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11フェーズVRM電源&8PIN×2のEPS電源端子と400g近い超大型VRM電源クーラーヒートシンクを搭載することによって、最大で18コア36スレッドとなるIntelの最新エンスー向けCPUであるSkylake-X Core i9シリーズに余裕を持って対応可能ながら、2.4万円というハイコストパフォーマンスを実現した後期X299マザーボード「ASRock X299 Extreme4」のレビュー用サンプルをメーカーよりご提供いただけたのでレビューしていきます。
製品公式ページ:https://www.asrock.com/mb/Intel/X299 Extreme4/index.jp.asp
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/X299%20Extreme4_jp.pdf
【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、Intel SkyLake-X&KabyLake CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザーボードBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は18年8月上旬に行っておりASRock X299 Extreme4のBIOS:P1.30を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asrock.com/mb/Intel/X299%20Extreme4/index.jp.asp#BIOS
【18年8月12日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:P1.30で検証
ASRock X299 Extreme4 レビュー目次
1.ASRock X299 Extreme4の外観・付属品
2.ASRock X299 Extreme4の基板上コンポーネント詳細
3.ASRock X299 Extreme4へのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.ASRock X299 Extreme4の検証機材セットアップ
5.ASRock X299 Extreme4のBIOSについて
6.ASRock RGB LEDについて
7.ASRock X299 Extreme4のOC設定について
8.ASRock X299 Extreme4の動作検証・OC耐性
9.ASRock X299 Extreme4のレビューまとめ
ASRock X299 Extreme4の外観・付属品
まず最初にASRock X299 Extreme4の外観と付属品をチェックしていきます。パッケージを開くと上段には各種付属品が収められ、間仕切りを上げるとマザーボード本体が静電防止ビニールに入った状態で入っています。
付属品を簡単にチェックしていきます。
マニュアル類について今回のサンプルには付属していませんが日本語のソフトウェアマニュアル、多言語の簡易マニュアルが通常は付属します。またドライバや専用ソフトウェアが収録されたCDが付属します。ドライバ類についてはそろそろUSBメモリに移行して欲しいところ。
多言語マニュアルには日本語のページもありますが、オンラインで公開されている英語マニュアルのほうがページ数も多く詳細に説明されているのでオンラインマニュアルの参照を推奨します。
マニュアル:http://asrock.pc.cdn.bitgravity.com/Manual/X299%20Extreme4_jp.pdf
組み立て関連の付属品はSATAケーブル4本、リアI/Oパネル、M.2 SSD/WiFiカード固定ネジ*3、WiFiアンテナ用PCIEブラケット、SLI HBブリッジです。
「ASRock X299 Extreme4」にはNVIDIA製GPU搭載グラフィックボードでマルチGPUを構築するためのSLIブリッジとしてGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応した1スロットスペース型のSLI HBブリッジが付属しています。
マザーボード全体像は次のようになっています。
ASRock X299 Extreme4はATXフォームファクタのマザーボードで、シルキーで滑らかなブラックのPCB基板を背景にしてガンメタル(グレー)とツートンカラーになっています。CB基板には湿度による電気短絡を防ぎ安定動作を助ける「高密度ガラス繊維PCB」が採用されています。
マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクもグレーカラーになっています。マザーボード基板上のラインプリントと一体感のあるデザインです。
「ASRock X299 Extreme4」のリアI/Oカバー兼VRM電源クーラーもグレーカラーのアルミニウムとなっています。Skylake-Xの初期モデルであるCore i9 7900Xなどと同時に発売された同社の「ASRock X299 Taichi」や「ASRock Fatal1ty X299 Professional Gaming i9」は豪華なVRM電源回路の反面、VRM電源クーラーが小さいため冷却性能を不安視する声もありましたが、「ASRock X299 Extreme4」ではヒートパイプ連結によってVRM電源クーラーから拡張されたヒートシンクがデザイン上はリアI/Oカバーを兼ねており、冷却性能と見栄えの良さを両立しています。
