スポンサードリンク
当サイトでレビュー用素材撮影に使用しているα7Cなど、Sony製ミラーレス一眼デジタルカメラ α7シリーズで撮影した写真をパソコンへ簡単に移動できる「FTP転送機能」の使い方について紹介します。FTPサーバーの構築がハードルを高くしますが、無線LANルーターのUSBストレージによる簡易NAS機能と組み合わせるとかなり簡単にFTP転送機能を使用できます。
目次
0.FTP転送機能を簡単に使うために
1.無線LANルーターのUSB簡易NAS機能の設定について
2.PCからFTPサーバーにアクセスする方法
3.Sony α7シリーズのFTP転送でアップロードする方法
FTP転送機能を簡単に使うために
α7Cに切り替えるまでレビュー用素材撮影に使用していたRX100M5はWiFi接続によるPCへの画像転送機能があったのですが、PCで独自アプリケーションPlayMemories Homeがサポート終了になり(現在は新アプリのImaging Edgeでテザー撮影等ができるようになった)、Sony α7CもそうですがZV-1やα6600など2020年以降発売の最新モデルではWiFi接続によるPCへの画像転送機能に対応しなくなりました。帰宅時にカメラから機能を実行して食事やらお風呂やらを済ませている間に放置しておけば取り込みが完了して便利だったのでかなり残念です。転送速度はやはりUSB接続やSDカード直に比べると遅かったのでユーザーが少なかったからでしょうか。
設定方法:https://www.sony.jp/support/cyber-shot/guide/wi-fi/
対応しなくなったからには仕方ないので、α7Cに切り替えてからここ数か月はSDカードをいちいち抜き差ししてレビュー用素材写真をPCに移動していたのですが、やはり面倒くさい。
そこで、どうにか無線でPCから撮影写真を共有できないかと思い、α7シリーズなど一部のSony製カメラがサポートする「FTP転送機能」に目を付けた次第です。
FTP転送機能については公式ヘルプでも、『FTPサーバーに関する基本的な知識が必要です。 詳しくは、FTPヘルプガイドをご覧ください。』としか解説されておらず、参照リンクのヘルプガイドを見てもカメラ側の簡単な設定解説しかありません。
また関連するスマートフォンアプリ「Transfer & Tagging add-on」の紹介を読む限り、一般の個人ユーザー向けというよりも、ビジネス用途のプロフェッショナルユーザー向けな機能という感じです。
個人ユーザーがFTP転送機能を使用する上で一番の壁は、「FTPサーバーの構築」です。
実は丁寧にググれば、Windows 10 PCはOSの標準機能でFTPサーバーを構築できることが分かるのですが、ちゃんと運用しようとするとセキュリティソフトとの干渉、ポート開放などネットワーク周りの知識が要求され、環境依存のトラブルシューティングが相当要求されるだろうと予想できました。”簡単に”かつ”安定して”使用することが目標ですが、やはり一般ユーザーには難しく、管理人もぶっちゃけ避けたいところでした。
そこで管理人が目を付けたのが、主にASUS製やTP-Link製の無線LANルーターに搭載されている『USBストレージによる簡易NAS構築機能』です。
簡単に言うと無線LANルーターに実装されたUSBポートに装着した、USBメモリやUSB外付けSSDを面倒な設定をせずにFTPサーバーとして使用できる機能です。一番の壁と書いたFTPサーバーの構築が非常に簡単になります。
「1.カメラからルーター(USBストレージ)にアップロード」、「2.ルーターからPCへのダウンロード」と、2手間が必要になるものの、カメラからPCへ直接FTP転送するよりもネットワーク知識やセキュリティソフトとの競合などトラブルシューティング的には簡単になります。
以上、前置きが長くなりましたが、ここからはSony α7シリーズFTP転送機能の簡単な使い方の1つとして、無線LANルーターのUSB簡易NAS機能を組み合わせる方法を紹介していきます。
1.無線LANルーターのUSB簡易NAS機能の設定について
Sony α7シリーズのFTP転送機能を使用する下準備として、まずは無線LANルーターでUSBストレージを記憶領域としたFTPサーバーの構築手順について紹介します。USBストレージを使用した簡易NAS機能については主にASUS製とTP-Link製の無線LANルーターが対応しています。国内では無線LANルーターというと、NEC、バッファロー、IO-DATA、エレコムの4社あたりが有名どころですが、USBストレージを使用した簡易NAS機能に対応した製品は非常に少ないので注意してください。
