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ASRockが17年末にコンパクトなゲーミングPC用フォームファクタ製品として満を持して投入した「ASRock DeskMini GTX/RX Series」から、MXMタイプのGeForce GTX 1080グラフィックボードとMicroSTXマザーボード「B250M-STX MXM」を搭載するMicroSTXベアボーン「ASRock DeskMini GTX 1080」をレビューしていきます。レビュー前編ではハード的な仕様や組み立てに関して紹介しましたが、レビュー後編となる今回はデスクトップ向けGTX 1080やGTX 1070との比較から「ASRock DeskMini GTX 1080」のグラフィック性能検証をメインに解説していきます。
「ASRock DeskMini GTX 1080」はCPU、メモリ、CPUクーラー、ストレージを個別に購入する必要があるベアボーンなので「Core i7 7700T」、「Corsair Vengeance SODIMM CMSX16GX4M2A3000C16(レビュー)」、「SilverStone NT08-115XP」、「Samsung 960 PRO 512GB」、「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」を組み込みます。
製品公式ページ:https://www.asrock.com/nettop/intel/DeskMini GTXRX/index.asp
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/QIG/DeskMini%20GTXRX_multiQIG.pdf
マニュアル(M/B):http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/DeskMini%20GTXRX.pdf
「ASRock Deskmini GTXシリーズ」の詳細な内部構造についてはレビュー記事前編「組み立て編」で詳しく解説しているのでこちらを参照してください。
・「ASRock DeskMini GTX 1080」をレビュー【組み立て編】
ASRock DeskMini GTX 1080 レビュー目次
1.ASRock DeskMini GTX 1080のBIOSについて
2.ASRock DeskMini GTX 1080のCPU・ストレージ性能
3.ASRock DeskMini GTX 1080のグラフィック性能と電力制限について
4.ASRock DeskMini GTX 1080のゲーム性能 - GALLERIA Mini 1060やGTX 1060と比較
5.ASRock DeskMini GTX 1080のゲーム性能 - GTX 1080/1070 Ti/1070と比較
6.ASRock DeskMini GTX 1080 レビューまとめ
ASRock DeskMini GTX 1080のBIOSについて
「ASRock DeskMini GTX 1080」のCPUやGPUの性能をチェックする前に、同PCに組み込まれているマザーボード「B250M-STX MXM」のBIOSについて簡単にチェックしておきます。BIOSメニューに最初にアクセスするとイージーモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードのほうが結局のところ使いやすいので「F6」キーを押してサクッと詳細モード移るのがおすすめです。右上アイコンから言語設定が変更可能で日本語表示にも対応しています。
次回起動時のトップメニューについては「アドバンスド-UEFI設定スタイル」の項目で起動時モードを指定できるので「詳細モード」を選択してください。
「B250M-STX MXM」のBIOSについては多言語に対応しており、「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分はあるものの日本語にも対応しているので初心者ユーザーにも優しいBIOSだと思います。
「B250M-STX MXM」のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能についてはBIOS:1.40では用意されていませんでした。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいっても「B250M-STX MXM」のブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
CPU冷却ファンやGPU冷却ファンのファンコントロールについてはトップメニュータブ「H/Wモニター」から行うことができます。
ファン制御プロファイルをカスタマイズモードに変更する頂点を4つ指定して温度-ファン速度デューティ比のファンカーブを任意に設定することも可能です。CPUファン1/2はCPU温度、GPUファンはGPU温度がファン制御のソースになっています。
「B250M-STX MXM」はアンロックCPUの倍率変更に非対応なB250チップセット搭載マザーボードなのでオーバークロックには基本的に対応していませんが、自作PC向けASRockマザーボード同様にトップメニュータブ「OCツール」が用意されています。「OCツール」ではCPU設定、DRAM設定、電圧設定の3項目から設定を行うことができます。
CPU設定については倍率変更ができないことは当然として設定項目はさほど多くありませんが、「短時間電力制限」「長時間電力制限」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。定格の動作周波数とTDPが高いCPUで低負荷時は高クロック動作を維持しつつ、高負荷時の発熱(消費電力)を一定以下に制限したい時に役立つ設定項目です。
