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国内代理店の株式会社 親和産業からThermal Grizzly製の液体金属グリス「Conductonaut」をサンプル提供いただけたのでレビューします。
先日は1月6日に発売されたばかりのKabyLake CPU最上位i7 7700Kを殻割りして液体金属グリスの定番である「Cool laboratory LIQUID PRO」をCPUダイとヒートスプレッダの間に塗布しました。さらに2個目のi7 7700も届いたのでこちらは殻割り後に「Conductonaut」を塗布します。
デフォルトのグリス、LIQUID PRO、ConductonautとCPUダイ-ヒートスプレッダ間に塗布するグリスで冷え具合にどの程度の差がでるのか、その他の環境を揃えて比較していきます。
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製品公式ページ:https://www.shinwa-sangyo.co.jp/products/thermal-grease/tg-c-001-r


ちなみにLIQUID PROを使用する場合は「殻割りリキプロ化」と呼ばれますが、Thermal Grizzly製の液体金属グリス「Conductonaut」を使用する場合はどう呼んだものかと悩みに悩んでいます。暫定略称はクマメタル。


BGMに流しながら読んでね。



Conductonautを殻割りしたi7 7700Kに塗る

Conductonautのパッケージの中身は次のようになっています。「アルミを侵すのでアルミ製品と一緒に使うな」という注意の赤い紙と普通のマニュアルの白い紙。大人のエチケット的サイズの小分け袋はCPUダイやヒートスプレッダを拭くのに使う揮発性の高いアルコールティッシュです。残りは綿棒とConductonautの本体、および先端を細くするプラスチック製のアプリケータです。
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アルコールティッシュはかなりアルコールが染み込んでいるというか、滴ってきます。
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LIQUID PROは先端がまんま注射器でちょっと怖いのですが、Conductonautはプラスチック製の先端が細いアプリケータを装着するようになっており、作業中には万一にも体に刺さる心配がないのでその点はかなり安心できました。
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殻を割るまでは先日の記事で紹介したのでその辺りは割愛します。殻割りの具体的な手順などが気になる方はこちらの記事を参考にしてください。
KabyLake i7 7700Kのリキプロ化に成功。殻割り&リキプロ化の手順を紹介。
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早速、「Conductonaut」をCPUダイに塗布します。完全に注射器なLIQUID PROと違ってConductonautはプラスチックの先端で穴も大きめなので力加減が難しくドプッと一気に出てしまいます。飛び跳ねるようなことはありませんし、多く出してしまった分は吸い直せばOKなのでそこまで神経質になる必要もないと思います。
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ちなみにConductonautが1本あれば、CPUダイとヒートスプレッダの多め塗りでギリギリ2回分(配分を間違うと足りない)、CPUダイだけ塗りなら2回分超くらいの分量がありました。

前回の殻割り記事の際に動画を撮り忘れていた液体金属グリスの伸ばし方はこんな感じです。綿棒を擦り付けるようにして液体金属グリスを塗り広げていきます。


塗り広げてしまえば見た目はConductonautもLIQUID PROも全く同じで見分けは付きませんね。
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あとはゴム接着剤でシーリングしたら完了です。
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固定器具を使ってCPUの基板とヒートスプレッダを固定して一晩寝かせます。
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ConductonautとLIQUID PROの冷え具合を比較

早速、殻割り後にConductonautとLIQUID PROに塗り直したi7 7700Kを使用してそれぞれの冷え具合を比較検証してみました。
検証機材の構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU1 Intel Core i7 7700K
CPU2 Intel Core i7 7700K
CPUクーラー CoolerMaster
MasterLiquid Pro 120
マザーボード
ASUS ROG STRIX Z270G GAMING
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*4=32GB
CPUベンチ用
ビデオカード
ASUS GeForce GT730
ファンレス GT730-SL-2GD3-BRK
システムストレージ
Intel SSD 540シリーズ
SATA接続M.2 SSD 240GB
OS Windows10 64bit Home
電源ユニット Corsair RM650i

またCPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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検証に際して、CPUのオーバークロック周りの設定は「コア倍率:50」「コア電圧:1.35V」「SVID:OFF」以外はすべてマザーボードのデフォルト設定を採用しています。またCPUクーラー「CoolerMaster
MasterLiquid Pro 120」のラジエーター冷却ファンについてはプッシュプル構成で1200RPMに固定しています。室温は部屋のエアコンリモコン(位置固定)で19度でした。

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ストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はi7 7700Kの場合20分ほどです。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。

まず最初に先日ASUS ROG STRIX Z270G GAMINGのレビュー記事で使用した「CPU1-LIQUID PRO」に加えて「CPU2-デフォルトのグリス」「CPU2-Conductonaut」についてストレステスト中のCPU温度を比較した結果が次のようになっています。
正直、検証前は液体金属グリスなのでデフォルトグリスよりも冷えるとしてもConductonautとLIQUID PROの2者間に大した差はないだろうと考えていたのですが、仕様値の熱伝導率の優劣をひっくり返して「ConductonautのほうがLIQUID PROよりも冷える?」というかなり意外な結果になりました。
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たださすがに8度というのは差が大きすぎるように感じたため、OC設定は「コア倍率:50」「コア電圧:1.35V」「SVID:OFF」で一致させていますが、単純なCPU自体の個体差もしくはCPUの個体差に依存してマザーボードが自動で最適化している部分によって、ひょっとしたら大元の発熱に差が出ているのではないか?と思ってLIQUID PROを塗っていたCPU1を再度、殻割りしてConductonautに塗り直しました。実はこの追加検証を行っていたため当記事の公開が2,3日ほど遅れました。
なお殻を割り直した際にLIQUID PROの塗布状態も確認しましたが全く問題ありませんでした。もっとも純正グリス比でははっきりと冷えているのでその点についてはあまり疑っていませんでしたが。

「CPU1-LIQUID PRO」「CPU2-デフォルトのグリス」「CPU1-Conductonaut」の3種類についてのストレステスト中のCPU温度比較が次のようになっています。
やはりCPUの個体差による影響は若干あったようですが、「塗布するCPUを揃えた場合でもConductonautのほうがLIQUID PROよりも冷える」という結果になりました。
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管理人自身、これまでLIQUID PROを使い続けてきたので殻割り用グリスとしては絶対の信頼を置いていました。「Conductonaut」についてもいい機会だし、LIQUID PRO以外の選択肢についてちょいと検証してみるかぐらいの軽い気持ちで試してみたというのが正直なところだったのですが、予想を上回る結果にかなり驚いています。

ConductonautとLiquid Proの比較検証結果については半信半疑な読者もいるかもしれませんが、少なくともCPU2におけるデフォルトグリスとConductonautの比較結果については間違いはないと確信しています。
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軽い気持ちで始めた「Thermal Grizzly Conductonaut」と「Cool laboratory LIQUID PRO」の比較検証でしたが、当検証の結果は「ConductonautのほうがLIQUID PROよりも冷える」となりました。少なくともConductonautは液体金属グリスらしい抜群の冷え具合を発揮しており、殻割り時にCPUダイ-ヒートスプレッダ間に塗布するグリスとしては問題なく使用できます。

「NOステマ! Realガチ!!」
「騙されたと思って使ってみろ、ほんとに冷えるから」


「Thermal Grizzly Conductonaut」は、そう言いたくなるような予想を超えた冷却性能を発揮する液体金属グリスでした。
「液体金属グリスという電子機器に対しては諸刃の剣」、「ロングセラーで信頼性の高いLIQUID PROが存在するので殻割りであえて使ってみようと思うユーザーがいない」、「仮にいても比較してみようとは思わない」、そんな諸事情が積み重なった結果、発売から1年間埋もれ続けていたようです。
なお、管理人は今後、殻割りクマメタル化に宗旨替えした模様。






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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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