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ハイパフォーマンス電源ユニットを多数輩出しているCorsairから、多くの海外のレビューサイトでも絶賛されているハイエンド電源ユニットAX1500iの後継モデルとしてリリースされた、変換効率Titanium認証を取得し電源容量1600Wの最強電源ユニット「Corsair AX1600i (型番:CP-9020087-JP)」をレビューしていきます。「Corsair AX1600i」は高寿命な日本製105°Cキャパシタやコンシューマー向け電源ユニットとしては唯一採用されているGaN トランジスタなど最上級の内部部品によって構成され、大容量・高変換効率を活かして640Wまでの電源負荷においてファンレス動作が可能であり、専用アプリ「Corsari Link」による電源パフォーマンスのリアルタイムモニタリングや電源冷却ファンのコントロールに対応するなど、隙のないウルトラハイエンド電源ユニットです。
製品公式ページ:http://www.corsair.com/ja-jp/ax1600i-digital-atx-power-supply-1600-watt-psu-jp
代理店公式ページ
アスク:https://www.ask-corp.jp/products/corsair/power-supply/axi.html
リンクス:https://www.links.co.jp/item/ax1600i/
「Corsair AX1600i」のモジュラー端子/ケーブル構成
Corsair AX1600i 1600W Titanium認証 (CP-9020087-JP)
Corsair
<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<PCワンズ><パソコン工房>
なお電源ユニットのレビューについては専門的な測定機器もないので写真をまじえた仕様の紹介と負荷別のファンノイズに関する検証が主なコンテンツになります。自作PC用電源ユニットについて基本的な予備知識は下の記事で紹介しているので参考にしてください。
・自作PC電源ユニット(PSU)の徹底解説とおすすめ電源の選び方
Corsair AX1600i レビュー目次
1.Corsair AX1600iの梱包・付属品
2.Corsair AX1600iの外観
3.Corsair AX1600iのケーブルや電源端子について
4.専用アプリ「Corsair Link」について
5.専用アプリ「Corsair Link」:ファン制御や電源設定について
6.Corsair AX1600iの負荷別のファンノイズについて
7.Corsair AX1600iのレビューまとめ
Corsair AX1600iの梱包・付属品
早速パッケージを開封してCorsair AX1600iの外観や付属品をチェックしていきます。製品パッケージに「Corsair Guarantee 10 years」とロゴが描かれているように、「Corsair AX1600i」には10年間のメーカー製品保証があります。Amazon.co.jpや国内のPCパーツショップ等で正規販売品を購入すれば、正規代理店経由で同期間の保証が得られます。
製品パッケージはHX1200iのようにスリーブ箱から中箱を取り出すタイプではなく、蓋を開くタイプになっていました。ハイエンド電源ユニットのパッケージは大きいのでスリーブ箱の場合中身の取り出しが面倒だったりするためこの構造は好印象です。ただ開封時にスペースを取るので長辺ではなく短辺方向(写真で言うと横ではなく奥向き)に開く構造にして欲しかったです。
パッケージを開くとまずは電源ユニットの多言語マニュアルや保証書が入っていました。その下には左側にスポンジのスペーサーで安置された電源ユニットが、右側にはビニール袋と専用ナイロンバッグの中にACケーブルやモジュラーケーブル各種が右側に入っていました。
スポンジスペーサーの蓋を外すと布製の袋で保護された電源ユニットが安置されています。各種プラグインケーブルが収められた専用ナイロンバッグといい高級感のある梱包です。
電源ユニット本体やケーブル類以外の付属品としては、電源ユニットの仕様が書かれた多言語マニュアル、ケーブルタイ、マジックテープ式ケーブルテープ、電源ユニット固定ネジなどがあります。
「Corsair AX1600i」はWindows上やスマートフォンアプリを使用したモニタリングやイルミネーション操作機能「Smart Power Management」に対応しており、PCと接続するためのUSBケーブルが付属します。電源ユニット側はminiUSB端子、マザーボード側は内部USB2.0ヘッダーとなっています。
