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高性能ファンとして一世を風靡したGentle TyphoonをベースにしてNidec(日本電産サーボ)と共同開発されたPCゲーマー向け冷却ファン「XPG VENTO PRO 120 PWM」をレビューしていきます。今回は360サイズ簡易水冷CPUクーラーに「XPG VENTO PRO 120 PWM」を3基設置して、静音性・冷却性能をNoctua NF-A12x25と徹底比較します。
製品公式ページ:https://www.xpg.com/jp/feature/691/
XPG VENTO PRO 120 PWM レビュー目次
1.XPG VENTO PRO 120 PWMの外観・付属品
2.XPG VENTO PRO 120 PWMの検証機材
3.XPG VENTO PRO 120 PWMの性能
・XPG VENTO PRO 120 PWMの静音性
4.XPG VENTO PRO 120 PWMのレビューまとめ
【提供:XPG 国内正規代理店タイムリー】
XPG VENTO PRO 120 PWMの外観・付属品
まずは「XPG VENTO PRO 120 PWM」の外観や付属品をチェックしていきます。「XPG VENTO PRO 120 PWM」の付属品は4PINファン延長ケーブル、ファン固定用テーパーネジ4個のみと非常にシンプルです。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」は120mm角サイズ、定格2150RPMのPWM速度調整対応4PIN冷却ファンです。PWM速度調整によって900~2150RPMの範囲内で速度調整が可能です。なおDC速度調整の場合は450RPM程度まで速度を落とすことも可能です。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」は高性能ファンとして一世を風靡したGentle TyphoonをベースにしてNidec(日本電産サーボ)と共同開発されており、最適化されたデザインと高い静圧によって効率的で優れたエアフローを実現しています。
また7年ほど前に国内で正規販売されていたGentle Typhoonと比較して4PINファン端子でPWM速度調整に対応、ファンフレームに防振ラバーパッドを標準装備など、最新の自作PC事情に合わせて細部がアップデートされています。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」は高い静圧と風量を実現する大きく弧を描く形状のファンブレードを特徴とし、同時に振動や風切りによるノイズも低減しています。人間の耳により騒音が届きにくいよう細部までこだわった設計です。
軸受け部分にはNidecによる革新的なモーターデザインとコイルダンパーを用いた構造、日本製の高精度なダブルボールベアリングを採用することで高い振動抑制効果を実現と長寿命を実現しています。
優れた設計によって「XPG VENTO PRO 120 PWM」は水冷ラジエーター、空冷CPUクーラー、PCケースエアフローファンの3つの用途で求められる静圧に対して、いずれの用途でも一般的な冷却ファンよりも高い風量を得ることができるとアピールされています。
国内で以前に販売されていたGentle Typhoonには非搭載でしたが、「XPG VENTO PRO 120 PWM」ではファンフレームの四隅に防振ラバーパッドが装着されており冷却ファンの振動による共振の発生を抑制します。
ファンフレーム内側の縁は表面はノイズを抑制する丸形ですが、排気面となる裏面はすり鉢状に面取り拡張されています。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」の軸固定はファンブレード回転方向と直交する向きで真っすぐ4本の軸フレームが伸びる構造です。またファンブレードの付け根部分にある2つの切り込みはファンブレードが固定用の支柱を通るときに発生するノイズを拡散する事で抑制します。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」の軸受けには、安定性と耐久性を高める金属製強化モーターハブを採用、Nidec(日本電産サーボ)製の高精度なダブルボールベアリングによりスムーズな回転と高寿命を実現しています。スチール剥き出しなモーターハブは無骨な工業製品らしさを感じます。
Nidecによる高品質設計で、「XPG VENTO PRO 120 PWM」は25℃における使用想定で25万時間、60℃における使用想定では6万時間と非常に高いMTTF(平均故障寿命)を実現しています。メーカー保証期間も5年の長期保証です。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」のファンケーブルはフレームから80mm程度のショートケーブルで4PINファン端子が伸び、そこからさらに70mm程度で4PINファンのメス端子が分岐するユニークな構造です。
またオス端子からメス端子80mmが分岐するショートケーブルは複数ファンでデイジーチェーン接続に対応、またケーブル自体も取り回しの良いフラットケーブルとなっており、ファンが連続するPCケースや水冷ラジエーターでもケーブルマネジメントが容易な設計です。マザーボードとの接続用に450mm長の延長ケーブルも付属します。
XPG VENTO PRO 120 PWMの検証機材
「XPG VENTO PRO 120 PWM」の検証機材を紹介しておきます。「XPG VENTO PRO 120 PWM」の検証機材として、Intel Core i9 10900KやIntel Core i9 7980XEなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成 | ||
CPU | Intel Core i9 10900K (レビュー) |
Intel Core i9 10980XE(レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Ripjaws V F4-4000C15Q-32GVK (レビュー) 3600MHz, 16-16-16-36-CR2 |
G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS XII EXTREME (レビュー) |
ASUS PRIME X299 Edition 30 (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) | |
システム ストレージ |
Samsung SSD 980 PRO 500GB (レビュー) | |
データ ストレージ |
Samsung SSD 860 QVO 4TB (レビュー) |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) | |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
ベンチ機のシステムストレージには「Samsung SSD 980 PRO 500GB」を使用しています。Samsung SSD 980 PROは、PCIE4.0対応によって連続アクセススピードを最大で2倍に飛躍させただけでなく、ランダム性能の向上によってSSD実用性能においても前世代970 PROから大幅な向上を果たし、PCIE4.0アーリーアダプターなPhison PS5016-E16採用リファレンスSSDよりも高速なので、これからPCIE4.0対応プラットフォームの自作PCを組むなら、システム/データ用ストレージとして非常にオススメな製品です。
・「Samsung SSD 980 PRO 1TB」をレビュー。堂々の最速更新
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
・「Thermal Grizzly Carbonaut」はCore i9 9900Kを冷やせるか!?
