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PHISON PS5027-E27TコントローラーとMicron製の最新QLC型3D NANDを採用し、DRAMキャッシュレスながらPCIE4.0x4接続で連続読み書き7GB/s前後に達する高コストパフォーマンスなNVMe M.2 SSD「Crucial P310 1TB(型番:CT1000P310SSD8)」と「Crucial P310 2TB(型番:CT2000P310SSD8)」をレビューします。
Crucial P310 1TB / 2TB レビュー目次
1.Crucial P310について
2.Crucial P310 1TB / 2TBの外観
・M.2 2230サイズもラインナップ
3.Crucial P310 1TB / 2TBの検証機材と基本仕様
4.Crucial P310 1TB / 2TBのベンチマーク比較
5.Crucial P310 1TB / 2TBの連続書き込みについて
6.Crucial P310 1TB / 2TBの消費電力
7.Crucial P310 1TB / 2TBの実用性能比較
8.Crucial P310 1TB / 2TBのデータコピー・ゲーム性能比較
9.Crucial P310 1TB / 2TBのレビューまとめ
製品公式ページ
M.2 2280:https://www.crucial.jp/ssd/p310/CT1000P310SSD8
M.2 2230:https://www.crucial.jp/ssd/p310/CT1000P310SSD2
【機材協力:Crucial/Micron】
Crucial P310について
「Crucial P310 PCIe Gen4 NVMe 2280 M.2 SSD」は、メモリコントローラーにPCIE4.0x4帯域のNVMe接続に対応するPHISON PS5027-E27Tコントローラー、メモリチップにMicron製の最新QLC型 232層3D NANDが採用された、NVMe(PCIE4.0x4)接続でM.2 2280フォームファクタのM.2 SSDです。「Crucial P310」にはSSD容量として500GB(型番:CT500P310SSD8)、1TB(型番:CT1000P310SSD8)、2TB(型番:CT2000P310SSD8)の3モデルがラインナップされています。
「Crucial P310」のアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出7,100MB/s、シーケンシャル書込6,000MB/s、ランダム読出1,000,000IOPS、ランダム書込1,200,000IOPSの超高速アクセスを実現しています。
「Crucial P310」の書込耐性(保証TBW:Total Byte Written)は500GBが110TB、1TBが220TBW、2TBが440TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
「Crucial P310」はM.2 SSDとして一般的な2280サイズだけでなく、長さ30mmの2230サイズもラインナップされています。M.2 2230サイズモデルの容量は1TB(型番:CT1000P310SSD2)、2TB(型番:CT2000P310SSD2)の2種類です。
Surface Pro 9/8、ASUS ROG AllyやSteam DeckのSSD換装に対応します。(注:SSD換装後の製品保証の継続はPC次第です)
Crucial P310 PCIe Gen4 NVMe 2280 M.2 SSD スペック一覧 |
|||
容量 | 500GB CT500P310SSD8 |
1TB CT1000P310SSD8 |
2TB CT2000P310SSD8 |
M.2 2230サイズ |
- |
CT1000P310SSD2 |
CT2000P310SSD2 |
インターフェース |
M.2, NVMe (PCIE4.0x4) |
||
コントローラー |
PHISON PS5027-E27T (非公式、サンプル機より) | ||
メモリ (非公表、実機サンプルより) |
Micron製 QLC型 232層3D NAND |
||
DRAMキャッシュ | - | ||
連続読出 | 6,600MB/s | 7,100MB/s | |
連続書込 | 3,500MB/s | 6,000MB/s | |
4Kランダム読出 | 520,000 IOPS | 1,000,000 IOPS | |
4Kランダム書込 | 890,000 IOPS | 1,200,000 IOPS | |
書込耐性 (保証TBW:Total Byte Written) |
110TBW |
220TBW |
4400TBW |
保証期間 | メーカー5年 |
Crucial P310 1TB / 2TBの外観
まず最初に「Crucial P310」の外観や付属品について簡単にチェックしておきます。Crucial P310シリーズはCrucialブランドのアクセントカラーになることの多い水色と白色のツートンカラーな紙製のパッケージに梱包されており、パッケージを開くとSSD本体はプラスチック製スペーサーに収められていました。
「Crucial P310」のSSD本体デザインについては普通にM.2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。
Crucial P310の1TBモデルと2TBモデルの実装はほぼ同じです。
SSD基板にはM.2端子の隣、右端にメモリコントローラー、中央にはメモリチップが1枚だけ実装されています。DRAMキャッシュは非搭載です。
「Crucial P310 1TB / 2TB」のメモリコントローラーは公表されていませんが、TSMC製12nmプロセスで製造される最新のPHISON製DRAMキャッシュレスコントローラー PS5027-E27Tです。
