年始早々の爆笑ネタかつ水冷ユーザーにはためになるお話。
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ものすごく面白いのでまとめたいのですが、2chは転載禁止なのでURLだけ貼って、
管理人なりの考えを書いていこうかと。
http://potato.2ch.net/test/read.cgi/jisaku/1447778210/
たぶんレスのコピペなしならセーフだよね。
レス番号642番でGV-N98TXTREME W-6GDを購入したユーザーが「排気にしようかな?」
→「吸気のほうが冷えるよ」
と返答レスが付いたことに端を発して、非常に面白くためになる展開が繰り広げられています。
続きは執筆中なのでひとまず紹介までに。
ぜひ水冷ユーザーの方は各レスを参考にしつつご自分なりに答えを出してみてくださいな。
①消費電力と発熱について
排気・吸気以前に基本的な物理から復習をしましょう。いきなりですが問題です。
「1000Wのドライヤーと1000Wの電気ストーブ、どちらのほうが発熱が大きいでしょうか?」
…
…
…
同じに決まってますよねぇ。いやだって消費電力がどちらも1000Wですし。
Wっていうのは「ワット」という単位時間当たりのエネルギーの単位です。
エネルギーの単位でカロリーはもちろんご存知ですよね。
1カロリーは1gの水を1度だけ加熱するのに必要なエネルギーです。現在ではカロリーという単位は標準的な単位ではなくかわりに「J(ジュール)」が使われています。「1カロリー=4ジュール」くらいです。
難しく考える必要はありません。「1メートル=100センチ」と同じように考えればOK。
そこでW(ワット)の話に戻りますが、
「1ワットというのは1秒間に1ジュールが発生する」という意味だと決められています。
じゃあ1000Wというのは秒間1000ジュールが発生ですよね。
1000Wのドライヤーと1000Wの電気ストーブ、同じ時間に発生する熱量は同じです。
②熱容量について
物質には「熱容量」というものがあって、水には水の、空気には空気の固有の値が決まっています。
(実際には温度等で多少変化しますが今回の話では誤差程度なので簡単のため定数として扱います)
これは光速は3×10^16という定数であるのと同じです。
「熱容量」って何かというと、「熱の容量」→「熱を蓄えられる器の大きさ」くらいに考えればOKです。
そこで熱容量を単位重量あたりに換算した物質固有の定数として「比熱」というものがあります。
比熱を簡単に換言すれば、
1グラムの物質を1度過熱するのにどれくらいのエネルギー(J)が必要かという値です。
1gの水を1度だけ加熱するのに必要なエネルギーは4ジュール …(1)
でしたよね。つまり水の比熱は 4 J/g (ジュール パー グラム)です。
ならば水の量を倍にしたら、
2gの水を1度だけ加熱するのに必要なエネルギーは8ジュール
加熱する温度を倍にしたら、
1gの水を2度だけ加熱するのに必要なエネルギーは8ジュール …(2)
また小学生でも知っているように水の体積と質量は一定の関係がありますよね。
水1gと水1ml(ミリリットル)は同じ量です。つまり水の密度は1g/ml(グラム パー ミリリットル)です。
じゃあ(1)と(2)から
ある体積の水を1度だけ加熱するのに必要なエネルギーは4ジュール
ある体積の水を2度だけ加熱するのに必要なエネルギーは8ジュール
つまり16度の水は15度の水よりも4ジュール多くエネルギーを蓄えているんです。
これで「熱容量」という言葉のイメージがつかめませんか?
もちろん空気にも「比熱」や「密度」が決まっていてますから、同じような議論ができます。
ここまでの話がもしもちんぷんかんぷんなら
水や空気の「体積」と「温度」がわかれば、それの蓄えている「熱量」が決まる
これだけお経のように頭に叩き込んでください。
さて、ちょっと話が戻りますが、ドライヤーは噴出し口で約100度の風が出ますが、電気ストーブはせいぜい40~50度ですよね。同じ消費電力=熱量なのになんで、と思いますか?
体積がぜんぜん違いますよね。
ドライヤーは小さい密度に熱量を集中させているから吹き出し口は熱いですが、
側面はどうでしょうか? 後ろは? 吹き出し口から1m、2m、3mと離れていったら?
熱いのは吹き出し口直近だけですよね。
電気ストーブも同じです。周囲は多少暖かいですが、数mも離れればほとんど熱は拡散します。
というわけでまず1つ結論を言いますと、
せいぜい1000W程度の消費電力のPCで
部屋の温度が上がることはありえません。
ドライヤーの風を浴びて「室温上がってるなー」て言ってる人を傍から見てどう思いますか?
ちなみに、5930K,4.4GHz,1.28V、TitanX,1450Mhz,2way-SLIでFireStrikeを回した時の消費電力がこちら。
たったの750Wです。ドライヤー以下の発熱。
こんな消費電力で部屋が暖まるはずがないという……。
③消費電力と発熱についての補足
ちょっと補足をしておくと、灯油やガスストーブで部屋が暖まるのは1000Wなんて比べ物にならない大きい燃焼熱を発生させているからです。じゃあ専用の電源を引いているとはいえ1500W程度のエアコンでどうして部屋が暖まるのか?
エアコンはヒートポンプという仕組みで動いています。
ドライヤーや電気ストーブは消費電力を直接熱量に変換しているのでエネルギー保存の法則というマセタ小学生なら知ってそうな大原則がありますので、1000Wの消費電力から生み出せる熱は1000Wです。
じゃあエアコン(ヒートポンプ)は何をしているのかというと、1500Wの仕事をさせて体積2の空気を体積1の熱い空気と体積1の冷たい空気に分けているのです。この熱効率が少なく見積もっても300%くらいありまして、かなり簡単化した模式図を書いたのでそちらを見てください。
1500Jの仕事で熱効率が300%なので3倍の熱である4500Jが移動していますが、仕事の前後ではエネルギーは10000Jで保存されています。つまりエアコンの消費電力は1500Wですが4500W分の熱を部屋に供給・排出可能です。
④排気か吸気どっちが冷える?
まず前提として直感でわかると思いますが、
・0度と100度の物体間
・0度ど50度の物体間
1秒間にどっちのほうが多くの熱が移動すると思いますか?
また0度と100度の物体が、
・面積100で接触している
・面積10で接触している
1秒間にどっちのほうが多くの熱が移動すると思いますか?
直感でわかりますよね。
温度差が大きく、接触面積が大きいほうが多くの熱が単位時間当たりに移動します。
これをラジエーターの放熱に置き換えるとどうなりますか?
水温と空気の温度差が大きく、通過する空気が多いほうが放熱性が高い
ですよね?
まず仮定としてラジエーターのファンは排気でも吸気でも同じにするので、
「通過する空気の量」は同じですよね。
「水温と空気の温度差」はどうでしょうか?
水温はどちらも同じと考えても問題ないですよね。
「水温>空気の温度」は自明なので、
ラジを通る空気の温度が低いほど、放熱性が高い
となります。
さて室温を仮に20度としましょう。
ケース外の体積、すなわち部屋の体積ですね。
上で長々説明したように1000W程度の熱源からの熱では室温は上がりません。
つまりケースから排気された空気は室温に戻ります。
続いてPCケース内の空気の温度はどうでしょうか。
室温20度に対して、水冷でガンガン冷やしたとしても40~50度のCPUやGPU、HDD、SSD、メモリ。
これだけ熱源に事欠かない以上、ケース内の温度は室温よりも高いに決まっているんです。
仮に、仮にですよ超絶理想的な環境にあったとしてもケース内温度は室温と等しくなるのが限界で、
それを下回るようなことは熱力学的に100%ありえません。
こちらも超絶わかりやすい模式図を描いたので参考にしてください。
⑤吸気にしたらケース内に熱が入りパーツが壊れる?
この点が冒頭で紹介した2chのすれでも紛糾していて皆さんはどう思いますか?
吸気にしたらラジからの熱風がケース内に入るじゃねーか!!
……ほんまに?
まず1点、「ラジエーターから果たして熱風と呼べるような温度の空気が出るのか?」
たぶん本格水冷の場合だとフルロードの水温は皆さん30度~せいぜい50度になるように運用してますよね。
簡易水冷は水温計が付いていないのでちょっとわかりませんが、簡易水冷グラボのコア温度がせいぜい70度なので、水温は高々60度ですよね。まあ高めに見積もって70度にしますか?
さて、ある空気がラジを通るのにかかる時間ってどれくらいだと思いますか?
扇風機の弱設定は1m/s程度だそうです。たぶん0.1秒くらいでラジを通過しますよね。おかしいですか?
さてでは高く見積もって70度のラジエーターを0.1秒通過した20度の空気は何度になるでしょうか?
参考までにサウナの空気は80~100度だそうですが、火傷した人はいますか?
30度程度の肌が40度に加熱されますか?
いやまあこの説明はかなり嘘を孕んでいるのですが、空気は断熱性の性質を持ち熱の受け渡しが難しい、
この性質を直感的に理解していただけると思います。
もう結論は出ましたよね。
水冷ラジエーターから熱風が出ることはありえません。
でもこれだと熱が篭って次第にケース内温度が上がるというよくわからないことを言う人がいるようなので
次の図を見てください。
吸気する体積と排気する体積が同じ、要するに吸気と排気でケースファンの数と速度が同じなら各空気がラジから受け取る熱量は体積依存なんだから、受け取った分まるっと排気から出て行くはず。
熱い空気は上に留まるとか言い出す人もいるかもしれないから考えてみよう。
つまりこんな感じで溜まっていくんだよね。
さらにこうなりますか?
でも常識で考えてみましょう。
ラジエーターから出てくる空気はラジが70度であっても室温20度から40度まで加熱されません。
百歩譲って空気が加熱されて40度だとしても、
40度の空気が供給されてケース上部に溜まったら50度になると思いますか?
状態X2とかマクスウェルさんが失禁するレベルで大歓喜しますよ。
吸気にしたところでパーツが壊れるような熱が
ケースに篭ることもまたありえない
⑥まとめ
以上①~⑤を読んで皆さんはどうお思いになったでしょうか。
読んだ人なら結論はお分かりかと思いますがあえてここで明言はいたしません。
実際問題として空気の流れ(エアフロー)というのは大学でも院や研究室で取り扱われる非常に難しい問題であり、その点についてはかなり理想化・簡単化を施したため100%確実に現実に即した説明であるとはいえませんしね。まあ9割がた外れてないと思いますが。
管理人も1度は通った道です。
当記事では可能な限りわかりやすく力説したつもりですがさぞお悩みでしょう。
そして管理人は真理に辿り着きました……、
そうだラジエーターは外付けにしよう。
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オチもついたところで、ではまた。
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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