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Inno3D社の正規代理店ITC社から「Inno3D GeForce GTX 1060 Compact (N1060-2DDN-N5GN)」のレビュー用サンプルをお借りすることができたのでレビューします。
ショート基板のGTX 1060グラフィックボードですが、事前に海外レビューを漁ってみたところヒートパイプ&銅製ベース採用クーラーで冷却性も簡易なアルミヒートシンクの製品よりも高そうでした。加えて国内のグラボはだいたい1年保証ですが同製品の保証期間は2年間と長いのも注目点だと思います。国内で購入可能なGTX 1060グラフィックボードとしては鉄板モデルになるのでは、と管理人も期待しつつ検証&レビューしていきます。
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商品公式ページ:http://www.inno3d.com/products_detail.php?refid=253
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Inno3D GTX 1060 Compact レビュー目次


1.Inno3D GTX 1060 Compactの外観
2.Inno3D GTX 1060 Compactの分解
3.Inno3D GTX 1060 Compactのセットアップ
4.Inno3D GTX 1060 Compactのベンチマーク・ゲーム性能
5.Inno3D GTX 1060 Compactの温度・消費電力

6.Inno3D GTX 1060 Compactのレビューまとめ


Inno3D GTX 1060 Compactの外観

Inno3D GTX 1060 Compactを開封していきます。グラボ本体はお馴染みの薄い静電防止ビニール袋に入れられて段ボールの内箱に固定されていました。
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付属品は簡易マニュアルとドライバCDに加えて4千円相当の3DMark有料版のシリアルコードも付属していましたです。グラボは3.2万円ほどですが3DMarkを持っていなければシリアルコード分お得ですね。
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Inno3D GTX 1060 Compactの全体像は次のようになっています。
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クーラーの外装は艶消しブラックの金属製になっています。
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クーラーの冷却ファンの径は標準的な92mmでした。
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厚さは2スロットにちょうど収まるサイズになっており、補助電源もGTX 1060グラフィックボード標準の6PIN*1になっています。
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クーラーからは太いヒートパイプが2本出ており、ヒートシンクの厚みは薄めに思いました。
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ビデオ出力もGTX 1060標準のHDMI、DisplayPort*3、DVI-Dの5系統になっています。
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グラフィックボード裏面にはバックプレートはなく基盤が剥き出しになっていました。
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管理人が個人的に購入したEVGA GTX 1060 SCとサイズを比較してみたところ、背の高さや厚さはほぼ同じでしたが、長さはInno3D GTX 1060 Compactのほうがクーラー外装分で1cmほど短くなっていました。
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Inno3D GTX 1060 Compactの分解

Inno3D GTX 1060 CompactのGPUクーラーを基板から外してみます。
GPUクーラーはGPUコア周辺の4つのネジで固定されていました。
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グラフィックボードの基板はGTX 1060リファレンスと同じものが使われています。
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6GB版なので1GBのVRAMチップが6個実装されています。
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VRM電源部分には専用のヒートシンクが取り付けられていました。
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GPUクーラーの全体像は次のようになっています。
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GPUコアと接触する銅製ベースは7,8mmと厚めになっています。
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放熱アルミフィンの厚さや面積はちょっと小さめかもしれません。EVGA GTX 1060 SCの放熱フィン(右画像)のぎっしり感に比べるとちょっと心もとない放熱フィンに感じました。
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このあたりはグラボの重量にもはっきりと反映されています。
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Inno3D GTX 1060 Compactのセットアップ


外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、Inno3D GTX 1060 Compactを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。CPUはASRockのHyper BCLK Engineを使ったHyperOCでKなしCPUをOCするという若干変則的なものを使っています。
テストベンチ機の構成
CPU i5 6400
4.0GHzにBCLK OC
M/B ASRock
Z170M OC Formula
メインメモリ DDR4 8GB*2=16GB
システム・ベンチ
ストレージ
SSD 540 M.2 240GB
OS Windows10 64bit Home
電源ユニット Corsair RM650i

Inno3D GTX 1060 Compactには最近のグラボオリファンモデルに流行りのLEDイルミネーションは採用されていませんが、アイドル時にファンが停止するセミファンレス機能には対応していました。
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Inno3D GTX 1060 CompactのGPU-Z情報は次のようになっています。コアクロックはデフォルトでOCされておらず、GTX 1060のリファレンスモデル同様にブーストクロックは1709MHzになっています。
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Inno3D GTX 1060 Compactのベンチマーク

Inno3D GTX 1060 Compactの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。
Inno3D GTX 1060 CompactのコアクロックはリファレンスであるFoundersEditionと同じくブーストクロック1709MHzとなっています。FF14ベンチで実働最大ブーストクロックを確認したところ1800MHz越えで安定動作しました。
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今回は性能比較のためEVGA GTX 1060 SC、RX 480 リファレンス、XFX RX 480 8GB Triple X Editionを使いました。
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まずはFF14ベンチのフルHD最高設定の比較は次のようになっています。
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FireStrike、FireStrikeExtreme、FireStrikeUltraのグラフィックスコア比較になります。
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3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
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続いてInno3D GTX 1060 Compactの実ゲームを用いたベンチマークになります。

まずはRise of the Tomb Raiderのほぼ最高設定(FXAA、HBAO、DX12)のベンチマーク比較です。
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Deus Ex: Mankind Dividedのグラフィック設定Highプリセット(AAなし、DX11)のベンチマーク比較です。
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The Divisionのベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いて、フルHDとWQHDでベンチマークを行いました。
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GTA5のベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いて、フルHDとWQHDでベンチマークを行いました。
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The Witcher3のベンチマーク比較は次のようになっています。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定(赤で囲った部分のみ設定を下げています)を用いて、フルHDとWQHDでベンチマークを行いました。測定にはノヴィグラドの広場から橋までを往復しています。
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GTX 1060 6GB版は3万円前半で購入できるリーズナブルなミドル帯グラボでありながら、フルHDの高~最高画質設定で60FPSでヌルヌルと最新のPCゲームが楽しめる非常にコスパの高いGPUでした。


Inno3D GTX 1060 Compactの温度・消費電力

Inno3D GTX 1060 Compactについて負荷時のGPU温度とファン回転数を検証しました。性能比較と同じくEVGA GTX 1060 SC、RX 480 リファレンス、XFX RX 480 8GB Triple X Editionと比較しながら検証を行いました。温度とファン回転数の検証負荷としてはFF14ベンチを使用しています。

まずはGPU温度について比較結果が次のグラフになっています。EVGA GTX 1060 SCほどではありませんが、ショート基板のGTX 1060モデルとしてはInno3D GTX 1060 Compactの最大温度は71度となっており比較的良い数字が出ているように思います。
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続いてファン回転数の比較結果は次のようになっています。
Inno3D GTX 1060 Compactはセミファンレス対応となっており、GPU温度が55度を超えるまではファンは停止しています。ファンが動作を始めると1600~1700RPM程度で動作しました。
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GPU温度・ファン回転数ともにGTX 1060搭載ショート基板の他社製品EVGA GTX 1060 SCと比較すると若干劣りますが、Inno3D GTX 1060 CompactはGPU温度最大71度、ファン回転数最大1700RPMとなっており、小型PCに入れても運用できる水準には十分達しているよう思います。
同性能である競合他社製品のRX 480オリファンモデルと比較するとショート基板でありながら同程度のファン回転数とGPU温度で動作していました。


FF14ベンチ終盤のInno3D GTX 1060 Compactのファンノイズとコイル鳴きについて確認のため動画を録画しました。測定にはグラボから30㎝ほど離した位置にカメラを置いて撮影を行っています。

Inno3D GTX 1060 Compactのコイル鳴きについては軽微なので問題ないと思います。

なおコイル鳴きは最近のグラボだとTitanXでも980tiでもGTX1080でも基本的に鳴くので60FPS程度の高負荷時にPCケースに入れていても気に障る程度の大きさかどうかで主観的になりますが「軽微」or「問題あり」として当ブログ記事では判断します。同じ型番のグラボでも個体差がある項目なので参考に留めていただけるとありがたいです。

続いてInno3D GTX 1060 Compactの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。測定にはCorsair RM650i電源ユニットのCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定方法は「FireStrike Extremeのグラフィックテストを3回行い、その際の平均値を消費電力に、最大値を瞬間的な最大電源負荷」としました。測定結果は次のようになっています。
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Inno3D GTX 1060 Compactの消費電力は172WでGTX 1070 Founders Editionよりもちょうど30W分だけ消費電力が小さくなっています。また瞬間的な最大電源負荷は178WとなりFounders Editionよりも43Wほど小さいです。GTX 1060リファレンス(FE)のTDPが120W、GTX 1070リファレンス(FE)のTDPが150WとなっているのでリファレンスよりもOCされているEVGA GTX 1060 SCの消費電力としては妥当な数字になっていると思います。GTX 1060のOC版であるEVGA SCと比較すると消費電力は6W、最大瞬間負荷は18W小さくなっています。(参考画像:ログ1ログ2


Inno3D GTX 1060 Compact レビューまとめ

最後に「Inno3D GeForce GTX 1060 Compact (N1060-2DDN-N5GN)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • GTX 1060搭載のショート基板モデルでMini-ITXなど小型PCにも対応
  • ヒートパイプ、銅製ベース採用の高品質クーラー
  • Mini-ITX対応ショート基板でコンパクトながらクーラーは性能も比較的高い
  • 国内価格3.2万とGTX 1060 6GBモデルの中でも廉価な部類
  • 補助電源は6PIN*1で120Wながら前世代GTX 980並みの性能とワッパが高い
  • セミファンレス対応
  • コイル鳴きも軽微で問題なし
  • 正規代理店保証が他社より長い2年間
悪いところor注意点
  • LEDイルミネーションなし
  • バックプレート搭載なし

Inno3D GeForce GTX 1060 CompactはMini-ITXにも対応するコンパクトな機体ですがヒートパイプと銅製ベースで効率的な熱交換を可能にしているため、シングルファンとショート基板の小型ヒートシンクながら十分な冷却性能を発揮しています。他社製の簡素なアルミ製ヒートシンク搭載のGTX 1060のショートモデルと比較すれば高い冷却性能と静音性能があると思います。また正規保証が1年のものが多いグラフィックボードの中でも同製品は2年保証となっているところも長く使いたいユーザーにはアピールポイントだと思います。
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GTX 1060というGPU自体もNVIDIAの前世代ハイミドルGPU GTX 980並みの性能でありながら消費電力は120Wと非常に高いワットパフォーマンスを誇り、この省電力性能も小型クーラーによる十分な冷却を後押ししています。加えて5~6万円だったGTX 980の性能がGTX 1060に代替わりして3万円台前半で手に入るようになったという圧倒的なコスパも素晴らしいです。GTX 1060ならほぼ最高設定に近い高画質設定でフルHDの最新PCゲームが堪能できます。

Inno3D GTX 1060 Compactはグラボサイズのコンパクトさ、銅製ベースクーラー採用、3.2万円のリーズナブルな価格などを考えると国内で販売されているGTX 1060のショート基板モデルとしては良いバランスでまとまった製品だと思います。個人輸入を視野に入れず国内で販売されているGTX 1060搭載グラフィックボードに限定するなら、Mini-ITXでコンパクトなPCを組もうとしているユーザーや廉価で品質の高いGTX 1060グラフィックボードの購入を検討しているユーザーにはInno3D GTX 1060 Compactはおすすめです。

以上、Inno3D GeForce GTX 1060 Compactのレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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