データ保存領域となるNANDメモリチップはMicron製の最新メモリであるQLC型232層 3D NANDです。最大容量の2TBモデルでもメモリチップは1枚だけ実装されています。
「Crucial P310」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
Crucial P310には500GBから最大2TBまで3モデルがラインナップされていますが、いずれもM.2基板表面にだけ素子が実装される片面実装です。
Crucial P310はM.2 2230サイズもラインナップ
「Crucial P310」には自作PC用SSDとして主流なM.2 2280サイズに加えて、読み書き性能は同スペックのまま全長30mmでコンパクトなM.2 2230サイズもラインナップされています。「Crucial P310(M.2 2230)」のSSD本体の外観は次のようになっています。基板はM.2 2230サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色です。
今回入手した「Crucial P310(M.2 2230)」は1TBモデルですが、最大容量の2TBモデルも含めて素子の実装はなく、いずれも片面実装のSSDです。
「Crucial P310(M.2 2230)」の表面にはM.2端子を右にして右端にメモリコントローラー、その左隣にメモリチップが実装されています。
「Crucial P310(M.2 2230)」に実装された素子はチップコンデンサ等が微妙に異なりますが、メモリコントローラーとメモリチップの主要部品は2280サイズモデルと完全に同じです。
メモリコントローラーはPS5027-E27T、データ保存領域となるNANDメモリチップは1TBモデルの場合、Micron製の最新メモリであるQLC型232層 3D NAND(4HD2D NY319)です。
自作PC向けなどで市販されているM.2 SSDは基本的に長さ80mmのM.2 2280サイズですが、「Crucial P310(M.2 2230)」は長さ30mmの2230サイズです。
M.2 2230サイズの「Crucial P310(M.2 2230)」はASUS ROG AllyやSteam DeckのハンドヘルドゲーミングPCやSurface Pro 9/8のSSD換装に対応します。
Crucial P310 1TB / 2TBの検証機材と基本仕様
「Crucial P310 1TB / 2TB」の各種検証を行う環境としては、PCIE4.0/5.0に対応するAMD Ryzen 9 7950X&GIGABYTE X670E AORUS MASTERなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen 9 7950X (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z5 Neo F5-6000J3038F16GX2-TZ5N DDR5 16GB×2=32GB (レビュー) |
マザーボード |
GIGABYTE X670E AORUS MASTER (レビュー) |
ビデオカード | PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung SSD 990 PRO 1TB (レビュー) |
OS | Windows 11 Pro 64bit 22H2 |
電源ユニット | Corsair HX1500i 2022 (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
システムメモリの検証機材には、Ryzen 7000用OCメモリのスイートスポットとアピールされているメモリ周波数6000MHz/CL30の低レイテンシなメモリOCに対応した「G.Skill Trident Z5 Neo(型番:F5-6000J3038F16GX2-TZ5N)」を使用しています。
G.Skill Trident Z5 NeoシリーズはAMD EXPOのOCプロファイルに対応した製品なので、AMD Ryzen 7000シリーズCPUで高性能なPCを構築するお供としてオススメのOCメモリです。ARGB LEDイルミネーションを搭載したバリエーションモデル G.Skill Trident Z5 Neo RGBもラインナップされています。
・「G.Skill Trident Z5 Neo」をレビュー。EXPOで6000MHz/CL30のOCを試す!
2024年最新のSSDレビューでは高度に圧縮されたゲームデータをグラフィックボードのVRAMへ直接取り込んで、GPUによって高速に展開するDirectX 12のDirectStorageのようなAPIに対応したPCゲームも検証しています。
その時にSSDの理想的な性能を検証できるように、最新のウルトラハイエンドGPUを搭載したグラフィックボード「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8 Gaming VERTO EPIC-X RGB OC 3FAN」を使用しています。
PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8は、ベイパーチャンバー構造のベースコアや、厚みのあるファンブレードをバリヤーリングで結合した重厚な冷却ファンを採用する4スロット占有大型GPUクーラーにより、各社AIBモデルの中でもトップクラスの静音性を実現しています。
メーカーのPNYは2022年に株式会社アスクが販売代理店契約を結んだばかりの新参なので国内での知名度は高くありませんが、北米など海外市場では30年以上に渡りコンシューマーならびにビジネス向けで電子機器の製造・販売を行う大手メーカーです。
国内正規品なら代理店を介してPNY公式のグローバル保証と同じ3年間の長期保証が受けられるところも魅力です。
