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Intelの最新エンスー向けCPUのSkylake-Xシリーズでは中堅モデルとなる12コア24スレッド「Core i9 7920X」を汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」で殻割りしてクマメタル化を行って、コアクロックを全コア4.6GHzにオーバークロックしたので簡単に紹介します。
実はCore i9 7920Xは最後まで買おうか買うまいか悩んでいました。Core i9 7920Xは国内でも10月末に発売予定のskylake-X上位モデル3種、特に本命視しているユーザーも多い?であろう18コア36スレッドの「Core i9 7980XE」と同じダイが使用されています。いきなり25万で殻割りに挑戦するより13万の石で予行練習したほうがいいよね、ということで購入しました。あとダイが同じでコアが少ないので熱的にコアクロックを重視するなら一番OCしやすい石なんじゃないかなという期待もあって選びました。
あと10コアのCore i9 7900Xよりもビッグダイで冷やしやすいCore i9 7920Xは個人的にはASRockから発売予定のMini-ITXサイズX299マザーボード「ASRock X299E-ITX/AC」との組み合わせに本命な石かなとも思っています。VRM電源やMini-ITXPCで使用できる電源ユニットの電源容量的にこれ以上のモデルはOCをすると厳しそうなので。
なにはともあれ早速、Core i9 7920Xの殻割りを実行します。
冒頭でも紹介したように殻割りには汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」を使用しました。「Delid Master」については詳細なレビュー記事を公開しているのでこちらを参考にしてください。「Delid Master」は万力法で割れる石なら今後、CPUのサイズ変更があっても柔軟に対応可能な万能殻割りツールです。
・【一家に1台】汐見板金の国産殻割りツール「Delid Master」をレビュー!
本当は殻割り実演動画を公開予定だったのですが、殻割りの途中で誤って録画をOFFにしてしまっていたため殻割り実演動画が撮れていませんでした……。 orz
なので残念ながら写真で簡単に紹介していきます。
まずは「Delid Master」にCPUをセットします。CPUの向きは下写真で左上に基板上の実装チップがある方向、Core i9 7900Xを割る時と同じです。ヒートスプレッダ内部の実装素子を破損するとまずいので、左側のセーフティプレートとヒートスプレッダの間隔を2mm程度にセットしてください。
あとはドライヤーで暖めてシール材を若干柔らかくしつつ、万力をラチェットレンチで締めて殻割り完了です。
ヒートスプレッダの内枠ギリギリまで素子の実装があって怖いですが無事に割ることができました。
ここからの作業は「Delid Master」のレビューで紹介している通りなので割愛します。
ヒートスプレッダとCPUダイの間に塗る液体金属系グリスとしては”殻割りリキプロ化”の名前で知られるように「LIQUID PRO」が定番でしたが、Core i7 7700Kを使用した比較でThermal grizzly Conductonautのほうが冷えるという検証結果が出て以来、管理人はあっさり宗旨替えしてクマメタルことThermal grizzly Conductonautを使用しています。価格も違わないのでThermal grizzly Conductonautがおすすめです。
クマメタルこと「Thermal Grizzly Conductonaut」を塗ったりしてヒートスプレッダを戻したら作業完了です。
以上で「Core i9 7920X」の殻割りクマメタル化完了です。
続いて殻割りクマメタル化したCore i9 7920Xのオーバークロックに移ります。
Core i9 7920XのOCを行う環境としては、MSI X299 GAMING PRO CARBON ACなどで構成されているベンチ機を使用しました。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i9 7920X 12コア24スレッド |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
マザーボード |
MSI X299 GAMING PRO CARBON AC (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) |
OS | Windows10 64bit Home |
電源ユニット | Corsair RM650i (レビュー) |
検証機材に使用しているマザーボード「MSI X299 GAMING PRO CARBON AC」はOC耐性も高く、無線LAN搭載など基本的なスペックも整っているのでX299マザーボードとしては鉄板と言えるおすすめの1枚です。レビュー記事も公開しているので参考にしてください。
・「MSI X299 GAMING PRO CARBON AC」をレビュー
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
以上で検証機材のセットアップも完了です。
OC後のストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i9 7920Xの場合9分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
まずは殻割り前のOCですが、ざっくりとコア電圧を1.200V、ロードラインキャリブレーション:Mode3にしてコアクロックを4.6GHzにOCしました。Fractal Design Celsius S36のファン回転数を1500RPMをしていますが、ストレステスト中のCPU温度は最大79度に収まりました。やはりCPUダイサイズが大きいので10コアのi9 7900Xよりも冷やしやすい印象です。
続いて殻割りクマメタル化後のOCですが、同じ設定でCPU温度が最大69度に収まりました。上位モデル待ちのユーザーも多いようでデータも少ないので当たりハズレについてはあまり確信もないのですが、今回の石のOC耐性については1.200Vで4.6GHzなのでたぶん普通くらいだと思います。1.200Vで4.8GHzくらい回ってくれると当たり石で、殻割りクマメタル化して1.300Vくらい電圧をかけると5.0GHz狙えそうなのですが。
ストレステスト中の温度を殻割り前後で比較すると次のようになりました。Core i9 7920Xの4.6Ghz OCで比較すると殻割りクマメタル化で概ね9度ほど温度が下がりました。
Core i9 7920Xはコア数が増えているので下位モデルの10コアCore i9 7900Xよりも冷やしにくいと思っている人も多いかもしれませんが、CPUクーラーの性能が十分であれば、CPUダイサイズが大きくCPUダイとヒートスプレッダの接触面積が広いので意外とCore i9 7900XよりもCore i9 7920Xのほうが冷しやすくなっています。冷やしやすさを考えるとi9 7900Xよりもi9 7920Xのほうがおすすめかもしれません。
Core i9 7920Xは1.200Vまでなら280か360サイズの簡易水冷CPUクーラーでも運用可能な発熱に収まって、全コア4.5GHz前後は狙えるCPUです。この時のCinebenchスコアが3000前後となりRyzen Threadripper 1950Xの定格運用のマルチスレッド性能に迫り、シングルスレッド性能では圧倒することができます。もちろんOCしているのでワッパはかなり微妙になりますが。
手動オーバークロックによって4.5GHzのシングルスレッド性能とRyzen Threadripper 1950Xの定格並みのマルチスレッド性能を両立できるCPUなので「Core i9 7920X」は意外とおすすめなエンスー向けCPUです。
以上、『Core i9 7920Xを殻割りで4.6GHzにOCレビュー』でした。
ちなみにCore i9 7920Xについては近日公開予定の「ASRock X299 OC Formula」のレビュー記事内で検証機材として使用しており、今回の記事よりさらにもう少し詰めたオーバークロックも実演しているのでお楽しみに。
Intel Core i9-9920X Processor 12コア24スレッド BX80673I99920X
Intel Core i9-9900X Processor 10コア20スレッド BX80673I99900X
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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1.200Vで4.8Ghzくらい回ってくれると当たり石で、
でしょうか。