NZXT KRAKEN X62


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NZXTから2016年末に発売された新生KRAKENシリーズから280サイズ大型ラジエーターを搭載する「NZXT KRAKEN X62」をお借りできたのでレビューします。合わせ鏡を利用したインフィニティミラーというLEDイルミネーションを搭載した水冷ヘッドが特徴的な簡易水冷CPUクーラーです。NZXT KRAKENの新シリーズには140、240、280サイズの3バリエーションがありますが、最大サイズとなる280mmラジエーターを搭載する「NZXT KRAKEN X62」はIntel Skylake-XやAMD Ryzen ThreadRipperなど17年後半に発売されるエンスー向けCPUに最適な高性能簡易水冷CPUクーラーです。
NZXT KRAKEN X62
ちなみに「NZXT KRAKEN X62」は8月10日発売予定のAMDのエンスー向けCPU「Ryzen ThreadRipper」やX399 TR4マザーボードの検証機材としてお借りしました。日本NZXT公式からも正式に「Ryzen ThreadRipper」への対応が公表されています。
NZXT ThreadRipper


製品公式ページ:https://www.nzxt.com/products/kraken-x62
マニュアル:https://sta3-nzxtcorporation.netdna-ssl.com/uploads/download/attachment/587/Kraken_X-manual-031317-ver7-forWeb.pdf
NZXT KRAKEN X62





レビュー目次


1.NZXT KRAKEN X62の外観・付属品
2.NZXT KRAKEN X62の水冷トップと水冷チューブ
3.NZXT KRAKEN X62のラジエーターと冷却ファン
4.NZXT KRAKEN X62の検証機材・セットアップ
5.専用アプリ「CAM」:セットアップ方法と基本的な使い方
6.専用アプリ「CAM」:ファン・ポンプのコントロール
7.専用アプリ「CAM」:インフィニティミラーのLEDイルミネーションについて
8.NZXT KRAKEN X62の冷却性能
9.NZXT KRAKEN X62のレビューまとめ

補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて




NZXT KRAKEN X62の梱包・付属品

まずはNZXT KRAKEN X62の外観や付属品をチェックしていきます。
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製品パッケージを見るとスリーブ箱の外装の中にCPUクーラーや付属品に合わせた形のパルプモールドが入っていました。280サイズなど大型ラジエーターを搭載する簡易水冷クーラーのパッケージはかなり大きいものが多いですが、NZXT KRAKEN X62は中身のパルプモールドにぴっちりと内容品が収められており、必要最小限のパッケージサイズに押さえられています。
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なお「NZXT KRAKEN X62」の保証期間についてはNZXT公式製品ページでは6年保証との表記がありますが、日本国内においては国内正規代理店の株式会社タイムリーによる1年保証です。保証シールは製品パッケージのシュリンクに貼られているので開封後に紛失しないように注意してください。
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上の写真のパッケージ内右側にある小分けのビニール袋にマウントパーツなど付属品が入っていました。マウントパーツ関連とケーブル類で別の袋に入っています。
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マウントパーツを詳しく見ていくと、AMDプラットフォーム用のリテンションブラケットとIntel LGA 115X用のバックプレートがあります。Intelプラットフォーム用のリテンションブラケットは水冷トップに装着されています。
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LGA115X用のバックプレートはネジ穴部分がスライドするようになっており、旧CPUソケットのLGA1366などを搭載するマザーボードにも対応しています。
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水冷トップ固定用のネジ類については、ハンドスクリューの他にプラットフォーム別でスタンドオフが4種類付属します。左から順に、両端の長さとネジ山が同じものがIntel LGA115X用、両端の長さが異なるものがIntel LGA2011-3/2066用、両端の長さが同じでネジ山が異なるものがAMD AM3etc用、ソケットが付いているものがAMD AM4用となっています。
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AMD AM4プラットフォームについてはKRAKEN X62の発売後に対応しましたが、最新ロットにはAM4用マウントパーツも標準で付属するようです。ソケット付きスタンドオフが付属しており、AMD用リテンションブラケットにネジ穴2つでひょうたんの形になっていればAM4対応となっています。出荷済みの対応前ロットについてはサポートに問い合わせをすればAM4マウントパーツを配布してもらえます。
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付属品のケーブルは簡易水冷クーラーの電源取得用のケーブルと専用アプリ「CAM」で操作するためにPCと接続する内部USBケーブルの2種類です。
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PC接続用内部USBケーブルの水冷トップ側はmini-USB端子、PCと接続する側は内部USB2.0ヘッダーとなっています。
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電源取得用のケーブルは中央右の端子が水冷トップと接続する端子になっており、そこから3つに分岐して、ラジエーター冷却ファン用の4股PWM対応4PINファン端子、電源用のSATA電源端子、マザーボードにファン回転数を返すための3PINファン端子に分かれています。
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パルプモールドからCPUクーラー本体を取り出すと、水冷トップとチューブはビニールに包まれ、ラジエーターは厚紙のスリーブで保護されていました。
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ラジエーターの放熱フィンは出荷前のメーカーによる梱包やユーザーが取り出し時に誤って握ってしまったりして潰してしまうことが多いので厚紙スリーブで保護されている配慮はありがたいです。
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NZXT KRAKEN X62の水冷トップと水冷チューブ

