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EVGAがグラボ冷却技術の持てる全てを投入した「iCX Tecnology」を採用するGTX 1080 Tiグラフィックボードのオリファンモデル「EVGA GeForce GTX 1080 Ti SC2 GAMING (型番:11G-P4-6593-KR)」をレビューします。2スロット占有、全長267mm、PCIブラケットぴったりのリファレンス準拠サイズでコンパクトなGTX 1080 Tiとしては鉄板モデルです。
製品公式ページ:http://www.evga.com/products/Product.aspx?pn=11G-P4-6593-KR
EVGA GTX 1080 Ti SC2 レビュー目次
1.EVGA GTX 1080 Ti SC2の外観
2.EVGA iCX Technologyについて
3.EVGA GTX 1080 Ti SC2の検証機材セットアップ
4.EVGA GTX 1080 Ti SC2のゲーム性能
5.EVGA GTX 1080 Ti SC2の温度・消費電力
6.EVGA GTX 1080 Ti SC2のレビューまとめ
EVGA GTX 1080 Ti SC2の外観
早速、EVGA GTX 1080 Ti SC2を開封していきます。EVGA GTX 1080 Ti SC2は、GTX 1080 SC2のプラスチック製スペーサーの簡易梱包が刷新されて、緩衝材がスポンジスペーサーになっていましたグラフィックボード上の蓋はスポンジにEVGAロゴがくりぬかれているところが目を引きます。なんだかんだでスポンジスペーサーが一番安心感がありますね。
付属品として簡易インストールマニュアル、6PIN*2を8PIN*1に変換するケーブル、4PINペリフェラル*2を6PINに変換するケーブル、加えてポスターやシールなどEVGAファングッズも同梱されていました。
梱包や付属品のチェックは簡単に済ませて、グラフィックボード本体を見ていきます。
クーラーやバックプレートには購入直後は保護ビニールが貼り付けられていました。GTX 1080/1070では装飾プレートなど細かい部分にも小さい保護フィルムが貼られていましたが、GTX 1080 TiではGPUクーラー前面全体を覆う大きいフィルムとロゴ―プレートのフィルムのみとなっています。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCXはリファレンス基板ベースのカスタム基板を採用したモデルとなっているので、ボード長は当然リファレンスと同じ267mmでグラボの背の高さもPCIブラケットとほぼ同じ背の低いです。EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXはGTX 1080 TIの中でも最小クラスのモデルであり、かつ高い冷却性能を備えるモデルなので非常に使いやすいグラフィックボードです。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMINGのクーラー外装についてはラメ入りシルバー塗装されたプラスチック製となっており肉抜きされた独特のデザインです。外装の素材はプラスチックですが塗装のおかげで安っぽさは感じません。
グラフィックボード側面にはGTX 1080/1070のAIBモデルから少しスリムになったネームプレートも設置されています。「EVGA | GEFIRCE GTX 1080 Ti」のロゴは白色LEDで点灯します。またネームプレートの外枠には進化した冷却技術”iCX”の名前も刻印されていました。
GTX 1080/1070のAIBではネームプレート上のGPMの文字がそれぞれ発光しましたが、GTX 1080 TiのAIBではネームプレートの枠に設置された小型のLEDライトが発光する形に変わりました。
”GPM”のLEDインジケーターについてですが、ネームプレート側の白色LEDが明るいため、それの影響で青色に点灯すると判別しにくく、赤色や緑色で発行していても一番左の”G”のLEDは白色に見えたりと視認性について問題がありました。GTX 1080/1070の”GPM”のLEDインジケーターははっきり視認できたのでこの点は明確に改悪だと感じてます。
「EVGA GTX 1080 Ti SC2」と「EVGA GTX 1080 SC2」を並べてみると同じGTX 10XXシリーズのAIBモデルでもデザインが大幅に変遷していることがわかります。個人の趣味にもよると思いますが、管理人的にはGTX 1080/1070のSC2デザインのほうが好みでした。
リファレンス基板ベースのカスタム基板採用なので補助電源はFounders Edition同様に8PIN+6PINになっています。GTX 1080 Tiのオリファンでは補助電源が8PIN*2が多く、それよりは補助電源が少ないもののケーブル数は同じなので取り回しの面ではメリットは少ないです。
ビデオ出力やPCI-E端子には保護カバーが装着されています。
ビデオ出力はGTX 1080 TiのリファレンスモデルであるFounders Editionと同じHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×3に加えて、DVI-Dの5基が実装されています。
EVGA GTX 1080 Ti SC2はPCケースとの干渉が起こりにくいPCIブラケットと同じ背の高さです。
横からグラフィックボード基板を覗くと熱対策で増量されたサーマルパッドが確認できます。GTX 1080 Ti SC2ではGTX 1080版と比較してミドルプレートのVRM電源部分にヒートパイプと銅製ベースが追加されていることが側面写真からも確認できます。またVRM電源部分の冷却を補助するPin Finも大型化しています。
