット上のフィン構造になっています。
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「Samsung 983 ZET」の背面には基板保護のため金属製バックプレートが装着されています。
Samsung 983 ZET 480GB review_07165_DxO



Samsung 983 ZET 480GBの検証機材と基本仕様

「Samsung 983 ZET 480GB」の各種検証を行う環境としては、Intel Core i9 9900K&ASUS WS Z390 PROなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36(レビュー
Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
マザーボード
ASUS WS Z390 PRO
レビュー
ビデオカード 【基礎性能検証用】
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
レビュー

【PCゲームロード時間検証用】
ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

Strage Test Bench_1
Strage Test Bench_2

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製3bit-MLC型64層V-NANDのメモリチップを採用するメインストリーム向け最新SATA接続M.2 SSD「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」を使用しています。「Samsung SSD 860 EVO M.2」は2.5インチSATA SSDと同等のパフォーマンスをケーブルレスで発揮できる手軽さが魅力です。Samsung SSD 860 EVOシリーズの容量1TB以上のモデルは大容量データの連続書き込みにおける書き込み速度の低下というTLC型SSDの欠点も解消されているので、大容量ファイルをまとめて入れても余裕のあるメインストレージとしてお勧めのSSDです。
「Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB」をレビュー
Samsung 860 EVO M.2 1TB


「Samsung 983 ZET 480GB」のボリュームをWindows10上で作成したところ、空きスペースは446GBでした。
Samsung 983 ZET 480GB_CDI



Samsung 983 ZET 480GBのベンチマーク比較

「Samsung 983 ZET 480GB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象としてOptane SSDの「Intel Optane SSD 905P 960GB」、NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「WD Black 3D NVMe SSD 1TB(レビュー)」、「Corsair Force MP510 960GB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはCrystalDiskMark6.0.2(8GiB)について、「Samsung 983 ZET 480GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Samsung 983 ZET 480GB」のベンチマークススコアは連続読み出し3400MB/s、連続書き込み2900MB/sとなりました。連続読み出し3000MB/s越えの製品はそれなりに出てきていますが、2900MB/sという連続書き込み速度は2019年現在文句なしに最速クラスの製品です。超低レイテンシなZ-NANDの特長をよく示す項目として4Kランダムリードは一般的なMLC/TLC型NAND製品の3倍の性能を示しています。
Samsung 983 ZET 480GB_CDM
Intel Optane SSD 905P 960GB_CDMSamsung 970 PRO 1TB_CDMSamsung 970 EVO Plus 1TB_CDM
WD Black 3D NVMe SSD 1TB_CDMCorsair Force MP510 960GB_CDMSamsung 860 PRO 1TB_CDM


ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2(512B-64MB, 8GB, QD1/QD4)について、「Samsung 983 ZET 480GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のシーケンシャル性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
Samsung 983 ZET 480GB_ATTO_QD1_read
Samsung 983 ZET 480GB_ATTO_QD1_write
Samsung 983 ZET 480GB_ATTO_QD4_read
Samsung 983 ZET 480GB_ATTO_QD4_write
Samsung 983 ZET 480GB_ATTO_QD1Samsung 983 ZET 480GB_ATTO_QD4


AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776(5GB)について、「Samsung 983 ZET 480GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Samsung 983 ZET 480GB_AS
Intel Optane SSD 905P 960GB_ASSamsung 970 PRO 1TB_AS
Samsung 970 EVO Plus 1TB_ASWD Black 3D NVMe SSD 1TB_AS
Corsair Force MP510 960GB_ASSamsung 860 PRO 1TB_AS


PCMark8 ストレージテストについて、「Samsung 983 ZET 480GB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
Samsung 983 ZET 480GB_PCM8
Intel Optane SSD 905P 960GB_PCM8Samsung 970 PRO 1TB_PCM8
Samsung 970 EVO Plus 1TB_PCM8WD Black 3D NVMe SSD 1TB_PCM8
Corsair Force MP510 960GB_PCM8Samsung 860 PRO 1TB_PCM8



Samsung 983 ZET 480GBの連続書き込みについて

「Samsung 983 ZET 480GB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。
TLC型NANDやQLC型NANDと呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、書き込み速度の底上げのためNANDメモリの一部を高速なSLCキャッシュ化する機能が実装されています。SLCキャッシュ機能を有するSSDにおいて、SLCキャッシュ容量を超過する連続した大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。

2.5インチSATA SSDの「Samsung 850 PRO 2TB(レビュー)」やNVMe M.2 SSDの「Samsung 970 PRO 1TB(レビュー)」はMLC型なので、HD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持することが可能です。
Samsung 970 PRO 1TB_HDT
SATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。
PNY SSD 960GB_HDTP
しかしながら2018年から2019年初頭にかけて主流な64層3D NANDや、2019年以降に採用製品の増えつつある90層オーバーの最新3D NANDでは、SLCキャッシュを介さない書き込み速度が改善されています。
64層3D NANDを採用しているTLC型SATA SSDの「Samsung SSD 860 EVO(レビュー)」「WD Blue 3D NAND SATA SSD(レビュー)」「SanDisk SSD Ultra 3D(レビュー)」「Crucial MX500(レビュー)」などで、かつ容量が1TB以上の大容量モデルでは書き込み速度の低下は解消されています。(SATA3.0規格の速度上限が先にくるので)
SanDisk 3D SSD 2TB_HDTP
またTLC型SSDの書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあります。「Samsung 970 EVO 1TB(レビュー)」もTLC型NANDの一部を高速なSLCキャッシュとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超過する連続した大容量な書き込みが発生すると書き込み速度が低下します。
Samsung 970 EVO 1TB_HDT

「Samsung 983 ZET 480GB」にはSamsung製Samsung Low Latency V-NAND、一般に言うところのSLC型48層3D NANDが採用されたSSDなので、一般向けに販売されている同社製MLC型SSDのSamsung 970 PROシリーズ同様に、3000MB/s前後の連続読み出し速度と連続書き込み速度を終始安定して実現しています。大容量データの書き込みであっても書き込み速度の低下は発生しないのでストレスフリーで大容量データを取り扱うことができます。
Samsung 983 ZET 480GB_HDT



Samsung 983 ZET 480GBのデータコピー・ゲームロード性能比較

続いて「Samsung 983 ZET 480GB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。
比較対象としてOptane SSDの「Intel Optane SSD 905P 960GB」、NVMe M.2 SSDの「Samsung SSD 970 PRO 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO Plus 1TB(レビュー)」、「Samsung SSD 970 EVO 1TB(レビュー)」、およびSATA SSDの「Samsung SSD 860 PRO 11TB(レビュー)」、「Samsung SSD 860 EVO 1TB(レビュー)」等でも同様の測定を行いました。

まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては総容量が約80GBで多数のファイルが入ったPCゲームフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなど)、および容量50GBの単一動画ファイルの2種類を使用しています。
Copy File
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung SSD 970 PRO 1TBを使用しています。
Copy_movieCopy_game

コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手の「Samsung SSD 970 PRO 1TB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASUS WS Z390 PROの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手ストレージの「Samsung SSD 970 PRO 1TB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを設置しています。
Copy_NVMe-NVMe_2019
Z390プラットフォームでは通常、複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生すると、CPU-チップセット間のDMI 3.0の帯域がボトルネックになってトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限されますが、ASUS WS Z390 PROではPLXスイッチチップを介するものの、コピーテストで使用する2つのNVMe SSDはそれぞれCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。
Copy_NVMe-NVMe


「Samsung 983 ZET 480GB」など各種検証ストレージとSamsung SSD 970 PRO 1TBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。

Samsung 983 ZET 480GBは動画ファイルのコピー読み出しにおいて、2019年現在最速のNVMe M.2 SSDであるSamsung 970 PRO 1TBと同等の速度でした。Samsung 983 ZET 480GBはPCI-E3.0x4帯域のNVMe接続に対応した高速SSDなので、SATA3.0接続のSSDと比較すると4倍近い高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は2200MB/s程度となっています。
Samsung 983 ZET 480GB_copy_movie_read
動画ファイルのコピー書き込みについてチェックしてみると「Samsung 983 ZET 480GB」のコピー書き込み時間は23秒程となり、970 PROに迫る速度です。ランダム性能も重要になるワークロードですが、970 PROと大きな差は確認できず、逆に僅かながら遅れる結果でした、
Samsung 983 ZET 480GB_copy_movie_write


続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Samsung 983 ZET 480GBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいても、Samsung 970 PRO 1TBと同等の性能です。画ファイルのコピー読み出し同様にSATA3.0 SSDよりも3倍も高速な読み出し速度です。
Samsung 983 ZET 480GB_copy_game_read
Samsung 983 ZET 480GBのゲームフォルダのコピー書き込み速度についてみてみると、今回はSamsung 983 ZET 480GBが僅かながらSamsung 970 PRO 1TBを上回りましたが、やはり大きな差は確認できません。
Samsung 983 ZET 480GB_copy_game_write