続いて「NZXT KRAKEN X62」の水冷トップ本体をチェックしていきます。
水冷ヘッドのトップには保護フィルムが貼られています。
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保護フィルムを剥がすと水冷トップは鏡面になっており中央にはうっすらと「NZXT」のロゴマークが刻印されていました。
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NZXT KRAKEN X42/X52/X62の水冷トップはシンプルな円柱形で余分なところのない洗練されたデザインになっています。製品サンプルイメージでわからないところですが、リング部分はヘアラインアルミを模した表面加工になっており非常に高級感のある趣です。
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水冷トップの高さは50mmほどです。水冷トップは簡易水冷クーラーでは一般的なポンプ一体型水冷ブロックになっていますが、ポンプの構造が刷新されておりより少ない回転数で従来よりも多い流量を実現してポンプノイズを低減させているようです。実際に仕様を見てもポンプ回転数は1000~2800RPMと速度調整範囲が広く、下限も比較的小さい値になっておりポンプノイズの小ささについては期待して良さそうです。
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ちなみに「NZXT KRAKEN X62」を含めて国内で発売されている主要な簡易水冷クーラーのほとんどは「Asetek」というメーカーのOEM品です。
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NZXT KRAKEN X62のCPUと接触するベース部分は銅製になっており保護フィルムではなくプラスチックのカバーで保護されていました。デフォルトで熱伝導グリスが均等に塗られているのでこだわりがなければ初回使用時は個別にグリス購入の必要はありません。
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銅製ベースは鏡面磨き上げではなく、同心円状の磨き跡があります。
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リテンションブラケットは水冷トップから取り外し可能です。Intel CPU用がデフォルトで装着されていますが、AMD CPU用のブラケットに換装することでAMD CPUでも使用できます。
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水冷チューブは水冷トップの片側から出る構造になっており、チューブの根元90度エルボーのロータリー式になっているので両側ともにチューブ同士が干渉しない範囲で180度自由に動かすことができます。根本の距離はが広めでチューブも細いので同じ方向でも180度近くまで回すことができます。
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水冷チューブはゴム製チューブにナイロンスリーブが巻かれています。細くて丈夫なチューブなので曲げやすく取り回しにも優れています。かなり強く曲げてもチューブが折れて潰れなかったのでコンパクトなPCへ組み込む際にも苦労することはないと思います。他社の簡易水冷CPUクーラーよりもチューブ外径が小さいのでチューブの取り回しにも優れています。
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水冷チューブの径は11mm、長さは400mmです。十分な長さがあるのでミドルタワー程度のPCケースであればトップやリアだけでなく、フロントのファンマウントスペースにもラジエーターを設置できます。ラジエーターや水冷トップのチューブ継手を見るとわかりやすいですが水冷チューブの内径は5mm程度です。
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チューブの根元から見て反時計回り90度の位置に電源取得ケーブル用の専用コネクタとPC接続用のmini-USB端子があります。
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NZXT KRAKEN X62のラジエーターと冷却ファン