今回、管理人はASUS製でもTP-Link製でもなく、NASでは大手ながらルーターでは新規参入なQNAPの「QNAP QHora-301W」を使用しました。
製品スペックは非常に高く、将来性には期待できる製品ですが、細かい部分で機能実装等がまだ追いついていないところがあります。現状ではASUSかTP-Linkの無線LANルーターを選ぶのがオススメです。
・10Gb LAN対応NASに最適なWiFi6ルーター「QNAP QHora-301W」をレビュー
QNAP QHora-301Wの場合
「QNAP QHora-301W」にはルーター背面に2基のUSB3.1 Gen1ポートがあり、いずれもFTPサーバーとして使用できます。対応フォーマットはFAT32のみ、NTFSやexFATには非対応です。なお2021年3月現在最新のファームウェア1.4.4.0001 build 20210208では、USBフラッシュメモリは正常に認識されますが、USB変換のSATA SSDなど所謂USB接続型SSD(詳しくはPC Watchの記事で)を接続するとFAT32でフォーマットしていても非対応デバイスとして検出され使用できないので注意して下さい。
容量1TB以上の大容量なUSB接続SSDをストレージを使う予定でしたが現状では非対応なので、USBフラッシュメモリの「Samsung Fit Plus 2USB 3.1 Flash Drive」を使用しました。
写真のようにSamsung Fit Plus 2USB 3.1 Flash DriveはUSB端子+1センチ程度の長さしかないので、ルーター背面に装着しても各種ケーブルを超えるような余剰の奥行スペースを要求しません。
Samsung Fit Plus 2USB 3.1 Flash Driveは128GBと256GBの2種類の容量モデルがあります。ミラーレス一眼カメラなどの写真ファイルは1つ1つが10MB以上となっており、多数の写真ファイルの転送で重要な連続性能は読み出しが300~400MB/s、書き込みが100MB/sなので十分に高速です。
Amazon.co.jpの公式取り扱い品はSamsung製USBメモリの国内正規代理店ITGマーケティングを介して5年間の正規保証が受けられ、価格も128GBが3000円、256GBが6000円程度とお手頃なのでオススメのUSBメモリです。
Samsung Fit Plus 2USB 3.1 Flash Driveは購入時点ではexFATでフォーマットされているので、「QNAP QHora-301W」で使用するにはFAT32にフォーマットしなおす必要があります。
総容量が100GB超のUSBメモリの場合、Windows 10の標準機能ではFAT32にフォーマットできないので、フォーマット用ソフトを使用する必要があります。”FAT32 フォーマット”でググると候補がいくつも出てきますが、管理人はI-O DATAから配布されているハードディスクフォーマッタというフリーソフトを使用しています。使用方法は簡単なので割愛します。
USBストレージをFAT32でフォーマットしたらQNAP QHora-301WのUSBポートに接続します。QNAP QHora-301Wの管理画面を開き、「システム - USB設定」にアクセスすると下のような画面が表示されます。
USBストレージが正常に認識されていれば、状態の項目に緑色の●マークが表示されます。QNAP QHora-301WでFTPサーバーを使用する時は、FTPサーバーの横にあるスライドスイッチをON(緑色に点灯)にしてください。管理人も地味に見落としてしまい、右往左往しました。
QNAP QHora-301Wの場合は、ネットワークアドレスの直下、『sda1』というフォルダがUSB1ポートに接続したストレージのルートでした。(USB2ポートの場合はsda2)
ASUS製ルーターの場合
ASUS製ルーターでは対応フォーマットとしてFAT32に加えて、NTFSにも対応しています。今のところexFATに対応したルーターはありません。NTFSフォーマットが使えて日本語マニュアルも充実しているので、個人的には一番オススメです。
対応フォーマットリスト:https://event.asus.com/2009/networks/disksupport/
以下、「ASUS RT-AX89X」を例にして紹介していきます。
USBストレージをFAT32もしくはNTFSでフォーマットしたらルーターのUSBポートに接続します。ASUS RT-AX89Xの管理画面を開き、左側メニューのUSBアプリケーションにアクセスすると下のような画面が表示されます。いくつかの機能が表示されますが「AiDisk」を選択します。