続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
PCゲームのロード時間比較に関してはゲームインストールデータへのアクセスが最も大きくなる4K解像度/最高グラフィック設定を対象とするため、統一検証機材として、2019年最新にして最速のGPUである「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したグラフィックボード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Core」を使用しています。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme Coreは、RTX 2080 TiのAIBパートナーの中でも屈指のOCチューニング力を誇るZOTACによって良質なGPUコアが選別され、リファレンスよりも200MHz以上も高いブーストクロック、さらにGDDR6メモリのメモリクロックまで引き上げるという、RTX 2080 Tiグラフィックボードで最速を狙えるファクトリーOCが施されています。加えて、ZOTACを高品質メーカーとして一躍ブランド力を押し上げたAMP Extremeシリーズの代名詞とも言える3スロットを占有する超弩級な大型GPUクーラーが採用され、静音性も非常に優れたモデルです。
「ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme」をレビュー
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2080 Ti AMP Extreme

The Witcher 3ではグラフィック設定を4K解像度/最高グラフィック設定として、ノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。


Rise of the Tomb Raiderでは4K解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高グラフィック設定として、製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。


Final Fantasy XV PC版では4K以上の超高解像度向けに無料配布されている「FFXV WINDOWS EDITION 4K Resolution Pack」を使用して4K解像度/最高グラフィック設定で、『スタートメニューのロード画面からレスタルムまで』についてロード時間を比較しています。


以上の条件で「Samsung 983 ZET 480GB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところThe Witcher 3とRise of the Tomb Raiderではコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Samsung 983 ZET 480GB」を含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。
一方、Final Fantasy XV PC版ではNVMe(PCIE3.0x4) SSDの「Samsung 983 ZET 480GB」とSATA3.0 SSDとの間に若干ではありますが、ロード時間に差が確認できました。今後PCゲームが高解像度・高画質化してテクスチャなどのゲームデータが大きくなっていけば、NVMe SSDがSATA SSDよりもゲームのロード時間で明確に優位に立つかもしれません
Samsung 983 ZET 480GB_game load



Samsung 983 ZET 480GBのレビューまとめ

最後に一般的なNAND型SSDよりもレイテンシ(遅延)が3分の1以下と高速な”Z-NAND採用”を採用する「Samsung 983 ZET 480GB(型番:MZ-PZA480BW)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • NVMe規格として理想的な連続読み出し3400MB/sと連続書き込み3000MB/s(最大)
  • SLC型NANDなので大容量書き込みで速度低下しない
  • 4Kランダム性能はストレージ用ベンチ比較で一般的なNAND型SSDの3倍となる150MB/s前後
  • MTBF200万時間、書き込み耐性7.4PBWという圧倒的な耐久性
  • メーカー正規保証期間が5年間
悪いところor注意点
  • 容量480GBで10万円(999ドル)とGB単価が非常に高い
  • 実用性能評価の多くではMLC型NANDのNVMe SSDと大きな差は確認できなかった
  • メーカーによると国内では発売予定なし


「Samsung 983 ZET 480GB」を検証してみたところ、従来型NAND比で3分の1のレイテンシという触れ込み通り、各種ベンチマークでは従来型NAND製品を牽引するSamsung SSD 970 PROと比較して3倍程度の4Kランダム性能を発揮しました。
ただしこれらのベンチマーク性能とは残念ながら比例せず、実ソフトウェアの動作に関するベンチマークであるPCMark8のストレージテスト、実際のファイルコピー時間、およびゲームのロード時間の比較においてはSamsung SSD 970 PROと比較して「Samsung 983 ZET 480GB」に大きなアドバンテージを確認することはできませんでした。ベンチマーク上ではランダム性能にはっきりと差が出ているので実用テストでもある程度差が出ると思っていたので意外な結果です。

となると従来型NANDに対するSamsung Low Latency V-NAND採用SSD「Samsung 983 ZET 480GB」の残るアドバンテージは、ユーザーによる検証が難しいものの公称スペックとして公開されているMTBF200万時間、7.4PB Writtenという圧倒的な耐久性になると思います。NAND SSDでは高耐久なMLC型のSamsung SSD 970 PRO 512GBですら耐久性が600TB Writtenなので文字通り”桁違い”の耐久性が「Samsung 983 ZET 480GB」の魅力であることは間違いありません。

「Samsung 983 ZET 480GB」については各種ベンチマークや実用テストにおいて従来のNAND型SSDの最速製品といっても過言ではないSamsung SSD 970 PROと比較しても後塵を拝することはないので導入においてデメリットはないものの、同社の一般向けハイエンドSSDのSamsung SSD 970 PROと比較してもGB単価が高く、コストに見合った性能向上をはっきりと体感できるのかというと難しいところです。基本的にはSamsung SSD 970 PROのほうがオススメですし、OCメモリ同様に予算に余裕があるなら最後のダメ押し的に選択する系の製品かなと思います。

以上、「Samsung 983 ZET 480GB」のレビューでした。
Samsung 983 ZET 480GB






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