続いてNZXT KRAKEN X62のラジエーター部分をチェックしていきます。
ラジエーターのデザインは一般的なもので、CoolerMasterやCorsairの簡易水冷クーラーの一部モデルに採用されているように独自デザインではなく汎用的なものが使用されていました。ラジエーターの側面に「NZXT」ロゴのプレスがある以外には特徴はありません。
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放熱フィンのピッチについては水冷ユーザー視点でも狭すぎず広すぎずちょうどいい塩梅です。このフィンピッチであれば低速ファンによる静音動作から高速ファンによる高冷却動作まで幅広く対応できると思います。管理人が本格水冷向けのラジエーターとして推奨している「Alphacool NexXxoS Full Copper ラジエーター」シリーズのフィンピッチと比較するとNZXT KRAKEN X62のフィンピッチのほうがやや細かいかな、というくらいでほぼ似たようなフィンピッチになっています。
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今回お借りしたモデルは280サイズラジエーター搭載モデルなので片面には140mmファンを2基設置可能ですが、下位モデルには140mmファンを1基設置可能な140サイズラジエーター搭載の「NZXT KRAKEN X42」や120mmファンを2基設置可能な240サイズラジエーター搭載の「NZXT KRAKEN X52」などもラインナップされています。
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ラジエーターの厚さは一般的な30mm厚です。25mm厚の冷却ファンと組みわせることになるので、ファンマウントスペースのクリアランスは55mmほど必要になります。
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NZXT KRAKEN X62には「Aer P 140」という冷却ファンが2つ付属します。
「Aer P 140」は500~1800RPMで速度調整可能なPWM対応の4PIN型ケースファンです。製品名の通り「Aer P 140」は140mm径のケースファンです。
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軸固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードの根元が支柱付近を通過するときに発生するノイズを抑制しています。
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吸気面と排気面ともにファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されて大風量を獲得できるように最適化されています。ネジ穴部分にはプラスチックフレームとは別でゴム製のパーツ「バイブレーションダンパー」が採用され防振性も確保されています。
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航空機などにも採用されている、ファンブレード端の盛り上がった構造、「ウイングレット」構造も確認できます。「ウイングレット」構造によって空気抵抗を小さくし風切り音を抑制することで最適な静音性と風量を実現しています。
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Aer P_p2
軸受にはNZXTが特許を取得した銅製の流体動圧軸受(FDB)を使用し、寿命は公称6年以上となっています。自称軸ソムリエの管理人が軸音テイスティング(耳を近づけてファンを指で弾くだけ)をしてみましたが、低速回転時の軸音が聞こえない良いファンでした。低回転軸音に煩い管理人的も納得の良い冷却ファンなのでLEDイルミネーション目的で低回転運用しても軸音が気になることはないと思います。
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冷却ファンのラジエーターへの固定やラジエーターのPCケースへの固定に使用するネジの規格はUNC No.6-32でした。日本国内のユーザーとしてはホームセンターで簡単に入手可能なM3かM4ネジを採用して欲しいところです。
ネジ類の数についてはラジエーターサイズごとに異なっており、ファン固定用32mm長ネジとワッシャーはX42ではが8個ずつ、X52とX62では16個ずつ付属しています。NZXT KRAKEN X62の場合付属する冷却ファンは2基ですが自分で追加購入することで両面ファンのプッシュプル構成も可能です。
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ラジエーター固定ネジ穴下については、ネジによる貫通を防止するガードなどはありません。ネジ穴の下に冷却液の流れるチューブこそないものの放熱アルミフィンがあります。付属のネジを使用して付属ファンを固定する場合はクリアランスが確保されています。ネジ穴下にチューブはないので水漏れなどの心配はありませんが個体差で問題が生じる可能性もあるのでネジ穴下でチューブとの接触がないかは注意が必要です。
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付属ファンのネジ穴部分はゴムになっているのでネジが締めやすいようにワッシャーも付属しています。
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冷却ファンをラジエーターに固定すると下のようになります。
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NZXT KRAKEN X62の検証機材・セットアップ

