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AMD Ryzenのエンスー向けCPU「Ryzen Threadripper」に対応するX399チップセット搭載TR4 SocketマザーボードとしてASUSからリリースされたX399マザーボードのフラッグシップモデル、完全新規のAMDマザーボード最上位ブランド”ROG ZENITH”の名を冠する「ASUS ROG ZENITH EXTREME」をレビューしていきます。E-ATXフォームファクタ、統合型バックプレート、10Gbイーサ拡張ボード付属、独自M.2スロット「DIMM.2」などASUSの技術の粋を極めた超豪華なマザーボードです。
製品公式ページ:https://www.asus.com/jp/Motherboards/ROG-ZENITH-EXTREME/
マニュアル:http://dlcdnet.asus.com/pub/ASUS/mb/socketTR4/ROG_ZENITH_EXTREME/J13034_ROG_ZENITH_EXTREME_UM_WEB.pdf
【注意事項】
検証中のトラブルなども記事内で記載していますが、AMD Ryzen Threadripper CPU自体が発売されたばかりなので、OSの問題なのか、マザーボードBIOSの問題なのか原因の切り分けが現状でできないものも少なくありません。今後ドライバやBIOSなどソフトウェアの更新でパフォーマンスや安定性が向上することは期待できると思うので、その辺りも念頭に置いて読んでもらえるとありがたいです。
同検証は17年9月中旬に行っており「ASUS ROG ZENITH EXTREME」のBIOS:0503を使用しています。最新BIOSでは修正されている不具合や追加されている機能もあると思うので、最新BIOSのリリースについては公式ページを各自でチェックしてください。
サポート:https://www.asus.com/jp/Motherboards/ROG-ZENITH-EXTREME/HelpDesk_Download/
【17年9月25日:初稿】
レビュー記事初稿を公開、BIOS:0503で検証
ASUS ROG ZENITH EXTREME レビュー目次
1.ASUS ROG ZENITH EXTREMEの外観・付属品
2.ASUS ROG ZENITH EXTREMEの基板上コンポーネント詳細
3.ASUS ROG ZENITH EXTREMEへのパーツ組み込み(ギャラリー)
4.ASUS ROG ZENITH EXTREMEの検証機材セットアップ
5.ASUS ROG ZENITH EXTREMEのBIOSについて
6.イルミネーション操作機能「ASUS AURA Sync」について
7.LCDモニタ「ASUS LiveDash」について
8.ASUS ROG ZENITH EXTREMEのOC設定について
9.ASUS ROG ZENITH EXTREMEの動作検証・OC耐性
10.ASUS ROG ZENITH EXTREMEのレビューまとめ
ASUS ROG ZENITH EXTREMEの外観・付属品
まず最初にASUS ROG ZENITH EXTREMEの外観と付属品をチェックしていきます。ASUS ROG ZENITH EXTREMEのパッケージはマザーボードの箱としては独特な上開き化粧箱になっていました。開閉しやすく高級感もあります。
外パッケージの蓋を開くと上段にはマザーボード本体が収められており、下段には各種付属品が収められた小分けパッケージが入っていました。
数が非常に多いので順々にチェックしていきますが、付属品は外パッケージ下段の小分けパッケージ内に全て納められていました。
マニュアルなど冊子類で必要なものが一通り揃っています。その他にもコースター、ステッカー、CableMod製のスリーブケーブル購入時の割引クーポンなどが付属します。
ASUS製のマザーボードなので定評のある詳細日本語マニュアルも付属します……、と思いきや今回は国内正規品を購入したにもかかわらず日本語マニュアルではなく英語マニュアルでした。まあ日本語マニュアルはオンライン公開されているので問題ありませんが。
マニュアル:http://dlcdnet.asus.com/pub/ASUS/mb/socketTR4/ROG_ZENITH_EXTREME/J13034_ROG_ZENITH_EXTREME_UM_WEB.pdf
注目ポイントとして「ASUS ROG ZENITH EXTREME」のドライバはCDではなく専用のUSBメモリに収録されていました。光学ドライブを搭載しない環境も増えているので嬉しい配慮です。その他のマザーボード製品でもドライバはUSBメモリに移行して欲しいところ。
基本的な組み立て関連の付属品として、まずはSATAケーブル6本、M.2 SSD固定用スペーサー&スクリュー、Q-Connectorがあります。
パワースイッチやストレージLEDなど細かいPINをまとめてマザーボードに接続可能な便利なコネクタです。「Q-Connector」は組み立て時にあると便利ですがASUSマザーボードの中でも付属しないモデルもあるので事前にチェックがおすすめです。
SLIブリッジについては200シリーズマザーボードからは従来のSLIブリッジだけでなくGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応したSLI HBブリッジが付属するようになっており、ASUS ROG ZENITH EXTREMEには2スロットスペース型SLI HBブリッジが入っていました。またGTX 10XXシリーズでは正式サポート外となっていますが、ASUS ROG ZENITH EXTREMEはワークステーション向けに3Wayや4WayマルチGPU環境にも対応しているので3Wayと4Way-SLIブリッジも付属します。
同社から発売されている「ASUS ROG SLI HB BRIDGE 3スロット版」がマザーボードのデザインと非常にマッチするのでおすすめです。マザーボード上の汎用4PIN LED端子と接続することでマザーボード備え付けLEDイルミネーションと同期操作も可能です。
冷却ファン&サーモセンサー拡張ボード「ASUS FAN EXTENSION CARD」が標準で付属します。
「ASUS FAN EXTENSION CARD」は4PINペリフェラルを電源としてPWM対応4PINファン3基と温度センサー3基を拡張できます。
マザーボード本体や拡張ボード「ASUS FAN EXTENSION CARD」に接続可能な2PIN型サーモセンサーが3本付属します。
ASUS AURA Syncに対応したLED端子ヘッダーの延長ケーブルとしてRBG 4PIN汎用ヘッダー用とアドレッサブル型3PINヘッダー用の2種類が付属します。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEにはアドレス指定対応LEDテープ用の独自3PINヘッダーがマザーボード上に実装されていますが、それを等間隔の3PINヘッダーに変換する延長ケーブルが付属します。
1Kgを超える重量級グラフィックボードの垂れ下がりによるPCI-Eスロットへの負荷を軽減し、またグラフィックボード基板自体の反りを防止する「ROG VGA Holder」も付属します。
DDR3スロットを流用したM.2スロット「DIMM.2」スロットに装着するための専用拡張カードと拡張カードに冷却ファンを増設するための専用マウンタが付属します。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEに付属するDIMM.2拡張カードはMAXIMUS IX APEXに付属するDIMM.2拡張カードと比較して、「冷却ファン固定ホルダーの追加」「温度センサー端子の追加」「アクセスLED操作ジャンパーヘッダーの追加」「冷却効率を上げる基板上エアホールの追加」など改良が加えられています。
Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド用と最大4.6Gbpsに及ぶ最新規格Wi-Fi 802.11ad(WiGig, 60GHz)用の2種類のWiFiアンテナが付属します。
10Gbps有線イーサーネットの増設カード「ROG AREION 10G(製品公式ページ)」が付属します。PCI-E3.0x4帯域のスロットに装着するための拡張カードとなっています。
