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5120のCUDAコアと12GBのHBM2を搭載するNVIDIA次世代GPU Voltaの最上位コアGV100を採用する3000ドルのモンスターグラフィックボード「NVIDIA TITAN V」をレビューします。次世代GPU Voltaのフルスペックコアにして第1弾となる「NVIDIA TITAN V」が現行のGTX 10XXシリーズナンバリング最上位であるGTX 1080 Tiに対してどの程度上回ることができるのか徹底検証し、2018年に発売されるであろう次世代GeForce GTX20XXシリーズの未来を占っていきます。
なお空前絶後とは言ったもののAmpereも控えているので誤用ですが時流に乗ってみた。TITAN攻めでキャッチフレーズがネタ切れ……。あとVoltaはデータセンターや企業向けで次世代GeForceはAmpereとの噂もありますが、次世代はVoltaだという体で進めます。
製品公式ページ:https://www.nvidia.com/en-us/titan/titan-v/
NVIDIA TITAN V レビュー目次
1.NVIDIA TITAN Vの外観
2.NVIDIA TITAN Vの検証機材セットアップ
3.NVIDIA TITAN Vのゲーム性能
4.NVIDIA TITAN Vの温度・消費電力
5.NVIDIA TITAN Vのレビューまとめ
NVIDIA TITAN Vの外観
早速、NVIDIA TITAN Vを開封していきます。上蓋を外すと横向きに収められた「NVIDIA TITAN V」が登場します。
付属品はマニュアル類とDP→DVI-D変換ケーブルでした。
すでに国内での発売がNVIDIA公式から言及されているので、さほど意外でもありませんが多言語マニュアルには日本語のページもありました。
梱包や付属品のチェックは簡単に済ませて、グラフィックボード本体を見ていきます。
NVIDIA TITAN Vの外観については基本的にGTX 1080 Ti Founders EditionやNVIDIA TITAN Xpと同じです。
NVIDIA TITAN Vのボード長は全長267mm程度です。NVIDIA GeForce GTX 1080 TiのリファレンスモデルであるFounders EditionやNVIDIA TITAN Xpと同じボード長となっています。
ロゴ部分には製品名の「TITAN V」が刻まれています。
NVIDIAの『TITANはGEFORCE GTXではない』発言以降もTITAN X PascalとTITAN XpではGPUクーラーのサイドにはLEDイルミネーションを備えたブランドカラー緑色の「GEFORCE GTX」ロゴがありましたが、NVIDIA TITAN Vでは念願のTITANロゴになっています。
正面と側面にTITANロゴがついに揃いました。
NVIDIA TITAN VのGPUクーラーは従来のNVIDIAリファレンスグラフィックボード同様に外排気のブロアーファン採用です。
NVIDIA TITAN Vは2スロット占有グラフィックボードとなっています。
NVIDIA TITAN VはPCIブラケットと同じ背の高さなので、PCケースサイドパネルとの干渉の心配も最小限です。
NVIDIA TITAN Vの補助電源数はTITAN XpやGTX 1080 Ti Founders Editionと同様に8PIN+6PINです。
NVIDIA TITAN Vのビデオ出力はHDMI2.0×1、DisplayPort1.4×3の4基が実装されています。PCIブラケット側から排気を行うブロアーファンGPUクーラーなのでDVI-Dが廃されて排気面が広く確保されているのが嬉しいです。
NVIDIA TITAN Vにはバックプレートも装備していますが、基板保護のみで放熱面では貢献していません。
あとNVIDIA TITAN VはマルチGPUのSLIには非対応となっており、形だけ実装されているNVLink端子もバックプレートで覆われています。今のところNVIDIAはNVIDIA TITAN VのマルチGPUをサポートする予定はないようです。
なおグラフィックボードの重量はGTX 1080 Ti Founders Editionが1056g、Radeon RX Vega 64 Limited Editionが1046gに対して、NVIDIA TITAN Vは1295gと若干重くなっています。
バックプレート等で基板の反りは防止されていますが、PCI-Eスロットへの負荷を考えるとVGAサポートステイなどで垂れ下がりを防止したほうがいいかもしれません。
NVIDIA TITAN Vの検証機材
外観やハードのチェックはこのあたりにして早速、NVIDIA TITAN Vを検証用の機材に組み込みました。テストベンチ機の構成は次のようになっています。テストベンチ機の構成 | ||
ベンチ機1 |
ベンチ機2 |
|
OS | Windows10 Home 64bit | |
CPU |
Core i7 7700K Core/Cache:5.0/4.8GHz, 1.350V 殻割り&クマメタル化(レビュー) |
Core i7 7700K (レビュー) |
M/B | ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
ASUS ROG MAXIMUS IX FORMULA (レビュー) |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
G.Skill TridentZ DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) |
ストレージ |
【システム】 Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 【ゲームデータ】 SanDisk SSD Ultra 3D SATA SSD SDSSDH3-2T00-J25 (レビュー) |
Intel SSD 540シリーズ SATA M.2 SSD 240GB |
電源ユニット |
Corsair HX1200i (レビュー) |
Thermaltake Toughpower iRGB PLUS 1250W Titanium (レビュー) |
PCケース/ ベンチ板 |
STREACOM BC1 (レビュー) |
Cooler Master MASTERCASE MAKER 5t (レビュー) NZXT Aer F 140 3基(レビュー) |
「NVIDIA TITAN V」はNVIDIAの次世代GPU Volta世代のGV100コアが採用されています。CUDAコア数は前世代Pascalのフルスペックコアを採用するTITAN Xpの3840から33%もコア数が多い5120コアとなっています。代わりにコアクロックはTDP250Wに収めるために控えめでベース1200MHz/ブースト1455MHzです。VRAMには競合AMD Radeon RX Vegaシリーズでも採用されている次世代高帯域メモリHBM2が採用され、バス幅3072-bitでメモリ帯域は652.8 GB/sとなり、メモリ帯域でもTITAN Xpの547.7 GB/sを大きく上回る数値です。
NVIDIA TITAN Vのゲーム性能
NVIDIA TITAN Vの性能を測るべく各種ベンチマークを実行しました。性能比較には「GTX 1080 Ti Founders Edition」、「EVGA GTX 1080 11Gbps SC2 Gaming iCX」、「EVGA GTX 1070 SC Gaming ACX3.0」を使用しています。まずFFXIV 紅蓮のリベレーター ベンチマーク4K・最高品質のスコアは同検証環境で10000を軽く突破しました。NVIDIA TITAN VであればFFXIV 紅蓮 リベレーターの4K解像度であっても余裕で対応可能なグラフィック性能があります。
なおFF14ベンチではスコアが1万を超えたあたりからFPSが上がりすぎてCPUベンチの傾向が強くなりグラフィックボードの性能比較ベンチとしてはあまり使えなくなってくるので注意してください。FFXIV 紅蓮のリベレーターに最適なグラフィックボードやCPUなどPCスペックについては次の記事でも紹介しています。
・FFXIV 紅蓮のリベレーターにおすすめなグラボやPCは?