NZXT KRAKEN X62を検証機材のベンチ機にセットアップします。ベンチ機のシステム構成は次のようになっています。

テストベンチ機の構成
ベンチ機1
ベンチ機1
OS Windows10 64bit Home

CPU

Core i7 7700K
Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー
Core i9 7900X
殻割り&クマメタル化(レビュー
M/B ASRock Z270 SuperCarrier
レビュー)(BIOS:1, 2
MSI X299 GAMING PRO
 CARBON AC
レビュー
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
G.Skill Trident Z RGB
F4-3866C18Q-32GTZR
DDR4 8GB*4=32GB (レビュー
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 Samsung 850 PRO 250GB
レビュー
電源ユニット
Corsair RM650i
レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー

CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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前置きはこのあたりにしてベンチ機へNZXT KRAKEN X62をセットアップします。
まずはマザーボードを裏返してバックプレートのネジ穴をマザーボードのCPUソケット四隅の穴に挿入します。最新のKabyLake CPUに対応するLGA1151ソケットでバックプレートを装着する場合はネジ穴スライド部分の位置は一番内側でした。
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バックプレートが脱落しないように注意してマザーボードを表に向け、スタンドオフと呼ばれる水冷トップを固定するためのスペーサーを使ってマザーボードをバックプレートと挟みます。Intelプラットフォーム用スタンドオフは左側の2種類が用意されていますが、LGA1151では一番左にある両側のネジ山が同じなスタンドオフを使用します。
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下のようにスタンドオフとバックプレートでマザーボードを挟みます。
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4か所全てでスタンドオフを固定したらマウントパーツの設置が完了です。
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マウントパーツは単独でもマザーボードに固定されているので、CPUクーラーの設置が完了していない状態でもバックプレートなどが脱落することはなく、PCケースに設置した状態でもCPUクーラーの設置が容易になっています。
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AMD Ryzen対応のAM4マウントで使用する場合は、マザーボード備え付けのCPUクーラー固定器具を外して、バックプレートを流用し付属のソケット付きスタンドオフを装着するだけで準備完了です。
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Intelの最新エンスー向けCPU SkyLake-Xに対応するX299チップセット搭載LGA2066プラットフォームではCPUソケットこそ前世代のLGA2011-3とは異なるもののCPUクーラーのネジ穴レイアウトは共通なのでLGA2011-3用のスタンドオフとマザーボード備え付けのネジ穴に装着すればマウントパーツの設置完了です。
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水冷トップをマザーボードに固定する準備はこれで完了したので熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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熱伝導グリスを塗ったらバックプレートから延びるネジに水冷ヘッドの足のネジ穴が合うようにしてCPUクーラーを装着します。CPUの上に乗せたらグリスが広がるように力の入れすぎに注意して水冷ヘッドをグリグリと捻りながら押し込んでください。
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NZXT KRAKEN X62の水冷トップの固定ネジはツールレスな大型ハンドスクリューなので固定は容易です。プラスドライバーでも締められますが、そこまで強く締める必要はないので対角順に水冷ヘッドがグラグラ動かない程度に手でネジを締めてください。
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NZXT KRAKEN X62(X52やX62も)についての注意事項ですが、マザーボード次第で異なるCPUソケットと最左端にあるメモリスロットの距離次第で水冷トップ右のチューブエルボーとメモリが干渉してCPUクーラーを設置できない場合があります。
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公式ページではメモリのクリアランスとして高さ35mmが挙げられていますが、背の低いメモリを使用してもメモリスロットの位置次第では、エルボーの180度自由度が犠牲になりケーブルの取り回しで不便が生じる可能性があります。
メモリスロット側のネジ穴とメモリスロットの距離がおよそ15mm以上あればエルボーの回転を自由に行うことができ、大型ヒートシンクを採用するOCメモリとも組み合わせが可能になるので、事前に使用するマザーボードの寸法をチェックしてください。
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Skylake-X対応X299マザーボードについて主要4社から8種のマザーボードが手元にあったのでメモリクリアランスについてチェックしてみました。
「ASUS PRIME X299-DELUXE」「ASUS ROG STRIX X299-E GAMING」「ASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9」「ASRock X299 Taichi」「GIGABYTE X299 AORUS Gaming 7」「GIGABYTE X299 AORUS Gaming 9」「MSI X299 GAMING PRO CARBON AC」「MSI X299 GAMING M7 ACK」以上の8種類について右側再右端のメモリスロットにメモリを装着して確認してみましたがいずれも干渉せずにNZXT KRAKEN X62を設置できました。
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簡易水冷CPUクーラーはラジエーター設置の手間やスペース確保の問題はありますが、マザーボード上のメモリなどのコンポーネントとの干渉は大型のハイエンド空冷CPUクーラーより発生し難く、水冷トップの設置自体も基本的にツールレスで容易なのが長所だと思います。
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以上でNZXT KRAKEN X62のベンチ機へのセットアップ完了です。
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NZXT CAMのセットアップ方法と基本的な使い方