マザーボード全体像は次のようになっています。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEはATXよりも横幅が20mmほど大きいE-ATXフォームファクタのマザーボードです。ATXマザーボードとネジ穴自体は同じレイアウトなのでATX向けPCケースにも設置できることも多いですが、裏配線用のケーブルホールが基板と被って使用できない可能性もあるので注意していください。黒色のPCB基板には電子回路をイメージさせるイラストがプリントされています。
マザーボード右下のチップセット用ヒートシンクについて、AMD Ryzen CPU向けROG CROSSHAIRブランド同様にASUS ROG ZENITH EXTREMEも電子回路をイメージさせるデザインになっています。
CPUソケット上のVRM電源クーラーにはップセット同様に電子回路をイメージしたイラストが描かれ、リアI/Oカバーとも一体間のあるデザインです。リアI/Oカバーには「ZENITH EXTREME」の名が刻印されています。VRM電源クーラーヒートシンクには熱を効率的に拡散するためヒートパイプが埋め込まれ、リアI/Oカバー内のヒートシンクに連結されています。
リアI/Oカバー下には17年後半のASUSの新たな試みとしてLCDパネル「ASUS LiveDash」が搭載されています。プログラミング次第でCPU温度のモニタリング表示からオリジナルアニメーションなど様々な表示が可能なのですが、個人的にはPOST中のチェック項目を逐次表示してくれるのが印象的で、今度の発展次第では初心者ガイドとしてかなり有力な機能になる可能性を感じました。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのVRM電源には、最上位では16コア32スレッドとなるAMD Ryzen Threadripper CPUにも安定した電力供給が可能なように8+3フェーズVRM電源が実装されています。VRM電源には一般的なMOSFETの半分のサイズで90%の優れた効率を実現した「NexFET Power Block MOSFET」を使用し、チョークコイルには低損失で低発熱な「MicroFine Alloy Chokes」を使用。コンデンサには-75℃~+125℃での動作に対応し、一般的なコンデンサの5倍の寿命を持つ「10K Black Metallic Capacitors」が使用されています。
CPUソケット上のVRM電源ヒートシンクはヒートパイプで連結されてメモリスロット左に拡張されています。リアI/Oカバー内を確認すると、メモリスロット左に拡張されたヒートシンクの放熱フィンには35mm角の冷却ファンが設置されていました。
「ASUS ROG ZENITH EXTREME」に搭載されているVRM電源ファンは低負荷時はファンが停止するセミファンレス機能に対応しています。しかしながらRyzen Threadripper 1950Xの定格動作でも長時間負荷時のVRM電源ファンのファンノイズはそれなりに煩いので、気になる場合は回転数の低い40mmファンに交換推奨です。VRM電源ファンの交換については次の記事で紹介しています。
・「ASUS ROG ZENITH EXTREME」に搭載されるVRMクーラーファンが結構煩い
多コア&高クロックCPUへ安定した大電力供給が行えるように「ASUS ROG ZENITH EXTREME」のEPS端子は8PIN*2が実装されています。EPS電源端子については電源容量800W以下の電源ユニットでは1つしか端子がない場合があるので、EPS端子が足りているか事前に注意して確認してください。
マザーボード裏面左側には頑丈な金属製バックプレートが装着されています。マザーボード固定ネジ穴がATXと同じで表から見て右端は基板が宙に浮いた状態になりますがバックプレートによって反りや折れ曲がりが防止されています。また各種素子の半田の出っ張りで指を切ることがありますが、バックプレートがあればその心配もありません。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEには一体型リアI/Oバックパネルも採用されています。PCケースにパネルを装着する作業は固くて装着し難かったり、忘れてしまうこともあるのでマザーボードに統合されているのは嬉しい機能です。
リアI/Oには最新のUSB3.1規格に対応したUSB端子としてType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子についてはUSB3.0端子が8基が搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、HTC ViveやOculus Rift CV1のようなVR HMDに十分対応可能です。個人的に残念なポイントとしてはUSB3.0/3.1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるので少し離れた場所にUSB2.0も設置して欲しかったです。
ネットワーク関連では低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用された有線LAN端子が設置されています。無線LANモジュールも標準搭載しており、Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac、2.4/5GHzデュアルバンド、Bluetooth 4.1にも対応しています。加えて4K動画のストリーミングも可能な最大4.6Gbpsに及ぶ最新接続規格Wi-Fi 802.11ad(WiGig, 60GHz)に対応しているところが特徴的です。
リアI/Oには無線モジュールのアンテナ端子が設置されているので付属のアンテナを接続できます。
またリアI/Oには「USB BIOS FlashBack」ボタンが設置されており所定のUSB端子にBIOSファイルの入ったUSBメモリを接続してボタンを押すと「USB BIOS FlashBack」機能によってCPUやメモリなしの状態でもBIOSの修復・アップデートが可能です。
重量計を使用して重さを測定してみたところ、ASUS ROG ZENITH EXTREMEは1707gでした。同じくX399マザーボードでATXサイズのGIGABYTE X399 AORUS Gaming 7やMSI X399 GAMING PRO CARBON ACよりもサイズやバックプレート装備など構成の豪華さの分だけ重量も大きくなっています。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEの基板上コンポーネント詳細
続いて「ASUS ROG ZENITH EXTREME」のマザーボード基板上の各種コンポーネントをチェックしていきます。システムメモリ用DDR4メモリスロットはCPUソケット両側に4基ずつで計8基のスロットが設置されています。
固定時のツメはマザーボード上側の片側ラッチとなっています。グラフィックカードのあるPCI-Eスロット側はラッチがないので干渉の心配もありません。
グラフィックボードなどを設置するPCI-Eスロットは上から[x16、N/A、x16、x4、x16、x1、x16]サイズが設置されています。プライマリGPUは1段目のスロットなので大型のハイエンド空冷クーラーを使用する場合はグラフィックボードとCPUクーラーの干渉に注意が必要です。
1段目、3段目、5段目、7段目のx16サイズPCI-EスロットのPCI-Eレーン配分は次のようになっています。4段目のx4サイズスロットの帯域はPCI-E2.0x4、6段目のx1サイズスロットの帯域はPCI-E2.0x1です。
マルチグラフィックボード向けのx16スロットは1段目、5段目に配置されており、現在主流な2スロット占有グラフィックボードを使用しても下位グラフィックボードが上位グラフィックボードのエアフローを妨げないよう配慮されています。付属の2スロットスペース型SLI HBブリッジを使用すれば、NVIDIAの最新GPUであるGTX 1080 Ti、GTX 1080、GTX 1070を使用したマルチGPU SLI環境を構築可能です。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEにも最近のトレンドとしてx16サイズスロットには1Kgを超える重量級グラボの重さに耐えるように、従来のプラスチックスロットよりも垂直方向の力に対して1.6倍、水平方向の力に対して1.8倍も強靭になった補強用メタルアーマー搭載スロット「SAFE SLOT」が採用されています。
ASUSのメタルアーマー「SAFE SLOT」はPCI-Eスロットのプラスチックパーツ側面に金属製のフレームが埋め込まれており、金属フレームの四隅を半田付けで固定する構造になっています。(下写真はASUS ROG Strix Z270I Gamingのもの)
