
スポンサードリンク
5月17日に解禁となった先行レビューで大概の情報は出尽くしていますが、隙間を埋めるようなニッチなところを突くレビューができたらいいなと思いつついろいろ検証しています。
GTX1080のレビュー第二回である今回は次世代APIであるDirectX12におけるGTX1080の性能をGTX TitanXと比較する形でベンチマークを行いました。
DirectX12やその機能の1つである「非同期演算」については次の関連記事を参考にしてください。
関連記事
・Pascal GTX1080は非同期演算に対応するらしい (「DX12」や「非同期演算」について)
・非同期演算によるHitman2016での性能向上はせいぜい5~10%、開発者曰く”調整は非常に困難”。
またPascalアーキテクチャで採用された非同期演算に代わる「ピクセルレベルや命令レベルで細分化された発展型プリエンプション」については4gamersで非常にわかりやすい記事が掲載されているのでそちらをご覧ください。それ以外のPascalアーキについても詳細にわかりやすく解説されており興味深い内容です。
・西川善司の3DGE:「GeForce GTX 1080」とはどんなGPUか。そのアーキテクチャをひもとく
GTX1080の仕様・スペック
NVIDIA GeForce GTX 1080、GTX 1070、GTX 980 Tiの仕様・スペック一覧・比較 | |||
---|---|---|---|
2016年5月7日 | GeForce GTX 1080 | GeForce GTX 1070 | GeForce GTX TitanX |
製造プロセス | 16nm FinFET | 16nm FinFET | 28nm |
GPUコア | GP104-400 | GP104-200 | GM200 |
単精度性能 | 9 TFLOPS | 6.5 TFLOPS | 6~7 TFLOPS(諸説有) |
FireStrikeEXスコア | 10500(1800MHz) | 7500~8000? | 8500(1400MHz) |
CUDAコア数 | 2560 | 1920 | 3072 |
TMUs | 160 | 120 | 176 |
ROPs | 64 | 64 | 96 |
メモリの種類 | 8GB GDDR5X | 8GB GDDR5 | 12GB GDDR5 |
ベースクロック | 1607 MHz | 1500 MHz | 1000 MHz |
ブーストクロック | 1733 MHz | 1607 MHz | 1075 MHz |
OC耐性 | 1870 MHz(FS確認) 2.1GHz (FE、NVデモ) | 1860 MHz (FS確認) | 1400~1500MHz |
メモリクロック | 2500 MHz | 2000MHz | 1750 MHz |
有効メモリクロック | 10000 MHz | 8000MHz | 7000 MHz |
VRAM バス幅 | 256-bit | 256-bit | 384-bit |
VRAM Bandwidth | 320 GB/s | 256 GB/s | 337 GB/s |
TDP | 180W | 150 | 250W |
補助電源 | 8pin*1 | 8Pin*1 | 8pin+6pin |
ビデオ出力 | DP*3、HDMI2.0b、DVI | DP*3、HDMI2.0b、DVI | DP*3、HDMI、DVI |
最大表示解像度 | DP1.4(3端子) 8K・60FPS対応 | DP1.4(3端子) 8K・60FPS対応 | DP1.2、HDMI2.0 4K・60FPS |
ボード長 | 266.7mm(FE) | 266.7㎜(FE) | 266.7mm |
希望小売価格 | $599~(オリジナル基板) $699 (FE=リファレンス) | $379~(オリジナル基板) $449 (FE=リファレンス) | $999 |
発売予定日 | FEが発売済 | FEが6月10日発売 | 発売済み |
PascalアーキのDirectX12性能の向上は?
NVIDIAのMaxwell以下GPUではDirectX12の機能の一つである「非同期演算」に非対応であることは、”仕様である”と公表されており、DirectX12ネイティブ対応のゲームやVRゲームにおいてパフォーマンスの低下が危惧されていました。しかし一転して、NVIDIAの新GPUアーキテクチャPascalでは発展型プリエンプションという形で非同期演算への対応が公表されました。この新機能の効果を図るため、まず比較対象となるGTX1080とTitanXのグラボとしての性能の地力をそろえるためGTX1080をダウンクロックしました。
まず1360MHzのTitanXのDX11性能をFireStrike Extremeで測定したところスコアは8759でした。

そこでMSI AfterBunerという本来OCに用いるアプリを使ってGTX1080のコアクロックをダウンクロックしていきました。管理人が試したところコアクロックを-300MHzのオフセットをかけると、同じくFireStrike Extremeのベンチマークスコアが8832になりました。

100以下のスコア差は誤差として、これでTitanXとGTX1080のグラボ性能(DX11性能)が横並びになったと考えます。グラボ性能が同じであるならDirectX12のベンチマークを行っても同等程度の結果になると予測されるのですが、結果は非常に興味深いものになりました。
DX12ベンチマークにはWindowsStore独占タイトルである「Gears of War:UE」のゲーム内ベンチマークはベンチマーク開始から現時点までの平均FPSを表示する機能があるので、これを比較に用いることにしました。
「Gears of War:UE」のWQHD・最高設定でベンチマークを実行して1分後の平均FPSを確認したところ、GTX1080では平均81FPS、TitanXは70FPS程度であり、GTX1080のほうがTitanXよりも平均FPSで10FPSも高いという結果になりました。
この結果を信用するならGTX1080ひいてはPascalアーキテクチャは発展型プリエンプションを始めとしたDirectX12対応の新機能により、旧世代よりまDirectX12性能がアーキレベルで向上していると言えるでしょう。
GTX1080のベンチマーク

TitanXのベンチマーク

GTX1080 「Gears of War:UE」ベンチマーク
ここからはGTX1080のダウンクロックを行わず、GTX1080の定格とTitanX(1360MHz)のDirectX12ネイティブ対応ゲームの性能を比較していきます。先ほどの比較でも用いた「Gears of War:UE」のベンチマーク比較から見ていきます。解像度はWQHDと4K解像度としてグラフィック設定は最高設定にしています。
GTX1080 WQHD・最高設定 : 平均92FPS
TitanX WQHD・最高設定 : 平均71FPS
GTX1080 4K・最高設定 : 平均49FPS
TitanX 4K・最高設定 : 平均37FPS
GTX1080 「QuantumBreak」ベンチマーク
続いてアプコン機能無効化で現行ゲームで最も重いゲームと化した「QuantumBreak」のベンチマーク比較です。グラフィック設定は最高設定、フルHD、アプコン無効化となっています。FPSロックは解除されていますが、正直あまり意味がない……(後述)。 平均FPSについては目測の概算となります。(どなたか暇な人がいたら動画に表示されるFPSから平均FPSを計算してみてください)GTX1080 : 最小32FPS、平均36FPS
TitanX : 最小26FPS、平均30FPS
FPSは格段に上がっていますが、GTX1080でもネイティブフルHDの最高設定で60FPS張り付きは無理みたいですね。ほんとに発売が数世代早すぎたゲームです。
GTX1080 「Forza Motorsport 6:Apex」ベンチマーク
最後に先月から無料公開中の「Forza Motorsport 6:Apex」のベンチマーク比較を行いました。グラフィック設定は最高設定で解像度はWQHD、またこちらにもアプコン機能(固定解像度)があるのでこの設定もOFFにしました。「Forza Motorsport 6:Apex」は100Hzリフレッシュレートのモニタに繋ぐと最大100FPSで動作させることが可能になるのでその状態で測定を行っています。こちらも平均FPSについては目測の概算となります。(どなたか暇な人がいたら動画に表示されるFPSから平均FPSを計算してみてください)GTX1080 : 最小66FPS、平均90FPS
TitanX : 最小59PS、平均75FPS
TitanXでは80FPS程度の場面が多いですが、GTX1080については多くのシーンで100FPSに張り付いていることが確認できます。
GTX1080のDirectX12性能比較まとめ
GTX1080の先行レビューによると、GTX1080の定格における性能はTitanXや980tiの定格(1200MHz程度)における性能の2割増し程度であり、1360MHzにTitanXをOCした場合は性能差は1.0~1.5割増し程度に減少します。しかしながら今回のDirectX12ネイティブ対応ゲームを用いた比較では平均FPSが明示される「Gears of War:UE」においてもGTX1080はOCしたTitanXの3割増し程度のパフォーマンスを発揮しました。また「QuantumBreak」や「Forza Motorsport 6:Apex」においても従来のDX11ゲームやベンチマークソフトを使った比較から予測されるよりも大きい性能の向上が見て取れました。非同期演算の件で不安視されていましたが、今回の結果を見れば、今後増えるであろうDirectX12ゲームへのNVIDIAの対応にも期待してもよさそうです。またDirectX12ゲームに備えるならTitanXや980tiからGTX1080への買い替えは大いに意味があると思います。
余談ですが、DirectX12ベンチでAshe、Hitman、Tombを使うレビューサイトは個人的にDX12性能については信用できない。Asheはグラボ別・設定別で数字がバラバラでまとまりがないし、HitmanはDX11よりも性能下がるし、Tombは性能基本的に上がる傾向だけど一部オブジェクトが明滅したりする。
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
スポンサードリンク
Voltaが来るまで、出てはいけないゲームだったか・・・。