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幅180mm高さ295mm奥行372mmのコンパクトサイズながら240サイズの水冷ラジエーターや全長315mmまでのグラフィックボードを搭載可能なMini-ITX対応アルミニウムPCケース「Lian Li PC-Q38」のレビュー用サンプルを正規国内代理店ディラック様よりお借りできたのでレビューしていきます。
「Lian Li PC-Q38」の外観や内部構造などの製品仕様にの紹介に加えて、8コア16スレッド「Ryzen 7 1800X」に対応したMini-ITXマザーボード「ASRock Fatal1ty X370 Gaming-ITX/ac」を使用してRyzen 7 1800XとGTX 1080 Tiを組み込んだ超ハイエンド自作PCのビルドを行います。
「Lian Li PC-Q38」はコンパクトなハイエンド自作PC用のPCケースとしてはNcase M1やPhanteks Enthoo Evolv ITXに並んで定番になれる可能性を感じます。カラーバリエーションはシルバーの「PC-Q38WA」とブラックの「PC-Q38WX」の2色展開で9月13日より発売中です。
代理店公式ページ:http://www.dirac.co.jp/pc-q38/
製品公式ページ:http://www.lian-li.com/en/dt_portfolio/pc-q38/
Lian Li PC-Q38 シルバー PC-Q38WA 日本正規代理店品
Lian Li PC-Q38 ブラック PC-Q38WX 日本正規代理店品
Lian Li
<TSUKUMO><ドスパラ><PCワンズ>
Lian Li PC-Q38の自作PC レビュー目次
1.Lian Li PC-Q38について
2.Lian Li PC-Q38の梱包・付属品
3.Lian Li PC-Q38の外観
4.Lian Li PC-Q38の内部構造の概要
5.Lian Li PC-Q38のグラフィックボード設置スペース
6.Lian Li PC-Q38のストレージ設置スペース
7.Lian Li PC-Q38の電源ユニット設置スペース
8.Lian Li PC-Q38のケースボトム
9.Lian Li PC-Q38のラジエーター設置スペース
10.Lian Li PC-Q38で実際に自作PCを組んでみる
11.Lian Li PC-Q38のビルドギャラリー
12.Lian Li PC-Q38のレビューまとめ
Lian Li PC-Q38について
Mini-ITX対応PCケース「Lian Li PC-Q38」シリーズの概要について最初に紹介します。Lian Li PC-Q38のカラーリングはシルバーとブラックの2色が展開されており、外観も人を選びにくいシンプルなデザインです。サイドパネルはアクリルウィンドウを採用しているので魅せる自作PCにも最適です。
インシュレーターはネジ止めで着脱可能になっており、縦置きだけでなく横置きにも対応しています。
「Lian Li PC-Q38」はMini-ITX対応PCケースながらPCケース内のスペースも大きく、240サイズのラジエーターを搭載可能なので240サイズ簡易水冷CPUクーラーも設置でき、空冷CPUクーラーも全高140mmまで対応しています。
グラフィックボードは全長315mmまで対応しています。厚さは2スロット占有の45mmまでが仕様になっていますが、ケース内部を見た感じでは3スロット分くらいの幅はありそうなのでブラケットが2スロットなら2.5~3スロットサイズのグラボも入りそうな気がします。この辺りについてもレビューではチェックしていきます。
電源ユニットはSFXやSFX-Lサイズに対応しており、PCケースのフロントに設置して延長ACケーブルでリアに伸ばす構造になっています。「Lian Li PC-Q38」は315mmのハイエンドVGAや240サイズラジエーター簡易水冷CPUクーラーを搭載可能となっており、Core i7 7700KやRyzen 7 1800XとGTX 1080 Tiのような超ハイエンド構成も可能なPCケースなので、そういった構成を選択するのであれば当サイトでもレビュー記事を公開中のTITANIUM認証取得SFX-L電源「SilverStone SST-SX800-LTI」がなどおすすめです。
ストレージについてはPCケースのリアのスリット部分に固定したり、フロントの天井に吊り下げる構造です。標準でも2.5インチストレージ3つ、3.5インチストレージ1つを設置できます。ITXマザーボードのSATA端子は基本4つ程度なので十分な数です。
Lian Li PC-Q38の梱包・付属品
まずはLian Li PC-Q38の梱包と付属品を簡単にチェックしておきます。PCケース本体は茶色の専用段ボール箱にスポンジスペーサーで固定されて、ビニール袋に入った状態で付属品と一緒に収められていました。
ネジ類等の付属品についてはPCケース内の電源ユニット吊り下げマウンタの隙間にケーブルタイで固定して収められていました。
付属品は、マニュアル・保証書、各種ネジ類、ケーブルタイ、内部スピーカーとなっています。
Lian Li PC-Q38の外観
続いて「Lian Li PC-Q38」のPCケース本体の外観についてチェックしていきます。「Lian Li PC-Q38」の右サイドパネルには大型のアクリルウィンドウが設置されており、PCケース外側と内側ともに傷防止のフィルムや紙が貼られていました。
Lian Li PC-Q38に搭載されているアクリルウィンドウはスモークや色付けのない無色透明なものが採用されており、PCケース内部を一望できます。外装パネルはいずれもヘアライン入りのアルミニウム製となっておりシンプルかつ高級感のある面持ちです。
反対側再度パネルには前方に120*140mm程度のエアスリットが開けられています。
左右側面ともにシンプルなデザインです。
PCケースのフロントはシンプルなブラックもしくはシルバーのヘアラインアルミニウムとなっています。PCケースフロント中央にはPower/HDD LEDを備えたパワースイッチが設置されています。
トップパネルの前方にはフロントI/OとしてUSB3.0端子2つとヘッドホン・マイク用の3.5mm端子が設置されています。PCケースのリアには上側に電源ユニット用3ピン型ACケーブル端子が設置されています。PCI-Eスロット用のブラケットも2スロット分用意されているのでGTX 1080 TiやRX Vega 64など最新のハイエンドGPU搭載グラフィックボードにも設置可能です。
PCI-Eブラケットの固定ネジ部分にはハンドスクリューで着脱可能なカバーが設置されており、隙間から埃が混入するのを防止したり、外見もスマートになるなどの効果を発揮します。
PCケーストップは240*120mm程度のエアスリットが開口されています。
一方でPCケースボトムには四隅に円形・防振ゴム付きインシュレーターが設置されており、中央部分には280*140程度のエアスリットが開けられていました。左右の太目のスリットは120mmや140mmの冷却ファンなどを設置するためのテーパーネジに対応しています。
上と左右のパネルはジェラコンキャッチによるツールレス着脱に対応しています。各面7~9点のジェラコンキャッチで固定されているのでビビりもありません。
PCケースの素材は外装パネルとシャーシ含め全てアルミニウム製なのでPCケースの重量も2.5Kg程度と非常に軽量になっています。
Lian Li PC-Q38と同様にCore i7やRyzen 7とGTX 1080 Tiのようなハイエンド構成が可能なMini-ITX PCケースのNcase M1と比較してみると、Lian Li PC-Q38は幅や奥行はほぼ同じで、トップのラジエーター設置スペース分で40mmほど背が高くなっていました。
Lian Li PC-Q38の内部構造の概要
Lian Li PC-Q38の内部構造をチェックしていきます。Lian Li PC-Q38の内部をPCケース右側面から覗くと次のようになっています。
左側にはMini-ITXサイズのマザーボードが設置可能なスペースがあり、右側にも同等のスペースがストレージ・電源ユニット用に用意されています。PCケース上方には240サイズラジエーターも設置可能なスペースがあり、PCケース下方には2スロット占有の長尺グラフィックボードも設置可能なスペースがあります。
PCケース備え付けの内部ケーブルとしてはフロントI/OのUSB3.0内部ヘッダー、パワーボタン、パワー/ストレージアクセスLED、ヘッドホン・マイク用オーディオヘッダーがあります。
Mini-ITXマザーボードとの組み合わせでコンパクトかつ高性能なPCを組む時によく使用されるCPUクーラーとして大型トップフロー型CPUクーラーがあります。今回のビルド構成パーツでもそれに属するCryorig C1を使用していますが、Lian Li PC-Q38の内部USBケーブルの端子とCPUクーラーと干渉しました。設置はできたもののケーブル端子が結構斜めに向くのであまりうれしくありません。Mini-ITX PCケース用のUSB3.0端子はもう10mm程度でいいので背の低いものを採用して欲しいところ。
PCケースフロントに設置された電源ユニット&ストレージ吊り下げマウンタや吊り下げ式ストレージマウンタはネジ止めで着脱可能になっています。
マザーボード裏面からPCケース内部をチェックしてみると次のようになっています。
