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NVIDIA GeForce GTX 10XXシリーズのナンバリング最上位となるGTX 1080 TiのオリファンモデルとしてGIGABYTEから発売された「GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G (型番:GV-N108TAORUS X-11GD)」をレビューします。AORUS Xtreme EditionはGIGABYTEのゲーミングブランドAORUSシリーズの中でも、コアクロックだけでなくメモリクロックもデフォルトでオーバークロックされている高OC選別モデルです。
製品公式ページ:http://www.gigabyte.jp/Graphics-Card/GV-N108TAORUS-X-11GD#kf
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionは国内正規代理店の1年保証に加えて公式ページから製品シリアルコードを登録することで延長4年間の製品保証を受けることができます。
【5月14日追記】
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの初期ロットではデフォルトのパワーリミット(TDP)が300Wと高めに設定されていましたが、公式サポートページでパワーリミットを250Wに下げるBIOSアップデートが配布されています。
サポートページ:http://www.gigabyte.jp/Graphics-Card/GV-N108TAORUS-X-11GD#support-dl
消費電力に制限がかかるのでGPU温度とファン回転数の低下が見込めますが、若干パフォーマンスが下がります。TDP300Wのままでも動作上は特に問題ないのでアップデートはお好みで行えばOKです。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition レビュー目次
1.GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの外観
2.GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの検証機材セットアップ
3.GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのゲーム性能
4.GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの温度・消費電力
5.GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのパワーリミット制御を試す
6.GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのレビューまとめ
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの外観
早速、GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Editionを開封していきます。パッケージ側面にはコア&メモリの高クロックOC選別品である明石の「XTREME EDITION」の文字がオレンジ色の帯とともに記されています。
キャラメルボックス型のスリーブ外箱の中にはAORUS印の内パッケージが入っています。
内パッケージの蓋を開くとマニュアル類が収められた紙製の包がスポンジスペーサーの中央に収められており、緩衝材の役目を果たすスポンジの蓋をのけると、下にはスポンジスペーサー&静電防止ビニールという一般的な梱包でグラフィックボード本体が鎮座していました。
付属品は簡易インストレーションマニュアル、ドライバCD、補助電源6PIN*2→8PIN変換ケーブル、AORUSロゴバッジシールです。
梱包や付属品のチェックは簡単に済ませて、グラフィックボード本体を見ていきます。
GPUクーラーの外装はヘアライン入りのアルミで非常に高級感があります。GIGABYTEらしいオレンジ色のアクセントカラーが素敵です。
GIGABYTEではG1 Gaming→Xtremeを経てAORUSへとゲーミングブランドを統一している最中ですが、GPUクーラー中央に位置するX字フレームにはXtremeブランドの名残があります。(G1は下位モデル、XtremeはAORUSの中の選別モデルとして名前が残っているようですが)
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Tiでは3連ファンを上下にずらして重ねることで300mm以下のボード長ながら、100mm径の冷却ファンを3基搭載しています。また中央ファンの回転方向を逆にすることでファンが交差する部分のエアフローを整流しています。
GPUクーラー側面にはAORUSブランドネームとロゴのシンボルが描かれたネームプレートがあり、LEDイルミネーションに対応しています。またネームプレート右にある「FAN STOP」マークはセミファンレス機能で冷却ファンが停止している時に点灯します。
GTX 1080 Ti Founders Editionと比較するとGIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのグラフィックボードサイズの大きさは一目瞭然です。大型ヒートシンクと3連ファンを使用したGPUクーラーの冷却性能に期待が高まりますね。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのボードサイズは長さ293 mm×高さ142 mm×幅55 mmと大型です。GIGABYTE AORUS GTX 1080 Tiは基板自体の背はそこまで高くないのですがGPUクーラーのサイドパネルがPCI-Eブラケットよりも35mmほど高いのでPCケースとの干渉は十分に注意してください。PCケースとの干渉ではグラフィックボードの背の高さは長さに比べて見落としやすいポイントです。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionは冷却性能を上げるために大型放熱フィンを採用したヒートシンクが搭載されており、従来のXtremeやAORUSシリーズのGTX 1080グラフィックボード同様に3スロット占有のGPUクーラーが採用されています。