バックプレートも従来よりも冷却性能を重視して、エアスリットを大量に設け放熱面積を確保するデザインに刷新されていました。
グラフィックボードの重量はGTX 1080 Ti Founders Editionが1056g、EVGA GTX 1080 SC2 GAMING iCXが1040gですが、EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXは1050gでハイエンドグラフィックボードとしては標準的な重量です。とはいえ1Kgを超える重量なのでVGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。
EVGA iCX Technologyについて
EVGAの最新AIBモデルではGTX 1080/1070のVRM電源部分の発熱問題を受けて、新型GPUクーラーである「iCX Cooling」などを含む冷却ソリューション「iCX Technology」が採用されています。「iCX Technology」搭載モデルでは従来のGPUコアだけ温度をチェックするというのをやめてグラフィックボード基板上に9個の温度センサーを設置しMCUが温度に異常がないかチェックするようにPCB基板に改良が加えられています。
EVGAオリジナルのグラフィックボードのチューニング&モニタリングツールである「EVGA Precision XOC」上から各センサーの温度が確認できます。
「EVGA Precision XOC」DLページ:http://www.evga.com/precisionxoc/
GPUクーラー横のロゴプレートにGPUコア、VRAM、VRM電源部分の温度状況を知らせるRGB LEDのインジケーターが埋め込まれており、各部位の温度に応じてLEDの発光カラーが変化します。
GPUクーラーのデュアル/トリプルファンはGPUコア温度とVRM電源部分の温度をソースにして独立動作する「Asynchronous Fan Control」に対応しています。GPU温度が高いときは左側のファンが、VRM電源やVRAMの温度が高いときは右側のファンが高速に回転するようです。
各センサーの温度モニタリング同様に「EVGA Precision XOC」上からGPUクーラーの冷却ファンは個別のファンカーブを設定してファンコントロールが可能です。
新型GPUクーラー&バックプレート「iCX Cooling」ではヒートシンクの放熱フィンの形状も変更が加えられ、放熱フィンの端に折り目を付けてL字にする「L-Shaped Fins」や放熱フィン上に設けられた穴「Fin Holes/Harf Open Fin」によって放熱表面積を拡大しています。
ミドルプレートとバックプレートはダイカストで製造されており寸法精度も高く、基板上の各コンポーネントと精密に接触します。ミドルプレートのVRM電源部分には放熱面積を広げる突起「PIN FIN」が付いており従来のミドルプレートよりも放熱性能がアップしています。
EVGAのGTX 1080 Tiオリファンモデルである「FTW 3」と「SC2」はiCX Technologyにフル対応しており、「FTW 3」はデュアルBIOSやRGB LEDイルミネーションなど追加機能も搭載されています。「SC2」の廉価モデル的位置づけとなる「SC Black Edition」は追加温度センサや「Asynchronous Fan Control」には非対応ですが、SC2同様に高性能な新型「iCX Cooling」GPUクーラーが搭載されています。
EVGA GTX 1080 Ti SC2の検証機材
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 64bit Home | |
CPU |
i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.300V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
i7 7700K Core/Cache:4.8/4.6GHz, 1.260V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー)(BIOS:1, 2) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
G.Skill TridentZ DDR4 8GB*4=32GB |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 | Intel SSD 540シリーズ SATA M.2 SSD 240GB |
電源ユニット |
Corsair RM650i (レビュー) |
Corsair HX1200i (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) |
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXなどEVGAの「iCX Technology」採用モデルでは専用アプリの「EVGA Precision XOC」からGPUコア温度以外の9個の温度センサーのモニタリングやVRM電源部分に設置された温度センサーをソースにしてVRM電源直上ファンをGPUコア直上ファンとは別に非同期操作する「asynchronous Control」が可能です。
「EVGA Precision XOC」DLページ:http://www.evga.com/precisionxoc/
