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マルチGPUを構築する環境として各GPUに割り当てるPCI-EレーンとしてはIntel Z370やAMD X370などメインストリーム環境のPCI-E3.0x8*2とIntel X299やAMD X399などエンスー環境のPCI-E3.0x16*2という選択肢がありますが、17年後半の最速GPUであるNVIDIA GeForce GTX 1080 TiのSLIにおいてPCI-E3.0x16とPCI-E3.0x8ではどの程度の性能差があるのが検証してみました。
今回は検証機材の1つとして先日レビューを行った「ASRock X299 OC Formula」を引き続きメーカーからお借りしてGTX 1080 Ti SLIへのPCI-E帯域の影響を検証しています。
・「ASRock X299 OC Formula」をレビュー
GTX 1080 Ti SLIの検証環境として「ASRock X299 OC Formula」を使用したX299環境と「ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)」を使用したZ370環境の2つを用意しました。ベンチ機の詳細構成は次のテーブルのようになっています。
テストベンチ機の構成 | ||
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Core i9 7900X Core/Cache:4.5/3.2GHz, 1.200V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Core i7 8700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.350V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
M/B | ASRock X299 OC Formula (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC) (レビュー) |
メインメモリ | G.Skill Trident Z Black F4-4200C19Q2-64GTZKK DDR4 8GB*4=32GB(4枚のみ) 3200MHz, 14-14-14-34-CR1 (レビュー) |
G.Skill Trident Z Black F4-4400C19D-16GTZKK DDR4 8GB*2=16GB 3200MHz, 14-14-14-34-CR1 (レビュー) |
グラフィックボード |
EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX (レビュー) GTX 1080 Ti Founders Edition & EVGA GTX 1080 Ti SC HYBRID Waterblock Cooler (レビュー) |
|
システム ストレージ |
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー) | |
ゲームデータ ストレージ |
SanDisk SSD Ultra 3D SATA SSD SDSSDH3-2T00-J25 (レビュー) |
|
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
|
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Skylake-X&X299環境ではCPUに10コア20スレッドのCore i9 7900Xを使用しています。CPUコアクロックを4.5GHz、CPUキャッシュクロックを3.2GHzにオーバークロックしています。メモリについてもメモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1にOCしています。
CoffeeLake-S&Z370環境ではCPUに6コア12スレッドのCore i7 8700Kを使用しています。CPUコアクロックを5.0GHz、CPUキャッシュクロックを4.8GHzにオーバークロックしています。メモリについてもメモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1にOCしています。
検証機のメインとなるX299環境に使用するマザーボード「ASRock X299 OC Formula」は1段目と5段目の2スロットスペースでマルチGPUを構築可能にな数少ないATXサイズX299マザーボードです。一方の「ASUS ROG MAXIMUS X HERO」はその他のZ370マザーボード同様に1スロットスペースなので、2スロットスペースでマルチGPUを構築可能な「ASRock X299 OC Formula」と比較してプライマリとセカンダリのグラフィックボード間隔が狭くなります。
マルチGPU環境では上段のプライマリグラフィックボードの冷却が性能面でボトルネックになる可能性が高くなっており(参考記事)、各社グラフィックボードベンダーからリリースされているGTX 1080 Tiの上位AIBモデルは3スロットを占有するものが多いので、GTX 1080 TiでマルチGPUを構築する場合はGPUの間隔を広くとることができる2スロットスペースでマルチGPUを構築可能なマザーボードを使用するのがおすすめです。
「ASRock X299 OC Formula」を使用したX299環境のマルチGPU用推奨スロットである1/5段を使用するとGTX 1080 Tiが両方ともPCI-E3.0x16で接続されます。
