Sycom G-Master Hydro Z490


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10コア20スレッドのIntel第10世代Core-S最上位モデル「Intel Core i9 10900K」と最速ウルトラハイエンドGPU「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」のサイコムオリジナル簡易水冷グラフィックボードを搭載した最速ゲーミングBTO PC「サイコム G-Master Hydro Z490」をレビューします。

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簡易水冷化GeForce RTX 30搭載G-Master Hydroシリーズの販売ページへ




G-Master Hydro Z490 レビュー目次


1.G-Master Hydro Z490の概要とスペック
2.G-Master Hydro Z490の梱包・付属品


3.G-Master Hydro Z490の外観とフロント・リアI/O
4.G-Master Hydro Z490の内部構造の概要
5.G-Master Hydro Z490の裏配線スペースと電源ユニット
6.G-Master Hydro Z490のマザーボード
7.G-Master Hydro Z490のストレージと増設スペース
8.G-Master Hydro Z490のグラフィックボード


9.G-Master Hydro Z490のCPU/GPU/ストレージのスペック
10.G-Master Hydro Z490の温度・消費電力・ファンノイズ
11.G-Master Hydro Z490のCPU性能とGPU性能
12.G-Master Hydro Z490のレビューまとめ



【注意】
今回検証するのはレビュー用の貸出機であり一般販売されてユーザーの手元に届く新品ではないので、製品や梱包に若干の傷や痛みがある場合があります。通常は新品で綺麗な状態のものが届くはずなので、サンプル機に傷等があっても無視してください。


【機材協力:サイコム】



G-Master Hydro Z490の概要とスペック

最初に今回レビューする「G-Master Hydro Z490」の概要と製品スペックについて簡単に紹介しておきます。
今回お借りした「G-Master Hydro Z490」のレビュー用サンプル機の構成は次のようになっています。なおマザーボード等の一部パーツは製品公式ページで詳細な記載がないのでサンプル機に採用されているものとは別の部品が使用される可能性もあります。
G-Master Hydro Z490 詳細スペック
OS Windows10 Home (64bit) DSP版
CPU Intel Core i9-10900K
10コア20スレッド
CPUクーラー Asetek製AIO水冷クーラー 650LS RGB
120サイズラジエーター採用
マザーボード ASRock Z490 Extreme4
メモリ Crucial CT8G4DFS832A
16GB (8GB*2枚), DDR4-3200, CL22-22-22, 1.200V
(実際のメモリ速度は2933MHz)
グラフィックボード NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti
サイコムオリジナル Asetek製AIO水冷クーラー
システムストレージ Intel SSD 660p 512GB
データストレージ SSD
(カスタマイズで追加可能)
データストレージ HDD
(カスタマイズで追加可能)
光学ドライブ (カスタマイズで追加可能)
PCケース Fractal Design Define 7
対応最大ファームファクタ:ATX, E-ATX
電源ユニット SilverStone SST-ST75F-GS V3
電源容量750W, 80Plus GOLD認証取得


今回レビューする「G-Master Hydro Z490」を始めとしてBTO PCメーカーのサイコムからは、同社が独自に簡易水冷化したグラフィックボードを選択可能なBTO PCとしてG-Master Hydroシリーズがリリースされています。CPUクーラーに簡易水冷クーラーを採用するだけでなく、独自に簡易水冷化されたグラフィックボードも搭載することで、CPUとGPUの両方を水冷で冷やすデュアル水冷システムがG-Master Hydroシリーズの最大の特長です。
Sycom G-Master Hydro series

G-Master Hydroシリーズで特にオススメなのは、Intel第10/11世代CPUを採用した「G-Master Hydro Z590」です。またCPUクーラーに360サイズラジエーターの大型簡易水冷CPUクーラーを採用する上位モデル「G-Master Hydro Z590 Extreme」もラインナップされています。
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またIntel Z590プラットフォームでは簡易水冷化GeForce RX 3070にグラフィックボードが限定されますが、Micro-ATXマザーボード採用のミニタワーPC「G-Master Hydro Z590-Mini」や、Mini-ITXマザーボード採用のコンパクトPC「G-Master Hydro Z590-ITX」もラインナップされています。
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その他にもIntel製CPUを上回るシングル/マルチスレッド性能を実現したAMD Ryzen 5000シリーズCPUを搭載する「G-Master Hydro X570A II」、CPUクーラーに360サイズラジエーターの大型簡易水冷CPUクーラーを採用する上位モデル「G-Master Hydro X570A Extreme」、20コア以上ウルトラメニーコアでプロレベルのクリエイティブタスクにも最適なAMD Ryzen Threadripperを搭載した「G-Master Hydro TRX40 Extreme」もラインナップされています。
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G-Master Hydro Z490の梱包・付属品

まず最初にサイコムから購入した「G-Master Hydro Z490」がユーザーの手元にどんな状態で届くのかを紹介しようと思います。60cm×60cm×30cmサイズとかなり大きい段ボール箱で重量も重く、成人男性でも1人で運ぶのはかなり苦労します、というかできれば大人2人以上で持ち運ぶのを推奨します。
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外側の段ボール箱を開くと、内側にはFractal Design Define 7のパッケージが収まっていました。Fractal Design Define 7の梱包をそのまま利用する形でPCは保護されています。
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付属品としてはFractal Design Define 7のオプションや部品がそのまま付属しており、あとはACケーブルがありました。加えて、購入品ではマザーボードの付属品や電源ユニットの未使用ケーブル、BTO PCのマニュアル類も付属すると思います。
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G-Master Hydro Z490の外観とフロント・リアI/O

「G-Master Hydro Z490」のPCケース外観をチェックしていきます。
G-Master Hydro Z490の標準構成ではPCケース正面向かって左のサイドパネルに強化ガラス製パネルが搭載されています。縁がほとんどない大型のガラスパネルなのでPCケース内を一望でき、金属にはないガラス特有の光沢が高級感を感じさせます。ヘアライン仕上げのアルミニウム製フロントパネルと相まってスマートな印象を与える外観です。