DRAM設定については自作PC向けマザーボードのBIOSとほぼ同じレイアウトでDRAM周波数とDRAMタイミングの設定が可能になっています。
ただし「B250M-STX MXM」は設定可能なメモリ周波数はKabyLake-Sの定格メモリ周波数となる2400MHzまでしか対応していません。
電圧設定ではDRAM電源などを変更できます。
「ASRock DeskMini GTX 1080」に組み込まれている「B250M-STX MXM」は基本的にOCに対応していないB250チップセット搭載マザーボードなのでOC周りの設定項目は必要最低限なので自作er的には少し物足りない感じはあるものの、日本語UIにも対応しており自作PC向けのASRockマザーボードと同じBIOSデザインなので、BTO PC組み込みマザーボードのBIOSとして非常に使いやすいと思います。
ASRock DeskMini GTX 1080のCPU・ストレージ性能
「ASRock DeskMini GTX 1080」のCPUとストレージの性能をチェックしていきます。ASRock DeskMini GTX 1080はIntelの第6世代Skylake-Sか第7世代KabyLake-Sの製デスクトップ向けCPUに対応したベアボーンPCなので、今回は4コア8スレッドでTDP35Wの「Core i7 7700T」を選択しました。システムメモリには「Corsair Vengeance SODIMM CMSX16GX4M2A3000C16」を使用しています。XMP3000MHzに対応したメモリですがBIOSのところで紹介したように「B250M-STX MXM」ではメモリ周波数は2400MHzまでとなっています。
Core i7 7700TはCPU自体の製品スペックではベース2.9GHz、ターボブースト3.8GHzと表記されていますが、「ASRock DeskMini GTX 1080」に組み込むと、CPU package powerが35Wよりも小さい場合は全コアが最大3.6GHzまでコアクロックが上がりますが、Cinebench等で大きく負荷がかかると全コア2.9GHz動作となりました。
Core i7 7700TがTDP35Wに制限されて全コア2.9GHzで動作する時のcinebenchスコアは643程度です。
TDPによる制限についてはBIOSの「短時間電力制限」「長時間電力制限」という2つの電力制限機能の設定値を変更することで制限をなくしたり、逆にTDPの大きいCPUに制限を設けることが可能です。今回はTDP35WのCore i7 7700Tを使用しているので「短時間電力制限」と「長時間電力制限」を65Wに設定してTDPによる制限を解除してみました。
上のように電力制限を解除することでCPU package powerが最大53W程度まで上がって、コアクロックは全コア3.6GHzまで上げることができました。
Core i7 7700Tを全コア3.6GHzで動作させるとCinebenchスコアは800程度まで上がって4コア8スレッドのCore i7 CPUらしいマルチスレッド性能になりました。
「ASRock DeskMini GTX 1080」の消費電力についてチェックしてみると、Core i7 7700Tを搭載した「ASRock DeskMini GTX 1080」のアイドル時の消費電力は27W程度でした。下位GPUのGTX 1060とCore i5 7500を搭載する「ASRock DeskMini GTX 1060」を使用したBTO PC「GALLERIA Mini 1060」はアイドル時21W程度なので上位GPUを採用している分で「ASRock DeskMini GTX 1080」のほうがアイドル時の消費電力は若干高いようです。
Cinebenchで負荷がかかった時の消費電力については、Core i7 7700Tを搭載した「ASRock DeskMini GTX 1080」の標準設定(TDP35W)で60W程度、TDP65W設定で85W程度となりました。Core i5 7500を搭載したBTO PC「GALLERIA Mini 1060」は消費電力60W程度でした。
「ASRock DeskMini GTX 1080」のシステムストレージには「Samsung 960 PRO 512GB」を使用しています。「ASRock DeskMini GTX 1080」に搭載されているマザーボード「B250M-STX MXM」の背面に設置されたM.2スロットのうち2基はNVMe(PCI-E3.0x4)に対応しているので「Samsung 960 PRO 512GB」の仕様値通り連続リード3500MB/s、連続ライト2100MB/sを達成しています。
ASRock DeskMini GTX 1080のグラフィック性能と電力制限について
ここからはMXM版GeForce GTX 1080を搭載する「ASRock DeskMini GTX 1080」のグラフィック性能について検証していきます。「ASRock DeskMini GTX 1080」に搭載されているグラフィックボードはモバイル向けMXM版のGTX 1080ですがGPUコアやVRAMチップの仕様自体はデスクトップ版GTX 1080と完全に共通で、BIOS上のコアクロックや電力設定のみが異なっています。
比較対象として次のテーブルに記載されているPCでも同様に各種ベンチマーク測定を行いました。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz |
CPUクーラー | Intel TS15A |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 |
データストレージ |
SanDisk SSD Ultra 3D SATA SSD SDSSDH3-2T00-J25 (レビュー) |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