「AiDisk」を選択すると、まずは管理ページログインアカウントの権限設定が表示されます。続いてASUS DDNSの設定が表示されます。USBストレージにアクセスするのがローカルネットワーク内限定で、インターネットを介して外出先からアクセスするのでなければ、無効のままでOKです。
初期設定が完了すると下のような案内が表示されます。FTPサーバーにアクセスするアドレスもここで表示されます。
初期設定後にAiDiskを再度選択すると上記ページが表示され、『ファイル共有の詳細設定。ここをクリック』を選択すると、下のような詳細設定が表示されます。標準でFTPサーバーにアクセスできるのは管理ページ用アカウントですが、詳細設定ページからアクセス用のアカウントを追加できます。
ASUS RT-AX89Xの場合は、ネットワークアドレスの直下、『FTP1』というフォルダがUSB1ポートに接続したストレージのルートでした。(USB2ポートの場合はFTP2)
TP-Link製ルーターの場合
TP-Link製ルーターでは対応フォーマットとしてFAT32に加えて、WiFi6に対応した最新ルーターならNTFSとexFATの両方に対応しています。USBストレージの互換性的には一番良さそうですが、TP-Link製ルーターにはマニュアルが英語しかないので注意してください。
【以下、更新予定】
2.PCからFTPサーバーにアクセスする方法
カメラからアップロードしてPCへダウンロードという実際の手順とは前後してしまいますが、無線LANルーターの簡易NAS機能が正常に動作しているかもチェックできるので、先にPCからFTPサーバーにアクセスする方法を紹介します。といっても実のところWindows 10のエクスプローラーはFTPアクセスに標準対応しているので非常に簡単です。まずは各自使用しているルーター、今回の例ではQNAP QHora-301Wですが、の管理画面を開いて、USB機能のページに表示されるFTPサーバーのアドレスをチェックします。
QNAP QHora-301Wの場合は「ftp://192.168.100.1:21」です。あと管理画面へログインする時のユーザー&パスワードで共通だと思いますが、FTPサーバー用に別途ユーザー&パスワードがある場合はそれも控えておいてください。
アドレスとユーザー&パスワードを控えたら、エクスプローラーを開いて、PCのトップページで空白に右クリックし、「ネットワークの場所を追加する」を選択します。
ポチポチとクリックしていくと、FTPサーバーのアドレス入力が表示されるので、先ほど控えたアドレスを入力します。
次にログインするユーザー名を入力します。匿名でログインのチェックは外してください。(ユーザー名は無線ルーターの管理画面のログインと共通、もしくはFTPサーバー機能専用)
ネットワークの名前設定などいくつかの項目をポチポチ進めると設定が完了します。チェックボックスにチェックを入れたまま終了すれば、自動的にネットワークが開きます。
FTPサーバーの場所はこんな感じでエクスプローラー上に登録されます。
ネットワークを開くと初回はパスワードを確認されるので入力します。「パスワードを保存する」にチェックを入れておけば次回以降は自動的にログインしてくれます。(パスワードは無線ルーターの管理画面のログインと共通、もしくはFTPサーバー機能専用)
FTPサーバー内の階層構造はルーター製品に依りますが、QNAP QHora-301Wの場合は、ネットワークアドレスの直下、『sda1』というフォルダがUSB1ポートに接続したストレージのルートでした。(USB2ポートの場合はsda2)
USBストレージのルート以下であれば通常のPC内蔵ストレージと同様、自由にファイルのコピー、フォルダの作成などが行えます。エクスプローラーなど一般的なFTPクライアントでは写真の縮小サムネイルが表示されないのが若干不満ではありますが。
3.Sony α7シリーズのFTP転送でアップロードする方法
さて、ここからが本題のSony α7シリーズのFTP転送機能の使い方です。とはいえ上で紹介した通りWindows 10のエクスプローラーでFTPサーバーにアクセスできていれば、難しいことはないと思います。まずはカメラのメニューで「ネットワーク - FTP転送機能」にアクセスします。
下はSony α7Cのメニュー画面となっており、α7S IIIなど一部の最新機種ではメニュー画面のUIが変わっていますが基本的な設定項目は同じです。