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また「G-Master Hydro Z490」にはRGB LEDテープが2本設置されており、PCケース内を綺麗にライトアップすることができます。PCケースの内装がホワイトなので、LEDイルミネーションの発光カラーで綺麗に染まっています。
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LEDテープへの電力供給にはマザーボードに実装されたLEDヘッダーを使用しているので、標準設定は七色に変化する発光パターンですが、Windows上の専用ソフトウェアやBIOS設定メニューから特定の発光カラーなどへライティング設定を変更することもできます。もちろんLEDイルミネーションの消灯も可能です。
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水冷ヘッドやマザーボードのリアI/Oカバー&右端にもLEDイルミネーションが搭載されており、多層的なライティング演出が楽しめます。
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フロントI/Oはトップパネル前方に実装されています。パワースイッチ、リセットスイッチ、HD Audio(3.5mmステレオ出力&3.5mmマイク入力)、2×USB2.0 Type-A端子、2×USB2.0 Type-A端子、さらに最新規格のUSB3.1 Gen2 Type-C端子と非常に豊富です。USBポートは全てマザーボードに接続されており、規格通りでフルに使用できます。
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「G-Master Hydro Z490」のリアI/Oには最新のUSB3.1 Gen2規格に対応したUSB端子としてType-AとType-Cの計2端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB2.0端子と2基のUSB2.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいてもVR HMDに十分対応可能なUSB端子数です。USB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるのでUSB2.0が少し離れた場所に配置されている配慮も嬉しいです。加えてゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
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ネットワーク関連では一般的なギガビットイーサの2.5倍の帯域幅を実現するPCゲーミングに最適なRealtek製2.5Gbイーサ「Dragon 2.5 Gigabit LAN(RTL8125BG)」を搭載しています。
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「G-Master Hydro Z490」の標準構成で採用されているIntel Z490マザーボード「ASRock Z490 Extreme4」は無線LAN&Bluetoothを標準では搭載していません。(WiFi用M.2スロットがあるので増設は可能、リアI/Oにはアンテナ用ホールもある)
2020年6月現在、カスタマイズ項目から選択可能な、無線LAN&Bluetoothを標準搭載したマザーボードは「ASRock Z490 Taichi」のみとなっています。ASUS TUF GAMING Z490-PLUS(WI-FI)辺りがカスタマイズ項目にあるとほぼ同じ価格のままで無線LAN&Bluetoothを追加できて良かったのですが。
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グラフィックボードのビデオ出力については今回のサンプル機ではGeForce RTX 2080 Tiが搭載されていますが、リファレンスモデルと同じくDisplayPort*3、HDMI2.0*1、USB Type-Cの計5系統が設置されています。DVI-D端子は実装されていないので、DVI-Dのモニタを使用する場合は、DisplayPort to DVI-D変換アダプタなどが必要になります。
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G-Master Hydro Z490のPCケースには2020年上半期に発売されたばかりのFractal Designの新製品「Fractal Design Define 7」が採用されています。Fractal Design Define 7はモジュラー式ストレージプレートで切り替える2種類のレイアウトによって変幻自在なビルドスタイルを実現する万能性はそのままに、前モデルDefine6から多岐に渡るブラッシュアップが施され、2020年の自作PC界隈でも鉄板なPCケースです。
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「G-Master Hydro Z490」の標準構成ではFractal Design Define 7のバリエーションモデルのうち、黒外装&白内装かつ強化ガラスサイドパネル採用のBlack/White TG Clear Tintが採用されていますが、カスタマイズからサイドパネルが高静音スチール製のSolidや、外装&内装が白色のWhiteなどに変更も可能です。
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「G-Master Hydro Z490」のPCケースに採用されているFractal Design Define 7については詳細レビューを個別記事で公開しているので、外観、内部構造、拡張性など細かい部分についてはこちらを参照してください。
変幻自在な万能PCケース「Fractal Design Define 7」をレビュー
Fractal Design Define 7



G-Master Hydro Z490の内部構造

続いて「G-Master Hydro Z490」のPCケースの内部構造をチェックしていきます。
まずはマザーボード側の俯瞰写真は次のようになっています。
「G-Master Hydro Z490」はFractal Design Define 7のオープンレイアウトをベースに構成されており、PCケースフロントは大きく開放されています。
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「G-Master Hydro Z490」のCPUクーラーには、高性能な簡易水冷クーラーOEM元として自作PC界隈では定番のAsetek製120サイズ簡易水冷CPUクーラー「Asetek 650LS RGB」が標準で採用されています。
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「Asetek 650LS RGB」のCPUヒートスプレッダと接するベース部分には熱伝導効率に優れた銅製ベースプレートが採用されています。
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さらにG-Master Hydro Z490では標準搭載の120サイズに加えて、カスタマイズオプションから240サイズでより高い冷却性能を発揮する「Asetek LS670 RGB」も選択可能です。240サイズ簡易水冷はCore i9 10900KやCore i9 10900などIntel第10世代CPUの上位モデルを搭載PCにおいて当サイト推奨のCPUクーラーとなっており、差額も3000円程度と安価なので特にオススメなアップグレード項目です。
ASETEK670LS
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「G-Master Hydro Z490」のPCケース内部にはフロントに2基、トップのリア寄りに1基で計3基の140mmサイズケースファンが搭載されています。標準搭載のケースファンはPCケース「Fractal Design Define 7」に標準で付属する「Fractal Design Dynamic X2 GP-14」がそのまま使用されています。
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「G-Master Hydro Z490」の3基のケースファンは、PCケースに標準で搭載されているファンハブを介して一括でマザーボードファン端子からファン速度を制御されています。
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Fractal Design Define 7_Nexus+ PWM Fan Hub_connection