GTX 10XXシリーズの上位モデルではVRM電源部分の発熱が話題になることも多いですが、GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionではヒートシンク本体にサーマルパッド経由でPCB基板が直接接触しており、加えてバックプレートとPCB基板の間にもサーマルパッドが貼られています。理想的なVRM電源部分の冷却構造が採用されています。
補助電源の端子数はリファレンスとなるGTX 1080 Ti Founders Editionの8PIN+6PINから増量されて8PIN*2になっており、リファレンスよりも大幅にOCされたGIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionに安定した電力供給が可能です。
補助電源部分のPCB基板は引っ込んでいるので補助電源を装着しても補助電源端子やケーブルとPCケースの干渉が発生し難い構造になっています。
PCI-E端子、各種ビデオ出力、SLI端子にはオレンジ色の保護カバーが装着されています。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのビデオ出力はHDMI2.0×2、DisplayPort1.4×3、DVI-Dの6基が実装されています。リファレンスではDP/HDMIの実装数が3/1ですがGIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme EditionではHDMIが複数実装されており、HDMI2.0接続が主流な4Kテレビと接続したままHTC ViveやOculus Riftが使用可能なのでVR HMD&4Kテレビ環境なユーザーにも最適なビデオ出力構成です。
グラフィックボードの右端には「Gigabyte Extended VR Front Panel」という同社製のVR HMD用フロントパネルに接続するためのHDMI端子が設置されています。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionでは上で紹介したように計7基のビデオ出力が実装されていますが、グラフィックボード右端のHDMI出力を含めたHDMI2.0×3、DisplayPort1.4×3の計6基が使用可能な「VR MODE」が使用可能です。VR MODEであればVR HMDと4KテレビやVR HMDとG-Sync3面サラウンドのような環境にも幅広く対応できるので、ビデオ出力の汎用性という点ではGIGABYTE AORUS GTX 1080 TiはAIBモデルの中でも頭一つ跳びぬけていると思います。
ちなみにVR HMD用の接続フロントパネル「Gigabyte Extended VR Front Panel」は国内では未発売で、一部のGIGABYTE製品に同梱されている以外は出回っていませんが、米尼から送料込み30ドルほどで個人輸入可能です。
<できる!個人輸入 ② アメリカ Amazon(通称:米尼)の使い方>
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionにはヘアライン入りアルミニウム製の高級感あふれるバックプレートが装着されています。
バックプレート右端にはLEDイルミネーションが埋め込まれたAORUSの鷹のロゴが切り抜かれています。
GPUコアの背面部分には放熱板の役目を果たす銅板パーツ「Cupper Back Plate」も装着されています。グラフィックボードの長さ方向に沿う凸があるのでPCケースのリアファンエアフローなどでGPUコアの冷却を補助してくれます。
またGIGABYTE AORUS GTX 1080 TiのグラフィックボードPCB基板には防塵・防滴処理が施されています。同処理の施された製品で過去にはバーベキューソースにも耐えた信頼の?耐久性です。GIGABYTE AORUS GTX 1080 TiはEKWBから専用のフルカバー水冷ブロックもリリースが予定されているので水冷化用のグラフィックボードとしても魅力です
なおグラフィックボードの重量はGTX 1080 Ti Founders Editionが1000g、ASUS ROG STRIX GTX 1080 Tiが1200gですが、GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionは1400gを超える大重量になっています。VGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。
同じくGTX 1080 Tiのオリファンモデルで先日レビューしたROG STRIX GTX 1080 Tiと比較すると、GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのほうが長さは若干短いですが、幅や背の高さはROG STRIX GTX 1080 Tiを上回っておりGTX 1080 Tiオリファンモデルの中でもGIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionが非常に大きいグラフィックボードであることがわかります。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの検証機材
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Editionを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
G.Skill TridentZ DDR4 8GB*4=32GB |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 | Intel SSD 540シリーズ SATA M.2 SSD 240GB |
電源ユニット |
Corsair RM650i (レビュー) |
Corsair HX1200i (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) |
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme EditionのGPUクーラーは3スロット占有なのでASRock Z270 SuperCarrierの3スロット目に位置するx16スロットは使用不可能になっています。
電源を入れるとLEDイルミネーションは7色にゆっくりと遷移していくカラーサイクルで点灯します。セミファンレス機能にも対応しているのでアイドルではファンが停止しています。
