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Intelの最新エンスー向けCPUのSkylake-Xシリーズの最上位モデルにして、エンスー向けという位置づけではありますが一般ユーザー向けに販売される製品としては文句なしに現行最強のマルチスレッド性能を誇る18コア36スレッドCPU「Core i9 7980XE」を殻割りクマメタル化して、コアクロックを全コア4.5GHzにオーバークロックしたので、殻割り前後の温度比較などレビューしていきます。
Core i9 7980XEはCore-X CPUの中でも最上位モデルとなっており”Extreme Edition”の名前で差別化されているように、その他のCore i9の紙パッケージとは違った豪華な化粧箱が採用されています。
CPUの外観自体はその他のSkylake-X CPUと同じです。
CPUの重量50gに対してCPUのお値段は24万円程ということで、17年11月現在の50gの純金と同じ価値になっています。重量の大半は銅製のヒートスプレッダなのでダイ&基板は金よりも高価という見方も……。
なにはともあれ早速、Core i9 7980XEの殻割りです。Skylake-Xの殻割りには汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」やRockit Coolの「Rockit 99」など11月現在では対応するツールがいくつかありますが、今回はちょうど国内公式通販のROCKIT COOL JAPANから「Rockit99」のレビュー用サンプルを提供いただけたので、「Rockit99」を使用して殻割りを行いました。「Rockit99」を使用した実際の殻割り作業や殻割り後の処置についてはこちらの記事で紹介しているので気になる方は参考にしてください、
・Skylake-X用殻割りツール「Rockit99」でi9 7980XEを殻割りしてみる
ヒートスプレッダとCPUダイの間に塗る液体金属系グリスとしては”殻割りリキプロ化”の名前で知られるように「LIQUID PRO」が定番でしたが、Core i7 7700Kを使用した比較でThermal grizzly Conductonautのほうが冷えるという検証結果が出て以来、管理人はあっさり宗旨替えしてクマメタルことThermal grizzly Conductonautを使用しています。価格も違わないのでThermal grizzly Conductonautがおすすめです。
続いて殻割りクマメタル化したCore i9 7980XEのオーバークロックに移ります。
Core i9 7980XEのOCを行う環境としては、ASRock X299 OC Formulaなどで構成されているベンチ機を使用しました。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 7980XE 18コア36スレッド |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
マザーボード |
ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
検証機材に使用しているマザーボード「ASRock X299 OC Formula」はOC耐性も高く、VRM電源クーラーも大型で冷却性能が高いので、消費電力が大きくVRM電源への負荷もけた違いなCore i9 7980XEの環境としておすすめの1枚です。レビュー記事も公開しているので参考にしてください。
・「ASRock X299 OC Formula」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
以上で検証機材のセットアップも完了です。
Core i9 7980XEを導入してまず最初にすることと言えば、なにはともあれタスクマネージャーで36スレッドの表示に酔いしれることですね。壮観です。
マザーボード毎に動作は異なると思いますが、「ASRock X299 OC Formula」の標準設定においてはCinebenchなどでは全コア3.4GHz動作ですが、Aviutl&x264によるエンコードでは電力制限が動作して平均で全コア3.0GHz程度となりました。標準設定ではアプリ別で電力制限に差が出るのでSky-XやCoffee-Sはよくわからん。
下調べはこの辺りで簡単にすませてCore i9 7980XEの殻割り前後の温度比較には、ざっくりとコア電圧を1.140V、ロードラインキャリブレーション:Level2にしてコアクロックを4.5GHzにOCしました。当初はCore i9 7920XやCore i9 7900Xと同様に4.6GHz、1.200Vに設定しましたがCinebenchの段階でCPU温度が90度を超えたのですぐに断念しました。情報が少ないので若干てきとうですが、Core i9 7980XEの場合は1.100Vを基準にして4.4GHzで普通石、4.5GHz以上回ったら当たり石だと思います、たぶん。1.100Vで4.6GHz回ったら大当たり。流石に24万の石で選別はしてられないと思いますが。一度はしてみたい7980XEガチャ……。
