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有限会社 汐見板金から16年の年末に発表された純国産アルミ製の完全受注生産PCケース「AX2」をレビュー用サンプルとしてお貸りできたのでレビューします。完全受注生産のためデフォルト価格で4.8万円と高級品のPCケースですが旧型のAX1からさらに改良が施された、こだわりの一品です。
なお完全受注生産かつ日本国内生産なので多少のわがままも聞いてもらえるのでは?という期待のもと重箱の隅をつつくような改善希望案も盛り込んでレビューしていきます。

公式販売ページ:http://www.shop-siomi.com/shopdetail/000000000043/
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今回、AX2のレビュー用に自作PC構成パーツとして次のパーツを使用しました。



レビュー目次


1.AX2の外観
2.AX2の内部構造の概要
3.AX2のマザーボードトレイや内部スペースについて
4.AX2の5インチベイの拡張について
5.AX2のサイド・トップの拡張スペースについて
6.AX2の電源ユニットと裏配線について
7.AX2の水冷ラジエーターの設置について
8.AX2で自作PCを組む(ギャラリー)
9.AX2のレビューまとめ



AX2の外観

早速AX2を開封して、AX2の外観からチェックしていきます。
AX2はピッタリサイズの段ボール箱に入って送られてきました。PCケース本体はエアクッションでしっかり保護されています。
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今回提供いただいたAX2サンプル機のカラーはガンメタルになっています。一般販売品は光沢塗装となっていますが、サンプル品は写真撮影時の映り込み防止のため艶消し塗装になっています。左サイドパネルと右サイドパネルには開口型スペース搭載のオプションが採用されています。
外装のカラーバリエーションについてはガンメタリック、パールホワイト、ダークレッド、スカイブルー、ミリタリーグリーン、ブラウン、オレンジの7色が用意されており、別料金で個別に細かく色指定も可能とのことです。
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AX2の外観は次のようになっています。
右側サイドパネルにはオプションとして開口窓のついたサイドパネルが選択可能です。
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従来モデルAX1ではソリッドパネルとパンチング加工によるエアスリット入りパネルの2種類のみでしたが、新型AX2では同社フルタワーPCケースZX1同様にソリッドパネルに加えて開口パネルのオプションが追加され、この構造はトップパネルにも採用されています。
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開口部分のパネルは裏側の手回し可能なナットによって固定されておりツールレスで交換可能です。
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開口部分に装着可能なパネルはソリッドパネル、エアスリットパネル、アクリルパネルの3種類です。ソリッドパネルとエアスリットパネルについてはサイドパネルの上下、トップパネルのフロントとリア(前後)の5か所に関して独立に交換可能になっています。ただしアクリルパネルはサイドパネル上下とトップリア前後のパネルは一体となっています。
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トップリアをエアスリット、サイドをアクリルに換装すると下の写真のようになります。
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開口窓パネルの開口部分がツールレスで自由にカスタマイズ可能というのも魅力的ですが、エアスリットパネルについては従来のパンチング穴形式のほうが管理人的には好みなので同社にお尋ねしたところ、
特注になってしまいますが、従来のパンチングも可能です。価格は穴無し価格+4,000円で、開口位置の指定やパンチング形状(○の大きさ指定や□穴やハニカム形状等)もカスタマイズ承ります。
とご回答いただけました。完全受注生産なのでこういった柔軟さは非常に魅力的です。

PCケースのフロントとリアは次のようになっています。
PCケースフロントにはパワースイッチ等が設置されたI/Oパネルを含めて10基の5インチベイが備え付けられています。I/Oパネルもその他の5インチベイパネル同様に移動可能です。リアには7基のPCI-Eスロットが設けられています。また120mmのケースファンを設置可能です。
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PCケースフロントの外周部分は着脱可能なパネルになっており、固定方法はジェラコンキャッチなのでツールレスで容易に着脱できます。ジェラコンキャッチのカラーはサンプル機ではブルーですが、レッドやブラックなどお好みのカラーを選択可能で、耐久性に優れたスチール製ボールキャッチもオプションとして存在します。
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ケースボトム側にシャーシとフロントパネルの間でシャーシ側に板金分の溝があるのでそこに指を入れてフロントパネルを外します。この隙間は若干狭いのでパネル側に切り欠きを入れてみてはどうでしょうか?とお尋ねしてみたところ検討してみたいとのお返事を頂けました。
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トップパネルと両サイドパネルはフロントパネル裏のハンドスクリューで固定されています。それぞれ2か所のハンドスクリューを外した後はフロント側へスライドさせて各パネルを取り外します。
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リア側はネジが減ってスッキリするので好みの問題かもしれませんが、管理人的にはサイドパネルやトップパネルを外す度にツールレスとはいえフロントパネルを外すのは手間なので一般的なPCケースのようにリア側ネジでリア方向へ引き抜きの形でもいいかなと思いました。

ケースボトムにはフロント側に120mmファン*3 or 140mmファン*2に対応したファンホールと電源ユニットの吸気ファン用のファンホールがあります。ただサンプル機では電源ユニット用のファンホールの奥行が大型のハイエンド電源に対してはズレており、また最近は140mmファンを搭載する電源ユニットも増えてきているので幅も狭いのが気になります。
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あと電源ユニットは左寄りに配置されているので中央に配置して、フロント側のファンホールを延長する形のほうが良いのではないか?とお尋ねしたところ、後述するサイド増設パネルをボトム側に設置した場合の干渉を避けるためこのように配置しているとのことでした。電源ユニット冷却ファン用のエアスリットについては後程、写真を交えながら詳細に解説します。

ケースボトムにはキャスター+アジャスターのオプションが存在し、キャスターで各種パーツを組み込んだ状態でも容易に移動可能にしつつ、PC使用時はアジャスターで固定できます。
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AX2の内部構造の概要

ここからはAX2の内部構造の概要をチェックしていきます。
マザーボード側のサイドパネルを外すと内部の俯瞰図は次のようになっています。PCケースシャーシのリベットはサンプル機では単純な黒塗装のため写真の中で一部塗装が剥げているものもありますが、製品版では摩耗に強いアルマイト加工がなされているのでリベットの塗装が剥げる心配はあまりないと思います。
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シャーシのリベットについてですが加工精度の高さが裏目に出たのか、トップパネルとシャーシの隙間がギリギリなので、トップパネルの着脱時にリベットの浮いた部分がパネルに引っかかりました。トップパネル部分のリベットのみシャーシに埋まるようにするなど改善を期待したいです。
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PCケース内部や増設パーツの各種固定ネジのネジ穴はステンレス製ネジ穴プレートをシャーシにリベット止めする構造になっているのでアルミPCケースにありがちなネジ穴が潰れるという心配はありません。
またAX2に使用される固定ネジの規格は基本的にミリネジのM3に統一されています。国内ホームセンターで簡単に入手できる規格のネジが採用されているのは便利です。デフォルトでは通常の+ネジですが、オプション価格+2100円ではツールレス固定が可能なハンドスクリュー(手回しローレットネジ)も選択可能になっており、今回のサンプル機ではPCケース内の固定ネジの大半がハンドスクリュー形式だったので各種パーツの着脱が非常に楽でした。
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なおトップパネルとサイドパネルの固定ネジはデフォルトでハンドスクリューとなっており、オプションによってハンドスクリューに変わるのはマザーボードトレイの固定ネジ(リアパネル)、PCIスロット固定ネジ、5インチベイ固定ネジの3か所となります。


AX2のマザーボードトレイや内部スペースについて

AX2ではマザーボードトレイはPCケースシャーシから着脱可能な構造になっています。
マザーボードトレイはリア側のハンドスクリューを外すことでリア側に引き抜くことができます。トレイはシャーシ側のレール上を滑らせる構造になっています。レールでも固定されているので重量級のグラフィックボードやハイエンドCPUクーラーを搭載してもマザーボードトレイがグラつくことはありません。
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マザーボード固定用のスペーサーは単純なナットネジを取り付けるだけの形式ではなく、専用の2点止めステンレス製スペーサーが採用されています。マザーボード、ハイエンドCPUクーラー、グラフィックボードなどで4~5Kg近い重量になるシステムを支えることを考えると1点で固定されているスペーサーよりも安心感があります。
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スペーサーは使用するマザーボードに合わせてトレイにネジ止めします。一般的なATXマザーボードからサーバー向けのSSI-CEB規格などにも対応可能です。
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ATXマザーボードのASUS ROG MAXIMUS VIII HERO ALPHAを設置すると次のようになります。
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マザーボードトレイにはATXマザーボードのネジ穴のすぐ右にケーブルホールが開いています。ケーブルホールの幅は17mmほどでやや狭いと感じました。ATX24PINのケーブルは擦りながら通す感じになってしまうのでその他のケーブルも通すことを考えると、もう10mmほど幅が欲しいところ。
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マザーボードトレイのサイズ的にはE-ATXのマザーボードも使用可能ですが、マザーボードトレイに備え付けられたケーブルホールは基板に覆われてしまうので使用できなくなります。
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PCケースのシャーシにはマザーボードトレイ用のレールが設置されているので、トレイにシステムを組み込んで重量が増しても簡単に装着できます。
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マザーボードトレイにCPUクーラーを搭載したままPCケースへトレイを戻す場合についてですが、CPUクーラーの高さマージンが170mmにギリギリ届くかどうかといった感じでした。空冷大型ハイエンドCPUクーラーの高さがだいたい160~170mmなので余裕を見て175~180mmほどクリアランスが確保できていればよかったとも思います。とはいえ殆どの空冷クーラーでは設置したままマザーボードトレイの着脱が可能なはずです。
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なおPCケースにマザーボードトレイに固定後のCPUクーラーのクリアランスについては、高さ方向に190mm以上、マザーボード上側にも80mm以上のスペースがあるので既存の大型ハイエンド空冷クーラーにも余裕で対応可能で、簡易水冷クーラーのラジエーターもトップに配置可能です。
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グラフィックボードについても同様に確認したところ、PCIスロットと同じ背の高さのグラフィックボードであれば干渉問題は発生しません。また背の高いグラフィックボードであっても、1~3スロットに収まるなら干渉しませんでした。ただしMAXIMUS VIII HERO ALPHAは2段目にPCI-Ex16スロットがあるため3スロット占有グラフィックボードを使用した場合はシャーシとグラフィックボードが干渉しました。この問題は背の高いグラフィックボードを使用したマルチGPU環境でも発生するので上位3スロット同様に下位4スロットについても干渉しないように設計して欲しいと感じました。
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PCIスロットの固定ネジもフロントパネル、トップパンネル、マザーボードトレイなどの固定と同じくツールレスなハンドスクリューになっています。
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旧型のAX1ではグラフィックボードの設置スペースは260mm(5インチベイ裏も含めると350mm)でしたが、新型のAX2では320mmと大幅に拡張されています。下の写真では以前レビューした「Palit GTX 1070 Super JetStream」を設置していますが、3スロット占有するような超大型のハイエンドグラフィックボードでも余裕をもって設置できます。
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あと細かいところですが、PCIスロットの固定ネジ直上はシャーシとネジが被っています。マザーボードトレイを取り外せる構造なので外に引き出してからネジ着脱という代替案もあるのですが、右画像のようにシャーシの一部に切り抜きを入れるだけで便利になる部分なので仕様変更を期待したいところです。
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AX2の5インチベイの拡張について

最近の自作PC用ケースではフラットなフロントパネルが流行っているため5インチベイ絶滅が危惧されていますが、AX2にはI/Oパネルの搭載スペース含めて10基の5インチベイが設置されています。
5インチベイもケースパネルやPCIスロットで使用されるのと同じハンドスクリューで固定する構造になっています。
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I/Oパネルを搭載する最上段の5インチベイはデッドスペースになるかというとそんなことはなく、ケーブルを適切に配線すれば背後のスペースは自由に使用できます。
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光学ドライブ用などの一般的な5インチベイ用のパーツについてはPCケースシャーシにはネジ穴がありませんが、固定穴の5インチベイ用アダプタとスリット穴の5インチベイ用アダプタの2種類がオプションとして販売されています。
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固定穴だけでなくスリット穴のアダプタもあるので様々な5インチベイモジュールが設置可能です。
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またAX2専用の5インチベイ設置アイテムとして新型の「亀の子ストレージトレイ」が開発されました。亀の子トレイは重ねる段数を増やしても重量に耐えられるようスチール製になっています。剛性も高く安定しているので高速回転のHDDを設置してもビビり音が気になることはなさそうです。
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亀の子ストレージトレイはその名の通り大本のベース部分のトレイに3.5インチ用、2.5インチ用のストレージトレイを積み重ねていく形のストレージトレイになっています。ストレージトレイの内部にはストレージを挟むバネ仕掛けプレート入っており、トレイ横中央のハンドスクリューで締め付ける力を調整できます。
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3.5インチストレージトレイ2段の高さは80mm、2.5インチストレージ2段の高さは50mmとなっています。目安として3.5インチストレージ2段で5インチベイ2段占有、2.5インチストレージ3段で5インチベイ2段占有です。
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亀の子ストレージトレイも5インチベイ部分のシャーシがレールになっており、簡単かつしっかりと固定可能です。AX2をレビューしていてPCケースの工作精度高さを一番感じた部分でした。
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また5インチベイのフロントにはソリッドパネルだけでなく、オプションパーツとして120mmファンと140mmファンのマウンタも存在します。120mmファンは5インチベイ3つ、140mmファンが5インチベイ4つのフロントパネルを占有します。フロントのファンマウンタと亀の子ストレージトレイは併用可能な構造になっています。
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フロントのファンマウンタはエアスリット付きのパネルとケースファンアダプタのセットとなっています。
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240サイズや280サイズのラジエーターに対応した縦スリットのネジ穴付きアダプタのオプションパーツがあると嬉しい気もしますが、豊富な5インチベイというAX2の長所を潰すことになるので要らないような気もします。


AX2のサイド・トップの拡張スペースについて

AX2のPCケースサイド(マザーボード直上)とPCケーストップには共通規格の拡張スペースがあります。
拡張可能なモジュールとして120mmファンマウンタ、140mmファンマウンタ、2.5インチストレージ*2用シャドウベイの3種類となっています。
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これらのモジュール設置位置はPCケーストップのフロントとリア、PCケースサイドの上と下の4か所です。各位置に搭載可能なモジュール数と種類は次のようになっています。

・PCケーストップのフロント:3種類のうち1つ設置可能
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・PCケーストップのリア:3種類からいずれの組み合わせでも2個設置可能

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PCケーストップリアについては120mmファンマウンタ、140mmファンマウンタ、2.5インチストレージ*2用シャドウベイの3種類のいずれの組み合わせでも2種類が設置可能になっています。ただし140mmファンマウンタについてはスペースがギリギリなので左右の移動マージンがなく、280ラジエーターによってはネジ穴が合わない場合があるかもしれません。
ケーストップの増設モジュールの設置方法について個人的な希望ですが、下から設置してネジでシャーシと挟む構造よりも、シャーシの上から増設モジュールを乗せる構造にして欲しかったです。そのほうが固定が楽なので。あとトップパネル開口部分のネジと干渉する都合で増設モジュールはハンドスクリューを使用できないのも少し残念でした。
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干渉するのは開口パネルの固定ネジなので、ソリッドパネルや特注で作成依頼するパンチング加工のエアスリットのトップパネルであればケーストップの増設モジュール固定もハンドスクリューを使用できます。

・PCケースサイドの上下:120mmファンか2.5インチを2個 or 140mmファン1個のみ
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写真では上側のみに増設ブラケットを設置していますがブラケットは下側にも設置可能です。ブラケットはジェラコンキャッチで着脱する構造になっており、専用の固定金具をPCケースシャーシに設置します。ブラケットにはケーストップと共通のマウンタが装着可能です。ジェラコンキャッチの色はサンプル機では黒色ですが、製品版ではフロントパネル同様にカラーや材質を選択できます。
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なお背の高いグラフィックボードの場合、補助電源コネクタやケーブルとサイドの増設モジュールが干渉して増設用ブラケットが固定できない場合があるので注意してください。
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AX2の電源ユニットと裏配線について

AX2の電源ユニットの設置と裏配線スペースについてチェックしていきます。
まずは電源ユニットの設置ですが、検証にはCorsair RM650iを使用しました。手で支えなくてもPCケースリアのネジ穴と電源ユニットのネジ穴の位置が一致するので電源ユニットの固定は簡単でした。
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奥行160mmのCorsair RM650iなら電源ユニットを設置しても5インチベイのエリアまでまだ150mm以上のスペースがありモジュラーケーブルの抜き差しを行うのにも十分です。
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Corsair RM650iは奥行160mmの一般的なミドルレンジの電源ユニットですが、すでにPCケースボトムで右から3番目のファン設置スペースの一部を占有しています。奥行が大きく冷却ファンがフロント寄りになるハイエンド電源の設置を考えるとやはりボトムのエアスリットはリアから180mmくらいまで電源ユニット用に設計してもらいたいところです。また140mmファン搭載の電源ユニットの場合、ボトムの吸気エアスリットはやはり幅が若干足らないのでこの点もぜひ改善して欲しいと感じます。
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またSS1200-XP3のような大型のハイエンド電源の場合は前述のように奥行方向で電源冷却ファン用のエアスリットがズレました。ただし電源ユニットはPCケースシャーシ内の4カ所の絞り台の上に乗せて浮かせているので電源ユニットが窒息で冷却できないといった心配はないと思います。
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PCケースのマザーボード裏は次のようになっています。
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裏配線スペースの厚さについてはマザーボードトレイからシャーシの端までが約20mmとなっています。電源ユニットからケーブルを通すに必ず通過するマザーボードトレイのレール部分は出っ張っているので幅が15mmほどしかありません。
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ただしサイドパネルの裏側にも8mmほどの厚さのスペースが確保されています。合計の裏配線スペースの幅は23~28mmほどなので広いとは言えませんが、裏配線スペースでサイドパネルとケーブルの干渉を気にするほど狭いわけではないので問題ないと思います。
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ケーブルはマザーボードトレイの裏を通した後は横側のケーブルホールだけでなくマザーボードトレイの上側からも表にケーブルを出せるのでATXマザーボード上部に配置されることの多いEPS 8PIN電源も問題なく配線可能です。
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またマザーボードトレイの各所にはケーブルタイ用の穴も開いているので、各種ケーブルの固定にも困ることはないと思います。
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AX2は裏配線スペースも確保されておりケーブルマネジメントで困ることはないと思います。ただスリーブケーブルなのでケーブルホールも簡単に通せましたが電源ユニット付属の束ねられた24PINケーブルを考えるとマザーボード横のケーブルホールはもう少し幅が欲しいですね。
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AX2の水冷ラジエーターの設置について

AX2で簡易水冷クーラーを使用する場合や本格水冷PCを組む際にどの程度ラジエーターを設置できるかチェックしてみました。これまでのレビュー内容でなんとなく予想は付くと思いますが、各場所について確認していきます。
まずはPCケーストップについてですが、シャーシに開いているスペース的には最大で280サイズのラジエーターが設置可能です。ファンアダプタの移動マージンが少ないので8点で固定できないかもしれませんが140mmファン1つ分の固定でも特に問題ないと思います。
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ただしトップパネルの開口部分の長さは240mmしかないのでPCケーストップについては最大240mmラジエーターの設置が上限だと思います。もっともスペース的には余裕がある以上280mmラジエーターを設置したいユーザーもいると思うのでトップパネルの開口部分は広くしてほしいです。と
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写真のようにPCケーストップには簡易水冷クーラーのラジエーターも設置可能です。厚さについてはマザーボードとの干渉するのでスペースは60mm程度でした。簡易水冷クーラーのラジエーターであれば片面ファンで問題なく設置可能です。本格水冷用のラジエーターについても当サイト推奨ラジエーターの「Alphacool NexXxoS Full Copperシリーズ(特集記事)」の30mm厚のモデルなら問題なく使用できます。
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PCケースボトムには120mm*3もしくは140mm*2に対応したスリットが開いています。ケースボトムのスリットについては使用しない場合はブランクパネルで塞いでおくことも可能です。
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電源ユニットの項目で紹介したように奥行160mmの電源ユニットであっても最もリア寄りの120mmファンスペースは電源ユニットと干渉するため、ケースボトムに設置可能な最大のラジエーターは実質280mmサイズになると思います。また注意点として5インチベイの幅が150mmほどしかないのでラジエーターグリルが幅をとる280サイズラジエーターは設置できない可能性があります。当サイト推奨ラジエーターの「Alphacool NexXxoS Full Copperシリーズ(特集記事)」であれば問題なく設置できました。
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AX2には豊富な5インチベイスペースがあるので5インチベイに設置可能なD5かDDCコンボリザーバーを使用して、トップかボトムに240or280サイズの大型ラジエーターを設置すればi7 7700KとGTX 1080のようなハイエンド水冷PCも簡単に組むことができます。


AX2で自作PCを組む(ギャラリー)

AX2の特徴や管理人の改善希望案などは一通り紹介し終えたので、AX2を使用して簡単に自作PCを組んでみました。
使用したパーツは記事冒頭に記載した通りです。基礎となるパーツを組み込んだだけなのでまだまだ拡張可能なスペースがあります。
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AX2のレビューまとめ

最後に汐見板金の純日本製フルアルミPCケース「AX2」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 縦横500mm越えのタワーケースながらフルアルミ製で軽量かつ高い剛性
  • 国産の高品質アルミと国内完全受注生産で高精度の設計と組み立て
  • 10基の5インチベイ搭載でストレージ拡張性に優れる
  • 自由にカスタム可能な開口窓
  • PCケース足にアジャスター付きキャスターで移動が楽
  • 着脱可能なマザーボードトレイでメンテナンス性も高い
  • 固定ネジの大半がツールレスなハンドスクリュー
  • 水冷ラジエーターにも対応可能
  • トップパネルのパンチング加工エアスリットなど特注で不満があっても解消できる可能性がある!
悪いところor注意点
  • 完全受注生産なので納期は14日
  • デフォルト4.8万円からと高級品
  • 電源冷却ファン用のダストフィルターがない


縁の埃を指でツツーっとすくうような細かいところまで目を光らせてチェックするという注文の多いレビューでしたが、実際に自作PCを組んでみて汐見板金の純日本製フルアルミPCケース「AX2」は材質も高品質で加工精度も非常に高いPCケースであることは間違いないと感じました。

ネジの種類も少なくジェラコンキャッチやハンドスクリューを使用することで組み立ても容易ですし、着脱可能なマザーボードトレイはメンテナンス性を上げており、ユーザービリティーに非常に優れたPCケースです。最近では数が減りつつある5インチベイですが、光学ドライブや5インチベイに設置するタイプのストレージラックを使用するユーザーは少なくないはずで、そういったユーザーの要望を満たして余りあるストレージ拡張性も備えています。加えて簡易水冷だけでなく本格水冷ラジエーターも搭載可能なスペースも設けられているのでハイエンドCPU&GPU環境を冷やすことのできる水冷環境の構築も難しくありません。

ハイエンド環境ほど重量の大きくなるデスクトップPCにおいてはPCケースにキャスターが付いている便利さは1度体験したら離れられないこと間違いありません。特に水冷PCだと水の分だけさらに重くなりますし。

完全受注生産のため納期に2週間ほどかかりデフォルトで4.8万円と高級品のPCケースですが、一生もののPCケースを購入すると考えればむしろお得な買い物だと思います。裏返せば完全受注生産なので依頼料は別途必要になりますが「あとちょっとこうだったら最高なのに!」という些細な不満点を特注によって解消できる可能性があるというのも同PCケースの魅力かもしれません。

AX2は品質に疑いはなくメンテナンス性にも優れ機能的にも不足するということがほぼ考えられないPCケースなので、予算に収まって外見が気に入ったのであれば購入しても間違いのないPCケースだと思います。


以上、汐見板金の純日本製フルアルミPCケース「AX2」のレビューでした。

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純日本製フルアルミPCケース「AX2」の販売ページへ

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最後に管理人の無茶な希望を書いておきます。

無茶な希望
  • ヒンジ付きのドア型サイドパネルのオプション
  • ドア型フラットパネルなフロントパネル
  • 光学ドライブ用の開閉ベゼル
  • ケーブルホールのある支柱にネジ止め可能なビデオカードホルダー
  • 裏配線スペース+10mm、リア140mmファン対応、サイド140mmファン*2対応、PCI-Eスロット9本(5インチベイ1段追加)なE-ATXマザボに正式対応したPCケース!
汐見板金様では過去にもAX1をベースに拡大・拡張した特注ケースを受注して製作した例も同社ブログで掲載されているので予算があるなら問い合わせてみるのもありかもしれません。
http://www.siomi.co.jp/shop-siomi-bbsjump/999976.htm
かくいう管理人もメイン機のPCケースにAX2ベース特注機が欲しくて悩む。




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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