DDR4メモリスロットはCPUソケットの右側に計4基ありますが、1枚当たり8GB容量のDDR4メモリ2枚で半数が埋められています。
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「G-Master Hydro Z490」のサンプル機には「Crucial CT8G4DFS832A」という定格3200MHzで1枚当たり8GB容量のDDR4メモリが採用されていました。
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今回のサンプル機では定格(メモリ側の仕様)でメモリ周波数が3200MHzのDDR4メモリが搭載されていましたが、Intel第10世代CPUの定格メモリ周波数はCore i9やCore i7が2933MHz、Core i5以下が2666MHzなので、通常、BTO PCでこの数値を超えるメモリが採用されることはありません。2020年6月現在のカスタマイズオプションを見ても、最大で2933MHzまででした。メモリ容量については最大で16GB×4枚組で64GB容量を搭載可能です。
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「G-Master Hydro Z490」には、サイコムがAsetek製AIO水冷クーラー「Asetek 740GN」を使用して独自に水冷化を施した専用グラフィックボードが採用されています。今回のサンプル機では外排気ブロアーファンGPUクーラーを搭載したManli製GeForce RTX 2080 Tiオリファンモデルが簡易水冷化されていました。
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輸送時の振動や衝撃によってグラフィックボードがPCIEスロットから脱落するのを防止するための独自保護パーツ「Card Keeper」も標準で装着されています。
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G-Master Hydro Z490の裏配線スペースと電源ユニット

「G-Master Hydro Z490」の裏配線スペースをチェックしていきます。
まずはマザーボード裏側の裏配線スペースの俯瞰写真は次のようになっています。
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自作PCでもここまで綺麗に配線するのは難しい、熟練のケーブルマネジメントです。
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「G-Master Hydro Z490」のサンプル機には同BTO PCの標準構成と同じく、50%負荷時に90%以上の変換効率を保証する80PLUS GOLD認証を取得し、電源容量750Wのハイパフォーマンス電源ユニット「SilverStone SST-ST75F-GS V3」が採用されています。
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SST-ST75F-GS V3_80Plus-Gold
電源ユニット冷却ファンの最近のトレンドは140mmサイズファン搭載ですが、「SilverStone SST-ST75F-GS V3」は奥行き140mmのコンパクトサイズなので120mmサイズファンが採用されています。
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GeForce RTX 2080 Tiのようなハイエンドグラフィックボードを搭載したゲーミングPCのゲーム負荷時の一般的な電力負荷は400から500W前後ですが、「SilverStone SST-ST75F-GS V3」のファンカーブでは、その時のファン速度は1000RPM以下になるので電源ユニットからの静音性も十分です。
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「SilverStone SST-ST75F-GS V3」は奥行の小さめな電源ユニットなので、PSUシュラウド内の電源ユニットやストレージシャドウベイのスペースも広々と使えます。
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「SilverStone SST-ST75F-GS V3」はフルプラグインの電源ケーブル構造が採用されています。未使用のプラグイン端子としてはPCIE補助電源用(青色8PIN)が2つ、SATA/4ピンペリフェラル用(黒色6PIN)が3つとなっており、プラグイン端子カバーが装着されています。
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G-Master Hydro Z490のマザーボード

「G-Master Hydro Z490」に使用されているマザーボードをチェックしていきます。
「G-Master Hydro Z490」の標準構成ではマザーボードとして「ASRock Z490 Extreme4」が採用されており、今回検証するサンプル機でも同マザーボードが搭載されていました。自作PC向けに市販されているマザーボードなので詳細な日本語マニュアルも公開されているので、わからないことがあればマニュアルを参照できます。
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「G-Master Hydro Z490」の標準構成で採用されているマザーボードは「ASRock Z490 Extreme4」ですが、カスタマイズから別のマザーボードも選択できます。カスタマイズから変更可能な「ASUS TUF GAMING Z490-PLUS」や「ASRock Z490 Taichi」については詳細レビューを公開中です。
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「ASRock Z490 Extreme4」にはCPUへの電力供給を行う電源回路として、50A対応Dr. MOSや12,000時間の寿命を誇るニチコン製12Kブラックコンデンサなどの高品質素子で構成される11フェーズのVRM電源が採用されています。EPS端子も8PIN+4PINなので最大200W超に達するCore i9 10900Kでも安定した電力供給が可能です。
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「ASRock Z490 Extreme4」のPCIEスロットレイアウトは[N/A, x16, N/A, x1, x16, x1, x16]となっています。
「G-Master Hydro Z490」は水冷クーラー標準搭載なのであまり関係がありませんが、最上段のPCIEスロットが空きスロットになっているので大型のハイエンド空冷CPUクーラーを搭載してもスペースに余裕があります。
5段目のPCIEスロットは物理サイズはx16ですが内部帯域はPCIE3.0x4となっており、AICカードタイプのNVMe M.2 SSDやビデオキャプチャボードに使用できます。TB3ヘッダーもあるのでThunderbolt3増設拡張ボードも使用できます。
その他のx1サイズスロットの物理サイズ同様にPCIE3.0x1帯域となっており、排他利用はありません。
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NVMe SSDに対応したM.2スロットは、標準構成でシステムストレージとして使用されているCPUソケット下(M.2_2)に加えて、チップセット下にも1基(M.2_3)が実装されています。M.2_2M.2_3はいずれもNVMe接続とSATA接続のM.2 SSDの両方に対応していますが、SATA接続のM.2 SSDを使用した場合はそれぞれ、SATA3_1とSATA3_5が排他利用となります。なおM.2_2の下にあるM.2_1は第10世代CPUでは利用できません。
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「ASRock Z490 Extreme4」にはSATAストレージ用の端子は6基搭載されています。SATA_1~6の6基はIntel Z490チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
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「ASRock Z490 Extreme4」は2段目のPCIEスロットのすぐ下にM.2型WiFiカードを設置可能なE-Key型M.2スロットが実装されています。組みあがったBTO PCの状態から実際に増設するのはかなりの手間ですが、一応、無線LAN&Bluetoothの増設も可能です。
リアI/Oパネルにはアンテナ用ホールも開いています。M.2 E-KeyのWiFiカードについてはWiFi6に対応した「Intel AX200」がAmazon等で簡単に購入できます。
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「ASRock Z490 Extreme4」にはCMOSクリア用のハードウェアスイッチは実装されていないので、5段目のPCIEスロット下にあるCMOSクリア用の2PINヘッダーを短絡してCMOSクリアを行います。ケーブルの長い2PINスイッチをあらかじめ装着しておくのがオススメです。(2PINを短絡するだけなのでPCケースの電源スイッチでも代用できますが、挿し直すのが面倒なのでスイッチを別途購入しておくのがやはりオススメです。)
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G-Master Hydro Z490のストレージ設置スペース

