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AMD Ryzen CPUのゲーム性能を比較検証していく連載シリーズ「AMD Ryzenは本当にゲームに不向きなのか?」の第3弾です。
Ryzen環境ではメモリの周波数をオーバークロックするとゲーム性能が改善するという海外の検証結果もあるので、実際に今回はメモリ周波数を定格2133MHzからAM4マザーボードがメモリOCの周波数として一般的に対応している最大値の3200MHzにオーバークロックした場合についてゲーム性能を比較検証しました。
・【第1回】Ryzen 7 1700とCore i7 7700Kのゲーム性能を徹底比較【60FPSターゲット編】
・【第2回】Ryzen 7 1700とCore i7 7700Kのゲーム性能を徹底比較【100FPSオーバー編】
検証方法や検証機材について
具体的な手順を述べると、各種ゲームにおいてまず基準となるIntel Core i7 7700K検証機で、平均60FPSや100FPS以上となるグラフィック設定でベンチマーク測定を行います。その後、各ゲームで同上のグラフィック設定を用いてAMD Ryzen 7 1700検証機でベンチマーク測定を行います。あとはIntel Core i7 7700Kのベンチマークスコアを基準として、AMD Ryzen 7 1700のゲーム性能はどの程度の差があるのかをチェックしました。AMD Ryzen 7 1700とIntel Core i7 7700Kのゲーム性能比較には次の検証機材を使用しました。グラフィックボードにはGTX 1080を使用しています。
テストベンチ機の構成 | ||
AMD 検証機材 |
Intel 検証機材 |
|
OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
AMD Ryzen 7 1700 Core3.8GHz, 1.300V (レビュー) |
Intel Core i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
CPUクーラー |
Corsair H110i (レビュー) |
Intel TS15A (レビュー) |
M/B |
ASUS ROG CROSSHAIR VI HERO (レビュー) |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*2=16GB (レビュー) |
グラフィックボード | EVGA GTX 1080 SC2 iCX Gaming (レビュー) |
|
システムストレージ |
Samsung 950 PRO 512GB NVMe接続M.2 SSD (レビュー) |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 |
電源ユニット | Corsair RM650i (レビュー) |
|
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Ryzen環境については冒頭でも紹介したようにメモリクロックは定格の2133MHzと一般的なオーバークロック最大値となる3200MHzの2種類でベンチマークを実行しています。
G.SikillやCorsairの選別品など当たりの出やすい製品自体はあるもののそれすら確実ではなく、Ryzen環境でメモリのOCがどこまで回るかのメモリ相性問題は本当におみくじです。
検証機材「Kingston HyperX Fury DDR4」(シングルランク、8GBx2)を例にとると、過去にレビューしたX370 XPOWER GAMING TITANIUMでは2933MHz、MSI X370 GAMING PRO CARBONでは2666MHz、GIGABYTE Aorus GA-AX370-Gaming 5では2400MHz動作が限界でした。運が悪いとIntelのXMPプロファイルで3000MHz以上が確認済みでも2400MHzすら回らないこともあります。AMD公式ではシングルランク2枚は2666MHz対応と公式に発表されていますが、2666MHz回らないこともざらです。
Ryzen環境におけるメモリのオーバークロック方法は基本的にメモリの周波数と電圧を上げて起動をチェックするところから始まりますが、詳しいことはマザーボードレビューのOC項目で紹介しているのでそちらをご確認ください。
AMD Ryzen対応AM4マザーボードレビュー記事一覧
なおメモリOCはコアクロックのOCと違ってPOSTすらクリアできずBIOSにたどり着けないことも少なくないので、POST失敗時のマザーボードのBIOS設定自動初期化の対応やCMOSクリア方法は事前に確認しておくとスムーズにOC検証が進められると思います。
Ryzen 7 1700をメモリOCした時の平均FPS比較
上で説明した検証の指針に基づいて60FPSターゲット/100FPSオーバーにおけるRyzen 7 1700とCore i7 7700Kの平均FPS比較を行いました。ベンチマーク測定を行ったタイトルは、