コンパクトPCケースなので裏配線のスペースも最小限で、マザーボードトレイの上下に簡単にケーブルホールが用意されています。トレイ上側のホールはEPS端子ケーブル用に使用できますが、下側はグラフィックボードで埋まる場所なのであまり活用の場面はなさそうです。
裏配線スペースとしては15mm程度の厚さで空間が確保されています。EPS端子ケーブル程度であれば問題なく通すことのできる厚さだと思います。
内部についてもう少し詳しくチェックしていくためマザーボードを設置してみました。
マザーボード固定ネジのうち左下のネジは直上がシャーシと干渉するためドライバーを斜めにする必要がありました。シャーシのネジ上部部分のみ穴を開けておくなど配慮して欲しかったところです。
CPUクーラーの設置スペースとしては全高140mm程度までが確保されてます。90mm径ファン採用のサイドフローCPUクーラーは設置できそうですが、120mm径ファン採用のサイドフロー型CPUクーラーは難しそうです。Intel i7 7700KやAMD Ryzen 7 1800X/1700などのハイエンド構成を考えるなら、トップフロー型空冷か240サイズ簡易水冷CPUクーラーを検討する必要がありそうです。
グラフィックボードの設置スペースとしては長さ方向には300mm以上のスペースが確保されています。グラフィックボードの厚さについて公式では厚さ45mmの2スロット占有までと表記されていますが、実際は55mm程のスペースがあるので2.5スロット占有グラボも一部は設置できそうです。
Lian Li PC-Q38のグラフィックボード設置スペース
Lian Li PC-Q38のグラフィックボード設置についてチェックしていきます。内部構造の概要でも紹介したように、Lian Li PC-Q38ではグラフィックボードの設置スペースとしては長さ方向には300mm以上のスペースが確保されています。グラフィックボードの厚さについて公式では厚さ45mmの2スロット占有までと表記されていますが、実際は55mm程のスペースがあるので2.5スロット占有グラボも一部は設置できそうです。
今回の検証では17年最速GPUであるNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiを搭載する2スロット占有グラフィックボード「EVGA GeForce GTX 1080 Ti SC2 GAMING」を設置しています。長さ270mm程なのでSFX-L電源と組み合わせても余裕があります。
なお270mmよりも長尺なグラフィックボードを使用する場合は、グラフィックボード背面と電源ユニットのプラグインコネクタ・ケーブル部分が重なります。SFX-Lサイズの電源ユニットの場合はスペースが30mm弱と狭くなるので、270mmよりも長いグラフィックボードを使用するのであれば、SFXサイズの電源ユニットを選択した方がケーブルの取り回し上はよいかもしれません。
Lian Li PC-Q38と組み合わせるには変わり種なグラフィックボードについても実際に設置可能かどうかをチェックしてみました。
まずは公式には非サポートとなる53mm厚で2.5スロット占有グラフィックボードの「ASUS GeForce GTX 1080 Ti ROG STRIX」を設置してみました。
「ASUS GeForce GTX 1080 Ti ROG STRIX」はPCIブラケットよりも背の高いグラフィックボードですが、補助電源部分の基板が引っ込んでいる構造もあり、SilverStoneの柔らかいショートプラグインケーブルと組み合わせればサイドパネルと干渉せず、問題なく設置できています。背の高いグラフィックボードでも補助電源端子が引っ込んでいる構造のものであればLian Li PC-Q38に設置できる可能性はあると思います。
さらに120mmサイズ簡易水冷クーラーを搭載する「EVGA GeForce GTX 1080 Ti SC2 HYBRID GAMING」を設置してみました。ハイエンドトップフローCPUクーラーのCryorig C1とも干渉していません。
グラフィックボード自体はGTX 1080 TiのリファレンスであるFounders Edition相当なの全く問題ないのですが、肝心の水冷ラジエーターやチューブについて問題なく設置出来ていました。
上の写真ではリア側のシャーシに沿って水冷チューブを取り回していますが、下のようにサイドパネル側にチューブを取り回してもサイドパネルを問題なく閉じることができました。
またAMDの最新ハイエンドGPUであるRX Vega 64の水冷モデル「AMD RADEON RX Vega 64 Liquid Cooling」も設置してみました。
「AMD RADEON RX Vega 64 Liquid Cooling」はチューブが柔らかいので取り回しも楽でした。
