Rockit Cool Copper IHS for LGA115X


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Intel Core i7 8700Kや7700KなどLGA1151/1150系のCPUの殻割り後に使用可能な銅製ヒートスプレッダ「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」のレビュー用サンプルを国内公式通販のROCKIT COOL JAPANからご提供いただいたのでレビューしていきます。「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」はCNCフライスによる高精度加工によって製作された、純正IHS(ヒートスプレッダ)よりもCPUクーラーベースとの接触面積が15%程度大きい銅製IHSです。最新の6コア12スレッドCPU「Core i7 8700K」を使用して、殻割りリキプロ化を行い、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」の冷却性能を徹底検証していきます。
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ちなみに今回の検証のためにCore i7 8700Kを新たに補充しました。
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製品公式販売ページ:https://rockitcool.thebase.in/items/9506159
Rockit Cool Copper IHS for LGA115X


Rockit Cool Copper IHS for LGA115Xについて

最初に「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」の仕様や付属品について簡単にチェックしておきます。
「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」はその名前の通り、LGA1150やLGA1151などLGA115X系のCPUを殻割りした後に使用可能な互換IHSです。基本的にはCore i7 8700KやCore i7 7700KなどアンロックCPUでOC耐性の改善のために使用するMODパーツですが、非アンロックな無印CPUと組み合わせて使用しても、液体金属グリスへの塗り替えと合わせてCPU温度の低下が見込めます。
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CNCフライスによる高精度加工によって製作されているので、CPUダイやCPUクーラーベースとの接触面は綺麗に平面化されています。フライスによる削り跡があって鏡面ではありませんが表面は滑らかです。
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「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」は標準IHSよりもCPUクーラーとの接触面が広くなっています。
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下写真のようにヒートスプレッダを重ねてみると「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」の大きさがわかりやすいと思います。
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重量もCPU標準のIHSが27gに対して、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」は1割程度重い30gでした。
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なお「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」の注意点としてASUS製マザーボードの一部で採用されているCPUインストレーションツールとは互換性がありません。
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CPUインストレーションツールのフレームは使用できませんが、通常のLGA115X系ソケットと同じように、直接CPUソケットに「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を装着したCPUを置けば、CPUインストレーションツールに対応したマザーボードでも使用可能です。
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「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」には銅製IHS本体に加えて、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を再装着するのに使用できるRelidフレームも付属します。
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同じくRockit Cool製の殻割りツール「Rockit88」と組み合わせることで、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を綺麗にPCB基板上に配置することが可能です。
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CPUの殻割り&液体金属化について

まず最初にCPUの殻割り&液体金属化について紹介しておきます。
「Core i7 8700K」などCoffeeLake-S CPUはHaswell/Skylake/KabyLake用の殻割りツールとの互換性があるので、既存の殻割りツールを使用することで簡単に殻割りが可能です。

当サイトと汐見板金で共同開発した国産殻割りツール「Delid Master」でも問題なく殻割りを行えます。ただ「Delid Master」は速報レビュー用の機材としての側面が強く、CPUの寸法が変わっても専用ツールを待たずに割れるという汎用性を重視した製品なので、単純に”LGA115X系CPUの殻を割る”というだけであれば、Rockit88などLGA115X系専用殻割りツールの方が殻割りは簡単に行えて安価に済みます。Rockit88の使い方についてはCore i7 7700Kを割った時に詳しく紹介しているので参考にしてみてください。
Core i7 7700Kの殻割り&リキプロ化の手順を紹介
Core i7 7700Kの殻割り&リキプロ化の手順を紹介

管理人も今回は「Delid Master」や個人的にLGA115X系を一番割り易いと感じているAquacomputer Dr. Delid toolではなくRockit88を使用して一連の作業を行いました。
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ちなみに管理人は普段、割る時はAquacomputer Dr. Delid toolをよく使いますが、割った後の作業はRockit88を使用しています。液体金属グリスの塗布からヒートスプレッダの位置合わせなど殻割り後の作業はRockit88が一番使いやすいので1つのツールで作業を完結させたいのであればRockit88が一押しです。

「Core i7 8700K」のCPUダイとヒートスプレッダ間の熱伝導にはグリスが使用されています。
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殻を割ったら標準で塗られているグリスとヒートスプレッダを固定していたゴム系接着剤を除去します。グリスはアルコール系ウェットティッシュで拭いて、シール材は爪で擦れば取り除くことができます。
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CPUダイ左下に金属端子があるので安全のため絶縁耐熱接着剤で養生します。Core i7 8700K/7700K/6700Kにはダイの周りに抵抗やコンデンサといった素子もないので養生作業も簡単です。
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これでCPUダイとヒートスプレッダの間に液体金属系グリスを塗るための下準備は完了です。
殻割り後に塗布する液体金属グリスとしてはリキプロの愛称で親しまれている「Liquid PRO」や比較レビュー記事以来、管理人があっさり宗旨替えしたクマメタルさんこと「Thermal Grizzly Conductonaut」などがありますが、ROCKIT COOL JAPANの提携製品は「Liquid PRO」とのことで指定があったので、今回は「Liquid PRO」を使用して検証を行いました。
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あとはCPUダイ本体とヒートスプレッダのダイに接触する部分にリキプロを塗って、ゴム系シール材で再度ヒートスプレッダをCPUのPCB基板に装着します。
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なお「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」はPCB基板に装着する向きが決まっているので間違えないように注意してください。
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ヒートスプレッダが圧着するようにネジを締めて、ゴム接着剤が硬化するまで放置します。実用硬化時間は4時間ほどですが、CPUの場合は高温になるので念のため12時間以上放置するのがおすすめです。
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シール材がしっかり固まるまで半日ほど待てば「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を使用したCore i7 8700Kの殻割りリキプロ化完了です。
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Rockit Cool Copper IHS for LGA115Xの冷却性能

