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手の平にハイエンドPCを!ということでNVIDIA GTX 10XXシリーズ搭載の高性能NUCベアボーン「ZOTAC ZBOX MAGNUS EN1070 / EN1060」の徹底比較レビューを先日行いましたが、GTX 1060搭載のEN1060はともかく、自費購入したGTX 1070搭載のEN1070についてはCPUのi5 6400Tがグラフィックボードの性能に対してやや非力で一部ゲームではCPUボトルネックが発生してその潜在能力を十分に発揮できませんでした。
・手の平にハイエンドPCを! 「MAGNUS EN1070 / EN1060」を比較レビュー
そこで今回はi5 6400Tと同じくSkylake世代のTDP35W省電力モデルで4コア8スレッド&高クロックの上位機種であるi7 6700Tに換装することにしました。
当然のように保証外の改造行為なのでマネするなとは言いませんが、完全に自己責任になるのでご注意を。
なおCPUについては当然のごとく殻割りリキプロ化しました。詳細は割愛。殻割りツール「Rockit 88」や「Delid-Die-Mate」のおかげで失敗の心配が全くないのでガンガンいこうぜ!な殻割りライフを満喫中。
レビュー目次
1.MAGNUS EN1070を分解してCPUを交換する
2.i7 6700Tに換装したEN1070の性能を試す
付録1.「ZOTAC ZBOX MAGNUS EN1070 / EN1060」について
付録2.NUCベアボーンにおすすめなパーツ
MAGNUS EN1070を分解してCPUを交換する
では早速「ZOTAC ZBOX MAGNUS EN1070」を分解していきます。前回のレビューでは剥いた状態の写真だけ公開しましたが今回はその手順もご説明します。特殊な工具は必要ありませんが精密ドライバーセットだけは用意してください。
底板を外したらまずはリアIOパネルを外すため、下画像の5か所のネジを外してください。真ん中の下にもネジはありますがそれは外す必要はありません。
続いて外装にマザーボードを固定しているネジ5個を外します。うち1つは「剥がしたら保証がなくなるよ」シールを破く必要があるのでご注意を。
あとはリア側を持ち上げつつリア側の方向へ斜め上に引き抜いていく感じで外装からマザボを取り外します。マザボを取り外す際はWifiアンテナケーブルの余裕に注意してください。外す必要のあるネジさえ事前にわかっていれば分解自体は簡単です。
マザボの裏面(CPU/GPU側)を出したら、次は冷却ファンをヒートシンクから外します。GPU側とCPU側それぞれネジ2個で固定されているので外してください。CPU側はテープでも止められていますがベリベリと剥がしてOKです。
ヒートシンクが剥き出しになってしまえば、後はCPU周辺の4つのネジとGPU側の4つのネジを外すとヒートシンクを取り外すことができます。
ヒートシンクを外すをこんな感じになっています。
ヒートシンクは銅製ベースに銅製の放熱フィンが付いており、CPU側とGPU側がヒートパイプ経由で繋がっています。冷却面ではCPU側とGPU側で冷却能力を都合しあえるのでメリットはあるのかもしれませんが、CPUの交換が面倒でした。
CPUソケットはノートPC用のCPUのような直付けではなく一般的なデスクトップ用のLGA1151ソケットなので設置自体は問題ありません。
最初に搭載されていたi5 6400Tを取り外して、i7 6700Tに乗せ換えました。
ちなみにグラフィックボード側にはMXMカードタイプのGTX 1070が搭載されていました。
以上でCPUの乗せ換えは完了です。あとは逆の手順で元の戻せばOK。
ちなみに再塗布する熱伝導グリスで管理人のおすすめはクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)です。クマさんグリスは柔らかく伸びやすいので使いやすくて、高性能なので非常に便利です。
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親和産業(2015-09-02)i7 6700Tに換装したEN1070の性能を試す
ということで換装が無事に成功したかをチェックすべくPCを起動してみました。最悪の場合、BIOSで未登録CPUとしてはじかれる可能性も……。などと不安に思いつつも問題なく起動しました。やったね。
まずはCineBenchを回してみたところ、i7 6700Tでは635となりました。
スコアを比較してみるとノート用のi7 6700HQや4.0GHzにOCしたi5 6400よりも若干性能が低いという結果になりました。あとスクショを撮り忘れましたがi7 6700Tは4コア同時負荷で2.7GHzが動作クロックでした。ベースクロックよりも低いとはこれ如何に。
さらにいつも通り動画のエンコードをやってみたところ、こちらではi7 6700HQを若干上回る結果になりました。とはいえ以上のCPU性能測定からEN1070に換装したi7 6700Tはデフォルトで搭載されていますi5 6400Tよりも4~6割程度高速なCPUであるとわかりました。
エンコード時の消費電力についてはi5 6400Tの時は56Wでしたが、i7 6700Tの時は66Wとなっており、TDP35Wのモデル同士ですが、i7 6700Tのほうが10Wほど消費電力は高いようです。
またエンコード中のCPUファンとGPUファンの回転数、CPU温度、CPU使用率の推移をグラフ化しました。CPU最大温度は61度と良い数字で安定しています。ファン回転数も1700~1800RPMなので60mm程度の小径ファンであれば騒音も全く問題ないレベルでした。消費電力の増加も10W増えただけなので、パフォーマンスが40~60%伸びるのを考えればなかなかいい結果です。CPUは性能の伸びがいまいちな印象でしたが省電力に限定すれば結構性能が伸びているのかも。
続いてi7 6700Tに換装したことによるグラフィック性能への影響をチェックしていきます。
まずはスコア1万超えたらCPUベンチになるFF14ベンチさんを試しました。デフォルトのi5 6400Tではスコアは13600ほどでしたが、i7 6700Tに換装することで15000を超えました。
またi7 6700Tに換装したZBOX MAGNUS EN1070の負荷時の温度とファン回転数を検証しました。
下はMAGNUS EN1070のGPU・CPU温度、GPU・CPUファン回転数の推移グラフになっています。温度とファン回転数の検証時の負荷としてはFF14ベンチを使用しています。室温は25度程度です。ちなみに今回はちょっと不利な条件で2周目のログを使っています。
GTX 1070搭載のMAGNUS EN1070については負荷時の最大GPU温度とCPU温度は74度となっており、コンパクトな筐体から考えるとかなり良い数字が出ているように見えます。またファン回転数も60mm径のファンが最大2900RPMなのでヘッドホンなしでもまだ実用に耐えるレベルのファンノイズでした。
さらに下のグラフでi5 6400Tとi7 6700TでGPU温度とGPUファン回転数を比較したところ、GPU温度については1度差、ファン回転数はi7 6700Tに換装で+200RPMとなっています。i5 6400Tの時はFF14ベンチ中のCPU温度は最大68度だったのでi7 6700Tで74度になったCPU温度のほうが影響は大きそうですね。
さて本題に入りましょうか、前回レビューで問題となった実ゲーム時のCPUボトルネックがi7 6700Tに換装したことで解消されたのかをチェックしていきます。これがクリアできないと発熱とファンノイズがデカくなっただけという悲劇が……。
まずはGTA5のベンチマーク結果がこちら。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定を用いて、CPUボトルネックが色濃く出ていたフルHD解像度で比較しました。i7 6700Tに換装したことでばっちりCPUボトルネックが解消されていました! むしろi5 6400(4.0GHz)のCPUボトルネックが浮き彫りに。
i5 6400Tとi7 6700Tにおけるフレームレートの推移を比較してもその差は歴然です。平均FPSで見てもCPUの交換で20%も性能が伸びるというのはかなり大きいですね。
また同様にCPUボトルネックが確認できたWitcher3についても検証しました。このゲームのベンチマークではこちらのグラフィック設定(赤で囲った部分のみ設定を下げています)を用いて、CPUボトルネックの確認できたフルHD解像度で比較しています。こちらでも無事にCPUボトルネックを打破できてi5 6400(4.0GHz)と組み合わせたGTX 1070デスクトップ版を打倒するという結果に。
Witcher3についてもフレームレートの推移をi5 6400Tとi7 6700Tで比較しました。やはり全体的に20%程度はi7 6700Tに換装したEN1070が上回るという結果になっています。
なおゲーム負荷時の消費電力の増加量も5W程度の微増でした。
手に平にハイエンドPCを!なNUC「ZOTAC ZBOX MAGNUS EN1070」の数少ない欠点の1つであるGPUに比べてやや非力なCPUを省電力・高性能なi7 6700Tに換装するという試みは、消費電力とファン回転数の微増という悪影響もあったものの、単純なCPU性能でi5 6400Tよりも40~60%の性能向上、CPUボトルネックが発生していたPCゲームについても20%の性能向上という素晴らしい結果を生んでくれました。
この結果には言うまでもありませんが大満足です。いやはや35Wの省電力CPUとはいえこの差はパネェ。
以上、ZOTAC ZBOX MAGNUS EN1070のCPUをi7 6700Tに換装してみる、番外編的なレビューでした。
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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いつも興味深い記事ありがとうございます。