ASRock X299 Extreme4のVRM電源には、10コア20スレッド以上のIntel Core i9 CPUにも安定した電力供給が可能なように11フェーズVRM電源が実装されています。同社のTaichiやOC Formulaと比較すると少ないですが、安価なハイコストパフォーマンスマザーボードとしては多めのVRM電源フェーズ数です。構成部品には従来比で飽和電流を最大3倍まで効果的に増加させるためマザーボードのVcore電圧を強化する「新世代プレミアム60Aパワーチョークコイル」や12000時間の高寿命・高信頼性な「ニチコン製12Kブラックコンデンサ」などを採用しタフなOC耐性を実現します。
ASRock X299 Extreme4は最大18コアのIntel SkyLake-X Core i9 CPUに対応するX299マザーボードの後期最適化モデルということで多コア&高クロックCPUへ安定した大電力供給が行えるようにEPS電源は8PIN*2が配置されています。EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
リアI/Oには最新のUSB3.1規格に対応したUSB端子としてType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子については2基のUSB2.0端子と4基のUSB3.0端子が搭載されています。マウス・キーボードなど各種周辺機器でも使用することを考えるとHTC Viveは問題なさそうですが、USB3.0端子を多く要求するOculus Riftの利用にはUSBハブを利用するなど工夫が必要になりそうです。個人的に嬉しいポイントとしてはUSB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので少し離れた場所にUSB2.0が設置されています。ゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
ネットワーク関連では低CPU負荷かつ高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が搭載されています。
ASRock X299 Extreme4の基板上コンポーネント詳細
続いて「ASRock X299 Extreme4」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用DDR4メモリスロットはCPUソケット両側に4基ずつで計8基のスロットが設置されています。
ATXフォームファクタには全7段のPCIEスロットスペースがありますが、「ASRock X299 Extreme4」はプライマリGPUを現在主流な2段目スロットではなく、さらにもう1つ下の3段目スロットに設置する珍しい構造になっています。CPUソケットとプライマリグラフィックボードの間隔も十分なので大型空冷CPUクーラーとの相性が良いマザーボードです。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[N/A、x1、x16、N/A、N/A、x16、x16]サイズのスロットが設置されています。PCI-Eレーン配分は使用するCPUのレーン数44or28or16によって変化しますが、44レーンCPUのCore i9シリーズを使用する場合は、3段目と6段目のメタルカバー付きx16サイズPCIEスロットの帯域はいずれもPCI-E3.0x16で、7段目のx16サイズスロットの帯域はPCI-E3.0x4となっています。1段目のx1サイズスロットはPCI-E3.0x1ですが、WiFiカード用M.2スロットと排他利用となっています。
グラフィックボード向けのx16スロットは3スロット、6スロットに配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の1スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 TiやGTX 1070 Tiを使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
ASRock X299 Extreme4にはSATAストレージ用の端子は8基(SATA3_0~7)搭載されています。SATA3_0~7の8基はチップセットのIntel X299チップセットのコントローラーによる接続でRAID0/1/5/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはチップセットの上下に計2基が設置されています。M2_1、M2_2はいずれもNVMeとSATAの両方に対応していますが、SATA接続M.2 SSDを使用する場合はSATA3_0とSATA3_1端子と排他利用です。M2_1とM2_2はCPU直結PCI-Eレーン接続です。
「ASRock X299 Extreme4」では「ASRock Ultra Quad M.2 Card」や「ASUS HYPER M.2 X16 CARD」のような複数のNVMe M.2 SSDを設置可能な拡張ボード用のBIOS設定として「IIO Configuration」という項目が用意されており、3段目もしくは6段目のPCIE3.0x16帯域を4つのPCIE3.0x4に分割することで、最大4基のNVMe SSDを1つのPCI-Eスロットに増設できます。
ASRock Ultra Quad M.2 Card
ASRock
<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<PCワンズ>
