Ryzen 7 2700X OC Review


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Intel CPUをマルチスレッド性能において2倍のコスパで圧倒し電撃登場を果たしたAMD Ryzen CPUの第2世代Ryzen 2000シリーズの最上位モデルで8コア16スレッドの「AMD Ryzen 7 2700X」について、早速OC耐性がどの程度のものなのか、今後行う各種レビュー前の地ならし的に検証してみたので、前世代最上位のRyzen 7 1800Xと比較しながら簡単にOCレビューとしてレポしていきます。
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Ryzen 7 2700Xを開封の儀

最初に「Ryzen 7 2700X」を開封の儀で簡単にCPU本体や付属品をチェックしておきます。
第1世代ではX付CPUにはCPUクーラーが付属しませんでしたが、第2世代Ryzenでは最上位モデルの2700XでもCPUクーラーが付属するためパッケージサイズは大きく、前世代のRyzen 7 1700と同系統のデザインになっています。
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パッケージを開くとCPU本体とCPUクーラーが個別に黒い箱に収められています。
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CPU本体についてはソケットが同じなので当然ですが、外見は第1世代とほぼ同じです。Intel製CPUとは違ってCPU本体の背面からは剣山状にピンが伸びています。
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Ryzen 7 2700XにはTDP105Wの発熱に対応可能な付属CPUクーラーとして、ファンブレードとフレームのリングに豪華なLEDイルミネーションが内蔵された「Wraith Prism」が付属します。
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「Wraith Prism」は4本の銅製ヒートパイプとアルミニウム製放熱フィンによって構成されるトップフロー型のCPUクーラーとなっており、第1世代ではRyzen 7 1800Xや1700Xの組み込み機器のみ付属し、後に単品でも販売された「Wraith Max」に酷似した外見です。CPUヒートスプレッダと接する部分には予め熱伝導グリスが塗られています。
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「Wraith Prism」ではマザーボードに標準で備え付けられたプラスチック製の爪にクリップをはめるてレバーで固定するCPUクーラー固定方式が採用されています。またプラスチックフレーム側面にはLEDイルミネーションをマザーボードのライティング操作機能で制御するためのRGB LED対応汎用4PINヘッダーや、専用アプリケーションで制御するための内部USB2.0ヘッダーに接続するためのケーブルを装着する端子があります。
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「Wraith Max(左)」と「Wraith Prism(右)」を比較してみると、冷却ファンについてはファンブレードがLEDイルミネーションを綺麗に見せるため透明になったことを除けば形状はほぼ同じですが、ヒートシンク部分にはそこそこ違いがあります。
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ヒートシンクを側面から見てみると、まず高さは「Wraith Prism(右)」のほうが10mmほど高くなっています。ヒートパイプの本数はいずれも4本ですが、放熱フィンの高さが10mmほど高くなっているのがわかります。また「Wraith Prism(右)」では左右の切込み部分が中心近づき、また高くなっているのでITXサイズマザーボードと組み合わせた場合に、メモリとの干渉が発生しにくくなっているようです。
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CPUヒートスプレッダと接する底面を確認してみると、「Wraith Max(左)」では銅製ベースプレートが装着されていますが、「Wraith Prism(右)」では平滑化されたヒートパイプが接するダイレクトヒートパイプ構造が採用されています。放熱フィンはWraith Prismのほうが若干大きいですが、銅製ベースを採用しているWraith Maxのほうが冷却性能は若干高い気がします。Wraith PrismとWraith Maxの性能比較については後日公開予定のCryorig C7 Cuのレビューの時にまとめて検証してみようと思います。
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検証機材について

ASRock X470 Taichiを使用して検証機材と組み合わせてベンチ機を構築しました。ASRock X470 Taichi以外の検証機材は次のようになっています。
テストベンチ機の構成
CPU AMD Ryzen 7 2700X
レビュー
CPUクーラー Corsair H150i PRO RGB
レビュー
メインメモリ G.Skill FLARE X
F4-3200C14D-16GFX
DDR4 8GB*2=16GB (レビュー
マザーボード ASRock X470 Taichi
レビュー
CPUベンチ用
ビデオカード
MSI GeForce GT 1030 2GH LP OC
ファンレス (レビュー
システムストレージ
WD Blue 3D NAND SATA SSD 500GB
レビュー
OS Windows10 Home 64bit
電源ユニット Corsair HX1200i (レビュー
ベンチ板 STREACOM BC1 (レビュー

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CPUクーラーには2018年1月に発売されたばかりの新製品でCorsair製簡易水冷CPUクーラーの最上位モデルとなる360サイズラジエーター搭載の簡易水冷CPUクーラー「Corsair H150i PRO RGB」を使用しています。マザーボードやメモリなど今後の第2世代Ryzen関連の各種レビューでも使用する予定です。
マザーボード備え付けの固定器具にCPUクーラーリテンションブラケットのフックをひっかけてハンドスクリューで締めるだけなので設置が非常にお手軽です。
Corsair H150i PRO RGB_1Corsair H150i PRO RGB_2
360サイズラジエーター搭載の「Corsair H150i PRO RGB」と280サイズラジエーター搭載の「Corsair H115i PRO RGB」はいずれも冷却性能が高く、LEDイルミネーションやファン制御などの操作性・カスタマイズ性にも優れているので第2世代Ryzen CPUとの組み合わせにはおすすめなCPUクーラーです。
「Corsair H150i PRO RGB」&「Corsair H150i PRO RGB」をレビュー
Corsair H150i_H115i PRO RGB

システムメモリにはRyzen環境におけるハイパフォーマンスなOCメモリとして昨年より定評のある「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」を使用しています。メモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-34-CR1の高速・低遅延な動作がOCプロファイルを使用したオーバークロックで簡単に実現でき、第2世代Ryzen環境ならさらに伸びしろもあるので、第2世代Ryzen環境向けにおすすめのDDR4メモリです。
3200MHzのRyzen用OCメモリ「G.Skill F4-3200C14D-16GFX」をレビュー
G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX

CPUとCPUクーラー間の熱伝導グリスには当サイト推奨で管理人も愛用しているお馴染みのクマさんグリス(Thermal Grizzly Kryonaut)を塗りました。使い切りの小容量から何度も塗りなおせる大容量までバリエーションも豊富で、性能面でも熱伝導効率が高く、塗布しやすい柔らかいグリスなのでおすすめです。
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グリスを塗る量はてきとうでOKです。管理人はヘラとかも使わず中央山盛りで対角線だけ若干伸ばして塗っています。特にThermal Grizzly Kryonautは柔らかいグリスでCPUクーラー固定時の圧着で伸びるので塗り方を気にする必要もありません。
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以上で検証機材のセットアップが完了となります。
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Ryzen 7 2700Xを全コア4.2GHz&メモリ3466MHzにOCしてみる

さて本題の「Ryzen 7 2700X」の定格やマニュアルOCについて上で紹介したベンチ機を使用して検証をしていきます。

まずRyzen 7 2700Xの定格の動作についてですが、Ryzen 7 2700Xは仕様上は全コアブーストクロックは3.7GHzと公表されていますが、冷却性能依存の自動OC機能「XFR」によって冷却が十分であれば最大で全コア3.9GHzで動作させることができます。また単コアの負荷であれば最大4.3GHzで動作します。
2700X_def

続いて「Ryzen 7 2700X」のOC耐性について簡単にチェックしてみました。
第2世代RyzenについてはX370マザーボードが使用できることからわかると思いますが、第1世代Ryzenと似たような感じの設定でオーバークロックができます。
ひとまず簡単に全コア4.2GHz、CPUコア電圧1.375V、ロードラインキャリブレーションLevel1の設定でCPUコアクロックをOCし、メモリについては手早く「G.Skill FLARE X F4-3200C14D-16GFX」のOCプロファイルを使用してメモリ周波数3200MHz、メモリタイミング14-14-14-14-34-CR1にしました。
2700X OC_BIOS (1)2700X OC_BIOS (2)2700X OC_BIOS (3)
なお管理人の所有しているF4-3200C14D-16GFXについてはProcODTがAutoだと60ohmになって、起動後の負荷テストでたまに不安定になり、53.3ohmに指定すると動作が安定しました。ProcODTの最適値はメモリとマザーボードの組み合わせによるようなので、メモリOCが安定しない場合はProcODTを40~60ohmあたりで調整してみてください。

上のOC設定を使用して特に問題なく起動できたので、このOC設定を使用してストレステストを実行しました。検証方法については、FF14ベンチマークの動画(再生時間8分、WQHD解像度、60FPS、容量4.7GB)でAviutl+x264を使ってエンコードを行いました。エンコード時間はRyzen 7 2700Xの場合15分ほどなので同じ動画で2つ平行して4周させています。エンコード中のファン回転数は一定値に固定しています。
注:CPUのストレステストについてはOCCTなど専用負荷ソフトを使用する検証が多いですが、当サイトではPCゲームや動画のエンコードなど一般的なユースで安定動作すればOKとういう観点から管理人の経験的に上の検証方法をストレステストとして採用しています。
2700X_OC_stress_p

大体1時間30分ほど負荷をかけ続けましたが落ちなかったので、Ryzen 7 2700Xは全コア4.2GHz前後であればなんとか安定動作が狙えそうです。当たり石だと4.3GHzも常用できるかもしれませんが、基本的に全コア4.3GHzや4.4GHzはCinebench一発芸な感じだと思います。Ryzen 7 2700Xの手動OCについては360サイズの簡易水冷でもコア電圧が1.400Vを超えるとコア温度が80度前後になってしまうので、1.400Vくらいをコア電圧の上限にしてその範囲内で最大動作クロックを探すのがよさそうです。
Ryzen 7 2700X OC_Temp
なおメモリも3200MHz以上にOCする場合、コア電圧の要求値も上がってしまうようなので注意が必要です。石の個体差で要求電圧にもそれなりに違いがあるようなので、メモリ周波数を3200MHz以上にOCする場合、全コア4.1GHzくらいが安定しやすい動作クロックになる気がします。あとソフトウェアの問題かもしれませんが、上のグラフのようにCPU温度が稀にスパイクして上がりました。

同じ検証機材でCPUのみ交換してRyzen 7 2700Xの全コア4.2GHz&メモリ3200MHzと、Ryzen 7 1800Xの全コア4.0GHz&メモリ3200MHzとでメモリやキャッシュのレイテンシを比較してみたところ、確かに第2世代のRyzen 7 2700Xは第1世代のRyzen 7 1800Xよりもメモリやキャッシュのレイテンシが小さくなっていました。
2700X_42_mem3200_AIDA1800X_40_mem3200_AIDA

いくつかのCPUやOC設定でCinebenchのスコアを比較してみました。Ryzen 7 2700Xは定格でXFRが効けば全コア3.9GHz動作ですが、メモリ動作周波数を揃えた全コア4.0GHzのRyzen 7 1800Xを上回るスコアをはじきだしています。定格でRyzen 7 1800Xのほぼ常用限界を超える性能というのはなかなかに感慨深い結果です。キャッシュやメモリのレイテンシが小さくなった影響でコアクロック当たりのシングル・マルチ性能はしっかりと伸びていることもわかります。
さらにメモリ周波数3200MHzのままでRyzen 7 2700Xのコアクロックを全コア4.2GHzにOCするとCinebenchスコアは1900を上回ります。常用設定での大台2000越えについては次世代に持ち越しですね。
Ryzen 7 2700X OC_Cine
またCPU&OC設定別で動画のエンコード中の消費電力を比較したところ次のようになりました。Cinebenchスコアベースで見るとRyzen 7 2700Xの定格がRyzen 7 1800Xの全コア4.0GHzを上回るのでマルチスレッド性能のワットパフォーマンスは第1世代から第2世代で向上しているようです。
Ryzen 7 2700X OC_power
AMD RyzenとIntel Coreを比較すると、XFRが効いて全コア3.9GHzのRyzen 7 2700XとMCEが効いて全コア4.7GHzのCore i7 8700Kの消費電力がほぼ同じ、また両者を常用限界までOCした消費電力もほぼ同じという結果です。コアクロックには差があるのでマルチ性能のRyzen 7 2700X、シングル性能のCore i7 8700Kな感じですが、メモリとキャッシュのレイテンシ比較でも出ているように第1世代よりもメモリとキャッシュが速くなっているのでAMD公式スライドのようにゲーム性能での差は確実に縮まって、とにかく高フレームレートを追求するような環境でなければ実用上の差はなさそうです。
Ryzen 7 2700X vs Core i7 8700K (2)


続いて第2世代Ryzen&X470マザーボードのメモリOC耐性についてもう少し詰めてみました。
OC設定としてはメモリ周波数3466MHz、メモリタイミング16-16-16-16-36-CR1としています。
2700X OC_BIOS_mem3466_12700X OC_BIOS_mem3466_2

この設定でRyzen 2700X環境でメモリ周波数3466MHz&CL16については安定動作が確認できました。G.SkillやCorsairからリリースされているSamsung B-Dieで3200MHzや3400MHzの選別OCメモリを使えば手動設定で3466MHz&CL16の達成は難しくないと思います。
2700X_3466MHz
2700X_3466MHz_memtest
しかしながらメモリ周波数3600MHzがやはり難しいです。Intel環境向けの4000MHz越えなメモリを使ったりといろいろ試してみたのですが、OSの起動まではいくもののCinebenchすら通らずBSODな感じです。ファーストタイミングを20-20-20-20-40とかかなり緩めてみても安定しないので、セカンド/サードタイミングがAuto任せにできない場合は管理人のメモリOCスキルではちょっとお手上げです。メモリ&M/Bだけでなく、CPUのアンコアの耐性が原因かもとか疑いだすと手が付けられなくなってくるので3600MHzについてはいまのところ諦める方向かなと。
G.Skillが今後リリース予定のRyzen向け3600MHzもタイミングはかなり緩めな設定なので、3600MHzで回そうとするとタイミング設定がかなり難しいのかも。3600MHzで常用できてる人がいたら使ってるメモリや設定について情報が欲しいです。
G.Skill Ryzen 2000 DDR4 list

ちなみにCPUのみRyzen 7 1800Xに変えてみてもメモリ周波数3466MHz&CL16は正常に動作しました。相性の悪いメモリが回りやすいとか、3200MHzまでが動作しやすくなったとか裾野が広がる方向で第2世代Ryzenのメモリ相性問題&OC耐性が改善している可能性はありますが、Samsung B-DieのOC選別メモリで上を目指す分には周波数の数字上は差がないようです。もちろんレイテンシ等は改善されているので同じ周波数でも高速な動作が期待できますが。
1800X_3466MHz_memtest

なお第2世代Ryzenと組み合わせるDDR4メモリについては、メーカーで3200MHzが動作確認済みのOCメモリは容量単価で高価になっていますが、安価に済ませたいということであれば、PCショップアークから発売されている「ARD4-U16G48SB-26V-D Samsung Edition」がおすすめです。
ARD4-U16G48SB-26V-D
「ARD4-U16G48SB-26V-D Samsung Edition」はRyzen環境と相性の良いSamsung B-Die採用で、かつ高速な定格2666MHz対応メモリとなっており、このメモリでも手動OCによって3200MHz&CL16の安定動作が確認できました。(ロットや個体差でOC耐性には差があるのでご注意を)
ARD4-U16G48SB-26V-D_3200MHz_ASRock



以上、『「Ryzen 7 2700X」を全コア4.2GHz&メモリ3466MHzにOCレビュー』でした。
Ryzen 7 2700X





・X470チップセット搭載AM4マザーボード:   
  <Amazon><TSUKUMO><PCショップアーク
  <PCワンズ><ドスパラ><パソコン工房


検証機材として使用している以下のパーツもおすすめです。
G.Skill F4-3200C14D-16GFX DDR4-3200 CL14 8GB×2 AMD Ryzen用メモリ
G.Skill
Amazon.co.jpで詳細情報を見る
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)



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