Noctua & Threadripper 3rd


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Noctua製Threadripper専用CPUクーラーのコンパクトモデル2機種、「Noctua NH-U12S TR4-SP3」と「Noctua NH-U9 TR4-SP3」で32コア64スレッド/TDP280WのウルトラメニーコアCPU「AMD Ryzen Threadripper 3970X」を運用することができるのか徹底検証します。さらに15mm厚スリムファン「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」に換装することで、完全メモリ干渉フリーに生まれ変わるNH-U12S TR4-SP3の静音性や冷却性能についても試してみました。



レビュー目次


1.Noctua NH-U9 TR4-SP3について
2.Noctua NH-U12S TR4-SP3について
3.Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swapについて
4.検証機材・セットアップ
5.冷却性能とファンノイズ

補足.空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて


【機材協力:Techace】


【追記:2020年3月23日】-------
記事公開時点では、NH-L12Sのファンクリップはメーカーもしくは代理店に問い合わせれば単品で購入が可能とのことで、そのように記事内で説明しておりましたが、メーカーから単品での販売は現在行っていないと訂正がありましたので、記事を修正しました。
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Noctua NH-U9 TR4-SP3について

「Noctua NH-U9 TR4-SP3」の概要について簡単に紹介していきます。

Techace製品ページ:https://techace.jp/product_info.php/products_id/2987
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nh-u9-tr4-sp3

Noctua NH-U9 TR4-SP3_top

「Noctua NH-U9 TR4-SP3」はいかにも空冷CPUクーラーらしい外観で、直角的なデザインのアルミニウム製ヒートシンク、ニッケルメッキで防錆処理された独特の光沢も目を引くところです。写真では伝わりにくいかもしれませんが、Ryzen Threadripper対応CPUクーラーながら全高125mm、90mm角デュアルファン搭載のコンパクトさを実現しているところも流石Noctuaというべき圧巻です。
Noctua NH-U9 TR4-SP3 review_09916
Noctua NH-U9 TR4-SP3 review_09918
冷却ファンが標準位置に配置されている場合はヒートシンクと冷却ファンの高さがほぼ同じで「Noctua NH-U9 TR4-SP3」の全高は製品仕様通り125mm程度です。アルミフィン1枚1枚にファンクリップ用の溝があるので、ファンを固定する高さはユーザー側で高さ方向に10mm前後の範囲内で自由に設定可能です。高い位置にファンを固定すれば、当然その分だけCPUクーラーの高さが高くなります。
Noctua NH-U9 TR4-SP3 review_09926
ニッケルメッキの施された銅製ベースコアからは同じくニッケルメッキ銅製のヒートパイプが左右へ6本ずつ計12本伸びています。
Noctua NH-U9 TR4-SP3 review_09933
Noctua NH-U9 TR4-SP3のベースコアプレートはニッケルメッキが施された銅製でCPUクーラーヒートスプレッダとの接触面積を最大化するために鏡面化(平滑化)されています。
Noctua NH-U9 TR4-SP3 review_09934
「Noctua NH-U9 TR4-SP3」には既存のCPUと比較して超大型なRyzen Threadripperの68mm×51mmのCPUヒートスプレッダを完全にカバーすることが可能な70mm×56mmのニッケルメッキ処理済み大型銅製ベースプレートが採用されています。
Noctua NH-U9 TR4-SP3 review_09851
右はNoctuaのフラッグシップ空冷CPUクーラーNH-D15の銅製ベースですが、「Noctua NH-U9 TR4-SP3」のベースサイズと比較するとその大きさは一目瞭然です。
Noctua NH-U9 TR4-SP3 review_09813

以上、簡単に「Noctua NH-U9 TR4-SP3」の仕様について紹介しましたが、さらに詳しい情報は個別レビュー記事で解説しているので気になる人はこちらを参照してください。
「Noctua NH-U9 TR4-SP3」をレビュー
Noctua NH-U9 TR4-SP3

「Noctua NH-U9 TR4-SP3」と、第3世代Ryzen Threadripperに対応したTRX40マザーボードとの各種クリアランスについては、マザーボードの個別レビュー記事内で解説しているのでそちらを参照してください。
AMD TRX40マザーボードのレビュー記事一覧へ
AMD TRX40マザーボードのレビュー記事一覧へ



Noctua NH-U12S TR4-SP3について

「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の概要について簡単に紹介していきます。

Techace製品ページ:https://techace.jp/product_info.php/products_id/2986
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nh-u12s-tr4-sp3

Noctua NH-U12S TR4-SP3_top

「Noctua NH-U12S TR4-SP3」は120mmサイズの冷却ファンを搭載しており、見た目には標準的なサイドフロー型のCPUクーラーです。細かくチェックしていくとヒートシンクのアルミニウム放熱フィンがニッケルメッキで防錆処理されていて、その独特の光沢も目を引きます。
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09875
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09877
冷却ファンが標準位置に配置されている場合はヒートシンクの方が最高位置が高いので、「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の全高は製品仕様通り158mmです。アルミフィン1枚1枚にファンクリップ用の溝があるので、ファンを固定する高さはユーザー側で自由に設定可能です。高い位置にファンを固定すれば、当然その分だけCPUクーラーの高さが高くなります。
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09883
ニッケルメッキの施された銅製ベースコアからは同じくニッケルメッキ銅製ヒートパイプが左右へ5本ずつ計10本伸びています。
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09892
Noctua NH-U12S TR4-SP3のベースコアプレートはニッケルメッキの銅製でCPUクーラーヒートスプレッダとの接触面積を最大化するために鏡面化(平滑化)されています。
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09893
「Noctua NH-U12S TR4-SP3」には既存のCPUと比較して超大型なRyzen Threadripperの68mm×51mmのCPUヒートスプレッダを完全にカバーすることが可能な70mm×56mmのニッケルメッキ処理済み大型銅製ベースプレートが採用されています。
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09851
右はNoctuaのフラッグシップ空冷CPUクーラーNH-D15の銅製ベースですが、「Noctua NH-U12S TR4-SP3」のベースサイズと比較するとその大きさは一目瞭然です。
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CPUクーラーをマザーボードに固定するためのリテンションには新たに開発された「SecuFirm2」という構造が採用されています。専用のリテンションブラケットにはスプリング付き六角スクリューが装着されており、付属のL字型六角ドライバーを使用して簡単かつ適切にCPUクーラーを装着可能となっています。
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09894
加えてリテンションブラケット自体もベースコアにネジ止めされているだけになっており、位置オフセット用のネジ穴が0/+3/+6mmの3か所用意されています。
Noctua NH-U12S TR4-SP3 review_09895
「Noctua NH-U12S TR4-SP3」は120mm角ファン搭載の標準的な横幅なので基本的にマザーボードやグラフィックボードと干渉する心配はありませんが、リテンションブラケット装着位置をオフセットすることによってCPUクーラーのヒートシンクとマザーボードの最上段のPCI-Eスロットに装着された拡張カードが干渉するのを回避できる構造になっています。
Noctua TR4_offset


以上、簡単に「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の仕様について紹介しましたが、さらに詳しい情報は個別レビュー記事で解説しているので気になる人はこちらを参照してください。
「Noctua NH-U12S TR4-SP3」をレビュー
Noctua NH-U12S TR4-SP3

「Noctua NH-U12S TR4-SP3」と、第3世代Ryzen Threadripperに対応したTRX40マザーボードとの各種クリアランスについては、マザーボードの個別レビュー記事内で解説しているのでそちらを参照してください。
AMD TRX40マザーボードのレビュー記事一覧へ
AMD TRX40マザーボードのレビュー記事一覧へ



Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swapについて

今回の検証においてNoctua NH-U12S TR4-SP3の交換用ファンとして用意した「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」について紹介していきます。

Techace製品ページ:https://techace.jp/product_info.php?products_id=3595
製品公式ページ:https://noctua.at/en/nf-a12x15-pwm-chromax-black-swap.html

Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap_top

NF-A12x15の標準モデルにはラバーブッシュやPWM分岐ケーブルや低ノイズケーブルなどファン機能に関するアクセサリが多数付属しましたが、「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」は付属品が全6色のラバーパッドと黒色のPWMケーブルとテーパーネジのみというシンプルな構成になっています。
A12x15 PWM chromax.black.swap_package


「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」は定格1850RPMのPWM速度調整対応4PIN冷却ファンです。PWM速度調整によって450~1850RPMの範囲内で速度調整が可能です。
Noctua製ファンというとベージュのファンフレームとブラウンのファンブレードのカラーリングが代表的で、『これぞNoctua!』という肯定的な意見もあれば、『ダサい、きたない』といった否定的な意見もある賛否両論なデザインでしたが、Noctuaが新たに投入したchromaxシリーズは従来機種と同じ仕様・性能のまま、万人受けしやすいブラックカラーで統一されています。
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「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」の軸受けを支える5本フレームは緩い曲線を描き、ファン面に対してやや斜めに傾いたフレーム構造「Focused Flow frame」が採用されており、ファンから送られるエアフローの直進性を高める効果があります。
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ファンブレードの外側には、乱流の発生により静音化を向上させるファンブレード上に刻み込まれた溝構造「Flow Acceleration Channels」が採用されています。またファンフレーム内側を階段状のすり鉢形にする「Stepped Inlet Design」構造によって大風量の実現や、エア流れを最適化し静圧の改善やノイズの低減に寄与するとのこと。
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「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」のモーターハブは、中心部の材質をスチール製に、金色のアクスルマウントは真鍮製になっており補強が施されています。軸受けは従来機種でも採用されているNoctua第2世代「SSO2ベアリング」が使用され、さらに真鍮製CNCベアリングシェルによって軸ブレをなくし、高い耐久性と静音性が実現されています。
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「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」は15mm厚の薄型ファンなので、25mm厚の一般モデルと異なり、防振ラバーパッドはブッシュによる着脱構造ではなく両面テープによる装着方式が採用されています。レッド、グリーン、ブルー、イエロー、ホワイトの計6色が8個ずつ付属するのでお好みのカラーにデコレーションできます。
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冒頭でも書いたように今回の検証において、NH-U12S TR4-SP3の冷却ファンへ換装するために
「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」を用意したのですが、CPUクーラーに標準で付属するファンクリップでは15mm厚のスリムファンを固定することはできません。
そこで国内正規代理店Techace様より、NF-A12x15を標準搭載するCPUクーラー「Noctua NH-L12S」に付属するファンクリップの単品をご提供頂きました。
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NH-L12Sのファンクリップを使用することでNH-U12S TR4-SP3のヒートシンクに「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」を固定することができます。ファンクリップを2セット用意すれば、中央でファンクリップが若干被さってしまいますが、ヒートシンク前後に「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」を装着できます。
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NH-U12S TR4-SP3のヒートシンクにわざわざ「Noctua NF-A12x15 PWM chromax.black.swap」を装着するメリットとして、冷却ファンがCPUソケットに最も近いメモリスロットに被さらなくなるので、メモリヒートシンクの高さによらず完全にメモリ干渉フリーで使用できます。
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検証機材とセットアップ

「Noctua NH-U12S TR4-SP3」と「Noctua NH-U9 TR4-SP3」を検証機材のベンチ機にセットアップします。ベンチ機のシステム構成は次のようになっています。
テストベンチ機の構成

ベンチ機1
ベンチ機1
ベンチ機2
ベンチ機2
OS Windows10 Home 64bit
CPU
AMD Ryzen Threadripper 3970X
32コア64スレッド (レビュー
M/B ASRock TRX40 Taichi
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z RGB
F4-3200C14Q-32GTZRX
(+F4-3600C14D-16GTZN×2セット)
DDR4 8GB*8=64GB (レビュー
グラフィックボード
MSI GeForce GT 1030
2GH LP OC ファンレス
レビュー
ZOTAC RTX 2080Ti
AMP Extreme Core
レビュー
システムストレージ
Samsung SSD 860 PRO 256GB
レビュー
電源ユニット
Corsair HX1200i
レビュー
Thermaltake Toughpower
iRGB PLUS 1250W Titanium
レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー
Cooler Master
MASTERCASE MAKER 5t
レビュー
NZXT Aer F 140 3基(レビュー