・「PNY GeForce RTX 4090 24GB XLR8」をレビュー
検証環境については上述の通り、AMD Ryzen 9 7950XやGIGABYTE X670E AORUS MASTERで構成されるテストベンチ機を使用していますが、検証するNVMe M.2 SSDはマザーボード上のCPUソケット直下に配置されている、CPU直結PCIE5.0x4レーン接続のM.2スロットに設置しています。
またサーマルスロットリングによる性能低下の可能性を排除するため、JIUSHARK M2-THREEという60mm角ファンでアクティブ冷却できるM.2 SSDヒートシンクを組み合わせた状態で設置しています。
GIGABYTE X670E AORUS MASTERにM.2 SSDを設置する場合、M.2-PCIE変換ボードも使用するなら、計5つの候補があり、どこに接続するかでベンチマーク結果が大きく変わります。
Ryzen 7000シリーズCPU&X670Eマザーボードの環境においてCPU直結PCIEレーンは、主にグラフィックボードで使用するPCIE5.0x16レーンに加えて、NVMe M.2 SSD用のPCIE5.0x4レーンが2つがあり、実のところNVMe M.2 SSDを使用するなら、このNVMe M.2 SSD用のCPU直結PCIE5.0x4レーンが最速となります。
「Crucial P310 1TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは931GBでした。M.2 2230モデルも同じです。
「Crucial P310 2TB」のボリュームをWindows 11上で作成したところ、空きスペースは1.81TBでした。M.2 2230モデルも同じです。
「Crucial P310 1TB / 2TB」はSSD上に実装されたDRAMキャッシュの代わりに、PCIE3.0/4.0の高速帯域を介してシステムメモリの一部をキャッシュとして使用するHMB(Host Memory Buffer)に対応しています。
「Crucial P310 1TB / 2TB」でSSDが指定する最適バッファサイズは64MBで、実際に確保されるバッファサイズも64MBでした。
Crucial P310 1TB / 2TBのベンチマーク比較
「Crucial P310 1TB / 2TB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。まずはCrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
「Crucial P310 1TB」のベンチマークススコアは連続読み出し7100~7300MB/s、連続書き込み6100MB/sとなりました。製品スペックの通り、PCIE4.0x4接続のハイエンドNVMe M.2 SSDとしては理想的な性能です。
実用性能への影響の大きい4Kランダム読み出し(Q1T1)も84MB/s程度と高速です。
「Crucial P310」にはM.2 2230サイズモデルもラインナップされていますが、容量が同じなら性能はM.2 2280でもM.2 2230でも同じです。
「Crucial P310 2TB」も1TBモデルと同じく、連続読み出しは7100~7300MB/s、連続書き込みは少し速く6400MB/s程度です。実用性能への影響の大きい4Kランダム読み出し(Q1T1)も84MB/s程度と高速です。
同じメモリコントローラー PHISON PS5027-E27Tを採用するTLC型SSDとして過去にNextorage G-Series LEを検証していますが、SLCキャッシュ内のアクセスならQLC型の「Crucial P310」も遜色ないベンチマークスコアです。
以下、各種比較対象SSDのCrystalDiskMark8 ベンチマークスコアになっています。
AS SSD Benchmark v2.0.6821.41776 (1GB)について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
以下、各種比較対象SSDのAS SSD Benchmark ベンチマークスコアになっています。
Anvil’s Storage Utilities v1.1.0 (1GB)について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
以下、各種比較対象SSDのAnvil’s Storage Utilities ベンチマークスコアになっています。
ATTO Disk Benchmark 4.00.0f2 (512B-64MB, 1GB, QD1/QD4)について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他の比較対象ストレージのベンチマーク結果は次のようになっています。
ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別の性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。
Crucial P310 1TB / 2TBの連続書き込みについて
「Crucial P310 1TB / 2TB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型やQLC型と呼ばれる3bit以上のマルチレベルセルで動作するNANDが採用されているSSDでは、マルチレベルセル化によって遅くなる書き込み速度の底上げのため、NANDメモリの一部を高速キャッシュ領域とする機能が実装されています。
2022年現在、TLCやQLCの記憶領域を動的にSLC化する製品が多いので、この高速キャッシュ領域のことをSLCキャッシュと呼ぶことにします。(可能性としてTLC型SSDやQLC型SSDがMLCで高速キャッシュを構築することもありうる)
このようなSLCキャッシュを有するSSDにおいては、連続した大容量の書き込みによって書き込み総量がSLCキャッシュを超過した場合、書き込み速度がステップ状にガクッと下がります。
