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Intel製TLC型64層3D NANDメモリチップの採用によって前モデル600pよりも2倍のアクセススピードと半分の消費電力を実現した、Intelの新型NVMe M.2 SSD「Intel SSD 760p」シリーズから容量512GBモデル「Intel SSD 760p 512GB (型番:SSDPEKKW512G8XT)」を購入したのでレビューしていきます。

製品公式ページ:https://www.intel.com/content/www/us/en/products/memory-storage/solid-state-drives/consumer-ssds/760p-series.html?wapkw=760p

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Intel SSD 760p 512GB レビュー目次
1.Intel SSD 760pについて
2.Intel SSD 760p 512GBの外観
3.Intel SSD 760p 512GBの検証機材と基本仕様
4.Intel SSD 760p 512GBのベンチマーク比較
5.Intel SSD 760p 512GBの連続書き込みについて
6.Intel SSD 760p 512GBの温度とサーマルスロットリングについて
7.Intel SSD 760p 512GBの実用性能比較
8.Intel SSD 760p 512GBのレビューまとめ
Intel SSD 760pについて
「Intel SSD 760p」シリーズはIntel製64層3D NANDメモリチップの採用によって前モデル600pよりも2倍のアクセススピードと半分の消費電力を実現したIntelのメインストリーム向け新型NVMe M.2 SSDです。「Intel SSD 760p」はSSD容量として128GB/256GB/512GB/1TB/2TBの5モデルがラインナップされています。

なお初期に投入されるのは128GB/256GB/512GBの3モデルで、希望小売価格は74ドル/109ドル/199ドルになっており、国内では1.0万円、1.5万円、2.7万円で販売されています。1TB/2TBの上位2モデルは3月までに発売されるようです。競合モデルとなるSamsung 960 PRO 512GBが3.9万円、Samsung 960 EVOが3.0万円で販売されているので「Intel SSD 760p 512GB」は高速なNVMe M.2 SSDとしてはコストパフォーマンスに優れた製品という位置づけになっています。
「Intel SSD 760p」シリーズはメモリチップにIntel製64層3D NANDが採用されています。前モデル600pの32層 TLC NANDから「Intel SSD 760p」で64層TLC NANDに変更されたことで、消費電力はアクティブ時100mWからアクティブ時50mWへ半減し、省電力性能は大幅に改善されています。600pは多くのレビューサイトでNVMe .2 SSDのサーマルスロットリング発生チェックやM.2ヒートシンク検証に使用されていたので「Intel SSD 760p」でついに汚名返上になりそうです。
「Intel SSD 760p」シリーズのアクセススピードは容量によって若干異なりますが、最大でシーケンシャル読出3230MB/s、シーケンシャル書込1625MB/s、ランダム読出340,000 IOPS、ランダム書込275,000 IOPSの高速アクセスを実現しています。
MTBFは160万時間、書込耐性は128GBが72TBW、256GBが144TBW、512GBが288TBWとなっており、メーカーによる製品保証期間は5年間です。
Intel SSD 760p スペック一覧 |
|||||
容量 | 128GB | 256GB | 512GB | 1TB | 2TB |
メモリー | Intel製TLCタイプ64層3D NAND | ||||
連続読出 | 1640MB/s | 3210MB/s | 3230MB/s | ||
連続書込 | 650MB/s | 1315MB/s | 1625MB/s | ||
4Kランダム読出 | 105,000 IOPS | 205,000 IOPS | 340,000 IOPS | ||
4Kランダム書込 | 160,000 IOPS | 265,000 IOPS | 275,000 IOPS | ||
消費電力 | 25mW(アイドル) / 50mW(アクティブ) |
||||
動作温度範囲 | 0°C~70°C | ||||
MTBF | 160万時間 | ||||
耐久性評価 | 72TBW | 144TBW | 288TBW | 576 TBW | |
保証期間 | メーカー5年 |
Intel SSD 760p 512GBの外観
まず最初にIntel SSD 760p 512GBの外観や付属品について簡単にチェックしておきます。
紙製のパッケージを開くとSSD本体はダンボールに挟まれて、プラスチックのスペーサーに収められていました。付属品は仕様書のみとなっています。

「Intel SSD 760p 512GB」のSSD本体デザインについては普通にM2 2280サイズ、M-Key型のM.2 SSDです。PCB基板は黒色になっています。あえて特筆すべき点はないと思います。

512GBモデルはメモリコントローラーやメモリチップが表面のみに実装される片面実装ですが、シリーズ共通で使用されるであろうPCB基板には背面にメモリチップ2枚分の貼りつけスペースがあります。1TBモデルは512GBモデル同様に片面実装ですが、最大容量の2TBモデルは両面実装になるものと思われます。

Intel SSD 760p 512GBの検証機材と基本仕様
Intel SSD 760p 512GBの各種検証を行う環境としては、ASRock Z270 SuperCarrierなどで構成されているベンチ機を使用しました。構成の詳細は下記テーブルの通りです。テストベンチ機の構成 | |
CPU | Intel Core i7 7700K 殻割り&クマメタル化(レビュー) Core:5.0GHz, Cache:4.8GHz |
CPUクーラー | Intel TS15A |
メインメモリ | Corsair Dominator Platinum Special Edition DDR4 8GB*4=32GB (レビュー) 3200MHz, 14-16-16-36-CR2 |
マザーボード |
ASRock Z270 SuperCarrier (レビュー) |
ビデオカード | 【基礎性能検証用】 MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC (レビュー) 【PCゲームロード時間検証用】 EVGA GTX 1080 Ti SC2 iCX (レビュー) |
システムストレージ |
Crucial MX300 SATA M.2 SSD 1TBCT1050MX300SSD4 |
OS | Windows10 Home 64bit |
電源ユニット | Corsair HX1200i (レビュー) |
ベンチ板 | STREACOM BC1 (レビュー) |

Windows10上で「Intel SSD 760p 512GB」のボリュームを作成したところ空きスペースは476GBでした。

Intel SSD 760p 512GBのベンチマーク比較
「Intel SSD 760p 512GB」の性能を測るためストレージに関する基本的なベンチマークソフトを使用して測定を行います。比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung 960 PRO 512GB」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」と「Samsung 850 PRO 2TB(レビュー)」と「PNY CS1311 960GB」でも同様の測定を行いました。まずはCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)のベンチマーク結果です。
「Intel SSD 760p 512GB」のベンチマークススコアは連続読み出し3100MB/s、連続書き込み1340MB/sとなりました。書き込み速度が仕様値の1625MB/sより若干低いですが概ね仕様値を満たす高速性能を発揮しています。特に連続リードがNVMe(PCI-E3.0x4)接続規格の上限近くまで上がっているので600pからさらに完成度が高まっていることがわかります。





ATTO Disk Benchmark(512B-64MB, 256MB, QD4)の結果は次のようになっています。ATTO Disk Benchmarkはブロックサイズ別のランダム性能を主にチェックするベンチマークなので4KB~1MBを抜粋してリード/ライト性能をグラフにして比較しました。






AS SSD Benchmark(5GB)の結果は次のようになっています





PCMark8 ストレージテストのベンチマーク結果は次のようになっています





Intel SSD 760p 512GBの連続書き込みについて
「Intel SSD 760p 512GB」に連続書き込みを行った場合の動作についてチェックします。TLC型SSDの多くは書き込み速度の底上げのためSLCキャッシュを使用しているので、キャッシュ容量を超える大容量の書き込みが発生した場合、書き込み速度が階段的にガクッと下がる仕様になっています。例えば600MB/sが理論的な上限速度となるSATA SSDの場合は、動画ファイルなど数十GB以上の単一ファイルの連続書き込みが発生すると、CrystalDiskMarkなどで表示される400~500MB/sの連続書き込み速度を維持できず100~200MB/sまで書き込み速度が下がります。
2.5インチSATA SSDの「Samsung 850 PRO 2TB」やNVMe M.2 SSDの「Samsung 960 PRO 512GB」はMLC型なのでHD Tune Proを使用して100GB以上の大容量な連続書き込みを行っても書き込み速度が下がることはなく、いずれも理想的な書き込み速度を維持しています。


一方でもう1つの比較用SSDであるSATA SSDの「PNY CS1311 960GB」はSLCキャッシュによる書き込み速度の底上げを行っている典型的なTLC型SSDとなっており、書き込み開始直後は500MB/sの書き込み速度をマークしているものの、全容量960GBに対して1.5%程度の13~15GBを書き込んだ後は300~350MB/sまで書き込み速度が低下します。

またTLC型の書き込み速度の低下はNVMe SSDでも発生することがあり「Samsung 960 EVO」は3bit-MLC NANDの一部を高速なSLC NANDとして用いて書き込み時にそこを優先的に使用する高速化技術「Intelligent TurboWrite」が使用されているので、SLCキャッシュ容量を超える書き込みが発生するとライト速度が低下します。

Intel製TLC型64層3D NANDをメモリチップに採用する「Intel SSD 760p 512GB」はどのような挙動を見せるのか確認してみたところ、書き込み開始直後は1500MB/s程度の書き込みスピードを維持していますが、書き込み総量が6GBを超えるとSLCキャッシュを上回るため書き込み速度はSATA3.0規格相当な500MB/s前後まで減少しました。また気になるポイントとして大容量アクセスにおける速度低下は書き込みだけでなく読み出しでも若干発生しているようです。読み出し速度のグラフを確認すると書き込み速度同様に総量が6GBを超えると2700MB/sから2500MB/sに若干落ち込んでいます。10%程度ではあるものの少々気になる挙動です。

実際に後ほど行う大容量データのコピー書き込みテストにおいては序盤はNVMe SSDらしい高速転送が可能ですが、テスト終盤は書き込み速度が500MB/s程度まで落ち込むので規格理想値の出るSATA3.0 SSDと同程度の書き込み性能になりました。大容量書き込みが発生する用途で使用する場合は注意が必要です。


Intel SSD 760p 512GBの温度とサーマルスロットリングについて
NVMe M.2 SSDでは重要になる項目として「Intel SSD 760p 512GB」の温度とサーマルスロットリングについてチェックしていきます。アクセススピードが数GB/sに及ぶ高速NVMe接続に対応したM.2 SSDでは、そのコンパクトさゆえに放熱性能には表面積的な限界があり、連続したアクセスが発生するとメモリチップやメモリコントローラーが高温になって速度制限がかかるサーマルスロットリングが発生する可能性があることが知られているので、「Intel SSD 760p 512GB」について、連続した高速アクセス発生時の温度やサーマルスロットリング発生の有無をモニタリングソフトとサーモグラフィーを使用して検証します。
Intel SSD 760p 512GBのSSD温度の測定やサーマルスロットリング発生の有無の確認については、ヒートシンクがないPCIE-M.2アダプタ拡張ボードにSSDを装着して検証を行います、

測定時の検証負荷としては上で行ったベンチマーク測定同様にCrystalDiskMark6.0.0(QD32, 8GiB)を使用して間を置かず複数回ベンチマークをループさせ、その間のSSD温度や読み出し・書き込み速度のモニタリング値をHWinfoを使用してログ取得します。

Intel SSD 760p 512GBの検証結果を確認する前に、NVMe M.2 SSDとしてはおそらく最高性能で認知度が高く普及しているであろう「Samsung 960 PRO 512GB」を比較参考のサンプルとして上記の負荷テストを実行した結果を確認しておきます。
Samsung 960 PRO 512GBで負荷テストを実行した場合のSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Samsung 960 PRO 512GBにはメモリチップとメモリコントローラーの2か所に温度センサーが実装されています。ベンチ2周目でメモコン温度は最大温度の100度、メモリ温度も最大温度に近い60度超をマークします。この状態で複数回ベンチマークを実行しても速度低下は発生せずサーマルスロットリングは発生しません。

サーモグラフィーによって負荷テスト終盤におけるSamsung 960 PRO 512GBのM.2 SSD上の温度を確認してみると、ソフトウェアモニタリング同様に右端に配置されたメモリコントローラーは93度、左半分に配置されたメモリチップは60~70度となっています。

本題のIntel SSD 760p 512GBの温度やサーマルスロットリングの有無についてチェックしていきます。
まずソフトウェアモニタリングによるIntel SSD 760p 512GBのSSD温度とアクセススピードの推移は下のようになっています。Intel SSD 760p 512GBに関してソフトウェアモニタリングが可能な温度はメモリチップの温度になっているようです。ベンチマークを3回ほど実行するとメモリチップの温度が70度に達します。読み出し速度については3回目で連続リードの終盤に速度低下しているようですがサーマルスロットリングの影響は比較的小さいようです。書き込み速度については初回から変動が大きいものの、メモリチップ温度が70度に達した3回目以降は書き込み速度が大きく下がっておりサーマルスロットリングが発生していることがはっきりとわかります。

負荷テスト終盤におけるIntel SSD 760p 512GBのサーモグラフィーは下のようになっています。ソフトウェアモニタリングでは最大70度程度でしたが、Samsung 960 PRO同様に右端のメモリコントローラー温度は90度前後とかなり高くなっています。左半分にはメモリチップが2枚実装されていますが、こちらもやはり60~70度程度となっています。サーモグラフィー上ではIntel SSD 760p 512GBとSamsung 960 PROには大差がないので、Intel SSD 760p 512GBの方が温度に対してシビアな速度制御が行われているようです。

なお後ほど解説する数十GBの大容量データコピー速度検証において「Intel SSD 760p 512GB」で温度検証同様にヒートシンクのないPCIE-M.2変換ボードとヒートシンク付きの「Aquacomputer kryoM.2」の両方を試してみましたが結果に差は出ませんでした。ヒートシンクがなくとも短期的に見て性能上の問題はなさそうです。


とはいえ温度自体はかなり高くなるようなので長期運用における温度原因の故障リスクを最小限にするため、可能であれば、M.2 SSDヒートシンクやヒートシンク付きPCIE拡張ボードの利用をおすすめします。
・「AquaComputer kryoM.2 evo/micro」をレビュー
・「SilverStone SST-TP02-M2」をレビュー


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Intel SSD 760p 512GBの実用性能比較
続いて「Intel SSD 760p 512GB」で大容量・多数データのコピーやPCゲームのロード時間など実際の使用について性能比較をしてみました。ベンチマークソフトによる基礎検証同様に比較対象として同じくNVMe M.2 SSDの「Samsung 960 PRO 512GB」、およびSATA SSDの「SanDisk SSD Ultra 3D 2TB(レビュー)」と「Samsung 850 PRO 2TB(レビュー)」と「PNY CS1311 960GB」でも同様の測定を行いました。まずはファイルのコピーに関する実性能比較となります。検証に使用するデータとしては次のような80GBで多数のファイルが入ったゲームのフォルダ(The Witcher 3とRise of the tomb Raiderなどのゲームフォルダ)と50GBの動画ファイルの2種類を使用しています。

データのコピーにおいては当然ですが、元データのあるストレージの読み出し性能とコピー先の書き込み性能の両方が重要になります。測定においては書き込み先/読み出し元の対象となるストレージが必要になるため、各ストレージのコピー相手にはM.2-PCIE変換アダプタ「Aquacomputer kryoM.2」に設置したSamsung 960 PRO 512GBを使用しています。


コピーテストにおいて検証ストレージがコピー相手「Samsung 960 PRO 512GB」と同じくNVMe SSDの場合は、ASRock Z270 SuperCarrierの1段目PCI-Eスロットにグラフィックボード、3段目PCI-Eスロットにコピー相手「Samsung 960 PRO 512GB」、5段目PCI-Eスロットに検証ストレージを装着しています。

Z270プラットフォームではCPU-チップセット間のDIMM3.0の帯域がボトルネックになって複数のNVMe SSDへ同時にアクセスが発生するとトータルのアクセススピードが4GB/s程度に制限される場合がありますが、ASRock Z270 SuperCarrierではPLXスイッチチップを介するもののCPU直結PCI-Eレーンに接続されているので、この問題は発生しません。

「Intel SSD 760p 512GB」など各種検証ストレージとSamsung 960 PRO 512GBとの間で50GBの動画ファイルおよび80GBのゲームフォルダをコピーした時間の比較結果は次のようになりました。
まずは50GBの動画ファイルのコピーについてですが、動画ファイルは単一の大容量ファイルなので実際のコピーではベンチマークのシーケンシャルリード・ライト性能が重要になってきます。
Intel SSD 760p 512GBは動画ファイルのコピー読み出しにおいてSamsung 960 PRO 512GBとほぼ同じ所要時間で27秒となっています。Intel SSD 760p 512GBはPCI-E3.0x4帯域のNVMe接続に対応した高速SSDなので、SATA3.0接続のSSDと比較すると3倍以上高速な読み出し速度を実現しており、読み出し速度は1800MB/s程度となっています。

「Intel SSD 760p 512GB」については動画ファイルのコピー書き込み時間が86秒となっており、同じくNVMe接続SSDのSamsung 960 PRO 512GBの27秒と比較すると、SATA3.0接続SSDとして理想的なSamsung 850 PRO 2TBやSanDisk SSD Ultra 3D 2TBの100秒ほどの方に近い所要時間になりました。SLCキャッシュ容量6GBを大きく超えるサイズのコピー書き込みなので500MB/s前後というキャッシュ超過後の書き込み速度が支配的になりSATA SSDに近い時間になっているようです。

続いてゲームフォルダのコピーについてですが、ゲームフォルダは大小様々なファイルを含むので、実際のコピーではベンチマークの連続性能だけでなく、ランダム性能も重要になってきます。
Intel SSD 760p 512GBはゲームフォルダのコピー読み出しにおいて意外なことにSamsung 960 PRO 512GBよりも2秒ほどですが高速という結果が出ました。測定誤差かと思って数回検証しましたがIntel SSD 760p 512GBの方が速かったのでランダム性のある大容量データ読み出しではSamsung 960 PRO 512GBよりも若干高速なようです。動画ファイルのコピー読み出し同様にSATA3.0 SSDよりも3倍高速な読み出し速度となっています。

一方でIntel SSD 760p 512GBのゲームフォルダのコピー書き込み速度については、やはりSATA SSDのSamsung 850 PRO 2TBやSanDisk SSD Ultra 3D 2TBに近い結果で150秒ほどかかりました。64層3D NANDではTLC型の弱点である連続書き込みの速度低下を克服している製品も理想500MB/sが上限となるSATA SSDでは多いですが、最大で数GB/sの書き込み速度に対応するNVMe SSDとしては相対的に書き込みの速度が目立つ結果です。

続いて実際にPCゲームのロード時間も比較してみました。
The Witcher 3ではグラフィック設定をフルHD解像度・最高設定としてノヴィグラドの広場からトゥサンのコルヴォ・ビアンコブドウ園までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
Rise of the Tomb RaiderではフルHD解像度においてグラフィック設定をDirectX12で個別に最高設定として製鋼所の空き地までのファストトラベル時のロード時間を比較しています。
以上の条件で「Intel SSD 760p 512GB」など各ストレージについてゲームのロード時間比較を行った結果は次のようになりました。
ロード時間を測定して比較してみたところコンマ秒で差がある可能性はあるものの「Intel SSD 760p 512GB」含めて各SSDでは大きな差は確認できませんでした。

Intel SSD 760p 512GBのレビューまとめ
最後にIntel製TLC型64層3D NANDを採用するNVMe M.2 SSD「Intel SSD 760p 512GB(型番:SSDPEKKW512G8XT)」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- NVMe規格として理想的な連続リード3230MB/sと高速な連続ライト1630MB/s
- 従来より50%低消費電力になったのでサーマルスロットリングの発生は抑制されている
- 高速NVMe M.2 SSDとしては安価な価格帯
- メーカー正規保証期間が5年間
- TLC型なので大容量の連続書き込みでは速度低下が発生する
- 大容量の連続読込でも若干の速度低下が発生する
「Intel SSD 760p 512GB」を検証してみたところ、基礎的な各種ベンチマークの多くではNVMe M.2 SSDとしては最速クラスかつ鉄板モデルの1つであるSamsung 960 PROに近い性能となり、読み出しアクセスが中心の用途であればSamsung 960 PROと遜色ないパフォーマンスが期待できそうです。
ただしメモリチップにはTLCタイプのものが採用されているので正確には廉価モデルのSamsung 960 EVOの競合というべき製品です。Intel SSD 760p 512GBでもTLC型SSDの特徴は大容量書き込み時にでており、キャッシュ容量6GBを超える書き込みアクセスでは理想値1600MB/sからSATA3.0 SSD相当の500MB/sまで書き込み速度が低下するので、大容量書き込みが頻発する用途を想定される場合は注意が必要です。
Intel製64層3D NANDの採用により旧モデル600pよりも50%の低消費電力化に成功していることもありサーマルスロットリングの発生も抑制されてそのままの状態でも使いやすくなっています。600pは多くのレビューサイトにおいてM.2 SSD用ヒートシンクの宣伝素材のように使われいていたことを考えると名誉挽回は果たせたのではないかと思います。
とはいえほぼ全てのNVMe M.2 SSD同様に連続した高速アクセスが続けばメモリコントローラーおよびメモリチップは高温になるので長期的に安全な運用を目指すのであれば別売りヒートシンクの利用を推奨します。
Intel SSD 760p 512GBの最大の魅力は何といっても安価な価格であると思います。性能的にはSamsung 960 EVOシリーズとほぼ同等でありながら、Samsung 960 EVO 500GBの販売価格3.0万円程度に対してIntel SSD 760p 512GBは発売初期から1割程度安い2.7万円を実現しています。Intelのブランドネームも相まってメインストリーム向け高速NVMe M.2 SSDとしては人気が出そうな製品です。
シーケンシャルリード3000MB/s越えでリード性能中心に見ればNVMe M.2 SSDとして最速クラスであり、かつ512GBでは最安値クラスの安価さを実現している「Intel SSD 760p 512GB」は、大容量書き込みによる速度低下の影響をあまり受けないリード中心のシステムストレージ用高速ストレージとして活躍が期待できる製品だと思います。
以上、「Intel SSD 760p 512GB」のレビューでした。

Intel SSD 760p 128GB NVMe M.2 SSD (SSDPEKKW128G8XT)
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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