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Mini-ITX対応ショート基板のGTX 1070は数あれど、背の高さがPCIブラケットにぴったりサイズな唯一無二の最小サイズを実現した「玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORT」をメーカーよりお借りできたのでレビューします。これまで発売されてきたショート基板GTX 1070はいずれも背の高さがPCIブラケットよりも高いものばかりだったので、ピッタリサイズを探していたユーザーにとっては非常に魅力的だと思います。
製品公式ページ:http://www.kuroutoshikou.com/product/graphics_bord/nvidia/gf-gtx1070-e8gb_oc_short/
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORT レビュー目次
1.玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの外観
2.玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの分解
3.玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの検証機材セットアップ
4.玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTのゲーム性能
5.玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの温度・消費電力
6.玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTのレビューまとめ
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの外観
早速、玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTをチェックしてきます。今回メーカーからお借りしたサンプルは箱なしグラボのみのバルク品だったのでグラフィックボード本体のみを見ていきます。グラフィックボード長は181mmのショート基板でMini-ITXマザーボードの幅とほぼ一致しておりGTX 1070ながら小型PCケースでも余裕で収まるサイズです。
GPUクーラーの外装は光沢のあるガンメタリックの金属製になっており高級感があります。玄人志向製グラフィックボードの多くでお決まりですが冷却ファンの中心にはグラサンマークor「玄人志向」の4文字が。個人的にはあまりカッコいいロゴではないのでこのシールは省いてほしいところ。
補助電源の端子数はリファレンスとなるGTX 1070 Founders Editionと同じく8PIN*1です。
グラフィックボード背面にはバックプレートは装着されておらず基盤がむき出しでした。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTのビデオ出力はHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×1、DVI-D×2というGTX1070グラフィックボードとしては少々変則的なビデオ出力になっています。他の多くのGTX 1070グラフィックボードのようにDPを複数使用したマルチモニタ環境は構築できないので注意してください。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTは全長181mmのショート基板グラフィックボードなのでMini-ITXマザーボードに装着してみてもぴったりなサイズでした。
下位モデルのショート基板GTX 1060や先行して発売されたGTGABYTEのGTX 1070ショート基板モデルとひかくしてもGF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTのコンパクトさは際立っています。
GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの最大の魅力と言っても過言ではないポイントは、PCIブラケットサイズに収まる背の低い基板になっているところです。これまでGIGABYTE、ZOTAC、MSIなどからGTX 1070のショートモデルが発売されてきましたがいずれもPCIブラケットから大きくはみ出す基板が不満点でしたが、GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTはPCIブラケットと同じ高さの基板が採用されています。
なおグラフィックボードの重量はGTX 1070 Founders Editionが1056g、GIGABYTE GTX 1070 ITX OCが613g、EVGA GTX 1060 SCが588gですが、玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTは462gで最軽量でした。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの分解
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの外観の基本的なチェックも完了したので、GPUクーラーを分解してみます。なお今回はレビュー用サンプル貸出先の協力のもと特別に許可を頂いて分解を行っております。GPUクーラーの取り外し(分解行為)はグラフィックボードの正規保証の対象外になる行為です。今回はレビューのために分解しておりますが、繰り返しますが保証対象外になるので基本的には非推奨の行為なのでご注意下さい。
GPUクーラーは基板裏面のコア周辺のネジ4つで固定されていました。
4か所のネジを外すとGPUクーラーは容易に取り外しができます。
GPUコアとGPUクーラーヒートシンクが接触する部分は銅製ベースでしたがベースの中心とGPUコアがずれて左寄りになっているのが少々残念でした。銅製ベースがあるものの右側ヒートパイプへの効率的な熱拡散を考えるともったいない構造です。
GTX 1070グラフィックボードなのでGPUコアには「GP104-200-A1」が使用されています。またVRAMチップとして8GbpsのGDDR5はSamsungとMicronの2社から供給がありますがGF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTではMicron製のものが使用されていました。
VRM電源を確認するとリファレンスのGTX 1070同様に4+1フェーズ構成となっていました。VRM電源部分にはGPUクーラーのヒートシンク本体は接していませんが、個別に小型のヒートシンクが設置されていました。