マザーボード上の内部USB2.0が不足している場合は内部USB端子を2基備えたCorsair Link用新型ハブ「CORSAIR Commander PRO」や内部USB増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
・Corsair Link用の新型ハブ「CORSAIR Commander PRO」をレビュー
Corsair AX1600iの外観
「Corsair AX1600i」本体をチェックしていきます。Corsair AX1600iは449ドルの高級電源ユニットなのでスポンジの緩衝材で保護されています。
さらにCorsair AX1600iは高級電源では定番なベロア布袋で保護されています。
「Corsair AX1600i」の電源ユニット本体は次のようになっています。スチール製の電源ユニット外装は滑らかでややグレーっぽいブラック塗装になっています。外観のデザインはHXシリーズやRMシリーズなどCorsairが2017年にリリースしたものと同系統で統一されています。
「Corsair AX1600i」の特徴としては電源ユニットの冷却ファンが設置された面とは反対側はラインの入ったスチールパネルですが、中央にはシルバーのヘアライン処理されたアルミニウムプレートが装着されており、Corsariのメーカーロゴが刻印されています。
Corsairは魅せる自作PC系のPCパーツも多数輩出していますが、「Corsair AX1600i」ではそういった要素としてマグネットラベルによって側面のロゴカラーをカスタマイズできます。標準ではグレーの製品ラベルが電源ユニット側面に描かれていますが、付属のマグネットラベルによってレッド、ブルー、ホワイトの3色に変更できます。
「Corsair AX1600i」は変換効率94%を証明するTitanium認証を取得した変換効率に非常に優れた電源ユニットなので、1600Wの大電源容量にもかかわらず奥行は200mmと非常にコンパクトです。前モデルのCorsair AX 1500iや競合製品のEVGA SuperNOVA 1600 T2が奥行225mmとなっており、フルタワーケースであってもPCケースへの組み込みを考えると25mmの差は大きいと思います。
冷却ファンには最近のトレンド通りに140mmのFluid Dynamic Bearingファンが採用されています。
「Corsair AX1600i」はTitanium認証の非常に優れた変換効率を生かして負荷640W以下においては、冷却ファンが停止するセミファンレス機能「Zero RPMファンモード」にも対応しています。
Corsair AX1600iはATX24PINからPCIE補助電源まで全てのケーブルが着脱可能なプラグインケーブルになっているので環境に合わせて使用するケーブルが選択できます。
電源ユニットが正常に動作するか自己診断(SELF TEST)する機能も搭載されています。ACケーブルをコンセントに接続した状態で「SELF TEST」のボタンを押して、『緑色LEDが点灯して、しばらくファンが回転』すれば正常、『赤色LEDが点灯したり、LEDが全く点灯しない』場合は故障しているとわかります。
ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる凸型3PINタイプ端子ではなく、スクエア型3PIN端子になっています。コンセントからの電力供給を簡単にカットできるロッカー型ハードウェアスイッチはありますが、排気面を広く取るため小型スイッチが採用されています。ただ管理人的にはベンチ機で使用しているCorsair HX1200iくらいスイッチが大きいほうが使いやすいの好みです。
今回管理人は国内発売に先駆けて米尼から北米版の「Corsair AX1600i」を輸入したのでACケーブルは北米仕様のアース付き3PINでした。
このままでは国内コンセントでは使用できませんが、Amazon等でも購入可能な3P-2P変換アダプタを使用すれば国内でも使用できます。管理人は「サンワサプライ 3P→2P変換アダプタ TAP-AD1BKN」を使用しました。ピッタリサイズなのでおすすめです。
Corsair AX1600iはPCI-E補助電源やEPS電源など12V電源出力がシングルレーンの最大133.3Aと非常にパワフルな電源ユニットです。交流入力として日本国内の100V・50/60Hzに対応しています。