4段目のx4サイズのスロットの帯域はPCI-E2.0x4.0となっています。同スロットの右端には切り込みが入れられているので、通信速度がPCI-E2.0x4で問題なければx4サイズより大きい拡張カードも使用可能です。
同スロットはASUS ROG ZENITH EXTREMEに標準で付属する10Gbイーサ拡張ボード「ROG AREION」を設置するために用意されています。
またマザーボード左下にはグラフィックボードなどPCI-Eスロットに設置した拡張カードへ安定した電力供給を行うための追加電源としてマザーボードと平行に4PINペリフェラルコネクタのオプション電源端子が用意されています。オプション扱いですがマルチGPU構成で組む場合は接続したほうがよさそうです。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEにはSATAストレージ用の端子は6基搭載されています。SATA_0~5の6基はAMD X399チップセットのコントローラーによる接続で、RAID0/1/10のハードウェアRAID構築にも対応しています。
高速NVMe接続規格に対応したM.2スロットはチップセットクーラーの下に1基実装されています。チップセットクーラー統合型のM.2 SSDヒートシンク搭載です。なおヒートシンクの固定ネジが最初かなり固く締められているのでネジ穴をなめないように注意してください。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEにはDDR3メモリ用のスロットを独自に改造して作成されたASUS独自のM.2 SSD用スロット「DIMM.2」が実装されています。
DIMM.2スロットは誤挿入防止のためDIMM.2の名前が入った金属フレームを除けば、ほぼDDR3メモリスロットと同じ外観になっています。
DIMM.2スロットは単独ではM.2 SSDをそのまま設置できないのでマザーボードに付属する専用の拡張カードを使用します。表と裏の両面に計2基のM.2 SSD用スロットが用意されており、スロットの端子とは逆側にはM.2スロットのナンバリングが記載されています。右の写真側がM.2_1スロット、左の写真側がM.2_2スロットです。ROG、ASUS、DIMM.2などのロゴが描かれた面に第2スロットが設置されているというのが少し腑に落ちません。
拡張カードにM.2 SSDを設置してから拡張カードをDIMM.2スロットに挿入するので一見、2度手間になって面倒な気はしますが、PCケースにマザーボードを設置した後のM.2 SSDの交換作業などを考えると狭い空間でネジを回して紛失する等の心配もないので、DIMM.2のM.2 SSD設置方法は悪くない構造だと思います。
DIMM.2に設置されたM.2 SSDの冷却方法として専用のファンマウンタが付属していますがメモリクーラーも使用できます。「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM メモリクーラー」ではRGB 4PINの変換が必要ですがASUS AURA Syncを使用したライティング操作も可能でなのでおすすめです。
・「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM」をレビュー
また17年最新マザーボードでは実装の減りつつあるNVMe対応U.2端子もASUS ROG ZENITH EXTREMEには実装されています。U.2端子は最下段のPCI-Ex16スロット(最大PCI-E3.0x8帯域)と一部排他利用になっており、U.2端子を使用する場合は最下段のPCI-EスロットはPCI-E3.0x4帯域に制限されます。
ATX 24PIN端子のすぐ隣には最新USB3.1対応内部ヘッダーとUSB3.0端子が設置されています。
SATA端子上とマザーボード右下には内部USB3.0ヘッダーが2基が設置されています。SATA端子上の内部USB3.0ヘッダーはグラフィックボードなどのPCI-E拡張ボードマザーボードと干渉を避けるため平行に設置されています。内部USB2.0はマザーボード右下の内部USB3.0の隣に1基のみ実装されていますが、CorsairLinkやNZXT CAM対応製品など使用する機器も増えているので、内部USBを複数必要とするユーザーは少し注意が必要かもしれません。不足する場合はUSB2.0ヘッダー増設ハブ「NZXT INTERNAL USB HUB」がおすすめです。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEはエンスー向けゲーミングマザーボードということで高音質オンボードサウンド機能を従来機種よりもさらに強化した「SupremeFX」も採用されています。デジタル部とアナログ部の基板分離などヘッドホン・スピーカー出力の高音質化にも注力しており、光学デジタルによるデジタル音声出力もあるので高級なヘッドホンアンプユーザーにも満足のいく構成です。最近のゲーミングマザボはサウンドボード要らずです。
有線LANには低CPU負荷、高スループットで定評のあるIntel純正のLANコントローラーが採用されており、加えて有線LANの信号特性を改善する独自機能「LANGuard」も搭載し、オンライン通信対戦ゲームユーザーの快適なプレイをバックアップします。
マザーボード基板上にはOCerのみならず一般自作erにとっても組み立て中の動作確認に便利なオンボードのスタートスイッチとリセットスイッチが実装されています。リアI/OにはCMOSクリアのハードウェアスイッチも設置されているのでOC設定をミスっても簡単に初期化が可能です。
POST中のハードウェア検出エラーを知らせてくれるQ-Code LEDは実装されていませんが、実はLCDパネル「ASUS LiveDash」がエラーコードやPOST状況を表示してくれます。
冷却ファンや簡易水冷クーラーのポンプの接続用の端子はマザーボード上の各場所に計6か所設置されていました。「COV FAN」端子はVRM電源冷却ファン用の端子となっています。水冷ポンプ用ファン端子「W_PUMP+」には簡易水冷の水冷ポンプや本格水冷用のD5/DDCポンプなどにも電力供給できます。H_AMP_FAN端子は36W(3A)の高出力に対応しています。
マザーボード上には本格水冷PCユーザーには嬉しい外部温度センサーの接続端子が水路IN/OUT用を含めて4基設置されています。ASUSのファンコントロール機能は外部センサーをソースにした水温依存のファンコントロールが可能なので管理人は以前から水冷ユーザーにお勧めしています。(関連記事)
加えて3PINファン用端子と同じ構造の端子は水冷の流量検出端子となっており、フローインジケーター&メーターを接続することで流量の検出が可能です。ASUSマザボさえあれば水冷環境の構築は全て大丈夫と言っても過言ではなくなってきています。
極端なOC中にリセットボタンでもシステムを再起動や強制終了できない時にBIOSの設定値を保ったまま強制的に再起動を掛けられる「ReTryボタン」、コアクロックやメモリクロックが緩いプロファイルを使用してシステムを確実に起動させハードウェア故障とOC設定失敗の切り分けを容易にする「SAFE BOOTボタン」、マザーボード上のプローブから各種動作電圧を測定可能な「Probelt」などOCer向けの機能も多数用意されています。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEへのパーツ組み込み
ASUS ROG ZENITH EXTREMEにDDR4メモリとCPUクーラーを設置してみました。内容的には写真のギャラリーだけになっています。DDR4メモリには「G.Skill Trident Z F4-3866C18Q-32GTZR」(レビュー記事)、CPUクーラーには「NZXT KRAKEN X62」(レビュー記事)を使用しています。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEの検証機材
ASUS ROG ZENITH EXTREMEを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASUS ROG ZENITH EXTREME以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | AMD Ryzen Threadripper 1950X 16コア32スレッド 定格全コア同時3.7GHz |
CPUクーラー | NZXT KRAKEN X62 280サイズ簡易水冷 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
CPUベンチ用 ビデオカード |
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair RM650i (レビュー) |
AMD Ryzen ThreadripperのTR4 Socketに対応する280サイズラジエーター採用で最高クラスの冷却性能を誇る簡易水冷CPUクーラー「NZXT KRAKEN X62」をNZXTの国内正規代理店タイムリー社よりAMD Ryzen Threadripper CPUやX399チップセット搭載TR4マザーボードをお借りして検証機材として使用しています。個別レビュー記事も公開中です。
・最も美しい簡易水冷CPUクーラー「NZXT KRAKEN X62」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
以上で検証機材のセットアップが完了となります。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのBIOSについて
ASUS ROG ZENITH EXTREMEを使用した検証機の構築も完了したので動作検証とOC耐性のチェックの前にBIOSの紹介をします。(OSから日付調整する前にスクショを取っている場合、日付がおかしいですが無視してください。また内容的に差異のないものは過去の同社製マザーボードのBIOSスクリーンショットを流用しています。)
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのBIOSに最初にアクセスするとEZモードというグラフィカルな画面が表示されます。パッと見の見栄えは良いのですが詳細モードでないと詳細設定ができないので「F7」キーを押してサクッと「アドバンスドモード(Advanced Mode)」へ移るのがおすすめです。
「F7」キーを押すとアドバンスドモードという従来通りの文字ベースのBIOSメニューが表示されます。「Main」タブの「System language」-「English」と表記された項目のプルダウンメニューから言語設定が可能で日本語UIを選択できます。ASUSマザーボードは競合他社と比較してもBIOSメニューの日本語ローカライズの充実と正確さが魅力です。
次回起動時に初回から詳細モードを起動する場合は、「起動-ブート設定」にある「セットアップモード」の項目をアドバンスドモードに変更してください。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのBIOSにおいて設定の保存とBIOSからの退出はトップメニュータブ最右端の「終了」から行えます。その他の設定を行っていても左右カーソルキーですぐに退出可能です。
特定のブートデバイスを指定してBIOSから退出するBoot Override機能は「起動」タブメニューの最下段「起動デバイス選択」に配置されています。
管理人の購入した個体については初期のBIOSバージョンは「0211」でした。9月22日現在、ASUS ROG ZENITH EXTREMEのサポートページでは最新版の「0503」が公開されており、COVファンの動作修正なども含まれるのでBIOSアップデートを行いました。
BIOSのアップデート方法は、まず下から最新のBIOSファイルをダウンロード、解凍してUSBメモリのルートに解凍フォルダを置きます。
サポート:https://www.asus.com/jp/Motherboards/ROG-ZENITH-EXTREME/HelpDesk_Download/
USBメモリを挿入したままBIOSを起動し、アドバンスドモードの「ツール-ASUS EZ Flash 3 Utility」でストレージデバイスからのアップデートでBIOSファイルを選択します。あとはガイドに従ってクリックしていけばOKです。
ブートとOSインストール周りについて紹介します。とはいってもASUS ROG ZENITH EXTREMEのブート回りは下画像のように非常に簡潔にまとめられており初心者でも迷うことはないと思います。
OSのインストールも「Boot Option #1」に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを設定して保存&退出でOKです。「Boot Option #1」の下にスクロールしていくとブートデバイスを個別に指定して再起動できる「Boot override」もあるのでこちらから、同様に「UEFI:〇〇」というOSインストールメディアを選択してもOKです。
BIOSのアップデートやWindows OSのインストール方法を紹介したところで、ASUS ROG ZENITH EXTREMEのBIOS機能で管理人が気になったものをいくつかチェックしていきます。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのBIOSメニューではM.2-U.2変換のHyper Kitに関する設定項目はストレージ設定には用意されていませんでした。
最下段のPCI-Ex16サイズスロットとU.2端子は帯域共有となっていますが、「詳細ーオンボードデバイス詳細設定」の設定項目からPCI-Ex16サイズスロットの帯域を「x4 Mode (U.2有効)」もしくは「x8 Mode (U.2無効)」の設定が可能です。
チップセットのLEDイルミネーションについてはデフォルトではOSのシャットダウンやスリープ時もLEDが点灯しますが、「When system is in sleep, hibernate and soft off states」の項目をOFFにすることでスリープ時やシャットダウン時のみLEDイルミネーションをOFFにすることができます。
なおシャットダウン・スリープ時のLEDの点灯・消灯設定はWindows上の「AURA Sync」から設定が可能でアプリからの操作が優先されます。ASUS Aura Syncソフトウェアの「Power Off」タブがスリープやシャットダウン時のLEDイルミネーションの設定になっています。ここから設定を行うことでASUS ROG ZENITH EXTREMEでもシャットダウン・スリープ時のLEDイルミネーションの消灯が可能です。AURA Syncについて詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
マザーボード上のコンポーネント詳細でも紹介した外部温度センサーについてはBIOS上からも温度をモニタリングできます。簡易水冷(AIO水冷)ポンプ専用の項目も用意されており、ASUS ROG ZENITH EXTREMEであれば冷却機能周りは空冷・水冷ともにほぼ全てBIOS上でコントロール可能です。
BIOS上のファンコントロール機能についてですが、CPUファン端子とCPU OPT端子はCPU温度依存のファンコントロールしかできませんが、その他のケースファン端子については、外部温度センサーなどの各種温度ソースからファンコントロールが可能です。
ファン操作モードはPWM速度調整とDC(電圧)速度調整の2種類が用意されていますが、DC速度調整の場合は下限温度以下で冷却ファンを停止させる「Allow Fan Stop」の設定が表示されます。
VRM電源クーラーの冷却ファン「COV Fan」についてもBIOSから動作設定が可能です。
ASUSマザーボードにもグラフィカルUIによるファンコントールの設定機能「Q-Fan Control」があります。機能的には上で紹介したコンソールのファンコンと同じですが、グラフィカルUIでわかりやすく設定できるよという機能になっています。直感的にわかりますし直打ちが苦手な人にはありがたい機能だと思います。
イルミネーション操作機能「ASUS AURA Sync」について
ASUS製マザーボードにはマザーボード備え付けのLEDイルミネーションやRGB対応汎用4PINイルミネーション機器に対応したイルミネーション操作機能「ASUS AURA Sync」が用意されています。「ASUS ROG ZENITH EXTREME」ではマザーボード備え付けLEDイルミネーションとして、チップセットクーラー、リアI/Oカバー、マザーボード右端裏面の3か所にLEDイルミネーションが搭載されています。
チップセットクーラーには3球、リアI/Oカバーには2球、マザーボード右端裏面には7球のLED素子が実装されており、これらはアドレス指定による(アドレッサブルな)イルミネーション操作に対応しています。オーロラライクなアドレッサブル発光パターンだけでなく、各アドレスに対して静的に発光カラーを指定することも可能です。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEに搭載されたLEDイルミネーションや汎用ヘッダーに接続された機器は発光カラーや発光パターンを専用アプリのAURA Syncから同期操作可能になっています。AURA Syncはマザーボードのサポートページから最新版をダウンロードできます。