第3世代Ryzen Threadripper検証環境のシステムメモリには、第3世代Ryzenプラットフォームに最適化されたハイパフォーマンスOCメモリの最速モデル「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」を使用しています。3600MHz/CL14の最速モデル、3200MHz/CL14や3600MHz/CL16といった定番スペックがラインナップされ、高級感のあるヒートシンクや8分割ARGB LEDを搭載してデザイン面でも優れる「G.Skill Trident Z Neo」シリーズは、第3世代Ryzenや第3世代Ryzen Threadripperの自作PCで性能を追求するなら間違いのないオススメなOCメモリです。
「G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN」をレビュー
G.Skill Trident Z Neo F4-3600C14Q-32GTZN

第3世代Ryzen Threadripper関連の検証機材としてTRX40マザーボードには「ASRock TRX40 Taichi」を使用しています。「ASRock TRX40 Taichi」は自作PCマザーボード向けとしては初となる90A対応Dr. MOSで構成される16フェーズの超堅牢なVRM電源回路、そして全高54mmの超大型かつアクティブ冷却ファン搭載のVRM電源クーラーを搭載しており、PBOによる全コア4GHzクロックアップを施したRyzen Threadripper 3960Xが運用可能な抜群のパフォーマンスを発揮します。各社がハイエンドモデルでE-ATXなど大型サイズを採用する中、標準のATXサイズで使い勝手の良いマザーボードとなっており、TRX40マザーボードの中でも特にオススメの1枚です。
「ASRock TRX40 Taichi」をレビュー。ATXサイズで32コアスリッパに完全対応!
ASRock TRX40 Taichi

ベンチ機のシステムストレージにはSamsung製MLCタイプ64層V-NANDのメモリチップを採用する18年最速のプロフェッショナル向け2.5インチSATA SSD「Samsung SSD 860 PRO 256GB」を使用しています。Samsung SSD 860 PROシリーズは容量単価が高価ではあるものの、システムストレージに最適な256GBや512GBモデルは製品価格としては手を伸ばしやすい範囲に収まっており、Ryzen Threadripperのようなエンスー環境のシステムストレージ用に一押しのSSDです。
「Samsung SSD 860 PRO 256GB」をレビュー
Samsung SSD 860 PRO 256GB



CPUクーラーの設置方法について、当サイトの評価基準となるチェックポイントは次の3つです。
  • LGA115Xの場合、CPU固定バックプレートが単独でマザーボードに固定できるか
  • マウントパーツ設置状態でCPUを交換できるか
  • 空冷の場合、ネジ止めの場合はマザーボード側から固定できるか
    簡易水冷or水冷ブロックの場合、ハンドスクリューなどツールレス固定ができるか

上の3項目を全て満たす例として本格水冷用のCPU水冷ブロックですが「EK-Supremacy EVO」のマウンタ構造は「バックプレートをM/Bに固定可能」「完全ツールレス」「マウンタ設置状態でCPUの交換が可能」なので本格水冷・簡易水冷クーラーの水冷ブロック固定方式としてはベストだと思っています。水冷クーラーメーカーにはどんどん真似してもらいたい理想的な構造です。

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一応テンプレなので管理人的に高評価なCPUクーラーマウントについて説明しましたが、「Noctua NH-U12S TR4-SP3」や「Noctua NH-U12S TR4-SP3」などNoctua製Threadripper専用空冷CPUクーラーについては、CPUソケットがそのままマウントパーツになっており、別途マウントパーツを装着する必要はありません。CPUクーラー本体に装着されたリテンションのネジで固定するだけなので非常に簡単です。
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上のようにCPUクーラーをマザーボードに固定する下準備は特にないので、熱伝導グリスをCPUのヒートスプレッダに塗布します。熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-001-RS(少量、1g)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-015-RS(1.5ml)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-030-RS(3.0ml)
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper

Ryzen ThreadripperのサーマルグリスについてNoctuaでは下の画像のような塗り方が紹介されています。普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、Ryzen Threadripperはヒートスプレッダが大きいため、『最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗る』というNoctua式の塗り方が良い感じでヒートスプレッダ全体へグリスが伸びるということもあり、CPUクーラーなど冷却性能に関わる検証ではNoctua式を採用しています。Noctua TRX4_tp
この塗り方をするとRyzen Threadripperの大型ヒートスプレッダでもCPUクーラーの圧着でヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びます。ただしグリスをかなり大量に使うので注意。
Thermal Grizzly Kryonaut_Threadripper_noctua

サーマルグリスの代用品として、数年スパンの長期使用においても性能低下が基本的になく再利用も可能、グリスが零れてマザーボードが汚れたり壊れる心配もないので、炭素繊維サーマルシート「Thermal Grizzly Carbonaut」もオススメです。
「Thermal Grizzly Carbonaut」はRyzen TR 3970Xを冷やせるか!?
Thermal Grizzly Carbonaut_Ryzen Threadripper 3970X

熱伝導グリスを塗ったらCPUクーラーヒートシンクを乗せて付属のL字型ヘックスドライバーでネジ止めします。あとはファンクリップでヒートシンクに冷却ファンを装着したらNoctua製Threadripper専用空冷CPUクーラーの設置は完了です。
DSC00029



ファンノイズと冷却性能

本題となる「Noctua NH-U9 TR4-SP3」と「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の冷却性能や静穏性についてチェックしていきます。
検証システムをベンチ板に置いた状態で測定を行っているためCPUクーラーが水冷・空冷によらず基本的にCPUクーラーの理想的な性能をチェックすることになります。
DSC07639_DxO

まずはサウンドレベルメーター(騒音計)を使用してファンノイズをCPUクーラー別で比較しました。騒音計の収音部分とノイズ発生部分との距離が15cm程度になる位置で測定を行っています。簡易水冷の場合はラジエーターとポンプ両方からの距離が15cm程度になるように設置しています。
DSC07648_DxO
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質にもよるので注意してください。

「Noctua NH-U9 TR4-SP3」と「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の冷却ファンのファンノイズをファン回転数別に測定したところ次のようになりました。
「Noctua NH-U12S TR4-SP3」は冷却ファンをデューティ比100%で1400RPMの最大回転数にしても40dB前後に収まるのでフルレンジで静音性にすぐれた設計になっています。一方で「Noctua NH-U9 TR4-SP3」はファン回転数を上げていくとファンノイズが40dBを大きく上回ってくるので、1500~1600RPM未満で運用できれば静音動作が期待できます。
Noctua & Threadripper 3rd_noise_1
「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の冷却ファンを15mm厚スリムファンのNF-A12x15 PWMに換装した時のファンノイズは次のようになります。ファンをヒートシンク前方に1基設置するだけであれば最大1800RPMまでのフルレンジでノイズレベルは40dBを下回る静音動作です。
Noctua & Threadripper 3rd_noise_2
NF-A12x15 PWMをヒートシンク前後に装着する場合は注意が必要です。単純に2基のファンを装着すると後方のファンから高周波ノイズが発生してしまい、かなり耳障りになります。
メモリスロットと干渉しない範囲内で余ったラバーパッドを2~3枚程度重ねるなどして後方のファンとヒートシンクとの間に隙間を作り、なおかつ後方ファンにファン回転数を低下させるローノイズケーブル(NH-U12S TR4-SP3に標準で1つ付属します)を繋げてやると、高周波ノイズが抑制されて静音性が高まります。

