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GeForce RTX 3070グラフィックボードとしてMSIからリリースされた、3スロット占有2連ファンGPUクーラー搭載で全長232mmのショート基板モデル「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」をレビューしていきます。
NVIDIA Ampere世代のハイエンドモデルGeForce RTX 3070が、前世代同クラスのRTX 2070 SUPERや最上位モデルRTX 2080 Tiをどの程度上回るのか、実ゲームベンチマークでグラフィック性能を徹底比較します。
製品公式ページ:https://jp.msi.com/Laptop/GeForce-RTX-3070-VENTUS-2X-OC/
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC レビュー目次
1.MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの外観
2.MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの分解
3.MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの温度・消費電力・ファンノイズ
4.MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCのレビューまとめ
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの外観
早速、MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCを開封していきます。キャラメルボックス型の外スリーブから取り出した黒色段ボールの内パッケージを開くと、スポンジスペーサー&静電防止エアパッキン袋という一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。付属品はクイックマニュアルと保証書です。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のグラフィックボード本体を見ていきます。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のGPUクーラー外装はプラスチック製ですが、ブラックのフレームと鉱石のような表面加工のガンメタルカラーの組み合わせで安っぽさは感じません。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」の側面のブラックカラーのプレートにはMSIのメーカーロゴとGeForce RTXのロゴがありますが、LEDイルミネーションの類は搭載されていません。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」の全長は232mmと、300mmクラスの製品が多いRTX 3070グラフィックボードの中でもとりわけコンパクトです。3スロット占有クーラー(PCIEブラケットは2スロット)なので厚みには注意が必要ですが、メーカー製PCなどグラフィックボード用スペースの限られるPCへのグラフィックボード換装にも最適です。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」は全長が短いだけでなく、PCIEブラケットから高さ方向へのはみ出しも15mm程度と小さいのでサイドパネルとの干渉も発生し難いところはポイントです。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」の2連ファンGPUクーラーには100mm径の冷却ファンが2基設置されています。2基のファンは非同期制御が可能で、専用アプリケーションMSI AfterBurnerなどから個別にファン速度を設定できます。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」の冷却ファンは前世代で上位モデルに採用されていた「TORX 3.0 FAN」です。
TORX 3.0 FANはTraditional Fan BladeとDispersion Fan Bladeの2種類のファンブレードが交互に展開されており、Traditional Fan Blade上に新たに追加されたトリム(突起)向上が集束された空気流を作り出し、空気の流れを加速させる特殊な湾曲したブレードを有するDispersion Fan Bladeによって、放熱ヒートシンクへ効率的に空気を送り込む大きな静圧を生み出します。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」は、RTX 3070で希少なショート基板ですが、厚みについては他多くのオリファンモデルと同様に3スロットを占有します。
RTX30シリーズの上位モデルではTGPが大幅に引き上げられたのでVRM電源部分の発熱問題が再燃しそうですが、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」は、VRAMチップをGPUコアと同様にGPUクーラーヒートシンク本体で冷やすという、理想的な構造が採用されています。
VRM電源回路については特に発熱の大きいMOSFETに個別の小型ヒートシンクが設置されていますが、そのヒートシンクもサーマルパッドを介してさらにGPUクーラー本体と接しています。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」の補助電源数はRTX 3070としては一般的なPCIE 8PIN×2となっています。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のビデオ出力はHDMI2.1×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」にはオリジナルイラストのプリントされたプラスチック製バックプレートが装着されています。
素材自体がそもそもプラスチック製ですし、基板との間にサーマルパッドもないため、放熱板としては機能せず、基板の反りや破損を防止する保護プレートとしての役割のみを果たします。
なおグラフィックボードの重量はZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeが793g、MSI GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10Gが1560gに対して、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」は830gでした。コンパクトサイズだけあってRTX 3070ながら軽量です。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの分解
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」を分解してGPUクーラーやグラフィックボード基板についてチェックしていきます。なおGPUクーラーの取り外し(分解行為)は、EVGAやZOTACを除く多くのメーカーではグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために自己責任で分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCのGPUクーラーは基板裏面のコア周辺4カ所のネジで固定されていました。
4か所のネジを外すとGPUクーラーは容易に取り外しができます。さらにネジを解除していくとPCB基板からバックプレートも取り外しが可能です。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」にはMSIが独自に設計したオリジナル基板が採用されています。
GeForce RTX 3070のGPUコアにはGA104-300-A1が使用されていました。RTX 3080/3090とは違い、RTX 3070のVRAMはGDDR6となっており、GDDR6メモリチップはMicron、Samsung、SK Hynixが製造していますが、今回入手した「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」にはSamsung製の8GbのGDDR6メモリチップが8枚搭載されています。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のVRM電源回路はGPUコアの左側に10フェーズが実装されています。VRAMメモリ用は右側に2フェーズです。
GPUコア向け10フェーズのVRM電源回路には上の写真の通り、GPUクーラー本体とは別に小型のアルミニウム製ヒートシンクが装着されていますが、サーマルパッドを介してさらにGPUクーラー本体とも接しています。チョークコイルは天面がそのままサーマルパッドを介してGPUクーラー本体に接しています。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のGPUクーラー本体をチェックすると、GPUコアと接する部分はヒートパイプダイレクトタッチ構造が採用され、ベースコアからは4本の銅製ヒートパイプが伸び、アルミニウム製放熱フィンが3スロットスペース内いっぱいに展開されています。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のヒートパイプダイレクトタッチ構造のコア部分については4本のヒートパイプで構成されているのですが、下の写真を見ての通り、GPUコアの両端がカバーされていないという少々残念な構造です。
GPUコア周辺のVRAMチップはヒートシンクにろう付けされた金属製プレートとサーマルパッドを介してヒートシンク本体で直接冷却するという理想的な構造です。VRM電源回路も一応ヒートシンク本体とサーマルパッドを介して接しています。
GPUコアと接するベースプレートからは4本のヒートパイプが上下から左右へ抜ける構造で、GPUクーラーヒートシンクの放熱フィン全体へ効率的に熱を拡散します。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」はコンパクトサイズですが3スロットのスペースを最大限活用して放熱フィンが展開されています。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの温度・消費電力・ファンノイズ
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」の負荷時のGPU温度やファンノイズや消費電力についてチェックしていきます。最初に、MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCに搭載されているGPU「GeForce RTX 3070」のスペックについて簡単に確認しておきます。
「GeForce RTX 3070」はGA104-300コアが使用されておりCUDAコア数は5888、GPUコアクロックはベース1500MHz、ブースト1725MHzです。VRAMには14.0GbpsのGDDR6メモリを8GB容量搭載しています。
典型的なグラフィックボード消費電力を示すTGPは220Wに設定されており、PCIE補助電源として各社AIBモデルの多くは8PIN+6PINや8PIN×2を要求しています。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」についてはGeForce RTX 3070のリファレンス仕様であるブースト1720MHzに対して、ブーストクロック1755MHzへ僅かながらファクトリーOCが施されています。パワーリミット(TGP)はリファレンス仕様通り220Wに設定されています。電力制限の上限は220Wで解除には対応していません。
GeForce RTX 3070の性能については同GPUを搭載したグラフィックボードの個別レビューの中で、個別ゲームタイトルに関するベンチマークなど詳細に言及しているのでこちらを参照してください。
・「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edge」をレビュー
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Testを使用しています。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCのテスト終盤におけるGPU温度は最大69度と比較的に低く、ファン回転数も最大1650RPM程度と標準的です。(2つのファンが個別制御ですが回転数やデューティ比は完全に一致しているので片方の数値を載せています)
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」はアイドル時にファンが停止するセミファンレス機能に対応しており、GPU温度64度前後が始動閾値、GPU温度32度前後が停止閾値でヒステリシスも採用されています。始動と停止ともにふらつくことなく、ピタっと切り替わります。
GPUコアクロックについては「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」の仕様値ではブーストクロック1755MHzとなっていましたが、負荷テスト中の実動平均は1843MHzとなりました。
負荷テスト中のGPU温度が若干低いからなのか、リファレンス仕様ブーストクロックのZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeが実動平均1870MHzで、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」よりも高いコアクロックになっていたのはかなり意外でした。
