Ryzen 5 1600とCore i7 7700Kのゲーム性能を徹底比較


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AMD Ryzen CPUのゲーム性能を比較検証していく連載シリーズ「AMD Ryzenは本当にゲームに不向きなのか?」の第4弾です。

これまでは3月3日に発売された8コア16スレッドのRyzen 7 1700とその競合と位置付けられるi7 7700Kのゲーム性能を60FPSターゲット、100FPSオーバー、メモリOCの有無について検証してきましたが、検証方法と結果の妥当性も過去3回でほぼ確認できたので比較対象のCPUを増やして裾野を広げていきます。
ということで今回は、先日フラゲって4.0GHzにOCしてからいろいろレビュー案件があった都合で積んでいたRyzen 5 1600のゲーム性能を比較検証してみました。
4月11日発売予定、6コア12スレッドで3万円という圧倒的コスパから人気爆発間違いなしと管理人も予想するRyzen 5 1600のゲーム性能がi7 7700Kや上位モデルのRyzen 7 1700に比べてどの程度のものなのか徹底比較していきます。
Ryzen 5 1600 ゲーム性能


AMD Ryzen 5シリーズの製品スペックと価格
Ryzen 5 1600X Ryzen 5 1600 Ryzen 5 1500X Ryzen 5 1400
コア/スレッド数 6/12 6/12 4/8 4/8
ベースクロック 3.6GHz 3.2GHz 3.5GHz 3.2GHz
ブーストクロック 4.0GHz 3.6GHz 3.7GHz 3.4GHz
XFR TBD 3.7GHz TBD TBD
全コア同時 TBD 3.4GHz TBD TBD
TDP 95W 65W 65W 65W
価格(税込) 3.3万円 3.0万円 2.6万円 2.3万円


AMD Ryzenは本当にゲームに不向きなのか?
【第1回】Ryzen 7 1700とCore i7 7700Kのゲーム性能を徹底比較【60FPSターゲット編】
【第2回】Ryzen 7 1700とCore i7 7700Kのゲーム性能を徹底比較【100FPSオーバー編】
【第3回】Ryzen 7はメモリOCでゲーム性能が上がる、ただしおみくじ。




検証の指針と検証機材について

具体的な検証の手順を述べると、各種ゲームにおいてまず基準となるIntel Core i7 7700K検証機で、平均60FPSターゲットもしくは100FPSオーバーの2種類について、実際にユーザーが使用するであろうグラフィック設定でベンチマーク測定を行います。その後、各ゲームで同上のグラフィック設定を用いてAMD Ryzen 5 1600等その他のCPU検証機でベンチマーク測定を行います。
あとはIntel Core i7 7700Kのベンチマークスコアを基準として、AMD Ryzen 5 1600やRyzen 5 1700のゲーム性能はどの程度の差があるのかを比較しました。

AMD Ryzen 5 1600等のRyzen CPUとIntel Core i7 7700Kのゲーム性能比較には次の検証機材を使用しました。グラフィックボードにはGTX 1080を使用しています。
テストベンチ機の構成

AMD 検証機材
AMD Ryzen 7のゲーム性能_f4db62cf
Intel 検証機材
AMD Ryzen 7のゲーム性能_05001
OS Windows10 64bit Home

CPU

AMD Ryzen 5 1600
Core4.0GHz, 1.300V (レビュー
AMD Ryzen 7 1700
Core3.8GHz, 1.300V (レビュー
Intel Core i7 7700K
Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V
殻割り&クマメタル化(レビュー

M/B

ASUS ROG CROSSHAIR VI HERO
BIOS:1002 (レビュー
ASRock Z270 SuperCarrier
レビュー)(BIOS:1, 2
メインメモリ Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
Corsair Dominator Platinum
Special Edition
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
グラフィックボード EVGA GTX 1080 SC2 iCX Gaming (レビュー
システムストレージ
Samsung 950 PRO 512GB
NVMe接続M.2 SSD (レビュー
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4
電源ユニット Corsair RM650i (レビュー
PCケース/
ベンチ板
STREACOM BC1 (レビュー


AMD Ryzen環境ではメモリのオーバークロックによるゲーム性能の安定と向上が確認できているので、今回焦点となるCPUであるRyzen 5 1600も定格2133MHzと3200MHz OC時の2種類について比較を行いました。
Ryzen 5 1600 memory oc2133
Ryzen 5 1600 memory oc3200

