
スポンサードリンク
ゲーミングモニタを選ぶうえで重要な予備知識を紹介する、その名の通り『ゲーミングモニタの選び方』シリーズ第5弾では、”ゲーミング”を冠するPCモニタでは定番になりつつある144Hzや、トップクラスの競技ゲーマーにも愛用される240Hzなどハイリフレッシュレートのメリットについて紹介します。
60Hzオーバーのリフレッシュレートとは
一般的な60Hzリフレッシュレートの液晶モニタが1秒間に60回の画面更新を行うのに対して、144Hzリフレッシュレートであれば標準的な60Hzの2.4倍となる1秒間に144回の画面更新を行います。最近では競技ゲーマー向けのTN液晶モニタですが240Hzの超高速リフレッシュレートなゲーミングモニタも販売されています。
1秒間に144回や240回の画面更新を行う144Hz/240Hzリフレッシュレートの物理的なメリットとしては、単純に秒間コマ数が増えるので映像がより滑らかになります。またリフレッシュレートが上がると応答速度も上がって細部がクッキリとしたシャープな映像に見えやすくなり、加えて画面更新間隔が短くなるので表示遅延が小さくなり、一般的な60Hzリフレッシュレート環境よりもスピーディーなプレイで他者を圧倒しやすくなります。
またハイリフレッシュレートなゲーミングモニタでは表示遅延も小さくなります。
画面表示を基準にして、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
NVIDIA公式からもハイリフレッシュレートなゲーミングモニタとハイフレームレートに対応可能な高性能グラフィックボードを使用するメリットについて紹介する「動画が公開されています。
リフレッシュレートと応答速度について
まずはリフレッシュレートと応答速度の関係について紹介します。応答速度の基本的な予備知識については下記を参照してください。
・ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて
![ゲーミングモニタの選び方[1] 応答速度とオーバードライブについて](https://livedoor.blogimg.jp/wisteriear/imgs/4/0/40404cc5-s.jpg)
下の動画は240Hz対応ゲーミングモニタ「BenQ ZOWIE XL2546」のリフレッシュレートを60Hz、144Hz、240Hz、240Hz(AMA:OFF)に変えて「UFO Test: Ghosting」の様子を比較してみたものです。リフレッシュレートを上げるとそれに伴って応答速度も上がっているのがわかります。
「UFO Test: Ghosting」において下の写真のようにUFOが微かに表示された瞬間を始点に、その地点のUFOが完全に消えた時点を終点にして、その間隔のフレーム数を応答速度として算出し比較してみました。なおオーバードライブ機能によって発生するオーバーシュート/アンダーシュートによる逆像が発生してから消えるまでの時間は別に計算しています。

背景カラーがグレーの場合、中間色に移るまでの応答速度を比較することになるので、一般的なゲームプレイにおける物理的な残像の少なさの指標として参考になります。
IPS/VA/TNの液晶パネルごと特性や各製品に採用される液晶パネルの性質によっても多少ズレはありますが、ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタほど応答速度が高速で物理的な残像が発生し難いことがわかります。

リフレッシュレートと表示遅延について
続いてリフレッシュレートと表示遅延について紹介します。モニタにはGPUのビデオ出力が送られてきてから実際にモニタに表示されるまで遅延が存在し、この遅延が大きいと例えば、FPSゲームでゲームパッドのトリガーやマウスのクリックによる操作からワンテンポ遅れて、マズルフラッシュが表示される、といった現象が発生します。
人間は当然目で見てから操作するので、格闘ゲームやFPSゲームなど1,2フレームを争うような競技性の高いゲームにおいてはモニタの表示遅延が可能な限り小さいことが望まれます。
モニタの表示遅延測定においてはモニタ以外の要因で表示遅延に差が出ると問題があるので、検証モニタへビデオ出力を行うPCはCore i9 9900KとGeForce RTX 2080 Tiを搭載した次のベンチ機で統一しています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 9900K(レビュー) Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36(レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) 4000MHz, CL17-17-17-37-CR2 |
マザーボード |
ASUS WS Z390 PRO (レビュー) |
ビデオカード | ZOTAC RTX 2080Ti AMP Extreme Core (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB MZ-N6E1T0B/IT (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
キーボード | HyperX Alloy FPS メカニカルゲーミングキーボード (レビュー) |

モニタの表示遅延を測定する具体的な方法としては、キー押下時にそのキーのLEDが点灯するキーボードを使用して、LEDの点灯から画面表示への反映までの間隔を遅延時間として測定します。画面表示の確認については簡単にメモ帳を使用しています。この様子を「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影し、遅延フレーム数を数えて遅延時間を算出します。同計測を各モニタ(と各リフレッシュレート)ごとに10回ずつ行って、その平均値を表示遅延とします。
グラフの通りリフレッシュレートが高くなると、上で紹介した応答速度だけでなく表示遅延も改善するのでゲーマーにとってハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを選択するメリットは大きいことがわかります。