CPUとチップセット間はIntel X299シリーズチップセットではX99から更新されたDMI 3.0で接続されており、この帯域が非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。
X299チップセット搭載マザーボードのM.2スロットのうちチップセットを経由して接続されているストレージへ個別にアクセスがある場合は最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっていますが、この帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。
CPU直結の場合 | チップセット接続の場合 | |
長所 | 複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の 同時アクセスでもフルスペック動作 |
IRSTによるハードウェアRAIDで 性能を上げることができる |
短所 | IRSTによるハードウェアRAID が構築できない (Intel製SSDではVROCで ソフトウェアRAIDが構築可能) |
複数のM.2 SSDから同時にアクセス がある場合、ストライプRAIDの場合 4GB/s程度がボトルネックになる |
「ASRock X299 Extreme4」は無線LANモジュールを標準では搭載していませんが、リアI/Oのすぐ下にM.2型WiFiカードを設置可能なE-Key型M.2スロットが実装されています。このM.2スロットは2段目のx1サイズPCIEスロットとア排他利用になっています。
M.2 E-KeyのWiFiカードについては最大1,733MbpsでMU-MIMOに対応した18年最新の「Intel 9260NGW」のアンテナ付きキットもAmazon等で簡単に購入できるので高速な無線環境が必要なら別途購入もお勧めです。
Intel Wirelss-AC 9260 NGW 802.11ac(1,733Mbps) アンテナセット
Intel Wirelss-AC 9260 NGW 802.11ac(1,733Mbps) WiFiカード単体
Intel
ATX 24PIN端子のすぐ左には内部USB3.0ヘッダーが設置されています。マザーボード下には内部USB2.0ヘッダーも2基設置されていました。CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など内部USB2.0を使用する機器も増えていますが、ASRock X299 Extreme4であればそれらの機器も問題なく使用可能です。
ASRock X299 Extreme4はオンボードサウンドに「PURITY SOUND4」という高音質ソリューションが採用されています。アナログ出力はニチコン製オーディオ向けキャパシタやSN比120dBのDACなど高品質素子を採用し、7.1チャンネル HDオーディオに対応しており、デジタル出力でもオーディオ用の外部アンプ等との接続に最適な光デジタル端子が設置されています。
冷却ファンを接続するためのコネクタについてはPWM対応4PINファンコネクタがマザーボード上に5基設置されています。マザーボード上部のCPUソケット周辺にCPUファン端子、CPUオプションファン端子(水冷ポンプ対応)、マザーボード下部の外周にケースファン端子3基(左下は水冷ポンプ対応)の計5基です。
リアパネルにはCMOSクリアのハードウェアスイッチ実装されておりOC設定に失敗してもPCケースを開くことなくBIOSの設定をクリアできるので手動でOCを行うユーザーにとても便利です。
ASRock X299 Extreme4のリアI/Oに設置されたUSB3.1端子はThunderbolt3には非対応ですが、マザーボード下側にTBT Headerがあるので、同社製のThunderbolt3拡張ボード「ASRock Thunderbolt 3 AIC」(レビュー)を使用することでThunderbolt3端子を増設可能です。
ASRock X299 Extreme4へのパーツ組み込み
ASRock X299 Extreme4にDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。DDR4メモリには「G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK」(レビュー)、CPUクーラーには「Fractal Design Celsius S36」(レビュー記事)を使用しています。
ASRock X299 Extreme4の検証機材
ASRock X299 Extreme4を使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock X299 Extreme4以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 7980XE 18コア36スレッド (レビュー) |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK(4枚を使用) DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |
検証機材のCPUにはX299マザーボードで使用可能なIntel Core-X CPU最上位モデルで18コア36スレッドの「Intel Core i9 7980XE」を使用しています。検証機材のCore i9 7980XEはCPUダイとヒートスプレッダ間のグリスを液体金属グリスに塗り替えているので通常よりも低い温度で動作しています。
・【一家に1台】汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」をレビュー!
