ElecGear LGA1700-CF


スポンサードリンク




ElecGearからIntel第12世代CPUに対応するLGA1700ソケットのCPUヒートスプレッダ曲げ防止フレームが発売されました。
ただCPUヒートスプレッダの反りを防止するだけでなく、サーマルグリスに液体金属を使用してもCPUソケット周辺に零れないOリングも付属する、カーボンファイバー製LGA1700曲げ防止フレーム「ElecGear LGA1700-CF」をレビューしていきます。

DSC08502_DxO





ElecGear LGA1700-CFについて

まずは「ElecGear LGA1700-CF」のパッケージを開封して内容品をチェックしていきます。
DSC08497_DxO
DSC08498_DxO

LGA1700曲げ防止フレームというとスチールやアルミニウムといった金属製が多いですが、「ElecGear LGA1700-CF」のフレーム本体はカーボンファイバー製です。
DSC08508_DxO
金属ではありませんがカーボンファイバーなので十分な耐熱性、物理的な強度を備えています。
DSC08506_DxO
「ElecGear LGA1700-CF」のフレーム本体裏面、マザーボードと接する底面には絶縁パッドが貼られています。
またCPUヒートスプレッダと接する枠の部分には隙間から流入した液体金属がフレーム内部へ侵入しないよう、接触面を密閉する茶色のガスケットテープが貼り付けられています。
DSC08507_DxO
「ElecGear LGA1700-CF」の大きな特徴として、フレーム自体が液体金属に反応しないカーボンファイバーで製造されていることに加えて、CPUヒートスプレッダとCPUクーラーベースの間に塗布した液体金属が外へ流出しないように密閉するラバー製Oリングが付属しています。
DSC08503_DxO
CPUクーラーベースプレートがOリングよりも小さい場合に使用する拡張プレートが2枚付属しています。
DSC08500_DxO
拡張プレートは見ての通り2種類ありますが、単純に見た目(素材)が違うだけでなく、カーボンファイバーは厚み1.5mm、半透明アクリルは厚み2.0mmです。
DSC08501_DxO
拡張プレート中央に予め施された四角カットは小さく、組み合わせて使用するCPUクーラーベースプレートのサイズに合わせて各自でカッター等を用いてカットします。ベースプレートとピッタリにカットしたら、付属の接着剤でCPUクーラーに固定して使用します。拡張プレートを使用すればベースプレートの小さいCPUクーラーにも対応できますが、正直なところ加工が面倒です。
当サイト的には最初からOリングの内周を十分にカバーできるCPUクーラーと組み合わせるのがオススメです。
DSC08530_DxO

「ElecGear LGA1700-CF」はカーボン製フレームやOリングによって液体金属をサポートしているだけでなく、キット内に液体金属のElecGear LMTP-V3が標準で付属しています。
DSC08504_DxO
DSC08505_DxO
「ElecGear LGA1700-CF」には標準で付属するので必須ではありませんが、液体金属グリスについて管理人はクマメタルことThermal Grizzly Conductonautを使用しています。
Thermal Grizzly ConductonautはCPUの殻割りやグラフィックボードの水冷化でも使用実績があり、当サイトで特にオススメしている液体金属です。
ROCKITCOOL 12th Gen Delid & Relid Kit review_04616_DxO





その他の付属品として、拡張プレートの加工に使うヤスリ、拡張プレートの接着に使うシール材、綿棒、トルクスレンチ、密閉用のサーマルグリス、サーマルグリスワイパー等があります。
DSC08499_DxO



ElecGear LGA1700-CFの使い方

「ElecGear LGA1700-CF」の基本的な使い方を紹介します。
「ElecGear LGA1700-CF」のLGA1700曲げ防止フレームはマザーボードに標準で付属するILMバックプレートを流用して固定します。
バックプレートはマザーボード基板に接着されていないことが多いので、事前に養生テープでズレたり、脱落したりしないように固定しておいてください。
DSC08520_DxO
ILMを取り外すとCPUソケットのピンが剥き出しの状態になってしまいます。ピン折れによるCPUソケットの破損を防止するため、CPUを乗せた状態で作業するのがオススメです。
DSC08509_DxO
LGA1700ソケットのCPU固定金具(ILM ; Independent Loading Mechanism)を取り外すにはT20のトルクスドライバーが必要になります。Amazon等でドライバー1本から購入できるので適当に用意してください。
「ElecGear LGA1700-CF」にはトルクスレンチが標準で付属しますが、ドライバーの方が使い易いので1本購入しておいてもいいと思います。
DSC08510_DxO
ILMを取り外したら、「ElecGear LGA1700-CF」のLGA1700曲げ防止フレームをCPUソケットに被せます。あとは元々のILMを固定していたネジを流用してフレームを固定したら装着完了です。
DSC08512_DxO

