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3月11日に満を持して発売されたNVIDIA GeForce GTX 10XXシリーズのナンバリング最上位となる「NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition」のレビュー用サンプルを例のごとく購入し、前回はGTX 1080などと実ゲームを使用したゲーム性能のベンチマーク比較レビューを行いましたが、今回は待ちに待ったGTX 1080 Tiの水冷化レビューです。ゲーム負荷で80度を超えるGTX 1080 Ti Founders Editionを水冷化によって40度台で運用を狙っていきます。
EKWBのTITAN X Pascal用水冷ブロックがGTX 1080 Ti Founders Editionなどリファレンス基板モデルで互換性があるので水冷化していたメイン機のTXP1つから水冷ブロックを取り外してGTX 1080 Tiに換装していきます。
なおEKWBの水冷ブロックにはサーマルパッドが付属しますが、今回は折角の機会なので、クマさんパッドこと「Thermal Grizzly Minus Pad 8」を国内代理店 親和産業からご提供いただいて使ってみました。
セラミック、シリコン、微粒子化された酸化アルミニウムで構成されたパッドは熱伝導効率が8.0W/m・Kと高い効率を誇っており、非電導性なのでグラフィックボードと水冷ブロックの接触にも安心して使用できます。
必要なサーマルパッドのサイズは次のようになっています。
・水冷ブロック: TG-MP8-120-20-05-1R(0.5mm)*2、TG-MP8-120-20-10-1R(1.0mm)*1
・バックプレート: TG-MP8-120-20-10-1R(1.0mm) *2
GTX 1080 Ti FEに使用可能な水冷ブロックについて
GTX 1080 Ti Founders EditionではEKWB製のTITAN X Pascal向け水冷ブロックが公式に互換性を確認されており安心して使用できます。EKWB製のGTX 1080 Ti対応水冷ブロックは下テーブルのEKWB公式か北米水冷パーツ通販PPCSでの購入がおすすめです。商品名 | 希望小売価格 |
EK-FC Titan X Pascal | 123.99ドル |
EK-FC Titan X Pascal – Acetal | 123.99ドル |
EK-FC Titan X Pascal – Nickel | 135.99ドル |
EK-FC Titan X Pascal – Acetal+Nickel | 135.99ドル |
EK-FC Titan X Pascal Backplate – Black | 34.99ドル |
EK-FC Titan X Pascal Backplate – Blue | 38.49ドル |
EK-FC Titan X Pascal Backplate – Red | 38.49ドル |
EK-FC Titan X Pascal Backplate – Gold | 38.49ドル |
EK-FC Titan X Pascal Backplate – Nickel | 43.99ドル |
水冷ブロック本体はトップカバーの種類とベース部分のニッケルメッキの有無で計4種になっています。
ニッケルメッキなしモデルのほうが安価ですが長期使用でも汚れにくいのでニッケルメッキ版のほうが個人的にはおすすめです。また水冷トップは透明アクリルのほうがオシャレですが中が汚れると見栄えが悪くなるのと強度ではアセタルのほうが勝ります。
・EK-FC Titan X Pascal (アクリル)
・EK-FC Titan X Pascal (アクリル&ニッケルメッキ)
・EK-FC Titan X Pascal – Acetal (アセタール)
・EK-FC Titan X Pascal – Acetal+Nickel (アセタール&ニッケルメッキ)
専用のアルミ製バックプレートもカラバリ全5種で販売されます。
また水冷パーツメーカーAqua Computerから「GTX 1080 Ti Founders Edition」などGTX 1080 Tiのリファレンス基板を採用したモデルを水冷ブロック換装で完全に1スロット化できる1スロットPCIブラケットが発売されています。管理人も即ポチしました。2枚しかグラボがないのにご祝儀で4つ。
商品ページ:https://shop.aquacomputer.de/product_info.php?products_id=3657
GTX 1080 Tiのリファクーラーを分解する
なにはともあれまずはGTX 1080 Ti Founders Editionを分解していきます。GTX 1080やTITAN X Pascal同様にGTX 1080 Ti Founders Editionのリファレンス基板の分解にはナットドライバーが必要です。ナットドライバーだけ別に購入するのも微妙なので持っていない人は「Ifixit 54 Bit Driver Kit」というドライバーセットの購入がおすすめです。
グラフィックボードの分解中はネジ等小さいパーツが多いので分解や組立中はもちろん分解後の保管中にも失くさないように、小さいパックやチャック付きポリ袋を用意しておくと便利です。
ポリ袋は分解したグラボの元々のネジを保管するのに、小さいパックは作業時にネジ類を放り込んでおくと紛失し難くなります。
まずはGTX1080のバックプレートを外してみます。GTX 1080 Ti FEの分解で要注意なのはバックプレートに埋まっためっちゃ小さいネジと、基板とクーラーを固定しているナットネジです。特に小さいネジはバックプレートに埋まっているのでネジ穴ナメると救済策がほぼなくなります。
この二つは「PH0」規格のプラスドライバーと「4.0」径のナットドライバーで外せました。
バックプレートネジはめっちゃ小さいので失くさないように要注意です。
まずはバックプレートの取り外し完了です。
続いてナットネジを外しにかかる前にPCIブラケットとクーラーを固定しているネジ2本を予め外しておいた方がいいです。忘れることがあるので。
続いて難敵ナットネジですが、EKWBの水枕マニュアルではナットネジにはペンチを使えと書いてありますが管理人的には非常に危険な気がするので非推奨です。滑って基板裏の素子や基板自体を傷つけたら10万がお釈迦になるのでせいぜい1000円くらいですしナットドライバーの使用を強く推奨します。
管理人が購入したASUS箱詰めのGTX 1080 Ti Founders EditionはGPUコア周辺のスプリングネジの1つに封印シールが貼られていました。これを剥がすと正規保証がなくなります。ネジザウルスという裏技もあるのですが面倒なのでペリッと剥がしてネジも外しました。
ネジを全て外せばグラボの分解作業はほぼ終わりです。クーラーを変にぶつけてGPUコアをコア欠けしないようように注意してLEDとファンのケーブルを外します。
以上でGTX 1080 Ti Founders Editionの分解作業は完了です。
GPUコア周辺とVRM部のアップ写真も載せておきます。VRAM容量が11GBなのでVRAMチップは1枚削られていますね。
下は比較用のTITAN X Pascalですが、GTX 1080 TiのほうがVRM電源部分のMOS FETが増強されているのが基板の実装からはっきりとわかります。
ふふふ、DVIが跡形もねえぜ。アクアさんの1スロブラケットがたのしみ。
リファレンスGPUクーラーには公式発表通りベイパーチャンバーが採用されていました。
GTX 1080 Tiのクーラーを水冷ブロックに換装する
さてここからはEKWB製の水冷ブロックを先ほど分解したGTX 1080 Tiの基板に装着します。冒頭でも紹介したように今回はThermal Grizzly minus Pad 8という高性能なサーマルパッドを使用します。なおEKWBの水冷ブロックにもサーマルパッドは付属するので必須ではありません。
冒頭でも紹介したようにThermal Grizzly minus Pad 8を使用する場合に必要なサーマルパッドのサイズは次のようになっています。
・水冷ブロック: TG-MP8-120-20-05-1R(0.5mm)*2、TG-MP8-120-20-10-1R(1.0mm)*1
・バックプレート: TG-MP8-120-20-10-1R(1.0mm) *2
Thermal Grizzly minus Pad 8は汎用サイズで販売されているので当然ですがグラフィックボードの基板に合わせて各自でカットする必要があります。とはいえハサミでカットするだけなので簡単です。貼り付けるサーマルパッドの厚みもマニュアルに記載があるので特に迷うこともないと思います。
サーマルパッドを貼ったらGPUコアに熱伝導グリスを塗り直し、GPUクーラーを取り付けます。熱伝導グリスには毎度おなじみ管理人愛用のクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。熱伝導効率も高く、柔らかいグリスで塗布しやすいのでおすすめです。
最終的にネジ止めで圧着されるのでグリスの塗り方は割とてきとうでOKです。管理人は一応米の字に伸ばして塗っています。
グリスを塗ったら上から水冷ブロックを被せてネジ止めを行います。EKWB製のバックプレートを使用するユーザーは下写真の赤丸で囲ったネジのみを固定してください。
続いてEKWB製のバックプレートを設置します。
ちなみにEKWB製のバックプレートではパッケージのお尻のほうにネジ類がパーティション分けされてはいっています。見落としてしまう人も多いようなので注意してください。
先ほどの水冷ブロック同様にバックプレートでも贅沢にThermal Grizzly minus Pad 8を使っていきます。ちなみにマニュアルでは指定がありませんが、管理人は個人的に2.0mm厚のサーマルパッドをGPUコア裏にも貼っています。「親和産業 各種発熱部熱伝導用シリコンシート」がぴったりサイズなのでお勧めです。
バックプレート側はサーマルパッドを貼る量も少ないので簡単です。
あとはバックプレートもネジ止めすればGTX 1080 Ti Founders Editionの水冷化が完了です。
Aqua Computerから1スロットブラケットが届けば念願の1スロット水冷グラボの完成です。
水冷化GTX 1080 Tiの冷却性能を検証
GTX 1080 Ti Founders Editionの水冷化も完了したので早速検証機材、というか水冷化TITAN X Pascalを取り外したメイン機に装着しました。グラボの前後にQD入れているので水冷環境でもグラボ交換が簡単です。水冷化したGTX 1080 Ti Founders EditionでFireStrike Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせて実用の冷却性能を確認してみました。
GTX 1080 Ti Founders Editionはデフォルトの空冷クーラーでは1時間ストレステストどころか10分と経たずにGPUコア温度が80度を突破していましたがEKWB製の水冷ブロックで水冷化することによって40度台で安定運用が可能です。室温20度の春先でこの温度なら空調が適切に効いていれば夏場でも水冷化GTX 1080 Tiは40度運用が可能だと思います。
コアクロックもGPU温度によるサーマルスロットリングがほぼ発生せず、手動でOCは行わないままでもデフォルトのGPUクーラー使用時よりも100MHz以上高いコアクロックで動作します。
また実働ストレステスト中の0分, 10分, 20分…について30秒間の平均FPSの推移をチェックしました。コアクロックが高い数値で安定していたことからもわかるように水冷化GTX 1080 Tiなら最大のパフォーマンスを維持することができます。
1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
リファレンスクーラーでは70度を超えていたVRM電源周りも50度前後で運用できています。
GTX 1080 Ti Founders EditionはEKWB製の水冷ブロックで水冷化することによって適切にラジエーターを設置すれば40度台で運用することも可能です。水冷化すればGTX 1080 TiのSLI環境でも問題なく運用可能になるので空冷や簡易水冷グラボに比べて導入のハードルは高いですがおすすめです。
本格水冷PCの基本的な知識はこちらで紹介しています。水冷PCを組む参考にということなら、この記事を読む前に目を通しておいてください。
・自作PCに本格水冷を導入するための基本と予備知識
(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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バックプレートのねじがないなあと思って
無理やり水枕のねじでどうにか取り付けていた
改めて確認したらこの記事の位置にちゃんとあったw
ありがとう管理人wwwww