GPUのモニタリング&オーバークロックツールとして定評のあるAfterBunrer(&RivaTuner)のようにゲーム中のOSD表示がモニタリング値のログ化にも対応しています。ただ使用にはEVGA公式サイトでユーザー登録が必要ですが米尼個人輸入でもオンライン製品登録で3年保証が受けられるのがEVGAグラボの最大の魅力なので、「iCX Technology」採用モデルを購入したユーザーは面倒でも製品登録をして「EVGA Precision XOC」をぜひ試してみて欲しいと思います。
iCX Technologyに対応したグラフィックボードは「EVGA Precision XOC」からグラフィックボード上に複数設置された温度センサーからファンコンのソース温度を選択して任意に設定したファンカーブで冷却ファンを個別に非同期制御可能です。
注意点としてiCX Technologyに対応したグラフィックボードはグラボユーティリティーとして鉄板のMSI AfterBurnerによるファンコンでGPU側ファンしか制御できません。(コアクロック、メモリクロック、パワーリミットなどのチューニングは問題なく使用できます。)
MSI AfterBurnerのファンコン機能を使用したい場合はSC2ではなく「Asynchronous Fan Control」には非対応の「SC Black Edition」を選択してください。
EVGA GTX 1080 Ti SC2のゲーム性能
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GTX 1080 Ti Founders Edition」、「EVGA GTX 1080 SC2 Gaming iCX」、「GIGABYTE GTX 1070 ITX OC」を使用しました。グラフ内ではGTX 1080 Ti Founders EditionをGTX 1080 Ti FE、EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXをGTX 1080 OC、GIGABYTE GTX 1070 ITX OCをGTX 1070 OCと表記しています。
まずFFXIV 紅蓮のリベレーター ベンチマークのフルHD・最高品質のスコアは同検証環境で19000程度となりました。4K解像度・最高品質でも非常に快適の水準となる7000を超えるのでGTX 1080 TiであればFFXIV 紅蓮 リベレーターに余裕で対応可能なグラフィック性能があります。
なおFF14ベンチではスコアが1万を超えたあたりからFPSが上がりすぎてCPUベンチの傾向が強くなりグラボの性能比較ベンチとしてはあまり使えなくなってくるので注意してください。
3DMark FireStrikeのベンチマーク比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
GTX 1080 Ti EVGA SC2 |
28728 | 14085 | 6998 |
GTX 1080 Ti FE | 27758 | 13686 | 6739 |
GTX 1080 OC | 22463 | 10715 | 5323 |
GTX 1070 OC | 18211 | 8697 | 4307 |
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」の性能比較となります。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
GTX 1080 Ti EVGA SC2 |
9777 | 9139 | 107% |
GTX1080 Ti FE | 9345 | 8797 | 106% |
GTX 1080 OC | 7382 | 7047 | 105% |
GTX 1070 OC | 5884 | 5657 | 104% |
続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。解像度はフルHD、WQHDの2種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。 (ちょっと手抜きでGTX1070はUWQHDの測定をしていません。)
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Assassin's Creed Syndicate(グラフィック設定)、Battlefield 1(最高設定プリセット)、The Division(グラフィック設定)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3(グラフィック設定)、Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)以上の11タイトルです。
Assassin's Creed Syndicate(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Battlefield 1(最高設定プリセット、DX12)のベンチマーク結果です。
The Division(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Gears of War 4(最高設定プリセット、UWQHDではなく4K解像度)のベンチマーク結果です。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXなどの4種類のグラフィックボードについて実ゲーム性能の比率の平均を出したところ、EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXはGTX 1080 OCよりも20%以上高速という結果になりました。FPSが上がりすぎてCPUボトルネックの影響が出始めるフルHDに対して、60FPS前後に近づいていく超高解像度でより高いパフォーマンスを発揮できます。
EVGA GTX 1080 Ti SC2の温度・消費電力
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXの負荷時のGPU温度とファンノイズを検証しました。温度とファンノイズの検証負荷としてはFireStrike Extreme ストレステストを使用しています。その結果は次のようになっています。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXは負荷時のGPUコア温度はセミファンレスの始動前後に最大値をとって70度となっていますがファン回転数の安定する終盤では60度後半という非常に優秀な数値を叩き出しています。グラフィックボード全体のサイズが同じなリファレンスのFounders Editionが80度を超えるのと比較するとファン回転数も低く、冷却性能と静音性ともに優秀です。
「EVGA Precision XOC」のログ機能を使用してVRAMやVRM電源部分に設置された8個の温度センサーのモニタリング値もチェックしてみました。いずれもせいぜい70度程度に収まっており、GTX 1080/1070の旧モデルにVRM電源周りの発熱問題があったことを忘れるレベルでしっかりと冷えています。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXの冷却ファンについては、低負荷時にファンが停止するセミファンレス機能と、GPUコア側とVRM電源側でファンを個別制御する非同期操作機能(Asynchronous Fan Control)が採用されているのでそれらの動作についても確認してみました。
GPU側とVRM電源側で個別にファン制御されており、非同期操作(Asynchronous Fan Control)が正常に機能していることが下のグラフからもはっきりと確認できます。EVGA GTX 1080 Ti SC2の2つの冷却ファンはいずれも始動直後は比較的高いファン回転数をとりますが次第に安定してGPUコア側は1600RPM、VRM電源側は1700RPMで動作しました。
またセミファンレス機能も正常に動作しており、GPU側ではGPUコア温度が60度を超えるとファンが始動し、47度前後を切ると停止、VRM電源側ではVRM電源orVRAM温度が55度を超えるとファンが始動し、同じく55度を切ると停止しています。VRM電源側はヒステリシスが良好で閾値をまたぐとピタッとファンが停止しますが、GPU側ではON/OFFを多少繰り返すところが惜しかったです。
ストレステスト中のEVGA GTX 1080 Ti SC2のGPUコアクロックはGTX 1080 Ti Founders Editionよりも100MHzも高い平均1838MHzとなりました。序盤と比較してコアクロックの下がり具合も小さくEVGAの新型クーラーの優秀さがよくわかります。
ベンチ機2のPCケースに組み込んでFireStrikeグラフィックテスト1を1時間に渡ってループさせて実用の冷却性能を確認してみました。EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXには計10個の温度センサーが設置されているのでGPUコア、VRAM、VRM電源についてそれぞれ最大温度のものを、またファン回転数も非同期操作なので最大値を抜粋してグラフ化しています。
PCケースに入れて長時間負荷をかけてもGPUコア、VRAM、VRM電源部分は80度未満の良好な数値になっておりコアクロックにも目立った低下は確認できません。ただしファン回転数は2200~2300RPMとベンチ板測定時よりもかなり大きい値になっています。EVGA GTX 1080 Ti SC2を使用する場合は、3スロット占有モデルよりも冷却性能に余裕がないのでPCケースの吸排気にも気を配る必要がありそうです。
また実働ストレステスト中の0分, 10分, 20分…について100秒間の平均FPSの推移をチェックしました。GPUクーラーの冷却性能が十分なので長時間使用でもパフォーマンスの低下が最低限に収まっています。
1時間のストレステスト終盤にスマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してゲーム負荷時のグラフィックボード上の各所の温度をチェックしました。
GTX 10XXシリーズの上位モデルではVRM電源部分の温度がかなり高くなりがちですが、EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXでは80度前半に収まっていました。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXのファンノイズは46.5dBとなっており、ベンチ板の傍で聞くとはっきりファンノイズが聞こえますし、PCケースに入れても煩いと感じるかは個人差ですが負荷時のファンノイズは聞こえるレベルだと思います。
過去にレビューしたGTX 1080 Tiのオリファンモデルは2.5~3スロット占有かつ全長280mm+の大型ボードだったのでファンノイズを比較すると厳しいですが、発熱の大きいGTX 1080 Tiの2スロット占有モデルであることを考えれば優秀な部類ではないかと思います。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定には電源ユニット「Corsair RM650i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。また測定負荷にFireStrike Extreme ストレステストを使用して、”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”としました。測定結果は次のようになっています。
同検証環境に置いてTDP250WのEVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMINGの消費電力は339Wでとなり、コアクロックがOCされているのでリファレンスのGTX 1080 Ti Founders Editionよりも12W高い消費電力でした。瞬間的な最大電源負荷は394Wとなっています。EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMINGはコアクロックがOCされているものの、リファレンス基板ベースのGTX 1080グラフィックボードなので、オリジナル基板を採用するGTX 1080 Tiグラフィックボードに比べて低消費電力動作なところも魅力的です。
EVGA GTX 1080 Ti SC2 レビューまとめ
最後に温度センサー特盛で冷却面での不安要素を完全に払拭するiCX Technology採用GTX 1080 Tiグラフィックボード「EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCX」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新高画質PCゲームをUWQHDなどの超高解像度で快適にプレイ可能なグラフィック性能
- GTX 1080のOCモデルよりも30%程度高速
- リファレンス準拠のサイズでGTX 1080 Tiとしてはコンパクト
- 新型iCXクーラーはGPUコアだけでなくVRAMやVRM電源もしっかり冷却している
- 「EVGA Precision XOC」から9個の追加温度センサをモニタリング可能
- 「EVGA Precision XOC」から2基のケースファンを非同期に個別操作可能
- 米尼個人輸入なら最速発送方法で860ドルで購入可能(20ドルほど返金あり)
- "GPM"のLEDインジケーターがネームプレートのLEDと干渉して視認性が悪い
- MSI AfterBunrerからは正常にファンコントロールできない(OCチューニングは可能)
- 2.5~3スロット占有の大型GTX 1080 Tiと比べると冷却性能や静音性は劣る
- リファレンス基板ベースではあるがEKWB製の水冷ブロックは使用できない
GTX 10XXシリーズ最上位モデルとなる「GeForce GTX 1080 Ti」のオリジナルファン搭載OCモデル「EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCX」は昨年5月末にNew Kingとして鳴り物入りで登場したGTX 1080よりも30%程度高速です。昨年8月には前世代TITAN X Maxwellよりも50%以上高速というバケモノGPUとして登場したTITAN X Pascalを僅差で上回るという圧倒的な性能を誇っており、1200ドルのTITAN X Pascalに対して699ドルという圧倒的な安価さも兼ね備えたGTX 1080 Tiは究極のハイエンドグラフィックボードと言っても過言ではない 製品です。
GTX 1080 Tiのオリファンモデルは2.5~3スロット占有、全長280mm+の長尺ボード、PCIブラケットからは大きくはみ出るPCB基板など大型のモデルが多い中で、リファレンスとなるFounders Editionに準拠したコンパクトなサイズを維持しつつリファレンスGPUクーラーよりも高い冷却性能と静音性を発揮するEVGA GTX 1080 Ti SC2はGTX 1080 Tiの中でも特に取り回しに優れたモデルです。
ACX3.0クーラーを搭載したEVGAのGTX 1080/1070初期AIBモデルではGPUコアの冷却については抜群の性能を発揮したもののVRAMやVRM電源周りの冷却に配慮が足りず問題視されてしまいました。しかしながらiCX Technologyを採用した新モデルは、様々なアプローチからグラフィックボード全体を冷やしきることで、不死鳥の如くと形容しても過言ではないほど華々しく復活を遂げており、EVGAがiCX Technologyのリリースで掲げた"Peace of Mind Gaming"の精神を正しく体現した製品に仕上がっています。EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXもその例にもれず冷却面での心配は全くありません。
とはいえやはり2.5~3スロットを占有するような大型GTX 1080 Tiに比べると冷却性能は劣るので、PCケースに組み込んだ実働テストでは熱ダレこそ発生しなかったもののファンノイズは比較的大きくなってしまいました。EVGA GTX 1080 Ti SC2を使用して静音性を高めたいユーザーはPCケースの吸排気にも気を配る必要があります。
価格については米尼個人輸入で最速送料&デポジット込860ドルとなっており10万円以下で購入可能です。国内でも一部のGTX 1080 Tiオリファンモデルの販売価格は10万円を切っているので価格面でメリットはありませんが、かといって割高ということもありません。
リファレンス準拠2スロット占有のコンパクトサイズかつ高い冷却性能と静音性を備えるという数少ないGTX 1080 Tiのオリファンモデルであり、国内最安値クラスの価格で個人輸入できてグローバル3年保証も付属する「EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCX」はおすすめのGTX 1080 Tiグラフィックボードです。
以上、EVGA GTX 1080 Ti SC2 GAMING iCXのレビューでした。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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