「NZXT KRAKEN X62」はNZXT製品の統合ソフトウェア「CAM」から様々な操作を行えます。
「CAM」は公式サポートページからダウンロードできます。CAMのリニューアルの関連で2019年9月現在はまだダウンロードページが日本語ローカライズされていませんが、下のリンク先から「Free Download」を選択すれば簡単にソフトウェアインストーラーのダウンロードが可能です
NZXT CAMダウンロード:https://camwebapp.com/download
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上のページからダウンロードしたインストーラーを起動すれば後は自動で最新版の「NZXT CAM」をダウンロードし、PCへインストールしてくれます。
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インストールが完了したら「CAM」を起動します。初回起動時はアカウントへのログインウィンドウが表示されますが、アカウントがない場合は小さく書かれているゲストアカウントでの使用を選択すればアカウント登録せずに使用することもできます。
「CAM」はゲストアカウントとしてアカウント登録なしでも使用できますが、NZXTのアカウントを作成する(メールアドレスとパスワードの登録のみ)か、Googleなどのアカウントで共有ログインすることで、「NZXT GRID+ V3」や「New Hシリーズ スマートデバイス」の目玉機能の1つである収音マイク等を使用した機械学習など一部の機能が解放されます。
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2019年9月現在の「NZXT CAM」は、Kraken X2シリーズ登場時の第1世代、NZXT New HシリーズPCケース登場時の第2世代を経て、第3世代というべきリニューアルが施されており、UIがよりシンプルで使いやすく、動作も軽快になっています。基本的なデザインはパステルカラーなフラットデザインが踏襲されていますが、カラーリングがメーカーカラーのホワイト&パープルのツートンカラーになっています。
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「NZXT CAM」は日本語UIに対応しています。もしも自動で日本語にならない場合は、右上の歯車アイコンから設定ページを開くと言語設定が可能です。
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「CAM」のUIカラーについては標準のホワイト&パープルに加えて、設定画面からDark Modeを選択することによってブラック&パープルに切り替えることができます。
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「CAM」はMSI AfterBurner&RivaTunerなどで有名なゲーム中のオーバーレイモニタリング機能にも対応しており、同じく設定ウィンドウの「FPS」タブで設定ができます。
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NZXT CAMのファンコントロール機能について

NZXT CAMからは今回レビューしている「NZXT KRAKEN X62」など簡易水冷CPUクーラーKRAKEN X2シリーズ、「NZXT N7 Z390」、ファンコントローラーNZXT GRID+ V3といったシステムに接続されているNZXT CAM対応機器のファン/ポンプ速度を制御できます。

NZXT KRAKEN X62については付属の冷却ファンがAer P140なのでPWM速度調整によって500から1800RPMで速度調整可能です。また水冷ポンプについては製品スペックでは1600RPMから2800RPMで速度調整可能と表記されていますが、ソフトウェア上からは60~100%の速度比で速度調整が可能で、実際の速度は2000~2800RPMで制御できました。
「NZXT KRAKEN X62」のNZXT CAMによるファン制御についてですが、PC起動直後はユーザーが任意に行った設定によらず、必ず後述の「静音モード」のプリセットによる動作となります。任意の設定をCPUクーラー側に記憶させておく機能はないようです。
「NZXT KRAKEN X62」に対して任意のファン/ポンプ制御設定を反映させるためにはWindowsが起動した後に一度NZXT CAMを起動させて常駐させておく必要があります。Windows起動後に前回の設定を反映させるためにはNZXT CAMの起動(スタートアップ登録を推奨)が必要になるので注意してください。またNZXT CAMを終了すると後述の「静音モード」のプリセットによる動作に戻ります。

NZXT CAMでNZXT KRAKEN X62のファン・ポンプを制御するには、トップメニューの「チューニング - 冷却」を選択して設定画面を開きます。
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NZXT CAMのファン制御ページを開くと、トップにマスタープロファイル(各ファン端子の制御プロファイルの組み合わせ)を選択、保存するメニュー、システムに接続されたファンの速度やシステムの温度やノイズレベルを表示するタイル、個別のファン設定が順番に表示されます。
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システムに接続されたファン制御を静音もしくはパフォーマンスのプリセットで統一したり、固定デューティ比を指定する既定のマスタープロファイル、各自で設定したカスタムのマスタープロファイルはプルダウンメニューから簡単に切り替えることができます。
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ファン毎に任意のファン制御設定を適用した場合、「名前を付けて保存」からカスタムのマスタープロファイルを作成できます。
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「NZXT KRAKEN X62」ではファンとポンプの2種類が表示されます。NZXT KRAKEN X62にファンが2基接続されていますが一括して制御することになります。
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NZXT CAMに対応した各種ファン・ポンプ端子は、「静音」と「パフォーマンス」の2つの既定プリセット、ファン速度デューティ比を指定する「固定」、任意のファンカーブを設定する「カスタム」の4つのモードで制御できます。
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ファン制御が温度に依存するファンカーブの場合、ファン制御ソースとしてCPU温度とGPU温度の2種類を選ぶことできます。簡易水冷CPUクーラーNZXT KRAKEN X2シリーズの場合は水温も加わります。
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「静音」と「パフォーマンス」の2つの既定プリセットのファンカーブ設定は次のようになっています。
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「固定」では温度に依らずファンを一定速度で回すことができます。
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「カスタム」ではソース温度に対して20度から95度までを5度刻みにして、16頂点のファンカーブを任意に設定できます。
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「NZXT KRAKEN X62」など簡易水冷CPUクーラーKRAKEN X2シリーズは設定可能な最低デューティ比が25%なので非対応ですが、「NZXT N7 Z390」やファンコントローラーNZXT GRID+ V3では、「カスタム」においてファン速度を0%にすると、ソース温度がファン速度0%に指定されている最大温度よりも低い時にファンを完全に停止させるセミファンレス機能的な使い方もできます。
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「NZXT KRAKEN X62」のポンプについてもファンと同様に、4種類の制御モードと3種類の制御ソース温度を組み合わせて速度制御ができます。
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NZXT CAMのイルミネーション制御機能について

「NZXT KRAKEN X62」や同シリーズ簡易水冷CPUクーラーの最大の特徴とも言えるインフィニティミラーのLEDイルミネーションやその設定方法について紹介します。

なお「NZXT KRAKEN X62」に対して行った任意のライティング設定はCPUクーラー側に記憶されるのでNZXT CAMの常駐やスタートアップを行わずとも適用されたままです。
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NZXT CAMで「NZXT KRAKEN X62」やHUE 2対応機器のライティング制御を行うには、トップメニューの「照明」を選択して設定画面を開きます。
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画面右上の「テーマパックを選択する」を選ぶと、テーマパックと呼ばれる既定プリセットによって、システムに接続されたLEDチャンネルを同期設定させることができます。
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テーマパックは既定の10種類に加えて、ユーザーが任意のカスタムテーマパックを作成することができます。LEDチャンネルに対して個別に設定を行い、「テーマパックを選択する」を選ぶとテーマパックの保存に関して表示されます。ユーザー作成したテーマパックは各LEDチャンネルに対して任意に設定した内容をまとめた発光パターンのカスタムプロファイル的なものになります。
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現在テーマパックを表示するサンプルイメージの下には、システムに接続されたLEDチャンネルの一覧が表示されます。「NZXT KRAKEN X62」では中央のNZXTテキストロゴ部分とインフィニティミラーのリング部分の2つのLEDチャンネルに対して個別2任意のライティング設定を適用できます。
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LEDチャンネルをクリックすると、そのチャンネルに関する発光カラーや変化スピード等の詳細設定メニューが展開されます。
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LEDチャンネルの右側にあるプルダウンメニューから、そのLEDチャンネルに適用する発光パターンが選択できます。選択可能な発光パターンは、固定発光のような一般的なものから、マーキーやスーパーレインボーのようなアドレッサブルタイプ、CPU温度やGPU温度に比例して変化、音声出力に依存など非常に豊富です。
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「NZXT KRAKEN X62」のインフィニティミラーのリングLEDは8区間に分割されており、「LED色をカスタマイズ」のスライドスイッチをONにすると、個別LEDアドレスに対して発光カラーを完全に任意の設定が行えます。中央に表示されたプレビューアイコンはリングが8分割されており、各アドレスを選択することで個別に発光カラーを設定できます。
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インフィニティミラー搭載LEDイルミネーションの様子をいくつかのプリセットで撮影してみました。