まずは基礎的なベンチマークで「ASRock DeskMini GTX 1080」のおおよそのグラフィック性能をチェックしておきます。性能比較には「EVGA GTX 1080 SC2 Gaming iCX」、「COLORFUL iGame GTX 1070 Ti Vulcan X Top」、「EVGA GTX 1070 SC Gaming ACX3.0」を使用しています。
3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
ASRock DeskMini GTX 1080 |
20154 | 9532 | 4560 |
GTX 1080 11Gbps OC | 22833 | 10880 | 5467 |
GTX 1070 Ti |
20073 | 9585 | 4720 |
GTX 1070 OC | 18292 | 8599 | 4262 |
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
ASRock DeskMini GTX 1080 |
6623 | 6352 | 104% |
GTX 1080 11Gbps OC | 7678 | 7296 | 105% |
GTX 1070 Ti |
6890 | 6596 |
104% |
GTX 1070 OC | 5968 | 5735 | 104% |
3DMarkのベンチマーク結果を見てわかるようにモバイル向けMXM版GTX 1080を搭載する「ASRock DeskMini GTX 1080」は理想的にはデスクトップ版GTX 1070 Tiとほぼ同等のグラフィック性能が発揮できます。
ただし標準ではその性能の代償としてGPU冷却ファンが3300RPMという高速回転で動作してしまいます。
GPUクーラー冷却ファンが3300RPMで動作するとファンノイズは55dBに達し、ヘッドホンをしていても冷却ファンの風切り音が聞こえるので正直に言ってあまり実用的ではありません。
このままではファンノイズが煩すぎて使い物にならないので電力制限をかけて静音化を図りたいのですが、「ASRock DeskMini GTX 1080」に搭載されているMXM版GTX 1080はMSI AfterBurnerなどデスクトップ向けGPUでよく利用されているユーティリティーを使用してもBIOSからロックがかかっているためパワーリミットの調整ができません。BIOSのロックを解除するには物理的にROMライターを使ってBIOSを焼き直す必要がありハードルが高すぎてこれも現実的ではありません。
そこでGTX 1080の仕様を利用する形で裏技的に電力制限をかけることにしました。「ASRock DeskMini GTX 1080」に搭載されているMXM版GTX 1080はGPU温度が90度を超えそうになるとGPU温度を90度以下に収めるため保護機能として電力制限が動作する仕様になっています。そのためGPU温度が90度になる前提でGPU温度100度以下におけるファン回転数に上限を設けることにしました。GPU冷却ファンの動作設定はBIOSのGPU Fan設定から手動で設定することができます。臨界温度は最大で100度に設定できるので、温度4を80度に設定すると温度4のファン速度でGPU温度90度を維持するようにGPU消費電力に電力制限がかかるという具合になります。
この方法でGPUファンの動作設定を行うことでGPUファンの最大回転数を強制的に固定することが可能です。下ではGTX 1060版の動作に近い2000RPMにファン回転数を固定しています。
ファン回転数を2000RPNに固定すればファンノイズは40dB程度に収まるので十分に実用的です。
ファン回転数の上限設定による電力制限を行わない場合、「ASRock DeskMini GTX 1080」の消費電力は190W前後ですが、室温20度において2000RPMに制限すると160W前後に消費電力が制限されます。アイドル時30Wと考えるとMXM版GTX 1080の消費電力は標準で160W、制限後は130Wとなり20%程度消費電力を制限する形になります。
ファン回転数の上限設定による制限後の消費電力(グラフィック性能)は環境温度に左右されますが、室温20度前後であれば標準160Wから制限後130Wで20%程度の電力制限になり、「ASRock DeskMini GTX 1080」のグラフィック性能については標準でデスクトップ版GTX 1070 Tiと同程度から、制限後は1割程度パフォーマンスが下がってデスクトップ版GTX 1070とほぼ同じ性能になります。
ファン回転数の上限設定を行った状態で、FF15ベンチを複数回実行すると初回はデスクトップ版GTX 1070 Tiとほぼ等しいスコア6800程度ですが、数回実行してGPU温度が90度に達して強制的に電力制限がかかると、スコア6200程度でデスクトップ版GTX 1070並みの性能になります。
「ASRock DeskMini GTX 1080」の裏技的な電力制限によって、GPU温度が比較的高温な90度前後の状態で運用することになるというデメリットはあるものの、各ユーザーが許容できる範囲内のファンノイズに収まるファン回転数に上限設定して強制的に電力制限をかけることで静音性も確保できます。
室温20℃の環境でファン回転数2000RPM(ノイズレベル40dB程度)でもデスクトップ版GTX 1070と等しいグラフィック性能を得られ、標準状態比で10%程度しかパフォーマンスは下がらないと考えれば、性能面ではかなり有用な手段だと思います。
実用性を重視して以降のゲーム性能検証においてはファン回転数を2000RPM上限設定にして測定を行っています。
あと「ASRock DeskMini GTX 1080」はリアI/OのUSB端子が少ないのでUSB3.0を多数要求するOculus Riftが利用できるか気になるところですが、USBハブ「iBUFFALO BSH4U305U3BK」を使用することで問題なくセットアップしてVRゲームをプレイできました。グラフィック性能はGTX 1070 TiからGTX 1070程度でVR HMDを利用するのには十分なのでVR HMD用PCとしても「ASRock DeskMini GTX 1080」は十分通用します。
ちなみに近日レビュー記事を公開予定のOculus Rift用ワイヤレスキット「TPCAST Wireless Adapter for Oculus Rift」も正常動作しています。
ASRock DeskMini GTX 1080のゲーム性能 - GALLERIA Mini 1060やGTX 1060と比較
「ASRock DeskMini GTX 1080」に搭載されたモバイル版GTX 1080のゲーム性能をチェックしていきます。実用性を重視して「ASRock DeskMini GTX 1080」はファン回転数を2000RPM上限設定にして測定を行っています。性能比較には「GALLERIA Mini 1060」、「EVGA GTX 1060 SC Gaming ACX2.0」を使用しています。フルHD解像度について同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Assassin's Creed Origins(中設定プリセット)、Battlefield 1(最高設定プリセット)、Destiny2(最高設定プリセット)、The Division(高設定プリセット)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(高設定プリセット)、Mirrors Edge Catalyst(最高設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(高設定プリセット、DX12)、Middle-Earth: Shadow of War(高設定プリセット)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(高設定プリセット)、The Witcher3(高設定プリセット)以上の12タイトルです。
Assassin's Creed Origins(高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Battlefield 1(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Destiny2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Division(高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(高設定プリセット、DX12)のベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
ASRock DeskMini GTX 1080、GALLERIA Mini 1060、GTX 1060 6GB OCの3種類について実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、ASRock DeskMini GTX 1080はデスクトップ版GTX 1060 6GBよりも37%も高速という結果になりました。下位モデルASRock DeskMini GTX 1060を採用するBTO PCのGALLERIA Mini 1060と比較すると60%以上高速です。
ASRock DeskMini GTX 1080のゲーム性能 - デスクトップ版GTX 1080/1070 Ti/1070と比較
ASRock DeskMini GTX 1080に搭載されたモバイル版GTX 1080の性能を測るべく複数の実ゲームを使用してベンチマーク測定を実行しました。実用性を重視して「ASRock DeskMini GTX 1080」はファン回転数を2000RPM上限設定にして測定を行っています。性能比較には「EVGA GTX 1080 SC2 Gaming iCX」、「COLORFUL iGame GTX 1070 Ti Vulcan X Top」、「EVGA GTX 1070 SC Gaming ACX3.0」を使用しています。解像度はフルHD、WQHD、4K(3840*2160)の3種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Battlefield 1(最高設定プリセット)、Destiny2(最高設定プリセット)、The Division(グラフィック設定)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Titanfall 2(グラフィック設定)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3(グラフィック設定)以上の11タイトルです。
Battlefield 1(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Destiny2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Division(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
ASRock DeskMini GTX 1080、GTX 1080 11Gbps OC、GTX 1070 Ti、GTX 1070 OCの4種類について実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、ASRock DeskMini GTX 1080はファン回転数2000RPM制限による電力制限を行っている状態において、デスクトップ版GTX 1070と同等の性能になりました。モバイル向けかつ追加の電力制限を行っているのでデスクトップ版GTX 1080には流石に及びませんが、GTX 1070クラスの性能があれば最新高画質PCゲームでもフルHD・最高画質設定で快適にプレイ可能です。
