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マウスコンピューターのゲーミングブランドG-Tuneの高級モデル「MASTERPIECE」シリーズから最新のエンスー向けCPUで10コア20スレッド「Intel Core i9 7900X」と現行最速GPU「NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti」のマルチGPU SLIを搭載した17年後半において最強最速のゲーミングBTO PC「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」は通常の空冷モデルではなく、120mmファン*3で冷却を行う360サイズの大型水冷ラジエーターにより独自に水冷化されたGTX 1080 TiグラフィックボードとCPUを一括で冷却する”ダブル水冷”が採用されたマウスコンピューター G-TuneのオリジナルBTO PCです。発熱の大きいGTX 1080 Tiグラフィックボードは3スロット占有の大型空冷クーラー搭載モデルであってもPCケース内で十分な冷却を行うことが難しいのですが、独自に水冷化された同BTO PCの冷却性能を徹底検証していきます。
・G-Tune MASTERPIECE i1730PA-SP-DLシリーズの販売ページへ
今回提供いただいたレビュー用サンプル「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の構成は次のようになっています。
マザーボード等の一部パーツは製品公式ページで詳細な記載がないのでサンプルに採用されているのとは別のパーツが使用される可能性もあります。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」 レビュー用サンプル詳細スペック | |
OS | Windows10 Home (64bit) DSP版 |
CPU | Intel Core i9-7900X 10コア20スレッド |
CPUクーラー | Asetek製オリジナル水冷クーラー 360サイズラジエーター採用(CPU・GPU共有) |
マザーボード | MSI X299-S01 (非一般販売モデル、マニュアルなし) |
メモリ | SanMax SMD4-U16G48HA-24RF 64GB[16GB*4枚] DDR4-2400 |
システムストレージ | Samsung SM961 NVMe M.2 SSD 512GB、最大リード3,100MB/s |
データストレージ1 | Seagate Nytro Client 141 512GB SSD (SATA6Gb/s対応) |
データストレージ2 | Seagate ST3000DM008 3TB HDD (SATA6Gb/s対応) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ スロットインスリム型 |
グラフィックボード | NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti*2 SLI Asetek製オリジナル水冷クーラー 360サイズラジエーター採用(CPU・GPU共有) |
PCケース | G-Tune MASTERPIECE オリジナル 対応最大ファームファクタ:ATX (IN Win 303のカスタムモデル) |
電源ユニット | Enhance ATX-1152GB1 電源容量1200W, GOLD認証取得 |
レビューに入る前に注意事項として、今回提供いただいたものは貸出機であり一般販売されてユーザーの手元に届く新品ではないので、製品や梱包に若干傷や痛みがある場合があります。通常は新品で綺麗な状態のものが届くはずなので、サンプル機に傷等があっても無視してください。
【公開:2017年12月5日、更新: 】
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL レビュー目次
1.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの梱包・付属品
2.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの外観
3.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの内部構造の概要
4.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの裏配線スペース
5.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのマザーボード
6.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのストレージ設置
7.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのグラフィックボード
8.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのダブル水冷について
9.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのCPU・ストレージ性能
10.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのグラフィック性能
11.MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのレビューまとめ
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの梱包・付属品
まず最初にマウスコンピューターから購入した「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」がユーザーの手元にどんな状態で届くのかをご紹介しようと思います。配送業者からは下画像のような段ボール箱に梱包されて製品が届きました。(注:梱包の外箱については貸出機のため少々傷みがある場合があります)60*60*30cmサイズとかなり大きい段ボール箱で重量も重いです。PC本体は横置きの状態で不織布の袋に入れて硬めのスポンジ製スペーサーで安置されていました。黄色の用紙には重量が大きいので2人で取り出すようにとの注意書きがあります。
付属品としては電源ユニットに増設可能なプラグインケーブルとしてSATA*4ケーブルと4ピンペリフェラル*3&フロッピーケーブルの2つが付属します。
「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のグラフィックボードにはDVI-D端子がありませんが、HDMI-DVID変換アダプタが付属します。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」には「G-Tune Laser Mouse(紹介ページ)」「G-Tune Mechanical Keyboard(紹介ページ)」のキーボード&マウスセットが標準で付属します。こちらについては個別記事としてレビューを公開しています。
・「G-Tune Laser Mouse & Mechanical Keyboard」をレビュー