Assassin's Creed Syndicate(フルHD、最高設定、TXAA2xFXAA / フルHD、低設定)
Battlefield 1(WQHD、最高設定 / フルHD、高設定)
The Division(WQHD、グラフィック設定 / フルHD、高設定)
Ghost Recon Wildlands(フルHD、グラフィック設定 / フルHD、中設定)
Mirrors Edge Catalyst(WQHD、ハイパー設定 / フルHD、高設定)
Rise of the Tomb Raider(WQHD、最高設定、FXAA、DX12 / フルHD、中設定、AAなし、DX12)
Titanfall2(WQHD、グラフィック設定 / フルHD、グラフィック設定)
Watch_Dogs2(フルHD、最高設定 / フルHD、中設定)
The Witcher3(WQHD、最高設定 / フルHD、中設定)
以上9タイトルです。いずれも垂直同期をOFFにして測定を行っています。
ベンチマーク例は次のようになっています。
平均FPS比較の検証結果は次のようになりました。
60FPSターゲットについては定格2133MHzの時点でAMD Ryzen環境とIntel環境に明確な差がないので平均FPSから見える違いはほぼありませんが、環境差によるCPUボトルネックの出始める100FPSオーバーではメモリのオーバークロックによるCPUボトルネック解消が多くのタイトルで確認できます。
Ryzen 7 1700のメモリOC時のフレームタイム比較
続いて上で使用したゲームからいくつか抜粋してフレームタイム(1フレームを描画するのにかかる時間)の推移グラフを比較しました。FPSは1秒間のフレーム数、フレームタイムは1フレームを描画する時間なのでFPSとフレームタイムの平均的な関係は次のようになっています。この章では縦軸をフレームタイムで表記しているので適宜頭の中で変換してください。フレームタイムとFPSは逆数の関係なのでフレームタイムは小さいほど高性能です。
フレームタイムとFPSの関係 | |
FPS (Frame per second) |
Frametime (1000/FPS) |
120 | 8.3ms |
60 | 16.7ms |
50 | 20ms |
40 | 25ms |
33 | 30ms |
20 | 50ms |
Ryzen環境におけるメモリ周波数オーバークロックの影響が色濃く出ている「Assassin's Creed Syndicate」のフレームタイムの推移をi7 7700Kを基準にチェックしてみると、Ryzen 7 1700の2133MHzではオフセットが出ていますが、メモリを3200MHzにOCすることでi7 7700Kのフレームタイムとグラフがほぼ一致します。
同じくメモリ周波数オーバークロックの影響が色濃く出ている「WatchDogs_2」のフレームタイムの推移の変化をグラフ化しました。こちらでも同様にi7 7700Kに近いフレームタイムへと改善されています。
また60FPSターゲット時の「The Division」のフレームタイムの推移グラフを見ると2133MHzの時は30~50秒当たりでグラフの幅が広くなってフレームタイムが安定しなくなっていますが、3200MHzではそれが改善されています。平均FPSでは変化が見えませんが、60FPSターゲット下でもスタッタ―の発生を抑制するという形でメモリOCの恩恵はあるようです。
Ryzen環境におけるメモリOCのまとめ
Ryzen環境におけるメモリのオーバークロックについてまとめると次のようになっています。- 3200MHzで回るAM4マザーボードとメモリの組み合わせはほぼおみくじ
- 60FPSターゲット下ではスタッター抑制が期待できる
- 100FPSオーバーではCPUボトルネックが緩和されて平均FPSも伸びる
Intel環境においてはメモリのオーバークロックはそれ自体に意味がある競技的な意味合いが強い感じがありますが、AMD Ryzen環境ではメモリを定格の2133MHzから3200MHzへオーバークロックすることで、60FPSターゲットでスタッタ―の抑制が、100FPSオーバーではCPUボトルネックの緩和による平均FPSの向上が期待できます。
検証結果だけを見ると、AMD RyzenユーザーはぜひともメモリのOCをとお勧めしたくなるものの、最大の問題はメモリの相性問題が激しく、3200MHzで回ってくれるAM4マザボとメモリの組み合わせが管理人主観ですがごく一部に限られ、2933MHzすらなかなか難しいという現実だと思います。
最近はメモリの値上がりも激しいのでおみくじをバンバン引くのもなかなか気が引け、管理人も検証機材のメモリを購入するのが億劫なご時世です。
ともあれAMD Ryzen環境ではメモリのオーバークロックでゲーム性能の安定と向上が期待できることはほぼ確実と見てよさそうなので、メモリOC周りに手を付けていないユーザーは運試しも兼ねて一度試してみてはどうでしょうか。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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