一方で「ASRock X299 OC Formula」の3・7段目のPCI-Eスロットを使用した場合やZ370環境のASUS ROG MAXIMUS X HEROにおいてはGTX 1080 Tiが両方ともPCI-E3.0x8で接続されます。
まずはGPUのグラフィック性能検証において基本的項目となる3DMarkのFireStrikeシリーズとTimeSpyのグラフィックスコアについてX299環境のPCI-E3.0x16とPCI-E3.0x8で比較してみました。3DMarkのベンチマークにおいてはPCI-E3.0x16のほうが若干スコアが高いものの、PCI-E3.0x16とPCI-E3.0x8の間には大きな差は確認できません。
FS | FSE | FSU | TS | |
x16 | 53758 | 26943 | 13379 | 17931 |
x8 | 53501 | 26884 | 13368 | 17925 |
比率 | 99.52% | 99.78% | 99.92% | 99.97% |
続いて実ゲームを用いたベンチマーク比較をチェックしていきます。解像度はフルHDと4K(3840*2160)の2種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Battlefield 1(最高設定プリセット)、Destiny2(最高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定プリセット)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3(グラフィック設定)以上の6タイトルです。
Battlefield 1(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Destiny2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(ウルトラ設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
上の実ゲームにおけるフルHD解像度のベンチマーク比較の結果をX299環境のPCI-E3.0x16を基準にして性能比率をまとめると次のようになりました。
また実ゲームにおける4K解像度のベンチマーク比較の結果をX299環境のPCI-E3.0x16を基準にして性能比率をまとめると次のようになりました。
同じX299環境においてPCI-E3.0x16とPCI-E3.0x8を比較すると、3DMarkではスコアにはほとんど差が出ないものの実ゲームにおいてはとりわけ高解像度の4Kベンチにおいて10%以上の差が確認できました。ただしZ370環境のPCI-E3.0x8ではX299環境のPCI-E3.0x8ほど性能が下がっていないことも確認できるので、そこを考えるとASRock X299 OC Formulaの非推奨な3/7段でマルチGPUを組んだことが悪い影響を与えている可能性も否定できません。同時にやはり3DMarkでは差が出ないという結果も出ているので判断が難しいところです。
一方でX299環境のPCI-E3.0x16とZ370環境のPCI-E3.0x8を比較すると、低解像度でフレームレートが高くなるフルHDではシングルスレッド性能の高さが重要になってくるのかDestiny2やShadow of Warなど一部タイトルではPCI-E帯域の小さいZ370環境のほうが高い性能を発揮しました。
しかしながら高解像度でフレームレートが下がる4K解像度においてはCPUのマルチスレッド性能もしくはPCI-E帯域が効いて、Battlefield 1やGhost Recon Wildlandsなど一部タイトルではX299環境境のほうが高い性能を発揮しました。
いくつか疑問が残るポイントはあるもののGTX 1080 TiなどハイエンドグラフィックボードでマルチGPUを構築する場合にPCI-E3.0x8とPCI-E3.0x16のどちらを選ぶかについてはまとめると次のようになると思います。
1.同じプラットフォームならPCI-E3.0x16のほうが実ゲームでは高い性能になる可能性がある
2.FPSが高くなる低解像度ではPCI-E帯域よりCPUのシングルスレッド性能が支配的になる
3.4Kなど高解像度ではPCI-E帯域もしくはCPUのマルチスレッド性能が重要になる。
もう少し簡単にまとめるとフルHDからWQHDのような標準的な解像度においてGTX 1080 Ti SLIの環境を構築するのであればコスパを重視してPCI-E3.0x8接続のCoffeeLake-S&Z370環境で十分ですが、UWQHDや4K解像度など高解像度においてGTX 1080 Ti SLIの環境を構築するのであれば、PCI-E帯域が十分確保できてCPUマルチスレッド性能の高いSkylake-X&X299環境を選択するのがおすすめだと思います。CPUエンコードによる動画配信などゲームとは別口に同時でCPUのマルチスレッド性能が要求される場合は当然、Skylake-X&X299環境がおすすめです。
以上、『GTX 1080 Ti SLIの性能をPCI-E3.0x16とPCI-E3.0x8で比較』でした。
ASRock X299 OC Formula ATXマザーボード
ASRock
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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分かりやすく倍くらいの差があれば、迷わずx16最優先でX299とかに飛び付くんですけどね^^;