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続いて「Noctua NH-U9 TR4-SP3」と「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の冷却性能をチェックしていきます。
CPUクーラーの冷却性能を検証するためのストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間6分40秒、4K解像度、60FPS、容量5.7GB)を変換ソースとして、Aviutl&x264を使って動画のエンコードを行います。動画エンコードの同時実行数については4~6コアは並列なし、8~14コアは2並列実行、16コア以上は3~4並列実行としています。テスト中のファン回転数については一定値に固定します。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
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第3世代Ryzen Threadripperの32コア64スレッドモデル「AMD Ryzen Threadripper 3970X」を定格動作として、ストレステスト中のCPU温度をチェックしていきます。
Ryzen Threadripper 3970Xを定格で運用するとCinebench R20のスコアは16700ほどとなります。またこの動作設定において上で紹介したストレステストを実行すると、システムの消費電力(概ねマイナス80WでCPUの消費電力)は360W前後に達します。
AMD Ryzen Threadripper 3970X_def_cinebench R20
AMD Ryzen Threadripper 3970X_def_power

各CPUクーラーでファンノイズが38dB前後になるように正規化して、「Noctua NH-U9 TR4-SP3」のファン回転数を1400RPM、「Noctua NH-U12S TR4-SP3」のファン回転数を1200RPM、「Noctua NF-A12x15 PWM ×2」のファン回転数を1400RPM、Asetek製240サイズ簡易水冷(ファンはNF-A12x25 PWM)のファン回転数を1300RPMに固定してストレステストを実行した結果が次のようになっています。
Noctua & Threadripper 3rd_temp
上の結果から抜粋して細かく見ていくと、やはり120mmサイズや92mmサイズのコンパクトな空冷CPUクーラーは、ベースプレートのサイズで不利なAsetek製240サイズ簡易水冷CPUクーラーに対して10度以上高温となっており、『120mm/92mm空冷ヒートシンク vs 240mm水冷ラジエーター』という放熱容量の差がCPU温度に反映されているのがハッキリと分かります。
Noctua & Threadripper 3rd_temp_1
「Noctua NH-U9 TR4-SP3」についてはノイズレベルが38dB前後となる静音性重視のファン回転数1400RPM設定でCPU温度が90度前後に達しており、ファンをフルパワーで回してもCPU温度が85度前後なので、第3世代Ryzen Threadripperの定格動作であるTDP280Wを運用するにはかなりギリギリな冷却性能だと思います。CPU消費電力を下げれば何とかなりそうなので、「Noctua NH-U9 TR4-SP3」を使用する場合はPPTを210~220W程度に制限する省電力な設定がオススメです。
Noctua & Threadripper 3rd_temp_2
「Noctua NH-U12S TR4-SP3」についてはAsetek製240サイズ簡易水冷CPUクーラーと比較して10度前後温度が高く、やはり放熱容量が追いついていない感じはあるものの、CPU温度は80度前後に収まっているのでPCケース内の吸排気にちゃんと気を使えば、TDP280Wの第3世代Ryzen Threadripperも何とか運用できそうな感じです。Noctua NH-U9 TR4-SP3同様にPPTを250~260Wくらいに下げるのがベターだとは思いますが。
今回の検証で個人的に特に気になっていたのが「Noctua NH-U12S TR4-SP3」の冷却ファンを2基のNoctua NF-A12x15 PWMに換装したケースですが、2基の15mm厚スリムファンでヒートシンクをサンドしてやることによって、標準搭載の25mm厚ファンとほぼ同等の静音性&冷却性能を実現できました。
Noctua & Threadripper 3rd_temp_3
15mm厚スリムファンで十分に放熱できるのか不安でしたが、冷却性能や静音性については標準構成と同等の性能が得られることが分かりました。Noctua NF-A12x15 PWMに換装すると「Noctua NH-U12S TR4-SP3」は完全にメモリ干渉フリーになってかなり使い勝手が良くなるので、Ryzen Threadripper専用空冷CPUクーラーでメモリ互換性を重視するのであれば是非検討したい構成だと思います。ただしファンを固定するのに使用するNH-L12Sに付属のファンクリップは、現在のところ単体では購入できないとのことで残念です。
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以上、『コンパクト空冷はRyzen Threadripper 3970Xを冷やせるか!?』でした。
Noctua & Threadripper 3rd


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補足:空冷クーラーと水冷クーラーの違いについて

「空冷クーラー」と「水冷クーラー」の2種類ついて同じところと違うところ、また原理的に考えた冷却性能の比較を簡単に補足しておきます。





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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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