Intel Skylake-X Core i9やAMD Ryzen ThreadripperのOC環境ではCPUへ電力供給を行うEPS端子だけでも20A以上の出力を要求することもありますが、シングルレーン133.3Aの出力が可能な「Corsair AX1600i」なら余裕で安定した電力供給が可能な容量を備えています。(下のスクリーンショットではRM650iにEPS電源のみを接続してi9 7900X 4.6GHz OC時の+12Vの電流値をチェックしています。)
Corsair AX1600iは日本製105°Cコンデンサを全面使用するなど最上級の内部部品とデジタル設計により、Titanium認証を満たす94%以上のAC-DC変換効率、安定した電圧、超低リップルノイズなど優れたパフォーマンスを実現しています。
またAX1600iはコンシューマー向け電源ユニットとしては唯一、GaN トランジスタを採用しています。低損失かつ高効率を実現できる次世代パワーデバイス「トーテムポール型PFC窒化ガリウム(GaN)トランジスタ」を始めとした最上級の内部部品とデジタル設計により、「Corsair AX1600i」では奥行き200mmのコンパクトサイズに電源容量1600WかつTitanium認証の変換効率のパフォーマンスを詰め込むことが可能になっているようです。
電源ユニットの重量も確認してみたところTitanium認証ATX電源の「Seasonic PRIME Ultra 850 Titanium SSR-850TR」が2037g、 「Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium」が2418gであるのに対して、「Corsair AX1600i」は2631gと電源容量1600Wのウルトラハイエンド電源らしく重量も大きくなっています。
Corsair AX1600iのケーブルや電源端子について
Corsair AX1600iに実装されている電源コネクタの種類やケーブル長についてチェックしていきます。Corsair AX1600iのプラグインケーブルは製品パッケージ内の電源ユニット本体右側に収められていた専用ナイロンバッグの中に入っています。
Corsair AX1600iのプラグインケーブル用ナイロンバッグは巻物的な独特な構造になっており、EPSケーブルやPCIE補助電源ケーブルなど種類によってポケットに小分けされています。欲しいケーブルがすぐ取り出せて便利です。
「Corsair AX1600i」のATX24PINケーブルとEPSケーブルとPCIE補助電源ケーブルは製品サンプルイメージでも公開されているように、前モデルのAX1500iやPlatinum認証の下位モデルHX1200iで採用されているフラットきしめん型ケーブルではなく、安価な製品に採用されることの多いスリーブまとめ型ケーブルが採用されているので疑問に思うかもしれません。
ATX24PINケーブルのマザーボードに接続する側のコネクタの根元を確認すると熱収縮チューブが明らかに膨らんでおり、どうやら電力波形の安定化やノイズ低減のためコンデンサ等の素子がケーブル側にも埋め込まれているようです。そのため「Corsair AX1600i」では高級電源で採用の多いフラットきしめん型ではなくスリーブまとめ型のケーブルが採用されているようです。
スリーブまとめ型なのでケーブルの途中は曲げにくいですし、特にコネクタの根元に埋め込まれた素子の影響でコネクタ付近はかなりスペースを取ります。「Corsair AX1600i」はとにかく性能重視な電源なので、ケーブルの取り回しを優先するのであればHX1200iのようにフラットきしめん型ケーブルを採用する電源ユニットを選択した方がいいと思います。
Corsair AX1600iのATX24PINケーブルは大型フルタワーPCケースにも対応可能な610mmのスリーブまとめ型ケーブルです。
PCI-E補助電源とEPS電源のケーブルは見分けるのが面倒ですが、付属のケーブルではコネクタの側面に「PCIe」と「CPU」と表記されているので区別しやすくなっています。あとATX 24PIN電源ケーブル同様にPCI-E補助電源ケーブルとEPS電源ケーブルもスリーブまとめ型ですが各端子の根元の熱収縮チューブ部分にはコンデンサらしき膨らみがありました。
Corsair AX1600iにはEPS 8ピン端子ケーブルは2本付属します。ケーブル長は2本とも650mmです。Intel Skylake-Xに対応するX299マザーボードやAMD Ryzen ThreadRipperに対応するX399マザーボードなどエンスー向け高性能マザーボードではEPS 8+4PINや8PIN×2を要求するものもありますが、SSR-850TRなら問題なく対応可能です。。
EPS端子は8PINを4+4PINに分離可能なコネクタで、4PINコネクタにはロックピンもあるので使いやすいケーブルだと思います。
Corsair AX1600iにはPCI-E補助電源ケーブルは先端が8PIN*1のケーブルと、8PINからもう1つの8PINが分岐しているケーブルの2種類があります。8PINコネクタはいずれも6+2PINに分離可能なタイプです。
8PINコネクタが1つのPCI-E補助電源ケーブルはケーブル長650mm、8PINコネクタが2つのPCI-E補助電源ケーブルはケーブル長650+125mmで、それぞれ6本と2本が付属します。8PIN PCI-E補助電源端子は合わせて計10端子あるのでGTX 10XXシリーズやRadeon RX Vegaでは正式サポート外となりましたがハイエンドグラフィックボードの4枚刺しにも対応可能です。
SATA電源ケーブルと4PINペリフェラル電源ケーブルスリーブまとめ型ケーブルではなく、フラットきしめん型ケーブルが採用されています。
SATA電源ケーブルは全長665mmの2コネクタ(550 + 115 mm)と全長800mmの4コネクタ(440 + 120 + 120 + 120 mm)の2種類があり、それぞれ2本と3本が付属します。SATA端子は計16基が使用可能となっており多数のHDDストレージを搭載するようなサーバー機用の電源としても使用できます。
4PINペリフェラル電源ケーブルは全長650mmの4コネクタ(450 + 100 + 100 mm)が3本付属しています。
ほぼディスコンですがフロッピー端子の変換ケーブルも付属します。(梱包ミスなのか2本入っていました)
専用アプリ「Corsair Link」:セットアップ方法と基本的な使い方
「Corsair AX1600i」は同社のハードウェアモニタリング用アプリ「Corsair Link」で各種コントロールが可能になっています。「Corsair Link」は公式サポートページからダウンロードできます。
「Corsair Link」ダウンロードページ:http://www.corsair.com/ja-jp/downloads
プルダウンメニューから「Corsair Link」を選択すると最新版の「Corsair Link」が表示されるのでここからダウンロードしてください。
公式ページから「Corsair Link」のインストーラーをダウンロードして、インストールするところはポチポチクリックしていくだけで簡単なので割愛するとして、インストールが完了したらデスクトップのショートカットアイコンから「Corsair Link」を起動します。初回起動時は再起動(reboot)を求められるかもしれませんがその際は一度再起動してから再度「Corsair Link」を起動してください。
Corsair Linkを起動すると次のようなタイルスタイルのトップメニューが表示されます。Corsair Link対応製品のみならずCPU、マザーボード、グラフィックボードの温度やファン回転数もモニタリング表示されます。
トップメニュータブの「Options」を選択すると一般設定ウィンドウが表示され、言語設定やスタートアップ設定が可能です。言語には残念ながら今のことろ日本語はありません。
トップメニュータブの「Profile」を選択すると「performance」「Balanced」「Quiet」の初期プリセットに加えて、ユーザー各自設定のプロファイルを作成できます。「Manage profiles」から新規プロファイルを作成可能です。選択中のプロファイルについてはメインウィンドウで設定の変更を行うと自動でプロファイルに変更が保存されます。
各種構成パーツのタイル上に表示されている温度やファン回転数などモニタリング値をクリックすると設定ウィンドウが表示されます。
設定ウィンドウの「Configure」タブではモニタリング値の表示名を変更可能です。
「Notifications」タブでは設定中のモニタリング値が「Mini value」を下回るか「Max value」を上回った時のアラートや自動シャットダウンなどの設定が可能です。
トップメニュータブのConfigureを選択するとPCケースの写真が表示されて、現在Corsair Link上でモニタリングされている値のタイル一覧がウィンドウ左に並んでいるので、ドラッグ&ドロップでPCケースの写真状に配置してPCケース内の温度状況などをグラフィカルに確認可能です。
上で表示されるPCケースの写真は設定の「Choose Case image」からサンプルイメージとして用意されているCorsair製のPCケースの写真や自分で用意した写真に変更できます。
トップメニュータブのGraphingを選択するとウィンドウ右側に追加で各種モニタリング値のリアルタイムグラフを表示するフロートウィンドウが表示されます。トップメニューのタイル状に表示されているモニタリング値は全てグラフ表示とログの取得が可能です。
リアルタイムグラフウィンドウ右上の「Configure」ボタンを選択すると、追加の設定ウィンドウが表示されます。設定ウィンドウ上ではチェックボックス形式でモニタリングを行うモニタリング値を個別に指定できます。モニタリングにチェックを入れた項目のログを取る場合にログファイルの出力場所とログ間隔を設定できます。モニタリング値のログを取る場合はリアルタイムグラフウィンドウ右下の「logging」のチェックボックスにチェックを入れます。
専用アプリ「Corsair Link」:ファン制御や電源設定について
「Corsair AX1600i」では専用アプリ「Corsair Link」上で電源ユニットの出力に関する設定や電源ユニット冷却ファンの動作設定が可能なのでそれらについて紹介していきます。Corsair AX1600iの詳細設定についてアクセスする場合はトップページのCorsair AX1600iタイル上に配置された「Configure」ボタンを選択します。なお電源ユニットの冷却ファンについて設定を行う場合は直接、タイル上の冷却ファンのアイコンを選択しても設定ウィンドウが表示されます。
Corsair AX1600iの詳細ウィンドウは次のようになっています。上段には入力電力と出力電力のモニタリンググラフ、中段には12V/5V/3.3Vのリアルタイム出力、電源温度・ファン回転数、シングルレール/マルチレール切り替え、下段にはマルチレール設定時に各プラグイン端子に対するOCP(過電流保護)設定が表示されています。
Corsair LinkトップページのCorsair AX1600iタイル上、もしくはAX1600iの詳細設定ウィンドウ上に表示されるファン回転数モニタリングアイコンを選択すると電源ユニット冷却ファンのファン制御ウィンドウが表示されます。設定ウィンドウ上では標準設定の「Default」モード以外に、ファン回転数デューティ比を指定して固定回転数で動作させる「Fixed %」や、電源ユニット温度依存のファンカーブを自由に設定できる「Custom」モード、冷却ファンを定格(最大速度)で動作させる「Max」モードの計4つを選択できます。
固定モードやカスタムモードなど手動設定については速度デューティ比40%から100%で設定可能になっており、ファン回転数としては900RPMから1900RPMの範囲内で速度制御に対応しています。
「Corsair AX1600i」の出力電力に関する設定としては、+12Vのシングルレール/マルチレールの切り替えやマルチレール時の個別OCP(過電流保護)設定が可能です。
+12Vのシングルレール/マルチレール設定は中央左の「Malti-Rail Configuration」でチェックボックスを選択することによってリアルタイムに切り替わります。+12Vのシングルレール設定ではソフトウェア上の個別OCP設定には当然アクセスできなくなります。(シングルレールの意味からすると1つのプラグイン端子から最大133Aの出力が可能となりますが実際はある程度高い電流が流れるとOCPが作動するようです。)
マルチレールを選択すると下部に配置された個別OCP設定からプラグイン端子別でPCIe #1~#12についてOCPの動作設定をそれぞれ行えます。PCIe #〇の左に配置されたのスライドボタンからはその出力に対するOCPの有効/無効が設定でき、有効時には右側のスライダーからOCPが作動する閾値電流の設定ができます。
モニタリング・ログ関連については「Corsair AX1600i」はその他のCorsair Link対応電源ユニット同様に、入力/出力電力、各種電圧の電流/電力、ファン回転数、電源温度などがモニタリングできます。加えて「Corsair AX1600i」ではOCP設定でも登場したPCIe #1~#12についてリアルタイムの電流値をモニタリング可能になっており、Graphのサイドウィンドウからログの取得も可能です。
Corsair AX1600iの負荷別のファンノイズについて
Corsair AX1600iの負荷に対する冷却ファンの動作をチェックしてみました。検証機材の詳細構成は次のテーブルのようになっています。
テストベンチ機の構成 | ||
OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
Core i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Core i9 7920X 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 (レビュー) |
G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK DDR4 8GB*4=32GB(4枚のみ) 3200MHz, 14-14-14-34-CR1 (レビュー) |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 | Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
上記のベンチ機でグラフィックボードをGTX 1050 Ti、GTX 1060、GTX 1070、GTX 1080、GTX 1080 Ti、GTX 1080 Ti SLIに変えてそれぞれについて消費電力と負荷時の電源ファンのファンノイズを測定しました。
測定負荷にはFireStrike Extremeグラフィックテスト1を15分以上ループさせています。またCore i9 7920X環境で測定を行う際は最終的にリアルタイム動画配信ソフト「Open Broadcaster Software (OBS)」でCPUによるリアルタイムエンコードの録画を行ってCPUにも負荷をかけています。
消費電力の測定にはBluetooth接続でスマホから消費電力を見れるワットチェッカーを使用して、電源ユニットの変換損を含めたシステム全体の消費電力をチェックしています。
サウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しています。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりとファンノイズが不快に感じるかどうかは音の性質にもよるので注意してください。
またベンチ機のCPUクーラーやグラフィックボードから出るファンノイズについては吸音材の板を使用して電源ユニット本体のファンノイズ測定への影響を下げています。非負荷時にグラフィックボードのファン回転数を負荷時の最大値に固定してもサウンドレベルメーターが35~37dBしか示さないのでこれらの影響は基本的に無視して問題ありません。
消費電力とファンノイズの測定結果は次のようになりました。
Corsair AX1600iについては製品スペック通り負荷640W以下において冷却ファンが停止するセミファンレス機能に対応しています。GeForce GTX 1080 TiやRadeon RX Vega 64などハイエンドGPUのシングルグラフィックボード環境であればファンレス運用も余裕です。エンスー向けCPU&ハイエンドGPUのマルチGPU環境の負荷1000W前後であってもファン回転数は500~600RPMなので環境ノイズに紛れる程度のファンノイズしか発生しません。国内環境として上限になるであろう1350W前後であってもファン回転数は1000RPM未満です。1500Wを超えてくると流石にファンノイズは大きくなりますが、実用上は気にする必要のないレンジの話だと思います。
最終的にはGTX 1080 Ti SLIのパワーリミットを120%にしてFireStrike Ultra グラフィックテスト1をループ再生して、全コア4.5GHzにOCしたCore i9 7920Xをでリアルタイムエンコードを行う電源負荷を1時間以上かけ続けましたが、当然のように安定動作しました。この状態でも電源ユニットの冷却ファンの回転数は600RPM程度なので電源ユニットの静音性が高いことはもちろん、CPUクーラーやGPUクーラーによる周辺ノイズのほうが大きいので電源ユニットのファンノイズは全く気になりません。
Corsair AX1600iはTitanium認証の非常に優れた変換効率を生かして電源負荷640W以下においては、冷却ファンが停止するセミファンレス機能「Zero RPMファンモード」に対応しています。
しかしながら上のファンノイズに関するテーブルでも表記したように消費電力600~640W前後ではファンの停止と動作を繰り返すことが確認できました。閾値までの余裕をもたせて消費電力が500W程度になるようにして長時間負荷をかけ続けたところ1時間30分程度が経過するとファンが始動しました。
ファンの始動前と停止後についてサーモ―グラフィーで電源ユニット内部の温度をチェックしてみたところ、Corsair Link上のPSU温度は40度未満までしか上がりませんが、ファン始動前は電源ユニット内部が最大で80度後半に達し、一定時間のファン動作後は60度未満まで冷えていました。
「Corsair AX1600i」のファンレス動作ON/OFFの条件としては消費電力だけでなく、電源ユニット内部温度が上がり過ぎて故障するのを防止するセーフティ機能として、電源ユニット内部の温度センサーもトリガーになっているようです。温度セーフティが機能するため長時間の500W~600W負荷では完全ファンレス動作とはなりませんが、200~300RPM程度なのでファンノイズが気になるということはないと思います。
「Corsair AX1600i」は接続されたPCの起動時に一時的に冷却ファンが定格(最大速度)で動作します。電源ユニット筐体内の埃を飛ばすなど保全的には好ましい動作なのかもしれませんが、静音重視派的にはあまり好かれない動作となっており、ユーザーの好みがわかれるところです。個人的には「SELF TEST」機能も用意されているので、HX1200iのように静かに起動するほうが好ましいかなと思います。
あと電力モニタリングにおいて同じ値を返し続けて電力が変動せず、リアルタイムの電力が反映されない場面に何度か遭遇しました。ソフトウェアとハードウェアどちらの問題なのかわかりませんが、HX1200iでは見られなかった挙動なので少し気になります。
「Corsair AX1600i」についてはkitguru、techpowerupなど海外レビューサイトでは、専門的な機材を使用してさらに詳細なレビュー記事が公開されています。電圧波形やリプルなどが気になる人は読んでみてください。
https://www.kitguru.net/components/power-supplies/corsair-ax1600i-digital-power-supply-review/
https://www.techpowerup.com/reviews/Corsair/AX1600i/
http://www.tomshardware.co.uk/corsair-ax1600i-psu,review-34148.html
【追記】
質問のあった「Corsair AX1600i」をX299マザーボードに接続した場合の+12Vのマザーボード読みについて確認しました。ASUS Rampage VI Extremeに接続してHWinfo上のモニタリング値を確認したところ、12.00Vでピッタリでした。
Corsair AX1600iのレビューまとめ
最後にGaNトランジスタが実現したTitanium認証&電源容量1600Wで奥行200mmの最強電源ユニット「Corsair AX1600i (型番:CP-9020087-JP)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 電源容量1600W、変換効率94%のTitanium認証取得ハイエンド電源ユニット
- +12Vは133.3Aのシングルレーン出力
- 電源容量1600Wの電源としてはコンパクトな奥行200mm
- ATX24PIN/PCIE補助電源/EPSのケーブルには供給電圧を安定させる素子が実装されている
- 負荷640W以下でセミファンレス動作に対応 (高温時のセーフティあり)
- 専用ソフトウェアCorsair Linkから電源ユニット冷却ファンの制御が可能
- 冷却ファンの回転数は負荷1350W以下であれば最大900RPMで静音性に優れる
Core i9 7920X 4.5GHz&GTX 1080 Ti SLI OC環境でも600RPM程度 - 専用ソフトウェアCorsair Linkから消費電力や各種電圧のリアルタイムモニタリングが可能
- 側面ロゴはマグネットシールの貼り換えでカラーを4色から選べる
- 10年間の長期新品交換保証
- ATX24PIN/PCIE補助電源/EPSのケーブルはスリーブまとめ型なので取り回しが悪く、
コネクタの根元に埋め込まれた素子が折り曲げを邪魔するのでスペースを取る - 高温時セーフティ機能のため500~640Wの長時間負荷においては完全ファンレスにはならない
- PC起動後に一定時間、冷却ファンが定格で回転する
- 電力モニタリングが若干不安定?
- 税込み7.6万円(北米販売価格449ドル)と非常に高価
最新ハイエンド電源ユニット「Corsair AX1600i」は、高寿命な日本製105°Cキャパシタやコンシューマー向け電源ユニットとしては唯一採用されているGaN トランジスタなど最上級の内部部品によって構成され、電源容量は1600Wの大容量、変換効率は最大94%以上のTitanium認証、+12V出力はシングルレーン133.3Aとなっており、にもかかわらず電源ユニットの奥行は200mmというコンパクトサイズなので、最強の電源ユニットと称しても間違いのない圧倒的なスペックです。Intel Core i9やAMD Ryzen ThreadRipperなどエンスーCPUにNVIDIA GeForce GTX 1080 TiやRadeon RX Vega 64のマルチGPUなど18年最高峰の環境に対しても有り余る電力供給能力を有しています。
電源ケーブルには取り回しが良いフラットきしめん型ではなく、供給電圧を安定させる素子を埋め込むためにスリーブまとめ型を採用していることからも、Corsair AX1600iが安定した電力供給という電源ユニットの本分を重視して、最強の電源性能を目指したことが伝わってきます。
マグネットシールの貼り換えでカラーを4色から選べる側面ロゴや、リアルタイムの電力設定や電力モニタリングが可能な「Corsari Link」に対応するなど、最強電源を目指しながらも電源性能以外を全てそぎ落とすのではなく、盛れるところは付加価値を盛っていく姿勢もエンスー自作erの心をくすぐります。
Corsair AX1600iは電源ユニット冷却ファンの制御において標準でセミファンレス機能「Zero RPMファンモード」に対応しており、電源負荷640W以下において冷却ファンを完全に停止させることが可能です。シングルグラフィックボードであれば640W以下に収めるのは最上位GPUであっても余裕ですし、定格のCore i7 7700K&GTX 1080 Ti SLIの環境であればファンレス容量内にギリギリ収めて運用できます。
ファンレス動作範囲内においては高温による故障を防止するための温度センサーによるセーフティ機能も採用されているようで、閾値付近500W以上の長時間負荷においては電源温度が下がるまで冷却ファンが動作することも確認できました。640W以下においては仮にファンが動作してもファン回転数は200~300RPMなので静音性の点では全く問題ありませんし、故障防止のセーフティ機能として評価できる動作だと思います。
セミファンレス機能範囲外となる650W以上においてもCorsair AX1600iのファン制御は優秀です。18年現在、エンスーと言っても一般的な自作PCの範疇に収まる消費電力はせいぜい1200~1300W以下なので、その範囲内においては電源冷却ファンの回転数は900RPM以下で周辺ノイズに埋もれる程度のファンノイズしか出しません。一方でLN2を使用したり、正式サポートの打ち切られた3,4枚のマルチGPUでベンチマークスコアを追求する一部のユーザー向けには電源が最強のパフォーマンスを発揮できるように1500~1900RPMの高冷却性能を提供します。
価格が北米449ドルと高価である、電源起動時にファンが一定時間最大速度で回転する、電源ケーブルはスリーブまとめ型でコネクタの根元に素子があるため取り回しが良くないなど、AX1600iには欠点が全くないわけではないので、そういうポイントも重視するのであれば、Corsair AX1600iよりも同社の下位モデルであるHX1200iなどHXiシリーズの方が適切だと思います。
しかしながらCorsair AX1600iは安定した電力供給という電源ユニットの本分を追求した最強電源ユニットであることは間違いないので、エンスー構成な自作PCで最上級の安定性を求めるのであれば、Corsair AX1600iは間違いなく買いな電源ユニットだと思います。管理人もASUS WS X299 SAGEと一緒にメイン機に「Corsair AX1600i」を突っ込みました。
以上、最強電源ユニット「Corsair AX1600i」のレビューでした。
Corsair AX1600i 1600W Titanium認証 (CP-9020087-JP)
Corsair
<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<PCワンズ><パソコン工房>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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誤記がありましたので報告を。
16000Wの大電源容量にもかかわらず奥行は~
「16000」になっております。