ASRock DeskMini GTX 1080 レビューまとめ
最後にMXM版GeForce GTX 1080を搭載する容積2.7LのスーパーコンパクトなゲーミングベアボーンPC「ASRock DeskMini GTX 1080」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 高さ(幅)213mm x 奥行154.5mm x 幅(高さ)81.9mmで容積2.7Lのコンパクトサイズ
- Core i7 7700などデスクトップ向けIntel KabyLake-S CPUを搭載可能
- モバイル向けMXM規格のGeForce GTX 1080を搭載
- デスクトップ向けGTX 1070 Ti~GTX 1070程度のグラフィック性能
- 最新高画質PCゲームをフルHD解像度の最高画質設定でプレイ可能
- ストレージは最大でM.2 SSDを3枚、2.5インチを2基で計5つまで搭載可能
- BIOSメニューは日本語対応で使いやすい
- B250チップセット搭載マザーボードなのでメモリ周波数は2400MHzまで
- GTX 1080搭載版は標準設定ではGPU冷却ファンが非常に煩い
ファン回転数上限設定による電力制限で静音化は可能
MXMタイプのGeForce GTX 1080グラフィックボードを標準装備しIntel第7世代KabyLake-Sシリーズのデスクトップ向けCPUを搭載可能なMicroSTXベアボーン「ASRock DeskMini GTX 1080」は一般的な自作PCでは実現が困難な容積2.7Lのスーパーコンパクトサイズながら、GTX 1060を搭載する下位モデルと同等の静音動作設定において、デスクトップ版GTX 1070搭載PCと同等のグラフィック性能が発揮できます。ASRock DeskMini GTX 1080であれば18年最新の高画質PCゲームをフルHD解像度・最高画質グラフィック設定で快適にプレイすることが可能です。
この手のコンパクトPCは静音性を犠牲にしてグラフィック性能を確保しているケースも少なくありませんが、ASRock DeskMini GTX 1080についても残念ながら例に漏れず、モバイル版とはいえ消費電力が160Wに達するGTX 1080を静かに冷やせるGPUクーラーは搭載されていませんでした。この種のコンパクトPCはZotac、MSI、GIGABYTE、ASUSなどからもリリースされていますが、ASRockは唯一グラフィックボードベンダーではないのでGPUクーラーに関して経験のなさが裏目に出た感があります。
個人的にはPCパーツのGTX 1080グラフィックボードに採用されているようなヒートパイプ等を使用した高性能なGPUクーラーをASRock DeskMini GTX 1080にも搭載して静音化を図るのが正道だと思うのですが、ユーザーが行える次善策として若干グラフィック性能の低下を伴うものの、ファン回転数の上限設定による電力制限の強制で静音化は図れるので、最低限実用レベルになっている点は安心していいと思います。
ストレージについても2枚のNVMe M.2 SSD、1枚のSATA M.2 SSDおよび2基の2.5インチのSATAストレージを設置することができるので、ゲームのインストール先や動画ファイルの保管場所にも困りません。
GTX 1080を搭載するハイクラスのゲーミングPCであることを考えるとメモリ周波数も3000MHz以上にOCしたいのでZ270版マザーボードが欲しくなります。リアI/OのUSB端子が4基に増え、DC端子とUSB端子が干渉し難いレイアウトに改善され、VRM電源が6コアCPUに対応できるように強化されたZ370チップセット搭載版も準備されていることが先日開催されたCES2018の展示でも判明しているので、Z370版かZ270版を採用したモデルを早くリリースして欲しいです。
デスクトップ版GTX 1070並みのハイパフォーマンスによって最新PCゲームがフルHD解像度・最高設定で快適にプレイできて、最近流行りのVR HMDを使用したVRゲームもプレイ可能なグラフィック性能があり、ストレージもたくさん積めて、容積2.7Lというスーパーコンパクトサイズを実現したゲーミングPCが欲しいという欲張りな要求に完全に応えることができる「ASRock DeskMini GTX 1080」はおすすめの1台です。
以上、「ASRock DeskMini GTX 1080」のレビューでした。
「ASRock DeskMini GTX/RX Series」のベアボーンについては国内では未発売ですが、TSUKUMO eX.computerからMXMカードタイプNVIDIA GeForce GTX 1060とIntel第8世代CoffeeLake-S CPUを搭載するMicroSTXベアボーン「ASRock DeskMini GTX 1060(Z370)」を採用したコンパクトゲーミングBTO PC「G-GEAR alpha」シリーズが発売されています。
G-GEAR alphaシリーズの販売ページへ
ドスパラからはB250チップセット版GTX 1060搭載モデルの組み立て済み製品「GALLERIA Mini 1060」が発売されています。
GALLERIA Mini 1060 - Core i5 7500搭載
GALLERIA Mini 1060 - Core i7 7700搭載
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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