LGA1700曲げ防止フレームの導入だけであれば以上の作業で完了ですが、「ElecGear LGA1700-CF」には『CPUヒートスプレッダの反りを防止する』だけでなく、『液体金属でショートの心配なく安全に使用できる』という特長があります。
その2つ目の特長を実現しているのが、同キットに付属している何の変哲もない?ラバー製のOリングです。
DSC08503_DxO
「ElecGear LGA1700-CF」のOリングの使い方はいたってシンプル、CPUヒートスプレッダを囲うようにして、LGA1700曲げ防止フレームに乗せるだけです。
DSC08513_DxO
なおOリングを乗せる前に、「ElecGear LGA1700-CF」では隙間から曲げ防止フレーム内へ液体金属が流入するのを防止するため、予めサーマルグリスで隙間を埋めるという作業も組み込まれています。
ヒートスプレッダと曲げ防止フレームの隙間は非常に狭く、上で紹介したように曲げ防止フレームの裏側には密閉用ガスケットシールが貼り付けられているので、この作業はオプション扱いでもいいと思いますが。
DSC08531_DxO

ラバー素材のOリングをLGA1700曲げ防止フレームに乗せると、そのままの状態であればOリング状の5本のスレッドはCPUヒートスプレッダよりも位置が高くなります。Oリングはラバー製なので当然上から抑えれば変形し、CPUヒートスプレッダとCPUクーラーベースプレートが接する妨げにはなりません。
OリングはCPUクーラーベースプレートの余白部分(CPUヒートスプレッダと接する部分の外側)と密着するので、CPUヒートスプレッダに塗布された液体金属はCPUヒートスプレッダとCPUクーラーベース、そしてOリングの3つによって密閉されます。
なので液体金属が外に漏れ出してしまい、マザーボードやその他のPC部品がショートする心配はない、という具合です。
DSC08514_DxO

「ElecGear LGA1700-CF」のOリングの寸法については内周の対角長が約48mmでした。CPUクーラーベースプレートが四角なら横43mm×縦53mm、円形なら直径53mmより大きければ問題ありません。
Oリング状にある5本スレッド全て機能するのがベストですが、実用的には2,3本が接触していれば液体金属が漏れないように密閉できるはずです。その場合、横40mm×縦50mmもしくは直径50mmのサイズで十分です。
DSC08517_DxO
「ElecGear LGA1700-CF」のOリングと互換性のあるCPUクーラーの一例として、歯車状のリテンションブラケットを装着するAsetek OEMの簡易水冷CPUクーラーであれば問題なく使用できます。
DSC08519_DxO
CPUクーラーベースプレートがOリングよりも小さい場合に使用する拡張プレートが2枚付属しています。拡張プレートを使用すればベースプレートの小さいCPUクーラーにも対応できますが、正直なところ加工が面倒です。
当サイト的には最初からOリングの内周を十分にカバーできるCPUクーラーと組み合わせるのがオススメです。Asetek OEMの簡易水冷CPUクーラーなど、特に互換性のあるCPUクーラーを見つけるのが難しいわけでもないので。
DSC08500_DxO
DSC08530_DxO



ElecGear LGA1700-CFでCPUヒートスプレッダの反りを防止

厚みのある銅板のIHSがCPUソケットのリテンション程度で歪むわけが……、と思っていたのですが、CPUソケットでリテンションしていない状態と、CPUソケットでリテンションした状態を比較するとIHSの歪みは一目瞭然です。
補足しておくと、CPUソケット圧で曲がるのは事実ですが、既知の影響は”CPUクーラーとの接触が緩くなる可能性”だけです。CPUやマザーボードの破損に繋がる問題という報告は今のところありません。


液体金属用Oリングが付属するカーボンファイバー製LGA1700曲げ防止フレーム「ElecGear LGA1700-CF」や、アルミニウム製LGA1700曲げ防止フレーム「ElecGear LGA1700-AL」を使用するとご覧の通り、CPUの反りは解消されます。
DSC08522_DxO



ワッシャーMODを行う場合、基本的には『0.8mm~1.0mm厚のワッシャーであればILMとCPUクーラーの物理的な干渉はなく、従来CPUと同程度までCPUヒートスプレッダの曲がり具合を軽減できる』と考えていいのですが、CPUやマザーボードによって個体差もあるので干渉の有無に注意する必要があります。
「ElecGear LGA1700-CF」のような曲げ防止フレームであれば、ヒートスプレッダとフレームが干渉する心配はなく、仮に干渉があっても単純な平面なので一目瞭然です。
+1.5mm vs +1.3mm

今回の記事では「ElecGear LGA1700-CF」に焦点を当てるので、CPUが曲がる件や、簡易的な対策としてのワッシャーMODについてさらに詳しい情報が気になる人はこちらを参照してください。




ElecGear LGA1700-CFで液体金属を安全に使う

【暇があれば通常サーマルグリスと液体金属で冷却性能を比較する予定】





記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。








 ・Intel Z690チップセット搭載マザーボード販売ページ
 <Amazon><TSUKUMO><PCアーク><ビックカメラ
 <パソコン工房><PC4U><ソフマップ><ドスパラ




関連記事

Intel第12世代Alder Lake-Sのレビュー記事一覧へ
Intel 12th-Gen AlderLake-S CPU

Core i9 12900Kの殻割りクマメタル化&銅製IHSの冷却性能を検証
ROCKITCOOL 12th Gen Delid & Relid Kit

液体金属頂上決戦! リキエクスVSクマメタルVSシルバーキング
Liquid Metal Comparison

おすすめの自作PCマザーボードを徹底解説
おすすめマザーボード




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク