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前回のスリムPCの自作レビュー企画に引き続きSilverStone様から同社製のPCケース「SST-SG11B」と電源ユニット「SX700-LPT」をご提供いただけました。そこで今回はGTX 1070搭載グラフィックボードを2枚使ったSLI構成の割とコンパクトなハイエンド自作PCを作るレビュー企画となっています。
なおSFX-L電源ユニット「SX700-LPT」については個別のレビュー記事を公開中です。
・SFX-Lサイズの700Wプラチナ電源「SilverStone SX700-LPT」をレビュー
ちなみに「SST-SG11B」はマニュアル必読なPCケースでした。
http://www.silverstonetek.com/downloads/Manual/case/Multi-SG11-Manual.pdf
以下、今回作成したPCのレシピになっています。(SATAケーブルなど細かい物は省略)
「SST-SG11B」&「SX700-LPT」を使った自作PCのレシピ | ||
分類 | モデル・型番 | 価格 |
OS | Windows10 Home (64bit)<販売ページ> | 15,000円 |
CPU | Intel Core i7 6700K (4コア8スレッド、同時4.0GHz)<販売ページ> |
35,000円 |
CPUクーラー | Intel TS15A <レビュー記事><販売ページ> | 4,000円 |
マザーボード | ASRock Z170M OC Formula マイクロATX、SLI対応<商品公式ページ> <レビュー記事><販売ページ> |
30,000円 |
メモリ | G.Skill TridentZ 16GB[8GB*2枚] F4-3200C16Q-32GTZKY(2枚のみを使用) <レビュー記事><販売ページ> |
15,000円 (30,000円) |
システムストレージ | Intel SSD 540 M.2 SATA 240GB SSDSCKKW240H6X1<販売ページ> |
11,000円 |
データストレージ | PNY SATA SSD 960GB SSD7CS1311-960-RB<販売ページ> |
22,000円 |
グラフィックボード1 | EVGA GTX 1070 SC ACX3.0 |
50,000円 |
グラフィックボード2 | GTGABYTE GTX 1070 ITX OC <レビュー記事> (グラボ1と同じ製品を使用するのが推奨) |
48,000円 |
PCケース | SilverStone SST-SG11B <公式ページ><販売ページ> |
10,000円 |
電源ユニット | SilverStone SX700-LPT (SFX-L電源 700W Plutinum)<公式ページ> <レビュー記事><販売ページ> |
22,000円 |
オプションケーブル | SilverStone SST-PP05-E (専用ショートプラグインケーブル) |
4,000円 |
ケースファン1 |
GELID Silent8 PWM 静音PWMファン 80mmファン 2個<販売ページ> |
2,000円 |
ケースファン2 |
サイズ KAZE-JYUNIスリム SY1212SL12L (1200rpm)<販売ページ> 国内販売終了、米尼個人から輸入可能 |
2,000円 |
合計 | 270,000円 |
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Silver Stone(2015-04-16)SST-SG11B&SX700-LPTの自作PC レビュー目次
1.SST-SG11Bの外観・付属品
2.SST-SG11Bの内部構造
3.SST-SG11B&SX700-LPTの自作PC組み立て
4.SST-SG11B&GTX 1070 SLI&i7 6700Kの冷え具合
5.GTX 1070 SLIのグラフィック性能
6.SST-SG11B&SX700-LPTで自作PC! まとめ
SST-SG11Bの外観・付属品
まずは今回使用するPCケース「SST-SG11B」の外観や付属品をチェックしていきます。PCケースは専用の段ボール箱で梱包されており、箱の中では発泡スチロール製のスペーサーで固定されていました。
付属品のネジ類はPCケースの中に入っていました。多くのPCケースに言えることですが、PCケースに付属するネジは種類も多いので、一部他社製品でも採用されているように仕切り付きのプラスチックパックに小分けで入れて欲しいです。
SST-SG11BはマイクロATXマザーボードを横置きするタイプのキューブ型PCケースになっており、寸法は「幅270 mm x 高さ212 mm x 奥行393 mm」で容積は22.5 リットルです。奥行30mm以上なのでケース内でグラフィックボード用のスペースは十分に確保されており、ハイエンドグラフィックボードも搭載可能です。
同じくハイエンドグラボが搭載可能なmini-ITXケースのNCASE M1と比較するとサイズ的には1.5倍程度になっています。マイクロATXが搭載可能なPCケースとしてはかなりサイズが絞られていますね。
一般的なATXマザーボード対応ミドルタワーPCケースと比較してみると「SST-SG11B」の体積はミドルタワーPCケースの半分以下になっており非常にコンパクトなPCケースです。
フロントパネルはエアホールのないフラットパネルになっており、中央の銀色鏡面ラインは左側にSilverStoneロゴが刻印されています。右側はカバーが取り外し可能で、5インチドライブを搭載可能です。SST-SG11Bはもともとストレージ搭載数の多いPCケースですが当サイトでもレビューしている5インチベイ用のストレージマウンタなどを使用すればさらに大量のストレージを搭載可能です。
フロントIOはUB3.0*2とマイク・ヘッドホン端子になっておりフロントパネル左上に設置されています。スマホのUSBやSDスロット用のカバーに似た構造のゴム製カバーが付いていました。電源スイッチはフロントパネル右上に位置しています。
ケースのサイドパネル下半分には吸排気用のエアホールがフロントからリアまで伸びています。
トップには80mm用のファンホールが2つあります。ケースのボトムには四隅に足が付いています。電源ユニットはCPU直上に設置するタイプのケースなのでケースボトムにはファンホールはありません。
ケース足のインシュレーターはプラスチック製で底には滑り止めのゴムが付いています。足はネジ止めではなくプラスチック製のツメで固定されていました。
SST-SG11Bのリアパネルから内部構造もなんとなく見えてきます。マザーボードはマイクロATXファームファクタを横置きにする構造でPCIスロットも4スロット増設可能になっています。PCIスロット上の空間も広いので背の高いグラフィックボードも搭載可能です。電源ユニットはコンパクトケースながら一般的なATX電源をCPU直上に設置できます。
SST-SG11Bの内部構造
続いて「SST-SG11B」の内部構造をチェックしていきます。「SST-SG11B」の内部アクセス方法は非常に簡単でリアのネジ3つで両サイドとトップを覆っている1枚板の外装パネルが取り外せます。パネルはスチール製で厚さ1mm程度のかなり薄いものです。
パネルはスチール製なのでSilverStone製のマグネット付きファンフィルターを使用することで簡単に防塵フィルターとして使用可能です。
外装パネルは薄いスチール製の板なのでPCケースのケースファンと共振しました。この広さの面積で薄いパネルであれば共振しやすいのは想定できるはずなので、共振対策は何か講じて欲しいところ。
パネルを外したケース内部の俯瞰写真は次のようになっています。写真手前には、グラフィックボードを冷やすために80mmの冷却ファンを2基搭載でき、さらに2.5インチストレージを6基搭載可能なユニット(以下、GPU冷却ユニットと呼ぶ)があります。
正面から見て右側は次のようになっています。
GPU冷却ユニットはリア2個とトップ3個の計5個のネジで固定されています、GPU冷却ユニットを取り外すと2.5インチストレージを垂直に6基搭載可能なマウンタが確認できます。
GPU冷却ユニットを取り外すとユニット上で2.5インチストレージマウンタのある場所の奥には3基の3.5/2.5インチストレージを搭載可能なストレージトレイがありました。
ストレージトレイの反対側には同トレイ3基とGPU冷却ユニットの2.5インチストレージ6基をまとめて冷却可能な位置に、120mmの冷却ファンが搭載されています。
5インチベイの直上には2.5インチストレージを2個搭載できる、ネジ止めで着脱可能なストレージトレイも設置されていました。ここまでに出てきたGPU冷却ユニットの6基、5インチベイ下の3基、5インチベイ直上の2基で、「SST-SG11B」にはなんとデフォルトでも合計11基の2.5インチストレージが搭載可能になっており、大量のストレージを搭載した小型なサーバーやワークステーションとしても運用可能です。
上の2.5インチストレージを外すと5インチベイにアクセス可能です。5インチベイはリベット止めされているため取り外しはできない構造でした。5インチベイのベゼルはプラスチックのツメで固定されているだけなのでツールレスで簡単に取り外しができます。
フロントIOケーブルは5インチベイ直下の3.5/2.5インチストレージトレイの手前から出ていました。この位置からケーブルが出ていると3.5/2.5インチストレージトレイの取り外しの際に邪魔になるので、少し上の位置にして5インチベイの真横から出したほうが良いと感じました。フロントIOケーブルのうち、スイッチやLEDケーブルはばらばらに分かれておらず、きしめんケーブルで先端のコネクタまでまとまっており便利でした。
電源ユニットの設置スペースにはリアと奥のサイドパネル側のシャーシに返しが付いているのでネジ止めしなくてもATX電源は落ちません。電源をネジ止めする時に手で支えるのに注力する必要がないので楽です。
マザーボード固定用スペーサーのうち、奥と中央の6個はPCケースのシャーシに備え付けになっています。手前3つにについては左側は同様に備え付けで、中央はマザーボードのネジレイアウトに合わせて2か所からスペーサーの固定位置を選択する形式です。右下にはスペーサーがありません。なぜに?
SST-SG11B&SX700-LPTの自作PC組み立て
「SST-SG11B」の外観や内部構造のチェックはこの辺りにして、実際に各種パーツを組み込んで自作PCを組み立てていきます。まず最初に注意点ですが、同PCケースはマザーボード横置きタイプですがケースボトムにはCPUクーラー用の穴は開いていません。そのためマザーボード裏からネジ止めするタイプのCPUクーラーを使用する場合は事前にマザーボードにCPUクーラーを設置する必要があります。個人的にはCPU直下のシャーシはくり抜いてネジ止めで固定するような蓋を付ける構造にして欲しいと感じました。
CPUクーラーについて一例を上げるなら「SilverStone Nitrogonシリーズ NT06-PRO」や「Cryorig C1」は高額ではありますが高性能なトップフロークーラーで「SST-SG11B」に設置が可能な背の高さになっており、CPUクーラー設置用のバックプレートは事前に固定が必要ですがクーラー自体はマザーボードの上側から固定が可能なので、グリス交換等のメンテナンスにも便利でおすすめです。<レビュー記事>
早速マザーボードをPCケースに組み込んでいこうと思ったところ……、3.5/2.5インチストレージトレイと干渉してマザボを挿入できない件。 マニュアルも読まずに適当に組んでいっていきなり躓いたのですがこのPCケースはマザーボードをケースに組み込む際に3.5/2.5インチストレージトレイを外す必要がありました。ぶっちゃけ面倒くさい。
3.5/2.5インチストレージトレイはシャーシ底面のネジ4つで固定されており、それを外すとPCケースサイドパネル方向に引き抜く形で取り外せます。ただ上でも書いたようにフロントI/Oケーブルの位置が悪く、取り外しの際に邪魔になって3.5/2.5インチストレージトレイを外すのは結構手間がかかりました。
3.5/2.5インチストレージトレイを取り外すとこんな感じになっています。同トレイには120mmの冷却ファンが設置可能です。
いきなり手間取ったもののなんとかマザーボードを設置できました。
フロントI/Oケーブルもきしめん型なのでまとまっていて良い感じです。
ここまで来れば、あとはグラボを搭載するだけのお手軽作業や!とか思ってまんまとフラグを立ててしまいました。1スロット目にEVGA GTX 1070 SC ACX3.0を設置しようとしたところ……、
グラボと3.5/2.5インチストレージトレイが干渉しやがった!! (写真が見難いですが)
いやいや最大360mmグラボ対応を謳いながら干渉したらあかんやろとか、ストレージは排他利用なの?とか疑問に思いつつ干渉するものは仕方ないのでどうしたものか……。
なお後々マニュアルをしっかり読み直したら長尺のグラフィックボードと3.5/2.5インチストレージトレイは排他利用である旨がマニュアルにははっきりと記載されていました。
製品ページも見直したら確かに、『ファンおよびドライブケージの構成は、対応可能なグラフィックスカード長に影響します。詳細はマニュアルをご参照ください。 』、の但し書きはありましたが、注釈ではなく上の表をそのまま掲載しておいて欲しいというのが正直な感想です。
3.5/2.5インチストレージトレイの固定ネジのネジ穴は位置がいくつかあり前後に動かせる、この場合は奥にやることも可能でした。ファンを外すのは構造的に微妙だよなあと思ったのでスリムファンを使用することにしました。今回使用したスリムファンは国内では残念ながら終売品となっている「サイズ KAZE-JYUNIスリム SY1212SL12L」です。12mm厚という極薄ファンになっています。結構需要あると思うのになんで終売にしたんだろうか? ただ米尼で購入できます。<販売ページ>
スリムファンを使って3.5/2.5インチストレージトレイを奥にやることでなんとかグラフィックボードと3.5/2.5インチストレージトレイの干渉を避けられました。これなら280mmグラフィックボードを搭載しても奥の3.5/2.5インチストレージトレイにストレージを設置して使用することが可能です。
グラフィックボードの設置が問題ないことが確認できたので、前後してしまいましたが電源ユニットを設置しました。今回は電源ユニットにPCケースと同じくSilverStone社からご提供いただいたSFX-Lサイズの700Wプラチナ電源「SilverStone SX700-LPT」を使用しました。レビュー記事を別途公開中です。
またPCケース「SST-SG11B」のデフォルト対応なCPUクーラーの高さは82mmでしたが、同社製のSFX-ATXマウントアダプタ「SST-PP08B」を利用することで、20mmほどCPUクーラーの設置スペースに余裕ができました。
ただし、PCケース「SST-SG11B」とSFX-ATXマウントアダプタ「SST-PP08B」は同社製品のため普通に互換性はあるものと考えていましたが、PCケースのシャーシ左上の青丸部分にネジ穴がなかったためマウンタはPCケースに3点止めしかできませんでした。マウンタをPCケースに固定するためのネジ穴は青丸の部分にあるので、この穴に対応したネジ穴がPCケースのシャーシに開いているか事前に要確認です。
SFX-L電源ユニットは奥行き面でもコンパクトなのでモジュラーコネクタの着脱などケーブルマネジメントも非常に簡単です。
途中を若干はしょりますが、グラフィックボードとGPU冷却ユニット以外をPCケースのシャーシに設置するとこんな感じになりました。SilverStone製のSFX-L、SFX電源は小型PCケースに合わせたショートケーブルのものが多いですし、オプションのショートケーブルもあるので配線がすっきしりて小型PCを組むのには最適ですね。
さらにグラフィックボードを2つとも搭載しました。通常、マルチGPUでは同じグラフィックボードを搭載するのが無難なのですが(動作上は同じGPUなら問題なし)、手持ちにサンプルがなかったのでEVGA GTX 1070 SC ACX 3.0とGIGABYTE GTX 1070 ITX OCの2つを搭載することにしました。
さて最後の仕上げにGPU冷却ユニットを固定します。
ちなみに今回はGPU冷却ユニットに搭載するため80mm冷却ファンとして「GELID Silent8 PWM 静音PWMファン」を2個用意しました。
GPU冷却ユニットにファンを付けてからPCケースのシャーシにGPU冷却ユニットを固定しようとしたところ……、GIGABYTE GTX 1070 ITX OCと干渉しちゃった! GIGABYTE GTX 1070 ITX OCはITX対応のショート基板であるものの残念ながら背の高いオリファンモデルなので干渉しちゃいました。PCIブラケットと同じ背の高さのグラフィックボードであれば左側の80mmファンも問題なく使用可能です。
正直、吸排気さえできれば角度とか大差ないので、無理に斜めにせずに垂直配置でもよかったのになあと思わなくも……。というか斜めに80mmファンを搭載するよりもグラボ直上で80mmファンを3つ横並びに搭載できるようにするべきだったと思います。ともあれ仕方がないので左端の80mmファンは設置を諦めました。
以上で「SST-SG11B」&「SX700-LPT」でGTX 1070 SLI搭載のコンパクトPCの組み立て完了です。
SST-SG11B&GTX 1070 SLI&i7 6700Kの冷え具合
自作PCの組み立ても完了したのでFF14ベンチを負荷としてCPU温度、GPU1/2 コア温度、GPU1/2 ファン回転数のログを取って各値の推移をグラフ化しました。端的に言ってやっぱり冷えませんね。CPU温度、GPU温度共に最大温度が80度前後になっており、冷却的に厳しい1スロットに搭載したGPU1(EVGA GTX 1070 SC ACX3.0)は85度まで上がっています。とりあえずCPUについてはTDP95WのK付きモデルは避けて65WのKなしモデルを選択するのが無難なようです。
試しに外装パネルを外した状態で同じ測定をしてみました。
外装パネルがない状態だとCPUとGPU2(GIGABYTE GTX 1070 ITX OC)の温度は10度前後下がってまともになりました。GPU1については4度しか下がっておらず依然81度ですがクーラーの真ん前に熱源があるので仕方ない感じですね。背の低いGPUでもう1つ80mmファンが搭載できたとしても冷却的にはちょっと微妙な気がします。
このケースの冷却に関しては完全に排気能力の不足が問題だと感じました。CPU直上の電源ユニットの冷却ファンが排気ファンの役割を担っていますが、これがケース内の暖気を排気する用途としては完全に力不足でした。ただしこの件についてもマニュアルを見るとしっかり推奨構成が記載されていました。
とはいえ、このタイプのキューブケースならこんな感じの管理人が考えた最強のPCケースに改良すればマルチGPU搭載コンパクトPCケースとしてより汎用性が確保できると思いました。
- 電源ユニットを底面吸気(着脱可能フィルター付き)、側面(正面右側)を排気にする形でフロントの3.5/2.5インチストレージトレイの位置に設置する。延長ケーブルでAC端子をリアへ
- リアに120mmの排気ファンを搭載可能にする
- GPU冷却ユニットは80mmファン*3を水平に配置、もしくは電源がなくなってスペースに余裕ができるので120mmファン*2を水平に設置可能にする。
- ストレージベイがどうしても必要なら5インチベイ直上の2.5インチトレイのような形で、CPU直上に着脱可能なストレージトレイを設置
GTX 1070 SLIのグラフィック性能
GTX 1070 SLIについてGTX 1070、GTX 1080のシングルとグラフィック性能を比較するため各種ベンチマークソフトや最新高画質PCゲームを使用してベンチマーク測定を行いました。比較対象のGTX 1070についてはEVGA GTX 1070 SC ACX3.0、GTX 1080についてはコアクロックがリファレンスと同じ数値のオリファンモデルを使用しています。まずはFF14ベンチマークの比較です。FF14ベンチは10000を超えるとCPUベンチになるのでGTX 1070をSLIにしてもスコアに大差がつきません。
3DMarkのFireStrike各種のグラフィックスコアと総合スコアは次のようになりました。FireStrikeのグラフィックスコアについてはSLI時の性能のスケーリングがかなり理想的でシングルGPU比で200%近くなります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1070 | 18294 | 8640 | 4265 |
GTX 1080 | 22134(121%) | 10441(121%) | 5168(112%) |
GTX 1070 SLI | 35509(194%) | 17085(195%) | 8316(196%) |
また最新のDirectX12対応ベンチマークであるTimeSpyのグラフィックスコアは次のようになりました。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
GTX 1070 | 5749 | 5555 | 103% |
GTX 1080 | 7043(123%) | 6702(121%) | 105% |
GTX 1070 SLI | 10715(186%) | 10825(195%) | 99% |
続いて高画質PCゲーム各種のフルHD、WQHD、UWQHD(3440*1440)の3つの解像度におけるベンチマークを行いました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、The Division(グラフィック設定)、Grand Theft Auto V(グラフィック設定)、Assassin's Creed Syndicate(最高設定、FXAA)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定)、The Witcher3(最高設定)、Deus Ex: Mankind Divided(プリセット:VeryHigh、AAなし)、Rise of the Tomb Raider(DX12、最高設定、SMAA)、Battlefield 1(最高設定)以上の8タイトルです。
解像度についてはフルHD、WQHD、UWQHD(3440*1440)の3種類について測定を行いました。
まずはThe Divisionのベンチマーク結果です。SLI時の性能向上はシングルGPU比で各解像度で60%増しくらい出ているので実ゲームのスケーリングとしては比較的良好な部類です。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 118% | 121% | 122% |
GTX 1070 SLI | 155% | 162% | 166% |
GTA5のベンチマーク結果です。GTA5についてはフルHDではCPUボトルネックが先に来てSLIを組んでもパフォーマンスが上がりません。高解像度では5~7割の性能向上なのでスケーリングは悪くありませんね。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 108% | 119% | 118% |
GTX 1070 SLI | 115% | 151% | 169% |
Assassin's Creed Syndicateのベンチマーク結果です。解像度が上がるにつれてCPUボトルネックの影響がなくなってくるので徐々にSLI時のスケーリングは良好になります。UWQHDでは80%増しなのでCPU性能が追い付けばフルHDやWQHDでも良好な値が期待できそうです。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 121% | 123% | 124% |
GTX 1070 SLI | 149% | 169% | 181% |
Mirrors Edge Catalystのベンチマーク結果です。性能向上が5割を切るのでスケーリングは悪いですね。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 121% | 126% | 125% |
GTX 1070 SLI | 123% | 144% | 141% |
The Witcher3のベンチマーク結果です。フルHDではCPUボトルネックが先に来てSLIを組んでもパフォーマンスが上がりません。高解像度では6割の性能向上なのでスケーリングは悪くありませんね。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 119% | 123% | 123% |
GTX 1070 SLI | 125% | 157% | 161% |
Deus Ex: Mankind Dividedのベンチマーク結果です。このゲームは性能向上4割未満の残念仕様でした。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 106% | 111% | 120% |
GTX 1070 SLI | 105% | 122% | 136% |
Rise of the Tomb Raiderのベンチマーク結果です。フルHDではCPUボトルネックが先に来てSLIを組んでもパフォーマンスが上がりません。高解像度では8割前後の性能向上なのでスケーリングは実ゲームのものとしては理想的だと思います。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 116% | 123% | 127% |
GTX 1070 SLI | 140% | 177% | 182% |
Battlefield 1のベンチマーク結果です。シングルで十分FPSは出ているのでDeusに比べると残念感は薄いです。ただフルHD・240Hzリフレッシュレートなどのモニターも年末には来そうなのでSLIの効率はもうちょっと改善して欲しいです。
フルHD | WQHD | UWQHD | |
GTX 1070 | 100% | 100% | 100% |
GTX 1080 | 123% | 121% | 125% |
GTX 1070 SLI | 118% | 131% | 136% |
GTX 1080(コアクロックがリファレンス)とGTX 1070(コアクロックOC)の実ゲーム性能比率は全てのゲームで120~125%となっているので出てきた数値は各GPUのスペック差とほぼ一致しました。
低解像度(フルHD)においてCPUボトルネックでFPSが頭打ちになるのはシングルGPUとマルチGPUで共通となりますが、シングルGPU同士の比較であればCPUボトルネックが存在しない場合、全てのゲームで性能比率は一定になっています。一方でSLIについてはゲームもしくはドライバの最適化次第で性能のスケーリングは3~8割と幅が出ます。
GTX 1070 SLI自体は概ねGTX 1080のシングルを上回る性能を発揮しています。国内最安値を見るとGTX 1070が4.5万円、GTX 1080が7.4万円ほどなのでGTX 1070 SLIは9万円として、上位GPUのGTX 1080を購入するよりもGTX 1070でSLIを組むほうが今回試した実ゲームベンチではコスパがよさそうな結果になりました。
とはいえSLIについては特有の不具合や最適化不足が皆無ではないのと、そもそも対応していないゲームも存在するため、SLIを組む場合は、最上位GPUで性能の底上げをするために導入するか、そうでない時は事前にSLIスケーリングが良好であることを確認するのが無難です。
SST-SG11B&SX700-LPTで自作PC! まとめ
最後にマイクロATX対応のコンパクトPCケース「SST-SG11B」のレビュー用サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- マイクロATXマザーボード対応でありながら寸法は「幅270 mm x 高さ212 mm x 奥行393 mm」、容積は22.5 リットルとコンパクトなPCケース
- 最長360mmの大型グラフィックボードにも対応可能
- 冷却面の難易度は高いがマルチGPU環境も構築可能
- 2.5インチストレージの設置スペースを11基も備え、加えて5インチベイも搭載
- ワークステーションから高性能ゲーム機まで多用途で使用可能
- 購入前にマニュアルは必読
- 冷却面では排気が弱く難あり(CPUクーラーと電源ユニットの選定が難しい)
- 外装パネルが薄いので共振する可能性あり
- 250mm以上のグラフィックボードを拡張スロットの最上段に設置すると、2.5/3.5インチストレージマウンタと干渉する。(薄型ファン使用で回避可能)
- 同社製のSFX-ATXマウントアダプタ「SST-PP08B」と互換性がない
今回はPCケース「SST-SG11B」とSFX電源「SX700-LPT」でGTX 1070 SLI搭載の高性能コンパクトPCというコンセプトで自作PCを組んでみたのですが、やはり冷却面で難がありました。
まずCPUの冷却についてですが、原因の1つはPCケース「SST-SG11B」とSFX電源「SX700-LPT」の相性が悪かったことだと思います。SFX-L搭載の薄型120mmファンでは電源の冷却だけで手いっぱいで、PCケース内の暖気を十分に排気するという役割を果たすには力不足でした。また排気ファンとしての役割もある以上、セミファンレス機能を搭載していたことも冷却的に裏目に出ていたように思います。それと電源冷却ファンと逆向きの下方向吹き付けのCPUクーラーを使用したのも失敗だったようです。マニュアルにも推奨構成・非推奨構成が書いてありましたし。
このPCケースと組み合わせるのであれば140mmファン搭載のATX電源ユニットを採用して、ATX電源と一緒に使用可能な「SilverStone Nitrogonシリーズ NT06-PRO」のような高さ82mm以下の大型のトップフロークーラーを吹き上げで冷却ファンを設置するような形にするのが良いようです。
次にGPUの冷却については背の高いグラボを使用してしまったことでGPU冷却ユニットの冷却ファンを1基搭載できなかったのは誤算でした。冷却ファンの直前にグラボが来てしまう1スロット目のグラボについてはある程度、冷却が悪くなるのは予想していましたし、目をつぶる必要があるとしても、CPU側の冷却が改善できて、予定通りGPU冷却ユニットのファンが2基とも搭載できていればもう少し良い結果が出せたような気がします。
「SST-SG11B」のアピールポイントは上で箇条書きした通り、大量のストレージを搭載可能なのでワークステーションとしても使用できる点やマイクロATXケースの中でもコンパクトな部類でありながらハイエンドグラフィックボードを2基搭載できるスペースがある点です。内部スペースをフル活用しているので体積が倍ほども違う一般的なATXミドルタワーにも引けを取らない拡張性があります。
今回の自作PC規格ではパーツの選定に失敗したためそれらの長所(特に後者)を十分に生かせた自作PCに仕上げることができませんでした。しかしながら、
『140mmファン搭載(可能なら非セミファンレスの)ATX電源を使う』
『高さ82mm以下の大型トップフローCPUクーラーを吹き上げで使う』
『背の低いグラボを選んでGPU冷却ユニットに80mmファンを2基搭載する』
この辺りのお約束さえ守れば、「SST-SG11B」の長所を生かしたコンパクトでハイエンドなゲーミングPCやワークステーションの構築は可能だと思います。
以上、SilverStone製のPCケース「SST-SG11B」&SFX電源ユニット「SX700-LPT」でGTX 1070 SLI搭載の高性能コンパクトPCを組む自作PCレビューでした。
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やはりCPUクーラーと電源とで空気の取り合いになりましたか。
以前SX700-LPTの記事が一時的に公開された際にも書きましたが(消えた?)、電源を上から吸気した場合のCPU温度の変化が気になりますね。
その場合は電源が冷却不足になるかな……?