・18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を殻割りで4.5GHzにOCレビュー
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core i9 CPU&X299のようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
ASRock X299 Extreme4のBIOSについて
ASRock X299 Extreme4を使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
ASRock X299 Extreme4のBIOSに最初にアクセスすると従来通りの文字ベースBIOSメニューが表示されました。画面右下の「English」と表記されたボタンから言語設定が可能です。
ASRock X299 Extreme4のBIOSについては多言語に対応しており、「Save Changes and Exit」が「変更がそして退出することを保存します」のように翻訳が怪しい部分はあるものの日本語にも対応しているので初心者ユーザーにも優しいBIOSだと思います。
ASRock X299 Extreme4のBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「出口」から行えます。特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能についてはBIOS:1.30では用意されていませんでした。
レビュー用サンプルのBIOSバージョンは18年8月現在最新のP1.30でした。最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルを公式DLページからダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asrock.com/mb/Intel/X299%20Extreme4/index.jp.asp#BIOS
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、トップメニュータブ「ツール」の「Instant FLASH」を選択します。「Instant FLASH」を選択すると自動でUSBメモリ内から総当たりでアップデートファイルを探索してくれます。探索方法は総当たりなのでファイルが多いと時間がかかるため、アップデート時はファイルの少ないUSBメモリを使用するのがおすすめです。
USBメモリからアップデートファイルが見つかると更新するかどうか尋ねられるので、更新を選択すればあとは自動でBIOSがアップデートされます。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASRock X299 Extreme4のブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「起動順序 #1」に「UEFI 〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「UEFI 〇〇」をブートオーバーライドで指定しても同様にOSのインストールデバイスから起動可能です。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASRock X299 Extreme4のBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
アドバンスドのストレージ設定からはSATAストレージだけでなく、M.2スロットに接続されたSATA接続M.2 SSDやNVMe接続M.2 SSDの一覧が確認できます。
「ASRock X299 Extreme4」はThunderbolt3拡張ボード「ASRock Thunderbolt 3 AIC」に対応しており、使用する場合は「アドバンスド」タブメニューの「Intel Thunderbolt Technology」を有効にする必要があります。
「ASRock X299 Extreme4」では「ASRock Ultra Quad M.2 Card」や「ASUS HYPER M.2 X16 CARD」のような複数のNVMe M.2 SSDを設置可能な拡張ボード用のBIOS設定として「IIO Configuration」という項目が用意されています。
「ASRock X299 Extreme4」では3段目と6段目のPCIE3.0x16帯域を4つのPCIE3.0x4に分割することで、最大4基のNVMe SSDを1つのPCI-Eスロットに増設できます。(下はASRock X299 OC Formulaの例)
ASRock Ultra Quad M.2 Card
ASRock
<TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
<PCワンズ>
ファンコントロール機能について紹介します。
ASRock X299 Extreme4のファンコン機能は設置されている5つのファン端子を個別に設定可能です。
「標準/サイレント/パフォーマンス/最大速度」の4種類のプリセット設定に加えて、個別に温度・ファン速度の比例カーブを指定できる「カスタマイズ」の5つのモードを使用できます。
「カスタマイズ」モードでは比例カーブを決める温度とファン速度を4つ指定できます。CPUファンはCPUソースで固定ですが、CPU_OPTとケースファン3基はソースとなるセンサーにCPU温度とマザーボード温度の2つから選択できます。外部温度センサーには非対応です。
各種モニターとファン端子コントロールの間に「Fan Tuning」と「Fan-Tasticチューニング」という項目があります。「Fan Tuning」はワンクリックで自動で接続された冷却ファンの動作を最適化してくれる機能です。「Fan-Tasticチューニング」はグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能になっています。