GPUクーラーは銅製ベースから3本のヒートパイプが伸び、アルミ製放熱フィンへ効率的な熱拡散が可能な構造になっています。
放熱フィンの厚みは10mm程度でしたグラフィックボードの占有体積的には幅、厚さ共にもう少しフィンの規模を大きく出来たようにも感じます。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの検証機材
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
G.Skill TridentZ DDR4 8GB*4=32GB |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 | Intel SSD 540シリーズ SATA M.2 SSD 240GB |
電源ユニット |
Corsair RM650i (レビュー) |
Corsair HX1200i (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) |
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTはブーストクロック1709にデフォルトでオーバークロックされており、リファレンスモデルのFounders Editionと比較すると20MHz程度ですがコアクロックに高い値が設定されています。デフォルトでの大幅なOCとはなりませんがショート基板でリファレンス以上の性能が発揮できるので十分かと思います。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTのゲーム性能
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「EVGA GTX 1060 6GB SC ACX 2.0」、「XFX RX 480 8GB TRIPLE X」を使用しました。まずはFFXIV 紅蓮のリベレーター ベンチマークのフルHD・最高品質のスコアは同検証環境では非常に快適の水準を軽く超えて15000以上のスコアをたたき出しています。
なおFF14ベンチではスコアが1万を超えたあたりからFPSが上がりすぎてCPUベンチの傾向が強くなりグラフィックボードの性能比較ベンチとしてはあまり使えなくなってくるので注意してください。FFXIV 紅蓮のリベレーター ベンチマークについては個別記事で詳しく紹介しています。
FireStrikeとFireStrike Extremeのベンチマーク比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1070 玄人志向 Short |
18067 | 8568 | 4235 |
GTX 1060 6GB OC |
13446 | 6362 | 3075 |
RX 480 8GB OC |
13463 | 6019 | 2975 |
GTX 1050 Ti OC |
7966 | 3744 | 1813 |
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
GTX 1070 玄人志向 Short |
5808 | 5596 | 104% |
GTX 1060 6GB OC | 4266 | 4116 | 104% |
RX 480 8GB OC | 4091 | 3929 | 104% |
GTX 1050 Ti OC | 2395 | 2282 | 105% |
続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。解像度はフルHD、WQHDの2種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Assassin's Creed Syndicate(非常に高い設定プリセット)、Battlefield 1(最高設定プリセット)、The Division(ウルトラ設定プリセット)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(非常に高い設定プリセット)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(超高設定プリセット)、The Witcher3(高画質設定プリセット)、Gears of War 4(最高設定プリセット)以上の11タイトルです。
Assassin's Creed Syndicate(非常に高いプリセット)のベンチマーク結果です。
Battlefield 1(最高設定プリセット、DX12)のベンチマーク結果です。
The Division(ウルトラ設定プリセット)のベンチマーク結果です。
For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(非常に高いプリセット)のベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(高画質設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)のベンチマーク結果です。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORT、EVGA GTX 1060 6GB SC ACX 2.0、XFX RX 480 8GB TRIPLE Xの3種類について実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、GTX 1070は17年の最新ミドル帯グラフィックボードであるGTX 1060やRX 480よりも35%程度高速という結果になりました。
GTX 1070は2017年最新PCゲームのフルHD解像度・最高設定の60FPSやWQHD・高画質設定の60FPSを狙うのに最適な次世代標準と言えるアッパーミドルのグラフィックボードです。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの温度・消費電力
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの負荷時のGPU温度とファンノイズを検証しました。温度とファンノイズの検証負荷としてはFireStrike Extreme ストレステスト、比較対象には同じくショート基板のGIGABYTE GTX 1070 ITX OCを使用しています。その結果は次のようになっています。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTではストレステスト中のGPUコア温度は最大70度、ファン回転数も1900RPM程度となっており、GTX 1070グラフィックボードのオリファンモデルとしては高めの温度とファン回転数ですがショート基板のコンパクトモデルとしては十分な冷却性能を発揮しており実用水準には余裕で達しています。あと10XXシリーズでは採用の多い、低負荷時にファンが停止するセミファンレス機能については採用されていません。
ストレステスト中のGPUコアクロックは同じくGTX 1070ショートモデルのGIGABYTE GTX 1070 ITX OCと比較すると40MHz程度低い平均1765MHzとなりました。玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTはボードサイズがGIGABYTE ITX OCよりも小さいのでGPUクーラーの冷却性能の差がコアクロックにも表れています。とはいえこの程度の差であれば実際のフレームレートでは誤差程度の違いしか出ないはずです。
またベンチ機2のPCケースに組み込んでFire Strike Extreme グラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせて実用の冷却性能を確認してみました。PCケースに入れて長時間負荷をかけても最大温度は79度で、コアロックの平均値は1744MHzでした。ショート基板のコンパクトモデルなので冷却性能や静音性についてはどうしてもサイズとトレードオフになってしまいます。
1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
GTX 10XXシリーズの上位モデルではVRM電源部分の温度がかなり高くなりがちですが、玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTでは80度前半でした。高温ではありますが玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTは個別に設置された放熱ヒートシンクが機能しているので比較的安心できるレベルには収まっていると思います。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTのファンノイズは47.1dBとなっており、ベンチ板の傍で聞くとはっきりファンノイズが聞こえますし、PCケースに入れても煩いと感じるかは個人差ですが負荷時のファンノイズは聞こえるレベルだと思います。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定には電源ユニット「Corsair RM650i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定負荷にFireStrike Extreme ストレステストを使用して、”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”としました。測定結果は次のようになっています。
同検証環境において玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTの消費電力は219Wとなり、GTX 1080よりも30W小さく、GTX 1060よりも30W大きい値になっています。瞬間的な最大電源負荷は260Wでした。
AMDグラフィックボードと比較すると、ミドル帯でGTX 1060競合のRX 480も消費電力219Wとなっており、アッパーミドルグラフィックボードであるGTX 1070の電力効率の高さがいかんなく発揮されています。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORT レビューまとめ
最後に「玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORT」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ショート基板GTX 1070の中でも最小サイズのグラフィックボード
- PCIブラケットと同じ高さの背の低い基板とGPUクーラー
- 最新高画質PCゲームのフルHD・最高設定やWQHD・高画質に最適なグラフィック性能
- 光沢のある金属製のクーラー外装がカッコいい
- ミドル~フルレンジのGTX 1070グラボに比べて冷却性能・静音性は劣る
- GPUクーラー冷却ファンの玄人志向ブランドネームシールがかっこ悪い気がする。
- ビデオ出力にはHDMIかDPが複数欲しい。DVI-D端子はいらない (個人的な意見)
NVIDIA GeForce GTX 1070は最新の高画質PCゲームでもフルHD解像度の最高設定を60FPSで遊んだり、高画質設定のまま120Hzなどの高リフレッシュレートでガチプレイや、WQHDの高解像度&高画質設定で60FPSで安定してプレイが可能なグラフィック性能があります。前世代フラッグシップであるGTX 980 Tiと同等性能でありDX12やVRなど最新コンテンツであればそれを超える性能を発揮でき、4万円半ばで購入可能なGTX 1070はGTX 10XXシリーズの中でもコストパフォーマンス的に最高のモデルだと思います。
玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTはそんなGTX 1070の次世代GPUらしい省電力性能を最大に活かしたショート基板のコンパクトグラフィックボードとなっています。GTX 1070のショート基板についてはGIGABYTE、ZOTAC、MSIからすでにリリースされているもののいずれもPCIブラケットをはみ出す背の高い基板&クーラーが採用されていますが、玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTはPCIブラケットぴったりサイズの背の低さが最大の魅力です。
冷却性能・静音性はGPUクーラーや冷却ファンのサイズとトレードオフになるのでその点では他のショート基板モデルに若干劣ってしまうものの、最小サイズのGTX 1070を探しているなら玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTはおすすめのショート基板GTX 1070グラフィックボードです。
以上、玄人志向 GF-GTX1070-E8GB/OC/SHORTのレビューでした。
・GTX 1070販売ページ:
<Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク>
<ドスパラ><PCワンズ><パソコン工房>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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