GPUクーラー中央のX字フレームや側面の「AORUS」のロゴだけでなく、バックプレートのAORUSブランドマークも同期して発光します。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionはブーストクロック1721にデフォルトでオーバークロックされており、リファレンスモデルのFounders Editionと比較すると139MHzも高いコアクロックが設定されています。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme EditionにはOCやLEDイルミネーション操作が可能な専用ツール「AORUS Engine」が公式ホームページで配布されています。
DLページ:http://www.gigabyte.com/Graphics-Card/GV-N108TAORUS-X-11GD#support-dl
AORUS EngineではトップメニューのアイコンからデフォルトOCクロックのゲーミングモードや、より高いクロックで動作するOCモード、静音性重視のサイレントモードが選択できまます。
右下の歯車とスライダーの描かれたアイコンを選択するとスライダーを使用したマニュアルOC設定画面を表示できます。
画面右下のLEDアイコンを選択するとグラフィックボードのLEDイルミネーション操作画面が表示されます。
Consistent(定常発光)、Breathing(ゆっくり明滅)などの発光パターンではカラーバーやRGBの値から発光カラーを自由に操作可能です。
その他にもGPU温度や音声出力に対応したLEDイルミネーション発光パターンも用意されています。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのゲーム性能
GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Editionの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GTX 1080 Ti Founders Edition」、「EVGA GTX 1080 SC2 Gaming iCX」、「GIGABYTE GTX 1070 ITX OC」を使用しました。まずはFF14ベンチのフルHD・最高品質のスコアは同検証環境で軽く2万を超えました。
なおFF14ベンチではスコアが1万を超えたあたりからFPSが上がりすぎてCPUベンチの傾向が強くなりグラフィックボードの性能比較ベンチとしてはあまり使えなくなってくるので注意してください。
FireStrikeとFireStrike Extremeのベンチマーク比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1080 Ti AORUS XE |
29110 | 14554 | 7273 |
GTX 1080 Ti FE | 27758 | 13686 | 6739 |
GTX 1080 OC | 22463 | 10715 | 5323 |
GTX 1070 OC | 18211 | 8697 | 4307 |
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
GTX 1080 Ti AORUS XE | 10098 | 9343 | 108% |
GTX1080 Ti FE | 9345 | 8797 | 106% |
GTX 1080 OC | 7382 | 7047 | 105% |
GTX 1070 OC | 5884 | 5657 | 104% |
続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。解像度はフルHD、WQHD、ウルトラワイドQHD(UWQHD, 3440*1440)の3種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Assassin's Creed Syndicate(グラフィック設定)、Battlefield 1(最高設定プリセット)、The Division(グラフィック設定)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3(グラフィック設定)、Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)以上の11タイトルです。
Assassin's Creed Syndicate(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Battlefield 1(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Division(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)のベンチマーク結果です。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition、GTX 1080 Ti Founders Edition、、GTX 1080 OC、GTX 1070 OCの4種類について実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、GTX 1080 TiはGTX 1080よりも20%以上高速という結果になりました。FPSが上がりすぎてCPUボトルネックの影響が出始めるフルHDに対して、60FPS前後に近づいていく超高解像度でより高いパフォーマンスを発揮できます。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの温度・消費電力
GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Editionの負荷時のGPU温度とファンノイズを検証しました。温度とファンノイズの検証負荷としてはFireStrike Extreme ストレステスト、比較対象にはGTX 1080 Ti Founders Editionを使用しています。その結果は次のようになっています。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionではストレステスト中のGPUコア温度は最大72度、ファン回転数も1700RPM程度となっており、GTX 1080 Tiの高OCオリファンモデルとしてはまずまずの結果だと思います。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionはアイドル時に冷却ファンが停止するセミファンレス機能に対応していますが、55度付近でファンが動作を開始し、48度前後で停止とヒステリシス機能も備えています。
負荷から停止までの時間が2分ほどと若干長いものの、ファンの立ち上がりと停止で乱れることもなくピシッと状態が遷移しているのでヒステリシス制御は良好です。
ストレステスト中のGPUコアクロックはGTX 1080 Ti Founders Editionよりも200MHzも高い平均1933MHzとなりました。序盤からのコアクロックの下がり具合も小さくオリファンの優秀さがよくわかりますね。先日レビューしたASUS ROG STRIXと比較してもデフォルトOC値分だけ綺麗にオフセットがかかって安定しているので、最大GPU温度には差がありましたがAORUS GTX 1080 Ti XEは冷却は十分であることがわかります。
またベンチ機2のPCケースに組み込んでFire Strike Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせて実用の冷却性能を確認してみました。PCケースに入れて長時間負荷をかけても最大温度は78度で、コアロックの平均値は1920MHzでした。内排気ファンということもありPCケースの吸排気を最適化しないと冷却効率が下がるのでフロント2/リア1で140mmファンを設置していますがファン回転数は2000RPM程度まで上がりました。PCケース内とはいえファンノイズはやや聞こえました。
また実働ストレステスト中の0分, 10分, 20分…について30秒間の平均FPSの推移をチェックしました。リファレンスと違って性能低下も小さく安定して高いパフォーマンスを発揮できています。
1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
GTX 10XXシリーズの上位モデルではVRM電源部分の温度がかなり高くなりがちですが、GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionでは80度後半でした。高温ではありますがGIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionはクーラーヒートシンクと接しておりバックプレートも放熱板として機能しているので比較的安心できるレベルには収まっていると思います。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのファンノイズは44dBとなっており、ベンチ板の傍で聞くとはっきりファンノイズが聞こえますが、PCケースに入れてしまえば煩いと感じることはない程度のファンノイズに収まっています。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定には電源ユニット「Corsair RM650i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定負荷にFireStrike Extreme ストレステストを使用して、”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”としました。測定結果は次のようになっています。
同検証環境に置いてGIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionの消費電力は382Wとなり、リファレンスモデルのGTX 1080 Ti Founders Editionと比較して55W増となり、瞬間的な最大電源負荷は438Wでした。同じくGTX 1080 TiのオリファンOCモデルであるASUS ROG STRIXよりも30W程度大きい消費電力になっています。オリファンモデルとしてもかなり消費電力が大きい部類です。
AORUS GTX 1080 Ti Xtremeはデフォルトのパワーリミットが300W(125%で最大375W)、ROG STRIX GTX 1080 Tiは275W(120%で最大330W)、GTX 1080 Ti Founders Editionは250W(120%で最大300W)となっており、上の結果はそれを反映する消費電力になっています。
Guru3DやTechpowerupなど一部海外レビューでは低い消費電力が出ていますが、AfterBuner等で設定可能なパワーリミット最大比率が150%になっているので、デフォルトのパワーリミットが最大値から逆算して250Wになっているようです。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのパワーリミット制御を試す
GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Editionはハード的に対応しているパワーリミットの上限値が375WとGTX 1080 Tiのオリファン&オリジナルPCB基板モデルの中でも高い値になっており、デフォルトのパワーリミットも300Wと高いので、MSI AfterBurnerを使ってパワーリミットの制御を試してみました。なおMSI AfterBurnerを使用したオーバークロック等のチューニングはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
FireStrike Extremeストレステスト中の消費電力や平均FPSなどを測定したところ、GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionのパワーリミット別やGTX 1080 Ti Founders Edition、GTX 1080 EVGA SC2などを比較して次のようになりました。
GTX 1080 Ti GIGABYTE AORUS XE | GTX 1080 Ti FE |
GTX 1080 EVGA SC2 | ||||||
PL:64% 200W |
PL:73% 225W |
PL:82% 250W |
PL:91% 275W |
PL:100% 300W |
PL:109% 325W |
PL:100% 250W |
PL:100% 180W |
|
消費電力 | 269 | 295 | 324 | 354 | 382 | 394 | 327 | 251 |
最大温度 | 63 | 66 | 67 | 70 | 72 | 72 | - | - |
ファン 回転数 |
1245 | 1354 | 1456 | 1580 | 1677 | 1691 | - | - |
コアクロック | 1669 | 1771 | 1841 | 1897 | 1933 | 1965 | 1736 | - |
平均FPS | 71.1 | 72.6 | 76.5 | 77.1 | 78.0 | 78.4 | 73.4 | 57.0 |
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionはパワーリミット82%にすることでリファレンスのGTX 1080 Ti Founders Editionと消費電力が一致しているので、前章の消費電力の検証で推測したようにデフォルト(100%)のパワーリミットは300Wとなっているようです。
コアクロックについてもパワーリミットの増減に比例して変化しています。GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme EditionのデフォルトOCコアクロック1721MHzでフルパワーを発揮させるにはパワーリミットを300W程度まで上げる必要があるようです。
パワーリミットを下げると当然消費電力も下がるので、ファン回転数も減少しています。
パワーリミットを64%に制御して消費電力を100W以上下げてGTX 1080並みの消費電力まで落としても定格比で90%の平均FPSをたたき出しており、消費電力がほぼ同じになったGTX 1080と比較しても20%以上高速です。ビッグダイGPUにパワーリミットをかけるのがコスパを度外視すればワッパ最強ですね。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition レビューまとめ
最後にGTX 10XXシリーズ最上位GTX 1080 Tiのオリファンモデル「GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Edition 11G (型番:GV-N108TAORUS X-11GD)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- コア1721MHz、メモリ11232MHzでGTX 1080 Tiの中でも屈指のOCチューニング
- 最新高画質PCゲームをUWQHDなどの超高解像度で快適にプレイ可能なグラフィック性能
- GTX 1080のOCモデルよりも30%程度高速
- 3スロット&銅製ベース新型クーラーはGTX 1080 Tiを70度前半で運用可能
- ヘアラインアルミ製のGPUクーラー外装は高級感がある。
- PCB基板は防塵・防滴処理がされており水冷化にも最適
- GIGABYTE RGB Fusionで対応機器とイルミネーションの同期が可能
- オンライン登録で延長4年間の正規保証
- HDMI3基&DP3基の中から4基出力が可能な「VR MODE」がありビデオ出力が豊富
- デフォルトのパワーリミットが高いのでFounders Editionより50Wほど消費電力が大きい
- PCI-Eスロットを3スロット占有する
- DVI-D端子はいらない (個人的な意見)
- 4月9日現在、11万円越えと非常に高価
GTX 10XXシリーズ最上位モデルとなる「GeForce GTX 1080 Ti」のオリジナルファン搭載OCモデル「GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Edition」は昨年5月末にNew Kingとして鳴り物入りで登場したGTX 1080よりも30%程度高速です。昨年8月には前世代TITAN X Maxwellよりも50%以上高速というバケモノGPUとして登場したTITAN X Pascalを僅差で上回るという圧倒的な性能を誇っており、1200ドルのTITAN X Pascalに対して699ドルという圧倒的な安価さも兼ね備えたGTX 1080 Tiは究極のハイエンドグラフィックボードと言っても過言ではない製品です。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme EditionはGTX 1080 Tiグラフィックボードの中でも屈指のOCチューニングと選別が施されています。デフォルトでコアクロックが1721MHz、メモリクロックも11232MHzにOCされており、加えて専用アプリからOCモードを選択することでさらに高いチューニングであるコアクロック1746MHz、メモリクロック11448MHzのOCプロファイルを適用可能です。他社製品を含めてもGTX 1080 Ti最速AIBモデルを狙えるグラフィックボードです。
高OCチューニングの代償としてデフォルトでパワーリミットが300Wに設定されており消費電力が大きいところは注意が必要です。冷却関連ではVRM電源フェーズ数が12+2フェーズと特盛ながらGPUクーラーヒートシンクやアルミ製バックプレートと接触する理想的な構造によってVRM電源部分の温度は80度後半程度に収まっているので比較的安心して使用できると思います。
GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme Editionはビデオ出力の豊富さも魅力の1つです。GTX 1080 Tiで一般的なビデオ出力構成のHDMI1基ではなく、グラフィックボード右端のVR用フロントパネルと接続するための端子を含めて3基を実装しているので4KテレビとVR HMDを両方使用するユーザーにとっては嬉しい構成になっています。またDisplayPort端子も従来どおり3基実装しているのでG-Sync対応液晶モニターの3面サラウンドなどにも対応しています。GIGABYTE AORUS GTX 1080 Ti Xtreme EditionはGTX 1080 Tiグラフィックボードの中でもビデオ出力の豊富さでは他製品と比較して頭一つ飛びぬけています。
以上、GIGABYTE AORUS GeForce GTX 1080 Ti Xtreme Editionのレビューでした。
・GTX 1080 Ti販売ページ:
<Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク>
<ドスパラ><PCワンズ><パソコン工房>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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その割に10cmファン3基 1850rpmと風量多くても90℃は普通に上がりそうで冷却効率はさほどでもない印象ですね。
1000rpmくらいでこの結果なら良さが伝わるのですが・・・。
100℃を超えていないとは言え40dBを大きく超えてなので、ヒートシンクの大きさと合わせて最善ではない印象です。