「G-Master Hydro Z490」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。
まず「G-Master Hydro Z490」のサンプル機には標準構成と同じく、NVMe M.2 SSDがマザーボードのCPUソケット下M.2スロットに装着されていました。マザーボード標準搭載のM.2 SSDヒートシンクによって放熱が補助されています。
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「G-Master Hydro Z490」の標準構成で採用されているシステムストレージは、QLC型64層3D NANDで構成されるNVMe M.2 SSDの「Intel SSD 660p 512GB」です。最大連続アクセススピードは1.8GB/s程度で一般的なSATA SSDを3倍以上も上回る高速アクセスを実現しています。
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「G-Master Hydro Z490」のPCケースにはFractal Design Define 7が採用されており、主な追加のストレージ設置スペースとして、2.5インチストレージトレイ×2(標準ではマザーボードトレイ裏、PSUシュラウド上にも設置可能)、および3.5インチストレージにも対応するシャドウベイがあります。
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「G-Master Hydro Z490」ではFractal Design Define 7のオープンレイアウトが採用されていますが、ストレージレイアウトに切り替えると最大で4基の2.5インチストレージと15基の2.5インチ/3.5インチストレージが設置可能となります。なお最大数を搭載するにはストレージトレイなど純正アクセサリの追加購入が必要です。
Fractal Design Define 7のレイアウト切り替えは少々手間がかかるので、有料でもBTO PCのカスタマイズオプションとして用意されていると需要があるような気がします。
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またPCケースフロントには5インチベイが1基あるのでブルーレイやDVDなどの光学ドライブも増設できます。
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「G-Master Hydro Z490」のPCケースに採用されているFractal Design Define 7については詳細レビューを個別記事で公開しているので、外観、内部構造、拡張性など細かい部分についてはこちらを参照してください。
変幻自在な万能PCケース「Fractal Design Define 7」をレビュー
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G-Master Hydro Z490のグラフィックボード

「G-Master Hydro Z490」には、サイコムがAsetek製AIO水冷クーラー「Asetek 740GN」を使用して独自に水冷化を施した専用グラフィックボードが採用されています。今回のサンプル機では外排気ブロアーファンGPUクーラーを搭載したManli製GeForce RTX 2080 Tiオリファンモデルが簡易水冷化されていました。
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サイコムによる独自の水冷化が施されていますが、ベースになっているのは外排気ブロアーファンGPUクーラーを搭載したManli製GeForce RTX 2080 Tiオリファンモデルです。
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グラフィックボードの背面には元になったManli製GeForce RTX 2080 Tiオリファンモデルと同様にバックプレートは非搭載です。折角なのでサイコムロゴ入りのオリジナルバックプレートも作成して欲しいところ。
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ビデオ出力端子はGeForce RTX 2080 Tiのリファレンスに準拠しておりDisplayPort*3、HDMI2.0*1、USB Type-Cの5系統です。DVI-D端子は実装されていないので、DVI-Dのディスプレイを使用する場合は変換アダプタを別途用意する必要があります。
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PCIE補助電源もGeForce RTX 2080 Tiのリファレンスと同じく8PIN×2が実装されています。
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「G-Master Hydro Z490」に搭載されるグラフィックボードはAsetek製120サイズAIO水冷クーラー「Asetek 740GN」でGPUコアを冷やす構造になっています。
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120サイズラジエーターに搭載されている冷却ファンはPWM速度調整に非対応な3PINのDCファン「Enermax UCTB12」となっており、定格回転数900RPMの一定速度で動作します。汎用ファン端子なので市販の冷却ファンに交換も可能ですが、定格動作で速度調整はできないため換装する場合は注意してください。静音性を重視する場合は1000~1200RPM以下のファンを選ぶのがオススメです。
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簡易水冷クーラーはGPUコアのみを冷やす構造になっているので、VRAMやVRM電源部分の冷却には標準で搭載されていたブロアーファンを使うというハイブリッド構造になっています。このブロアーファンはAfterBurnerなどのチューニングソフトからファン速度の調整が可能です。
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G-Master Hydro Z490のCPU/GPU/ストレージのスペックについて

G-Master Hydro Z490の各種性能をチェックする前に、同PCに搭載されているCPUとGPUのスペックについて簡単に紹介します。

G-Master Hydro Z490のCPUスペック

「G-Master Hydro Z490」にはCPUとして、Intel製メインストリーム向けCPUのIntel第10世代Comet Lake-S、10コア20スレッドモデル「Core i9 10900K」が搭載されています。Core i9 10900KのIntel公式仕様はコアスレッド数:10コア20スレッド、ベースクロック:3.7GHz、単コア最大ブーストクロック:5.3GHz、全コア最大ブーストクロック:4.9GHz、L3キャッシュ容量:20MB、TDP:125Wです。
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「Core i9 10900K」のIntel公称仕様値としてはTDP125WのCPUですが、実際の内部設定はマザーボードに依り、電力制限が無効化されている場合もあります。
「G-Master Hydro Z490」の標準構成および今回のサンプル機で採用されているASRock Z490 Extreme4についてはIntelの公式仕様の通り、『PL1:125W、PL2:250W、Tau:56s』の電力制限が正常に適用されていました。
G-Master Hydro Z490_Core i9 10900K_PowerLimit
CPUの電力制限は上のスクリーンショットに乗っている「Intel Extreme Tuning Utility」からも調整が可能ですが、システムの再起動で設定が初期化されてしまうので、各自で変更する場合はBIOSメニューから設定するのがオススメです。
ASRock Z490 Extreme4の場合は、「OCツール - CPU設定」の下の方にある長期間電力制限や短期間電力制限を調整します。電力制限を無効化する場合は4096に設定するとUnlimited(無制限)になります。
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サンプル機のシステムメモリにはCrucial CT8G4DFS832Aが2枚搭載されており、8GB×2=16GB容量、メモリ周波数は2933MHz、メモリタイミングは21-21-21-47-CR2です。
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今回のサンプル機に搭載されていたCrucial CT8G4DFS832AはSPDプロファイルでメモリ周波数3200MHzに対応するメモリでしたが、BIOSメニューからメモリ周波数がIntel第10世代Core i9/Core i7の定格である2933MHzになるように手動で設定されていました。
「G-Master Hydro Z490」のBTOカスタマイズではメモリ周波数に言及されていません。スケールメリット的に3200MHzに定格で対応する第3世代Ryzenと同じメモリが使用されている可能性も考えられるので、製品版でもBIOSメニューから2933MHzが指定されているだけで、メモリモジュール自体はCrucial CT8G4DFS832Aなど3200MHz対応かもしれません。
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G-Master Hydro Z490のGPUスペック