ここからは本題となる「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を使用して殻割りリキプロ化したCore i7 8700Kの冷え具合やについてチェックしていきます。
「ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)」などを含む検証機材を使用しました。テストベンチ機の詳細構成については下記テーブルの通りです。
テストベンチ機の構成
CPU Intel Core i7 8700K
6コア12スレッド 4.4~4.7GHz
CPUクーラー Fractal Design Celsius S36
レビュー
メインメモリ G.Skill Trident Z Black
F4-4400C19D-16GTZKK
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
マザーボード
ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)
レビュー
ビデオカード MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
Samsung 850 PRO 256GB (レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー

ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Wi-Fi AC)は「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」とは非互換なCPUインストレーションツールに対応したマザーボードですが、フレームを使用せずに直接CPUを置くことで、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を装着したCPUでも使用可能です。
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CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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今回、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」の冷却性能を検証するために、同じCPU個体について「標準IHS&標準TIM」、「標準IHS&リキプロ」、「銅製IHS&リキプロ」の3種類で負荷テストを行いCPU温度を比較しました。CPU温度は環境温度にも影響されるため測定時は温度計で20度程度となるように注意しました。CPUクーラーにはFractal Design Celsius S36を使用していますがファン回転数は1200RPMに固定しています。またVRM電源冷却用のスポットクーラーも回転数は固定しています。
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負荷テストについては、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はCore i7 8700Kの場合15分ほどなので同じ動画のエンコードを2つ並列して2周実行しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
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「Core i7 8700K」のOC設定については「全コア:5.0GHz」、「コア電圧:1.480V固定」、「ロードラインキャリブレーション:Level6」、「SVID:Disable」と設定しました。
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CPU標準のIHSとTIMのまま、上記のOC設定によってCore i7 8700Kを5.0GHzにオーバークロックして負荷テストを行ったところ、CPU温度は最大96度まで上がりました。
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「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を使用して、IHSとCPUダイの間にリキプロを塗ったCore i7 8700Kで同様に5.0GHzにオーバークロックして負荷テストを実行したところ、CPUの最大温度を70度まで抑えることができました。
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「標準IHS&標準TIM」、「標準IHS&リキプロ」、「銅製IHS&リキプロ」の3種類について負荷テスト中のCPU温度の推移を比較したグラフは次のようになっています。
標準IHSのままリキプロ化するだけでも平均温度で20度近い温度低下が見込めますが、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を使用することでCPU温度をさらに3,4度程度下げることができました。
Rockit Cool Copper IHS for LGA115X



Rockit Cool Copper IHS for LGA115Xのレビューまとめ

最後に「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • 標準IHSよりも冷却性能が高く、3,4度程度のCPU温度の低下が見込める
  • 専用のRelidフレームが付属するので取り付けも簡単
     (利用には同社製殻割りツール「Rockit88」が必要)
悪いところor注意点
  • ASUS製マザーボード独自機能CPUインストレーションツールとは互換性がない


今回の検証においては「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を使用すると標準IHSで殻割りリキプロ化した時よりも、3,4度程度ですがCPU温度をさらに下げることができるという結果が得られました。LGA115Xソケットはヒートスプレッダ固定フレームの内枠自体が狭く、オリジナルIHSでもCPUクーラーとの接触面積の拡大には限界があるので、標準IHS比で接触面積が15%広がったことによる冷却性能の向上としては妥当な結果ではないかと思います。
Rockit Cool Copper IHS for LGA115X

「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を使用するメリットとしては上述のように標準IHSよりも多少なりともCPU温度を下げられることですが、一方でデメリットはあるのかというと、ASUS製マザーボードの一部で採用される独自機能CPUインストレーションツールが使用できなくなることくらいだと思います。あとは1つあたり3000円程度の出費がかかることでしょうか。
Core i7 8700KなどLGA115X系CPUの殻割りに対応した専用殻割りツールはいくつかありますが、機能的には大差ないので、Rockit Cool製殻割りツール「Rockit88」とオリジナルIHS「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」を一緒に公式通販で購入すれば、初めての殻割りでも手間はありませんし簡単に殻割りリキプロ化が行えます。「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」の位置合わせツールであるRelidフレームも付属するので「Rockit88」と組み合わせて使用するのがおすすめです。

液体金属グリス化だけでも効果は絶大なので必須ではありませんが、標準IHSよりも高い冷却性能が期待でき、これから殻割りを行うのであれば余計な手間がかかるわけでもないので、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」は試す価値のある製品だと思います。

以上、「Rockit Cool Copper IHS for LGA115X」のレビューでした。
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製品公式販売ページ:https://rockitcool.thebase.in/items/9506159
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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