FTP転送機能のページを開くと、さらにいくつかのページに分かれますが、まずはサーバー設定の項目にアクセスします。
サーバー設定の項目を開くと、下のように複数のサーバー設定プロファイルが表示されます。Sony α7Cの場合は9個のサーバープロファイルを保存しておくことができます。左側にあるオレンジ色の●が実際にアクセスを行うサーバーとなります。
サーバープロファイルを選択すると下のようなサーバープロファイルの設定項目が表示されます。
まずは転送先設定の項目を開きます。
Windows 10のエクスプローラーからFTPサーバーにアクセスするときに「ftp://192.168.100.1:21」のようなアドレスを入力したと思いますが、ホスト名にアドレスのftp://を除いた数字&コンマ、ポート番号にコロン(:)以下の末尾数字を入力します。
次にユーザー設定を開いて、FTPサーバーにアクセスできるユーザー名とパスワードを入力します。(ユーザー名&パスワードは無線ルーターの管理画面のログインと共通、もしくはFTPサーバー機能専用)
続いてフォルダー設定を開きます。QNAP QHora-301Wの場合はネットワーク/sda1がUSBストレージのルートになるので、ルートに直接保存する場合は「sda1」を入力します。
スラッシュで区切ると順番にフォルダが連なります。USBストレージに該当のフォルダがない場合はアップロードする際に自動的に作成されます。
フォルダー階層が「標準」の場合は、フォルダー指定で設定した通りに、「sda1/test」ならUSBストレージのルートにあるtestという名前のフォルダに直接保存されます。「カメラと同じ」を選択すると「100MSDCF」のようなSDカードと同じフォルダが生成され、そこに保存されます。
Sony α7シリーズのFTP転送設定は完了です。トップページに戻ってFTP機能をオンに切り替えると自動的にFTPサーバーに接続されます。下のように「接続済み サーバー名」が表示されればFTPサーバーの設定は成功です。
あとは補足的な内容になりますが、ページを切り替えるとFTP転送に関する操作や動作設定が表示されます。
FTP転送設定はSDカードに保存できるので、複数の対応カメラを使用している場合は1台のカメラで設定すれば後はSDカード経由で共有できます。
撮影時に都度転送したい場合は撮影時自動転送の設定を使用します。「FTPパワーセーブ」をオンにするとFTP転送する時以外はWiFi接続をOFFにするのでバッテリー消費で減らせます。「撮影時自動転送」を使用しないなら「FTPパワーセーブ」はオンでいいと思います。
転送する写真ファイルは「JPEGのみ」「RAWのみ」「RAWとJPEG」の3つから選択できます。
FTP転送を行う際はその名の通り「FTP転送」(2ページ目)を選択します。FTP転送を選択すると下のように転送対象に関する設定が表示されます。
対象範囲は「同日」と「過去全て」から選択できます。また転送済みかどうかはカメラ側で記録されているので、転送状態の項目から「未転送画像のみ」や「転送失敗画像のみ」に絞りこむこともできます。対象画像として「プロテクト画像のみ」に絞れますが、これはあまり使う機会はなさそうです。
転送対象の設定を確認してOKを選択すると、対象となる写真の枚数と容量が表示されます。
最後にOKを選択したらFTPサーバーへのアップロードが始まります。
アップロードが完了したら2章で説明した手順でPCからFTPサーバーにアクセスして写真を落とせば完了です。
記事が参考になったと思ったら、ツイートの共有(リツイートやいいね)をお願いします。
Sony α7シリーズで撮影した写真を簡単にパソコンへ移動できる「FTP転送機能」の使い方について解説します。
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) March 6, 2021
無線LANルーターのUSBストレージによる簡易NAS機能と組み合わせるとかなり簡単にFTP転送機能を使用できます。https://t.co/JPl8g48bPX pic.twitter.com/S84oui8woP
関連記事
・「Sony α7C」をレビュー。レビュー用素材撮影でRX100M5と画質比較・「Samsung SDXCカード EVO/PRO Plus 128GB」をレビュー
・「Elgato Game Capture 4K60 S+」をレビュー
・AVerMedia製ビデオキャプチャの最新おすすめ機種を機能比較
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク