Fractal Design Define R6


スポンサードリンク




北欧PCパーツメーカーFractal DesignのロングセラーPCケース「Define R5」の待望の後継モデルとして満を持してリリースされた最新ミドルタワーPCケース「Fractal Design Define R6 Black(型番:FD-CA-DEF-R6-BK)」のレビュー用サンプルをメーカーよりお借りできたのでレビューしていきます。最新のModuVentテクノロジーやストレージプレートを用いたシャーシレイアウト変更によってクラシカルな要素と最新トレンドが混ざり合った「Fractal Design Define R6」が可能にする変幻自在なビルドスタイルを徹底解説します。
Fractal Design Define R6 review_03886Fractal Design Define R6 review_04188


代理店公式ページ:https://www.ask-corp.jp/products/fractal-design/middle-pccase/define-r6.html
製品公式ページ:http://www.fractal-design.jp/home/products/cases/define-series/define-r6-black
マニュアル:http://www.fractal-design.jp/media/0df90bc0-d2b5-4f7f-8316-9b7c36da41dc
Fractal Design Define R6




レビュー目次


1.Fractal Design Define R6の外観・梱包・付属品
2.Fractal Design Define R6のModuVentについて
3.Fractal Design Define R6の内部構造の概要
4.Fractal Design Define R6の裏配線スペース
5.Fractal Design Define R6のストレージ設置スペース
6.Fractal Design Define R6のグラフィックボード設置スペース
7.Fractal Design Define R6の電源ユニット設置スペース
8.Fractal Design Define R6のファン・水冷ラジエーター設置スペース
9.Fractal Design Define R6のビルドギャラリー
10.Fractal Design Define R6のレビューまとめ



Fractal Design Define R6の外観・梱包・付属品

早速Fractal Design Define R6を開封して、Fractal Design Define R6の外観からチェックしていきます。
「Fractal Design Define R6」では製品のオリジナルプリントがされた茶色の段ボール箱にPCケース本体が収められています。緩衝材については発泡スチロールが採用されていました。発泡スチロールは処分のため解体する際に小さい破片が飛び散るので、個人的には固めのスポンジを採用して欲しいです。
Fractal Design Define R6 review_03877Fractal Design Define R6 review_03879
付属品は各種ネジ類、ケーブルタイ、マニュアルとなっています。
Fractal Design Define R6 review_03965
組み立てに使用するネジは個別のビニール袋に分けられているので見分けも簡単です。
Fractal Design Define R6 review_03966
欲を言えば、他社製品(Phanteks Enthoo EVOLV ATX)の例ですがネジの種類別に完全に小分けできる仕切り付きパックに最初からネジが収納されていると使い勝手が良いので、ネジ収納はこのタイプになってくれると嬉しいです。


続いて「Fractal Design Define R6」の外観について詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Define R6」はカラーバリエーションとしてグローバルにはブラック、ブラックアウト、ホワイト、ガンメタルの4色がラインナップされています。
Fractal Design Define R6_color
ブラックとブラックアウトの違いは内装カラーで、ブラックではPCIEブラケットやストレージマウンタやファンブレードのアクセントカラーにホワイトが使用されていますが、ブラックアウトでは全てブラックで統一されています。
FD-CA-DEF-R6ーBKFD-CA-DEF-R6-BKO
さらに各カラーバリエーションには正面向かって左側サイドパネルに、高密度吸音素材シートが貼られたスチール製ソリッドパネルを搭載する無印版だけでなく、耐擦傷性強化ガラスのウィンドウパネルを搭載した「Define R6 Blackout TG (Tempered Glass)」もラインナップされています。なお強化ガラスパネルはブラック/ガンメタル/ブラックアウトの3色はスモークガラスで、ホワイトは無色透明ガラスが採用されています。
FD-CA-DEF-R6-BK-TGFD-CA-DEF-R6-WT-TG
カラーバリエーション&サイドパネルの種類別で計8種類存在する「Fractal Design Define R6」シリーズの中から、今回レビューするのは吸音素材シート付スチール製ソリッドパネル搭載の静音性重視で最もスタンダードなモデル「Fractal Design Define R6 Black」です。
Fractal Design Define R6 review_03886Fractal Design Define R6 review_03881

Fractal Design Define R6は最近主流の4面フルフラットパネルデザインです。トップと両サイドの3面には傷や指紋が目立ちにくいシボ加工がなされた黒色スチール製フラットパネルを搭載しています。
Fractal Design Define R6 review_03887Fractal Design Define R6 review_03910
フロントパネルにはヘアライン表面処理とアルマイト加工を施されたフルフラットなアルミニウムプレートが装着されたドアパネルが搭載されています。
Fractal Design Define R6 review_03936Fractal Design Define R6 review_03914
PCケーストップパネルの前方にはパワースイッチ、リセットスイッチ、USB2.0端子*2、USB3.0端子*2、ヘッドホン・マイク端子などフロントI/Oポートが搭載されています。電源ボタンはPCの電源が入ると青色LEDが点灯します。
Fractal Design Define R6 review_03892
フロントI/OやスマートデバイスなどPCケースからマザーボードに接続するケーブルは次のようになっています。
Fractal Design Define R6 review_03967
個人的な注目ポイントはスタートスイッチやパワーLEDなどマザーボードのフロントI/Oヘッダーに接続するケーブルがスリーブでまとめられているところです。バラバラのままだと地味に面倒な所なので細かい配慮が好印象でした。
Fractal Design Define R6 review_03970
フラットパネルPCケースはエアフローが微妙な窒息ケースのイメージがありますが、「Fractal Design Define R6」では吸気スペースに当たるフロントパネルの左右外周部に吸気用スリットが用意されています。
Fractal Design Define R6 review_03964
「Fractal Design Define R6」のヘアラインアルミニウムのフルフラットなフロントパネルは前モデルDefine R5と同様にヒンジ付きドアパネルになっており、標準では向かって左に開閉することができます。フロントドアパネルの裏側には静音性を上げるため高密度吸音素材の防音シートが貼りつけられています。
Fractal Design Define R6 review_03915Fractal Design Define R6 review_03917
フロントドアパネルのヒンジ部分は固定プレートがネジ止めされており、標準の左開きだけでなく、右側のヒンジに固定し直すことで右開きに変更することができます。
Fractal Design Define R6 review_03924Fractal Design Define R6 review_03926
「Fractal Design Define R6」のフロントパネル裏上部には光学ドライブなどを設置可能な5インチベイが1基用意されています。前モデルDefine R5では2基だったのが1基に減っているので賛否分かれるところです。5インチベイを2基使用しているDefine R5ユーザーでDefine R6へ買い替えを検討しているのであれば注意が必要です。
Fractal Design Define R6 review_03935
フロントパネル裏下部の吸気スリット部分は防塵ダストフィルターになっており、プラスチックの爪で固定されているだけなのでツールレスで簡単に着脱できます。フィルターの裏には「Fractal Design Dynamic X2 GP-14 140mm」という高性能な140mm冷却ファンが吸気ファンとして標準で2基搭載されています。
Fractal Design Define R6 review_03934Fractal Design Define R6 review_03933
フロントパネルを開くとPCケースボトムに設置された防塵ダストフィルターをスライド式で着脱できます。
Fractal Design Define R6 review_03927
フロントパネル全体はプラスチックの爪でPCケースシャーシに固定されています。PCケース内部からツメを解除してパネルを取り外すのではなく、割と強引にパネルをシャーシから引き剥がす感じでフロントパネルの着脱を行います。フロントパネルの着脱には比較的力がいるのでツールレス構造にしてもジェラコンキャッチなどもう少し着脱の容易な構造を採用して欲しかったところ。
Fractal Design Define R6 review_04045Fractal Design Define R6 review_04046
「Fractal Design Define R6」の左右サイドパネルはリアの上下に配置されたハンドスクリュー2つと、サイドパネル裏後方の上下に配置されたジェラコンキャッチ2つ、サイドパネル裏前方の溝の3つで固定されています。サイドパネルの固定方法は強化ガラスパネルでも同様です。
Fractal Design Define R6 review_03953Fractal Design Define R6 review_03954
ハンドスクリューの固定を外した後は前方を支点にして後方を開く形でジェラコンキャッチを外し、後方に引き出すと前方の溝から抜けてサイドパネルを取り外すことができます。サイドパネルの着脱についてはDefine R5から若干仕様が変わっていますが、Define R6になって着脱しやすくなったと感じました。あと公式マニュアルによるとハンドスクリューは輸送時の固定用で、通常使用であればジェラコンキャッチによる固定だけで十分とのこと。
Fractal Design Define R6 review_03961Fractal Design Define R6 review_03959
ソリッドスチールパネルの裏面には両方とも静音性を上げるため高密度吸音素材の防音シートが貼られています。静音性重視なユーザーであれば強化ガラスパネル採用モデルよりも無印版がおすすめです。
Fractal Design Define R6 review_03962
「Fractal Design Define R6」のPCケースボトムには電源ユニットやファンマウント全体を覆う大型ダストフィルターが設置されています。底面ダストフィルターについては前モデルDefine R5でも指摘されていましたが長さ400mm以上のフィルターを前方に引き出すため着脱には前方のスペースが要求されます。好みで分かれるところですが個人的には電源用とボトムファンマウント用でフィルターを前後に分離させた方が使いやすいかなとい感じます。
Fractal Design Define R6 review_03940
ダストフィルターを取り外すと電源ユニット用の吸気スリットやファンマウントスペースが現れます。
Fractal Design Define R6 review_03942
PCケース足のインシュレーターは高級感のあるシルバー塗装で、底は滑り止めのゴムが付いています。シャーシから測って高さは18mmほどで電源ユニットやケースボトムファンの吸気スペースが確保されています。
Fractal Design Define R6 review_03941



Fractal Design Define R6のModuVentについて

「Fractal Design Define R6」のトップパネルに採用されている従来機種よりも改良された第3世代のModuVentテクノロジーについてチェックしていきます。
「Fractal Design Define R6」のトップにはスチール製フラットパネルが標準では設置されています。
Fractal Design Define R6 review_03893
このトップパネルは外周部の枠に合わせて取り外しが可能な構造になっており、これをFractal Designは「ModuVentテクノロジー」と呼んでいます。
Fractal Design Define R6 review_03894
トップパネルの着脱方法は簡単で、PCケース後方左上の丸形ボタンを押すとロックが解除されて、トップパネルが少し浮き上がるので後は手で持ち上げるだけです。
Fractal Design Define R6 review_03909Fractal Design Define R6 review_03904
トップパネルは一見して1枚板に見えますが、スチール製カバーとナイロン製防塵ダストフィルター付きエアスリットパネルの2つに分離することができます。
Fractal Design Define R6 review_03895
スチール製カバーの裏面には高密度吸音素材の防音シートが貼られているので静音性重視の環境であれば標準仕様のまま使用するのがおすすめです。
Fractal Design Define R6 review_03899
スチールカバーだけ取り外してエアスリットパネルを再度装着すれば、「Fractal Design Define R6」を高エアフローなマルチファン換気システムへスムーズに移行させることができます。
Fractal Design Define R6 review_03897



Fractal Design Define R6の内部構造の概要

続いて「Fractal Design Define R6」の内部構造について各種要素ごとに細かく見ていく前に内部構造の概要をチェックしていきます。
スチール/強化ガラス製サイドパネルを外してマザーボード側を俯瞰すると次のようになっています。PCケースフロントに5インチベイや3.5インチストレージマウンタが配置されているところはクラシカルですが、PSUシュラウドでPCケースボトムスペースがチャンバー分けされているところは最近のトレンドが意識されており、標準では新旧デザインが混在したレイアウトになっています。
Fractal Design Define R6 review_04049
PCケースフロントはマザーボード側からはプレートで隠されているものの、一見してクラシカルなストレージマウントスペースになっています
Fractal Design Define R6 review_04108
PCケースフロントのストレージプレートはモジュール式になっており用途別にシャーシレイアウトが変更可能です。後ほど詳しく解説しますが、ストレージ容量を最大化する標準レイアウトに加えて、複数の大型AIO水冷クーラー環境や本格水冷環境への親和性を重視して高い空冷効果が発揮可能なエアフローパスをもつオープンレイアウトへ切り替えられます。
Fractal Design Define R6 review_04170Fractal Design Define R6 review_04148
近年のPCケースの流行としてPCケースボトムに設置される電源ユニットをチャンバー分けするPSUシュラウドも「Fractal Design Define R6」では採用されています。
Fractal Design Define R6 review_04101
マザーボードトレイの上下と右側はグロメット付きの裏配線用ケーブルホールが大きく取られています。
Fractal Design Define R6 review_04110Fractal Design Define R6 review_04111
PCケース内部にはフロントに140mmが2基、リアに140mmが1基の冷却ファンが標準で搭載されています。標準搭載の冷却ファンは同社製高性能ケースファン「Dynamic X2 GP-14」です。
Fractal Design Define R6 review_04047Fractal Design Define R6 review_04094_DxO

Fractal Design Define R6のマザーボードトレイやその周辺レイアウト、およびE-ATXマザーボードとの互換性についてチェックしていきます。
Fractal Design Define R6のマザーボードトレイには標準でATXに合わせたスペーサーが装着されています。予備のスペーサー1つとスペーサーを外すためのプラスネジ変換六角ソケットが付属します。プラスネジ変換六角ソケットをスペーサーに被せれば一般のプラスドライバーを使用して簡単にスペーサーの着脱が可能です。PCI-Eスロット数はATXやE-ATXに合わせて7段が設置されています。
Fractal Design Define R6 review_04109
マザーボード固定用スペーサーのうち中央の1つは凸状の出っ張りになっています。
Fractal Design Define R6 review_04113
マザーボードのネジ止めの際には中央スペーサーの出っ張りにマザーボードを引っかけて位置を固定しておくことができるので、マザーボードのネジ止めが容易になる賢い構造です。
Fractal Design Define R6 review_04114
ATXマザーボードを設置すると下のようになります。マザーボードトレイ上と右には大きくケーブルホールが開けられているので各種配線もスムーズに行えます。
Fractal Design Define R6 review_04125
またFractal Design Define R6では製品スペックでも公表されているようにマザーボード設置スペースは横幅にも余裕があるので、ASUS ROG RAMPAGGE VI EXTREMEのような285mmまでのE-ATXサイズマザーボードも設置することが可能です。ただしE-ATXマザーボードの場合はマザーボードトレイ右のケーブルホールが完全に塞がってしまい使用できなくなるので、基本的にはATXマザーボードとの組み合わせを推奨します。
Fractal Design Define R6 review_04120Fractal Design Define R6 review_04116
空冷CPUクーラーの高さクリアランスについては全高185mmまでが確保されています。大型のハイエンド空冷CPUクーラーでもPCケースサイドパネルとの干渉の心配は事実上ありません。
Fractal Design Define R6 review_04137



Fractal Design Define R6の裏配線スペース

「Fractal Design Define R6」の裏配線スペースについてチェックしていきます。
左サイドパネルを取り外すとFractal Design Define R6のマザーボード裏スペースにアクセスできます。Fractal Design Define R6の裏配線スペースの全体は次のようになっています。前モデルDefine R5と比較すると、Define R6は裏配線スペースと電源ユニットスペースが直接繋がっているので、裏配線による電源ケーブルの目立たないスマートなケーブルマネジメントを意識したレイアウトになっています。
Fractal Design Define R6 review_04050
マザーボードトレイのCPUクーラーメンテナンスホールも大きくとられているので、バックプレート型のCPUクーラーでもマザーボードをPCケースに装着したままで着脱が可能です。
Fractal Design Define R6 review_04130
Fractal Design Define R6の裏配線スペースについては取り立てて目立ったところはなくシンプルなデザインです。前モデルDefine R5と比較して特徴を上げるとすれば、マザーボードトレイの上側と左側に配置されたグロメット付きケーブルホールがやや大型化したとこ、中央に2か所配置されたマジックテープ式のケーブルファスナーが追加されたことくらいです。
Fractal Design Define R6 review_04061
裏配線スペースの厚さはマザーボードトレイやシャーシの凹凸で若干前後しますが、25~30mm程度は確保されているので、余裕をもってケーブルマネジメントが可能です。
Fractal Design Define R6 review_04132




Fractal Design Define R6のストレージ設置スペース

続いて「Fractal Design Define R6」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。
「Fractal Design Define R6」は製品スペック上では2基の2.5インチストレージトレイと6基の2.5インチ/3.5インチ兼用ユニバーサルストレージブラケットが用意されており、計8基のストレージ設置に対応しています。
「Fractal Design Define R6」のストレージ設置スペースは大別して、2.5インチストレージトレイを使用したスペースと、モジュラー式ストレージプレートを使用したスペースの2つに分けられるので順番に見ていきます。

まずは2.5インチストレージトレイを使用したスペースについてですが、標準ではマザーボードトレイ背面に2基の2.5インチストレージトレイが装着されているので、ここに2基の2.5インチストレージを設置できます。
Fractal Design Define R6 review_04058Fractal Design Define R6 review_04163
2.5インチストレージトレイはスチール製プレートになっており、トレイ背面の中央やや下にある2カ所の爪と、上部の脱落防止機能付きハンドスクリューでPCケースに固定する構造になっています。防振ゴム等はないので機械駆動部分のない2.5インチSSD向けのストレージトレイです。
Fractal Design Define R6 review_04083_DxO
この2.5インチストレージトレイは裏配線スペースだけでなくPSUシュラウド上にも設置スペースが用意されています。PSUシュラウドの奥にはグロメット付きケーブルホールもあるのでケーブルを目立たせることなく、お気に入りの2.5インチSSDを飾ることができます。2018年はLEDイルミネーション搭載SSDが各社からリリースされそうなのでそれも意識した構成なのかもしれません。
Fractal Design Define R6 review_04164


続いてモジュラー式ストレージプレートを使用したスペースについて詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Define R6」のPCケースフロントスペースはモジュール式ストレージプレートによって用途別にシャーシレイアウトが変更可能になっています。標準レイアウトではストレージ容量を最大化するクラシカルなレイアウトが採用されています。マザーボード側から見るとプレートで覆われていますが、裏配線側に移るとPCケースフロントには6基の2.5インチ/3.5インチ兼用ユニバーサルストレージブラケットが装着されています。
Fractal Design Define R6 review_04108Fractal Design Define R6 review_04063
2.5インチ/3.5インチ兼用ユニバーサルストレージブラケットは、下写真で右上にある黒色プラスチックパーツのツメと右下にあるトレイのツメをストレージプレートに引っ掛けて、左の脱落防止機能付きハンドスクリューでケーブルホール横のネジ穴に固定するという3点止めな固定方式が採用されています。オプションとして緑矢印部分もネジ止めで固定可能です。またユニバーサルストレージブラケットに装着された防振ゴムはトレイから着脱可能で、オープンレイアウトではトレイから防振ゴムを外して使用します。
Fractal Design Define R6 review_04086Fractal Design Define R6 review_04089_DxO
ユニバーサルストレージブラケットは初期位置から取り外して、上側9段と下側3段の好きな位置に配置することが可能です。なお下側3段は後述のオプション扱いとなっているセキュアネジ固定が行えません。
Fractal Design Define R6 review_04143Fractal Design Define R6 review_04144
マザーボード側から見てストレージプレート上のパネルは左側2か所のハンドスクリューで固定されており取り外しが可能です。5インチベイに設置する機器のネジ止めやユニバーサルストレージブラケットのオプション扱いのセキュアネジ固定を行う時にアクセスします。
Fractal Design Define R6 review_04139Fractal Design Define R6 review_04140

「Fractal Design Define R6」は上で紹介したストレージ積載可能数を重視した標準レイアウトに加えて、複数の大型AIO水冷クーラー環境や本格水冷環境への親和性を重視して高い空冷効果が発揮可能なエアフローパスをもつオープンレイアウトへ切り替えることができます。
Fractal Design Define R6_manual (12)
オープンレイアウトではPCケースフロントのストレージ設置スペースをなくしてマザーボードスペースと一体化させることで、グラフィックボードの長さクリアランスやトップ・フロントに設置可能ラジエーターサイズが大きくなり、大型AIO水冷や本格水冷向きなレイアウトに変わります。
Fractal Design Define R6 review_04149Fractal Design Define R6 review_04157
オープンレイアウトではユニバーサルストレージブラケットが使用できなくなるので、ブラケットの防振ゴムを直接3.5インチHDDに装着して、裏配線スペース寄りに移動したストレージプレートのひょうたん型の穴にそのままはめてストレージプレートと平行で縦に固定します。この方法で2基の3.5インチストレージが固定できます。
Fractal Design Define R6 review_04159Fractal Design Define R6 review_04161


「Fractal Design Define R6」の標準レイアウトでは前モデルDefine R5同様に多数のストレージが搭載可能な構造を維持し、同時にストレージをマザーボード側からプレートで隠す今風なデザインが採用されています。加えてストレージプレート奥に移動してマザーボードトレイと並べ、PCケース内をマザーボード側と裏配線側に二分してマザーボード側をオープンスペースにすることで、複数の大型AIO水冷や本格水冷にも対応可能なオープンレイアウトも選択可能になっています。

自由に選択可能なシャーシレイアウトというカスタマイズ性の高さは魅力的ですが、いくつか気になるポイントもあります。まず標準レイアウトのユニバーサルストレージブラケットはほぼ3点止めな構造なので、高速回転する機械駆動の3.5インチHDDの設置には不安を感じるユーザーも出てきそうです。裏配線側から見て、着脱可能な柱を1本通すだけでもしっかり4点止めができるので、もう一工夫あってもよかったかなと思います。
オープンレイアウトでは2.5インチストレージ2基と3.5インチストレージ2基しか設置できなくなるのが少しもったいなく感じてしまいます。PSUシュラウドとマザーボードトレイ背面の2.5インチストレージトレイが共有で2基しか設置できないので、2.5インチストレージトレイは4基付属にするか、別売りオプションとして追加購入できるようなると、オープンレイアウトの使い勝手がさらに良くなると思います。あとストレージプレートには3.5インチだけでなく2.5インチも吊り下げられるようにして欲しかったです。


Fractal Design Define R6のグラフィックボード設置スペース

「Fractal Design Define R6」のグラフィックボード設置スペースについてチェックしていきます。
まず製品スペックを見ると、「Fractal Design Define R6」のグラフィックボード設置における長さ方向のクリアランスについては、フロントにユニバーサルストレージトレイを設置する標準レイアウトでは全長300mmまでとなります。NVIDIA GeForce GTX 1080 TiやAMD Radeon RX Vega 64のようなハイエンドGPUを搭載するグラフィックボードのオリファンモデルの一部には全長300mmを超えるモデルもあるので注意が必要です。ユニバーサルストレージトレイを使用しないオープンレイアウトでは440~465mmに対応可能となり、事実上、グラフィックボードの設置に制限はなくなります。
Fractal Design Define R6_manual (10)
実機でグラフィックボードのクリアランスをチェックしてみると、PCケース内部に10mm程度PCIブラケットがせり出しているので製品スペック通り長さ方向のクリアランスは300mm程度でした。
Fractal Design Define R6 review_04134
ただしグラフィックボードと同じ高さにあるユニバーサルストレージブラケットを外せば、対応スペックより多少長い300mm超のグラフィックボードも設置することができます。
Fractal Design Define R6 review_04145
グラフィックボードの高さ方向のストレージプレートとのクリアランスについては50mm以下なので、補助電源コネクタ&ケーブルとのクリアランスも考えると、PCIE補助電源がストレージブラケットと被ってしまう場合は、ユニバーサルストレージブラケットを取り除いたとしても標準レイアウトでは設置は難しいと思います。
Fractal Design Define R6 review_04146Fractal Design Define R6 review_04147
オープンレイアウトについてはスペック通り400~420mmまでのグラフィックボードに対応となります。写真のように長さ方向のクリアランスも十分なのでオープンレイアウトではグラフィックボードの互換性を心配する必要はありません。
Fractal Design Define R6 review_04149
あと管理人がPCケースをチェックする時の重箱の隅をつつくような細かい項目、PCI-Eスロットの固定ネジとシャーシの干渉についてですが、Fractal Design Define R6では固定ネジ上にシャーシが被っておらずしっかりとクリアランスが確保されています。これならドライバーを使用した拡張ボードのネジ止めも簡単です。
Fractal Design Define R6 review_04124

あとグラフィックボードの設置については強化ガラスサイドパネル搭載モデル向けの機能になると思いますが、サイドパネルと平行にグラフィックボードを設置するための垂直PCIブラケットが用意されています。
Fractal Design Define R6 review_03951
今後発売予定のアクセサリ「Fractal Design Flex VRC-25 PCIE x16(製品公式ページ)」を使用することでPCケース内でグラフィックボードのGPUクーラーを飾ることができます。
Flex VRC-25 (3)Flex VRC-25 (1)

「Fractal Design Define R6」について、あえて欲を言うなら重量級のハイエンドグラフィックボードの垂れ下がりを防止する補強ホルダーが欲しいと思いました。他社製品ですがCooler Master MASTERCASE MAKER 5tやIn Win 303のようにシャーシに備え付けで上下可動なホルダーがあれば完璧だと思います。
グラフィックボードホルダー_1グラフィックボードホルダー_2



Fractal Design Define R6の電源ユニット設置スペース

Fractal Design Define R6の電源ユニットの設置個所付近をクローズアップしていきます。
まずは電源ユニットの設置についてですが、Fractal Design Define R6では最近のPCケースで主流なボトム吸気型の電源ユニットのボトム配置構造を採用、マザーボード側からは電源ユニットや電源ユニットから伸びるケーブルを隠してケース内をキレイに見せるPSUシュラウドも採用されています。PSUシュラウド上面にはエアスリットもあるのでセミファンレスやファンレスな電源を上に向けて配置することも可能になっています。
Fractal Design Define R6 review_04101
「Fractal Design Define R6」では電源ユニットの固定方法として、単純にPCケース内から電源ユニットを配置して外側からネジ止めするといった構造ではなく、専用のPSUアダプタを使用して外から電源ユニットをスロットインする構造が採用されています。PSUアダプタのハンドスクリューは脱落防止機構が備わっています。
Fractal Design Define R6 review_03949Fractal Design Define R6 review_04070
ケース内部の電源ユニット設置スペースに注目してみると、吸気スリットの両サイドには電源ユニットの安定した固定と電源ユニット冷却ファンの振動によるPCケースとの共振を防止するためゴム足がスタンドとして設置されています。細かいところですが欲を言えば、電源ユニット挿入時に奥のスタンドに引っかかることがあるので、ゴム足ではなくレール型のスタンドを採用して欲しかったです。
Fractal Design Define R6 review_04066
アダプタを装着するだけで外から電源ユニットをスロットインできる構造なので電源ユニットの着脱が容易です。電源ユニットのプラグインケーブルを少し着脱したいという場面で電源ユニットを若干引き出してスペースを作るといった使い方もできる便利な構造になっています。
Fractal Design Define R6 review_04071Fractal Design Define R6 review_04072
電源ユニットの奥行のクリアランスについては、PCケースフロントまで電源ユニット設置スペースが貫通しているので構造上の奥行制限はほぼ存在しません。
Fractal Design Define R6 review_04069
ただしPCケースボトムのファンマウントスペースのうち後方スペースを占有する形でラジエーターやファンを装着すると200~220mmまでに電源ユニットおよびケーブルスペースが制限されます。
Fractal Design Define R6 review_04068
今回は検証機材として「Seasonic PRIME Ultra 850 Titanium SSR-850TR(レビュー)」を使用しています。同電源ユニットは奥行170mmですが、写真のようにPCケースボトムのファンマウントスペースとの距離はかなり小さくなっています。PCケースボトムにファンやラジエーターを配置予定の場合は電源の選択に注意が必要です。PCケースボトムをフリーにするのであればプラグイン式電源でケーブルの着脱が容易に行えるスペースが確保できそうです。
Fractal Design Define R6 review_04073
電源ユニットは冷却ファンによってケースボトムから吸気を行うので、PCケースボトムにはボトムファンマウントと共有する形で、簡単に着脱可能なスライド式の大型防塵ダストフィルターが付属しています。
Fractal Design Define R6 review_03940
フィルターの下には電源ユニットの吸気口として幅が120~140mm、奥行は電源ユニット後端から測って10mmから160mmに渡ってヘックス型エアスリットが配置されていました。
Fractal Design Define R6 review_03947Fractal Design Define R6 review_03946
下写真左側は140mm冷却ファンを搭載する奥行170mmのSeasonic PRIME Ultra 850 Titanium SSR-850TRを設置した様子ですが、吸気エアスリットと電源ユニット冷却ファンの位置がピッタリ一致しています。一方、同じく140mm冷却ファンを搭載する奥行200mmの「Corsair AX1600i」の場合は右端のエアスリットが若干足りない感じになりました。冷却性能に影響するほどの問題ではありませんが、もう少し奥までエアスリットを伸ばして欲しかったところです。
Fractal Design Define R6 review_03948Fractal Design Define R6 review_04038



Fractal Design Define R6のファン・水冷ラジエーター設置スペース

続いて「Fractal Design Define R6」の冷却ファンと水冷ラジエーターの設置スペースについてチェックしていきます。

Fractal Design Define R6のファン・ラジエーター積載可能数について簡単にまとめると、PCケースリアには120サイズ or 140サイズ、PCケースフロントには最大で360サイズ(120mm*3) or 280サイズ(140mm*2)、PCケースボトムには240サイズ(120mm*2) or 280サイズ(140mm*2)、PCケーストップには最大で360サイズ(120mm*3) or 432サイズ(140mm*3)のファンもしくはラジエーターを設置することが可能です。

Fractal Design Define R6の製品スペック上の冷却ファンおよび水冷ラジエーターの積載可能サイズ・数量については基本的に公式マニュアルの概略図を参照するのが一番わかりやすいので、マニュアル図解を念頭に実機写真で補足をしていこうと思います。

・120mmファンの設置可能数
Fractal Design Define R6_manual (4)
・140mmファンの設置可能数(5インチベイ: 使用 / 未使用 )
Fractal Design Define R6_manual (3)
・水冷ラジエーター搭載可能数(標準レイアウト)
Fractal Design Define R6_manual (5)
・水冷ラジエーター搭載可能数(オープンレイアウト)
Fractal Design Define R6_manual (6)
・本格水冷ファン&ラジエーター搭載例
Fractal Design Define R6_manual (7)
Fractal Design Define R6_manual (8)

「Fractal Design Define R6」には定格1000RPMの140mm冷却ファン「Dynamic X2 GP-14」がフロント2基&リア1基で計3基付属します。PWM非対応の3PINファンですが、「Fractal Design Define R6」の裏配線スペースに設置されたPWMファンコントローラー「Nexus+スマートハブ」に接続することでPWM波形電圧による5~12Vの電圧制御でファン速度をコントロールできます。
Fractal Design Define R6 review_04095_DxOFractal Design Define R6 review_04096_DxO
軸受にはMTBF(平均故障間隔)がトップクラスの100,000時間である高級LLS軸受けを使用し、さらにハブ部分にベアリングの軸圧力を軽減するカウンターバランスマグネットを採用することでベアリングの耐用性を更に強化しています。自称軸ソムリエの管理人が軸音テイスティング(耳を近づけてファンを指で弾くだけ)をしてみましたが、低速回転時の軸音はやや聞こえました。
固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱を通るときに通常発生するノイズを抑制しています。ファンブレードの付け根部分にある3つの切り込みはファンブレードが固定用の支柱を通るときに発生するノイズを拡散する事で抑制します。
Fractal Design Define R6 review_04097_DxO
ファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されており吸気・排気に優れる構造です。空気力学的に基づき設計された薄板状の支柱(ワイヤ用支柱も含む)により、航空機の翼に一般的にみられるデザインを模倣し、正しい角度で簡単に空気が流れる様にする事でノイズや望ましくない乱流の発生を低減します。ファンブレードの後縁付近には航空機の翼のデザインによくみられる「トリップワイヤー技術」という構造をしており、マイクロ乱流層を発生させ全体的に効率の良い静かなエアフローを実現するそうです。
Fractal Design Define R6 review_04099_DxO

裏配線スペースのCPUクーラーメンテナンスホールの左側にはPWMファンコントローラー「Nexus+スマートハブ」が設置されています。

Fractal Design Define R6 review_04054
PWMファンコントローラー「Nexus+スマートハブ」にはケースファン用の3PINファン端子が6基、冷却ファンや水冷ポンプ用のPWM対応4PINファン端子が3基実装されています。9個のファン端子へはSATA電源コネクタから一括して給電します。
Fractal Design Define R6_manual (2)
「Nexus+スマートハブ」に接続された9個のファン・ポンプはマザーボードのファン端子から出力されるPWM信号によって一括して制御されます。PWM速度調整に対応していない3PINケースファンについてはPWM波形電圧によって速度調整され、マザーボードからの入力PWMデューティ比に対して5V~12V(40%~100%)でファン速度をコントロールできます。
Fractal Design Define R6_manual (11)

PCケースリアのファン・ラジエーター設置スペースについてですが、標準で140mmファンが排気構成で設置されています。ファン・ラジエーターの固定ネジ穴は縦長のスリット状になっているので、上下方向に若干のオフセット配置が可能です。120サイズや140サイズのシングルサイズラジエーターを採用する簡易水冷CPUクーラーや簡易水冷グラフィックボード用にも使用できます。
Fractal Design Define R6 review_04094_DxOFractal Design Define R6 review_04100

PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースについてですが、フロントパネル裏には標準で2基の140mmサイズ冷却ファンが吸気構成で設置されています。PCケース内への埃の混入を抑えるためツールレスで着脱可能な防塵ダストフィルターも用意されているので吸気スペースに使用するのがおすすめです。
Fractal Design Define R6 review_03934Fractal Design Define R6 review_04047
PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースのサイズ・数量については上で紹介したとおり、360サイズ(120mm*3) or 280サイズ(140mm*2)です。ファン・ラジエーター固定用のネジ穴は縦長スリットなのでラジエーターのネジ穴間隔に合わせて設置が可能です。
標準レイアウトでユニバーサルストレージブラケットを使用していてもシャーシから60~70mm程度のスペースがあるので標準レイアウトでもフロントに30mm厚程度のラジエーターと25mm厚ファンを設置可能です。下写真ではオープンレイアウトに配置していますが、5インチベイブラケットを取り外せば、標準/オープンレイアウトの両方で360サイズラジエーターに対応します。
Fractal Design Define R6 review_04063Fractal Design Define R6 review_04150
オープンレイアウトではフロントとPSUシュラウドの間に最大170mmのスペースが確保されています。25mmファンのプッシュプルに60mmの極厚ラジエーターを組み合わせでも余裕がありますし、30mm厚の標準的なラジエーターであればチューブタワー型ポンプ&リザーバーも一緒にフロントへ配置できます。
Fractal Design Define R6 review_04155

PCケースボトムのファン・ラジエーター設置スペースの設置可能なサイズ・数量については上で紹介したとおり、最大で240サイズ(120mm*2) or 280サイズ(140mm*2)です。電源ユニットと共有でPCケースボトムには大型の防塵ダストフィルターも設置されているのでボトム吸気構成でもPCケースへの埃の混入を抑制できます。
Fractal Design Define R6 review_03944Fractal Design Define R6 review_04082
ボトムスペースはフロント設置する水冷ラジエーターとの干渉も気にする必要がありますが、特に電源ユニットとの干渉を注意する必要があります。下は奥行170mmの電源ユニットを使用した例ですが、280mmサイズラジエーターの場合は電源ユニット本体とは干渉しないものの電源ケーブルのスペースを確保するのが難しくなっており、基本的には最大で240mmサイズが限界になると思います。
Fractal Design Define R6 review_04167Fractal Design Define R6 review_04168

PCケーストップのファン・ラジエーター搭載スペースについてはPCケースのシャーシから着脱が可能な専用ブラケットを使用する構造になっています。ファン・ラジエーター設置可能なサイズ・数量については上で紹介したとおり、最大で360サイズ(120mm*3) or 420サイズ(140mm*3)です。
Fractal Design Define R6 review_03898Fractal Design Define R6 review_04128
オープンレイアウトについては製品スペック通りなので実機写真による説明は割愛しますが、標準レイアウトにおけるPCケーストップのファン・ラジエーター設置スペースにはいくつか重要な注意点があります。
まず標準レイアウトでは280mmサイズラジエーターへの対応が公式マニュアルで明記されていますが、実際はストレージプレートと干渉するため使用できません。下写真ではファンマウンタの上にラジエーターを置いていますが、オレンジで囲った部分でラジエーターとストレージプレートが干渉します。標準レイアウトでは280mmラジエーター採用簡易水冷CPUクーラーも使用できないので特に注意してください。
Fractal Design Define R6 review_04165
続いて同じく標準レイアウトで対応が明記されている360サイズラジエーターについてですが、結論からを言うと360サイズラジエーターは使用できるもののいくつか注意点があります。今回は検証機材として同社製の360サイズ簡易水冷CPUクーラー「Fractal Design Celsius S36」を使用しました。
Fractal Design 「Fractal Design Celsius S36」をレビュー
Fractal Design Celsius S36

まず最初に「Fractal Design Celsius S36」のラジエーターをPCケーストップから取り外した専用ブラケットにネジで固定します。
DSC04195DSC04196
360サイズラジエーターについてはブラケットに2列配置されたネジ穴スリットのうちマザーボード寄りの2列を使用すれば、280mmラジエーターで発生したストレージプレートとの干渉を回避できます。あと写真を見てわかるように360mmを標準レイアウトで使用する場合は5インチベイには奥行の小さいファンコン等は設置できるかもしれませんが、光学ドライブは使用できません。
Fractal Design Define R6 review_04172
しかしながらファン&ラジエーターをマザーボード寄りに配置することになるので、マザーボード側との干渉について気を配る必要が発生します。
まず1つ目の注意点としてラジエーターをリア寄りに配置するとマザーボードのリアI/Oカバーに干渉する可能性があります。ブラケット上では固定ネジ穴が横長スリットなので前後にオフセット可能ですが、水冷チューブの長さ次第では水冷トップをそもそもマザーボードに設置できるかどうかなどの問題も発生する可能性があるので注意が必要です。また2つ目の注意点としてはVRM電源クーラーの高さによっては干渉して使用できない場合もあります。これは回避策がないので使用するマザーボード次第となります。
Fractal Design Define R6 review_04173
最後に3つ目の注意点ですが、背の高いヒートシンクが装着されたOC DDR4メモリはファン・ラジエーターと干渉する可能性があります。今回のレビューでは当初、検証機材メモリとしてG.Skill Trident Z Blackを使用する予定でしたが、「Fractal Design Celsius S36」と干渉してしまったので、ロープロファイルヒートシンクが装着された「Corsair VENGEANCE LPX」に切り替えました。
Fractal Design Define R6 review_04171Fractal Design Define R6 review_04174
最後に特に注意点というわけではありませんが、ユニバーサルストレージブラケットは標準で使用されている上から2段目と3段目を、下の8段目と9段目に移せば干渉せずにスムーズに取り回しができます。
Fractal Design Define R6 review_04181

以上のようにいくつか注意点はあるものの、ストレージ積載数を重視する「Fractal Design Define R6」の標準レイアウトであっても、同社製の360サイズラジエーター採用となるハイエンド簡易水冷CPUクーラー「Fractal Design Celsius S36」を設置できました。
Fractal Design Define R6 review_04179
Fractal Design Define R6 review_04178

PCケースのトップスペースは240サイズ以上の大型簡易水冷CPUクーラーの設置スペースとしては最も主流な位置になっていますが、「Fractal Design Define R6」では標準的かつ最もスリムなファン&ラジエーターの55mm厚であっても、マザーボード上部のVRM電源クーラーやEPS端子に被ってしまいます。マザーボード上部には他にもCPUファン端子が配置されていることも多いですし、裏配線スペースも塞がれてしまったりとアクセサビリティーの点で難があるレイアウトです。注意でも説明したようにメモリヒートシンクと干渉する問題もあり、見栄えの点でも個人的にはあまり好みではありません。こんな感じでマザーボードとファン&ラジエーターの間隔をもう少し広く取って欲しかったというのが正直なところです。
Fractal Design Define R6 review_04183



Fractal Design Define R6の自作PCギャラリー

記事冒頭で紹介した自作PCパーツを組み込んで「Fractal Design Define R6」を使用した自作PCを組んでみたのでその作成例のギャラリーとなります。
Fractal Design Define R6 review_04184
Fractal Design Define R6 review_04183Fractal Design Define R6 review_04180
Fractal Design Define R6 review_04188
Fractal Design Define R6 review_04189
Fractal Design Define R6 review_04193Fractal Design Define R6 review_04194
Fractal Design Define R6 review_04192



Fractal Design Define R6のレビューまとめ

最後に「Fractal Design Define R6」の実機サンプルを検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。

良いところ
  • シンプルでスタイリッシュ、フルフラットの”エレガントなスカンジナビアデザイン”
  • 防音性の高いソリッドパネルと内部を一望できる強化ガラスパネルが選択可能
  • ジェラコンキャッチによってサイドパネルは容易に着脱可能
  • PWM制御に対応したファンコントローラーハブ「Nexus+スマートハブ」を標準搭載
  • マザーボード側からのケーブルを隠すストレージプレートやPSUシュラウド採用
  • ストレージプレートによってストレージ重視の標準と水冷用のオープンからレイアウト切替対応
  • 静音性重視のソリッドパネルと通気性重視のエアスリットパネルを選択できるModuVent
  • 専用アダプタを使用したスロットイン型の電源ユニット設置構造を採用
  • 2.5インチ5基、3.5インチ2基で計7基のストレージを設置可能
  • トップ/フロント/ボトムはマルチファン大型水冷ラジエーターに対応
  • トップ/フロント/ボトムには着脱の容易な防塵ダストフィルター搭載
悪いところor注意点
  • フロントパネルが固くて外しにくい
  • 標準レイアウトでは280mmサイズ簡易水冷が使用できない
    水冷ラジエーター設置のクリアランスには注意が必要(詳しくは本文で)
  • ユニバーサルストレージブラケットは4点止めにして欲しかった
  • 2.5インチストレージトレイは4基付属して欲しい or 別売りオプション希望

北欧PCパーツメーカーFractal DesignのロングセラーPCケース「Define R5」の待望の後継モデルとして満を持してリリースされた最新ミドルタワーPCケース「Fractal Design Define R6」はどんなPCケースかと言われたら、最新のModuVentテクノロジーやストレージプレートを用いたシャーシレイアウト変更によってクラシカルな要素と最新トレンドが混ざり合った変幻自在なビルドスタイルが可能な万能型PCケースであるというのが今回検証してみて得た感想です。
フルフラットなソリッドパネルに囲まれた静音性重視のPCケース、トップ/フロント/ボトム/リアの4面に配置された通気口を使用した高エアフローPCケース、2.5/3.5インチストレージ8基と5インチベイ1基を備えたストレージ重視なPCケース、オープンスペースで本格水冷に対応可能なPCケースなど、1つのPCケースで複数のビルドスタイルが統合され、ユーザーの好みに合わせたカスタマイズが可能なので、ついつい”自分が考えた最強の”的な自作PCを目指したくなるところが「Fractal Design Define R6」の魅力だと思います。

ただ「Fractal Design Define R6」が往年の名機Define R5の正統な後継モデル足るかというと、メーカー自身が『新たにゼロベースで設計された』と言っているように、本道から少し道を逸れた印象があることは否めません。「Fractal Design Define R6」自身が目指したコンセプトは確実に実現されていますし、サイドパネル着脱方式やModuVentの機能拡張などDefine R5から進化した部分も感じられますが、改良型Define R5なのかというと近年のトレンドを盛り込んだ結果として若干器用貧乏になってしまったきらいもあり、Define R5ユーザーから手放しに評価されるかというと難しいであろうというのも正直な感想でした。個人的には新規の別シリーズとしてリリースしてもよかったのではないかなと。"Define R"シリーズを名乗ってしまったがために、正当に評価されにくいという気がします。

前モデルDefine R5が拡張性とカスタマイズ性を備えつつもある程度、完成形が想像できるクラシカルPCケースの決定版であったのに対して、「Fractal Design Define R6」はビルドスタイルの自由度が売りなPCケースです。組みだしたらあれもこれもと試したくなる中毒性の高い変幻自在な万能型PCケース「Fractal Design Define R6」は自分の考える最強の自作PCを構想し実現したいユーザーにおすすめなPCケースだと思います。

以上、「Fractal Design Define R6」のレビューでした。
Fractal Design Define R6 review_04188




Fractal Design FLEX VRC-25 ライザーケーブル
Fractal Design
Amazon.co.jpで詳細情報を見る



関連記事

CAM対応スマートデバイス搭載PCケース「NZXT H700i」をレビュー
NZXT H700i レビュー

新たなショーケースデザイン「NZXT H500i」をレビュー
NZXT H500i

汐見板金の純日本製フルアルミPCケース「AX2 ver1.1」をレビュー
汐見板金 AX2 v1_1




(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



スポンサードリンク