機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じで、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。マウス操作重視のUIですがキーボードからもカーソルキーでフルコントロール可能です。
イルミネーション操作機能「ASRock RGB LED」について
ASRockでもマザーボード備え付けのLEDイルミネーションや4PIN RGB LEDテープに対応したイルミネーション操作機能「ASRock RGB LED」が用意されています。ただしASRock X299 Extreme4についてはマザーボード備え付けのLEDイルミネーションはチップセットクーラーのみで控えめです。ASRock X299 Extreme4ではマザーボード備え付けのLEDイルミネーションに加えて4PIN RGB LEDテープに対応した4PIN LEDヘッダーが2基設置されています。当サイトでもレビュー記事を掲載しているLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」など汎用4PIN LED機器が接続可能です。1端子あたり3A、36WまでのLED機器を接続可能です。
ASRock X299 Extreme4ではBIOSの詳細モードでツールのRGB LEDからLEDイルミネーションの設定画面にアクセスすると、使用しているマザーボードに合わせて写真も表示され、グラフィカルなUIでLEDイルミネーションの操作が可能です。余計なデスクトップアプリをインストールしたくないユーザーにとっては嬉しい機能だと思います。
発光パターンには「Static」「Breathing」「Strobe」「Cycling」「Random」「Music」「Wave」を選択できます。赤→緑→青に緩やかに変化するカラーサイクルについては「Cycling」ではなく「Wave」が対応しています。
「Static」「Breathing」「Strobe」など特定の発光カラーを指定する発光パターンでは、リング型RGBカラーパレットを使用して発光カラーを自由に設定できます。
ASRock X299 Extreme4のOC設定について
ASRock X299 Extreme4を使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
ASRock X299 Extreme4はSkylake-XとKabyLake-Xの2種類のCPUに対応していますが、KabyLake-XのOC設定については基本的にZ270マザーボードの設定に準拠するため、当記事ではCore i9 7900XやCore i9 7980XEなどSkylake-X CPUのOC設定について説明します。また一部で日本語UIに誤訳が含まれる場合があるのでBIOSのスクリーンショットでは英語UIを使用することがあります。
「ASRock X299 Extreme4」などASRock製X299マザーボードのオーバークロック設定はOCツールというトップメニューの項目にまとめられ、下位グループとして「CPU設定」「DRAM設定」「電圧設定」「FIVR設定」の4種類が用意されています。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
コアクロックの動作倍率を変更するためトップメニュータブ「OCツール」の「CPU設定」を開きます。「CPUレシオ」の項目を選択すると動作倍率について「全コア一致(すべてのコア)」「負荷コア数別(コア毎)」「コア別設定(Specific Per Core)」の3つのモードから選択できます。
ユーザーがCPUのOCを行う場合は通常、全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザーボードの場合は「全コア一致(すべてのコア)」モードを選択して、「All Core Ratio(CPUクロック動作倍率): 44」と設定することでデフォルトのBCLK(ベースクロック)が100MHzなのでその44倍の4.4GHzで動作します。なお「ASRock X299 Extreme4」はBCLKの調整には非対応で100MHz固定となります。
「負荷コア数別(コア毎)」モードでは負荷がかかっているコア数に対して最大動作倍率を設定可能になっており、負荷時のコア数と最大動作倍率のセットを最大8セット設定できます。
「コア別設定(Specific Per Core)」モードでは各コアに対して動作倍率とコア電圧を個別設定可能なモードです。各コアに対して最大動作倍率だけでなく、コア電圧も設定することができて通常の電圧設定同様に固定電圧のoverrideモードと動作クロック比例のAdaptiveモードを指定できます。
キャッシュ動作倍率にあたる「メッシュ動作倍率(CPU Mesh Max OC Ratio)」を変更可能です。CPUコアクロック同様にベースクロックに対する動作倍率でメッシュの動作周波数を設定できます。
またX299チップセットのOC設定で追加された項目としてPCI-EやDMI3.0の動作クロックの変更がありますが、ASRock X299 Extreme4ではBIOS:1.30において同設定項目は用意されていませんでした。
その他にもCPUコアクロックの動作に関連する設定項目として「Intel Turbo Boost Max Technology 3.0」、「Intel SpeedStep Technology」、「Intel Speed Shift Technology」なども用意されています。
またCPU設定の下の方には「短時間電力制限」「長時間電力制限」という2つの電力制限機能があり、電力制限がかかる閾値(単位はW)と電力制限がかかるまでの時間を設定できます。電力制限がかかるとその指定電力内に収まるようにコアクロックに制限がかかります。デフォルトの状態では「Auto」になっていますが、ASRock X299 Extreme4ではパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に一定消費電力以内に収めるための省電力機能(+若干のシステム保護機能)と考えてください。
