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NVIDIAの次世代GPU GTX 1070を搭載する初のMini-ITX対応ショート基板モデル「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC(GV-N1070IXOC-8GD)」をレビューします。
Mini-ITX対応のグラフィックボードとしては去年から長らく競合他社AMDのR9 NANOが絶対性能で王座に君臨し続けていました。NVIDIAの前世代フラッグシップGTX 980tiと同性能のGTX 1070を搭載する「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC」がサイパ(サイズパフォーマンスの略)の”New King”になりえるのか楽しみです。
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商品公式ページ:http://www.gigabyte.jp/products/product-page.aspx?pid=5923#kf
GIGABYTE GTX 1070 ITX OC レビュー目次
1.GIGABYTE GTX 1070 ITX OC
2.GIGABYTE GTX 1070 ITX OCの分解
3.GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのセットアップ
4.GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのベンチマーク
5.GIGABYTE GTX 1070 ITX OCの温度・消費電力
6.GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのレビューまとめ
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCの外観
早速、「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC」を開封していきます。GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのパッケージサイズはミドルクラスのグラフィックボードであるEVGA GTX 1060 SCとほぼ同じ大きさになっています。梱包は簡素で外箱を開けると静電防止ビニールに入ったグラボがそのまま置かれていました。付属品も簡易マニュアルとドライバCDだけです。
グラボの全体像はこちら。PCI端子と比較してもわかるように長さ170mmの見事なショート基板です
北米価格399ドルとGTX 1070グラボとしては廉価モデルですが、PCI端子、ビデオ出力、SLI端子には保護カバーが付いています。
ビデオ出力について残念なことにGTX 1070のリファではDPが3基搭載されていますがGIGABYTE GTX 1070 ITX OCにはDPは1基のみで、代わりになぜがDVIが2基搭載されています。正直DVIは2つもいらない……。GTX 970 ITX版のビデオ出力と比較すると改悪と言わざるを得ない点ですね。
GPUクーラーの冷却ファンはショート基板ということもあり90mmファン1基のみです。グラボサイズについて長さは160mmと非常に短いのですが、背の高さはPCIスロットよりも2cmほど高くなっているので注意が必要です。
背の低いITX対応ショート版が欲しい人は出るかわかりませんが、GTX 970版ではPCIブラケットサイズだったASUS製のショート基板モデルを待つ必要があるかと。
補助電源はGTX 1070のリファレンスと同じく8PIN*1になっています。
基板裏全体を覆うバックプレートはありませんがVRM電源部分の裏側のみを覆う部分的なバックプレートを搭載しています。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCとEVGA GTX 1060 SCと比較したところ、なんとグラボ長についてはGIGABYTE GTX 1070 ITX OCのほうが若干短くなっています。
同GTX 1070を採用するEVGA GTX 1070 SC ACX3.0と比較するとGIGABYTE GTX 1070 ITX OCの基板の短さが実感できると思います。
水冷化してしまっているのでわかりにくいですがR9 NANOとのサイズ比較がこちら。長さで1.5sm、背の高さも2.0cmほどGIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCのほうが大きいようです。なんだかんだでHBM採用グラボはコンパクトですね。GDDRメモリのままではこのサイズは難しそう。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCの分解
続いて早速「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC」のGPUクーラーを分解してみました。GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのGPUクーラーは6か所のネジで固定されています。
GPUクーラーを外して開くとこんな感じになりました。
グラボ基板の全体像がこちら。
GPUコアにはなにやらグリスが縦一線に山ができていました。GPUクーラーとの接触がヒートパイプのダイレクトタッチなのでヒートパイプ間の溝の部分が盛り上がっていたようです。ただヒートパイプ3本の幅とGPUコアの幅が完全に一致しているのは無駄がなくて良い感じですね。
GPUコアのグリスを拭くとGTX1070のGP104-200コアとご対面です。
GPUクーラーの全体像がこちら。
VRAMとVRM電源はヒートシンクにサーマルパッド経由で接触して冷却されています。
ヒートシンクの放熱フィンは厚く、3本のヒートパイプは太いです。
ヒートパイプのダイレクトタッチだけは残念ですが、それ以外は良さそうなクーラーに感じました。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのセットアップ
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC」を検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。CPUはASRockのHyper BCLK Engineを使ったHyperOCでKなしCPUをOCするという若干変則的なものを使っています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | i5 6400 4.0GHzにBCLK OC |
M/B | ASRock Z170M OC Formula |
メインメモリ | DDR4 8GB*2=16GB |
システム・ベンチ ストレージ |
SSD 540 M.2 240GB |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i |
GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCにはLEDイルミネーションは搭載されていません。セミファンレス機能は搭載しているので一定温度以下のアイドル時はファンが停止しています。
あと今回の検証機材ではありませんが、Mini-ITXマザーボードのASUS MAXIMUS IMPACTに搭載するとこんな感じでほぼピッタリサイズになります。
GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCのGPU-Z情報はこちらになっています。ショート基板&シングルファンの小型モデルでありながらコアクロックはブーストクロック1721MHzとリファレンスモデルであるFounders Editionよりも38MHzオーバークロックされています。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのベンチマーク
「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC」の性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。
今回はGIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCとの性能比較のため以前レビューしたGIGABYTE GTX 1070 G1 GamingとGTX 1070 Founders Edition、あと一部でGTX 1080 Founders Editionを使いました。
GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCはブーストクロック1721MHzとリファレンスよりも38MHzオーバークロックされています。まず最初にFF14ベンチ中のコアクロックについてGTX 1070 リファレンス(Founders Edition)と同社製のGTX 1070の中堅モデル(XTREMEが出て格下げに)であるG1 Gamingと比較しました。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCの実働最大ブーストクロックも1923MHzとなっていますが、G1 Gamingのコアクロックが最大値で張り付くのに対して、GIGABYTE GTX 1070 ITX OCではリファレンスのようにコアクロックが変動する形になっています。どうやらコアクロックはOCされていますがパワーリミットのBIOS設定値はリファレンスに準拠しているようです。
まずはFF14ベンチのフルHD最高設定の比較は次のようになっています。
FireStrike、FireStrikeExtreme、FireStrikeUltraのベンチマーク比較になります。
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCはMini-ITX対応のショート基板モデルでありながら、リファレンスのGTX 1070 Founders Editionよりも高いグラフィック性能を誇り、3連ファン搭載のG1 Gaming比でも遜色ない性能になっていました。
さらにサイパ界のディフェンディングチャンピオン「R9 NANO」さんも参戦です。水冷化しちゃってますがマニュアルでOCしなければ性能的には差はないのでたぶん大丈夫。
FireStrike、Extreme、UltraさらにTimeSpyのベンチマークの比較結果は次のようになりました。R9 NANOを20%以上も上回る結果で”サイパのNew King”は「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC」という結果になりました。
(今回はちょっと手抜きで実ゲームベンチについては省略します。)
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCの温度・消費電力
「GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC」の負荷時のGPU温度とファン回転数を検証しました。性能比較と同じくGTX 1070 リファレンス(Founders Edition)と比較しながら検証を行っています。温度とファン回転数の検証負荷としてはFF14ベンチを使用しており、その結果が次のグラフになっています。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCはセミファンレス機能採用しており、GPU温度が55度を超えると1500~1900RPM程度で冷却ファンが動作開始しました。ファン回転数(動作時)は温度に応じて最低1500RPMから最高温度67度で1900RPMまで上がります。GTX 1070 リファレンスがベンチ終盤で71 度、2100RPMとなるのに比べると、GIGABYTE GTX 1070 ITX OCはショート基板ながら十分な冷却性能を備え、静音性も悪くないと感じました。
またGIGABYTE GTX 1070 ITX OCのファン回転数を1500RPMに固定して同様の測定を行い、デフォルトの回転数の時とGPU温度の比較をしてみました。ファン回転数を1500RPMまで絞ってもGPU温度は80度に達しないので回転数を手動で設定すればより静音重視な動作も可能だと思います。
FF14ベンチ終盤のGIGABYTE GTX 1070 ITX OCとGTX 1070 Founders Editionのファンノイズとコイル鳴きについて確認のため動画を録画しました。測定にはグラボから30㎝ほど離した位置にカメラを置いて撮影を行っています。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのコイル鳴きについては軽微なので問題ないと思います。
なおコイル鳴きは最近のグラボだとTitanXでも980tiでもGTX1080でも基本的に鳴くので60FPS程度の高負荷時にPCケースに入れていても気に障る程度の大きさかどうかで主観的になりますが「軽微」or「問題あり」として当ブログ記事では判断します。同じ型番のグラボでも個体差がある項目なので参考に留めていただけるとありがたいです。
続いてGIGABYTE GTX 1070 ITX OCの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。測定にはCorsair RM650i電源ユニットのCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定方法は「FireStrike Extremeのグラフィックテストを3回行い、その際の平均値を消費電力に、最大値を瞬間的な最大電源負荷」としました。測定結果は次のようになっています。
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCの消費電力は205WでGTX 1070 リファレンスよりも9Wほど消費電力が大きくなっています。また瞬間的な最大電源負荷は231Wとなりリファレンスよりも10Wほど増えていました。リファレンス比で異常な消費電力の増大もないので問題ないと思います。またR9 NANOと比較しても消費電力は21W小さく、最大瞬間負荷については55Wも小さいという結果になりました。(参考画像:ログ1、ログ2)
GIGABYTE GTX 1070 ITX OCのレビューまとめ
最後にGIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 16年9月現在唯一のGTX 1070で小型のショート基板モデル
- 小型GPUクーラーながら冷却性は十分で静音性もなかなか
- フルHD・最高画質~WQHD・高画質の最新PCゲームが快適にプレイ可能な性能がある
- 補助電源は8PIN*1で省電力性能に優れる
- セミファンレス採用でアイドル時も静か
- コイル鳴きも軽微で問題なし
- ショート基板ではあるがPCIブラケットよりも背が高い
- 非ITXでケースサイズが十分なら静音性に優れる長さ280mm以上のモデルが無難
GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCは前世代フラッグシップGTX 980tiと同性能のGTX 1070を搭載したグラフィックボードながらMini-ITX対応ショート基板という16年9月現在で唯一無二のAIBモデルになっています。このサイズで980ti並みの性能とか去年の今頃は考えられなかったのを思うとグラボの進歩は半端ないです。水冷化OCしたTitanX Pascalとはまた別種の感動があります。
2015年~16年上半期までサイズパフォーマンスの王座に君臨していたR9 NANOを省電力性能、絶対性能ともに凌駕するNewKingの誕生です。
GTX 1070のグラボと比較してみても、ショート基板ですがGTX 1070 リファレンスと比較すればリファレンスよりも冷え、G1 Gamingと遜色ない性能を発揮しているのもポイントが高いと思います。唯一欠点を上げるとすればPCIブラケットよりも2cmほど背が高いところでしょうか。
小型・低消費電力・高性能という2016年の次世代GPUを代表するようなグラボと言っても過言ではないモデルなので、ハイエンドな小型PCを組もうと思っているユーザーには文句なしにおすすめです。
以上、GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OCのレビューでした。
GIGABYTE GTX 1070 Mini ITX OC (GV-N1070IXOC-8GD)Amazon.co.jpで詳細情報を見る <米尼>
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