SilverStone SX1000


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50%負荷時に92%以上の高変換効率を証明する80PLUS Platinum認証を取得、電源容量1000Wの大容量なスモールフォームファクタ向けSFX-Lサイズ電源ユニット「SilverStone SX1000(型番:SST-SX1000-LPT)」をレビューしていきます。
GeForce RTX 3090やRadeon RX 6900 XTなどウルトラハイエンドグラフィックボードと、10コア超のメインストリーム向け最上位CPUを搭載し、ピーク負荷が800Wオーバーにも達する環境において静音動作が可能なのか徹底検証していきます。

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代理店公式ページ:http://www.dirac.co.jp/sst-sx1000-lpt/
製品公式ページ:https://www.silverstonetek.com/product.php?pid=965&area=jp

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SilverStone SX1000 レビュー目次


1.SilverStone SX1000の外観や概要について
2.SilverStone SX1000のケーブルや電源端子について
3.SilverStone SX1000のファンノイズと電圧安定性
4.SilverStone SX1000のレビューまとめ




【機材協力:SilverStone】



SilverStone SX1000の外観

早速パッケージを開封してSilverStone SX1000の外観や付属品をチェックしていきます。
「SilverStone SX1000」のパッケージの構造はN式箱で、天面を短辺方向に開くので開封時のスペースが最小限です。キャラメル箱型の外スリーブや長辺方向に開くN式箱でないのは個人的に好感が持てるところです。
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パッケージを開くと右側にはスポンジスペーサーに保護された電源ユニット本体が収められており、各種ケーブル類は専用ナイロンバッグに封入された状態でパッケージ左側に収められていました。
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プラグインケーブル以外の付属品としては固定ネジとACケーブルとケーブルタイとマニュアルです。
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電源ユニット本体はスポンジ製スペーサーで保護された状態でパッケージ内に収納されています。
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「SilverStone SX1000」の電源ユニット本体をチェックしていきます。
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「SilverStone SX1000」は電源ユニット側面にメーカーロゴや製品名が描かれたシールが貼られている以外に装飾の類はなく、シンプルな外観です。
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「SilverStone SX1000」はSFX-L電源ユニットなので寸法は規格で規定されており、幅125mm×高さ63.5mm×奥行125mmです。SFX電源よりも奥行きが25mm大きくなっています。
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SFX-L電源は自作PC標準規格のATX電源よりも背が低いので、別売りのATX電源 to SFX電源マウント変換ブラケット「SilverStone SST-PP08B」を使用することで、マザーボード直上に電源ユニットを設置するようなコンパクトPCケースでCPUクーラーの設置スペースを拡張することができます。
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SFX電源よりも25mm大きい奥行きによって、SFX-L電源ユニットの「SilverStone SX1000」は120mm角15mm厚のスリムファンを搭載でき、電源ユニットの冷却性能や静音性においてアドバンテージがある構造になっています。冷却ファンの軸受けには摩擦が少なく高耐久性・長寿命なダブルボールベアリングが採用されています。
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「SilverStone SX1000」は低負荷時に電源ユニット冷却ファンが停止するセミファンレス機能にも対応しており、電源負荷20%以下(200W以下)でファンが停止します。電源負荷700W以下でファン速度が1000RPM以下となっており、ファン動作時の静音性も高そうです。
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「SilverStone SX1000」ではATX24ピン以外の使用しない可能性のあるプラグインコネクタには防塵保護キャップが付属しています。電圧のかかる部位なので不測のショート発生などを避けるための措置としては良いと思いました。長期使用で放置したままの端子の劣化も抑えられそうです。この保護キャップは他の高級プラグイン電源にも採用して欲しいです。
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「SilverStone SX1000」は電源ケーブルが全て着脱可能なフルプラグイン型で、プラグイン端子は次のようになっています。
「SilverStone SX1000」には付属のATX24PIN電源ケーブルを接続するSenseと表記された4PINのプラグイン端子が実装されています。Sense端子は『誤差±3%以下の出力制御および低リップルノイズな高い安定性を実現するフィードバック制御』を行うために使用されています。
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「SilverStone SX1000」のプラグイン端子のピンアサインは、基本的に同社の従来モデルと共通なので、SilverStoneのオプションパーツであるショートケーブル「SST-PP05-E」やロングケーブル「SST-PP05-L」はSX1000でも使用可能です。なお上で紹介したSense端子はオプショナルな電力供給安定機能なので、SST-PP05-EやSST-PP05-LのようにSense端子のないケーブルも問題なく使用できます。
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ただし同社製SFX(-L)サイズ電源ユニットの従来モデルとの違いとして、EPS電源とPCIE補助電源のプラグインコネクタが共通化しています。「SilverStone SX1000」ではPCIE補助電源プラグインケーブルのみSST-PP05-Eなど従来のアクセサリパーツと非互換なので注意してください。
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ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチが付いています。
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「SilverStone SX1000」は電源負荷50%の環境下において92%以上の電力変換効率を発揮することが確認済みの80PLUS Platinum認証が取得されています。
変換効率こそ同社製既存モデルのSX800-LTIより1ランク下ですが、「SilverStone SX1000」はSFX-Lサイズ電源ユニットでは史上最大となる1000Wという超大容量な電源容量を実現しており、+12V出力はシングルレールで83.3Aの出力に対応しています。
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「SilverStone SX1000」は1次側と2次側の両方に日本メーカー製コンデンサなどの高品質素子を採用する優れた回路設計によって、±3%の高精度な電圧制御および低リップルノイズの安定した電力供給と長寿命を実現しています。
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SilverStone SX1000のケーブルや電源端子について

「SilverStone SX1000」に実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。
「SilverStone SX1000」のプラグインケーブルは製品パッケージ内の電源ユニット本体右側に収められていたナイロンバッグの中に入っています。

SilverStone SX1000で使用するプラグインケーブルはいずれも、高級電源に採用されることが多く、省スペースで取り回しに優れたフラットきしめん型ケーブル(リボンケーブル)で構成されています。
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「SilverStone SX1000」で使用可能な電源ケーブルの長さやコネクタ数の一覧は次のテーブルのようになっています。
「SilverStone SX1000」のモジュラー端子/ケーブル構成
種類 コネクタ数 ケーブル
数量 x 長さ
(1本のコネクタ数)
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ATX
20/24 PIN
1  1 x 300 mm
CPU/EPS
8(4+4) PIN
2  2 x 400 mm
PCIE
8(6+2) PIN
6
 3 x 400 + 150 mm (2)
SATA 8
 2 x 300 + 200 + 100 + 100 mm (4)
Peripheral
Floppy
3
1
 1 x 300 + 200 + 200 +100 mm (3 + 1)


「SilverStone SX1000」をはじめSilverStone製のSFX電源ユニットやSFX-L電源ユニットは別売りオプションパーツのショートケーブルキット「SST-PP05-E」やロングケーブルキット「SST-PP05-L」も使用できます。(注:SX1000ではPCIE補助電源ケーブルのみ非互換)
SST-PP05-Eは他社製品はもとよりSX1000など同社製コンパクト電源ユニットに付属するケーブルよりも細く柔らかいため非常に取り回しがよく、小型PCのビルドに最適化されています。
ショートケーブルキットSST-PP05-Eを使うと実際にMini-ITX対応コンパクトPCケースで自作PCを組む時に電源ケーブルのケーブルマネジメントがとても楽になるので、コンパクトPCの作成でSFXやSFX-L電源を選ぶならSilverStoneの製品は特にオススメです。
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SilverStone SX1000の電源ケーブルについて個別にチェックしていきます。
一般的なATX電源ではATX24PINケーブルの長さは500~600mm程度の長さですが、「SilverStone SX1000」のATX24PINケーブルは小型PCケースへの組み込みが想定されて長さ300mmのショートケーブルになっています。
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SX700-PTのATX24PINケーブルには電源ユニット本体をチェックした時に紹介したようにOC時の電力供給安定機能用のSense端子がマザーボード側のコネクタから伸びています。
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また本体のケーブルも「SilverStone SX1000」に付属するATX24PIN電源ケーブルは別売りオプションのショートケーブルキットSST-PP05-EのATX24PIN電源ケーブルと比較すると、若干長さが異なるのとSense端子のケーブルが伸びていることを除けば見た目はほぼ一致していますが、実際に触ってみると標準で付属するケーブルの方が、若干太い&固いケーブルになっています。OC時の安定性を優先するならSense端子のある付属ケーブルを使用したいところですが、取り回しを優先する場合は細くて柔らかいオプション品のSST-PP05-Eを使用した方がいいと思います。
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PCIE補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、「SilverStone SX1000」のプラグインケーブルではそれぞれの電源コネクタの側面に「PCI-E」や「EPS」と表記されており、自作PC初心者にもわかりやすくなっています。
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「SilverStone SX1000」ではEPS 8PIN電源のプラグインケーブルは全長400mmのケーブルが2本付属します。Mini-ITXマザーボードでは基本的にEPS 8PINを1基しか使用しませんが、最近ではATXマザーボード対応でSFX(-L)サイズ電源を使用するという変わり種なコンパクトPCケースもあるので、そういった用途にも対応できます。
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EPS端子については8PINを4+4PINに分離可能なコネクタが採用されています。欲を言えば使い勝手を考えると4PIN同士がロックピンで結合できるコネクタ(参考写真)を採用するか、片方は8PIN固定タイプにして欲しいところ。
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「SilverStone SX1000」に付属するPCI-E補助電源ケーブルは8PIN(400mm)からもう1つの8PIN(150mm)が分岐するケーブルです。8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
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「SilverStone SX1000」のPCIE補助電源ケーブルは同種のケーブルが3本付属しています。
ケーブル1本当たり、電源ユニットプラグインコネクタ1つ当たりの電流量を分散し、ケーブルの焼き切れ(めったにないが)やOCPによる電源の強制落ちを防ぐ意味で、最新ハイエンドグラフィックボードではコネクタと1ケーブルの1対1が推奨されますが、PCIE補助電源を3基搭載するようなウルトラハイエンドグラフィックボードにも対応できます。
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SATA電源ケーブルとして、全長700mm(300 + 200 + 100 + 100mm)で4コネクタのケーブル2本が付属します。SATA端子は8基使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
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4PINペリフェラル電源ケーブルは全長800mm(300 + 200 + 200 +100 mm)で3コネクタのケーブルとなっており、先端にはフロッピー端子が付いています。
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SilverStone SX1000のファンノイズと電圧安定性

SilverStone SX1000の負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。
SilverStone SX1000の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
OS Windows10 Home 64bit

CPU

Intel Core i9 9900K(レビュー
Core/Cache:5.1/4.7GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
M/B ASUS WS Z390 PRO
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
4000MHz, CL17-17-17-37-CR2
システムストレージ
Samsung SSD 860 EVO M.2 1TB
MZ-N6E1T0B/IT (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


上記のベンチ機でグラフィックボードをGeForce GTX 1650、GeForce GTX 1660 Ti、GeForce RTX 3060 Ti、GeForce RTX 3070、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3090、Radeon RX 6800 XT、Radeon RX 6900 XTなどに変え、もしくは電力制限等から調整を行って、特定の消費電力に対する負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。測定負荷にはTime Spyグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。

消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見られるワットチェッカー「ラトックシステム REX-BTWATTCH1」を使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。なお同ワットチェッカーでは消費電力は1秒ごとにW単位で表示されますが、平均的な数値になっており実際の瞬間最大値はさらに高い値を取っている場合があります。記事中では表示値からおおよその平均を取って表記しますが、実際には+100Wから+200Wの瞬間的な負荷が発生することがあるので注意してください。
REX-BTWATTCH1

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ラトックシステム ワットチェッカー


電源ユニットのファンノイズはサウンドレベルメーターを利用してノイズレベルを測定・比較していきます。
電源ユニットは机の上に横置きとし、電源ユニットの吸気面と向かい合わせにして50cmほど離した位置にサウンドレベルメーターを設置しています。
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この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になると煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
*記事中に青色の騒音計も出てきますが、ファンノイズが大きく変化する時やファンストップ時の指標、距離などを統一せずにざっくり”とても静か”と分かりやすくするため、等に使っているだけなので数値自体の比較はしないでください。

またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。電源ユニットのファンノイズを測定する瞬間は電源負荷に影響が出ないように注意した上で、グラフィックボードやCPUクーラーの冷却ファンのファン速度を下げているので、測定値33dB以上であれば、これらの影響は基本的に無視して問題ありません。
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消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
「SilverStone SX1000」のファンノイズについては、シングルグラフィックボード環境で一般的に消費される400Wはもちろん、TGP300W超のRTX 3080/3090を搭載した500W負荷、さらには実用上、同電源ユニットで安定動作を狙える850W前後の負荷に至るまで、ノイズレベルは33dB以下という非常に優れた静音性を発揮しました。

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システム 消費電力 ファンノイズ
アイドル
60 30.0
(ファン停止)
GTX 1650 / SUPER
120
GTX 1660 Ti / SUPER
200
RTX 2060/S, RX 5700 250
RTX 2070/S, RX 5700 XT 300
RTX 2080 SUPER, Radeon VII 350 31.7
RTX 2080 Ti, RX 6800 400 32.0
RTX 3080, RX 6800 XT
450 32.3
RTX 3090, RX 6900 XT 500
32.3

550~750 32.3

800 32.7

850 33.0


「SilverStone SX1000」は850Wクラスの負荷をかけても、平置きの状態で耳を近づけ、注意してファンの動作に気付く程度です。PCケースに入れてしまえばファンが動作しているかどうかも分かり難いレベルの静音性を実現しています。
電源容量が大きくなった反面、変換効率は前最大容量SX800-LTIのTitanium認証から1ランク下がってPlatinumになったので静音性は多少犠牲になっているかも、と想定していたのですが、完全に杞憂でした。
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また「SilverStone SX1000」は低負荷時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、公式仕様では200W負荷までファンが停止するとのことでしたが、実機で検証してみたところ変換損含む消費電力が300~350W以下であればファンは完全に停止していました。300W前後の負荷を30分程度かけ続けたのですが、ファンが始動することはなく、今回の検証では温度セーフティーの有無は確認できませんでした。
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「SilverStone SX1000」では消費電力が350~400Wを超過すると瞬時に冷却ファンが始動します。「SilverStone SX1000」のファン制御は電力負荷のみを参照しているようで、温度制御によるファン速度の変動は確認できませんでした。
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下の動画を見ての通り、電力負荷が閾値を上回るとファンは即座に始動しますが、逆にファンの停止については電力負荷が閾値を下回ってから停止するまで数秒間の遅延があります。そのため、負荷中に瞬間的に電力負荷が下がることがあっても、停止と始動を繰り返す乱高下のようなファン動作は起きません。


以上のように「SilverStone SX1000」の電源ユニット冷却ファンの静音性については、負荷850W以下の実用的な範囲内において非常に優秀なのですが、セミファンレス機能において温度セーフティーの動作が確認できなかったところが少々気がかりです。
試しにファン始動閾値の上限ギリギリとなる300W前後で長時間負荷をかけ続けたところ、内部温度のホットスポットは100度を大幅に超過しました。メーカーに確認したところ、確かに内部温度が高温になることはあるようですが、しっかりと耐えられるように設計されているとのことです。
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また冷却ファンが常時動作する850W負荷時についても100度を超過するホットスポットが生じていました。
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電源内部に100度超のホットスポットが生じる状態でも電源ユニット背面の温度は40~50度程度に収まるので、コンパクトPCケースにおいて、電源ユニットに近接する機器への熱の転写は大きくないと思いますが、やはり最大で100度を超える内部温度は気になります。
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続いて「PassMark Inline PSU Tester」という電源電圧等の検証ツールを使用し、電源容量の半分を超えるような大負荷時にPCIE補助電源+12Vがどの程度安定しているのかチェックしてみました。(まだ20年10月から導入したばかりなので参考までに)
PassMark Inline PSU TesterについてはTechpowerupという海外サイトにおいてその測定値が、電力測定用の専門機器と比較してどれくらい精度があるのか検証されています。
PassMark Inline PSU Testerでは単純な電力・電圧・電流だけでなく、リプル、PSU Timings、Slew Rateなど細かい部分も計測できるのですが、内容が専門的になり過ぎ、一部測定値は専門測定機器に比べて誤差が大きい(TPUによると)という理由もあって、当サイトでの検証では測定値が信頼できそうで、なおかつ電源ユニットの性能として一般ユーザーにとっても身近かつ分かりやすい、PCIE補助電源+12Vの安定性に的を絞ってチェックしていきます。
PassMark Inline PSU Tester
「PassMark Inline PSU Tester」を使用したPCIE補助電源+12V安定性の検証方法についてはファンノイズの測定と同様に、3DMark Time Spyグラフィックテスト1のループ再生を使用して一定の電源負荷をかけ続けます。さらに電源負荷をかけたい場合はグラフィックボードを2枚にしたり、同時にCPUを使用した動画のエンコードを行ったりします。以上の方法で一定の電源負荷を10分程度かけ続け、その間にグラフィックボードに接続したPCIE補助電源の+12V電圧がどの程度安定しているのか、ログから確認します。
PassMark Inline PSU Tester_stress-test
また負荷として3DMark Time Spy グラフィックテスト1ではなく、AIDA64 System Stability Testを使用することもあり、検証に使用した負荷は文章やグラフに併記しています。AIDA64 System Stability Testを使用すると3DMark Time Spy グラフィックテスト1に比べて電力変化が小さいので、電圧変動も小さくなります。
AIDA64 Stability Test


「SilverStone SX1000」に対して3DMarkで500W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は4.4%程度でした。
SilverStone SX1000_PCIE+12V_500W_3DM

「SilverStone SX1000」に対してAIDA64で500W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は2.7%程度でした。
SilverStone SX1000_PCIE+12V_500W_AIDA

「SilverStone SX1000」に対して3DMarkに加えてx264エンコードで650W~700W程度の電源負荷をかけ続けた時に、グラフィックボードへ接続したPCIE補助電源の+12V電圧の挙動は次のグラフのようになりました。連続変化ではありませんが観測された最大値と最小値の変動幅は3.9%程度でした。
SilverStone SX1000_Voltage-Stability_PCIE+12V_700W



SilverStone SX1000のレビューまとめ

最後に「SilverStone SX1000(型番:SST-SX1000-LPT)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 電源容量1000W、変換効率92%以上のPlatinum認証取得のハイエンド電源ユニット
  • +12Vは83Aのシングルレール出力
  • コンパクトサイズなSFX-L電源ユニット
  • 実用的な負荷全域に対してノイズレベルは33dB以下
  • 電源負荷35%(350W)以下でファンレス動作が可能
悪いところor注意点
  • SFXよりも奥行きの25mm程度大きいSFX-Lサイズ
  • PCIE補助電源ケーブルのみPP05-Eなどアクセサリケーブルと非互換
  • 300W前後の負荷ではファンが停止したまま(温度セーフティーは確認できず)
  • 内部に100度超のホットスポットがある(メーカーによると設計の範囲内で耐えられるとのこと)

「SilverStone SX1000」はSFX-Lフォームファクタのコンパクトサイズながら50%負荷時に92%以上という優れた変換効率を証明する80PLUS Platinum認証を取得かつ、SFX-Lサイズでは世界最大となる電源容量1000Wの大容量というハイエンドスペックを実現しています。
同社のSUGO 15のようなMini-ITX対応コンパクトPCケースを使用して、GeForce RTX 3080やRadeon RX 6800 XTなどハイエンドグラフィックボードとCore i9 10900KやRyzen 9 5900Xなどメインストリーム向け最上位CPUを組み込んで自作PCを作る時のお供として、不足がないどころか、余裕を持って対応できる電源ユニットです

冷却ファンの静音性については、一般的なシングルグラフィックボード環境における400W程度から、TDP300W超な最新ハイエンドGPU環境における500W程度、さらには実用的な上限となる700W程度まで負荷全域においてノイズレベル33dB以下という非常に優れた性能を発揮しました。

ベンチ台に平置きしていても近づいて注意深く聞いてみないとファンの動作を確認できないレベルの非常に小さいファンノイズしか発しないので、PCケースに組み込んだ状態であればなおのこと、「SilverStone SX1000」が騒音上のボトルネックになることはないはずです。
また「SilverStone SX1000」には電源負荷35%前後を閾値としてセミファンレス動作にも対応しており、内部温度は制御ソースとせず、純粋に電力負荷だけを参照して制御されますが、ファン停止に際しては停止閾値を跨いでからファンが停止するまでに数秒の遅延があるため、瞬間的に負荷が途切れることによってファンが乱高下するような心配もありません。

「SilverStone SX1000」のプラグインコネクタは、基本的に旧モデルと同じピンアサインになっており(PCIE補助電源ケーブルのみ非互換なので注意)、同社製オプション品のショートケーブル「SST-PP05-E」やロングケーブル「SST-PP05-L」も問題なく使用可能です。
標準で付属する電源ケーブルもコンパクトPCに最適化されたショートケーブルであり、取り回しに優れたフラットきしめん型なので、ケーブルの取り回しにおいて他社製品よりも優れた電源ユニットです。

以上、「SilverStone SX1000」のレビューでした。
SilverStone SX1000



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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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