「G-Master Hydro Z490」は、NVIDIAの最新GPUであるTuring世代RTX 20XXシリーズにおいて最上位のウルトラハイエンドクラスに位置する「GeForce RTX 2080 Ti」が搭載されています。
「G-Master Hydro Z490」に搭載されたGeForce RTX 2080 Tiグラフィックボードについては独自の簡易水冷化が施されていますが、素体となっているのはManli製の廉価オリファンモデルです。ブーストクロックが1545MHz、パワーリミット(TDP)も250Wとなっており、GeForce RTX 2080 Tiのリファレンス仕様に則したスペックでファクトリーOCは施されていません。
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G-Master Hydro Z490のストレージスペック

「G-Master Hydro Z490」には標準搭載のシステムストレージとしてNVMe M.2 SSDの「Intel SSD 660p 512GB」が内蔵されています。
G-Master Hydro Z490_SSD_CDI_Intel-660p-512GB
「Intel SSD 660p 512GB」ついてストレージ性能の測定において定番ベンチマークのCrystalDiskMarkの結果が次のようになっています。「Intel SSD 660p 512GB」はNVMe接続に対応したM.2 SSDとなっており、理想的な最大アクセススピードが500MB/s程度のSATA接続SSDを3倍以上も上回る連続読み出し1.8GB/sの高速アクセスを実現しています。
G-Master Hydro Z490_SSD_CDM7_Intel-660p-512GB
システムストレージはBTO PCのカスタマイズオプションから、連続アクセススピード3.5GB/s前後とさらに高速な「Samsung SSD 970 EVO Plus」や「Western Digital WD Black SN750」にアップグレード可能です。またゲームのインストール先として使用するデータストレージも別途、追加できます。
Sycom G-Master Hydro Z490_Storage1_optionSycom G-Master Hydro Z490_Storage2_option

PCゲームのインストール先としてSSDとHDDではPCゲームのロード時間に大きな差があります。詳しくは下の記事を参照してください。「G-Master Hydro Z490」には2.5インチストレージを設置可能なスペースがあるので、注文時にカスタマイズから追加するか、各自で2.5インチSATA SSDを増設するのがオススメです。
【SATA SSD vs NVMe SSD vs HDD】 ゲームロード時間を比較
SSD vs HDD ゲームロード時間比較

また下の記事では、MLC/TLC/QLCのマルチビットセルやNVMe/SATA3.0など2020年最新のSSD事情について徹底解説しています。ストレージについて詳しく知りたい方は参考にしてください。
おすすめSSDまとめ。QLC/TLC/MLCやNVMe/SATA3.0など最新SSD事情を解説
本当に速いSSDはどれか?SSDの実用性能を比較
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G-Master Hydro Z490の温度・消費電力・ファンノイズ

「G-Master Hydro Z490」のCPU・GPUスペックや具体的な動作設定等について紹介したので、性能をチェックする前に、G-Master Hydro Z490の消費電力・温度・ファンノイズを見ていきます。

CPU負荷時のCPU温度とCPUコアクロックについて

まずは「G-Master Hydro Z490」に搭載されたCPUの「Core i9 10900K」にフル負荷をかけた時のCPU温度やコアクロックを確認します。
「Core i9 10900K」をG-Master Hydro Z490における標準設定で動作させて、ストレステストとして動画エンコードによって30分ほどフル負荷をかけ続けました。
G-Master Hydro Z490_temp_cpu_stress

ストレステストの開始直後1分弱は短期間電力制限によってTDP125Wの電力制限が無効化されるため200W超の発熱が生じ、この全コア4.9GHz張り付きの状態ではCPU温度が80度近くまで上がりますが、それ以降はTDP125Wの電力制限がかかるので、CPU温度は70度未満に収まります。
TDP125Wの電力制限が有効になるテスト後半ではCPUクーラー(ラジエーター)冷却ファンのファン回転数は1100RPM程度となっており、静音性も十分です。
このように電力制限無効化で運用する場合は240サイズ以上のマルチファン簡易水冷CPUクーラーが推奨ですが、仕様値通りにTDP125Wの電力制限が適用されていればCore i9 10900Kは、「G-Master Hydro Z490」に標準で搭載されている120サイズ簡易水冷CPUクーラーでも問題なく運用が可能です。

Sycom G-Master Hydro Z490_cpu-stress_temp
またサーモグラフィーでストレステスト中のVRM電源周りの温度を確認してみましたが、簡易水冷CPUクーラーでVRM電源周りに直接風の当たらないパッシブ空冷でも、ホットスポットは70度以下に収まりました。
Sycom G-Master Hydro Z490_FLIR_10900K-TDP125W (1)
なおCore i9 10900KやCore i9 10900を電力制限無効化で運用する場合はマザーボードのVRM電源回路やVRM電源クーラーにも注意が必要になります。(Core i7 10700K以下のモデルについてはCPU消費電力が125W以下に収まるので基本的に問題なし)
Core i9 10900KやCore i9 10900を電力制限無効化に対応可能なマザーボードについては下のマザーボードレビュー記事などを参考にしてください。
Intel 400シリーズ(Z490/H470/B460)マザーボードのレビュー記事一覧へ
主要4社Z490マザーボードを徹底比較!第10世代Core-Sにイチオシはどれか?
Intel Z490マザーボード比較


ゲーム負荷時のGPU温度とCPU温度について

続いてG-Master Hydro Z490に搭載されたGPUの「GeForce RTX 2080 Ti」とCPUの「Core i9 10900K」にPCゲームプレイ時に相当する負荷をかけ続けたときのGPU温度とCPU温度をチェックしていきます。