サポート:https://www.asus.com/jp/Motherboards/ROG-ZENITH-EXTREME/HelpDesk_Download/
専用アプリである「AURA Sync」を使用することで、色を指定した固定色発光、カラーサイクル等の発光パターンプリセット、温度や音楽に合わせた発光変化など自由度の高いイルミネーション設定が可能です。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのマザーボード備え付けLEDイルミネーションはアドレス指定操作に完全対応しておりソフトウェア上から各LED素子に対して個別に発光カラーを設定できます。
またマザーボード上に設置された汎用RGB LED 4PINヘッダーやアドレス指定対応3PINヘッダーを使用することで当サイトでもレビュー記事を掲載してるLEDテープ「SilverStone SST-LS02」やLEDファングリル「SilverStone FG121 / FG141」など汎用LED機器によるLEDイルミネーションの拡張も可能です。ASUS Aura Syncに対応する機器についてはASUSの公式ページで一覧が公開されています。
ASUS Aura Sync対応機器:https://www.asus.com/campaign/aura/jp/Sync.html
ASUS ROG ZENITH EXTREMEの場合はメモリモジュール型M.2スロットDIMM.2に装着されたM.2 SSDの冷却も兼ねて「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM メモリクーラー」がおすすめです。RGB 4PINの変換が必要ですがASUS AURA Syncを使用したライティング操作も可能となっています。
・「CORSAIR DOMINATOR Airflow PLATINUM」をレビュー
当サイトでレビュー記事を公開中のG.Skill製DDR4 OCメモリ「G.Skill Trident Z RGB」もASUS Aura Syncによるイルミネーション同期設定に対応しています。
・「G.Skill TridentZ RGB DDR4」OCメモリをレビュー
「G.Skill Trident Z RGB」を使用している場合、ASUS AURA Syncのウィンドウ上側にDRAMの項目が表示され同期操作が可能になります。ColorCycleのような全体同期型の発光パターン以外にも、「G.Skill Trident Z RGB」は各DRAM毎に4分割アドレッサブルLEDが実装されているので個別制御も可能です。
ASUSのLEDイルミネーション機能「AURA Sync」については汎用イルミネーション機器の使用方法や導入例などを下の記事でも紹介しているので、詳しくはこちらを参照してください。
・ASUS製のLEDイルミネーション操作機能「AURA Sync」の使い方
LCDモニタ「ASUS LiveDash」について
17年後半からのASUSの新たな試みであるLCDパネル「ASUS LiveDash」が「ASUS ROG ZENITH EXTREME」にも搭載されています。プログラミングやGif画像次第でCPU温度のモニタリング表示からオリジナルアニメーションなど様々な表示が可能なのですが、個人的にはPOST中のチェック項目を逐次表示してくれるのが印象的で、今度の発展次第では初心者ガイドとして非常に有力な機能になる可能性を感じました。
Windows上アプリケーション「ASUS LiveDash」からプリセットとして用意されたCPU温度などのモニタリング表示やアニメーションを選択可能です。
アニメーションについては128*32ピクセルのオリジナルGIF画像表示にも対応しています。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのOC設定について
ASUS ROG ZENITH EXTREMEを使用した場合のオーバークロックの方法を紹介します。なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
AMD Ryzen Threadripper CPUについては純正のOCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」が用意されていますが、こちらの使い方については下の記事を参考にしてください。
・AMD Ryzen専用純正OCツール「AMD Ryzen Masterユーティリティ」の使い方
「ASUS ROG ZENITH EXTREME」のオーバークロック設定は「AI Tweaker」というトップメニューのタブページにCPUコアクロック、メモリ、電圧など各種設定項目が集約されています。「AI Tweaker」ページをスクロールしていくとCPUコアクロック、メモリ、電圧などの各種設定項目が表示されるので設定しやすいUIです。設定値を直接入力する項目でデフォルトの「Auto」に戻す場合は「a」キーを入力すればOKです。
「ASUS ROG ZENITH EXTREME」のオーバークロック設定項目の最初にある「AI Overclock Tweaker」ではプルダウンメニューから「Auto」「Manual」「D.O.C.P.」の3つの設定モードが選択できます。Autoモードは基本的な設定項目に関する自動or手動設定が可能な一般ユーザー向けの設定モードとなっています。ManualモードはBCLK等の詳細なOC設定項目が解放される上級者向けの設定モードです。D.O.C.P.モードはManualモードベースですが、OCメモリに収録されたXMPプロファイルを適用できる設定モードになっています。
OC初心者はXMPを使用しないならAutoモード、XMPを使用するならD.O.C.P.モードを使用すればOKです。
CPUコアクロック(コア倍率)の変更について説明します。
コアクロックはコア数に対して各コアに最大動作クロック(BCLKに対する倍率)を指定できます。「コア0:コア1:コア2:コア3」を倍率として、例えば「45:43:43:42」のようにバラバラに指定した場合、4つのコアのうち1つに負荷が掛かる場合は4コアのうち1つが45倍動作、2つと3つの場合は43、4つの場合は42となります。そしてベースクロック(BCLK)は通常100MHzなので動作倍率40倍であればコアクロックは4.0GHzとなります。
AMD Ryzen Threadripper CPUについても定格では同様に、例えばRyzen Threadripper 1950Xでは冷却性能依存の自動OC機能「XFR」の影響で若干前後しますが、単コア負荷の場合は4.2GHz、全コア負荷の場合はTDPの範囲内で変動しますが軽いワークロードであれば全コア4.0GHzで動作し、動画のエンコードなど重いワークロードでは平均3.5~3.6GHz程度で動作します。
Ryzen ThreadripperのCPUコアクロックに関してBIOSから行う基本的なOC設定や専用ユーティリティー「Ryzen Master」によるOC設定では、単一の「P-State」を設定して固定コアクロックかつ固定電圧でOC設定としていますが、Ryzen CPUでは本来、複数の「P-State」が設定可能です。
アイドル時のP-State0、低負荷時のP-State1、高負荷時のP-State2のように負荷に応じてP-State(コアクロックと電圧の組み合わせ)という状態を遷移できます。例えばRyzen Threadripperの定格動作ではCPUごとにデフォルトで設定されたP-Stateに従って動作しているので可変コアクロックかつ可変電圧になっています。
固定最大コアクロック&固定電圧によるOCに比べて、複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高いですが、一部のコアのみより高いクロックで動作させるなど細かい設定が可能になります。とはいえやはり複数のP-Stateを設定する方法は難易度が高い設定になるので、簡単な単一P-Stateで固定最大倍率&固定電圧のOCがおすすめです。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのコアクロックのOC設定方法はコアクロック(MHz)の動作倍率を指定する形になっていました。「CPUコアクロック倍率(CPU Core Ratio)」の項目を「40.25」と設定するとベースクロック(BCLK):100MHzに対して4025MHzで動作するように設定されます。動作倍率は0.25刻みで指定可能です。
CPU動作倍率は「自動」設定の場合は単純に倍率の値を入力するだけですが、プルダウンから「手動」を選択すると「FID」と「DID」の2つの数値を入力する形になります。管理人にも具体的な意味は分からないのですが、実際の動作としては『倍率 = FID / DID * 2』となります。
「AI Overclock Tweaker」から「Manual」モードもしくは「D.O.C.P」モードを選択するとベースクロック(BCLK)の設定項目が表示されます。デフォルトのAutoでは100MHzに固定されていますが、設定値を直打ちすることで40~300MHzの範囲内で0.200MHz刻みで設定できます。CPUコアクロックはBCLKに対する動作倍率で設定されるのでBCLK110MHz、動作倍率45倍の場合はコアクロック4.95GHz動作となります。ただしBCLKを使用したOCはかなり上級者向けなので通常はAutoか100MHzが推奨です。
AMD CPUのマルチスレッディング機能である「SMT: サイマルテイニアス マルチスレッディング(Simultaneous multithreading)」の有効・無効をBIOS上から設定可能です。
続いてコア電圧の調整を行います。
AMD Ryzen Threadripper CPUでオーバークロックを行う場合に変更する電圧設定については基本項目が「CPUコア電圧」「CPU SOC電圧」「DRAM電圧」の3項目のみと非常に簡単化されています。加えてASUS ROG ZENITH EXTREMEでは「External Digi+ Power Control」の項目からその他多くの電圧設定が可能です。
CPUコアクロックのOCに関連するコア電圧のOC設定としては、ASUS ROG ZENITH EXTREMEではCPUコア電圧の項目を変更します。CPUコア電圧ではマニュアルの設定値を固定する「マニュアル」モード、CPUに設定された比例値にオフセットかける「オフセット」モードの2種類が使用できます。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEでCPUコアクロックのOCを行う場合コア電圧設定モードとして通常はマニュアルモードを推奨します。マニュアルモードの場合は0.00625V刻みでコア電圧の設定が可能です。電圧設定の目安としては1950Xの場合、全コア4.0GHzで1.300~1.400V程度となります。
CPUコア電圧モードについて簡単に説明すると、オフセットモードやアダプティブモードはCPU負荷に比例して電圧が設定されており、低負荷時は電圧が下がるので省電力に優れるのですが、OCをする場合はマザーボードによって挙動に差があり安定する設定を見極めるのが難しいので、個人的にはオフセットやアダプティブは定格向け、OCには固定値適用の固定モードを推奨しています。
仮にOCでオフセットやアダプティブを使う場合も最初はコアクロックに対して安定する電圧を見極める必要があるので、まずは固定モードを使用します。
ちなみにマザーボードにより対応しているモードは異なりますが、CPUのオーバークロックに付随するコア電圧のモードの概略図は次のようになっています。
またCPUのOCに関連する追加の電力設定としてASUS ROG ZENITH EXTREMEでは、コアクロックと電圧の設定項目の中間あたりに「External Digi+ Power Control」が配置されています。
コアクロックを高く設定する時に追加で変更するといい項目として「External Digi+ Power Control」の「ロードラインキャリブレーション」があります。ロードラインキャリブレーションはCPU負荷時の電圧降下を補正してOCを安定させる機能となっており、補正の強度としてLevel 1~Level 8の8段階になっており、Levelが大きくなるほど電圧降下の補正は強くなりOCは安定しやすくなりますが発熱も大きくなります。Level 5あたりから始めて安定する設定値を模索していくのがおすすめです。
「External Digi+ Power Control」ではその他にも「CPU VRM スイッチング周波数」「CPU VRM スペクトラム拡散」「デューティ コントロール」「CPU VRM 可動フェーズ設定」などCPUのオーバークロック時にマザーボードVRMからの電力供給を安定させる設定項目が用意されています。
あと「ASUS ROG ZENITH EXTREME」では複数のP-State(Custom P-State)の個別設定がBIOS:0503では行えません。設定項目はトップメニュータブ「Advanced」から「AMD CBS」「Zen Common Options」と下っていき、「OC Mode」の項目を「Customized」に変更し、「Custom Pstates / Throttling」の項目を開くと、通常は複数のP-State(Custom P-State)の個別設定画面が表示されるのですが「ASUS ROG ZENITH EXTREME」では表示されませんでした。
メモリのオーバークロックについても簡単に紹介だけしておきます。
メモリの性能について簡単に言うと「動作クロックが高く」「タイミングが小さい」ほど性能は高くなります。そのためメモリOCを手動で行う手順を簡単にすると「電圧を上げて動作可能なクロックを探し」、「そのクロックにおいて正常に動作する最小のタイミングを探る」という2つの手順を繰り返すことになります。
一方でXMPによるメモリOCは上の手順によるOCをメーカー側がすでに行い動作確認をしているので、メーカーが動作確認を行ったOCプロファイルを適用するだけで簡単にメモリをオーバークロックできます。
なおAMD Ryzen Threadripper環境ではメモリのオーバークロックに伴って、コアクロックOC時のコア電圧の要求値が上がるので注意してください。一例として1950XとASRock X399 Taichiの組み合わせで全コア4.0GHzのOCに関して、メモリ周波数2133MHzでは1.275Vで回った石でもメモリ周波数3466MHzにOCすると1.320V程度が安定動作に要求されました。
メモリOCではPOSTすらクリアできずBIOSに到達できないことも少なくありませんが、「ASUS ROG ZENITH EXTREME」では正常にPOSTできないメモリOC設定でエラーが出た場合は数回再起動した後、自動で2133MHzのような緩い設定で起動してくれるのでメモリOCを安心して行えます。
メモリOCで有名なXMPプロファイルはIntelの策定した規格なのでAMD CPU&マザーボードの環境では非対応ですが、ASUS ROG ZENITH EXTREMEなどの一部のASUS製マザーボードでは「AI Overclock Tuner」のプルダウンメニューに、メモリに収録されたXMPプロファイルからRyzen環境でも使用可能なメモリOCプロファイルを自動生成する「D.O.C.P」という独自機能があります。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEでは「AI Overclock Tweaker」から「D.O.C.P」モードを選択することで、自動生成されたOCプロファイルによるメモリOC設定の適用が可能です。
「AI Overclock Tweaker」のAutoモードやManualモードでは、「DRAM Frequency」の設定値がAutoでは多くのDDR4メモリで動作クロック2133~2666MHzでメモリごとに設定されたタイミングによる定格動作となります。手動でメモリ周波数を設定する場合は「DRAM Frequency」の項目でプルダウンメニューから最大4000MHzまでの動作クロック(倍率)設定が可能です。
モリタイミングの個別打ち込み設定も可能です。メモリタイミングを手動で設定する場合は基本的には「CAS Latency (tCL)」、「RAS to CAS Read (tRCDrd)」、「RAS to CAS Write (tRCDwr)」、「RAS Precharge (tRP)」、「RAS Active Time (tRAS)」の主要な5タイミングと、加えて下の方にスクロールしていくと表示される「Command Rate:1 or 2」の6つ以外はAutoのままでいいと思います。
メモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合は「GearDownMode」をEnabledに設定すると動作が安定するかもしれないので、Autoで上手くいかない場合は設定を変更してみてください。