続いてコア電圧の調整を行います。
電圧設定の予備知識としてIntel Skylake-X CPUでは統合電圧レギュレータ(FIVR)がCPU上に実装されており、マザーボードVRMから供給されるCPU全体への電圧を源泉にして、CPU各コアやメッシュなど個別のユニットに対して異なる電圧レールで電力が供給されます。CPU全体への電圧(1.800~1.900V程度)とCPUコアへの電圧(1.000~1.300V程度)は似た名前で別の設定項目として用意されているので電圧設定を行う際は間違えないように注意して下さい
ASRock X299 Extreme4ではOCツールの「電圧設定」と「FIVR設定」がOCに関連する電圧設定を行うページになっています。
CPUコアクロックのOCに関連する電圧設定としては、ASRock X299 Extreme4では「FIVR設定」にある「CPU Vcore Voltage」の項目を変更します。
「電圧設定」にも「CPU入力電圧(CPU input Voltage)」というそれらしい設定項目がありますが、こちらは上で説明したようにCPU全体に対する入力電圧となっています。BIOS:P1.41ではコアクロックの動作倍率を変更すると固定モード(Fixed Mode)、2.100Vの昇圧設定に自動で変更されてしまいます。基本的に1.800~1.900V前後で十分なはずなのでコアクロックのOCを行う場合は1.800~1.900V前後の固定モードに手動で設定をおすすめします。
「CPU Vcore Voltage」にはマニュアルの設定値を固定する「固定(override)」モードとCPUに設定された比例値にオフセットかける「アダプティブ(adaptive)」モードの2種類が使用できます。電圧は固定値/オフセット値を0.001V刻みで設定可能です。10コア20スレッドのCore i9 7900Xや12コア24スレッドのCore i9 7920XをOCする場合のCPUコア電圧の目安としては非殻割りでは1.200V、殻割りクマメタル化では1.260~1.300V程度が上限になると思います。18コア36スレッドのCore i9 7980XEなど上位モデルの場合は発熱も大きくなり殻割りクマメタル化でも1.200V程度が上限になります。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
あとデフォルト設定では自動になっている「電圧設定」の「ロードライン・キャリブレーション(負荷時のコア電圧の低下を防ぐ機能)」は添え字が小さくなるほど補正が強くなるので、レベル2からレベル5を選んでください。補正最大のレベル1ではVRM電源温度の発熱が急激に増加するためVRM電源が水冷orLN2極冷の場合のみ使用してください。レベルを上げる(添え字は下がります)ほどCPUやVRM電源の発熱が大きくなりますが、温度についてはサーマルスロットリングの保護機能もありますし、OC時に最も安定しやすいので冷やせる範囲内でレベルを上げておくのが良いと思います。
またSkylake-X CPUのキャッシュクロックにあたるメッシュクロックをOCする場合は、CPUコア電圧とは別に「FVIR設定」で用意されている「CPUメッシュ電圧(CPU MESH Voltage)」を設定します。CPUメッシュ電圧を盛るとCPUコア電圧とは独立に発熱が増える(CPU温度が上がる)ので注意してください。CPUメッシュ電圧もCPU電圧同様に「固定(override)」モードと「アダプティブ(adaptive)」モードが選択できます。
CPUメッシュ電圧の目安としてはi9 7900Xの場合は定格メッシュ周波数の2400MHzでは0.900V程度、3200MHzまでOCすると1.200V程度が要求されます。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介しておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASRock X299 Extreme4」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で再起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
ASRock X299 Extreme4では「自動(カスタム設定)」「XMP」の2種類からメモリの動作クロックとタイミングを設定できます。
「自動」設定にすると、多くのDDR4メモリではメモリ周波数2133MHz~2666MHzとなり、タイミングについてもメモリごとに設定された定格動作となります。「XMP」設定にすると各メモリメーカーが一定環境で動作確認を行ったメモリのオーバークロックプロファイルが適用されます。「自動」が事実上のカスタム設定モードになっており、最大4400MHzまでの動作クロック設定が可能です。
メモリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS (tRCD)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な4タイミングと、加えて「Refresh Cycle Time (tRFC)」と「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
DDR4メモリの周波数OCを行う際は「電圧設定」にあるDRAM電圧AB/CDの項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
X299環境のクアッドチャンネルでメモリのオーバークロックを行う場合、高メモリクロックでタイミングを詰めていくとPOSTをクリアできても4枚or8枚のうち一部しかメモリが認識されないままPOSTクリアしてWindowsが起動する場合があります。CPU-ZやAIDA64メモリベンチで32GB、クアッドチャンネルと誤表示されるため、メモリOC後に全てのメモリモジュールが正常に動作しているか確認する場合はタスクマネージャーの「パフォーマンス-メモリ」から装着した容量が表示されているかを見てください。