また実用条件に近い冷却性能の検証として、実際にPCケースへ「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」を組み込み、Time Spy Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせてGPU温度やファン回転数がどうなるかを確認してみました。
検証機材のPCケースには「Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t」を使用しています。CPUクーラーは120サイズ簡易水冷でラジエーターを天面前方に設置、またPCケースのフロントに吸気ファンとして2基とリアに排気ファンとして1基の140mm角ケースファンをそれぞれ設置し、ファン回転数は1000RPMに固定しています。
PCケースに入れた状態で長時間負荷をかけても「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のGPUの最大温度は74度~75度まで上昇し、ファン回転数も2200RPM程度に達し、ベンチ板上での測定よりも500RPM以上も上昇しました。ファンの動作音がはっきりと分かりますが、PCケースに入っていても若干煩く感じます。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のGPUクーラーは内排気ファンということもありPCケースの吸排気を最適化しないと冷却効率が下がるので、フロントx2/リアx1で140mmファンを設置して1000RPMで回していますが、さすがに200Wを超えるTGPなので、ベンチ板での比較的に理想な環境のままとはいきませんでした。実際にPCケースへ組み込むユーザーはPCケースの吸排気にも注意してみてください。
下は同じくRTX 3070グラフィックボードのZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeで同様のテストを行った時の結果ですが、GPU温度69度、ファン速度2000RPMとなっており、PCケース内の実用条件で比較してみると、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のほうが冷えていない、かつファンが煩いのがハッキリと分かります。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のファン速度を1900RPMに固定した状態で上の1時間ストレステストと連続して10分程度負荷を掛けましたがGPU温度が77度~78度に達しました。静音化のために手動でファン速度を下げるにしても、GPU温度が80度を超えないという条件下では今回の検証環境においてこの辺りが限界です。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeではファン速度を1500RPMまで落としてもGPU温度は74度程度に収まったので、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」はヒートパイプダイレクトタッチ構造のヒートシンクコア部分が冷却上のボトルネックになっているように感じました。
加えて1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE Pro」(レビュー)を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
TGP300W超のRTX 3080/3090ではVRM電源回路やPCIE補助電源付近がかなり高温になるモデルも散見されたのですが、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」はVRM電源回路付近で80度に達している場所が確認できるものの、せいぜいその程度なので特に心配する必要はありません。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。
検証機材はベンチ台の上に平置きにしているので、サウンドレベルメーターをスタンドで垂直上方向に50cm程度離して騒音値を測定しています。
この測定方法において電源OFF時の騒音値は30dB未満です。目安として騒音値が35dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになりますが、35~38dB以下であればPCケースに入れてしまえばファンノイズが気になることはそうそうないと思います。40dB前後になるとベンチ台上で煩く感じ始め、45dBを超えるとヘッドホンをしていてもはっきり聞き取れるくらいになります。
A特性で測定しているのである程度は騒音値にも反映されていますが、同じ騒音値でも周波数(ファン回転数)が高いほど体感としては大きな音に感じやすく、また不快に感じたり感じなかったりは音の性質(細かい乱高下の有無や軸ブレ)にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCのファンノイズはベンチ板上で1650RPMというファン回転数の通りノイズレベルも38dB程度の若干高めな数値を示します。実際にPCケースに組み込んだ実用条件におけるファン速度2200RPMでは46dB以上を示すので、PCケースに入れていてもはっきり耳に届き、煩く感じるレベルです。
MSI AfterBurner等でファン速度を下げるにしてもGPU温度80度上限という条件下ではあまり大きくファン速度を下げることができず、静音性の面でもヒートパイプダイレクトタッチ構造のヒートシンクコア構造がボトルネックになっているのをひしひしと感じます。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定負荷には上で行った温度検証と同様に3DMark TimeSpy ストレステストを使用しています。テスト全体から1秒間隔でモニタリングを行い、平均値を”消費電力”、最大値を”瞬間的な最大電源負荷”とします。なお電源ユニットに対する実際の最大瞬間負荷は測定値より50~100W上回る場合があるので、電源ユニットの電源容量選択の参考にする場合は注意してください。
消費電力の測定は電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの入力ではなく変換ロスを差し引いたシステムへの出力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。
この方法であれば、CPU(後述のiGPUも)に負荷をかけても、CPUによる消費電力の変動はメイン電源ユニットCorsair HX 1200iの測定値には影響しません。しかしながら、測定値にはまだATX24PIN経由で供給されるマザーボードやDDR4メモリの電力が含まれるので、iGPUを使用した時の3DMark TimeSpy ストレステスト中の消費電力と最大電源負荷を同様に測定し、各種グラフィックボード使用時と差分を取る形でグラフィックボード単体の消費電力と最大電源負荷を算出します。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCの消費電力は218W、最大瞬間負荷は279Wでした。MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OCのTDP(パワーターゲット)は220Wに設定されており、概ね仕様値通りの消費電力になっていると思います。