画面表示を基準にして、クロスヘア中央にターゲットをエイムしてから撃ち始めた場合、240Hzのほうが60Hzより先に着弾します。ターゲットが逃げる場合は50ms程度の差で撃ち漏らす場合もあります。
技術云々ではなく、単純に、クロスヘア中央にエイムするという同じタイミングで撃ちあっていたら、リフレッシュレートが高いモニタを使っている方が勝ちます。加えて操作と画面表示の繰り返し応答も早いので、当然、リフレッシュレートが高い方がエイムもスムーズになります。
逆に時間を基準にして表示遅延が小さいメリットを考えると、例えば下の動画のように壁に隠れたターゲットが壁から出てきた時、画面に表示されるのが実際に速くなります。
ハイリフレッシュレートでは視認性が向上する
オンライン対戦FPSなど競技性の高いゲームにおいて240Hzリフレッシュレートのモニタを使用した時の実用的なアドバンテージとしては、ゲーム内視線を左右に振った時の視認性が上がるというのは直感的にもわかりやすいと思いますが、加えてゲーム内遠方に存在して動いているエネミーやオブジェクトの視認性が上がるというメリットも存在します。下の比較動画では4分割して映像を並べていますが、右下以外の3つは右下画面の緑枠部分を拡大するよう接写して、「SONY DSC-RX100M5」の16倍速(960FPS)スーパースローモーションムービーで撮影したものになっています。リフレッシュレート別で左上は60Hz、右上は120Hz、左下は240Hzとなっていますが、赤枠で囲った建物の出入り口付近で左方向に移動する敵の動きはリフレッシュレートが上がるほど視認しやすくなるのがわかると思います。
ゲーミングモニタで勝率が上がるのは統計的事実?
NVIDIA公式のブログポストで高フレームレートなPCゲーミング、つまりハイリフレッシュレートなゲーミングモニタと高性能なグラフィックボードの組み合わせが、PlayerUnknown’s Battlegrounds、Fortnite、Call of Duty: Black Ops 4 - Blackout、Apex Legendsなど近年流行りのバトルロイヤルゲームにおいて勝率に影響するのか調べた統計データが公表され、話題になりました。・フレーム レートが高ければ、バトル ロイヤル ゲームを優位に進めることが可能
・高いフレームレートが E スポーツに重要な理由
バトルロイヤルゲームにおけるキル/デス比とモニタリフレッシュレートおよびGPU性能の関係を示した調査結果のグラフが次のようになっています。
GeForce GTX 1050シリーズと60Hzリフレッシュレートモニタというエントリークラス環境のユーザーにおけるキル/デス比を基準(100%)として、より高性能なGPUや、よりハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを使用しているユーザーのキル/デス比がどのように伸びているか示しています。

またこちらはGPU性能とバトルロイヤルゲームにおけるキル/デス比の関係ですが、1枚目のグラフでは単純に最新世代で高性能なGPUを使用しているプレイヤーのほうがキル/デス比が高いことが示されています。

2枚目のグラフは横軸がプレイ時間、縦軸がキル/デス比で、プロットされた点はあるプレイヤーのプレイ時間とキル/デス比を示しています。各GPUごとにそのゲームの習熟度(プレイ時間)は均等にサンプルされていますが、長くプレイするほど習熟度が高くなるので右肩上がりにキル/デス比が伸びるのは当然として、寄り高性能なGPUを使用しているプレイヤーのほうがやはりキル/デス比が高いこと意味しています。

「ゲームをやり込んでいるプレイヤー、もしくはもっと単純にゲームが上手いプレイヤーが高性能なGPUやハイリフレッシュレートなゲーミングモニタを使っているだけ」、と身も蓋もない言い方もできるものの、上の章で解説したように物理的な特性としてハイリフレッシュレートなゲーミングモニタが有利であることもまた間違いないので、高性能なGPUやゲーミングモニタは(程度の差こそあれ)勝率に対してプラスに影響すると考えていいと思います。
144FPSや240FPSを維持するのに必要なグラフィックボードは?
上で紹介したNVIDIAのブログポストではPlayerUnknown’s Battlegrounds、Fortnite、Call of Duty: Black Ops 4 - Blackout、Apex Legendsなどバトルロイヤル系ゲームで144FPSや240FPSなど高いフレームレートを維持するために必要なGPU性能についても言及されています。いずれもフルHD解像度の高画質プリセットで測定されています。ゲームにもよりますがフルHD/高画質設定でハイフレームレートなPCゲーミングをするのであれば、GeForce RTX 2070が1つの水準となっています。描画する解像度で単純に換算すると4K/60FPSに相当するフルHD/240FPSでプレイしようと思うと最低でもGeForce RTX 2080、可能であればRTX 2080 Tiを揃えたいところです。




・おすすめグラボまとめ。予算・性能別で比較。各社AIBモデルの選び方

関連記事
・予算と性能で選ぶオススメのゲーミングモニタを解説・PCモニタ・ディスプレイのレビュー記事一覧へ

・280HzのIPS液晶が最速を更新「ASUS TUF Gaming VG279QM」をレビュー

・GamingOSD2.0が超便利!「MSI OPTIX MAG251RX」をレビュー

・フルHD/240Hz/IPSのベストサイズ「Pixio PX5 HAYABUSA2」をレビュー

・「ZOWIE XL2746S」をレビュー。DyAc+は明るさを損なわないMBR機能

・G-Sync CP対応フルHD/240Hz/IPS液晶モニタ「Alienware 27 AW2720HF」をレビュー

・144Hz/IPS液晶で2万円の超コスパ「Pixio PX247」をレビュー

・リモコン操作&USB Type-C対応「BenQ EX2780Q」をレビュー

・G-Sync CP対応144Hz/WQHD/IPS液晶モニタ「AORUS AD27QD」をレビュー

・「LG 27GL850-B」をレビュー。応答速度1msの実力を徹底検証!

・4K/120Hz/有機ELゲーミングモニタ「Alienware 55 AW5520QF」をレビュー

・3840x1600/175Hz/G-Sync対応「LG 38GL950G-B」をレビュー

・4K/120Hz/G-Sync HDR対応「ASUS ROG SWIFT PG27UQ」をレビュー

・UWQHD/120Hz/G-Sync対応「LG 34GK950G-B」をレビュー

(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク