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日本語では頂点や極地を意味する”APEX”というコードネームを与えられて200シリーズマザーボードからASUS ROG MAXIMUSブランドに仲間入りを果たし、X字を模した尖ったデザインと「DIMM.2」のような尖った機能を備えた「ASUS ROG MAXIMUS IX APEX」をレビューします。
製品公式ページ:https://www.asus.com/jp/Motherboards/ROG-MAXIMUS-IX-APEX/
マニュアル:http://dlcdnet.asus.com/pub/ASUS/mb/LGA1151/MAXIMUS_IX_APEX/J12404_MAXIMUS_IX_APEX_UM_V2_WEB.pdf
当記事はレビューの後編になっており、内容はOC・動作検証・レビューまとめです。マザーボードの外観や各種コンポーネントについてはレビュー前編を参照してください。
<ASUS ROG MAXIMUS IX APEX レビュー【前編】へ>
【執筆:2月20日、更新:2月25日、M.2スロットについて修正】
200シリーズやKabyLakeのPCI-Eレーンについて盛大に勘違いしており、M.2スロット関連の内容がおかしいので修正しました。温度の検証は問題ありません
MAXIMUS IX APEX レビュー目次
【前編:外観・各種コンポーネント】
1.MAXIMUS IX APEXの外観・付属品
2.MAXIMUS IX APEXの基板上コンポーネント詳細
3.MAXIMUS IX APEXのDIMM.2スロットの使い方
4.ASUSマザボのCPUインストレーションツールが便利
5.MAXIMUS IX APEXのオーバークロッカー向け機能
6.MAXIMUS IX APEXへのパーツ組み込み(ギャラリー)
【後編:OC・動作検証・まとめ】
7.MAXIMUS IX APEXの検証機材のセットアップ
8.MAXIMUS IX APEXのBIOSについて
9.MAXIMUS IX APEXの動作検証・OC耐性
10.MAXIMUS IX APEXのDIMM.2スロットのM.2 SSDの温度
11.MAXIMUS IX APEXのレビューまとめ
MAXIMUS IX APEXの検証機材のセットアップ
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASUS ROG MAXIMUS IX APEX以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー | CoolerMaster MasterLiquid Pro 120 (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
ASUS GeForce GT730 ファンレス GT730-SL-2GD3-BRK |
システムストレージ |
Samsung 960 PRO 512GB NVMe接続M.2 SSD (レビュー) |
データストレージ |
OCZ RD400 512GB NVMe M.2 SSD |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i (レビュー) |
メモリクーラー (M.2 SSDの検証で使用) |
CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM (レビュー) |
検証機材のCPUには最新KabyLake CPUのデスクトップ向け最上位となるi7 7700Kを殻割りしてCPUダイとヒートスプレッダ間には液体金属グリスのThermal Grizzly Conductonaut(レビュー記事)に塗りなおしたものを使用しています。またCPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
マザーボード単体で見ても「ASUS ROG MAXIMUS IX APEX」に搭載されたLEDイルミネーションは非常に豪華です。VRM電源クーラー下、「REPUBLIC OF GAMERS」ロゴパネル、チップセットのROGロゴ、DDR4メモリスロット、マザーボード背面の外周部と各所に散りばめられたLEDイルミネーションが同期してカラーサイクルを投影しているのでMAXIMUS IX APEXだけで完成された美しさがあります。
特に後光を演出するようなマザーボード背面外周部に散りばめられたRBG LEDの発光は非常に綺麗です。
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXに搭載されたLEDイルミネーションは発光カラーや発光パターンを専用アプリのAURA Syncから同期操作可能になっています。
VRM電源クーラー下、「REPUBLIC OF GAMERS」ロゴパネル、チップセットのROGロゴ、DDR4メモリスロット、マザーボード背面外周部の5つについてはカラーサイクルのように同期操作を行うほかにも、スタティックなどでは個別に発光カラーを設定できます。
マザーボード上に設置された汎用RGB LED 4PINヘッダーを使用することでLEDテープなどによるLEDイルミネーションの拡張も可能です。ASUSのLEDイルミネーション機能「AURA Sync」については下の記事で紹介しているので、詳しくはこちらを参照してください。
・ASUS製のLEDイルミネーション操作機能「AURA Sync」の使い方
MAXIMUS IX APEXのBIOSについて
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。)ASUSマザーボードは競合他社と比較しても日本語ローカライズの充実と正確さが魅力です。
まず最初にASUS ROG MAXIMUS IX APEXのBIOSについてですが、
管理人の購入した個体については初期のBIOSバージョンは「0401」、リリースも昨年12月とかなり古いものでした。「0401」はサポートページにも公開されていないバージョンになっており、サポートページで公開されている「0701」では日本語訳の更新、機能の追加、安定性の向上なども含まれているので最低でも「0701」にはアップデートしたほうがいいと思います。
BIOSのアップデート方法は、まず下のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
https://www.asus.com/jp/Motherboards/ROG-MAXIMUS-IX-APEX/HelpDesk_Download/
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードの「ツール-ASUS EZ Flash 3 Utility」でストレージデバイスからのアップデートでBIOSファイルを選択します。あとはガイドに従ってクリックしていけばOKです。
最新版のBIOSにアップデートしたところで、ASUS ROG MAXIMUS IX APEXのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
まず200シリーズのASUS製マザーボードではNVMe SSD接続端子の1つであるU.2端子はほぼ完全に廃止されていますが、M.2スロット用U.2変換キットである「HyperKit」については200シリーズマザボでも継続して利用できるようです。MAXIMUS IX APEXの場合は設置されているM.2スロットの片方でHyperKitが使用可能です。
チップセットのLEDイルミネーションについてはデフォルトではOSのシャットダウンやスリープ時もLEDが点灯しますが、「In sleep, hibernate and soft off states」の項目をOFFにすることでスリープ時やシャットダウン時のみLEDイルミネーションをOFFにすることができます。
なおLEDの点灯・消灯設定はWindows上の「AURA Sync」による操作が優先されます。少し分かりにくいのですが「Independent」タブのマザーボードの項目がスリープやシャットダウン時のLEDイルミネーションの設定になっています。AURA SyncをインストールするとBIOSからのスリープ・シャットダウン時のLED設定は無効になるので注意してください。AURA Syncについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
マザーボード上のコンポーネント詳細でも紹介した外部温度センサーについてはBIOS上からも温度をモニタリングできます。流量センサーや簡易水冷(AIO水冷)ポンプ専用の項目も用意されており、MAXIMUS IX APEXであれば冷却機能周りは空冷・水冷ともにほぼ全てBIOS上でコントロール可能です。
BIOS上のファンコントロール機能についてですが、CPUファン端子の冷却ファンはCPU温度依存のファンコントロールしかできませんが、その他のケースファン端子については、外部温度センサーなどの各種温度ソースからファンコントロールが可能です。
ファンコントロール機能について、200シリーズマザーボードでバージョンアップした「Fan Xpert 4」では新たに「PWMモード」と「DCモード」のハイブリッドコントロールにも対応しているとこちらのページでは紹介されていますが、ハイブリッドコントロールを使用するにはASUSマザーボード専用ユーティリティーの「AISuite3」をインストールする必要があります。
CPU設定には「許容電力上限値」「瞬間許容電力上限値」という2つの電力制限機能があります。デフォルトの状態では「Auto」になっており、ASUSマザボの多くではパワーリミットが掛からないように勝手に設定してくれるので放置でも問題ありません。基本的に省電力機能(+若干のシステム保護機能)なので、手動で設定する場合は常識的なコア電圧範囲内でOCをするだけであれば設定値は大きく、例えば単位はWなので「200」あたりを入力しておけば十分だと思います。
なおASUSマザボで省電力のために消費電力制限をかける場合は「許容電力上限値」「瞬間許容電力上限値」だけでなく「EPU(省電力機能)」がデフォルトでは無効になっているはずなので有効にする必要があります。ただし逆にOCを行う場合はこの機能は無効にしてください。
MAXIMUS IX APEXの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにして具体的に動作検証を行います。まずは高速ブートを無効にしてBIOS上の起動設定を次のようにしてOSの起動時間を測定したところ20秒ほどとなりました。
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXを使用した場合、デフォルトでコアクロックは全コア4.5GHzになりました。
続いてASUS ROG MAXIMUS IX APEXを使用した場合のCPUのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
ASUSマザーボードにはOS上からOCプロファイルを設定可能な「AISuite3」という統合ユーティリティーが存在しますが、管理人は個人的にこの手のソフトウェアを信用していないので(食わず嫌いの気もありますが)、BIOS上からマニュアルで設定を行いました。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。
一般ユーザーがCPUのOCを行う場合は全コアの最大倍率を一致させると思いますが、同マザボの場合は「CPUレシオ(倍率): すべてのコア」「Sync All Cores: 50」と設定することでデフォルトのベースクロック100MHzの50倍で5.0GHzで動作します。
ASUSマザーボードでベースクロック(BCLK)を変更する場合は「AI Overclock Tuner」をManualに変更するとベースクロックの設定欄が表示されます。
CPUコアクロックのOCを行う際の注意点としてコアクロックを倍率変更でOCすると、CPUキャッシュ(Cache、Ringなど)の倍率も自動的にBIOS側が上げる場合があります。ASUS ROG MAXIMUS IX APEXの場合はコアクロックの倍率を50倍にするとキャッシュの倍率も42倍のままなので、キャッシュクロックを上げる場合は手動で設定すればOKです。
続いてコア電圧の調整を行います。
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXではCPUコア電圧にマニュアルの設定値を固定する「マニュアル」モードとCPUに設定された比例値にオフセットかける「オフセット」モードの2種類が使用できます。
オフセットモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
KabyLake CPU自体のオーバークロック耐性が高いこともあり、少ない設定項目でてきとうに設定を行ってもそれなりにオーバークロック可能です。今回はCPUの動作倍率とコア電圧のみを変更したお手軽設定を使用しました。「CPU動作倍率:51」「CPUコア電圧:1.38V固定」「SVID:OFF」としています。
この設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
コア電圧はBIOS上では1.380Vに固定で設定しましたが、実働ではHWInfo読みで1.392~1.424Vに盛られていました。電圧に幅があるので5.0GHz以上で細かく詰めていくのは少し難しそうです。
Cinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はi7 7700Kの場合20分ほどです。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになり、マザーボードにASUS ROG MAXIMUS IX APEXを使用することでi7 7700Kを5.1GHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1600RPMで固定しています。
ちなみに5.2GHzも試してみたのですがBIOS設定値1.40Vでもストレステストをクリアできませんでした。電圧を盛って設定を詰めれば回ると思いますが面倒なので割愛します。OCer向けマザーボードと言っても「OCをする上で安定しやすく便利な機能があるマザーボード」であって石の当たりハズレを超えるようなものではないのでその点は注意してください。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してストレステスト終盤のASUS ROG MAXIMUS IX APEXのマザーボード上の各所の温度をチェックしました。5.1GHzにOCしてもVRM電源部分は最大でも60度後半となっており、よく冷えているように見えます。
メモリのオーバークロックについては後日、別途検証予定があるので簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXでは「AI Overclock Tuner」を「XMP」に変更することでメモリに収録されたXMPプロファイルを選択できるプルダウンメニューが表示されます。
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXでは「AI Overclock Tuner」を「Auto」もしくは「Manual」を選択時に、最大4266MHz(42.66倍)までの動作クロック設定が可能で、タイミング値も個別に打ち込みが可能です。
なおメモリクロックもCPUコアクロック同様にBCLKに対する倍率なので、BCLKを変更することでBCLK:100MHz時の4266MHz上限から、例えばBCLK:120MHzにすると上限5100MHzに引き上げられます。
ちなみにKabyLake CPUでメモリの動作クロックを3000MHz以上にOCする場合はDRAM電圧だけでなく「VCCSA(CPU System Agent Voltage)」も適度に盛ってやるとメモリOCが安定します。
MAXIMUS IX APEXのDIMM.2スロットのSSD温度
ASUS ROG MAXIMUS IX APEXの最大の特徴の1つでもある「DIMM.2」を使用したM.2 SSDの性能や温度などを検証していきます。検証にはシーケンシャルリード3500MB/sの爆速最新M.2 SSDである「Samsung 960 PRO 512GB」と「OCZ RD400 512GB」を使用しました。まず最初に「ASUS ROG MAXIMUS IX APEX」に設置されているDIMM.2を使用した2基のM.2スロットはIRSTによるRAID構築に対応していることからもわかるようにチップセット(PCH)側のPCI-Ex4で接続されています。
CPUとチップセット間はIntel 100シリーズチップセットから更新されたDMI 3.0で接続されており、この帯域は非公式ながらNVMe M.2 SSDの接続規格であるPCI-E3.0x4とほぼ同じ帯域です。また同マザーボードが対応するKabyLake CPUはCPUから直接伸びているPCI-E3.0のレーン数がx16なので、これらCPU直結PCI-Eレーンは全てグラフィックボード用のPCI-Eスロットに使用されます。
そのためZ270チップセット搭載マザーボードのM.2スロットは基本的にPCHを経由して接続され、最新の3.0GB/s越えの高速SSDでもフルスペック動作が可能になっています。左は「Samsung 960 PRO 512GB」、右は「OCZ RD400 512GB」です。
しかしながら同時にこの帯域がボトルネックになるため複数のM.2スロットで一度にアクセスが発生すると合計で4GB/s程度がボトルネックになります。現状ではランダム性能への影響は軽微で、主にシーケンシャル性能に制限がかかります。
M.2スロットのPCI-Eレーンがどこに繋がっているかで簡単に次のようなメリットとデメリットがあります。
CPU直結の場合 | PCH接続の場合 | |
長所 | 複数のM.2 SSD(PCH側*1含む)の 同時アクセスでもフルスペック動作 |
IRSTによるハードウェアRAIDで 書き込み性能を上げることができる |
短所 | IRSTによるハードウェアRAID ができない |
複数のM.2 SSDから同時にアクセス があると4GB/sがボトルネックになる |
KabyLake CPUに対応するZ270チップセットではIntel Optaneに対応するためPCH側のPCI-E3.0レーン数がZ170チップセットの20レーンから24レーンに拡張されており複数のM.2スロットを搭載するマザーボードが多くなっているのでこの仕様は抑えておいてください。
続いてDIMM.2に設置されたM.2 SSDの温度を検証します。
温度検証には「Samsung 960 PRO 512GB」のみ使用しています。ストレステストにはCrystalDiskMarkを数回行って、その時のリード・ライト速度と温度のログを取ってグラフ化しています。
SSDにOSがインストールされておりシステムストレージ上でCrystalDiskMarkを実行しています。おそらくそのせいで温度が低くサーマルスロットリングが発生していない状態でも、アクセスの台形が歪む場合がありますがそこは無視してください。
まずはDIMM.2にM.2 SSDを設置しただけの状態で測定したグラフです。
960 PROは現在市場に出回っているNVMe M.2 SSDの中でもサーマルスロットリングの発生しにくいSSDなので速度低下こそ起きていませんが、HWInfo読みのSSD温度は70度を超えており、旧モデルの950 PROをはじめとして多くのNVMe M.2 SSDでサーマルスロットリングの発生を予想できる温度になりました。
ストレステスト終盤のサーモグラフィも撮影しました。Samsung 960 PROではメモリコントローラーの温度がモニタリングされていますが、モニタリングされていないメモリチップは80度を超えています。
さらに公式ホームページでも組み合わせた使用が紹介されており、先日レビューを行った「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM(レビュー記事)」を使用してM.2 SSDを冷やしてみました。
メモリスロットのラッチをクリップ状の足で挟む形でメモリクーラーを固定すると、DIMM.2に設置されたM.2 SSDをメモリと同時に冷やすことができます。
「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM」は公式にはサポートされていませんが、ASUS AURA Syncの汎用4PINヘッダーを使用してLEDイルミネーションの同期操作が可能です。
「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM」の冷却ファンを1400RPMに固定して同様にストレステストを行いました。なお同メモリクーラーの1400RPMは騒音計で電源OFF時33dBに対して、35dB以下なのでほぼ無音です。「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM」を使用することでメモリクーラーなしの状態に比べて10度以上温度が下がっています。
先ほど同様にサーモグラフィを撮影しました。メモリチップも10度ほど温度が下がっています。
「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM」を設置することでアクティブにM.2 SSDを簡単に冷却することができるのでASUS ROG MAXIMUS IX APEXと組み合わせて使用するのはおすすめです。M.2 SSD用のヒートシンクなどと組み合わせればさらに冷やすことができると思います。
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Corsair(2014-12-10)MAXIMUS IX APEXのレビューまとめ
最後にオーバークロッカー向けマザーボード「ASUS ROG MAXIMUS IX APEX」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ブラックを基調としたクールなデザイン
- CPUインストレーションツールが非常に便利
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット
- 独自M.2スロット「DIMM.2」を搭載。メモリクーラーによってM.2 SSDを簡単に冷やせる
- 外部センサーと搭載で水温ソースのファンコンも可能なので水冷PCにも最適
- 検証機ではi7 7700Kの5.1GHzオーバークロックで正常動作
- 豪華なLEDイルミネーション搭載、特に裏面外周部の後光ライクなLEDが綺麗
- AURA SyncでLEDイルミネーションの同期操作が可能
- NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用の新型SLI HBブリッジが付属する
- 各種オンボードスイッチ等、オーバークロッカー向けのハードウェアツールを多数備える
- ATXよりも横幅の20mm程長いE-ATXフォームファクタなのでPCケースとの干渉に注意
- OC向けなのでメモリスロットは2基のみ
- HDMI端子はver1.4で4K・30FPSが上限
- 価格は4.4万円とエンスー向けX99マザーボードと大差のない高価な価格帯
日本語では頂点や極地を意味する”APEX”というコードネームでROG MAXIMUSブランドに仲間入りを果たし、X字を模した尖ったデザインと「DIMM.2」のような尖った機能を備えた「ASUS ROG MAXIMUS IX APEX」は、前世代から正当進化を果たし新世代 KabyLakeの特徴も余すところなく網羅した「ROG MAXIMUS IX」シリーズのHERO、Code、Formulaとはまた毛色の異なる特化型マザーボードに仕上がっています。
KabyLake CPUに対応した200シリーズマザーボードとしては、24レーンに拡張されたPCI-Eレーン数を活かして独自のM.2接続端子である「DIMM.2」ではM.2スロットを2基搭載しており、NVMe SSDとIntel Optaneにも対応しています。またOCやGaming向けマザーボードながら赤色を廃した黒一色のクールなデザインへとデザインを一新し、重量級グラボにも耐えるメタルアーマー搭載のPCI-Eスロットを採用するなど最新マザーボードのトレンドもふんだんに盛り込まれています。
初心者にありがたい「CPUインストレーションツール」、フロントI/Oの接続を容易にする「Q-Connector」、検証に便利なオンボードのスタートスイッチ、水冷に最適な外部センサーに対応したファンコントロールなどASUS独自機能を新旧取り揃えおり、OCerでなくても使いやすいマザーボードです。
検証機ではi7 7700Kの5.1GHz動作を実現するなど高いパフォーマンスが求められる最新のゲーミングPC事情にも答えられる性能を発揮してくれたように実際の動作にも全く問題はありません。
拡張性の高いLEDイルミネーション操作機能「AURA Sync」にも対応しており、とりわけマザーボード背面外周部に散りばめられたRGB LEDの後光を演出するようなイルミネーションは非常に豪華です。
極限を目指すOCer向けをコンセプトにデザインされただけあって、OCerにとって嬉しいハードウェアレベルの操作モジュール12個の機能「Overclocker's Toolkit」も搭載されています。
OCスキルのさほど高くない管理人が言うのも気が引けますが、基本的にコアクロックやメモリクロックがどこまで回るかはCPUやメモリの当たりハズレ次第なのでMAXIMUS IX APEXにマザーボードを変えたからといってCPUやメモリのOC耐性が劇的に伸びることはおそらくありません。ただ一般の工具とプロの使う工具が違うように、OCを行う上での特化型マザーボード「MAXIMUS IX APEX」の使い勝手は他のマザーボードと一線を画すると言ってもいいと思います。
熟練のOCer向けの製品という位置付けではありますが、「ちょっくらOCを極めるか」という志高い初心者のOC入門機としても不足することのないマザーボードです。
APEXはHERO、Code、Formulaとはまた毛色の異なる特化型マザーボードに仕上がっていますが、同時にASUSのKabyLake CPU向け200シリーズマザーボードの特色もこぼすことなく取り揃えています。「ASUS ROG MAXIMUS IX APEX」はオーバークロッカーにとって有力なマザーボードであるのはもちろん、これからOCを本格的に始めようと思っている初心者にとってもOC向けに十分以上の機能が盛り込まれた不足することのない鉄板の1枚だと思います。
以上、ASUS ROG MAXIMUS IX APEXのレビューでした。
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Corsair(2014-12-10)<PCショップアークの「G.Skill Trident Z RGB」販売ページへ>
200シリーズのマザーボード販売ページ
<Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク><ドスパラ>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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マジなら使うかは置いといて凄い嬉しいんだけど