今回使用するグラフィックボードは2020年最速のGeForce RTX 2080 Tiなので、測定負荷として3DMark Time Spy Extreme Stress Testを使用しました。
G-Master Hydro Z490_3DMark TimeSpy Stress Test
「G-Master Hydro Z490」に搭載されたGeForce RTX 2080 TiグラフィックボードはGPUコアの冷却に120サイズ簡易水冷クーラーを採用しているので、長期的なゲーミング負荷に対してGPU温度は60度台前半に収まっています。ラジエーター冷却ファンも定格回転数900RPMの定速動作なので静音性も十分です。
Sycom G-Master Hydro Z490_gpu-stress_temp
なお下のグラフにも掲載されているグラフィックボードからモニタリング可能なファン回転数は元々搭載されていたブロアーファンです。前述の通りGPUコア自体は簡易水冷クーラーで冷却されており、ブロアーファンはVRAMとVRM電源の冷却のみに使用されています。ブロアーファンの最大速度は1700RPM程度と若干高速ですが、GPUコアの冷却には影響がほとんどなく、VRAMとVRM電源の冷却だけであればここまでの回転数は必要ないので、MSI AfterBurner等のチューニングソフトでファン速度を落としても問題ないと思います。



G-Master Hydro Z490の消費電力について

「G-Master Hydro Z490」の消費電力についてチェックしていきます。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力をリアルタイムモニタリング可能なワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニット(ACアダプタ)の変換損を含めた「G-Master Hydro Z490」のシステム全体の消費電力をチェックしています。
REX-BTWATTCH1

「G-Master Hydro Z490」はバックグラウンドタスクによって変動もありますが、アイドル状態におけるシステム消費電力は概ね55W前後で推移します。
主にGPUに対してフル負荷のかかる3DMark TimeSpy Extreme グラフィックテスト1では「G-Master Hydro Z490」のシステム消費電力は350W前後になります。
G-Master Hydro Z490_Power_idleG-Master Hydro Z490_Power_GPU
CPUに対してフル負荷のかかる動画のエンコードを行うと、「G-Master Hydro Z490」がCore i9 10900Kを搭載し、かつ電力制限がIntel仕様値通りに適用されている場合、負荷開始直後の1分弱は300W程度のシステム消費電力が発生しますが、Tau=56sを超過すると長期間電力制限でCPU消費電力がTDP=125Wに制限されるので、システム消費電力は200W前後に収まります。
G-Master Hydro Z490_Power_CPU_10900K-ShortG-Master Hydro Z490_Power_CPU_10900K-long
3DMark FireStrike Ultra グラフィックテスト1はGPUに対してフルに負荷がかかりますが、CPU負荷は軽いので、実際のゲーム次第ではCPU負荷が大きくなり消費電力が上がる可能性もありますが、G-Master Hydro Z490で標準採用の電源ユニット「SilverStone SST-ST75F-GS V3」は電力容量750Wなのでさらに高い負荷がかかっても電源ユニット自体の電力供給能力面では問題ありません。
G-Master Hydro Z490 review_00739_DxO
「SilverStone SST-ET750-G」は電源負荷60%(450W程度)までは電源ユニット冷却ファンのファン速度は1000RPM未満なので静音性も十分です。このファン回転数であれば電源ユニットが騒音上のボトルネックになることはないと思います。
SST-ST75F-GS V3_Fan


G-Master Hydro Z490のファンノイズについて

この章の最後に「G-Master Hydro Z490」のファンノイズをチェックしていきます。
まずアイドル時についてノイズレベルは36dB程度となりました。電源オフ時が33dB程度なので、PCの電源が入っていてファンが動作していることもわかりますが、ファンノイズを煩く感じることはまずないレベルです。
G-Master Hydro Z490 review_00790_DxO
続いて動画エンコードなどCPUにフル負荷のかかるタスクを実行した時のファンノイズについて、温度や消費電力で解説した通り、負荷開始直後はCore i9 10900Kの短期間電力制限で200W超クラスのCPU消費電力が発生するため、ノイズレベルが40dBを超えるファンノイズが発生し、多少煩く感じます。
長期間電力制限でCPU消費電力が125W前後に制限されると、ノイズレベルは38dB前後まで下がるので、アイドル時と大差ない感覚です。
Core i9 10900Kを常時、電力制限無効化で運用するということであればCPU温度のみならず静音性の観点からも、やはり240サイズの大型簡易水冷CPUクーラーを選択するのがオススメです。
G-Master Hydro Z490 review_00793_DxO-horz
3DMark Time Spy Extreme Stress Testを使用したゲーミング負荷時のファンノイズについて、ノイズレベルは38dB程度に収まりました。TDP250WのウルトラハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080 Tiを搭載するBTO PCでは3スロット占有の大型クーラーのAIBモデルを採用していても空冷GPUクーラーではノイズレベルが40dBを超えるのは珍しくありません。やはり簡易水冷化グラフィックボードを採用する「G-Master Hydro Z490」の静音性は非常に優秀です。
G-Master Hydro Z490 review_00787_DxO

以上のように「G-Master Hydro Z490」では標準設定のままでもファンノイズが特別に煩く感じることはないと思いますが、CPUクーラー冷却ファンについては、「G-Master Hydro Z490」に採用されているマザーボード ASRock Z490 Extreme4のBIOSメニュー上でファン速度を手動で設定することも可能です。
なお3基のケースファンについてはファンハブ上の回転数を返すファン端子にファンが接続されていないのでBIOSメニュー上からファン回転数を見つけることができませんが、ケースファン3の項目からファン速度を制御できます。
G-Master Hydro Z490_ASRock Z490 Extreme4_Fan

BIOS(UEFI)メニューにはPC起動中にDelキーを連打すれば入れますが、Windows上で作成できる再起動ショートカットを作成するという手もあります。非常に便利なのでオススメです。




G-Master Hydro Z490のCPU性能とGPU性能

最後に「G-Master Hydro Z490」のCPU性能とGPU性能をチェックしていきます。

G-Master Hydro Z490のCPU性能(クリエイティブタスク)