メモリタイミングの下の方にある「ProcODT」という設定値がAutoのままではPOSTがクリアできない場合があります。AutoでPOSTをクリアできない、もしくは起動後に安定しない場合は「ProcODT」を43.6~68.6の間で固定して安定するものを探してみてください
DDR4メモリの周波数OCを行う際は「DRAM AB/CD Voltage」の項目を、3000MHz以上にOCする場合は1.300~1.350V、3800MHz以上にOCする場合は1.370~1.400Vに上げる必要があります。メモリをOCする場合は最初から1.350V以上にDRAM電圧を盛っておくのがおすすめです。
加えてAMD Ryzen Threadripper CPUでメモリの動作クロックをOCする場合はDRAM電圧だけでなく「CPU SOC電圧」も1.100V程度に盛ってやると動作が安定しやすいようです。
AMD Ryzen Threadripperにはメモリーアクセスモードとして「Distributed / Local」の2つのモードが用意されていますが、「ASUS ROG ZENITH EXTREME」では専用アプリ「AMD Ryzen Master」を使用せずBIOSからメモリーアクセスモードの変更を行うことが可能です。
トップメニュータブの「Advanced」から「AMD CBSーDF Common Options」と下っていくと表示される「Memory interleaving」の項目がメモリーアクセスモードの設定に該当しています。「Memory interleaving」の設定値は次のようになっています。
Die : Distributed : UMAモード
Channel : Local : NUMAモード
ASUS ROG ZENITH EXTREMEの動作検証・OC耐性
BIOS周りの管理人的に気になるところの紹介はこのあたりにしてASUS ROG ZENITH EXTREMEを使用した検証機で具体的に動作検証とOC耐性をチェックしていきます。まずはFast Bootとフルスクリーンロゴを無効(BIOS設定1/BIOS設定2)にしてOSの起動時間を測定したところ、ASUS ROG ZENITH EXTREMEの起動時間は32秒ほどでした。多機能なエンスー向けマザーボードの起動時間としては遅いというほどではありませんが、POSTに時間がかかっている印象です。
続いてASUS ROG ZENITH EXTREMEを使用した場合のCPUとメモリのオーバークロック耐性をチェックしてみました。
なおオーバークロックはメーカー保証外の行為であり製品の破損やデータの消失もすべて自己責任となります。オーバークロック検証時は最小構成(CPU、マザーボード、メモリ、システムストレージ、グラフィックボード)以外は基本的にすべて外し、可能ならOC検証用のシステムストレージを用意するなど細心の注意を払ってください。
Ryzen Threadripper 1950XのOC設定は「CPUクロック倍率:40」「CPUコア電圧:1.33125V」「ロードラインキャリブレーション: Level6」「メモリ周波数:3200MHz」「メモリ電圧:1.350V」「メモリタイミング:14-14-14-34-CR1」「ProcODT:68.6ohm」としています。
上の設定を適用したところ問題なくOSを起動させることができました。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEの環境(BIOS:0503)でメモリ周波数を3200MHzにOCしてメモリタイミング:14-14-14-34-CR1に詰めることができました。
以下、検証機材メモリとの相性があまり良くない可能性もあると念頭に置いた上で、ASUS ROG ZENITH EXTREMEのメモリOC耐性に関する報告として聞いていただきたいのですが、メモリOCの検証機材としてG.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZRを使用しており、他のAMD Ryzen Threadripper環境で3466MHzで安定動作、3600MHzでの起動なども確認できているメモリですが、「ASUS ROG ZENITH EXTREME」の環境では3466MHzではPOSTが安定せず、3600MHzについては起動も確認するのが難しいという具合でした。
3200MHzが14-14-14-34という比較的シビアなタイミングで安定動作したので、3466MHzに対して20-20-20-40くらいまで緩めるとMemTestなどでエラーが出るとしてもPOSTでランダムにこけるということはあまりないように思います。しかしながらGearDownModeの有効固定、ProcODTの指定、タイミングの微調整など試してみたのですが3466MHz以上においてPOSTを安定させることができませんでした。数回POSTエラーを繰り返して正常に起動する(エラー回数はランダム)ということもあるので、Auto設定にしている何かが悪さをしているのかもしれません。色々試してみた結果として、3466MHz以上で安定してPOSTクリアするのが難しいというのはBIOS:0503におけるASUS ROG ZENITH EXTREMEの特徴のように感じました。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEは3200MHzについては14-14-14-34というシビアなタイミングで安定動作しているのでX399マザーボードとしては十分及第点だと思いますが、+αを求める上で今後のBIOSアップデートで3466MHz以上でも安定するように改善されていって欲しいと思います。
繰り返しますが、検証機材メモリ「G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR」と単純に相性が良くない(他のマザーボードとは相性が良い)という可能性もあり、全てのメモリOCに当てはまらない可能性もあるので注意してください。
また「F4-4200C19Q2-64GTZKK(8GB*8, XMP4200MHz)」で8GB*8=64GBについて動作を確認してみたところ、2933MHzで安定動作となりました。ただしタイミングの微調整がそこそこ手間取りました。また3066MHz以上は起動も難しいといった感じでした。Samsung Bダイ 8GBの8枚組であれば2666MHzは余裕、2933MHzもタイミング微調整を頑張れば安定動作を狙えると思います。
16コア32スレッド「AMD Ryzen Threadripper 1950X」のコアクロック4.0GHz、メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1でCinebenchも問題なくクリアできました。
続いてこのOC設定を使用してストレステストを実行しました。
検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はThreadripper 1950Xの場合10分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
ストレステスト中のCPU温度とCPU使用率のログは次のようになりました。マザーボードにASUS ROG ZENITH EXTREMEを使用して「AMD Ryzen Threadripper 1950X」のコアクロック4.0GHz、メモリ周波数3200MHzにOCしてストレステストをクリアできました。CPUクーラーのファン回転数は1500RPMで固定しています。
スマホで使用できるサーモグラフィカメラ「FLIR ONE」を使用してASUS ROG ZENITH EXTREMEのVRM電源温度をチェックしてみました。
なおASUS ROG ZENITH EXTREMEではリアI/Oカバー内にVRM電源ヒートシンクから延長された放熱フィンを冷やすための冷却ファンが設置されていますが、標準搭載の35mmファンは煩いのでサードパーティ製の40mmファンに換装しています。
・「ASUS ROG ZENITH EXTREME」に搭載されるVRMクーラーファンが結構煩い
まずは同マザーボードにおいてAMD Ryzen Threadripper 1950Xをデフォルト設定で負荷をかけてからVRM電源温度を測定してみました。定格では180W制限下で動作するため平均して全コア3.5~3.6GHz程度での動作となります。
デフォルト設定の動作でもEPS端子経由の消費電力は180W程度に達し、簡易水冷CPUクーラーでVRM電源周りに風が直接当たらない状態で測定を行っていますが、VRM電源温度は高温部分でも70度半ばになりました。VRM電源クーラーに40mm径の冷却ファンが装着されていますが、定格についてはヒートパイプで拡張されたパッシブ型クーラーとそこまで冷却性能に差は出ないようです。
続いてRyzen Threadripper 1950Xを上記のBIOS設定でOCした時の負荷テスト中の温度をチェックしていきます。同マザーボードに限った話ではありませんがRyzen Threadripper CPUで12コア以上のモデルをOCする場合はスポットクーラーを使用してVRM電源部分の冷却推奨です。しかしながら今回はVRM電源クーラーの性能をチェックするためスポットクーラーを使用せずに測定を行いました。ちなみにASUS ROG ZENITH EXTREME環境でRyzen Threadripper 1950Xを4.0GHz、メモリ3200MHzまでOCするとシステム全体の消費電力が370~400Wに達します。
Ryzen Threadripper 1950Xを全コア4.0GHzにOCしていますが、サーモグラフィーとソフトウェア読みともにVRM電源周りの温度は80度半ばに収まりました。定格ではヒートパイプで拡張している他社のパッシブ型VRM電源クーラーと大きな差は確認できませんでしたが、OC時についてはスポットクーラーなしでも80度半ばに収まるところを見るにVRM電源冷却ファンもしっかりと仕事をしているようです。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEのレビューまとめ
最後に「ASUS ROG ZENITH EXTREME」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- ブラックを基調とし電子回路を模した17年ROGシリーズのクールなデザイン
- マザーボード右側を保護するバックプレート付き
- マザーボード一体型リアI/Oパネル搭載
- マザーボード備え付けのアドレッサブルなLEDイルミネーションが綺麗
- LCDパネル「ASUS Live Dash」が意外と便利かも
- 外部センサーと搭載で水温ソースのファンコンも可能なので水冷PCにも最適
- 重量級グラボにも耐えるメタルアーマー採用PCI-Eスロット「SAFE SLOT」
- 16コアRyzen TR 1950X 4.0GHz、メモリクロック3200MHz OCで安定動作
- 独自M.2スロット「DIMM.2」の17年後半改良版を搭載
付属ファンマウンタや社外製メモリクーラーによってM.2 SSDを簡単に冷やせる - 高速NVMe接続のU.2端子が1基設置されている
- スタート・リセットスイッチなど動作検証に便利なオンボードスイッチ
- NVIDIA GTX 10XXシリーズのマルチGPU用のSLI HBブリッジが付属する
- 各種オンボードスイッチ等、オーバークロッカー向けのハードウェアツールを多数備える
- 最大4.6Gbpsに及ぶ最新無線接続規格Wi-Fi 802.11ad(WiGig)対応無線LAN搭載
- 10Gbpsイーサ拡張ボード「ROG AREION 10G」が付属
- 1950Xのオーバークロックを行う場合はスポットクーラーの使用したほうがいいかも
- VRM電源クーラーの冷却ファンについて標準搭載の35mmファンは煩い
- マザーボードサイズはATXより幅が20mm程長いE-ATXなのでPCケースとの干渉に注意
- M.2ヒートシンクの固定ネジが最初かなり固く締められているのでなめないように注意
- 内部USB2.0ヘッダーが1基しかない
AMD Ryzen Threadripper CPU対応X399マザーボード「ASUS ROG ZENITH EXTREME」は完全新規に立ち上げられたAMDのエンスー向けマザーボード最上位ブランド”ROG ZENITH”の名を冠する最初のモデルとなっていますが、ASUSが築き上げてきたROGの名に恥じぬ品質とブランド力を兼ね備えた製品に仕上がっています。OC耐性や各種I/Oポートの充実などマザーボードとしての基本的な性能が十分に備わっていることは当然として、E-ATXフォームファクタ、統合型バックプレート、オーロラライクなアドレッサブルLEDイルミネーション、10Gbイーサ拡張ボード「ROG AREION 10G」付属、独自M.2スロット「DIMM.2」などASUSの技術の粋を極めた超豪華なマザーボードです。
AMD Ryzen Threadripperに対応したX399マザーボードの中では7万円を超えるという、頭一つとびぬけた高価な製品となっていますが、それに見合った圧倒的ブランド力と豪華な構成を備えているので予算が許すのであればASUS ROG ZENITH EXTREMEは買って満足のいく製品だと思います。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEを使用した検証機では16コア32スレッドのAMD Ryzen Threadripper 1950Xを全コア4.0GHzに、メモリ周波数も3200MHzにオーバークロックして負荷テストをクリアすることができました。
マザーボードのOC耐性については上述の通り1950Xで全コア4.0GHzへのオーバークロック、メモリ周波数3200MHzでメモリタイミング14-14-14-34-CR1という比較的シビアなタイミングを達成しているのでOC耐性についても及第点は十分にクリアしていると思います。
OC検証のところでも詳しく説明しましたが、メモリ周波数が3466MHzを超えてくるとPOSTを安定してクリアするのが難しくなってくるようなので、この辺りは今後のBIOSアップデートに期待したいところです。
ASUS ROG ZENITH EXTREMEはVRM電源クーラーとして『ヒートパイプによる連結で拡張した放熱フィンをリアI/Oカバー内に格納しその中で冷却ファンによるアクティブ冷却を行う』というデザインと性能を両立すべく考案された新たな構造が採用されているところも注目ポイントです。今回は標準で付属する冷却ファンが煩いという難点があったものの、40mm径の冷却ファンに換装したアクティブ冷却では静穏性をある程度維持しつつ、追加のスポットクーラーを必要とせずにRyzen Threadripper 1950Xの4.0GHz OCによるVRM電源負荷を御することに成功しています。
DIMM.2を見てもROG開発チームは初搭載となる17年初頭のROG MAXIMUS IX APEXからわずか半年程度で改良を加えているので、冷却ファンを使用したVRM電源冷却についても今後は改良が加えられていくと期待したいです。
17年後半で初実装となるASUSの新たな試みとして「ASUS ROG ZENITH EXTREME」にも搭載されるLCDパネル「ASUS LiveDash」は、POST中のチェック項目を逐次表示してくれるのが印象的で、今度の発展次第では初心者ガイドとして非常に有力な機能になる可能性を感じました。LCDパネル「ASUS LiveDash」は今後の発展に期待の高まる独自機能です。
以上、「ASUS ROG ZENITH EXTREME」のレビューでした。
検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
G.Skill Flare X F4-3200C14Q-32GFX Threadripper対応
G.Skill Trident Z RGB F4-3200C14Q-32GTZRX Threadripper対応
G.Skill
<PCショップアーク><PCワンズ><OCworks>
Ryzen Threadripperは従来のCPUに比べて非常に大きいヒートスプレッダが採用されているので、大型ベースコアを採用するThreadripper専用CPUクーラーもおすすめです。
Noctua NF-A12x25 PWM 120mmファン 定格2000RPM PWM対応
Noctua NF-A12x25 ULN 120mmファン 定格1200RPM PWM対応
Noctua
<米尼:PWM/FLX/ULN><TSUKUMO>
<PCショップアーク><オリオスペック>
Noctua NH-U14S TR4-SP3 - 140mm [Noctua正規代理店]
Noctua NH-U12S TR4-SP3 - 120mm [Noctua正規代理店]
Noctua NH-U9 TR4-SP3 - 92mm [Noctua正規代理店]
Noctua
<TSUKUMO:U14S/U12S/U9><PCワンズ>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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