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オーストリアのCPUクーラーメーカーNoctuaが贈るRyzen Threadripper対応としては初となる空冷CPUクーラーで、Ryzen Threadripperの大型IHSと余すことなく接触する大型銅製ベースを採用する「NH-U14S TR4-SP3」「NH-U12S TR4-SP3」「NH-U9 TR4-SP3」の3モデルをPCケースに組み込んで実際にTDP180WのRyzen Threadripper 1950Xを御し切れるのか、定格とOCについての冷却性能を前回のレビューの補足として検証してみました。
Noctua製のRyzen ThreadRipper対応空冷CPUクーラーは「NH-U14S TR4-SP3」「NH-U12S TR4-SP3」「NH-U9 TR4-SP3」の3モデルがラインナップされていますが、「NH-U12S TR4-SP3」と「NH-U9 TR4-SP3」の2モデルについてはNoctuaの国内正規代理店Techace様の協力のもとサンプル機をお借りしています。今回はこれら全モデルについて一挙にレビューします。
・Noctua製Ryzen Threadripper対応空冷CPUクーラーのレビュー記事一覧へ
国内正規代理店「Techace」公式ページ
「NH-U14S TR4-SP3」:https://techace.jp/product_info.php/products_id/2985
「NH-U12S TR4-SP3」:https://techace.jp/product_info.php/products_id/2986
「NH-U9 TR4-SP3」:https://techace.jp/product_info.php/products_id/2987
「NH-U14S TR4-SP3」製品公式ページ:http://noctua.at/en/nh-u14s-tr4-sp3
「NH-U12S TR4-SP3」製品公式ページ:http://noctua.at/en/nh-u12s-tr4-sp3
「NH-U9 TR4-SP3」製品公式ページ:http://noctua.at/en/nh-u9-tr4-sp3
Noctua NH-U14S TR4-SP3 - 140mm [Noctua正規代理店]
Noctua NH-U12S TR4-SP3 - 120mm [Noctua正規代理店]
Noctua NH-U9 TR4-SP3 - 92mm [Noctua正規代理店]
Noctua
<TSUKUMO:U14S/U12S/U9><PCワンズ>
NH-U14S/U12S/U9 TR4-SP3の検証機材について
「NH-U14S TR4-SP3」「NH-U12S TR4-SP3」「NH-U9 TR4-SP3」の3モデルをPCケースに組み込んだ実働冷却性能の検証においてグラフィックボード以外の構成パーツには以下を使用しています。テストベンチ機の構成 | |
OS | Windows10 64bit Home |
CPU |
AMD Ryzen Threadripper 1950X 16コア32スレッド 定格3.6GHz (レビュー) |
M/B | ASRock Fatal1ty X399 Professional Gaming (レビュー予定) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR DDR4 8GB*4=32GB うち2枚使用 (レビュー) Kingston HyperX Fury HX424C15FB2K2/16 DDR4 8GB*2=16GB |
グラフィックボード |
EVGA GeForce GTX 1080 Ti SC2 GAMING (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
PCケース | Cooler Master MASTERCASE MAKER
5t (レビュー) |
ケースファン |
NZXT Aer F 140 3基 (レビュー) |
検証機材メモリについて、「Noctua NH-U9 TR4-SP3」ではレビュー記事内で解説していますがメモリとCPUクーラーのクリアランスの関係で背の低いロープロファイルメモリの使用が推奨されるため、今回の検証ではCPUソケットに近い2スロットについては「Kingston HyperX Fury DDR4(型番:HX424C15FB2K2/16)」を使用するという変則的な構成になっています。
なお複数種のメモリが混ざっても動作自体は基本的に問題ありませんが、同じ種類を複数セット使うか最初から使用する枚数のセットを使用する方がおすすめです。
熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-001-RS(少量、1g)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-015-RS(1.5ml)
Thermal Grizzly Kryonaut TG-K-030-RS(3.0ml)
親和産業
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
「Noctua NH-U9 TR4-SP3」については製品マニュアルで下の画像のように推奨の塗り方が紹介されています。まず最初に等間隔に9カ所小さめに熱伝導グリスを落として、さらにその間の4か所に少し大きめに熱伝導グリスを塗るという塗り方が推奨されています。
普段は熱伝導グリスを上のようにてきとうに塗っているのですが、推奨の塗り方が紹介されているので今回の検証ではマニュアルにならってみました。
この塗り方で後ほどCPUクーラーを着脱してみたところCPUのヒートスプレッダ全体へ熱伝導グリスが綺麗に伸びていました。
PCケースにはNZXT製のエアフロー重視でPCケースの吸気・排気ファンに最適なケースファン「NZXT Aer F 140」をPCケースのフロントに吸気ファンとして2基、リアに排気ファンとして1基設置しています。
以上の環境で「NH-U14S TR4-SP3」「NH-U12S TR4-SP3」「NH-U9 TR4-SP3」の3モデルについて実用の冷却性能について測定を行いました。
NH-U14S/U12S/U9 TR4-SP3のPCケース内における冷却性能
本題となる「Noctua NH-U14S TR4-SP3」「Noctua NH-U12S TR4-SP3」「Noctua NH-U9 TR4-SP3」のPCケース内の冷却性能についてチェックしていきます。検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はThreadripper 1950Xの場合10分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
まず最初にAMD Ryzen Threadripper 1950Xの定格動作時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。PCケースに設置した冷却ファンは900RPMで固定としました。また各CPUクーラーの冷却ファンはベンチ板で測定した時よりも100RPM高いファン回転数で固定しています。
ATX対応ミドルタワーPCケースで900RPMの140mmファン3基を吸気2排気1構成として場合は、ベンチ板で測定するのと同等以上の冷却性能が得られるようです。
続いてCPUコアクロックを全コア3.8GHz, 1.200V, LLC:Level2に手動でオーバークロックした時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。PCケースに設置した冷却ファンは先ほど同様に900RPMで固定としました。各CPUクーラーの冷却ファンはベンチ板で測定した時よりも100RPM高いファン回転数で固定しています。
この程度の軽めのOCであれば1950Xの定格と同様に3種のCPUクーラーはいずれもベンチ板で測定するのと同等以上の冷却性能が得られるようです。
続いてCPUコアクロックを全コア3.9GHz, 1.237V, LLC:Level2に手動でオーバークロックした時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。PCケースに設置した冷却ファンは先ほど同様に900RPMで固定としました。各CPUクーラーの冷却ファンはベンチ板で測定した時よりも100RPM高いファン回転数で固定しています。
1950Xを3.9GHzまでOCした場合、意外にも「NH-U12S TR4-SP3」と「NH-U9 TR4-SP3」ではそこまで大きな差が出ませんでした。「NH-U12S TR4-SP3」はヒートシンクが大きいもののヒートパイプが10本ですが「NH-U9 TR4-SP3」ヒートパイプが12本なのでベースコアからの熱伝導効率がボトルネックになるようです。あとPCケースファンの排熱性能が900RPMではCPUからの発熱に対して同程度かやや不足し始めている可能性もあると思います。
さらにCPUコアクロックを全コア4.0GHz, 1.275V, LLC:Level2に手動でオーバークロックした時のストレステスト中の温度をチェックしていきます。コア電圧をギリギリまで下げており「NH-U12S TR4-SP3」と「NH-U9 TR4-SP3」はCPUコア温度が70度半ばを超えてフリーズしてしまうので比較対象から除いて、「NH-U14S TR4-SP3」についてのみチェックしています。
PCケースファンをこれまで同様に900RPMに固定すると赤線グラフのように終盤ではPCケース内の排熱が追い付かずに冷却性能が下りCPU温度が上がっていきます。PCケースファン回転数を1100RPMまで上げると緑線グラフのようにベンチ板で測定した時よりも高い冷却性能を発揮できました。
ベンチ板測定の時は「NH-U14S TR4-SP3」をデュアルファンにすると標準のシングルファンに比べて冷却性能が向上しましたが、PCケース内ではケースファンによってエアフローが十分なせいか、デュアルファンにしても改善は確認できませんでした。何度か測定し直してみたものの、デュアルファンの方が冷えないor同程度という結果は得られたものの、シングルファンより明確に冷える結果が得られなかったので。PCケース内のエアフローにもよると思いますが、吸排気が十分であればデュアルファン構成にする意味はあまりないかもしれません。
「NH-U14S TR4-SP3」「NH-U12S TR4-SP3」「NH-U9 TR4-SP3」の3製品についてはPCケースに組み込んでもATX対応ミドルタワーPCケースに140サイズ冷却ファン吸気2排気1のような標準的な構成で、Ryzen Threadripper 1950Xが十分に冷せるということは確認できたと思います。
以上、前回行った「NH-U14S TR4-SP3」「NH-U12S TR4-SP3」「NH-U9 TR4-SP3」のレビューに関する補足的な検証『「NH-U14S/U12S/U9 TR4-SP3」をPCケースに入れて冷却性能を試す』でした。
Noctua NH-U14S TR4-SP3 - 140mm [Noctua正規代理店]
Noctua NH-U12S TR4-SP3 - 120mm [Noctua正規代理店]
Noctua NH-U9 TR4-SP3 - 92mm [Noctua正規代理店]
Noctua
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X399 TR4 Socketマザーボード販売ページ
<Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク>
<PCワンズ><ドスパラ><パソコン工房>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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