続いて「G-Master Hydro Z490」に搭載されたCore i9 10900KのCPU性能に大きく依存する、クリエイティブタスクにおけるパフォーマンスをチェックしていきます。

「G-Master Hydro Z490」に搭載されたCore i9 10900Kは、10コア20スレッドのCPUであり、単コア最大動作クロックは5.3GHz、全コア最大動作クロックは4.9GHzです。PL1:125Wの電力制限が仕様通り適用されている場合、3Dレンダリングや動画のエンコードなど全コアに対して大きく負荷がかかる時の実動クロックは4.3~4.4GHz程度となります。

「G-Master Hydro Z490」において10コア20スレッドCPUのCore i9 10900Kは全コア4.4~4.9GHz程度で動作するので、CPUのマルチスレッド性能を測定するベンチマークで定番のCinebench R15のスコアは2600程度、Cinebench R20のスコアは6300程度でした。
G-Master Hydro Z490_Core i9 10900K_cinebench-rR15
G-Master Hydro Z490_Core i9 10900K_cinebench-rR20

CPU性能の詳細な検証に用いるクリエイティブタスクについてはCPU使用率がフルロードになる3Dレンダリング、動画エンコード、RAW現像、ゲームビルドの4種類となっています。
具体的な測定内容は、3Dレンダリングはオープンソース3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフト、動画のエンコードは無料で利用できる動画編集ソフトとして国内外で多数のユーザーがいる「Aviutl」のx264エンコーダによる4K動画のエンコード、RAW現像はDxO PhotoLab(PRIMEあり、5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚)、デモプロジェクト「Infiltrator」を使用したUnreal Engine 4によるゲームビルドです。

3DCGソフト「Blender」の公式ベンチマークソフトで測定する3Dレンダリング性能についてはレンダリング時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、比較対象の中で最も遅いものを基準にして、「G-Master Hydro Z490」に搭載されるCore i9 10900Kを含めた各種CPUのレンダリング速度を性能比としてグラフ化しました。
Intel Core i9 10900K_rendering_blender_2_pef

x264エンコーダによって3840×2160解像度の動画をH.264 (MPEG-4 AVC)の3840×2160解像度へエンコードした時のエンコード速度について「G-Master Hydro Z490」に搭載されるCore i9 10900Kを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Intel Core i9 10900K_encode_aviutl_x264_3840-3840

DxO PhotoLabによるRAW現像速度について「G-Master Hydro Z490」に搭載されるCore i9 10900Kを含めた各種CPUのベンチマーク結果を比較すると次のようになっています。
Intel Core i9 10900K_DxO

「Unreal Engine 4 - Infiltrator」のビルド性能については、ビルド時間だけを見ても性能差が直感的にわかりにくいので、比較対象の中で最も遅いものを基準にして、「G-Master Hydro Z490」に搭載されるCore i9 10900Kを含めた各種CPUのビルド速度を性能比としてグラフ化しました。
Intel Core i9 10900K_ue_2_perf

「G-Master Hydro Z490」のクリエイティブタスク性能について簡単にまとめると、全コア4.9GHzで動作する電力制限無効化の状態であれば、Core i9 9900KやCore i7 10700Kなど8コア16スレッドCPUをコアスレッド数の通りスケーリングして25%程度高い性能を発揮します。
PL1=TDP=125Wの電力制限がかかると10%弱性能が下がります。「G-Master Hydro Z490」の標準構成については、PL1=125Wの電力制限が有効な時の性能となります。
Intel Core i9 10900K_Performance_vs-10700K-3900X
競合AMDのメインストリーム向けCPUである第3世代Ryzenで価格の近いRyzen 9 3900Xと比較するとコアスレッド数が少ないので、クリエイティブタスク性能では10%程度劣ります。
クリエイティブタスク性能やそのコストパフォーマンスを重視するのであれば、第3世代Ryzenを選択できる「G-Master Hydro X570 II」を選択した方が良いかもしれません。
G-Master Hydro X570A II_top


「G-Master Hydro Z490」に搭載されたCore i9 10900Kについては個別の詳細レビューを公開しているので、詳しくはこちらを参照してください。
「Intel Core i9 10900K」をレビュー。ゲーマー向け最速は偽りなし
Intel Core i9 10900K

「G-Master Hydro Z490」で選択可能な下位CPUのCore i7 10700KやCore i5 10400についても詳細レビューを公開中です。
「Intel Core i7 10700K」をレビュー。ベストオブゲーミングCPUの素質はあるがIntel Core i7 10700K

「Intel Core i5 10400」をレビュー。8700Kに迫るが本命は10400F
Intel Core i5 10400


G-Master Hydro Z490のGPU性能(PCゲーミング)

続いて「G-Master Hydro Z490」に搭載されたGPUであるGeForce RTX 2080 TiのPCゲーミング性能についてチェックしていきます。

最初に補足として、「G-Master Hydro Z490」に搭載されたCore i9 10900KはクリエイティブタスクのようにCPUへフル負荷がかかった場合、電力制限によって全10コアの動作倍率は4.3~4.4GHz程度となりますが、全コアが稼働するものの負荷的には余裕でTDP範囲内に収まるワークロードであれば、多コア多スレッドなCore i9 10900Kでも多くのコアで4.9GHzの高いコアクロック維持できます。TDP125Wの電力制限であれば240FPSのハイフレームレートでも基本的にCPU Package Powerが125Wを長期的にオーバーすることはないはずです。
Intel Core i9 10900K_Core-Clock_Boost_Multi_Game

国内最大手かつ大人気のMMO RPG「ファイナルファンタジーXIV」の2019年最新大型アップデート「FFXIV: 漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークソフトで「G-Master Hydro Z490」のPCゲーミング性能を測定してみました。(FF14ベンチはスコア10000を超えるとメモリやCPUのボトルネックベンチになるためGPUだけ高速になってもスコアに差が出なくなります。)
「G-Master Hydro Z490」はフルHD解像度のグラフィック設定:最高品質においてベンチマークスコアは14000オーバーとなっており、快適度評価も「非常に快適」をマークしています。FFXIV: 漆黒のヴィランズの公式ベンチマークソフトでは総合スコアを1.5×100で割った値がちょうど平均FPSなので、「G-Master Hydro Z490」ならFFXIV: 漆黒のヴィランズを4K解像度で平均60FPSオーバーの滑らかなプレイも余裕です。
G-Master Hydro Z490_RTX2080Ti_FF14