ただし「AMD RADEON RX Vega 64 Liquid Cooling」のラジエーター&冷却ファンは厚さが大きいので、今回の環境ではCryorig C1と組み合わせるとラジエーター冷却ファンとCPUクーラーヒートシンクが干渉してしまい設置することができませんでした。120mmファンのトップフローCPUクーラー等であれば問題なさそうです。
Lian Li PC-Q38のストレージ設置スペース
Lian Li PC-Q38のストレージ設置についてチェックしていきます。Lian Li PC-Q38では吊り下げ型ストレージマウンタとPCケースリアの2か所で合わせて、2.5インチストレージ3基と3.5インチストレージ1基を設置できます。
吊り下げ型ストレージマウンタは下のようになっており、PCケースフロント側に2.5インチストレージ2基、PCケースリア側に3.5インチストレージ1基を設置できます。
ハードディスクの固定には防振ラバーパッドがあるのでPCケースとの共振を抑制できます。
ストレージを装着したマウンタは電源ユニットと同様にPCケーストップにネジ止めで吊り下げて固定できます。
注意点として250mmよりも長尺なグラフィックボードを使用している場合、3.5インチハードディスクのSATA端子やSATA電源端子のスペースは10mm程度しかないのでL型コネクタを使用するなど工夫が必要です。
またPCケースリアのエアスリット部分に2.5インチストレージの底面ネジ穴に合わせたネジ穴が開いています。マザーボード上側にはEPS端子ケーブルなどに使用できるケーブルホールがあるのでケーブルの取り回しも難しくありません。
Lian Li PC-Q38の電源ユニット設置スペース
Lian Li PC-Q38の電源ユニット設置についてチェックしていきます。Lian Li PC-Q38ではSFXやSFX-Lサイズの電源ユニットが設置可能です。今回は検証機材としてTITANIUM認証取得、電源容量800WのSFX-L電源「SilverStone SST-SX800-LTI」を使用しています。
PCケースのリアからフロントまでの延長ACケーブルがPCケースには標準搭載されています。
SFXやSFX-L電源ユニットの注意点としてSilverStoneやCorsairの製品は300mm程度のショートケーブルが付属していますが、電源ユニットケーブル根本からPCケースの裏配線を通してマザーボードのEPS端子に接続する場合、長さ600mm程度のケーブル長が必要になります。PCケースの構造を考えるとEPS端子の延長ケーブルは標準で付属させて欲しいというのが正直なところです。
標準付属の電源ケーブルがショートケーブルの場合はEPS端子用の延長ケーブルを使用すると上手くケーブルの取り回しが可能です。
AINEX製のビニールケーブル製やSilverStone製のスリーブケーブル製のEPS延長ケーブルがおすすめです。なおSilverStoneのプラグイン型SFX/SFX-L電源の場合は純正オプションの長尺ケーブルセット「SST-PP05-L」に付属するEPS端子ケーブルなら中継もない1本のケーブルとして使用できるので便利です。
AINEX EPS12V用電源延長ケーブル 45cm PX-011A
SilverStone EPS延長スリーブケーブル SST-PP07-EPS8B
SilverStone ロングプラグインケーブルキット SST-PP05-L」
AINEX / SilverStone
あと270mmよりも長尺なグラフィックボードを使用する場合は、グラフィックボード背面と電源ユニットのプラグインコネクタ・ケーブル部分が重なります。SFX-Lサイズの電源ユニットの場合はスペースが30mm弱と狭くなるので、270mmよりも長いグラフィックボードを使用するのであれば、SFXサイズの電源ユニットを選択した方がケーブルの取り回し上はよいかもしれません。
Lian Li PC-Q38のケースボトム
Lian Li PC-Q38のPCケースボトムについてチェックしていきます。Lian Li PC-Q38のPCケースボトムには280*140サイズのエアスリットが開口されており。120mmや140mmファンを固定可能なテーパーネジ用のネジ穴が用意されています。
今回のビルドではボトム吸気、トップ排気の煙突型エアフローにしようと構想していたので、140mmファンに装着可能な防塵ダストフィルター「親和産業 140mm角用ファン用防塵フィルター SS-DFF-P140」を2つ用意しました。
140mmサイズの防塵ダストフィルターをPCケースボトムにピッタリサイズで設置することができました。
「親和産業 140mm角用ファン用防塵フィルター SS-DFF-P140」はカバーとフレームの間にフィルターを挟みこむ構造なのでフィルターを簡単に洗浄・交換可能です。
2スロット占有グラフィックボードであればダストフィルターとグラフィックボードが干渉することもありません。
Lian Li PC-Q38にはトップ・ボトム共に吸気の防塵ダストフィルターが存在しないところが若干残念なポイントですが、ボトム吸気/トップ排気の構成であればPCケースボトムに防塵ダストフィルターの設置も容易なのでおすすめです。親和産業 140mm角用ファン用防塵フィルター SS-DFF-P140
親和産業
なおダストフィルターはPCケース外側にも設置することは可能ですが、純正インシュレーターの場合は今回紹介しているフィルターでは隙間が数mmしか残りません。通気性の観点からもしもPCケース外にフィルターを設置する場合は薄いものを設置するか、足の長いインシュレーターに交換を推奨します。
Lian Li PC-Q38のラジエーター設置スペース
Lian Li PC-Q38のPCケーストップにあるラジエーター設置スペースについてチェックしていきます。Lian Li PC-Q38はPCケースのトップに最大240サイズのラジエーターを設置可能です。厚さでは60mm強のスペースが確保されているので、一般的な30mm厚ラジエーター&25mm冷却ファンの簡易水冷CPUクーラーを設置することができます。
手持ちの検証機材では使用できる240サイズラジエーター搭載簡易水冷CPUクーラーがなかったので、本格水冷用ラジエーター「Alphacool NexXxoS Full Copper」シリーズの240mmサイズ、30mm厚のモデルで設置可能かを実際に確かめてみました。
ちなみに120mmサイズラジエーターの簡易水冷ラジエーターも当然設置できますが、ネジ穴の問題で残りの前方スペースにもう1基の120mmファンが搭載できないので注意してください。
Lian Li PC-Q38で実際に自作PCを組んでみる
Lian Li PC-Q38の詳細に関する説明はこの辺りにして、ここからは冒頭で紹介したレシピのパーツを使用して、Ryzen 7 1800X&GTX 1080 Tiを搭載したコンパクトなハイエンドPCを組んでみます。まずはRyzen 7 1800XとDDR4メモリを装着したMini-ITXサイズのAM4マザーボード「ASRock Fatal1ty X370 Gaming-ITX/ac」をマザーボードトレイに設置します。
電源ユニットやストレージをPCケースに設置し、マザーボードに各種ケーブルを接続します。
PCケーストップに120mm冷却ファン2基を設置しました。
次はCPUクーラーを設置するのですが、今回は大型トップフローCPUクーラーのCryorig C1を使用するので事前に冷却ファンのファン端子ケーブルをマザーボードに接続しておきました。ファン端子位置によってはCPUクーラーヒートシンク設置後にファン端子の接続が難しい場合があるのでMini-ITXでコンパクトPCを組む際に地味に注意が必要なポイントです。
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
あとはCPUクーラーヒートシンクと冷却ファンを固定すればCPUクーラーの設置完了です。
Cryorig C1には標準では13mm厚のスリム冷却ファンが採用されていますが、今回のビルドでは同社製の別売り製品で25mm厚の「Cryorig XF-140」へ交換して冷却性能を上げています。Cryorig XF-140へ交換しても全高100mm以下に収まるのでLian Li PC-Q38で使用するならお勧めの構成です。
あとはグラフィックボードを設置すれば自作PCの組み立て完了です。
今回Lian Li PC-Q38を使用して組んだ自作PCで簡単に冷却性能をチェックしてみました。
性能検証の負荷としてFire Strike Extremeのグラフィックテスト1を1時間ほどループさせています。Ryzen 7 1800XとGTX 1080 Tiのハイエンド構成ですが、GPU温度70度前後、CPU温度50度前後と良好な数字になっています。トップ配置の排気ファンは1100RPMで運用していますが、ボトム吸気・トップ排気の煙突型エアフローが上手く機能しているようで、GTX 1080 Tiも熱ダレなく運用できました。
Lian Li PC-Q38のビルドギャラリー
今回組んだ「Lian Li PC-Q38」を使用した自作PCのギャラリーです。あと追加で国内未発売ですが米尼から個人輸入したLEDイルミネーション搭載ファンフレーム「Halos Lux RGB Fan Frames 120mm」をPCケーストップの冷却ファンに設置してPCケース内をライトアップしてみました。
Lian Li PC-Q38のレビューまとめ
最後に「Lian Li PC-Q38」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- フルアルミニウム製のPCケースで軽量かつヘアライン加工で高級感がある
- 全高140mmの空冷CPUクーラーに対応
- 最大240mmサイズ、ファン込み60mm厚以下の簡易水冷ラジエーターに対応
- 最長315mmのハイエンドグラフィックボードを搭載可能なスペース
- 2.5インチ3基、3.5インチ1基で計4基のストレージを設置可能
- 裏配線を使用する場合EPS端子ケーブルが600mmほどになるので、
ショートケーブル付属のSFX/SFX-L電源ユニットを使用する場合は注意が必要 - 右下のマザーボード固定ネジを締めるときドライバーが斜めになる
- 内部USB3.0接続端子の背が高いので一部の大型トップフローCPUクーラーと干渉する
- 120mmラジエータ―を搭載する場合、空きスペースに120mmファンを設置できない可能性が高い
Lian Li PC-Q38は『240サイズの簡易水冷CPUクーラーと全長315mmまでのハイエンドグラフィックボードを搭載できる』という前提となるコンセプトを満たした上で、Mini-ITXマザーボードの標準的なSATA端子数である4端子をフル活用できるストレージ積載を備え、大容量なSFX-L電源にも対応するというコンパクトかつハイエンドな自作PCを組むことを想定して可能な限りの小型化を実現した非常に優秀なPCケースです。
今回のビルドでは8コア16スレッドのRyzen 7 1800Xと17年最速GPUのNVIDIA GeForce GTX 1080 Tiという最新高画質PCゲームの快適プレイだけでなく、リアルタイム配信や動画編集などのパワーユーザー的ユースにも対応したハイスペックになっていますが、トップに120mm冷却ファンを排気で設置し、ボトムからトップへの煙突的エアフローによって静穏性も維持しつつ十分な冷却性能も実現できました。
ボトム吸気についてはPCケース内への埃混入が気になるかもしれませんが、サードパーティ製の140mmファン用防塵ダストフィルターをボトムに設置することが可能です。予算的にも1000円程度ですしフィルターのメンテナンスも容易なので「Lian Li PC-Q38」で自作PCを組むのであればおすすめなオプションの1つです。
Lian Li PC-Q38で自作PCを組む上での1番の注意点はEPS端子ケーブルの長さだと思います。電源ユニットをPCケースフロントに設置するという構造上、リアI/O付近にEPS端子のあるMini-ITXマザーボードが多いのでEPS端子ケーブルは裏配線も活用して取り回す場合は600mm程度の長さが必要になります。SFXやSFX-L電源としてハイエンド構成でよく使用されるSilverStoneやCorsair製電源はコンパクトPCを見越して300mm程度の書とケーブルが標準で付属するものが多いためEPS端子延長ケーブルは必須になる可能性が高いので要注意です。PCケースの構造を考えると延長ケーブルも付属品にして欲しいというのが正直なところです。
またLian Li PC-Q38でi7 7700KやRyzen 7 1800X/1700などTDPの大きいCPUを使用して組む場合は240サイズ簡易水冷CPUクーラーを使用するのがメインだと思いますが、今回のビルトのように大型のトップフロー型空冷CPUクーラーを使用する場合はPCケースフロントI/OのUSB3.0ケーブルの端子がCPUクーラーヒートシンクと干渉する可能性があります。Mini-ITXで大型トップフローを使用する時のあるあるネタですが、Mini-ITX対応PCケースでは背の低いUSB3.0端子を採用して欲しいところです。
Lian Li PC-Q38を語る上ではまとめ冒頭の1文にその特徴の全てが詰まっていると思います。コンパクトなハイエンド自作PCが組めるMini-ITX PCケースというとNcase M1が代表作の1つとして挙げられますが、Lian Li PC-Q38はNcase M1よりも1万円以上安い優れたコストパフォーマンスと240サイズ簡易水冷との親和性や背の高いグラフィックボードにも対応できるゆとりのあるスペースなど、Ncase M1と遜色ないスペックを誇っています。Lian Li PC-Q38はコンパクトなハイエンド自作PC向けの新たな定番PCケースと言っても過言ではない製品で、Ryzen 7 1800X&GTX 1080 Tiのような旬なハイエンド構成にもおすすめなPCケースです。
以上、「Lian Li PC-Q38」のレビューでした。
Lian Li PC-Q38 シルバー PC-Q38WA 日本正規代理店品
Lian Li PC-Q38 ブラック PC-Q38WX 日本正規代理店品
Lian Li
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