G.SikillやCorsairの選別品など当たりの出やすい製品自体はあるもののそれすら確実ではなく、Ryzen環境でメモリのOCがどこまで回るかのメモリ相性問題は本当におみくじです。
検証機材「Kingston HyperX Fury DDR4」(シングルランク、8GBx2)を例にとると、過去にレビューしたX370 XPOWER GAMING TITANIUMでは2933MHz、MSI X370 GAMING PRO CARBONでは2666MHz、GIGABYTE Aorus GA-AX370-Gaming 5では2400MHz動作が限界でした。運が悪いとIntelのXMPプロファイルで3000MHz以上が確認済みでも2400MHzすら回らないこともあります。AMD公式ではシングルランク2枚は2666MHz対応と公式に発表されていますが、2666MHz回らないこともざらです。
AMD Ryzen Memory OC

Ryzen環境におけるメモリのオーバークロック方法は基本的にメモリの周波数と電圧を上げて起動をチェックするところから始まりますが、詳しいことはマザーボードレビューのOC項目で紹介しているのでそちらをご確認ください。
AMD Ryzen対応AM4マザーボードレビュー記事一覧
ASUS ROG CROSSHAIR VI HERO

なおメモリOCはコアクロックのOCと違ってPOSTすらクリアできずBIOSにたどり着けないことも少なくないので、POST失敗時のマザーボードのBIOS設定自動初期化の対応やCMOSクリア方法は事前に確認しておくとスムーズにOC検証が進められると思います。


上で説明した検証の指針に基づいて実用に則した60FPSターゲットもしくは100FPSオーバーにおけるRyzen 5 1600などの平均FPS比較を行いました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、
Assassin's Creed Syndicate(フルHD、最高設定、TXAA2xFXAA / フルHD、低設定)
Battlefield 1(WQHD、最高設定 / フルHD、高設定)
The Division(WQHD、グラフィック設定 / フルHD、高設定)
DarkSouls3(WQHD、最高設定) / For Honor(フルHD、超高設定)
Ghost Recon Wildlands(フルHD、グラフィック設定 / フルHD、中設定)
Mirrors Edge Catalyst(WQHD、ハイパー設定 / フルHD、高設定)
Rise of the Tomb Raider(WQHD、最高設定、FXAA、DX12 / フルHD、中設定、AAなし、DX12)
Titanfall2(WQHD、グラフィック設定 / フルHD、グラフィック設定
Watch_Dogs2(フルHD、最高設定 / フルHD、中設定)
The Witcher3(WQHD、最高設定 / フルHD、中設定)
以上11タイトルです。いずれも垂直同期をOFFにして測定を行っています。

ベンチマーク例は次のようになっています。








Ryzen 5 1600の60FPSターゲット平均FPS比較

60FPSターゲットにおける平均FPS比較の検証結果は次のようになりました。なおi7 7700Kでは定格でも5.0GHz OCでも平均FPSはあまり差がないので定格は省略しています。

60FPSターゲット時の平均FPSについてはRyzen 5 1600でもRyzen 7と似たような傾向になっており、コアクロックのOCとメモリ周波数のOCで基準となるi7 7700Kのスコアに近づいていくことが確認できます。
Ryzen 5 1600 game_fps60_acs
Ryzen 5 1600 game_fps60_bf1
Ryzen 5 1600 game_fps60_div
Ryzen 5 1600 game_fps60_ds3
Ryzen 5 1600 game_fps60_gr
Ryzen 5 1600 game_fps60_mec
Ryzen 5 1600 game_fps60_rottr
Ryzen 5 1600 game_fps60_tf2
Ryzen 5 1600 game_fps60_wd2
Ryzen 5 1600 game_fps60_wot3



Ryzen 5 1600の100FPSオーバー平均FPS比較

100FPSオーバーにおける平均FPS比較の検証結果は次のようになりました。なおi7 7700Kでは定格でも5.0GHz OCでも平均FPSはあまり差がないので定格は省略しています。

CPUボトルネックの発生しやすい100FPSオーバーにおいてもRyzen 5 1600はRyzen 7 1700とほぼ同じ傾向を示しています。Ryzen 5 1600は4.0GHz、Ryzen 7 1700は3.8GHzにOCしていますが、200MHz程度のシングルスレッド性能の差ではゲーム性能にはあまり違いが出ないようです。むしろ3200MHzにメモリをOCできるかどうかがRyzen環境で100FPSオーバーを狙う場合に重要になってきますね。
Ryzen 5 1600 game_fps100_acs
Ryzen 5 1600 game_fps100_bf1
Ryzen 5 1600 game_fps100_div
Ryzen 5 1600 game_fps100_fh
Ryzen 5 1600 game_fps100_gr
Ryzen 5 1600 game_fps100_mec
Ryzen 5 1600 game_fps100_rottr
Ryzen 5 1600 game_fps100_tf2
Ryzen 5 1600 game_fps100_wd2
Ryzen 5 1600 game_fps100_wit3



