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国内でも11月2日に販売開始が決定したIntel第8世代CoffeeLake-Sの6コア12スレッドCPU「Core i7 8700K」が一足早く米尼から届いたので、早速オーバークロックしてみました。「Core i7 8700K」のOC結果について簡単にレビューしていきます。マザーボードについては国内で前倒し発売対象外ですが同じく米尼から「ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)」を個人輸入しました。
CoffeeLake-S CPUの検証に使用する板について特に拘りはなかったのですが、LGA115XのCPUはCPU着脱の際に滑って落としてピン折れのコンボが怖いので、安心安全のCPU Instlation ToolがあるASUS製品から選択しました。あるのとないのとでCPU着脱時の安心感が大違いなので自作PC初心者にはCPU Instlation ToolがあるASUS製マザーボードがおすすめです。他社でも採用して欲しいところ。
今回のCore i7 8700KのOC検証に使用した検証機材はすでに紹介したマザーボードの「ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)」のほかに次のようになっています。
テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 8700K 6コア12スレッド 4.4~4.7GHz |
CPUクーラー | Fractal Design Celsius S36 (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z RGB F4-3866C18Q-32GTZR DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
マザーボード |
ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC) (レビュー) |
ビデオカード | MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC ファンレス (レビュー) |
システムストレージ |
Samsung 850 PRO 250GB (レビュー) |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
以上で検証機材のセットアップも完了です。
検証結果のチェックに移る前にASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)のBIOS設定項目について基本的にZ270板とほぼ同じですが、若干異なる部分もあるのでチェックしておきます。
まず一番驚いた項目としてメモリ周波数は倍率設定として最高で8533MHzまで設定値が用意されていました。G.SkillのOCメモリでもXMP4600MHzが最高なのでまだまだ道のりは長いですが。
2番目の驚きポイントとしてメモリタイミングの個別設定で、プライマリタイミングの設定値が3つに減っていました。OC耐性的に良いのか悪いのかはまだわかりませんがメモリOCのハードルを下げる意味では良い効果がありそうです。
電圧設定についてはZ270板とほぼ同じですね。CPUコアとキャッシュの電圧は共通です。電圧を固定モードで使用する場合はロードラインキャリブレーションをレベル6にすると設定値通りに電圧をかけることができるようでした。
下準備も済んだので早速、Core i7 8700KのOCについてチェックしていきます。
まずはASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)の定格における動作です。Core i7 8700Kについては爆熱問題で騒がれたCore i9 7900X同様に最大動作倍率が板依存でTDPも基本的に完全無視となっており、板と組み合わせて実際に動かしてみるまでどのような動作倍率になるのかわからないのですが、ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)のデフォルト設定では全コア4.7GHz動作が標準動作となりました。
Cinebenchのスコアも1547程度となっています。
消費電力については170~190Wで変動しています。板が違うので完全に直接的な比較ではありませんが、定格動作全コア4.0GHzのCore i7 7800Xとほぼ同じ消費電力なので同コア数のCPUとしてはワッパはかなり改善されています。ただしTDP95Wの面影はなくRyzen 7 1800Xの定格よりも30W程度高い消費電力です。
消費電力はRyzen 7 1800Xと比較すると高いですが高性能なCPUクーラーを使用すればCPU温度的には運用は難しくない範囲に収まるのでその点は安心してOKです。ただしメインストリーム向けCPUであることを考えると、標準の動作設定でエンスー向けクラスのCPUクーラーが要求されるというのはいかがなものかというのが正直なところです。
続いて本題の「Core i7 8700K」の手動オーバークロックを行います。
「Core i7 8700K」のOC設定については前世代のKabyLake i7 7700K等とほぼ同じように設定すればOKとなっており、今回は下のように「全コア5.0GHz」、「コア電圧1.300V」、「ロードラインキャリブレーション:Level6」、「SVID:Disable」と設定しました。なおコア電圧を1.280Vに下げたところストレステストでクラッシュしました。
このOC設定でCore i7 8700Kを全コア5.0GHzに無事にオーバークロックできました。
Core i7 8700Kを全コア5.0GHzにOCするとCinebenchのスコアは1625まで上がります。
OC後のストレステストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i7 8700Kの場合15分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。テスト中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
CPUクーラー「Fractal Design Celsius S36」でファン回転数を1300RPMとしていますが、5.0GHzにOCしたCore i7 8700Kのストレステスト中のCPU温度は最大73度程度に収まっています。ハイエンド空冷や240サイズ以上の簡易水冷のCPUクーラーを使用すれば非殻割りであっても「Core i7 8700K」は全コア5.0GHzで運用可能なポテンシャルが備わっていると思います。
消費電力を見ても5.0GHz、1.300Vなら170~190W程度と優秀な数値だと思います。
殻割り後に詳しく検証予定orストレステストがクリアできていないので参考値ですが、Core i7 8700Kを全コア5.1GHzにOCするとCinebenchスコアは1658、5.2GHzにOCするとCinebenchスコアは1678まで上がりました。今回の個体では5.1GHzでストレステストをクリアしようとすると一気にコア電圧が1.380~1.400V必要になるので、やはり5.1GHzから上を狙う場合は石の当たりハズレが重要になりそうです。
下はCPUや動作クロック別のCinebenchのベンチマークスコア比較となっています。
「Core i7 8700K」と同じく6コア12スレッドで数か月前に発売された「Core i7 7800X」と比較すると同じコアクロックにおいても「Core i7 8700K」のほうがマルチスレッド性能が高いという結果になっています。CPUコア部分のクロック当たりの性能が向上している可能性もありますが、「Core i7 8700K」はキャッシュ(リング)クロックが4.4GHz、「Core i7 7800X」はキャッシュ(メッシュ)クロックが2.4GHzなのでキャッシュの動作クロックの差がベンチマークスコアに出ている可能性もあると思います。
続いて各CPU別にシステム全体の消費電力を比較してみました。
測定には電源ユニット「Corsair RM650i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた純粋な検証システム全体への入力電力をチェックしています。消費電力測定の負荷には上の温度テスト同様に動画のエンコードを行い、最初5分間の平均電力を消費電力、最大電力を瞬間最大負荷としています。
Skylake-Xの「Core i7 7800X」を5.0GHzにOCするとシステム全体(ほぼCPU)の消費電力は266Wに達しますが、CoffeeLake-Sの「Core i7 8700K」では5.0GHzにOCしても173Wに収まるという圧倒的なワットパフォーマンスを実現しています。5.0GHzにOCしたCore i7 7740X(Core i7 7700Kもほぼ同じ)の消費電力と比較して+30W程度なのでコア数・マルチスレッド性能の増加と比較すると良好な数字だと思います。
検証システムが若干変わっているのでグラフを別にしていますが、上と下のグラフを照らし合わせて比較してみると、競合となるRyzen 7 1800XやRyzen 5 1600を3.9~4.0GHz前後にOCした時と「Core i7 8700K」を5.0GHzにOCした時の消費電力はほぼ同じ程度になっていることも確認できます。
ハイエンド空冷や240サイズ以上の簡易水冷など高性能なCPUクーラーと組み合わせれば非殻割りでも5.0GHzで常用可能な抜群のワットパフォーマンス、5GHzのコアクロックによる最高峰のシングルスレッド性能を誇る6コア12スレッドCPU「Core i7 8700K」は17年後半最新のメインストリーム最上位CPUとしてお勧めできる製品だと思います。
以上、6コア12スレッド「Core i7 8700K」の5.0GHz OCレビューでした。
殻割りクマメタル化を行ったレビューも公開中です。
・6コア12スレッド「Core i7 8700K」を殻割り5.2GHzにOCレビュー
Z370シリーズのマザーボード販売ページ
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検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
G.Skill Trident Z RGB DDR4メモリ
G.Skill Trident Z Black DDR4メモリ Skylake-X対応
G.Skill
<ドスパラ><PCワンズ:RGB / Black><Amazon>
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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