NZXT KRAKEN X62の冷却性能

本題となるNZXT KRAKEN X62の冷却性能についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
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比較対象として空冷クーラーの「NZXT KRAKEN X42」「Intel TS15A」、「Noctua NH-D15」についても同一環境で検証を行いました。
NZXT KRAKEN X42Noctua NH-D152a35a18d


検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はi7 7700Kの場合20~30分ほどです。エンコード中のファン回転数はCPUクーラー別で個別に設定した一定値に固定しています。

エンコードに用いたCPUはi7 7700K(殻割りクマメタル化済み)を使用しており、CPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
「Thermal Grizzly Conductonaut」を殻割りi7 7700Kでレビュー
Conductonaut_3
また手動でオーバークロック設定を行っています。コアクロックは4コア同時5.0GHz、キャッシュクロックは4.8GHz、コア電圧はBIOS上では1.300V固定ですがHWInfo読みで1.296~1.344Vで変動しています。


エンコード中CPU温度のCPUクーラー別比較は次のようになりました。
NZXT KRAKEN X62はファン回転数を900RPM、ポンプ回転数を定格に固定して5.0GHzに手動OCしたi7 7700Kで最大58度、平均54.9度で抜群の冷却性能を発揮しています。280サイズの大型ラジエーターを搭載するだけあって簡易水冷CPUクーラーの中でもトップクラスの性能です。
NZXT KRAKEN X62_temp_1
ベンチ機1の検証環境で同様のCPUクーラー冷却性能テストを行った比較結果のまとめが次のようになっています。下に行くほど冷却性能が高く、平均温度と最大温度の和で順位付けを行っています。なおファン回転数によって順位は変わりうるのでその点は注意してください。
NZXT KRAKEN X62_temp_2


サウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
NZXT KRAKEN X62_900RPM
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。

NZXT KRAKEN X62のファン・ポンプノイズの騒音値はファン回転数別(ポンプ回転数は定格3000RPMに固定)で次のようになっています。ファン回転数が1100RPMを超えてくるとノイズレベルが45dBを超えてファンノイズがはっきりと聞こえるようになってきました。NZXT KRAKEN X62で使用する場合はファン回転数が900RPMから1000RPM以下に収まるように設定すると静音動作で運用できると思います。
NZXT KRAKEN X62_noise_1

サウンドレベルメーターによる騒音値の比較結果は次のようになりました。
NZXT KRAKEN X62は他の簡易水冷CPUクーラーと同様にファン回転数900RPMに設定していますが、ファンノイズは40dB程度と比較的大きいファンノイズになりました。とはいえ40dB程度であればPCケースに入れてしまえば十分静音運用可能なレベルだと思います。
NZXT KRAKEN X62_noise_2


また7月14日に国内でも発売されたIntelの最新エンスー向けCPU SkyLake-Xの10コア20スレッドモデル「Core i9 7900X」を使用して「NZXT KRAKEN X62」の冷却性能をチェックしてみました。Core i9 7900Xはコアクロックを全コア4.6GHz、1.200VにOCしています。
NZXT KRAKEN X62 review_08981

検証機材のi9 7900XはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
【一家に1台】汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」をレビュー!
Delid Master review_08073i9 7900X_delid_44OC_temp

NZXT KRAKEN X62のファン回転数を1200RPMに固定して上と同様に動画のエンコードでCPUに負荷をかけたところ、NZXT KRAKEN X62はi9 7900Xを殻割りクマメタル化すれば4.6GHzにOCしてもCPU温度を最大70度、平均65.2度に収めることができました。ちなみに発熱の大きいi9 7900Xの場合はポンプ速度も重要で60%と100%では5度前後差が出ます。
NZXT KRAKEN X62_temp_3