OC後のストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 7980XE 定格の場合6~7分ほどなので同じ動画のエンコードを3つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 7980XEを4.5GHzにOCするとCinebenchスコアは4400を上回ります。参考までに競合のRyzen Threadripper 1950Xが4.0GHz OCで3300程です。また前世代のエクストリームCPUであるCore i7 6950Xは4.2GHzにOCして2200程度なので前世代と比較して2倍のマルチスレッド性能が期待できます。
まずは殻割り前のOCです。Fractal Design Celsius S36のファン回転数を1500RPMをしていますが、ストレステスト中のCPU温度は最大89度に達しました。Core i9 7920Xやダイサイズの小さいCore i9 7900Xではコア電圧1.200Vくらいまでは非殻割りでもギリギリ運用できそうなCPU温度に収まっていたのですが、さすがに最上位18コアのCore i9 7980XEでは1.100V以下に収めないと厳しい感じです。
続いて殻割りクマメタル化後のOCですが、同じ設定でCPU温度が最大73度に収まりました。今回はコアクロックしか弄っていませんが、キャッシュやメモリクロックのOCもするともう少し発熱が大きくなるので、この石は殻割りクマメタル化でも1.100~1.150Vで4.4~4.5GHzくらいが常用の限界みたいです。
ストレステスト中の温度を殻割り前後で比較すると次のようになりました。Core i9 7980XEの4.5Ghz OCで比較すると殻割りクマメタル化で概ね14度ほど温度が下がりました。
もうちょっとがんばってみて、4.6GHz、1.180VにOCすると最大82度程度までCPU温度が上がりました。今回はCPUクーラーに360サイズラジエーター簡易水冷「Fractal Design Celsius S36」を使用しているので、本格水冷で水温を20度前後に維持できればなんとか運用できるかもな感じです。ここまでくると最大でも360サイズな簡易水冷のラジエーターでは流石に対応するのは無理だと思います。
全コア4.6GHzにOCするとCinebenchスコアは4500を突破しました。
Core i9 7980XEのOCは消費電力も従来のCPUと比較して破格の数値です。標準設定の250Wでもなかなかの消費電力ですが、一般的な常用限界になりそうな4.4~4.5GHzではCPU単体で見てもCPU単体で400~500Wも要求するという結果になっています。だいたいCore i9 7920Xの4.5GHzとCore i9 7980XEの4.0GHzで消費電力が同程度になっています。GTX 1080 TiなどハイエンドGPUのマルチGPUも搭載するなら1200Wクラスの電源ユニットが必須になりそうです。
Core i9 7980XEは他の追随を許さない圧倒的なマルチスレッド性能を発揮できる反面、おそらく一般的な常用限界になるであろう4,5~4.6GHzの4GHz中盤コアクロックへOCしていくと発熱も破格の数値となって冷やすのが難しくなります。ただし後日、別記事にする予定ですが、全コア4.0GHzくらいであれば240サイズラジエーターでも問題なく運用できるので事前情報を漁っていた時の感触ほど扱いにくいCPUということはなさそうです。
Skylake-Xの中でも上位の大型CPUダイが採用されているモデルは12コアのCore i9 7920Xから最上位で18コアのCore i9 7980XEまでありますが、OC時のCPU温度の高さや消費電力の大きさを考えると、コアクロックを優先するのであれば最もコア数の少ないCore i9 7920Xがやはり安定だとおもいます。18コアをフル活用できるユースというのもそうそうないので、コスパも考えるとあえてCore i9 7980XEを選ぶよりはCore i9 7920Xを選んで、グラフィックボードなど他に予算を回すほうがおすすめというのが正直なところです。
以上、『Core i9 7980XEを殻割りで4.5GHzにOCレビュー』でした。
x16スロット7段の「ASUS WS X299 SAGE」が発売されたらCore i7 6950X&ASUS X99-E WSで続投中のメイン機を換装予定ですが、Core i9 7980XEかCore i9 7920Xのどちらを組み込むか管理人も悩んでいます……。どちらにせよその前にCore i9 7980XEを検証機材に使って、長いこと積んでいる「ASUS ROG RAMPAGE VI EXTREME」と「MSI X299 XPOWER GAMING AC」のレビュー記事を書かないと。
Intel Core i9-9920X Processor 12コア24スレッド BX80673I99920X
Intel Core i9-9900X Processor 10コア20スレッド BX80673I99900X
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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