XPG VENTO PRO 120 PWMの冷却性能と静音性
本題となる「XPG VENTO PRO 120 PWM」の冷却性能と静音性を詳細に検証していきます。「XPG VENTO PRO 120 PWM」の性能を検証する環境として360サイズ簡易水冷CPUクーラー「Fractal Design Celsius S36」の水冷ラジエーターベースにして、120mm角冷却ファンとして最高クラスの性能を誇る「Noctua NF-A12x25 PWM」と性能を比較しました。
XPG VENTO PRO 120 PWMの静音性
まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して「XPG VENTO PRO 120 PWM」のファンノイズをチェックしてみました。検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
Fractal Design Celsius S36の水冷ラジエーターに「XPG VENTO PRO 120 PWM」と「Noctua NF-A12x25 PWM」をそれぞれ3基ずつ装着した場合のファンノイズの騒音値はファン回転数を横軸として次のようになっています。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」は同じ水冷ラジエーターにおいてNoctua NF-A12x25 PWMと比較して高いファンノイズを発しました。
軸音についてはダブルボールベアリングに多いシャー/シュルシュル等の目立った軸音はないものの、若干金属質なシューっという音はあります。ただこれについてはPCケースに入れてしまえば特に気にならない、というか基本的に聞こえないレベルだと思います。
上のグラフを見ての通り、「XPG VENTO PRO 120 PWM」のファン回転数に対するファンノイズは少々複雑で、うなりのような現象が発生して同じファン回転数でもノイズレベルが一定しませんでした。
赤線で囲った毎秒の推移を見ると分かるように、「XPG VENTO PRO 120 PWM」は1400RPMにおいて35~40dBというかなり広い範囲でノイズレベルが変動しています。
上記のようなうなりの現象は他のファンでも発生することがあるのですが、比較対象のNoctua NF-A12x25 PWMのように静音性の高いファンではうなりは発生せず、ノイズレベルの変化はコンマ以下です。
「XPG VENTO PRO 120 PWM」については、うなりで大きく変動するノイズレベルと体感する煩さにはやや開きがあり、1400RPMのようなうなりが酷くなる回転数を除けばNoctua NF-A12x25 PWMに+2dB程度という印象でした。
回転数が高くなるほど、うなりの影響(ファンノイズが変化する違和感)は小さくなってノイズレベルはNF-A12x25に近づくものの、1500RPM以下の低速では「ウワーン、ウワーン」という感じのうなりを感じるので、Noctua NF-A12x25 PWMやThermaltake TOUGHFAN 12と比較するとやはり静音性は劣るという評価です。
また同じくダブルボールベアリングのCooler Master MasterFan SF120Mと比較すると、軸音的には静かでよかったのですが、うなり現象で煩く感じるので一長一短といった感じです。
XPG VENTO PRO 120 PWMのレビューまとめ
最後にゲーミングファン「XPG VENTO PRO 120 PWM」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 900~2150RPMのPWM速度制御に対応した120mm角の汎用ファン
- グレーのファンブレードとブラックフレームのツートンカラーで扱いやすいカラーリング
- 日本製の高耐久なダブルボールベアリング
- デイジーチェーン接続が可能なファンケーブル
- MTTF(平均故障寿命)は25℃において25万時間と長寿命
- メーカー保証期間は5年の長期保証
- 1500RPM以下の低速度では、うなり現象のようなノイズがある
「XPG VENTO PRO 120 PWM」について一番の注目ポイントだった静音性について、一般的な市販ファンや空冷・水冷クーラーの付属品と比較すれば静音性に+200RPM程度で静音性に優れると思うのですが、一方で同ノイズレベルで+400~500RPMの静音性を発揮するNoctua NF-A12x25 PWMやThermaltake TOUGHFAN 12には及ばないというのが正直な評価です。
過去にレビューしたCooler Master MasterFan SF120Mと同じくダブルボールベアリングを採用していますが、Nidec(日本電産サーボ)製の高品質なダブルボールベアリングなので”シャー”もしくは”シュルシュル”という特有の軸音が目立って聞こえることもなく、同軸受けの特長として「XPG VENTO PRO 120 PWM」が公称製品寿命25万時間(環境温度25度)とメーカー保証期間5年という長寿命・長期保証を実現しているところは魅力です。
静音性と冷却性能を最も重視するなら別の選択肢もありますが、とはいえ一般的なファンよりも高い静音性を発揮するというのも間違いないので、日本製の高品質ダブルボールベアリングによって軸音問題がなく長寿命を実現した「XPG VENTO PRO 120 PWM」は耐久性を重視するユーザーにオススメです。
以上、「XPG VENTO PRO 120 PWM」のレビューでした。
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Gentle TyphoonをベースにしてNidec(日本電産サーボ)と共同開発されたPCゲーマー向け冷却ファン「XPG VENTO PRO 120 PWM」をレビュー。静音性・冷却性能をNoctua NF-A12x25 PWMと徹底比較。https://t.co/T6ILJ48A1a pic.twitter.com/FjuQw6CI3w
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) January 14, 2021
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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