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G-Master Hydro Z590などサイコムから発売中のデュアル水冷採用ゲーミングPC、G-Master Hydroシリーズに搭載されている簡易水冷化GeForce RTX 3080の冷え具合を一般的な3スロット占有空冷クーラー搭載モデルと比較してみました。
G-Master Hydroシリーズに搭載されているサイコムオリジナル簡易水冷化グラフィックボードは当然ながらBTO PC組み込み品で単品販売はされていないのですが、GPUクーラーだけ入手できたので対応するグラフィックボード基板のオリファンモデルを換装してみた次第です。
・簡易水冷化GeForce RTX 40搭載G-Master Hydroシリーズの販売ページへ
サイコムオリジナル簡易水冷化RTX 3080/3090について
まずはサイコムが独自に簡易水冷化したGeForce RTX 3080/3090グラフィックボードについて簡単にチェックしていきます。サイコムオリジナル簡易水冷化RTX 3080/3090グラフィックボードは、「Manli GeForce RTX 3080 (M3478+N613-00)」もしくは「Manli GeForce RTX 3090 (M3478+N613-00)」という全長300mm超かつ3スロット占有の大型内排気GPUクーラー搭載オリファンモデルがベースになっています。
従来のサイコムオリジナル簡易水冷グラフィックボードは、外排気ブロアーファン搭載オリファンモデルを採用していましたが、今回は内排気3連ファンGPUクーラーをそのままVRAMやVRM電源回路の冷却に利用しており、より高い冷却性能と静音性を実現しています。
元のオリファンモデルに搭載されている金属製バックプレートも再利用されており、RTX 3080ならVRAMチップの裏側、RTX 3090なら裏側に実装されたVRAMチップにサーマルパッドを介して接することで放熱板としても機能しています。
GeForce RTX 3080/3090の簡易水冷化に使用される簡易水冷クーラーにはCPU用の簡易水冷クーラーとして高性能かつ高品質で定評のあるAsetek製ビデオカード水冷ユニット「Hybrid GFX 240mm LCS」が採用されています。GPUコアと接するベースプレートは熱伝導効率に優れた銅製です。
ラジエーター側のフィッティングは固定タイプですが、水冷ヘッド側はチューブ方向に360度自由に回転可能なロータリー構造になっています。水冷チューブの径も12mm程度と細いので取り回しも良好です。
Hybrid GFX 240mm LCSは放熱器に240サイズ水冷ラジエーターを採用する水冷キットです。240サイズ水冷ラジエーターの冷却ファンには、超硬質かつ軽量な新素材Sterrox LCPの採用によってフレーム-ブレード間0.5mmの限界を実現させた次世代汎用120mm口径ファン「Noctua NF-A12x25 ULM」が採用されています。Noctua NF-A12x25シリーズは一般的な冷却ファンと比較して同ノイズレベルで+300~500RPMを実現できる高静音性なファンです。
ラジエーター冷却ファンは水冷ヘッドから伸びる4PINファン端子ケーブルに接続されています。4PINファン端子ケーブルはグラフィックボード上のPWM速度調整対応4PINファンヘッダーに接続されています。
標準ファンのNoctua NF-A12x25 ULMは3PIN DCファンなので定格回転数の1200RPMでファン速度が固定ですが、ファンケーブルはグラフィックボードの4PINファン端子に固定されているので、PWM対応4PINファンを使用すればグラフィックボードの冷却ファン同様にMSI AfterBurner等から速度調整を行うことも可能です。
前述の通り、サイコムオリジナル簡易水冷化RTX 3080/3090グラフィックボードはManli製オリファンモデルのGPUクーラーがそのまま流用されており、VRM電源回路やVRAMチップを冷却する役割を果たしています。
発表当時はどうやってAIO水冷キットの水冷ヘッドを搭載していたのか謎でしたが、割と強引にGPUコア回りのGPUクーラーコアを切断する形でスペースを作っていました。VRM電源回路についてはしっかりとGPUクーラー本体に接していますが、VRAMチップについてはGPUコア左右に配置された4枚×2は半分程度、上下の2枚or4枚についてはヒートシンクと接していません。
下写真は管理人が独自に用意したサーマルパッドですが、サイコムでも厚みのあるサーマルパッドを介して水冷ヘッドの金属プレートとVRAMチップが接するようにすることで放熱を補助しています。
当サイトでは簡易水冷グラフィックボード搭載したG-Master Hydroシリーズから、Core i9 11900KなどIntel第11世代CPUと簡易水冷GeForce RTX 30シリーズを搭載したゲーミングBTO PC「G-Master Hydro Z590」のレビュー記事を公開中です。G-Master Hydroシリーズの購入を検討する際には参考になると思います。