例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、SLCキャッシュ超過後はCrystalDiskMarkなどベンチマークソフトで表示される500MB/s程度の連続書き込み速度を維持できず、100~200MB/sまで書き込み速度が低下する可能性があります。
最新のQLC型NANDをメモリチップに採用する「Crucial P310 1TB / 2TB」がどのような挙動を見せるのか確認してみました。
「Crucial P310 1TB / 2TB」は空き容量が300GB~500GBの状態で使用できるSLCキャッシュ容量は30~70GB程度でした。
SLCキャッシュ内なら5~6GB/s程度という高速な書き込み速度を発揮しますが、SLCキャッシュ容量を超過すると書き込み速度は200MB/s程度へと大幅に低下します。
2TBモデルについても空き容量が300GB~500GBの状態で使用できるSLCキャッシュ容量は30~70GB程度ですが、追加検証として、空き容量が800GBの状態で数時間放置して見たもののSLCキャッシュが70GB程度しか解放されませんでした。この条件なら100GB以上が使用できてもよさそうなのですが、SLCキャッシュ開放のトリガーがよく分かりません。
フォーマット直後の状態からボリューム全域に書き込みを行った時の書き込み速度の推移が下のようになっています。実用的にはあまり意味のない評価方法ですが、SLCキャッシュの挙動を把握する上では役立つこともあるので参考までに。
5~6GB/s前後の書き込み速度を発揮する高速なSLCキャッシュは空き容量が100%の状態なら、1TBモデルで約200GB、2TBモデルで約400GBなので、QLC型SSDとしては理想的な1/4容量より若干少ない感じです。
超過後の書き込み速度は1TBモデルで200MB/s程度に、2TBモデルで300MB/s程度に低下しています。
「Crucial P310 1TB / 2TB」については、空き容量の調整のためデータ書き込み後、通電状態で一晩放置するなど色々試してみたのですが、上記の検証結果よりも効果的にSLCキャッシュを開放できるトリガーがよく分かりませんでした。
空き容量 300GB~500GBの状態で使用できるSLCキャッシュ容量が30~70GB程度を下回ることはないと思いますが、これくらいの空き容量があれば100GB以上のSLCキャッシュを安定して使用できるSSDもあるので、若干物足りないというのが正直なところです。
10~20分程度のスパンで30GB程度のSLCキャッシュは再利用できると思いますが、アイドル状態になるとSLCキャッシュを積極的に開放する挙動ではなく、トリガーもよく分かりませんし、超過後の書き込み速度は200~300MB/s程度と大幅に速度低下するので、30~50GBを大きく上回るような大容量データの書き込みを頻繁に行う用途には不向きです。
Crucial P310 1TB / 2TBの消費電力と温度
「Crucial P310 1TB / 2TB」の消費電力についてチェックしていきます。NVMe M.2 SSDの消費電力測定には、当サイトの検証に使用するためワンオフで特注した測定ツール「GPU Power Tester」を使用しています。
GPU Power Testerはその名の通り、PCIEスロット経由とPCIE補助電源の消費電力を直接に測定しグラフィックボードの消費電力を検証する機器ですが、M.2延長カードを改造した増設ユニットを使用することでNVMe M.2 SSDの消費電力を測定できます。
グラフィックボードの消費電力測定に使用するようなライザーケーブル/ライザーカードから、さらにM.2-PCIE変換ボードを中継すると、機器の組み合わせやPCIE5.0等の高速接続規格によってはSSDの動作が不安定になることがありますが、この方法ならマザーボードのM.2スロットにM.2 SSDを直結した時と同等の性能で安定して消費電力を測定できます。
まずはSSDの消費電力の傾向を把握するため、CrystalDiskMark8.0.4 (1GiB, +Mix)を測定負荷としてアクセスタイプ別に消費電力がどうなるのかチェックしていきます。
CrystalDiskMarkの設定は各アクセスタイプで測定時間20秒/測定回数1回、測定インターバル10秒に変更しています。12種類のアクセスタイプの負荷に加えて、テスト終了後のアイドル状態の消費電力も測定しています。
CrystalDiskMarkを測定負荷とした時に連続読み出し/連続書き込みのアクセスタイプは、消費電力が最も大きくなる、ワーストケースに近い負荷となります。
CrystalDiskMarkで負荷をかけた時の「Crucial P310 1TB / 2TB」の消費電力の推移は次のようになっています。
「Crucial P310 1TB」の消費電力は、連続アクセスの最大値で平均4.3~4.4W程度でした。
PCIE4.0x4帯域として理想的な7GB/s前後のアクセススピードを発揮しつつ、従来の5GB/s程度のDRAMキャッシュレスSSDに近い消費電力なのでワットパフォーマンスは良好です。
実用性能に影響の大きい4Kランダム(Q1T1)の読み書きにおける消費電力も1.8~1.9Wなので、やはり一般的なDRAMキャッシュ搭載のハイエンドSSDよりも省電力です。
「Crucial P310」は同容量モデルであればM.2 2280サイズでもM.2 2230サイズでも消費電力はほぼ同じです。
2TBモデルは1TBモデルよりも消費電力は増加する傾向ですが、それでも最大5W以下に収まっており、PCIE4.0x4帯域として理想的な7GB/s前後のSSDとしては省電力です。
一方でアイドル状態の消費電力が若干高く、瞬間的に下がっている数値を見ると本来のアイドル状態の消費電力は0.80W前後っぽいのですが、そこまで消費電力が下がらずに4Kランダム時相当、1.30W弱の消費電力が発生しています。
検証環境との相性が悪い可能性はあるものの、PHISON PS5027-E27T特有ではなく、過去にM.2 2230などに採用されているPHISON PS5021-E21TのSSDでも同じような挙動を確認しています。
Surface ProやハンドヘルドゲーミングPCを含め近年のモバイルPCはバッテリー持続時間を少しでも伸ばすため、ASPM(Active-State Power Management)が基本的に標準で有効になっています。
デスクトップPC環境ではASPMは通常、使用されませんが、機能自体はBIOS設定とWindows設定を変更することで有効化できるので、ASPM時のアイドル電力も測定してみました。
「Crucial P310 1TB / 2TB」はASPM有効なら0.07Wまでアイドル時の消費電力は下がるので、モバイルPCの増設においてアイドル時の消費電力が問題になることはありません。
消費電力が特に大きくなりやすい連続読み出し/連続書き込み(SEQ 1M Q8T1)について、「Crucial P310 1TB / 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
実用性能に影響の大きいランダム読み出し/ランダム書き込み(RND 4K Q1T1)について、「Crucial P310 1TB / 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
PC電源ONでSSDに対して読み書きアクセスがないアイドル状態の消費電力について、「Crucial P310 1TB / 2TB」と各種ストレージを比較すると次のようになります。
続いて、実用シーンのSSD消費電力として当サイト的に重要なPCゲームのプレイシーンをチェックしていきます。
使用しているタイトルは、DirectStorageに対応するPCゲームとしてラチェット&クランク パラレル・トラブル(Ratchet & Clank: Rift Apart)とFORSPOKEN、ストレージへのAPIが従来式の高画質PCゲームとしてMarvel’s Spider-Man RemasteredとForza Horizon 5となっており、いずれも4K解像度でグラフィック設定は基本的に各設定項目が最高設定です。以上4種類のゲームを使用して120秒間の5つのシーンについてSSDの消費電力を測定しており、具体的には次の動画の通りです。
「Crucial P310 1TB / 2TB」のDirectStorage対応を含む4種類のPCゲーム、5つのシーンにおけるSSD消費電力の推移は次のようになっています。
グラフ中には上で行ったCrystalDiskMarkによる消費電力測定の結果のうち、連続読み出し(SEQ 1M Q8T1)、ランダム読み出し(RND 4K Q1T1)、アイドルの3種類の消費電力も横線で併記しています。
2024年最新水準の高画質タイトルを使用して検証していますが、PCゲームシーンだとDirectStorage対応と従来式のどちらであっても、SSD消費電力の平均値は、CDMのランダム読み出しとアイドルの消費電力の中間に収まります。
DirectStorage対応PCゲーム、ラチェット&クランクのワープやFORSPOKENのロード・ファストトラベルでは連続アクセス的な大きい消費電力も発生しますが、いずれも1~2秒あるかどうかという瞬間的なものです。
「Crucial P310 1TB / 2TB」を含めた各種ストレージについてゲームシーンの平均消費電力を比較すると次のようになっています。(最大値も併記していますが、上の推移グラフを見ての通り瞬間的なピーク値となっており測定毎に振れ幅があるので参考程度に考えてください。)
現状ではPCゲームプレイ中のSSD消費電力は、データの読み出しが多いタイトルでもCDMの4Kランダム読み出しと同程度、そうでなければアイドル状態をベースにして4Kランダム読み出し的な消費電力のアクセスがぽつぽつと発生する感じなので、製品別に見てもSSD消費電力の傾向はCDMの4Kランダム読み出しかアイドルに一致します。
また「Crucial P310」のM.2 2230サイズモデルについても、ASPMを有効にした時のゲーム中の消費電力を各種M.2 2230 SSDと比較してみたところ、ASUS ROG Allyに標準搭載されているMicron 2400と遜色ない、トップクラスの省電力性能でした。
ASUS ROG AllyやSteam DeckなどハンドヘルドゲーミングPCの大容量ストレージ換装にもオススメできます。
「Crucial P310 1TB / 2TB」の温度についての検証は省略します。
近年ではマザーボードM.2スロットに十分な性能のM.2 SSDヒートシンク搭載が標準化しており、市販M.2 SSDヒートシンクも安価で高性能なものが簡単に見つかるようになっています。
PCIE4.0/5.0対応でドンドン高速化していく中、NVMe M.2 SSDをヒートシンクなしで温度測定や耐久テストを行うのは時勢に合わない、上記の通りヒートシンクも多様化しているので一例を示してもあまり参考にならない、と思ったというのも1つ理由です。
どうしてもヒートシンクなし、もしくは冷却が限定される環境での運用を検討する必要があるのであれば、上記の消費電力測定で消費電力が小さいSSDを選ぶ、というのが正解ですし。
またゲームシーンの消費電力検証で見た通り、実用シーンでCrystalDiskMarkの連続アクセスのようなPCIE4.0なら7GB/s前後、PCIE5.0なら10GB/sを超える高速アクセスが長時間に渡って発生するのかは疑わしく、比較的に理想的な連続アクセスが生じる動画ファイルのコピーでも、100GBの読み書きは5GB/sなら20秒、長く見積もっても30秒前後で済むので、それ以上のストレステストに意味があるのか疑問です。
またCrystalDiskMark自体はストレージベンチとして非常に有用ですが、SSDの温度検証という観点でいうとテストの3/4で連続アクセス的な消費電力が発生するCrystalDiskMarkを測定負荷に採用するのはあまり意味がないと感じています。
延長カード型でPCIE5.0にも対応するM.2 SSD消費電力測定モジュールも無事に完成したので、PCゲーム以外の実用シーンについてもSSD消費電力を調査しつつ、SSD温度検証の在り方について調べるのが今後の課題だと思っていますが、今回は省略ということで。
マザーボード備え付けのM.2 SSDヒートシンクの冷却性能が不十分で市販製品を探しているということであれば、PlayStation5の増設スロットにも互換なコンパクトサイズながら高い冷却性能を発揮する「CFD HSN-TITAN」、シリコンバンド固定で着脱が簡単な「SilverStone TP02」などがオススメです。
Crucial P310 1TB / 2TBの実用性能比較
「Crucial P310 1TB / 2TB」の実用性能をPCMark10 Storage Benchmarkを使用してチェックしていきます。PCMark10 Storage BenchmarkはWindows OSの起動速度、PhotoshopやPremiere ProといったAdobeアプリの起動速度、PCゲームの起動速度、AdobeアプリやMicrosoft Officeの素材領域としての読み出し・書き込み速度など、SSDの実用性能について測定できるベンチマークソフトです。
ベンチマーク測定に使用するPCMark10 Storage Benchmarkには上の概要で紹介したように23種類のテストがあるので、その中からシステム/ゲーム/データの3種類に大別された17種類のテストの結果を抜粋し、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Crucial P310 1TB / 2TB」など各種SSDに関して総合的なSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
上のグラフを見ての通り、「Crucial P310 1TB / 2TB」はSLCキャッシュを超過する書き込みアクセス以外であれば、PCIE4.0対応SSDの中でも最速クラスの性能を発揮します。
PCIE5.0対応SSDやCrucial製の最新SSDが上位を占有している辺り、Micronの最新メモリチップである232層 3D NANDの性能の高さを感じます。
PCMark10 Storage Benchmarkの個別Traceについて比較してみても、「Crucial P310 1TB」はDRAMキャッシュレスな高性能かつ高コスパSSDとして長らく高い評価を得ているWD_BLACK SN770 1TBを余裕で上回る性能です。
システムストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Crucial P310 1TB / 2TB」など各種SSDに関してシステムストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
ゲームストレージとしての性能に大別された3種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Crucial P310 1TB / 2TB」など各種SSDに関してゲームストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
データストレージとしての性能に大別された7種類のテスト結果を使用して、各テストにおいてSamsung SSD 980 PRO 1TBを基準として性能比率を算出、それらの平均値を取り、「Crucial P310 1TB / 2TB」など各種SSDに関してデータストレージとしてのSSD実用性能の比較グラフ(パフォーマンスサマリー)を作成しました。
Crucial P310 1TB / 2TBのデータコピー・ゲームロード性能比較
続いて「Crucial P310 1TB / 2TB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。まずはデータコピーに関する実性能比較となります。
データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。
検証ストレージのコピー相手、書き込み先/読み出し元となるストレージが必要なので、コピー相手にはPCIE5.0x4接続に対応したCrucial T700 2TBを使用しています。
Ryzen 9 7950XとGIGABYTE X670E AORUS MASTERの検証環境で、レビューストレージはCPU直下のM.2スロットに、コピー相手のCrucial T700 2TBはPCIEスロットを挟んで1つ下のM.2スロットに設置しており、いずれも個別のCPU直結PCIE5.0x4レーンに接続されているので、接続帯域がコピー速度のボトルネックになることはありません。
「Crucial P310 1TB / 2TB」など各種検証ストレージとCrucial P310 1TB / 2TBとの間で各種データをコピーした時間や転送速度の比較結果は次の通りです。
まずは50GBの動画フォルダのコピーについてですが、動画フォルダの中身は1つ10GBの大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。
Windows 11 21H2以前はエクスプローラーのファイルシステムがボトルネックになるためコピー速度は3GB/s程度で頭打ちでしたが、Windows 11 22H2とPCIE5.0に対応するRyzen 7000環境であれば実際のファイルコピーで最大6GB/sに迫る転送速度を発揮できます。
「Crucial P310 1TB / 2TB」は読み出し速度が4600MB/s程度、書き込み速度が4800MB/s程度でした。QLC型ですがSLCキャッシュ内であれば書き込みでもPCIE4.0 SSDのハイエンド製品に迫る速さです。
次はゲームフォルダのコピーについてですが、近年のPCゲームでは各種ゲームデータが数百MB~数GBのファイルにパッケージ化されているので、動画ファイルのコピーと同様、比較的にストレージの連続読み出し・書き込み性能が重要になります。
ゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されているゲームフォルダの場合、動画ファイルのコピーよりも転送速度は若干下がりますが、それでも「Crucial P310 1TB / 2TB」は読み出しと書き込みで4000~4600MB/s程度という転送速度を発揮しています。
なお比較対象の1つ、同じメモリコントローラー PHISON PS5027-E27Tを採用するTLC型SSDのNextorage G-Series LEがゲームフォルダ 67GBの書き込みでスコアを落としているのはSLCキャッシュ容量が固定値で50GB程度しか確保されず、コピーテストのインターバル 5分では使用済みキャッシュの開放が完了しないのが理由です。
Nextorage G-Series LEはSLCキャッシュ外でも1000MB/s以上をキープできるので、SLCキャッシュ内に収まるかどうかで「Crucial P310」との優劣は完全に逆転します。
最後は先ほどと同じくゲームフォルダのコピーについてですが、こちらはゲームデータが大きいファイルにパッケージ化されておらず、15万を超えるファイル数があるので、ランダム性能が重要になっています。
ランダム性能が重要になる実際のファイルコピーでも、「Crucial P310 1TB / 2TB」はPCIEPCIE4.0x4接続のハイエンド製品として違和感のない性能を発揮しています。
ただしコピー元の読み出し速度がボトルネックになりやすく、コピー相手にはCrucial T700 2TBを使用しているので、書き込み性能はPCIE4.0x4接続の高性能SSDなら1300MB/s程度の速度で頭打ちになります。
続いて3DMark Storage Benchmarkを使用して、PCゲームのロード時間やプレイ動画の保存といったゲーミングシーンでの「Crucial P310 1TB / 2TB」のストレージ性能を比較します。
3DMark Storage Benchmarkは各検証ストレージについて3回ずつ実行しており、総合スコア、ゲームロード速度(Battlefield V、Call of Duty Black Ops 4、Overwatch)、プレイ動画の録画(Overwatchのゲームプレイ中のデータアクセスとOSBによるフルHD/60FPSの録画)について平均値を比較しています。
またPCMark10 Storage Benchmarkと同様に、各ストレージは空き容量が半分前後になるようにデータを書き込んだ状態で測定を行っています。
3DMark Storage Benchmarkのトータルスコアについて、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkの総合スコアには、プレイデータのセーブ、PCゲームのインストール/移動は実用面で優先度が低いテストの結果も含まれるので、ここからはPCゲーム用ストレージとして優先度の高い個別テストを抜粋して見ていきます。
3DMark Storage BenchmarkのBattlefield V ゲームロード速度について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのCall of Duty Black Ops 4 ゲームロード速度について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage BenchmarkのOverwatch ゲームロード速度について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
3DMark Storage Benchmarkのプレイ動画録画性能について、「Crucial P310 1TB / 2TB」やその他ストレージの比較は次のようになっています。
DirectX 12のDirectStorageに代表されるPCゲーム向け高速ストレージアクセスAPIに対応したPCゲームにおけるロード性能については、実際の比較検証結果を元に解説しているので、こちらの記事を参照してください。
ゲーム向け高速ストレージAPIを使用しない従来式のゲームの傾向についても、2020年から2021年頃の検証ですが比較データを使って解説しています。
結論だけ言ってしまうと、DirectStorageのサポートの有無によってNVMe SSDとSATA SSDでは大幅な性能差がありますが、PCIE3.0~5.0の帯域、TLC NANDとQLC NAND、DRAMキャッシュの有無による差は確認できませんでした。
マイナーメーカーのそもそもSSD性能が怪しい製品とかになると保証もできませんが、Micron(Crucial)、Samsung、SK Hynix(Solidigm)、WD辺りの大手メーカー製品で、NVMe SSDであれば、DirectStorage対応ゲームのロード時間はほぼ同じになると思います。ブラインドで見分けられる差でないことは確かです。
DirectStorage対応タイトルはまだ少ないですが、これからゲーム用ストレージを購入するのであれば、PCIE4.0対応NVMe M.2 SSDが性能と容量単価のバランスも良く、ベストだと思います。
今回はPC環境における性能を検証しましたが、同じくNVMe M.2 SSDを使用するPlayStation 5の拡張スロットによるストレージ増設についてはこちらの記事で詳細を解説しています。気になる方は参照してみてください。
Crucial P310 1TB / 2TBのレビューまとめ
最後に「Crucial P310 1TB / 2TB」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最大性能で連続読み出し7.1GB/s、連続書き込み6.0GB/s (1TB/2TBモデル)
- PCMark10や3DMarkの実用性能ベンチでPCIE4.0 SSD 最速クラスの性能
- PlayStation5の拡張スロットに使用可能なPCIE4.0対応NVMe M.2 SSD
- DRAMキャッシュレスで、トップクラスの低消費電力
- メーカー正規保証期間が5年間、保証条件のTBWは容量1TBあたり220TB
- DRAMキャッシュレス、HMB(Host Memory Buffer)対応
- QLC型なのでSLCキャッシュ超過後に速度低下が発生する
キャッシュ容量は空き容量依存(詳細)で、超過後の書き込み速度は200~300MB/s程度 - SLCキャッシュを十分に開放できる条件が不明で、実用シーンだと30~70GB程度
「Crucial P310 1TB / 2TB」を検証してみたところ、CrystalDiskMarkなど基礎的な各種ベンチマークでは仕様値通り、DRAMキャッシュレスながら連続読み出しが最大7GB/s前後というハイエンドPCIE4.0対応NVMe SSD的な性能です。
PCMark10や3DMarkの実用性能系のベンチマークについても、TLC型かつDRAMキャッシュを搭載するハイエンドNVMe M.2 SSDの多くを上回り、PCIE4.0対応SSDにおいて最速クラスの発揮しました。(書き込みデータ量がSLCキャッシュ内であれば)
消費電力も低いので自作PC用だけでなく、モバイルPCの容量増設に使用する換装用システムストレージとしてもコストパフォーマンスの高いSSDだと思います。
「Crucial P310 1TB / 2TB」にはQLC型3D NANDメモリが採用されているので、多くのTLC/QLC型SSDと同様の特徴が大容量書き込み時にでており、容量可変のSLCキャッシュを超過すると、理想値6000MB/s程度から200~300MB/s程度まで書き込み速度が大幅に低下します。
実機検証した限りでは空き容量が300~500GB程度の状態で少なくとも30~70GB程度は使用できる感じでしたが、同程度の空き容量で100GB程度を安定して使用できるSSD製品もある中では相対的にやや少なく、SLCキャッシュが十分に開放されるトリガーもよく分からない感じだったので、数時間の間に30~50GBを超えるような大容量データを頻繁に書き込むような用途には不向きという評価です。
QLC型NAND採用のデメリットのもう一方、1TB容量当りの書き込み耐性の低さについては、TLC型と比較した場合に1TBあたり半分以下しかないことは事実ですが、仕様値TBWである1TB当たり220TBなら5年間に毎日100GB以上を書き込んでもお釣りがくる計算です。エントリークラスの大容量SSDとしては実用的にも十分な耐久性(保証条件)だと思います。
「Crucial P310」はM.2 2280サイズの標準モデルと全く同じ性能のM.2 2230サイズモデルもラインナップされています。
QLC型なのでSLCキャッシュ超過については注意が必要ですが、SLCキャッシュに収まる範囲内なら性能はM.2 2230 SSDとして最速クラスであり、消費電力でもASUS ROG Allyに標準搭載されているMicron 2400とと遜色ない、トップクラスの性能を発揮するので、「Crucial P310」は普段使いのPCにもハンドヘルドゲーミングPCにも最適な換装用SSDです。
以上、「Crucial P310 1TB / 2TB」のレビューでした。
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DRAMキャッシュレスながらPCIE4.0x4接続で連続読み書き7GB/s前後に達する高コストパフォーマンスなNVMe M.2 SSD「Crucial P310 1TB / 2TB」をレビュー。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) November 15, 2024
Micron製QLC型232層3D NAND&PS5027-E27Tの実力を徹底検証。
2280サイズと同じ速さのM.2 2230サイズもラインナップ。https://t.co/TcDJYo0pEx pic.twitter.com/AydY3TBPr1
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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TRIM/UNMAPコマンドをGCコマンドのように勘違いしている方も見かけますが、これは間違いです。TRIM/UNMAPコマンドは、あくまでLBAを"通知する"だけです。これを受け取ってどうするかは、ファームウェアによります。
話を戻しますが、一般的にWriteが発生すると、内部の状態が変わり、これによってSLCキャッシュの容量が閾値を超えるまたは書き込み可能なフリーブロックの容量が閾値を下回ると、SLCキャッシュの開放が行われます。どのぐらいSLCキャッシュを開放するかは、ファームの設計による(メーカーの考え方)ですが、おそらく、全容量を開放することはないと推測されます。
全容量を開放しようとすると、時間がかかりすぎることに加え、それ自体が無駄な書き込みかもしれないのでNANDの使用効率の低下する可能性があること、キャッシュ移動中に読み出し/書き込みが発生した場合の効率低下、性能低下(最優先はキャッシュの移動ではなく、実際のデータの読み出し/書き込みです)などがあるからです。
ちなみにSLCキャッシュがフルになったあと、どのぐらい開放されたかは、消費電力をみていればある程度は推測できるかと思います。NANDの書き込み性能は決まっています。書き込み終了後、どのぐらいの時間、書き込み中と思われる消費電力が続いたかを調べれば、後はおおよその書き込み量(移動量)を計算できるかと。