3DMarkで現在主流なDirectX11のベンチマーク「FireStrike」による比較になります。
FireStrike | Extreme | Ultra | |
NVIDIA TITAN V |
33193 | 16327 | 7853 |
GTX 1080 Ti FE | 28097 | 13622 | 6697 |
GTX 1080 11Gbps | 22833 | 10880 | 5467 |
GTX 1070 |
18292 | 8599 | 4262 |
3DMarkの最新DirectX12ベンチマーク「TimeSpy」による性能比較となります。
TimeSpy | Asyncなし | 性能伸び率 | |
NVIDIA TITAN V | 12786 | 11793 | 106% |
GTX 1080 Ti FE | 9497 | 8865 | 107% |
GTX 1080 11Gbps | 7678 | 7296 | 105% |
GTX 1070 | 5968 | 5735 | 104% |
現行GPUでは重すぎて話にならなかったVRMark Blue Roomですが、TITAN Vでは平均90FPSを突破しました。TITAN Xp比で38%程度高速という結果になっています。
あとVRカノジョの体験版ベンチマークを解像度スケール200%で回してみたところ、GTX 1080 Tiでは平均38FPSでしたが、NVIDIA TITAN Vでは49FPSでした。
VRカノジョについてはこちらの記事でおすすめなグラボやゲーミングPCについて紹介しています。
・VRカノジョのベンチマークから見るおすすめグラボとPC
続いて実ゲームを用いたベンチマークになります。解像度はフルHD、WQHD、4K(3840*2160)の3種類について行っており、同一のグラフィック設定で同一のシーンについて平均FPSを比較しました。
ベンチマーク測定を行ったタイトルは、Battlefield 1(最高設定プリセット)、Destiny2(最高設定プリセット)、The Division(グラフィック設定)、For Honor(超高設定プリセット)、Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)、Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)、Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)、Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)、Titanfall 2(グラフィック設定)、WatchDogs_2(最高設定プリセット)、The Witcher3(グラフィック設定)、Gears of War 4(最高設定プリセット)以上の12タイトルです。
Battlefield 1(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Destiny2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Division(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
For Honor(超高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Ghost Recon Wildlands(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Mirrors Edge Catalyst(ハイパー設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Rise of the Tomb Raider(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Middle-Earth: Shadow of War(ウルトラ設定プリセット)のベンチマーク結果です。
Titanfall 2(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
WatchDogs_2(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
The Witcher3(グラフィック設定)のベンチマーク結果です。
Gears of War 4(最高設定プリセット)のベンチマーク結果です。
NVIDIA TITAN V、GTX 1080 Ti Founders Edition、GTX 1080 11Gbps OC、GTX 1070 OCの4種類について実ゲーム性能の比率の平均を出してみました。FPSが上がりすぎてCPUボトルネックの影響が出始めるフルHDに対して、60FPS前後に近づいていく超高解像度でより高いパフォーマンスを発揮でき、4K解像度においてNVIDIA TITAN VはGTX 1080 Tiよりも28%程度高い性能を実現しています。またNVIDIA TITAN Vが2世代前の最上位モデルGTX 980 Tiと同性能なGTX 1070のほぼ2倍の性能を実現しているのには胸が熱くなります。なおGhost Recon WildlandsとTitanfall 2の2つについては4K解像度でも綺麗にスケーリングできていないので、この2つを除いた10種のゲームで各解像度について性能比率の平均値を計算しました。
NVIDIA TITAN VとGTX 1080 Ti Founders Editionのコア数比5120:3584と、後述の実働コアクロックの平均値の比率1575:1728から単純計算すると、両者の性能比は130%になるので4K解像度においては単純計算の比率に近い性能が出ていることがわかります。
ただしVRAM帯域もNVIDIA TITAN Vのほうが20%以上大きいことを考えると4K解像度ではもう少し差が出ていても良いような気がします。NVIDIA TITAN VとRadeon RX Vegaの両者の例から考えるとゲーム用途ではHBM2を採用するメリットがそもそもないのではないか(GDDR5Xや次世代GDDR6のほうが性能が向いている?)という気がします。Ghost Recon WildlandsとTitanfall 2のように製品スペックに対して正常にスケーリングできないタイトルもあるのでドライバの問題もあるのかもしれません。
NVIDIA TITAN Vは一般人が購入可能な、とはいえ30万円以上するのですが……、NVIDIAの次世代Volta GPUの第1弾となっており、Volta世代の性能を占う試金石的な存在ですが、Pascal世代のナンバリング最上位GTX 1080 Ti Founders Editionとの比較から見て、Volta世代のナンバリング最上位モデルはGTX 1080 Tiよりも30%以上高速になることは期待できそうです。
NVIDIA TITAN Vの温度・消費電力
NVIDIA TITAN Voの負荷時のGPU温度とファンノイズを検証しました。温度やファンノイズの検証負荷としてはFireStrike Extreme ストレステストを使用しました。
NVIDIA TITAN Vではストレステスト中のGPUコア温度は最大84度、ファン回転数は2400RPMとなりました。GTX 1080 Ti Founders Editionと同じ傾向で若干排熱がしんどい感じです。
NVIDIA TITAN VのGPUコア動作クロックをモニタリングしてみると実働コアクロックの平均値は1575MHzでした。GTX 1080 Ti FEは1728MHzとなっており、両者のコア数比とコアクロック比から単純計算すると性能比は130%程度となります。NVIDIA TITAN VとGTX 1080 Ti FEはどちらもテストの序盤と終盤を比較するとコアクロックが下がっていますが、NVIDIA TITAN Vのほうが大幅にコアクロックが下がっているのがわかります。
780Ti(Kepler)→980Ti(Maxwell)→1080Ti(Pascal)では代を追うごとにコア数だけでなくコアクロックも大幅に増加していましたが、Volta世代についてはコアクロック的にはPascalと似たような感じでコア数だけ増えているようです。
NVIDIA TITAN Vはファン制御がAutoの場合、ファン回転数が2400RPMに達するとGPU温度が84度を超えないようにパワーリミットでコアクロックが下がります。そこで2400RPMはデューティ比で60%程度なので、70%、80%、100%についてコアクロックを比較してみたところ次のようになりました。ファン回転数100%でも開始直後から比較して80~100MHzほどコアクロックが下がっているのでOCするなら水冷化も必須です。
【ベンチ機1の検証でもサーマルリミットは明らかなのでベンチ機2の検証は割愛します】
NVIDIA TITAN Vを含めていくつかのグラフィックボードについてサウンドレベルメーターを利用してゲーム負荷時のノイズレベルを測定・比較しました。ノイズレベルの測定には「サンワダイレクト 400-TST901A」を使用しています。
電源OFF時の騒音値は33~35dBです。目安として40dBを超えたあたりからファンノイズがはっきりと聞こえるようになり、45dB前後で煩く感じます。50dBを超えてくるとヘッドホンをしていても煩く感じます。同じ騒音値でも不快に感じたり感じなかったりと音の性質にもよるので注意してください。
ノイズレベルの測定結果は次のようになっています。
NVIDIA TITAN Vのファンノイズは2400RPMでは56.6dBでした。リファレンスのブロアーファンGPUクーラーらしいファンノイズです。ファンノイズとは別に今回入手した個体はコイル鳴きが結構あります。R9 Nanoみたいに低FPSな状態でも鳴くのですが、低FPSでも鳴く場面と鳴かない場面があったりして新しいタイプの鳴き方でした。
