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28コア56スレッドのウルトラメニーコアCPUながら、倍率ロックフリーでユーザーによるオーバークロックにも対応する「Intel Xeon W-3175X(型番:BX80673W3175X)」を殻割り(40万円がお亡くなりになる恐怖との闘い)、クマメタル化したので、殻割りの手順やクマメタル化による冷え具合を紹介します。
Intel Xeon W-3175Xを殻割りクマメタル化
早速、Xeon W-3175Xの殻割りを実行します。Xeon W-3175Xの殻割りにはプロOCerのder8auer監修で開発された、「Intel Xeon W-3175X」などLGA3647 CPUに対応する殻割りツール「Delid-Die-Mate WS 3647」を使用しました。
本当はXeon W-3175Xの殻割りの様子をリアルタイムでしっかりとビデオ録画してお送りしたかったのですが、「Delid-Die-Mate WS 3647」の精度が悪いのか、ツールとCPUの個体差で相性が悪かったのか、Core-Xのようにはサクッと割ることができず、リアルタイムの動画は断念しました。
実際には2時間ほど悪戦苦闘して殻割りしたのでリアルタイムな殻割りの様子ではありませんが、Xeon W-3175Xの殻割り手順をダイジェストで紹介する動画にしたので、気になる人は見てください。
写真とテキストでもXeon W-3175Xの殻割り手順を紹介すると、ツールを使う前の下ごしらえとして、IHS左右のシール材を0.2mm極薄のカッター刃で除去します。Xeon W-3175XのIHSの左右はシール材を足にしてPCB基板から浮いているので、0.2mmのカッター刃なら特に問題なく通るはずです。PCB基板に刃が立たないようにだけは十分に注意してください。
左右のシール材を除去してカッター刃がスルスルと通るようになったら、殻割りツールにXeon W-3175Xを設置し、万力でIHSをズラします。左右のシール材さえなくなれば中央のシール材は薄いので、ツールで簡単にズレるはずです。
IHSがズレるとレンチを回す感触が変わるので、ツールから取り出して最後は手を使って力ずくで殻割りします。Core-Xシリーズと同様にヒートスプレッダの内枠ギリギリまで素子の実装があって怖いですが無事に割ることができました。
管理人はこの時点で40万円がお陀仏になっていないか心配で仕方なかったので、IHSをそのまま戻して、BIOSが起動できるかどうかを一応確認しました。まあこの時点で、保証もクソもないし、壊れてたらどうしようもないのですが、クマメタル化処置を行うと養生やらシール材の固着待ちやらで24時間以上、生死不明で不安なまま過ごすことになるので、精神安定上ね。
ここで正常にBIOSが確認できれば殻割りクマメタル化失敗の可能性は99%なくなります。
無事にXeon W-3175Xの殻割りが完了したので、クマメタル化に移ります。
殻割り後にヒートスプレッダとCPUダイの間に塗る液体金属系グリスとしては”殻割りリキプロ化”の名前で知られるように「Cool Laboratory LIQUID PRO」が定番でしたが、「Thermal grizzly Conductonaut」のほうが冷えるという検証結果が出て以来、管理人はあっさり宗旨替えしてクマメタルこと「Thermal grizzly Conductonaut」を使用しています。価格も違わないので「Thermal grizzly Conductonaut」がオススメです。
基板とIHSに残ったシール材やシリコングリスを除去したら、最初にCPUダイ周辺に実装された素子の養生を行います。液体金属は導電性があるので、非導電性かつ耐熱性(放熱性)のある接着剤「COM-G52」で短絡するとマズい素子を覆ってしまいます。
2,3時間ほど放置して素子養生の接着剤が固まったら、CPUダイとIHSの接触部分にクマメタルこと「Thermal grizzly Conductonaut」を塗り広げます。
クマメタルを塗り広げたら、IHSを再固定するため、PCB基板の跡に合わせてシール材を塗ります。IHSはCPUダイと接してPCB基板からは僅かに浮く形になるので、シール材を足にする必要があります。それを念頭に適度に多めにシール材を塗ります。下の写真でも外側のシール材は若干足りない感じでした。
IHSを装着したらクリップ等を使ってIHSがズレないように固定し、シール材がしっかりと硬化するまで24時間ほど放置したら殻割りクマメタル化完了です。
殻割りクマメタル化したXeon W-3175Xの冷え具合
続いて殻割りクマメタル化したXeon W-3175Xの冷え具合をチェックしていきます。Xeon W-3175Xの検証を行う環境としては、ASUS ROG Dominus ExtremeやAsetek 690LX-PNなどで構成されているベンチ機を使用しました。
テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 Home 64bit |
CPU | Intel Xeon W-3175X (レビュー) |
マザーボード | ASUS ROG Dominus Extreme (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum RGB CMT32GX4M4C3200C14 DDR4 8GB*12=96GB (レビュー) |
CPUクーラー | Asetek 690LX-PN (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | DimasTech Bench Table EasyXL(レビュー) |
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
通常グリスを塗る量はてきとうでOKで、管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
ただしIntel Xeon W-3175XなどLGA3647系CPUはCPUヒートスプレッダのサイズが大きいので、同じくCPUヒートスプレッダが大きいAMD Ryzen Threadripperのグリスの塗り方としてNoctuaが推奨している方式を真似て、今回はグリスを塗りました。
冷却性能を検証にあたってDxO Photo LabによるRaw現像をストレステストにしました。CPU使用率や消費電力は動画エンコードや3Dレンダリング同様で、CPUマルチスレッド性能をフルに発揮できるタスクです。
DxO Photo Labによるストレステストの具体的な設定としては、「SONY DSC-RX100M5」で撮影した5472×3648解像度のRAW画像ファイル 100枚に対して、DxO PhotoLabの画質プリセット「DxO 標準」をベースにノイズ除去を「PRIME」に変更したプリセットを適用し、RAW現像を行いました。なおDxO PhotoLabによるRAW現像は並列処理数を設定できるので並列処理数は14に指定しています。
Xeon W-3175Xを全コア4.1GHz、コア電圧1.050VにOCして上述のストレステストを実行すると、CPU消費電力は440~460W程度になります。
「Asetek 690LX-PN」(ポンプ速度は定格3800RPMに固定)の冷却ファンを「Noctua NF-A12x25 PWM」に換装しファン回転数を1800RPMに固定して、全コア4.1GHzにOCしたXeon W-3175Xに対してストレステストを実行したところ、標準シリコングリスと殻割りクマメタル化のCPU温度は次のようになりました。
標準のシリコングリスから殻割りしてクマメタルに塗り替えることによって、全コア4.1GHzにOCしたXeon W-3175Xにおいて最大温度で12度、平均温度で10.6度の温度低下が確認できました。
CPUダイが非常に大きいXeon W-3175Xはシリコングリスでも温度上ボトルネックにはなりにくいので、CPUダイの小さいLGA115X系のようにシリコングリスからクマメタルに塗り替えても20度前後の大幅な変化は起きないのですが、それでもクマメタル化によって10度程度の温度低下は見込めるので、コア電圧で0.100V前後の昇圧、コア倍率で+2倍くらいの余裕が生まれます。40万円が即死する危険性とのトレードオフと考えると割に合いませんが……。
以上、『Intel Xeon W-3175Xを殻割りクマメタル化!』でした。 (正直、2度とやりたくない……。)
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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いつもありがとうございます。