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Intel Core-X CPUの殻割り後に使用可能な銅製ヒートスプレッダ「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」のレビュー用サンプルを国内公式通販のROCKIT COOL JAPANからご提供いただいたのでレビューしていきます。18コア36スレッドCPU「Core i9 7980XE」を使用して、殻割りクマメタル化を行い、純正IHSと比較して「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」がどれくらい冷えるのか、冷却性能を徹底検証していきます。
製品公式販売ページ:https://rockitcool.thebase.in/items/11409323
ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066について
最初に「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」の仕様について簡単にチェックしておきます。「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」はその名前の通り、Intel Core-Xと呼ばれるLGA2066系のCPUを殻割りした後に使用可能な互換IHSです。殻割り後に使用するIHSはIntel純正の標準IHSでも問題ありませんが、液体金属グリスへの塗り替えと合わせて「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」に交換することでさらなるCPU温度の低下が見込めます。製品公式ページによると純正IHSと比較して5~6度程度もCPU温度が下がるようです。
「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」はCNCフライスによる高精度加工によって製作されているので、CPUダイやCPUクーラーベースとの接触面は綺麗に平面化されています。特に裏面にはフライスによる削り跡があって鏡面ではありませんが表面は滑らかです。
Core i9 9900Kなど第9世代Core-S向けにリリースされている銅製IHSに比べて純正IHSとの差は小さいですが、
「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」は標準IHSよりもCPUクーラーとの接触面が若干広くなっています。あとIHS左右の摘みになるプレートが「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」にはなく持ちやすさはやや劣りますが、IHS側面が十分に広いので手で持つときに滑って落とすことはないと思います。
IHSの重量をチェックしてみるとCPU標準IHSが35gに対して、「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」は37gでした。単純な銅の量として考えると10%弱ですがIHSのバッファとしての性能も高いようです。
「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」と同じくROCKIT COOLが販売しているCore-X用殻割りツール「ROCKIT 99」を使用した実際の殻割り作業や殻割り後の処置についてはこちらの記事で紹介しています。
・Core-X用殻割りツール「ROCKIT 99」でi9 7980XEを殻割りしてみる
なお注意点として、Core i9 7980XEなど7XXX系Core-XではCPUダイ-IHS間のTIMにシリコングリスが使用されていたのに対して、Core i9 9980XEなど後継となる第9世代Core-XではTIMが、質の高いソルダリングに近い熱伝導効率を発揮できる「STIM」に変わっています。
STIMよりもThermal Grizzly Conductonautの方が冷えるので、第9世代Core-Xでも依然として殻割り液体金属グリス化の効果はあります。しかしながらSTIMでも常用限界なOC倍率には大きな差はなく、加えてソルダリングに近い性質のSTIMによってIHSが強く固定されているため、第9世代Core-Xでは殻割りの難易度は専用ツールを使ってもかなり高いというのが実状です。
ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066の検証機材
「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」の冷却性能比較用の検証機材にはX299マザーボード「ASRock X299 OC Formula」などを含むテストベンチ機を使用しました。テストベンチ機の詳細構成については下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 7980XE (レビュー) |
マザーボード |
ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3600MHz, CL16-16-16-36-CR2 |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) Noctua NF-A12x25 PWM x3 (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 860 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
Core i9 9980XEなど第9世代Core-Xは手動OCすると発熱がかなり大きくなるので大型簡易水冷CPUクーラーが推奨されますが、360サイズや240サイズなど120mmファンを複数搭載できるマルチファンラジエーターの簡易水冷CPUクーラーを使用するのであれば、「Noctua NF-A12x25 PWM」への換装もおすすめです。
「Noctua NF-A12x25 PWM」は、超硬質かつ軽量な新素材「Sterrox LCP」の採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファンとなっており、1基あたり3500円ほどと高価ですが、標準ファンよりも静音性と冷却性能を向上させることができます。
・「Noctua NF-A12x25 PWM」を360サイズ簡易水冷に組み込む
ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Intel Core-XやAMD Ryzen TRのようなハイエンドデスクトップ環境はもちろん、メインストリーム向けでもハイパフォーマンスな環境を目指すのであれば、システムストレージ用に一押しのSSDです。
・「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066の冷却性能
ここからは本題となる「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」がIntel純正の標準IHSと比較してどれくらい冷えるのか、Core-X最上位の18コア36スレッドモデルCore i9 7980XEを使用して検証していきます。今回、「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」の冷却性能を検証するために、同じCPU個体について「標準IHS&Thermal Grizzly Conductonaut」と「銅製IHS&Thermal Grizzly Conductonaut」の2種類で負荷テストを行いCPU温度を比較しました。Intel純正の標準IHSと「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」ともに殻割りを行ってCPUダイ-IHS間のTIMをThermal Grizzly Conductonautに塗り替えた状態で検証しています。
CPU温度は環境温度にも影響されるため測定時は室温(ベンチ機付近の温度)が温度計で22度程度となるように注意しました。CPUクーラーには「Fractal Design Celsius S36」&「Noctua NF-A12x25 PWM x3」を使用していますがファン回転数は1500RPMに固定しています。またVRM電源クーラー冷却用に増設したスポットクーラーもファン回転数は1500RPMで固定しています。
冷却性能を比較するための負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間7分、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)でAviutl+x264を3並列のエンコードを行い、20分以上に渡って負荷をかけ続けました。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
Core i9 7980XEのOC設定は、「CPUクロック倍率:44」「CPUコア電圧:1.100V(固定モード)」「CPUキャッシュ倍率:30」「CPUキャッシュ電圧:1.100V(固定モード)」「ロードラインキャリブレーション: Level2」「SVIDサポート: Disabled」「メモリ周波数:3600MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:16-16-16-36-CR2」としています。
「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」とIntel純正の標準IHSについて負荷テスト中のCPU温度の推移を比較したグラフは次のようになりました。
Intel純正の標準IHSで最大温度88度、平均温度84.1度に対して、「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」では最大温度83度、平均温度78.5度となり、ROCKIT COOL公式の言うように5~6度の温度低下が確認できました。
Intel純正の標準IHSのままでもTIMがシリコングリスのCore i9 7980XEをクマメタル化すると10度強、STIMのCore i9 9980XEで5度前後の温度低下が見込めますが、Intel純正の標準IHSを「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」に交換することによって、さらに5度前後もCPU温度を下げることができます。
「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」を使用するメリットとしては上述のように標準IHSよりも多少なりともCPU温度を下げられることですが、一方でデメリットはあるのかというと、3000円程度の出費がかかることと、IHS側面の摘みがなくなって若干持ちにくくなることくらいです。
標準IHSよりも高い冷却性能が期待でき、これから殻割りを行うのであれば殻割りツールROCKIT 99と一緒に購入しておけば作業としても余計な手間がかかるわけでもないので、「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」は試す価値のある製品だと思います。
以上、「ROCKIT COOL Copper IHS for LGA2066」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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