NVIDIA TITAN Vの消費電力と瞬間的な最大電源負荷を測定しました。
測定には電源ユニット「Corsair HX1200i」のCorsair Linkによる電力ログ機能を用いてコンセントからの出力ではなく変換ロスを差し引いた入力電力をチェックしています。また電力測定の際は上記の主電源ユニットに加えて、CPUへの電力供給を行うEPS端子へ接続するために別の副電源ユニットを使用しています。右下スクリーンショットのように、この状態でCPUに負荷をかけても測定値が変動しないのでCPUによる消費電力の変動は基本的に含まれないと考えて大丈夫です。
測定負荷にFireStrike Extreme ストレステストを使用して、”平均値を消費電力”、”最大値を瞬間的な最大電源負荷”としたところ、測定結果は次のようになりました。
同検証環境に置いてNVIDIA TITAN Vの消費電力は265W、瞬間最大負荷は381Wとなりました。NVIDIAの現行ナンバリングモデル最上位となるGTX 1080 Tiとほぼ同等の消費電力です。
なお同じTDP250WのGTX 1080 Ti Founders Editionと比較すると若干消費電力が小さく出ていますが、GPU温度が上がり過ぎてパワーリミットが効いているようです。コアクロックの比較同様にファン速度別で消費電力をチェックしてみると消費電力290W前後、瞬間最大負荷410W前後となりました。
NVIDIA TITAN V レビューまとめ
最後に「NVIDIA TITAN V」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- 最新PCゲームを4KやUWQHDの超高解像度かつ最高設定でプレイ可能なグラフィック性能
- GTX 1080 Tiよりも20~30%程度高速
- 一部のゲームでは最適化不足のせいかGPUスペックに対して性能がスケーリングしない
- マルチGPUはサポートされない
- ファンノイズがかなり煩い
- 価格は2999ドルと非常に高価(輸入の場合、送料等込みで総額38万円程度)
NVIDIAの次世代GPU Voltaの記念すべき第1弾「NVIDIA TITAN V」を、18年に登場するであろう次世代GeForce GTXの性能を測る試金石的な存在として見ると、コアクロックの動作的には現行のPascal世代GTX 10XXシリーズ同様に1800~2100MHz程度が実働の範囲となり、KeplerからPascalまで3代続いた大幅なコアクロックの上昇はないため、GPU性能についてはコア数比が支配的になるようです。
今回の検証においてもCPUボトルネックがなくなってGPU性能が重要になる4K解像度のゲーム性能比較において、コア数比5120:3584と実働コアクロック比1575:1728から単純計算で算出できる性能比130%に近い数字がNVIDIA TITAN VとGTX 1080 Ti FEの性能比率になっています。
NVIDIA TITAN VとGTX 1080 Ti Founders Editionとの比較から考えると、VRAMにGDDR6が採用されるであろう次世代GeForce GTXのナンバリング最上位モデル、おそらくGTX 2080 TiはGTX 1080 Tiよりも30%以上高速になることが期待でき、シングルGPUで4K・60FPSも夢ではないと思います。
ネガティブな要素も上げるとすればPascalベースでコア数が増えただけなので、次世代GeForceがTITAN Vのコアの一部を使用するGV102やGV104で構成される場合、KeplerからMaxwellやMaxwellからPascalへの移行と比較してパフォーマンスの向上が鈍化する可能性もあります。Voltaはデータセンターや企業向け専用で次世代GeForceは隠し玉Ampereという噂もありますし、Ampereが次世代GeForceとして登場し、単純なコア性能やコアクロックも上昇する可能性はなくはありません。最近のNVIDIAは直前まで情報が出ないので実際のところどうなるかは来年になってみないとわからないかなと。
”多コアをゆっくり”がワッパ改善の鉄則なのはご存知のとおり、TITAN VではGTX 1080 Tiの消費電力そのままで性能は伸びているため、Volta世代ではさらなるワッパの改善についても期待できると思います。GTX 1080程度の消費電力でGTX 1080 Ti並みの性能なMini-ITX対応ショートグラボの姿が見えてきます。