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」がグラフィック性能で30%以上も上回るRTX 2070 SUPERとはほぼ同等の消費電力、一方、同等のグラフィック性能を発揮するRTX 2080 Tiと比較して30~40W、約15%程度も低消費電力になっており、Ampereアーキテクチャの省電力性能の高さを再確認できる結果です。
TGPが300W超過するRTX 3080など上位モデルと違って、TGP220Wというのは従来のミドルハイクラスからハイエンドの中間くらい数値なので、既存環境において電源や冷却を気にせずにアップグレードできるところもRTX 3070の魅力だと思います。
MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC レビューまとめ
最後に「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- フルHD/240HzからWQHD/144Hz+、さらに4K/60FPSまで幅広いPCゲーミングにマッチ
- RTX 2070を実ゲームで40%以上も上回るグラフィック性能
- 前世代最上位モデルRTX 2080 Tiより低消費電力で同等のグラフィック性能
- RTX 2080 Tiとほぼ同性能ながら希望小売価格は半分の499ドルから
- 全長232mmショート基板でコンパクト (ただし3スロット占有)
- 税込み7.2万円程と国内展開されているRTX 3070の中で最安値クラス(20年10月末現在)
- GPUコア両端がはみ出すヒートパイプダイレクトタッチ構造
- 他社のショート基板製品と比較して冷え具合や静音性が微妙
GeForce RTX 3070は、前世代同クラスとGeForce RTX 2070と比較して平均して40%以上、ベストケースでは50%以上の性能を発揮、さらに前世代最上位GeForce RTX 2080 Tiと比較しても15%近く低い消費電力で同等のグラフィック性能を実現しており、前世代から圧倒的な飛躍を遂げています。
次世代スタンダードなWQHD/144Hz+、4K/60FPSのラグジュアリーな超高画質、フルHD/240FPSのスーパーハイフレームレートなど幅広いPCゲーマー層にマッチし、499ドルからという手ごろな価格も相まって新定番なミドルハイクラスGPUです。
RTX 3070は2020年現在、手ごろな価格で普及しつつあるWQHD/144Hz+のIPS液晶ゲーミングモニタと組み合わせて高画質・ハイフレームレートなPCゲーミング入門に最適なグラフィックボードです。
WQHD/144HzのIPS液晶ゲーミングモニタは色々と販売されていますが、リモコン操作&USB Type-C対応でマルチメディアに最適な「BenQ EX2780Q」、ELMB Syncやスナイパーなど独自のゲーミング機能が豊富な「ASUS TUF Gaming VG27AQ」、同スペック製品の中でも特に高発色・高応答速度な「LG 27GL850-B」は当サイトでもレビューを公開していてオススメなモデルです。
・WQHD解像度/144Hz+ゲーミングモニタのレビュー記事一覧へ
その他にもバトルロイヤル系ゲームに最適な240Hzオーバーの超高速ゲーミングモニタと組み合わせてガチで勝利を狙うゲーマーにもフルHDで高FPSを稼げるRTX 3070はオススメです。
・240Hz+の超ハイリフレッシュレートなゲーミングモニタのレビュー記事一覧へ
「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」については3スロット占有で厚みこそ大きいですが、全長232mmのショート基板かつPCIEブラケットからはみ出す高さ方向も+15mm程度に収まっており、RTX 3070搭載グラフィックボードの中で最小サイズなところが最大の魅力です。
メーカー製PCではPCケース内クリアランスの関係で全長250mm以上のグラフィックボードを搭載できない場合も少なくありませんが、そういった環境でグラフィックボードをアップグレードしたいユーザーに最適な製品です。また奥行きの小さいMini-ITX対応コンパクトPCケースで自作PCを組むユーザーなどにももちろんオススメです。
加えて「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」は2020年10月末現在、税込み7.2万円とRTX 3070グラフィックボードの中で最安値クラスの製品なので、既存PCをアップグレードする時にコンパクトサイズゆえの互換性の高さだけでなく、価格面でも強い候補だと思います。
ただし後述の冷却・静音の面で他社製品のZOTAC GAMING GeForce RTX 3070 Twin Edgeに比べて微妙な結果だったので、『PCIEブラケットから30mmのスペースがなくて干渉する』という条件でなければ、積極的に「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」を勧める理由がなかったり……。
この種のコンパクトモデルはトレードオフで静音性が低くなりがちなのですが、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」に関してはサイズの問題というよりも、ヒートパイプダイレクトタッチ構造のヒートシンクコアに端を発して、PCケース内での実用条件でいまいち冷えない、ファンノイズが煩いという少々残念な結果になりました。
実用に耐えないレベルというわけでは決してないのですが、4本のヒートパイプで構成されるCore PipeからGPUコアの両端がはみ出しているのを見るにつけて、もう1本あれば結果は大分違ったのではないかと感じざるを得ません。
なおヒートパイプダイレクトタッチ構造そのものが必ずしも悪いわけではありません。TGP340WへファクトリーOCが施された同社のRTX 3080オリファンモデル「MSI GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10G」ではPCケースに入れた実用条件でファン速度1500RPM程度、ノイズレベル33dB以下という非常に優れた結果を出しています。
以上、「MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC」のレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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