NZXT KRAKEN X62のレビューまとめ

最後にインフィニティミラー搭載簡易水冷CPUクーラー「NZXT KRAKEN X62」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • インフィニティミラーのLEDイルミネーションが綺麗
  • 設定可能な発光パターンが”無限”と言っても過言ではないほど豊富
  • 水冷チューブはスリーブ付きで丈夫。曲げやすく潰れにくい。細いので取り回しに優れている
  • 5.0GHzに手動OCしたi7 7700Kを運用可能な冷却性能
  • 4.6GHzに手動OCしたi9 7900Xを有用可能な冷却性能
  • バックプレートを単独でマザーボードに固定可能
  • 水冷ブロックの固定はハンドスクリューナットでツールレス固定可能
  • 付属の冷却ファン「Aer P」は低速回転時も軸音が小さく高品質 (単品で買いたい)
  • 専用アプリ「CAM」から水温のモニタリングやポンプスピードのコントロールが可能
  • 水温ソースのファン・ポンプコントロールに対応
悪いところor注意点
  • ファン・ラジエーターの固定ネジが国内で入手の容易なM3やM4ではなくUNC No.6-32
  • ラジエーターのデザインにも拘って欲しい
  • LEDイルミネーションは独自規格だけでなく各社M/Bの対応している汎用4PINにも対応して欲しい

冷却性能の検証結果からもわかるように「NZXT KRAKEN X62」はIntelの最新メインストリームCPU最上位であるi7 7700Kの5.0GHz OCでも静音性を保ったままで十分に冷却できる性能があります。当サイトでは発熱が比較的小さいメインストリーム向けCPUと組み合わせる簡易水冷CPUクーラーであれば取り回しの良さから120や140サイズのシングル冷却ファンサイズラジエーター採用モデルを推奨していますが、より高い静音性と冷却性能が求めるユーザーには、PCケースへの設置が問題なければNZXT KRAKENシリーズの上位モデルのように240や280サイズもおすすめです。
またオーバークロックで発熱が大きくなり温度管理が格段に難しくなるIntel Core i9や8月10日発売となるAMD Ryzen ThreadRipperのようなエンスー向けCPUと組み合わせるのであれば、
280サイズの大型ラジエーターを搭載して静音動作も十分に狙うことができるNZXT KRAKEN X62は最適なCPUクーラーです。

水温センサーを内蔵しており、水温ソースのファン・ポンプコントロールが可能なところも競合する簡易水冷製品と比較した時の「NZXT KRAKEN X62」のアピールポイントです。専用アプリ「CAM」による一括管理が売りなので仕方ないところなのですが、最近のマザーボードは簡易水冷クーラーのポンプに対応したファン端子を搭載しているものも増えてきているのでSATA電源ではなく4PIN ファン端子で電源を取れる方が個人的には好みでした。

マウントパーツが個別にマザーボードに固定可能、マウントパーツを設置したままでもCPUクーラーを交換可能なところは管理人的にポイントが高いです。前者は特にマザーボードをPCケースに組み込み後のCPUクーラー設置で、バックプレートを裏から支える必要がないので全ての簡易水冷CPUクーラーで採用して欲しい構造です。

「NZXT KRAKEN X62」や同シリーズ最大の魅力は水冷トップに設置されたインフィニティミラー、日本語で言うところの”合わせ鏡構造”を利用したLEDイルミネーションだと思います。リングLEDが合わせ鏡の中で無限に(実際に視認できるのは7~8個ですが)連なっていく様子は工業製品ながら非常に神秘的です。リングLEDもただ明滅するのではなく円周LEDが8分割されており回転の演出など発光パターンのカスタマイズが幅広いのも魅力的です。発売当初はソフトウェアにバグもありましたが17年7月時点では修正も確認できて隙がありません。

CPUクーラーとしての性能も申し分なく、インフィニティミラー構造を採用したLEDイルミネーションは現行の簡易水冷CPUクーラーの中で最も美しいデザインと言っても過言ではないので、「NZXT KRAKEN X62」はおすすめのCPUクーラーです。

以上、「NZXT KRAKEN X62」のレビューでした。
NZXT KRAKEN X62






補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。




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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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