「NVIDIA TITAN V」に採用されている高帯域な次世代メモリHBM2の評価が正直難しいです。GPUコアがPascalベースでコア数が増えただけと考えるとGPUコア数とコアクロックの分は性能が綺麗にスケーリングすると思うのですが、そうすると4K解像度の性能比にHBM2採用で20%ほど増加したメモリ帯域による性能の増分が出てきません。Ghost Recon WildlandsとTitanfall 2の2つについて4K解像度でも性能が綺麗にスケーリングできていない原因もあるずなのでやはり怪しいのはHBM2かなと。ただしVRや一部のゲームでは30%を超える性能向上も確認できるので、HBM2に得手不得手があるのかもしれません。RX Vegaの例も合わせてみるとゲーム用途ではHBM2はGDDR5Xや次世代のGDDR6に比べて採用のメリットがないのかも。GTX 2080 TiにはGTC 1080 Ti同様にGDDR6が採用される予感がします。
NVIDIA TITAN Vは科学計算やディープラーニング用としてNVIDIA Tesla V100をベースにビデオ出力等を加えて一般向けモデルに改装した製品なので、3代続いたTITANシリーズと比較するとゲーム特化だったTITAN Xはもとより倍精度ありだった初代と比べてもゲームへの比重が軽くなっているという事実はPCゲーマー的に悲しくもあります。一応Geforceとドライバ共通だからゲームにも使えるけど、本業は科学計算やディープラーニングなGPUになっており、とりわけ物理的にサポートされないSLIはもとより形だけは実装されているNVLink含めてマルチGPUがサポートされていないところが金に糸目をつけないエンスーゲーマー勢的につらいところです。
純個人ユーザーもしくは個人寄りな機関が科学計算やディープラーニングをするため普及機(30万円)というのが「NVIDIA TITAN V」の正体だと思います。来年、ゲーマー向けにGDDR6採用GV102コア(SLI対応)なTITAN Xvが出ても驚かない。
TITAN Vの販売価格は北米3000ドルで、NVIDIA公式通販から輸入するとおおよそ製品本体価格35万、転送料1.4万、受け取り時の消費税1.6万円で計38万円程かかりました。一応日本国内でもTITAN Vは発売が公表されていますが、理想的な為替レートで見積もっても税込み最低36万円くらいになるはずなので、ゲーム用に買うのは全くもってお勧めできません。現状では素直にGTX 1080 TiのシングルorSLIでいいかなと。
とはいえVRゲームや管理人が絶賛積み中のアサクリオリジンなどSLI非対応でクッソ重いゲームを金に糸目をつけず今手に入る最強の環境でプレイしたいなら買うのは止めませんが。
ゲーマー&自作erな観点からの総括としては『NVIDIAの次世代GPUは現行Pascalから30%以上の性能向上とワッパ向上は約束された(ただしHBM2について過度な期待は禁物)』と思います。
以上、NVIDIA TITAN Vのレビューでした。
おまけ:NVIDIA TITAN Vの個人輸入の仕方
NVIDIA TITAN Vは北米のNVIDIA公式通販から転送サービス経由で個人輸入可能です。いきなりTITAN Vを購入するのが不安な人はまず最初に40ドルで購入できるHB SLIブリッジだけを購入して実際に注文~転送までを試すのがおすすめです。
転送サービスの使い方はこちらをご覧ください。
・できる!個人輸入 ④ 国内直送してくれないショップでの購入方法。転送サービスの使い方。
NVIDIA公式通販の支払いについては管理人が試した限りでは三井住友VISAと楽天銀行VISAデビットの2つのカードで購入できました。10万円を超える海外通販の場合、そういう買い物が初めてだとカード会社のセキュリティに引っかかるかもしれないので事前にカード会社に連絡を入れておくといいかも。
次回からの注文が楽になるので注文時にアカウントを作るのがおすすめです。
発送先、支払住所ともに転送サービスの倉庫の住所を入力します。
注文を進めると「住所間違ってね?」と言われますが下のように自分が入力したものを使うと選択すればOKです。2回ほど聞かれますが同じように繰り返します。
あとはポチポチクリックしていけば注文完了です。
メールは注文直後の確認メールと出荷完了時のメールの2通が届きます。NVIDIA公式通販は発送が速いので、日本時間で前日に注文すれば翌日の午前7時から8時くらいに出荷メールが届きます。このメールに追跡番号が記載してあるので、メールが届いてからスピアネットで転送依頼を行います。
転送依頼の方法はスピアネットのマイページにログインして下画像のようにすればOKです。
スピアネットの倉庫に商品が到着すると転送料案内メールが届くので支払いを行えば翌日には出荷されます。あとは着弾を待つのみです。
あと受取時に1.6万円ほど消費税を支払う必要があるのでそこだけ注意。
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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最低FPSがXpやTiよりも低い結果になってるけどドライバーの最適化で解消されるのかなー
でもこの性能ならAmpere版のTiかTITAN買ってSLIなら4k60FPS常用も可能になりそうで期待大ですね