・簡易水冷GeForce RTX 30搭載「G-Master Hydro Z590」をレビュー
サイコムオリジナル簡易水冷化RTX 3080の冷え具合を比較してみる
サイコムが独自に簡易水冷化したGeForce RTX 3080グラフィックボードの冷え具合について、一般的な全長300mm超かつ3スロット占有なGPUクーラーを搭載した空冷オリファンモデルと比較してみました。今回はPCケース組み込みではなく、簡単にベンチ板上で測定を行いました。PCケースに組み込んだ場合はどちらかというと空冷GPUクーラー搭載モデルの方が不利になるので、ベンチ板測定でも簡易水冷化RTX 3080グラフィックボードの冷え具合の参考になるはずです。
サイコムオリジナル簡易水冷化RTX 3080のGPU温度とファンノイズの検証負荷としては約20分間に渡たり連続してGPUに100%近い負荷をかける3DMark TimeSpy Stress Test、もしくはTimeSpyグラフィックテスト1のループ再生を使用しています。
一般的な3スロット占有空冷GPUクーラーを搭載したRTX 3080グラフィックボードの代表としてPalit GeForce RTX 3080 GamingProを参考にすると、TimeSpy Stress Test中のGPU温度は71度、ファン速度は1900RPMに達しています。TGP300W超のグラフィックボードのGPU温度やファン速度としては標準的な数値です。
一方で、サイコムオリジナル簡易水冷化RTX 3080はというと、GPU温度はなんと最大でも50度未満に収まり、ラジエーター冷却ファンはNoctua NF-A12x25 ULMなので速度は当然1200RPMに固定、そしてGPUクーラー冷却ファンは1300RPM程度に収まっています。圧倒的に冷え、なおかつ騒音計を使うまでもなく高静音です。
近年のGPUは運用上は十分に低いGPU温度である40~70度以下であっても、GPUが冷えるほど高コアクロックで動作するので、GPU温度が50度未満に収まるサイコムオリジナル簡易水冷化RTX 3080は一般的な空冷GPUクーラーのオリファンモデル(同じコアクロック設定なら)よりも高いコアクロックで動作し、フレームレートも実際に高くなります。
GPUコアの冷え具合は上を見ての通り抜群ですが、VRAMやVRM電源回路周りはどうなのかも簡単にチェックしてみました。
3DMark TimeSpy グラフィックテスト1を1時間ほどループさせたところ、HWiNFOから確認可能なVRAMジャンクション温度(ホットスポットの最大温度)は92度に達しました。高温ではあるものの長時間の負荷テストもクリアしているので安定動作という意味では問題ありません。
サーモグラフィーカメラで基板のホットスポットをチェックしてみましたが、こちらは70度前後に収まっているのでVRM電源回路は十分過ぎるくらいに冷えているようです。
なおPalit GeForce RTX 3080 GamingProの標準空冷GPUクーラーで同じ検証を行ってもVRAMのジャンクション温度は似たような数値になりました。
参考までに国内では流通していませんがEVGAの簡易水冷化RTX 30シリーズもAsetek製ビデオカード水冷ユニットHybrid GFX 240mm LCSが使用されていますが、EVGAではVRAMチップを水冷ヘッドで一括冷却できる銅製ベースプレートも一緒に採用されています。
検証結果の通りサーマルパッドでも十分に安定動作はするのですが、
2021年8月以降のリニューアルで、VRAMの冷却用に銅製プレートが追加されました。
GPU自体は水冷ヘッド側の銅製ベースプレートでちゃんと冷やせるよう、水冷ヘッドに合わせてVRAM用銅製プレートは中央が切り抜かれています。水冷ヘッドの左右(下写真だと上下)にはみ出した銅製プレートは、空冷クーラーと接するように調整されており、空冷クーラーを介してアクティブに冷却されます。
以上、『サイコムの簡易水冷化RTX 3080の冷え具合を比較してみた』でした。
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G-Master Hydro Z590などサイコムのデュアル水冷採用ゲーミングPC、G-Master Hydroシリーズに搭載されている簡易水冷化GeForce RTX 3080の冷え具合を一般的な3スロット占有空冷クーラー搭載モデルと比較してみました。https://t.co/V00KjwBN3o pic.twitter.com/19p2SnEQBS
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) May 29, 2021
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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