Ryzen 5 1600のフレームタイム比較

続いて60FPSターゲットや100FPSオーバーにおける検証結果からいくつか抜粋して、Ryzen 5 1600のフレームタイム(1フレームを描画するのにかかる時間)を比較しました。
FPSは1秒間のフレーム数、フレームタイムは1フレームを描画する時間なのでFPSとフレームタイムの平均的な関係は次のようになっています。この章では縦軸をフレームタイムで表記しているので適宜頭の中で変換してください。フレームタイムとFPSは逆数の関係なのでフレームタイムは小さいほど高性能です。
フレームタイムとFPSの関係
FPS
(Frame per second)
Frametime
(1000/FPS)
120 8.3ms
60 16.7ms
50 20ms
40 25ms
33 30ms
20 50ms
各ゲームのベンチマーク中のフレームタイムのグラフの見方は縦軸に低い(フレームタイムが小さい)ほうがFPSが高く高性能、また縦方向の幅が狭いほうが描画ペースが安定しています。

まずは60FPSターゲット時の「The Division」のフレームタイム推移に注目してみます。
i7 7700K比較してRyzen 5 1600はコアクロック定格→コアクロック4.0GHz→メモリ周波数3200MHzでフレームタイムが安定しているのが確認できます。平均FPSで見ると1FPS程度しか違いが出ませんが、スタッタ―の発生等を考えるとコアクロックとメモリ周波数のOCの効果は高いと考えて良さそうです。
Ryzen 5 1600 game_ft60_div_1
Ryzen 5 1600 game_ft60_div_2
Ryzen 5 1600 game_ft60_div_3
コアクロック3.8GHz、メモリ周波数3200MHzのRyzen 7 1700と比較すると、Ryzen 7 1700のほうが平均FPSが高く、フレームタイムも若干安定しています。
Ryzen 5 1600 game_ft60_div_4

また100FPSオーバー時のGhost Recon Wildlandsをチェックしてみました。
コアクロックのOCでオフセットがなくなって、メモリ周波数のOCでフレームタイムの幅が狭くなり安定しているのがわかります。
Ryzen 5 1600 game_ft100_gr_1
Ryzen 5 1600 game_ft100_gr_2
Ryzen 5 1600 game_ft100_gr_3
コアクロック3.8GHz、メモリ周波数3200MHzのRyzen 7 1700と比較すると、あまり差はないようです。
Ryzen 5 1600 game_ft100_gr_4



Ryzen 5 1600のゲーム性能比較まとめ

今回のRyzen 5 1600に関する検証結果のまとめを箇条書きで。
  • 60FPSターゲットであればRyzen 5 1600は定格でも十分なゲーム性能がある
  • 100FPSオーバーではCPUボトルネックの影響が大きく出始める
  • コアクロックやメモリ周波数のOCでCPUボトルネックは緩和されて平均FPSが改善する
  • 平均FPSに差が出なくてもスタッタ―抑制的にオーバークロックは有効
  • コアクロックが4.0GHz前後だとRyzen 7のほうがやや優位?(タイトルによるかも)

Ryzen 5 1600のゲーム性能も基本的にはこれまでに検証を行ったRyzne 7 1700の結果にほぼ準拠するような感じになっており、60FPSターゲットであればi7 7700K環境と比較してもさほど見劣りすることもなく、100FPSオーバーになるとCPUボトルネックが出始めます。単純にゲーム特化ならi7 7700Kを選べば間違いありませんが、動画編集などマルチスレッド性能も必要でゲームマシンとしても使うという感じならRyzen 5 1600でも十分以上に通用するゲーム性能はあると思います。

Ryzen 7 1700では省略しましたが、Ryzen 5 1600のコアクロック定格とOCの比較を見るとコアクロックOCでもゲーム性能の向上と安定が確認できました。4.0GHz付近になると性能的には「Ryzen 7 ≧ Ryzen 5」のように感じましたが、4.0GHz付近までOCした時の発熱を考えるとRyzen 5のほうが断然扱いやすいので、CPUクーラーの選定も含めて比較的手軽に4.0GHzまでOC可能なRyzen 5 1600や1600Xはコスパ重視でマルチユースな自作PCには最適なCPUだと思います。

メモリ周波数については検証を繰り返すごとに3200MHzで運用したくなる結果がぽんぽんと出てきますね。XMP3200以上のメモリで3200MHzが確実に動く日が来て欲しい……。

ただ冷静に考えるとマルチスレッド性能のコスパが圧倒的なRyzen CPUはゲームもそこそこはこなせるものの、Intel i7 CPU並みのゲーム性能を求めるとコアクロックとメモリ周波数のOCが必須なので、玄人向けとまでは言いませんが最低限のOC技能が必要になる感じです。管理人的には弄ってて楽しいのですが。


以上、Ryzen 5 1600のゲーム性能比較レビューでした。
Ryzen 5 1600 ゲーム性能







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