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの外観
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のPCケース外観をチェックしていきます。「G-Tune MASTERPIECE」は2016年後半にフルモデルチェンジした際に、ガラスパネルを採用したPCケースのパイオニア的メーカーIn Win社の「In Win 303」をベースにしたオリジナルPCケースを採用しました。そのため今回お借りした「MASTERPIECE i1720」は若干の違いはあるものの基本的に「In Win 303」と同じデザインや内部構造になっています。
前置きはこの辺りにして早速、「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の外観をチェックしていきます。
一般販売されているIn Win 303ではPCケースのフロントパネルは単純なフラットスチールパネルですが、G-Tune MASTERPIECEではフロントパネルはフラットな強化ガラスがほぼ全体を覆い、右端にはアクセントとしてメタリックレッドのヘアライン入りアルミニウム製プレートがはめ込まれて、非常に高級感のある面持ちになっています。
1つのPCケースの中で強化ガラス、アルミニウム、スチールの3つの異なる素材を採用したパネルが組み込まれていますが、それぞれの質感を強調し高めあうデザインです。
右のメタリックレッドなアルミニウム製ライン上には上からパワースイッチ、USB3.0*2、ヘッドホン・マイク端子、USB2.0端子と主要なフロントI/Oが並び、さらに下にはスロットイン型のスリム光学ドライブが設置されています。MASTERPIECE i1720ではデフォルトでDVDスーパーマルチドライブが搭載されています。またガラスパネルの中央には「G-Tune」のブランドロゴが薄っすらと刻印されています。
今回の「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLではPCケース向かって左のサイドパネルに有料オプションの強化ガラスサイドパネルが採用されています。縁がほとんどない大型ガラスパネルなのでPCケース内を一望でき、金属にはないガラス特有の光沢が高級感を感じさせます。
ガラスパネルは純粋な透明ガラスではなくスモークガラスが採用されています。また前方下側にはG-Tuneのテキストロゴも刻印されています。
スモークガラスなので部屋の明るさや冷却ファンとSLI HBブリッジ等のLEDイルミネーションとの兼ね合いでPCケース内部見え方が若干変わってきます。
強化ガラスサイドパネルは主流なネジ固定ではなく上側のフレームにワンタッチボタン式ハンドルが採用され、またガラスパネルの上下にはスチールシャーシとの緩衝役にプラスチック製フレームが装着することでガラスやスチールの傷を防止するなど強化ガラスパネル搭載PCケース先駆者のIn Winらしい配慮がなされています。
G-Tune MASTERPIECEのオリジナルPCケースとIn Win 303の大きな違いの1つとして正面から見て左側(マザーボード側)のサイドパネルがIn Win 303ではハンドルによるワンタッチ開閉構造の強化ガラスパネルが採用されているのに対し、MASTERPIECEのオリジナルPCケースではマザーボード裏パネルと同じヘックスライン形状のエアスリットが入ったスチールパネルが標準で採用されています。
G-Tune MASTERPIECEのデフォルト右側サイドパネルは上で書いたようにスチールパネルですが、カスタマイズ項目でワンタッチ開閉に対応したライトスモーク強化ガラスパネルを選択可能です。
ただ強化ガラスパネル付属の一般販売品In Win 303が13000円で販売されているのに、ガラスパネルオプションが6800円もするというのはちょっと解せぬ値段に感じました。
右サイドパネル(と標準のスチール製右サイドパネル)は上側の左右端にあるネジで固定されています。サイドパネル側にもネジ穴があるのでサイドパネル取り外し時に固定ネジが脱落しません(参考写真)。ヘックスライン形状のエアスリットは片面でも120サイズケースファン3基分の面積が確保されているのでフラットな外見ではありますが、通気性が悪いということはありません。
右サイドパネルのPCケース前方の下部には薄く「G-Tune」のブランドロゴが刻印されています。
PCケーストップはエアスリットのなしソリッドなスチールパネルでした。
リアI/Oには最新のUSB3.1規格に対応したUSB端子としてType-AとType-Cの2端子が設置されています。そのほかのUSB端子についてはUSB3.0端子とUSB2.0端子がそれぞれ4基ずつ搭載されています。マウス・キーボードなどの周辺機器を多数繋いでいても、HTC ViveやOculus Rift CV1のようなVR HMDに十分対応可能です。USB3.0/1は無線マウスと電波干渉を起こすことがあるのでUSB2.0が少し離れた場所に配置されている配慮も嬉しいです。加えてゲーマーには嬉しいPS/2端子も搭載されています。
グラフィックボードのビデオ出力については今回のサンプル機ではGTX 1080 TIが搭載されていますが、リファレンスモデルと同じくDisplayPort*3、HDMI2.0*1が設置されています。HDMI端子は1基しかないので、4K TVとVR HMDを併用するユーザーは4K TVとの接続用にHDMI2.0(4K・60FPS)に対応したDP→HDMIアクティブ変換アダプタを別途購入する必要があります。またDVI-D端子も実装されていませんがHDMI-DVI変換アダプタが付属します。
PCケースの底面には前方から後方まで120*3サイズのエアスリットが配置されています。
底面吸気が意識されたPCケースなのでスライド式でPCケース左側から着脱可能な防塵ダストフィルターが標準で搭載されています。
PCケース足はプラスチック製で滑り止めのゴム足が装着されていました。高さは10~15mmほどでPCケース下部の吸気スペースが確保されています。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの内部構造
続いて「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のPCケースの内部構造をチェックしていきます。まずはマザーボード側の俯瞰写真は次のようになっています。やはり「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の最大の特徴、CPUとGPUを水冷化し360サイズラジエーターで一括冷却を行うダブル水冷システムが目を引きます。
CPUクーラーにはAsetek OEMのAIO水冷CPUクーラーが採用されています。
CPUヒートスプレッダと接するベース部分には銅製ベースプレートが採用されています。
メモリスロットはCPUソケットの両脇に計8基ありますが、16GBのメモリ4枚で半数が埋められています。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のサンプル機には「SanMax SMD4-U16G48HA-24RF」という定格2400MHzの16GB DDR4メモリが採用されていました。
PCケースリアには120mmファンを設置可能なスペースが開いているので吸気・排気に不足を感じるなら各自で増設が可能です。
グラフィックボードには非リファレンスの外排気クーラーを搭載したGTX 1080 TiのMSI製廉価モデルをマウスコンピューター G-Tuneが独自に水冷化を施した専用グラフィックボードが採用されています。マルチGPU SLIに対応しており2枚のGTX 1080 Tiグラフィックボードが搭載され、17年後半最強のゲーミング性能を発揮します。
In Win 303のPCケース同様に長尺かつ大重量のグラフィックボードを支えるためのグラフィックボードホルダーがPCケースに備え付けられています。
マザーボードの直上には120サイズのケースファンや最大360サイズの水冷(簡易水冷)ラジエーターが搭載可能なファンマウントスペースが確保されており、CPUとGPUを一括で冷却するダブル水冷が採用された「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」では360サイズの大型水冷ラジエーターが搭載されています。
冷却ファンには「Corsair ML120 Pro (RedLed) CO-9050042-WW」という自作PCパーツ向けに一般販売されており、1つ3000円ほどの高級パーツが採用されています。磁気浮上ベアリングを採用、防振ラバーダンパーを装備、400~2400RPMのレンジでPWM速度調整に対応など高性能・高品質な冷却ファンです。
LEDイルミネーションを搭載しているので起動中は赤色LEDが点灯します。
ファンの固定ネジには短尺のネジが使用されています。ラジエーターと下側フレームを挟む形で固定されているのですが、上側フレームのネジ穴にドライバーを通さないとネジを外せません。「Corsair ML120 Pro (RedLed) CO-9050042-WW」自体は高品質なパーツですが、LEDイルミネーション標準搭載であり、また冷却ファン自体も消耗品なので交換が必要になるケースを考えると、上側フレームにネジ頭がくるような長尺ネジで固定して欲しかったところです。
CPUとGPUとラジエーターは独自のクイックリリースフィッティングで連結されています。着脱可能な構造ですがユーザーによる着脱はサポート外となっているので注意してください。
PCケースをチェックする時の小姑窓さっし的な項目、PCI-Eスロットの固定ネジとシャーシの干渉についてですが、G-Tune MASTERPIECEでは固定ネジ上にシャーシが被っておらずしっかりとクリアランスが確保されています。これならドライバーでネジ止めも簡単です。
あと個人的に気になったところとして、同PCケースのフロントI/Oから延びる内部USB3.0ケーブルが細いきしめんケーブルで柔らかくて取り回しに優れていました。端子自体の背も低く干渉し難いところも好印象です。太い円形ケーブルを採用しているPCケースメーカーが多いですが、このケーブルはぜひ他社でも採用して欲しいです。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLの裏配線スペース
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の裏配線スペースをチェックしていきます。まずはマザーボード裏側の裏配線スペースの俯瞰写真は次のようになっています。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の場合はLGA2066マザーボードなので関係ありませんが、CPUソケット周辺部分はマザーボードトレイに大きく開口がとられているので、マザーボードをPCケースに設置したままでバックプレート型のCPUクーラーの設置を行うことができます。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の採用される1200W 80PLUS GOLD認証電源の正体は「Enhance ATX-1152GB1」という電源ユニットでした。国内では一般に流通していない電源ユニットでEnhanceというメーカーも耳慣れないユーザーが多いかもしれませんが、SilverStoneやCorsairなどが販売している自作PC向け電源ユニットのOEM元なので製品の品質自体は問題ないと思います。
電源ユニットの冷却ファンには140mm角ファンが採用されていました。
「Enhance ATX-1152GB1」はフルプラグインの電源ケーブル構造が採用されています。未使用のプラグイン端子としてはEPS電源用(黒色8PIN)が1つ、PCIE補助電源用(青色8PIN)が1つ、SATA/4ピンペリフェラル用(黒色6PIN)が2つとなっています。
ただし製品に付属するプラグインケーブルはSATA*4ケーブルと4ピンペリフェラル*3&フロッピーケーブルの2つのみとなっています。PCIE補助電源はすでにGTX 1080 Ti SLIで使用されている8PIN+6PIN(8PIN*2)が4基あるので十分だと思うのですが、EPS電源ケーブルは付属して欲しいところです。
電源ユニットが設置された裏配線スペース上側とストレージやマザーボード裏のある下側は一見パーティションで区切られていますが、電源ユニットのすぐ左にはマザーボードのある表側や裏配線スペース下側につながるケーブルホールが設けられているので、スムーズなケーブルマネジメントが可能です。
裏配線スペースの厚さもゆとりのある30mmなのでケーブルの取り回しで苦労することはないと思います。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのマザーボード
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」に使用されているマザーボードをチェックしていきます。製品公式ページではX299チップセット採用とだけ書かれていましたが、MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのレビュー用サンプル機にはMSIのOEMマザーボードである「MSI X299-S01」という型番のものが搭載されていました。
全体を見比べるとわかりやすいですが、「MSI X299-S01」はMSI製の安価なX299マザーボード「MSI X299 Raider」をベースにU.2端子やメタルアーマーなど付加価値的な要素をそぎ落とした専用マザーボードとなっています。
「MSI X299-S01」ではCPUへの電力供給を行うVRM電源として9フェーズが採用されています。EPS端子が8PINの1つだけなのでCore i9 7900XのOCを各自で行う場合は4GHz前半くらいに収めておくのが無難そうです。
BTO PC組み込みマザーボードではVRM電源にヒートシンクが装着されていないものも多いですが、「MSI X299-S01」には比較的大きいヒートシンクが装着されています。
チップセットにもマットブラックな塗装が施されたアルミニウム製ヒートシンクが装着されています。
「MSI X299-S01」のPCI-Eスロットレイアウトはは[N/A、x16、N/A、x16、x16、x1、x16]となっています。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」は水冷クーラー標準搭載なのであまり関係がありませんが、最上位スロットが空きスロットになっているので大型のハイエンド空冷CPUクーラーを搭載してもスペースに余裕があります。
マルチGPU構成なので2/3段と5/6段のPCI-Eスロットは占有されていますが、4段目のx16サイズスロットはPCI-E3.0x4、7段目のPCI-EスロットはPCI-E3.0x8帯域に対応しており、NVMe SSDやビデオキャプチャカードなどの増設が可能です。
NVMe SSDに対応したM.2スロットはPCI-Eスロット間に2基が設置されています。
下段のM.2スロットは空きスロットになっているので増設可能ですが、NVMe接続のM.2 SSDを増設する場合はSATA_5~8が排他利用、SATA接続のM.2 SSDを増設する場合はSATA_5が排他利用になるので注意が必要です。
上側のM.2スロットにはMSI独自のSSDヒートシンク「M.2 Shield」が設置されており、同ヒートシンクを使用することで、グラフィックボードなど発熱から保護し、M.2 SSDがむき出しの状態よりもサーマルスロットリングの発生を遅くする効果が見込まれます。
ストレージや光学ドライブの増設に使用するSATA端子はマザーボードの右下に平行端子が6基と垂直端子が2基実装されています。今回のサンプル機ではSATA SSD、SATA HDD、光学ドライブで3つ使用されているので、残り5基は空きで増設が可能です。
「MSI X299 S01」は組み込み用の廉価マザーボードですが、MSI独自の高音質オンボードサウンド機能を従来機種よりもさらに強化した「AUDIO BOOST 4」も採用されています。日本ケミコン製のオーディオコンデンサを採用し、オーディオパートはマザーボードから物理的に分離され、左右のオーディオチャンネルがレイヤー分けされることでクリアな音質を実現します。
ファン端子はマザーボード下に3か所、CPUソケット左上に1か所、CPUソケット右上に2か所の計6か所となっています。いずれもPWM対応4PINファン端子で、マザーボードBIOS上からファンコントロールの設定が可能です。SYS_FAN1端子とPUMP_FAN1端子は未使用なので冷却ファンの増設に使用可能です。
マザーボード上のファン端子のうち下部に設置された3つについては、360サイズ水冷ラジエーターに装着された3つの120サイズ冷却ファンと接続されています。
USB2.0端子はマザーボード下側に2つ実装され、うち1つはフロントI/Oで使用されています。
CMOSクリア用のハードウェアスイッチは実装されていないので、CMOSクリア用の2PINヘッダー「JBAT1」を短絡してCMOSクリアを行います。CMOSクリアにはグラフィックボードを取り外す必要があるので、BIOSの設定に失敗して正常に動作しなくなった場合は付録を参考にCMOSクリアを試してみてください。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」に採用されているマザーボード「MSI X299-S01」は残念ながら自作PCパーツとして一般販売されているモデルではありませんでした。一般販売モデルの「MSI X299 Raider」をベースにしたマザーボードなので上でチェックしたように基本的に必要な機能が揃っており、各種クーラーも十分なサイズなのでマザーボードとしては悪くない製品なのですが、一般販売品ではないので残念ながら
・英語、日本語ともにマザーボードのマニュアルは存在しない
・最新BIOSやドライバ・ソフトウェアを公式ページからダウンロードできない
など各自でメンテナンスや保守を行いたいユーザーや保証終了後の長期的な利用を考えるとデメリットがあります。個人的には板だけ取り換えたくなります。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」は50万円を超える超高級BTO PCなので欲を言えば標準で自作PCパーツとして一般販売されているマザーボードを採用して欲しいところですが、せめて標準マザーボードとして「MSI X299-S01」を採用するとしても「MSI X299 GAMING PRO CARBON AC」など自作erにも定評のあるミドルハイクラスのマザーボードをカスタマイズから選択できるようにして欲しいところです。このクラスのBTO PCを購入するユーザーであれば2,3万円追加で積んでも上位マザーボードへカスタマイズしたいという人も少なくないと思います。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのストレージ設置
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。まずシステムストレージですがプライマリグラフィックボード直下のM.2スロットに最大連続リード3100MB/sのNVMe M.2 SSD「Samsung SM961 512GB」が搭載されていました。
マザーボード側のフロント寄りスペースには2.5インチドライブを設置可能なマウンタが2基設置されいます。
今回のサンプル機ではアップグレード項目のSATA SSDが追加されており、Seagate製の512GB SSDが搭載されていました。
また裏配線スペースには3TBの3.5インチHDDとスリムDVDドライブが設置されています。
G-Tune MASTERPIECEのPCケースはデザイン重視のPCケースになっており、元になったIn Win 303自体がDIY水冷を想定したレイアウトで設計されているため、ストレージの拡張性が高いPCケースではありません。PCゲーム用途であればマザーボード上のM.2スロットと2.5インチ*2&3.5インチ*1のストレージ積載があれば十分ですが、HDDやSSDを大量にPCケース内に積んで使用することを目的としているなら別のPCケースを採用したBTO PCを検討するほうがいいと思います。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのグラフィックボード
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのサンプル機にはグラフィックボードとしてMSI製の簡易水冷GTX 1080 Tiグラフィックボード「MSI GeForce GTX 1080 TI SEA HAWK X」をベースにオリジナル水冷化が施されたGTX 1080 Tiグラフィックボードが2基搭載されています。GPUクーラー外装はブラックのプラスチック製でロゴやホワイトのラインがないところを除けば、「MSI GeForce GTX 1080 TI SEA HAWK X」とほぼ同じ外観です。要求される補助電源はGTX 1080 Tiのリファレンス同様に8PIN+6PINとなっています。
クーラーはリファレンスに酷似していますがバックプレートは非搭載です。バックプレートは非搭載なので、この辺りはやはり組み込み専用の廉価モデルという感じです。
ビデオ出力端子もGTX 1080 Tiのリファレンスに準拠しておりDisplayPort*3、HDMI2.0*1の4系統です。HDMI端子は1基しかないので、4K TVとVR HMDを併用するユーザーは4K TVとの接続用にHDMI2.0(4K・60FPS)に対応したDP→HDMIアクティブ変換アダプタを別途購入する必要があります。またDVI-D端子も実装されていませんがHDMI-DVI変換アダプタが付属します。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」ではCPU・GPU共有360サイズラジエーターをマザーボードのファン端子に接続したファンで冷却する構造になっているので使用されていませんが、グラフィックボードからは定格回転でファンを動作させることができる3PINファン対応2PINファン端子が伸びています。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」はGTX 1080 TiのマルチGPU SLI構成が採用されていますが、SLIブリッジについてはGTX 10XXシリーズの広帯域SLI接続に対応したSLI HBブリッジが採用されています。
加えてマザーボードに付属するシンプルなSLI HBブリッジではなく、単品で5,6千円で販売されているLEDイルミネーションを搭載する「MSI SLI HB BRIDGE 3SLOT」が採用されています。高級感のあるアルミニウム外装だけでなくSLI端子にも金属シールドが装着されているので、グラフィックボード間の通信精度にも貢献します。
LEDイルミネーションも搭載しているので起動中は赤色LEDで発光します。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのダブル水冷について
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLはCPUのCore i9 7900XとGPUのGTX 1080 Ti SLIを360サイズの共有ラジエーターで一括冷却を行う、マウスコンピューターG-Tune独自の「ダブル水冷」という冷却システムが採用されています。360サイズラジエーター上には個別に制御が可能な120サイズの冷却ファンが3基設置されており、いずれもマザーボード上のファン端子に接続されています。
これらの3つの冷却ファンはマザーボードBIOS上からファンコントロールの設定が可能です。ファンコントロール設定を標準から変更する場合はBIOSメニューに入って左下の「HARDWARE MONITOR」のアイコンを選択します。
BIOSで「HARDWARE MONITOR」を選択すると下のようなグラフィカルなファンコントロール画面が表示されます。
ファンコントロールを行うファン端子についてはマザーボード上に設置された6基全てに対して個別に設定が可能となっており、画面右上のアイコンから操作するファン端子を選択できます。「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の場合はCPU_1ファン端子に水冷ポンプがSystem_2~4端子に水冷ラジエーターの冷却ファンが接続されています。
ファン制御方法としてはPWM速度調整のPWMモードと電圧速度調整のDCモードが選択できます。PWMモードはPWM対応4PINファンが接続されているファン端子でのみ使用可能です。また設定方法としてソース温度依存のファンカーブを使用した「Smart Fan Mode」と定速回転モードが用意されています。
「Smart Fan Mode」のチェックボックスを選択すると下のように4点からなるソース温度依存のファンカーブによるファンコントロール設定を行えます。
「Smart Fan Mode」のチェックボックスを外すと定速回転モードとなりソース温度と関係なく、指定したPWMデューティ比or電圧比に従って一定速度でファンが動作します。
「Smart Fan Mode」でファンコントロールのソースとなる温度については画面左の「Temperature Source」のプルダウンメニューから選択できます。CPU温度、System温度、MOS(VRM電源)温度、PCH(チップセット)温度、PCIE_1温度、M.2_1温度、M.2_2温度の7つから選択できます。
ソース温度が乱高下するような場合に連動してファン回転数が空ぶかし的な動作をしないようにソース温度の変化に対してファン制御に遅延をつける「〇〇Fan step up/down time」という機能も実装されており、0.1~1.0秒の遅延をつけることが可能です。
ダブル水冷システムについてはCPUとGPUを360サイズの共有ラジエーターで一括冷却を行う構造になっているので可能であれば水温ソースのファンコントロールができると一番良いのですが同システムでは上述のソース温度から選択する必要があります。後ほど詳しくチェックしていきますが、ファン回転数については3基全てで1200RPMの固定でも十分なので、各自の環境に合わせて定速回転にするか、CPU温度70~80度を閾値にして階段的な制御にするのがおすすめだと思います。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのCPU・ストレージ性能
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLに採用される17年6月に発売されたばかりのIntelの最新エンスー向けCPU「Core i9 7900X」の性能をチェックしていきます。システムメモリについては2400MHzで16GB*4=64GBの「SanMax SMD4-U16G48HA-24RF」が採用されています。Skylake-Xは定格で2666MHzのメモリ周波数に対応しており、「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」ではカスタマイズで2666MHzのメモリにアップグレードも可能です。
CPU性能のベンチとしてよく使われるCinebenchのスコアは2200でした。
Core i9 7900Xのマルチスレッド性能は前世代の10コア20スレッドCPUのCore i7 6950Xを大きく上回っていることがわかります。
Core i9 7900Xは最大4.5GHzや全コア4.0Ghzと紹介されることが多いですが、実際は組み合わせて使用されるマザーボードの標準設定によって最大動作倍率や電力制限が異なり、実際の動作クロックも違ってきます。また使用するソフトウェアによっても電力制限に差があります。
Cinebenchにおいては上記のスコアからもわかるように全コア4.0GHzで動作していますが、Aviutl&x264やTMPGEncによる動画のエンコードでは全コア平均3.4~3.7GHz程度で若干電力制限が機能します。一方でDxO OpticsPro 11によるRAW写真現像(6枚同時、ノイズ除去PRIME使用)では全コアが4.0GHz動作となります。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」に採用されているCore i9 7900XとMSI X299 S01はCPUコア動作倍率のアンロックな環境なので、CPUの動作倍率やコア電圧をBIOSからマニュアルで変更可能になっています。ただしマニュアルでのオーバークロックは動作保証外の自己責任なので注意してください。
簡単にBIOSの設定項目を確認してみましたが、ロードラインキャリブレーションなどの設定項目も用意されており、MSI製X299マザーボードの上位モデルである「MSI X299 GAMING PRO CARBON AC」などとも遜色ない設定が可能なようです。
続いて「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」に採用されるダブル水冷システムによって10コア20スレッドのエンスー向けCPUであるCore i9 7900Xを十分に冷やしきれるのかチェックしていきます。ただし上述のようにCore i9 7900Xは動作環境や使用するソフトウェアでCPUコア動作倍率や電力制限が変わってくるので、簡単のためにBIOS上からCPU動作倍率を40倍(4.0GHz)に、CPUコア電圧を1.000Vに固定しました。
上のCPU動作設定においてAviutl&x264による動画のエンコードで1時間近くCPUへ負荷をかけてみました。なお水冷ラジエーターの冷却ファンはいずれも1200RPMに固定して定速回転で運用しています。
Core i9 7900Xの全コア4.0GHzはCPUの発熱が大きいことでよく知られていますが、「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の水冷システムであれば全コア同時4.0GHzで長時間のフル負荷がかかり続けても最大でも60度半ば程度で安定して運用することが可能です。
Core i9 7900Xの全コア4.0GHzで長時間負荷がかかる状態でもVRM電源周りの温度はサーモグラフィーとソフトウェア読みの両方で70度半ばに収まりました。Core i9 7900Xの全コア4.0GHz程度(定格運用の最大動作)であればVRM電源はパッシブ空冷のままでも問題ありません。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のレビュー機ではシステムストレージとして最大連続リード3100MB/sのNVMe M.2 SSD「Samsung SM961 512GB」、データストレージとして512GBのSATA SSD「Seagate Nytro Client 141」と3TBのハードディスクが搭載されています。これらのストレージでCrystalDiskMarkを使用して簡単にベンチマーク測定を行いました。
システムストレージのNVMe M.2 SSD「Samsung SM961 512GB」は高速なNVMe SSDらしいSATA3.0 SSDよりも5倍以上高速な2900MB/sというシーケンシャルリードを弾き出しました。データストレージのHDDと比べると10倍以上の速度差です。ランダム性能も100倍近い差になっています。
HDDはSSDに比べて連続リードだけでなくランダムリードも大幅に遅くなっているのが上のベンチマークスコアからもわかりますが、実際にPCゲームのThe Witcher3を使用したゲームのロード時間を比較が次のようになっています。
動画を見ての通りHDDにゲームをインストールした場合のゲームのロード時間は大雑把に見てもSSDにインストールした場合の1.5倍近いロード時間になります。逆に言えばデータストレージにSSDを採用することでゲームのロード時間を1/3近く短縮することが可能です。
G-Tune MASTERPIECE i1720にはデフォルトではデータストレージにHDDが設定されていますが、カスタマイズからSSDも選択可能なので、管理人的にはシステムストレージは256GB、データストレージには500GB~1TBのSSDにカスタマイズするのがおすすめです。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのグラフィック性能
さて17年最強構成となるCore i9 7900XとGTX 1080 Ti SLIを搭載したゲーミングPC「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のグラフィック性能をチェックしていきます。MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLではマウスコンピューター G-Tuneで独自に水冷化されたグラフィックボードでGPUがGTX 1080 Tiであるということ以外はグラフィックボードについて不明でしたが、レビュー用サンプル機にのグラフィックボードについてソフトウェアからチェックしてみたところ、ベースクロック1481MHz/ブーストクロック1582MHzでリファレンスと同じ仕様のものが採用されていました。
まずは簡単にFFXIV 紅蓮のリベレーター ベンチマークを4K解像度の最高品質で回してみました。ベンチマークスコアは14000を上回って、非常に快適の評価を余裕でマークしています。GTX 1080 Ti SLI環境であれば国内で人気のMMO RPGであるファイナルファンタジー14が4K解像度であっても快適にプレイできます。
またNVIDIA系のグラフィックボードには専用のビデオキャプチャ&配信機能「ShadowPlay」がありゲーム中のパフォーマンスをほとんど下げることなく高画質なプレイ動画を録画可能です。「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」であれば4K解像度でも最新のPCゲームを快適にプレイしながらプレイ動画の録画/配信が可能です。
本格的に各種ベンチマークでGTX 1080 Ti SLIのグラフィック性能をチェックする前に、「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」で採用されるダブル水冷システムによってGTX 1080 Ti SLIをしっかりと冷却することができるのかを事前に確認しておきます。
GTX 1080 Ti SLIではPCI-Eスロットという限られたスペースに500W以上の熱源を配置することになるのでサーマルスロットリングによる性能低下が懸念されます。短時間のベンチマークではシングルGPUよりもはるかに高いパフォーマンスが発揮できたのに実際に長時間ゲームをプレイしてみると熱ダレで期待したパフォーマンスが発揮できなかったということも少なくありません。
今回は空冷リファレンスのGTX 1080 Ti SLI環境と「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のダブル水冷環境とで比較を行ってダブル水冷システムの冷却性能をチェックしていきます。
GTX 1080 Ti SLI環境では上段のグラフィックボードの冷却が難しいため、こちらのサーマルスロットリングが全体へのボトルネックになりやすいことが知られているので、Fire Strike Ultraのグラフィックテスト1を1時間ほどループさせて、各環境における上段GPUのGPU温度、コアクロック、ファン回転数を比較してみました。なお水冷ラジエーターのファン回転数は3基全て1200RPMで固定しています。
空冷環境ではGPU温度が80度以上に達するのに対して、「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のダブル水冷環境ではGTX 1080 Ti SLIで冷却の難しい上段のGPUでもGPU温度は最大59度という非常に優れた数値になっています。騒音減の1つであるGPU基板上のブロアーファンの回転数も空冷が2400RPMを超えるのに対して、ダブル水冷では1800RPM程度に収まっています。
GPUコア温度の低さからも想像がつくと思いますがダブル水冷であればGPUコアクロックの熱ダレとも無縁です。空冷ではテスト開始直後こそ1700~1800MHzでダブル水冷環境と同程度のコアクロックですが、10分もするとサーマルスロットリングで平均1500MHzまでコアクロックが下がります。一方でダブル水冷であれば1時間以上連続してGPUにフル負荷がかかり続けても平均1766MHzという優れた数値をマークしています。「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のダブル水冷であれば冷却の難しいGTX 1080 Ti SLIも難なく冷やして理想的なパフォーマンスを発揮させることが可能です。
またGTX 10XXシリーズの上位モデルはVRM電源周りが高温になることも知られているので、上のテスト終盤にVRM電源周りの温度をサーモグラフィでチェックしてみました。VRM電源周りの温度は80度半ば程度なので高温ではありますが比較的安心して運用できる温度に収まっていると思います。
なおCore i9 7900XとGTX 1080 Ti SLIの環境でゲームをプレイする場合、CPU負荷によって前後しますが、650~750W程度の消費電力となります。瞬間的なピーク負荷としては1000W近い負荷がかかる場合もあるので接続するコンセントや配線には注意してください。
続いてGTX 1080 Ti SLIのパフォーマンスについて各種ベンチマークをチェックしていきます。
まずは3DMark FireStrikeのベンチマーク結果です。
最新APIのDirectX12に対応した3DMark TimeSpyのベンチマーク結果です
最新の高画質PCゲーム各種についてベンチマークを行いました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Battlefield 1(最高設定、DX11)、Destiny2(最高設定)、Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3(グラフィック設定)以上の7タイトルです。
ベンチマークを行う解像度についてはGTX 1080 Ti SLI環境を構築するユーザーのハイエンドゲーミング環境に合わせて21:9ウルトラワイド解像度のUWQHD(3440*1440)とコンソール機でも流行の兆しのある4K解像度(3840*1260)を選択しました。
上記の設定で各種ゲームについて平均FPSを比較したところ次のようになりました。
まずは標準的な16:9アスペクト比よりも横幅が広く高い没入感を得ることが可能な21:9アスペクト比のウルトラワイド解像度UWQHDのベンチマーク結果についてチェックしていきます。
UWQHDにおいてはGTX 1080 Tiのシングルグラフィックボードでも最新の高画質PCゲームで平均60FPSを達成するのは比較的難しくありません。ただUWQHD解像度のゲーミング液晶モニターには当サイトでもレビューしている「Dell AW3418DW(レビュー)」のように100Hz以上の高リフレッシュレートで動作するハイエンドゲーミングモニターも存在するので、UWQHD解像度で60FPSオーバーを狙うのであればGTX 1080 TiのSLI環境を選択する意味は十分にあると思います。
続いて17年現在のPCゲーム解像度としては最高となる4K解像度のベンチマーク結果についてチェックしていきます。
4K解像度については17年最速のGPUであるGTX 1080 TiといえどもシングルGPUでは、Battlefield1やFF14のような比較的軽めな高画質PCゲームであれば平均60FPSをキープすることができますが、Destiny2やMiddle-Earth: Shadow of Warなど17年後半に発売された重量級PCゲームではグラフィック設定を最高にすると4K解像度で60FPSをキープするのが難しくなっています。これらの非常に重い高画質PCゲームで快適な4Kゲーミング環境を実現するのであればGTX 1080 Ti SLIがおすすめです。
17年最新の高画質PCゲームでは超高解像度の4K解像度や21:9アスペクト比のウルトラワイド解像度(3440*1440)でリフレッシュレート100HzのゲーミングモニタなどGTX 1080 Tiであってもシングルでは性能が追い付かないという場面もあります。フルHDやWQHDなどではCPUボトルネックが支配的になりGTX 1080 TiでSLI環境を構築しても効果が小さい場合もありますが、UWQHDや4Kなどの超高解像度においてはGTX 1080 Ti SLIはGTX 1080 Tiのシングル環境よりも50~70%高いパフォーマンスを発揮できます。シングルでは達成困難な4Kや高解像度の高リフレッシュレートのハイエンドゲーミング環境を満たす最後の手段としてGTX 1080 Ti SLIは検討してみる価値は十分にあると思います。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のゲーミング性能については上述の通りGTX 1080 Ti SLIのフルパワーが遺憾なく発揮できるダブル水冷システムが採用されていることもあり文句のない出来栄えなのですが、標準で採用されている電源ユニットの負荷時のファンノイズが非常に煩いところが残念でした。
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の騒音減は主に「水冷ラジエーターの冷却ファン」「グラフィックボード備え付けのブロアーファン」「電源ユニットの冷却ファン」の3つになっています。このうち「水冷ラジエーターの冷却ファン」を1200RPMに固定、「グラフィックボード備え付けのブロアーファン」を上で行ったストレステストの最大値である1800RPMに固定して、アイドル状態とゲーム負荷状態で「電源ユニットの冷却ファン」のファンノイズをサウンドレベルメーター(騒音計)を使用して測定しました。
アイドル状態の45dBも最近のハイエンド電源でセミファンレスが流行っていることを考えると比較的ファンノイズが大きい方なのですが、ゲーム負荷時の64dBについてはファンノイズが非常に大きく、布団乾燥機と掃除機の間くらいの騒音でした。
せっかくダブル水冷でGTX 1080 Ti SLI環境を静音性を維持しつつ冷却できているのに電源ユニットのファンノイズがボトルネックになってしまっています。50万円を超えるBTO PCに標準搭載される電源ユニットとしても文句はつけたいところなのですが、せめてCorsair HX1200iやクーラーマスター V1200 Platinumなど自作erにも定評のある大容量電源ユニットをカスタマイズのアップグレード項目として用意して欲しいです。
MASTERPIECE i1720PA1-SP-DLのレビューまとめ
最後に最新のエンスー向けCPUで10コア20スレッド「Intel Core i9 7900X」と現行最速GPU「NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti」のマルチGPU SLIを搭載した17年後半の最強最速のゲーミングBTO PC「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 4K動画編集などクリエイティブ作業にも対応できる10コア20スレッド「Core i9 7900X」搭載
- 超高解像度・高FPSで最新ゲームが快適にプレイ可能な「GTX 1080 Ti」のマルチGPU SLI搭載
- SLI HBブリッジには「MSI SLI HB BRIDGE 3SLOT」を採用
- CPU・GPUを360サイズの共有ラジエーターで冷却するダブル水冷システムを採用
- オリジナル水冷化GTX 1080 TiならSLI環境でもサーマルスロットリングとは無縁
- In Win 303をベースにしたオリジナルPCケースは高級感がある
- システムストレージは高速NVMe M.2 SSD「Samsung SM961 512GB」を採用
- M.2 SSD、PCI-E NVMe SSD、サウンドボード等も拡張可能
- 高級なゲーミングキーボード&マウスセットが標準で付属する<レビュー記事>
- 電源ユニットの冷却ファンが非常に煩い
- BTO PC専用廉価マザーボード採用なのでマニュアルや公式サポートページがない
- 標準構成で50万円以上と非常に高価
10コア20スレッドのCore i9 7900Xと17年最速のシングルGPUであるGeForce GTX 1080 TiのマルチGPU SLIを搭載した「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」は現行で最強のゲーミングマシンと言っても過言ではありません。パフォーマンスの反面、大きくなる発熱も独自のダブル水冷システムによって静音性を確保したまま十分に冷やすことが可能なのでGTX 1080 Ti SLIを搭載するBTO PCとしては一押しの1台です。
Core i9 7900Xはマルチスレッド性能が非常に高いCPUなので4K動画編集やリアルタイムエンコードによる動画配信などにも余裕で対応できます。ゲーマーのみならず、クリエイティブ作業を中心に行うパワーユーザーにもお勧めできる製品だと思います。
17年最新の高画質PCゲームでは超高解像度の4K解像度や21:9アスペクト比のウルトラワイド解像度でリフレッシュレート100Hz以上のゲーミングモニタなどGTX 1080 Tiであってもシングルでは性能が追い付かないという場面があります。フルHDやWQHDなどではCPUボトルネックが支配的になりGTX 1080 TiでSLI環境を構築しても効果が小さい場合もありますが、UWQHDや4Kなどの超高解像度においてはGTX 1080 Ti SLIはGTX 1080 Tiのシングル環境よりも50~70%以上高いパフォーマンスを発揮できます。そういった超高解像度・高リフレッシュレートを追い求めるエンスーゲーマーにはGTX 1080 Ti SLIを搭載するBTO PCはおすすめです。
その圧倒的なパフォーマンスの反面、GTX 1080 Tiはシングルボードでも250~300Wという大きな発熱(消費電力)を伴うので、GTX 1080 Ti SLI環境は3スロット占有の大型グラフィックボードを使用しても十分な冷却が難しいという問題がありましたが、独自の水冷システムによってGPUを冷却する「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」であればGTX 1080 Tiの発熱による熱ダレでパフォーマンスが低下する心配もなく、3スロット占有のハイエンド空冷GPUクーラーを搭載するモデルと比較しても遥かに高い静音性を実現できます。
あえて難点を上げるとすれば、一般販売品ではないマザーボードが採用されていることと、電源ユニットの冷却ファンがかなり煩いことでしょうか。マザーボードについては基本的な機能は全て揃っているため実用上は特に問題もないのですが、電源ユニットのファンの煩さはかなりのマイナスポイントだと感じました。せっかくダブル水冷システムで確保した静音性も電源ユニットのファンノイズがボトルネックになっているのがもったいないです。標準採用の電源ユニットとは別に市販の高静音性な電源ユニットもカスタマイズ項目に加えて欲しいです。BTOの意味が…、という声が聞こえそうですが購入したら電源ユニットだけでも換装してしまうのが正直なところおすすめです。
とはいえGTX 1080 Ti SLIで熱ダレ皆無のフルパフォーマンスが発揮可能なBTO PCとなるとDIY水冷の特注品など特殊なものを除けば、おそらく国内ではダブル水冷の冷却システムを採用している「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」しか該当するマシンは存在しないはずなので、予算に糸目をつけず17年末現在最もゲーム性能の高いBTO PCを探しているユーザーに「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」はおすすめのBTO PCです。
以上、「G-Tune MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」のレビューでした。
・G-Tune MASTERPIECE i1730PA-SP-DLシリーズの販売ページへ
おまけ:マザーボードの取り換え手順(注:メーカー保証外)
「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」についてはレビュー記事本文の通り、水冷自作erな管理人も納得の高性能・高品質なBTO PCでおすすめできる製品なのですが、マザーボードや電源ユニットは個人的にどうしても気になったので、マザーボードや電源ユニットの取り換えが可能かどうかを簡単にチェックしてみました。電源ユニットはケーブルの着脱だけなので比較的簡単だと思うのですが、マザーボードを取り換える上で問題になるのはCPU/GPUを一括で冷却しているダブル水冷システムなので、これを簡単かつ綺麗に避けてマザーボードが交換できるかどうかがポイントです。なお当然ですがマザーボードの取り換えはマウスコンピューターの公式サポート保証外となります。ある程度自作PCの知識があって、ダブル水冷システムが欲しいけどマザボや電源は交換したい、というちょっとニッチな層向けのおまけ項目なので注意してください。
前置きはこの辺りにして早速実践してみます。PCケースは平置きにしてください。
まずはグラフィックボードに装着されたPCIE補助電源を取り外します。
PCIE補助電源をグラフィックボードから外したら、PCIブラケットの固定ネジも外して、グラフィックボードをマザーボードのPCI-Eスロットから取り外します。順番はどちらでもいいですが、水冷チューブの長さ的には下段から取り外すのが楽です。1スロット分のスペースはありますが、PCI-Eスロットのロックに手が届かない場合は上段のグラフィックボードから外してください。
続いてもう1つのグラフィックボードも取り外します。
さらにドライバーを使ってCPUクーラーを取り外します。
以上でダブル水冷システムの水冷ループを維持したままで、マザーボードの取り外しか可能になります。
ここまで分解できれば自作PCの知識がある程度あればマザーボードの取り換えは難しくないと思います。なおX299マザーボードの多くではEPS端子に8+4PINや8+8PINが要求されます。付属の電源ではEPS端子を増設可能なプラグイン端子が残っているものの、「MASTERPIECE i1720PA1-SP-DL」には肝心のプラグインケーブルが付属しません。SATA電源などから変換してEPS電源を用意することも可能ですが、マザーボードを取り換えるなら一緒に電源ユニットも上位Plutinum認証やTitanium認証の電源に換装するのがおすすめです。
・「Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium」をレビュー
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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PCケース向かって左のサイドパネルに優良オプションの強化ガラスサイドパネル
優良→有料ですかね?