ここで正常にメモリ容量が表示されない場合はメモリ周波数を下げる、タイミングを緩める、メモリ電圧を盛るなどOC設定の見直しが必要です。
Intelの前世代エンスー向けCPU Broadwell-Eではメモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「VCCSA(CPU System Agent Voltage)」を1.200V前後に盛ると動作が安定したのですが、Intel Skylake-X i9 7900Xやi7 7800Xで管理人が確認した限りでは定格の0.900V前後のままで問題ありませんでした。ただBIOSのヒントでは盛るとメモリOCが安定すると書いてあるので上手くいかない場合は調整してみるといいかもしれません。
今のところX299環境では不具合を確認できていませんでしたが、メモリのオーバークロックでPCI-E拡張カードの検出不可やオンボードUSB端子の干渉などが発生する場合は「電圧設定」にある「VCCIO」や「チップセット電圧(PCH Core)」を盛ると安定するかもしれません。
ASRock X299 Extreme4の動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASRock X299 Extreme4を使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効(BIOS設定)にしてOSの起動時間を測定したところ、ASRock X299 Extreme4の起動時間は31秒ほどした。エンスー向けマザーボードの起動時間としては遅いというほどではありませんが、POST時間に少し時間がかかっている印象です。
続いてASRock X299 Extreme4を使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Core i9 7980XEのOC設定は「CPUクロック倍率:40」「CPUコア電圧:1.000V(Override Mode)」「メッシュ倍率:30」「メッシュ電圧:1.100V(Override Mode)」「CPU入力電圧:1.900V(Override Mode)」「CPUロードラインキャリブレーション: レベル2」「SVID:無効」「メモリ周波数:4000MHz」「メモリ電圧:1.420V」「メモリタイミング:19-19-19-39-CR2」としています。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
ASRock X299 Extreme4の環境(BIOS:1.30)でメモリ周波数を4000MHzにOCしてメモリタイミング:19-19-19-39-CR2に詰めることができました。
ASRock X299 Extreme4環境にて18コア36スレッド「Intel Core i9 7980XE」のコア4.0GHz/メッシュ3.0GHz、メモリ周波数4000MHz、メモリタイミング19-19-19-39-CR2でCinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 7980XEの場合7分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASRock X299 Extreme4を使用することでCore i9 7980XEを全コア同時4.0GHz、メッシュ3.0GHz、メモリ4000MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1500RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用して、CPU負荷時のASRock X299 Extreme4のVRM電源温度をチェックしてみました。
まずは同マザーボードにおけるデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。Intel Skylake-X Core i9 CPUの定格動作はマザーボード(の標準BIOS設定)によって差がありますが、ASRock X299 Extreme4の標準設定ではTDPによる制限がかかってCore i9 7980XEは全コア3.0GHz程度で動作します。
デフォルト設定の動作ではコアクロックが抑えられているのでVRM電源周りの発熱についても控えで、VRM周りに風の当たらない簡易水冷CPUクーラー環境においてパッシブ空冷のまま長時間負荷をかけてもVRM電源周りの温度は70度前後なので安心して運用できます。
続いてCore i9 7980XEを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中の温度をチェックしていきます。同マザーボードに限った話ではありませんが、Skylake-X CPUでCore i9 7900X以上のモデルをOCする場合はスポットクーラーを使用してVRM電源部分の冷却推奨です。VRM電源の温度が一定値を超えると保護機能が起動してコアクロックが強制的に下げられます。ちなみにASRock X299 Extreme4環境でCore i9 7980XEを全コア4.0GHz、メモリ周波数4000MHzまでOCするとシステム全体の消費電力は400Wに達します。
肝心のVRM電源温度について、Core i9 7980XEを全コア4.0GHzにOCして長時間負荷をかけた場合、スポットクーラーとして120mmファンを1500RPMで回しているもののVRM電源周りの温度は100度に達しています。100度に達したからといって必ずしも壊れるというわけではありませんが、ASRock X299 Extreme4についてはスポットクーラーを使用して適切に冷やしてもCPU消費電力400Wクラスに達するオーバークロックは難しそうです。定格~300WまでのOCに収めるのが長期運用の観点からすると安心できる設定だと思います。
なおASRockのX299マザーボードではロードラインキャリブレーションをレベル1に設定するとVRM電源の発熱が大幅に増えるのでCore i9 7900X以上のCPUのOCする際はレベル2からレベル5に設定してください。
「ASRock X299 Extreme4」でCore i9 CPUシリーズをOCして使用する場合は別途VRM電源周りに風が当てるためスポットクーラーの併用をお勧めします。スポットクーラーには、可変アルミニウム製ファンフレーム搭載の冷却ファン「IN WIN MARS」がおすすめです。
・可変アルミフレーム搭載ファン「IN WIN MARS」をレビュー
ASRock X299 Extreme4のレビューまとめ
最後に10コア以上のCore i9 CPUに最適化されたハイコストパフォーマンスX299マザーボード「ASRock X299 Extreme4」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ブラック&グレーメインのクールなデザイン
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット
- プライマリGPU用スロットが3段目なので大型空冷CPUクーラーとの互換性が高い
- 10コア以上のCore i9 CPUのOCにも対応可能な11フェーズのVRM電源
- ヒートパイプ連結によって拡張された大型VRM電源クーラーを搭載
- 18コア36スレッドCore i9 7980XE 4.0GHz、メモリクロック4000MHz OCで安定動作
- 高速NVMe接続のM.2スロットが2基設置されている
- NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用のSLI HBブリッジが付属する
- M.2 E-KeyのWiFiカードで無線LAN&Bluetoothを増設可能(アンテナ用ブラケット付属)
- Core i9 7900X以上のCPUをOC時はスポットクーラーの併用を推奨
- BCLKの変更には非対応
X299マザーボードのロンチモデルではVRM電源部分の冷却が不足する場面が多数見られましたが、10コア以上のCore i9 CPUシリーズに最適化して開発されたASRockの後期X299マザーボード「ASRock X299 Extreme4」は11フェーズの大容量VRM電源に加え、ヒートパイプ連結による拡張でリアI/O付近に増設されたヒートシンクを含む大型VRM電源クーラーが採用されており、エントリーユーザーが行う軽いオーバークロックにも対応でき、コストパフォーマンスに優れたエントリー向けX299マザーボードに仕上がっています。
ASRock X299 Extreme4のBIOSではクラシカルなテキストベースUIが採用されており、翻訳が少しおかしいところはあるものの日本語ローカライズもされて、OSインストールのブート設定からオーバークロックまで多方面に使いやすいUIだと思います。管理人個人的にも好みです。
「ASRock X299 Extreme4」を使用した検証機では18コア36スレッドのIntel Core i9 7980XEを全コア4.0GHzに、メモリ周波数も4000MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性については上述の通りCore i9 7980XEで全コア4.0GHzへのオーバークロック、メモリ周波数4000MHzを達成しているのでOC耐性については及第点は十分にクリアしていると思います。
マザーボードのOC性能で重要になるVRM電源については、「ASRock X299 Extreme4」では11フェーズの大容量VRM電源と大型VRM電源クーラーヒートシンクが採用されていますが、Core i9 7920Xの全コア4.2GHz前後やCore i9 7980XEの全コア4.0GHz前後などCPU消費電力が400W前後に達するオーバークロック時の長時間負荷に対して、スポットクーラーによるアクティブ冷却を追加したとしてもVRM電源が100度に達しました。
Core i9 CPUに最適化された後期X299マザーボードといえど流石にエントリーモデルなのであまり大幅なOCをするとVRM電源温度的に厳しいようです。CPU消費電力が400WオーバーになるようなOCをする場合はX299 Taichi EXやX299 OC Formulaを選択した方がいいと思います。
「ASRock X299 Extreme4」は10コア以上のCore i9 CPUシリーズに最適化して開発された後期X299マザーボードでありながら、必要十分な諸機能を備えつつ2万円半ばで購入可能なハイコストパフォーマンスが最大の魅力で、コスパ重視でIntel Skylake-X Core i9 CPU環境を構築しようと思っているのであればおすすめなX299マザーボードです。
以上、「ASRock X299 Extreme4」のレビューでした。
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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
G.Skill Trident Z RGB DDR4メモリ
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・18コア36スレッド「Core i9 7980XE」を殻割りで4.5GHzにOCレビュー
・12コア24スレッド「Core i9 7920X」を殻割りで4.6GHzにOCレビュー
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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>18コア36スレッドCore i9 7980XE 4.7GHz、メモリクロック3800MHz OCで安定動作
って誤記っぽいのですがいかがでしょう?
VRMについては、よく言われていることですが、フェーズ数だけでなく質も重要だってことなんですね。