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現在、前回のスリムPCの自作レビュー企画に引き続きSilverStone様からPCケース「SST-SG11B」と電源ユニット「SX700-LPT」をご提供いただけました。そこでGTX 1070グラフィックボードを2枚使ってSLI構成で割とコンパクトなハイエンド自作PCを作るレビュー企画を進めていますが、PCビルド記事に先がけて電源ユニット「SilverStone SX700-LPT」をレビューします。
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国内でも16年6月に発売したばかりで比較的新しい電源ユニット「SilverStone SX700-LPT」は、SFXというmini-ITXマザーボード等を採用する小型PCケース向けに策定された電源ユニットサイズの規格を拡張して120mmサイズのファンを搭載可能にした”SFX-L”規格の電源ユニットです。SFXやSFX-L規格の電源ユニットとしては大容量となる700W容量であり高性能グラフィックボードによるマルチGPUにも対応可能、変換効率も最大効率94%の80 PLUS Platinum認証です。「SilverStone SX700-LPT」はコンパクトPCにも対応したハイスペックな高級電源という位置づけになっています。
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公式商品ページ:http://www.silverstonetek.com/product.php?pid=670&area=jp
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SilverStone SX700-LPTの外観・付属品

では早速パッケージを開封してSilverStone SX700-LPTをチェックしていきます。
パッケージを開くとまずは電源ユニットの仕様表(英語)と多言語マニュアルが入っていました。その下にはスポンジのスペーサーで安置された電源ユニットが左側に、紙製の間仕切りの中にACケーブルやモジュラーケーブル各種が右側に入っていました。高級電源によくある電源ユニットやモジュラーケーブル専用の布製袋は付属していませんでした。
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ATX24PINケーブルは小型PCケースへの組み込みが想定されており、長さ300mmのショートケーブルが付属していました。SX700-LPTに付属する内部電源ケーブル各種はいずれも小型PCへの組み込みが想定されて長さが短めであり、一般的な電源ユニットのプラグインケーブルよりも細くしなやかになっています。
付属品のケーブルはオプションとして販売されている「ショートプラグインケーブル SST-PP05-E」に酷似しています。ただ「SST-PP05-E」のほうが、SX700-LPTに付属するケーブルよりも若干細くて柔らかいのでスペースの限られた小型PCへの組み込みには同ケーブルを別途購入するのがおすすめです。
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一般的なATX電源(上)、SST-PP05-E(中)、SX700-LPT(下)の3種について24PIN電源ケーブルを比較するとSX700-LPTの短さがよくわかると思います。意外なことにSX700-LPTの付属ケーブルが若干SST-PP05-Eよりも短くなっていました。
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ACケーブルやATX24PINケーブルなど主要なもの以外ではモジュラーケーブルとして、「CPU・EPS 8PIN(4+4PIN)ケーブル」が1本、「PCI-E 8PIN(6+2PIN)*2ケーブル」が長さ違いで2本、SATA電源ケーブル2種計3本(コネクタ数は計9個)、4PINペリフェラル電源ケーブル1本(コネクタ数は計3個)などが付属していました。
SX700-LPTは電源容量700WかつPCI-E 8PINコネクタも4つあるので省電力性能の高いGTX 1070やGTX 1080のマルチGPU(SLI)にも対応可能になっています。
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SilverStone SX700-LPTの付属ケーブル一覧 (SilverStone製電源ユニットのケーブル寸法の見方)
1 x 24 / 20ピンマザーボードコネクタ(300mm)
1 x 8 / 4EPS12Vコネクタ(400mm)
2 x 8 / 6ピンPCIEコネクタ(400mm / 150mm)
2 x 8 / 6ピンPCIEコネクタ(550mm / 150mm)
6 x SATAコネクタ("300mm / 200mm / 100mm" x 2)
3 x SATAコネクタ(600mm / 150mm / 150mm)
3 x 4ピン ペリフェラルコネクタ(300mm / 200mm / 200mm)
1 x 4ピン フロッピーコネクタ(100mm)

SilverStone製のSFXやSFX-L電源は小型PCのレイアウトに合わせたショートケーブルが付属しており、特にオプションケーブルの「SST-PP05-E」は他社製品よりも細くしなやかで柔らかいため取り回しがよいなど小型PCのビルドに最適化されています。そのため実際に自作PCを組む段階で非常に便利なのでコンパクトPCの作成でSFXやSFX-L電源を選ぶならSilverStoneの製品はかなり有力な候補になります。


ケーブルについてはこの辺りにして「SilverStone SX700-LPT」電源ユニット本体をチェックしていきます。
電源ユニットをビニール袋から取り出すと、”SX700-LPTはセミファンレス機能搭載なので負荷が軽い状態では冷却ファンは停止しますがこれは故障ではありません”と注意書きのなされた黄色い帯が付いていました。
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ATX24ピンは必ず使用するのでありませんが、それ以外の使用しない可能性のあるプラグインコネクタには防塵保護キャップが付属していました。電圧のかかる部位なので不測のショート発生などを避けるための措置としては良いと思いました。長期使用でも放置したままの端子の劣化も抑えられそうです。この保護キャップは他の高級プラグイン電源にも採用して欲しいですね。
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ACコンセントケーブルは国内のPC関連でよく使われる3PINタイプの端子になっています。PSUユニット自体にもあると何かと便利なハードウェアスイッチが付いています。 余談ですが「SST-SX600-G」になぜハードウェアスイッチがないのか常々不思議に思っています。
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一般的なATX電源を代表して「Corsair RM650i」とSilverStone製のSFX電源「SST-SX600-G」を加えて「SilverStone SX700-LPT」と電源ユニットのサイズなどを比較してみました。
上から見ると冷却ファンのサイズの違いがよくわかります。奥行の小さいSFX電源の「SST-SX600-G」は75mm、奥行きが大きくなったSFX-L電源の「SX700-LPT」は120mm、一般的なATX電源では140mmサイズの冷却ファンが搭載されています。SFX-L電源の「SX700-LPT」は120mmファンを搭載しながらも奥行130mmと非常にコンパクトにまとまっています。小型PCに最適化された規格のSFX電源やSFX-L電源はATX電源よりも厚さが20mmほど薄くなっているのもポイントです。
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電源ユニットの重量もATX電源の「Corsair RM650i」が1661gに対して「SilverStone SX700-LPT」は1216gで、25%も軽量になっています。
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SilverStone SX700-LPTの組み込み・使用

続いて「SilverStone SX700-LPT」をPCに組み込んでいきます。
SFX電源の「SST-SX600-G」にはSFX電源をATX電源対応PCケースに搭載するためのマウントアダプタが付属していたのですが、今回のレビュー品である「SilverStone SX700-LPT」には同アダプタが付属していません。そのため電源冷却のためのエアフロー改善とケース内スペースが一般的なSFX-ATXアダプタよりも10mm程度拡張可能な「SST-PP08B」というマウントアダプタを別途購入しました。
下の写真を見てわかるようにアダプタ内で上側に電源位置がオフセットされ、電源の固定部分の下には吸排気口が付いています。
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「SilverStone SX700-LPT」のようなSFX-L電源と「SST-PP08B」マウンタを組み合わせて使うことでCPUクーラー直上に電源ユニットを搭載するようなレイアウトのコンパクトPCケースでも、ATX電源を搭載するより20mm程度背の高い高性能なCPUクーラーを採用可能になります。
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比較用に「SilverStone SX700-LPT」、「Corsair RM650i」、「SST-SX600-G」の3種を今回自作PCビルドに使用するPCケース「SST-SG11B」に搭載してみました。(リンクは個別画像)
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ATX電源を使用した場合は高さが干渉するCPUクーラー「TS15A」を使用しても、「SilverStone SX700-LPT」のようなSFX-L電源と「SST-PP08B」マウンタを組み合わせであれば10mm以上クリアランスに余裕があります。
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SFX-L電源「SilverStone SX700-LPT」とSFX-ATXマウントアダプタ「SST-PP08B」、そしてPCケース「SST-SG11B」の組み合わせであれば、高さ100~110mm程度のCPUクーラー設置可能なスペースがあり、「SilverStone Nitrogonシリーズ NT06-PRO」や「Cryorig C1」のような大型のトップフロー型ハイエンドCPUクーラーも余裕で搭載可能になります。
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ただしSFX-ATXマウントアダプタ「SST-PP08B」と組み合わせて使用する場合は、マウンタ自体をPCケースに固定する際にネジ穴があるかを事前に確認して下さい。マウンタもPCケースもSilverStone製なので問題ないと思っていたらPCケースのシャーシに左上の青丸部分のネジ穴がなかったためマウンタはPCケースに3点止めしかできませんでした。青丸の部分にマウンタをPCケースに固定するためのネジ穴があるのでこの穴に対応したネジ穴がPCケースのシャーシに開いているか事前に要確認です。
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Bluetooth接続でスマホから消費電力を見れるワットチェッカーを使用して「GTX 1070 SLI & i7 6700K」のハイエンド環境について、レビュー品である変換効率最大92%のPlutinum電源「SilverStone SX700-LPT」と変換効率最大90%のGOLD電源「SilverStone SX600-G」について負荷時(FireStrike Extremeストレステスト)の消費電力を比較してみました。誤差とも言えなくはないですが変換効率の高い「SilverStone SX700-LPT」のほうが6Wほど消費電力が小さいという結果になりました。
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また電源ユニットの外観紹介の際に黄色い注意の帯が付いていましたがSilverStone SX700-LPTは低負荷時にファンが停止するセミファンレス機能を搭載しています。セミファンレス機能自体は低負荷時の無音動作を可能にする非常に優れた機能なのですが、「SilverStone SX700-LPT」についてはファンが動き出す、もしくは停止する閾値の設定などファンコントロールの面が微妙でした。
SX700-LPTのファンコントロールは電源出力(≒温度?)をソースにしているようで、ゲームのロードや負荷が軽くなるメニューなどに出入りした瞬間にファンの回転数が上下します。

そもそもファンノイズが小さければ問題はないものの、SilverStone SX700-LPTは350W程度の負荷時で120mmファンが1500~2000RPM程度で回っているくらいのファンノイズが発生しており、うるさいとまではいきませんがそれなりに耳に付く程度の音量が出ています。
なお回転数が分からない場合のファンノイズの分類は体感で、
 レベル1: 聞こえない
 レベル2: 聞こえるがヘッドホンなしでも大丈夫
 レベル3: ヘッドホンを付ければほぼ聞こえない
 レベル4: ヘッドホン越しでも聞こえるが我慢はできる
 レベル5: ヘッドホンを付けていても煩い
以上の5段階で分けていますが、SilverStone SX700-LPTはレベル2.5くらいのファンノイズでした。
電源が小型なのでファンノイズ自体はトレードオフとして仕方のない面もありますが、SX700-LPTについてはファンノイズの音量自体というよりも出力依存で急に冷却ファンの回転数が乱高下するのでエンジンの空ぶかしのような不快感があります。正直に言うと一定音量なら徐々に耳は慣れてくるのですがファンノイズが負荷で変動するので、煩いというより鬱陶しいタイプのファンノイズでした。

セミファンレス機能についてはグラフィックボードでも閾値付近で安定しなかったりと問題点も多いのですが、閾値にヒステリシスを使用する(動作開始は60度、動作停止は50度とか)、動作開始・動作停止の条件に10秒程度の遅延をつけるとか簡単な解決方法はいくらでもあるので、機能を導入するメーカーの成熟に期待したいです。


SilverStone SX700-LPTのレビューまとめ

最後にSFX-Lサイズの700Wプラチナ電源「SilverStone SX700-LPT」のレビュー用サンプルを使用してみた検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • ATX電源よりもコンパクトなSFX-L規格
  • 厚みがATXより20mmほど薄いのでCPU直上にPSUを設置するケースに最適
  • SFXよりも奥行きが大きく、冷却性能の高い120mmファンを搭載
  • 小型電源ながら700Wで高変換効率のPlutinum認証取得電源ユニット
  • モジュラー端子に防塵保護キャップが付いている
  • 重量も1200gと軽量
悪いところor注意点
  • セミファンレス・ファンコン機能でファン回転数が負荷に応じて急激に上下する
  • ファンノイズは比較的大きい
  • 価格は2万円とやや高価

小型PCに最適なSFX電源やSFX-L電源は最近参入してきているメーカーも多いですが、古参のSilverStone製品は、付属ケーブル長が小型PC向けに短いものが鈍行されていたり、やオプションケーブル「ショートプラグインケーブル SST-PP05-E」、SFX-ATXマウントアダプタ「SST-PP08B」が存在するなど他社製品にはない魅力があります。ただSilverStone SX700-LPTについては売りの一つであるセミファンレス機能に改善が必要と感じた点はやや残念でした。年内には800W、Titanium認証のSFX-L電源も出るようなのでそちらでは改善していることを祈りたいところ。
SilverStone SX700-LPTであれば高変換効率Plutinum認証&大容量700Wなので、SFX-Lのコンパクトさを活用することでMini-ITXやMicro-ATX用の小型PCケースと組み合わせればハイエンドな小型自作PCを組むこともできます。電源容量や補助電源端子数も十分なので省電力性能の高いGTX 1070やGTX 1080などのハイエンドグラフィックボードによるマルチGPUにも余裕で対応できる電源ユニットになっています。

セミファンレス・ファンコン機能には若干難がありましたが、電源ユニットのサイズ、電源容量、変換効率、モジュラー端子のバリエーションなど他の主要な項目はいずれも高水準でまとまったコンパクト高級電源なので、小型ハイエンドPCを組もうと思っているなら「SilverStone SX700-LPT」は選択肢の1つに加えてもいいと思います。

以上、「SilverStone SX700-LPT」のレビューでした。






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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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