また2019年最新PCゲームと比較しても高画質でグラフィック負荷が重いPCゲームに分類されるシングルプレイ用ロールプレイングゲーム「ファイナルファンタジーXV」の公式ベンチマークソフトで「G-Master Hydro Z490」のPCゲーミング性能を測定してみました。
「G-Master Hydro Z490」は4K解像度のグラフィック設定:高品質においてベンチマークスコアは6000オーバーとなっており、快適度評価も「快適」をマークしています。ファイナルファンタジーXVの公式ベンチマークソフトでは総合スコアを100で割った値がちょうど平均FPSなので、GeForce RTX 2080 Tiを搭載する「G-Master Hydro Z490」なら平均60FPSをキープできています。
G-Master Hydro Z490_RTX2080Ti_FF15
さらにGeForce RTX 2080 Tiに搭載される専用テンサーコアを使用したディープラーニング(深層学習)によるアンチエイリアス/超解像機能「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を使用すれば、同等以上の画質を維持したままさらにフレームレートを上げることができるので、最小フレームレートにも余裕をもって4K/60FPSで快適にプレイが可能です。
G-Master Hydro Z490_RTX2080Ti_FF15_DLSS

NVIDIA GeForce RTX 20XXシリーズのナンバリング最上位モデル「GeForce RTX 2080 Ti」は前世代最上位GTX 1080 Tiよりも35%以上も高速な2019年現在最も高速なグラフィックボードで、鏡面や影の表現がよりリアルになる高画質レンダリング機能「Raytracing(レイトレーシング)」に対応しています。
国内価格が16万円前後と非常に高価でコストパフォーマンスに難がありますが、予算に糸目を付けず、2019年以降に発売される最新PCゲームを4Kなどの超高解像度かつ最高画質設定でプレイしたい、もしくは近年流行りのバトルロイヤル系PCゲームをフルHD/240FPSでプレイして勝ちを狙うガチプレイをしたいという人にはおすすめです。「Raytracing(レイトレーシング)」やテンサーコアを使用したディープラーニング超解像機能「DLSS」など最新機能も使用できます。
GerForce RTX 2080 Ti_Perfsum

GeForce RTX 2080 Tiの性能については同GPUを搭載したグラフィックボードの個別レビューや、2019年最新の下位モデルRTX 2080 SUPERのレビュー記事の中で、個別ゲームタイトルに関するベンチマークなど詳細に言及しているのでこちらを参照してください。
「GeForce RTX 2080 SUPER」をレビュー。独壇場なハイエンドGPU
GeForce RTX 2080 SUPER Founders Edition

GeForce RTX 2080 Tiのレビュー記事一覧へ
GeForce RTX 2080 Ti レビュー記事一覧へ



G-Master Hydro Z490のレビューまとめ

最後に10コア20スレッド「Intel Core i9 10900K」とウルトラハイエンドGPU「NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti」を搭載したゲーミングBTO PC「G-Master Hydro Z490」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • クリエイティブ作業やゲーム実況にも対応できる10コア20スレッドCore i9 10900Kを搭載
  • システムメモリはメモリ周波数がネイティブ2933MHz
  • 4K/60FPSやFHD/240FPSで最新ゲームがプレイ可能なGeForce RTX 2080 Tiを搭載
  • Asetek製簡易水冷クーラーによる独自水冷化グラフィックボードで静音性が非常に優秀
  • PCケースは拡張性に優れる「Fractal Design Define 7」
  • マザーボードは自作PC向けに市販されている「ASRock Z490 Extreme4」(標準構成)
  • 電源ユニットは自作PC向けに市販されている「SilverStone SST-ET750-GS V3」(標準構成)
  • システムストレージはNVMe M.2 SSD「Intel SSD 660p 512GB」(標準構成)
  • システムストレージのM.2 SSDには放熱ヒートシンクを搭載
  • マザーボードで制御可能なRGB対応LEDテープが標準で装着されている
悪いところor注意点
  • 一般的な同等スペック(CPU&GPU)のBTO PCよりも2~3万円ほど高価

10コア20スレッドCPUのCore i9 10900KとウルトラハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080 Tiを搭載した「G-Master Hydro Z490」は、2020最速のGPU性能によって最新PCゲームを4K/60FPSやフルHD/240FPSで快適にプレイするだけでなく、10コアCPUの卓越したマルチスレッド性能によって高品質なゲーム実況も行うことが可能な最速ゲーミングBTO PCです。

CPU単独レビューで解説しているようにゲーマー向け最速CPUという側面はあるものの、Core i9 10900Kのマルチスレッド性能は単純にPCゲームをプレイするだけであれば持て余す可能性が高いので、予算重視であれば下位のCore i7 10700KやCore i7 10700を選択するのがオススメですが、ゲームプレイのみならずゲーム実況や4K動画編集などクリエイティブタスクも行う人には是非検討してもらいたいCPUです。

実機を触ってみた一番正直な感想としては「G-Master Hydro Z490」は所謂BTO PCというよりも、非常に完成度の高い自作PCが出来上がった状態で手に入ると考えるほうが近い気がしました。各種電源ケーブルの綺麗な配線一つとってみてもなかなか自作PC初心者には組み上げるのが難しい出来栄えのPCがそのまま手に入るというのはかなり魅力的です。
自作PC向けの新定番PCケースであるFractal Design Define 7が採用されていることを始めとして、今後、グラフィックボードのアップグレードやCPU&マザーボードの交換を行っても流用の効くパーツばかりなのでゼロからの自作PCはハードルが高いという人はまずこのBTO PCから参入しても良いと思います。
同スペックの同社or他社の空冷グラボ搭載BTO PCに比べて2~4万円程高くなりますが予算が許すのであれば、それを除けば基本的に非の打ちどころがないので「G-Master Hydro Z490」は文句なしにおすすめのBTO PCです。

以上、「G-Master Hydro Z490」のレビューでした。
G-Master Hydro Z490 review_00637_DxO



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